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特開2024-29840商品データ処理装置、商品データ処理プログラム、及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029840
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】商品データ処理装置、商品データ処理プログラム、及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/00 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
G07G1/00 301Z
G07G1/00 331C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132248
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】内田 英樹
【テーマコード(参考)】
3E142
【Fターム(参考)】
3E142AA01
3E142BA18
3E142EA19
3E142FA41
(57)【要約】
【課題】自装置の位置情報に変更がないかどうかを確認し、位置情報が変更しても適切に運用できる装置を提供する。
【解決手段】商品データ処理装置1は、第一の位置情報を構成する位置に係る情報として、自装置の位置を検出する位置情報検出部106と、前記自装置の現在位置として登録されている位置に係る第二の位置情報を取得する位置情報取得部107と、前記第一の位置情報と、前記第二の位置情報とを対比し、一致を判定する判定処理部108と、前記第一の位置情報と前記第二の位置情報が一致する場合には通常の起動画面を表示し、不一致の場合には位置情報が不一致であることを表示する表示制御部112とを備える。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の位置情報を構成する位置に係る情報として、自装置の位置を検出する位置情報検出手段と、
前記自装置の現在位置として登録されている位置に係る第二の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記第一の位置情報と、前記第二の位置情報とを対比し、一致を判定する判定処理手段と、を備え、
前記第一の位置情報と前記第二の位置情報が一致する場合には所定の処理を実行し、不一致の場合には位置情報が不一致であることを表示する、
ことを特徴とする商品データ処理装置。
【請求項2】
前記第一の位置情報と、前記第二の位置情報が不一致である場合において、前記第二の位置情報の変更を示す移転登録情報の有無を確認する確認処理手段、をさらに備え、
前記移転登録情報があった場合に、前記所定の処理を実行する、
請求項1記載の商品データ処理装置。
【請求項3】
前記第一の位置情報と、前記第二の位置情報が不一致である場合において、使用を許可する使用許可情報を受け付ける受付処理手段、をさらに備え、
前記受付処理手段において正しい前記使用許可情報が受け付けられると、前記所定の処理を実行する、
請求項1または請求項2記載の商品データ処理装置。
【請求項4】
前記第一の位置情報と、前記第二の位置情報が不一致である場合において、所定の機能の実行要求については、前記受付処理手段による前記使用許可情報の受付を必要としない、
請求項3記載の商品データ処理装置。
【請求項5】
取引証明用の計量部と、
前記第一の位置情報に基づく位置が、取引証明用はかりの使用地域区分の該当する地域とは異なる場合、前記計量部で計量した質量により算出される売価を用いる処理の実行を制限する制限処理手段と、をさらに備える、
請求項1記載の商品データ処理装置。
【請求項6】
第一の位置情報を構成する位置に係る情報として、自装置の位置を検出する位置情報検出手段と、
前記自装置の現在位置として登録されている位置に係る第二の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記第一の位置情報と、前記第二の位置情報とを対比し、一致を判定する判定処理手段と、を備え、
前記第一の位置情報と前記第二の位置情報が一致する場合には処理に関する実績データの出力を実行し、不一致の場合には、処理に関する実績データの出力を実行しない、
ことを特徴とする商品データ処理装置。
【請求項7】
コンピュータに対し、
第一の位置情報を構成する位置に係る情報として、自装置の起動時の位置を検出する位置情報検出処理と、
前記自装置の起動時に現在位置として登録されている位置に係る第二の位置情報を取得する位置情報取得処理と、
前記第一の位置情報と、前記第二の位置情報とを対比し、一致を判定する判定処理と、を実行させると共に、
前記第一の位置情報と前記第二の位置情報が一致する場合には所定の処理を実行させ、不一致の場合には位置情報が不一致であることを表示させる、
商品データ処理プログラム。
【請求項8】
上位装置とネットワークを経由して接続される複数の商品データ処理装置を備えるシステムにおいて、
第一の位置情報を構成する位置に係る情報として、前記商品データ処理装置の位置を検出する位置情報検出手段と、
前記商品データ処理装置の現在位置として登録されている位置に係る第二の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記第一の位置情報と、前記第二の位置情報とを対比し、一致を判定する判定処理手段と、を備え、
前記商品データ処理装置は、
前記第一の位置情報と前記第二の位置情報が一致する場合には所定の処理を実行し、不一致の場合には位置情報が不一致であることを表示する制御手段を備える、
ことを特徴とするシステム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自装置の位置情報に応じて機能実行を制限する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、産業機械においては、ネットワーク通信の発展、普及によりリモートメンテナンスが主流となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-176349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リモートメンテナンスでは、装置の稼働ログにより点検、部品交換、消耗品発注などをユーザに通知する。しかし、何らかの理由により装置の使用場所に変更があった場合、変更前の状態のまま装置を使用すると不具合を生じるおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、自装置の位置情報に変更がないかどうかを確認し、位置情報が変更しても適切に運用できる装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る商品データ処理装置は、第一の位置情報を構成する位置に係る情報として、自装置の位置を検出する位置情報検出手段と、前記自装置の現在位置として登録されている位置に係る第二の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記第一の位置情報と、前記第二の位置情報とを対比し、一致を判定する判定処理手段と、を備え、前記第一の位置情報と前記第二の位置情報が一致する場合には所定の処理を実行し、不一致の場合には位置情報が不一致であることを表示することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る商品データ処理装置の構成を示した概要図である。
図2】実施例1に係る商品データ処理装置において、リモートメンテナンス用管理テーブルに記憶されるデータの一例を示した図である。
図3】本発明の実施形態に係る商品データ処理装置の外観構成の一例を示した図である。
図4】本発明の実施形態に係る商品データ処理装置のソフトウェア構成の一例を示したブロック図である。
図5】本発明の実施例1に係る商品データ処理装置によって実行される処理の流れの一例を示した処理フロー図である。
図6】本発明の実施例1に係る商品データ処理装置によって実行される処理の流れの一例を示した処理フロー図である。
図7】本発明の実施例1に係る商品データ処理装置によって実行される処理の流れの一例を示した処理フロー図である。
図8】本発明の実施例1に係る商品データ処理装置によって実行される処理の流れの一例を示した処理フロー図である。
図9】本発明の実施形態に係る商品データ処理装置に表示される画面の一例を示した図である。
図10】本発明の実施形態に係る商品データ処理システムが備えるソフトウェア構成の一例を示したブロック図である。
図11】本発明の実施例2に係る商品データ処理装置をクラウド型サービスとして提供する場合の一構成例を示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
●概要
以下、本発明の実施形態に係る商品データ処理装置について、図を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る管理システム2のネットワーク構成及び機能構成を示した図である。
管理システム2は、コールセンター端末CTと店舗内システム10によって構成され、これらは専用回線やインターネットを介して通信可能に接続されている。
店舗内システム10は、商品データ処理装置1とストアコントローラSCによって構成され、LANや専用回線を介して通信可能に接続されている。なお、店舗内システム10はこのほか、商品データ処理装置1の取引状況(動作モード、処理状況、釣銭在高状況、障害状況等や年齢認証商品などの店員承認処理の遠隔操作等)を管理する取引状況管理装置などを備えてもよい。
【0009】
ここで、管理システム2又は商品データ処理装置1は、本発明に係る商品データ処理システム又は商品データ処理装置を構成する。ここで、管理システム2は、本発明に係る商品データ処理装置の機能実行に必要な機能部をコールセンター端末CTや商品データ処理装置1に分散保持させたシステムとして実現されたものであり、商品データ処理装置1は、本発明に係る商品データ処理装置の機能実行に必要な機能部が集約された装置として実現したものであるともいえる。
【0010】
商品データ処理装置1は例えば、商品の計量機能を備えるほか、買上対象商品の登録や精算、ラベルの発行、商品の包装など、スーパーマーケット等で商品の販売に付随して実行される機能を適宜に有する。
なお、図示にかかわらず、店舗内システム10では適宜に複数の商品データ処理装置1が備えられる。また、商品データ処理装置1は一種類とは限らず、店舗内システム10では、店舗内の複数部門で使用される各種のタイプの商品データ処理装置1が接続されている。
また、本発明に係る商品データ処理装置を構成する商品データ処理装置1は例えば、POS端末、計量値付け装置(計量ラベルプリンタ)、計量包装値付け機、計量機能を有さないラベルプリンタや可搬型のモバイルプリンタなどによって実現される。
【0011】
ストアコントローラSCは、顧客管理や発注管理等の基幹業務を担う上位の装置であり、店舗内の商品の品目や価格、在庫状況、販売履歴、入出金記録などの各種の情報を記録する。
なお、本実施形態のように店舗内システム10にストアコントローラSCが備えられる場合には、ストアコントローラSCで後述する会員マスタ101や商品マスタ102などを管理しておき、商品データ処理装置1は、ストアコントローラSCの会員マスタ101や商品マスタ102を参照して商品の登録処理を実行できる。
一方、ストアコントローラSCがない場合には例えば、商品データ処理装置1を複数設け、一の商品データ処理装置1にストアコントローラSCの機能を備えさせると共に、ストアコントローラSCの機能を兼任する商品データ処理装置1にマスタ管理を実行させ、他の商品データ処理装置1とデータ連携させることもできる。また他の例では、各商品データ処理装置1が個々にマスタ管理を行うように運用することもできる。
【0012】
コールセンター端末CTは、コールセンターに設置された端末であって、店舗内システム10あるいは商品データ処理装置1から操作ログを取得して商品データ処理装置1の状況を監視している。このコールセンター端末CTは、商品データ処理装置1に対し、障害発生要因の事前検知、点検や部品交換等の案内、プログラムのアップデート、遠隔操作による操作説明や保守などの機能を有している。
【0013】
本実施形態において、コールセンター端末CTは少なくとも、商品データ処理装置1のリモートメンテナンス用管理テーブル、操作ログ記憶部、位置情報記憶部を備える。
【0014】
リモートメンテナンス用管理テーブルは、商品データ処理装置1を管理するための基本情報を記憶したテーブルである。このリモートメンテナンス用管理テーブルでは例えば、図2に示されるように、企業CD(コード)、店舗CD(コード)、部門CD(コード)、S/N(シリアルナンバー)、商品データ処理装置1のMAC(MACアドレス)、ルータ(ネットワーク装置)のMAC(MACアドレス)、号機、IPアドレス、機種、APR(アプリケーションソフトウェア)に係る情報が管理されている。このリモートメンテナンス用管理テーブルを参照することにより、商品データ処理装置1の状況を確認し、状況に応じた処置を実行できる。
【0015】
また、このリモートメンテナンス用管理テーブルを参照することにより、所定の商品データ処理装置1が所定の位置にあるかどうか、換言すれば所定の位置から移動したか否かを検出することができる。即ち、リモートメンテナンス用管理テーブルを参照して、商品データ処理装置1を識別可能な装置識別情報(例えばMACアドレスやシリアルナンバー)と対応付けられたネットワーク識別情報(例えばルータのMACアドレス)に基づき、商品データ処理装置1が接続するルータのMACアドレスがリモートメンテナンス用管理テーブルと一致するか否かを判定すれば、当該商品データ処理装置1が移動したか否かを把握できる。この場合、店舗や部門ごとに異なるルータを用い、ルータのMACアドレスと店舗や部門を対応付けておけば、店舗や部門単位で商品データ処理装置1の所在や移動先の位置を特定することもできる。なお、ここで商品データ処理装置1が移動していることが把握された場合には、コールセンター端末CT上で管理者にこれを報知したり、コールセンター端末CTから商品データ処理装置1やストアコントローラSCに対して報知を行うようにしてもよい。
【0016】
操作ログ記憶部には、商品データ処理装置1の操作ログが登録される。操作ログは、随時あるいは一定のタイミングで商品データ処理装置1や店舗内システム10から吸い上げられて登録される。操作ログには、商品データ処理装置1が実行した処理の内容と処理日時のほか、後述する位置情報検出部106によって検出された商品データ処理装置1の位置情報(第一の位置情報)などが含まれる。
【0017】
位置情報記憶部には、商品データ処理装置1の位置に係る情報が登録されている。この情報には、商品データ処理装置1の使用場所を示す情報(後述する第二の位置情報)のほか、商品データ処理装置1に移転予定がある場合には移転先の場所に係る移転登録情報が含まれる。
移転登録情報は、商品データ処理装置1の使用者が移転に際して事前に登録しておくものであり、移転後の商品データ処理装置1の位置や移転の日時などの情報が含まれる。なお、後述のとおり、位置情報検出部106によって検出された位置を示す第一の位置情報が商品データ処理装置1からコールセンター端末CTに提供された場合に、当該第一の位置情報が示す位置が移転後の位置に係る情報と一致する場合には、当該コールセンター端末CTに登録されている移転後の位置を商品データ処理装置1の新しい設置位置として確定するようにしてもよい。
【0018】
このようなコールセンター端末CTは、各業務に応じて複数のサーバ装置で構成されていてもよいし、クラウドサーバとして構成されているものであってもよい。また、ここでいうコールセンター端末CTはその名称を問わず、監視装置あるいはオペレータ端末等、他のいかなるサーバによっても構成し得る。
【0019】
●商品データ処理装置1のハードウェア構成
図1は、計量機能付きPOS端末として実現された商品データ処理装置1の例を示している。商品データ処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶装置を有しており、インターフェース回路を介して、店員側表示部11、顧客側表示部12、コード読取部13、タグ読取部14、及び計量部15に接続している。
【0020】
図3は、このような機能部を備える商品データ処理装置1の外観構成の一例であり、略直方体状のコンパクトな装置として構成されている。コンパクトな装置として構成されているため、裏面の四隅に設けられた脚部により店舗内のカウンター上等に載置できるようになっている。
また、店員側表示部11と顧客側表示部12は反対向きに画面を向けており、店員が顧客と相対する位置に立って応対できるようになっている。なお、店員側表示部11と顧客側表示部12の画面はいずれも斜め上方に向けられ、店員や顧客が上方から見下ろした時に視認しやすいようになっている。もっとも、タッチパネルで構成される店員側表示部11の画面は顧客側表示部12の画面に比して、より上方に向けられており、店員がタッチ操作しやすいようになっている。
なお、図3に示す商品データ処理装置1には、バーコードや二次元コード等のシンボルコードを読み取るスキャナやカメラで実現されるコード読取部13、RFIDタグから格納されている情報を読み取るタグ読取部14などを接続できるようになっており、これらコード読取部13やタグ読取部14は店舗における運用次第で接続される。
【0021】
CPUは、中央演算処理装置であり、ROMに記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより、商品データ処理装置1の動作を制御する。
ROMは、読み出し専用メモリであり、プログラムをはじめとしてCPUが利用する各種の情報を記憶する。
RAMは、読み出しや書き込みが可能なメモリであり、種々の情報を記憶する。例えば、RAMは、外部から取得した情報(例えば、コールセンター端末CTが商品マスタ等を保持する場合には当該コールセンター端末CTから取得した商品マスタ等)や、処理において生成した情報を記憶する。この情報は例えば、商品を登録する登録処理において生成した登録情報(登録データ)や、登録した買上対象商品を精算(決済)する精算処理において生成した精算情報などである。
【0022】
店員側表示部11は、タッチパネル式ディスプレイで構成され、店員が各種の情報を入力する入力手段及び出力する出力手段を構成する。この店員側表示部11により、店員は買上対象商品の登録状況を確認したり、買上対象商品の登録操作を実行したりする。
なお、本実施形態にかかわらず、店員側表示部11は物理的なメカキーやスイッチといった入力手段を兼ね備えていてもよいし、物理的なメカキーと液晶ディスプレイといったように、入力手段と出力手段が別々に構成されていてもよい。
【0023】
顧客側表示部12は、タッチパネル式ディスプレイで構成され、客が各種の情報を入力する入力手段及び出力する出力手段を構成する。この顧客側表示部12により、顧客は登録された商品を確認したり、必要に応じて買上対象商品に対する承認操作等を実行したりする。
なお、顧客に情報の入力操作を要求しないでよい場合には、顧客側表示部12は、情報の出力のみが可能な液晶パネル等によって構成してもよい。
また、顧客側表示部12も店員側表示部11と同様、物理的なメカキーやスイッチといった入力手段を兼ね備えていてもよいし、物理的なメカキーと液晶ディスプレイといったように、入力手段と出力手段が別々に構成されていてもよい。
【0024】
コード読取部13は、バーコードや二次元コード等のシンボルコードにコード化された識別子から各種のデータを読み取るための機能部であって、ハンディスキャナやCCDカメラ等によって実現される。なお、図2の例ではコード読取部13の図示を省略しているが、所定のケーブルによって接続して設けることもできるし、筐体の所定の部分に一体的に設けることもできる。
このコード読取部13により、例えば商品に対して発行されたプライスラベル上のシンボルコードを読み取り、コード化されていた情報を取得できる。また、コード読取部13をCCDカメラによって実現する場合には、オブジェクトスキャンも可能である。
【0025】
タグ読取部14は例えば、量り売り商品に付される容器にRFIDタグが付される場合に、当該RFIDタグに格納されている情報を取得する機能部である。このようなRFIDタグには例えば、量り売り商品を入れる容器の風袋重量や、当該容器の種別に係る情報などが格納される。なお、コード読取部13と同様、図2の例ではタグ読取部14の図示を省略しているが、所定のケーブルによって接続して設けることもできるし、筐体の所定の部分に一体的に設けることもできる。
【0026】
計量部15は、店員側表示部11と顧客側表示部12の間に設けられ、商品(量り売り商品)や容器など、所定の載置面に載置された被計量物の重量を計量する。
この計量部15は、載置面に載せられた被計量物を例えばロードセルによる重量検出方式で計量する。詳細には、計量部15は重量検出部とAD変換機によって構成され、A/D変換機が重量検出部から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。これにより、容器に入れられた商品について、風袋重量の参照値を参照して計量結果から風袋引き処理を行い、店員側表示部11や顧客側表示部12に内容物たる商品の重量を表示することができる。
【0027】
●商品データ処理装置1のソフトウェア構成
商品データ処理装置1は、ソフトウェア資源として例えば、図4に示すように、会員マスタ101、商品マスタ102、登録処理部103、重量情報取得部104、会計処理部105、位置情報検出部106、位置情報取得部107、判定処理部108、確認処理部109、受付処理部110、表示制御部111、制限処理部112、通信処理部113からなる機能ブロックを備える。
【0028】
なお、各機能部によって実行されるコンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供したり、CD-ROMなどのコンピュータ読取可能な各種の記録媒体に記録して提供したりすることができる。
また、本実施例に係る商品データ処理装置を管理システム2として実現する場合には、管理システム2を構成する複数のハードウェア資源に各機能部が分散して備えられていてもよい。
【0029】
会員マスタ101は、会員顧客に関する情報を記憶した記憶部である。
この会員マスタ101に記憶されるデータ項目には例えば、顧客を識別する会員番号、顧客の氏名や連絡先といった個人情報が含まれる。
会員番号は、会員顧客を識別する顧客識別情報の一例である。この会員番号は、会員カードや、顧客が所持する携帯端末上に展開されるアプリケーションソフトウェアによって店舗側に提示される。なお、会員番号は、英数字や記号等、各種の文字あるいはその組み合わせによって構成することができ、顧客を一意に特定できるように構成されていればよい。
【0030】
商品マスタ102は、商品に関する情報を記憶している。
この商品マスタ102に記憶されるデータ項目には例えば、JANコード等で構成される商品識別情報、商品名、計量区分、単価、単位重量が含まれる。
なお、計量区分は、計量に関する区分であり、単位重量当りの単価と計量値に基づいて販売価格が決定される不定貫、単位数量当りの単価と単位重量から換算される販売数量に基づいて販売価格が決定される定貫、単位数量当りの単価と販売数量に基づいて販売価格が決定される定額といった区分がある。
また、商品マスタ102にはこのほか、特定の量り売り商品に対する値引き条件などが登録されてもよい。
【0031】
登録処理部103は、顧客に販売する商品の登録処理を実行する。
登録処理部103は、一会計の中で精算すべき全ての商品を買上対象商品として登録し、登録データは精算処理の際の参照データとなる。
なお、登録処理部103は、登録した買上対象商品のキャンセル操作を受け付けることもでき、この場合には該当する商品等を登録データから削除する。
【0032】
重量情報取得部104は、買上対象の量り売り商品の重量情報として商品重量を取得する。
重量情報の取得は、量り売り商品の販売態様によって、例えば計量部15による計量値を取得する場合と、置数入力により取得する場合がある。
なお、量り売り商品を計量して重量情報を取得する場合、計量値は、商品データ処理装置1自らが備える計量部15によらず、商品データ処理装置1にネットワーク等を介して外部接続された計量部(計量装置)から取得することもできる。また、置数入力により重量情報を取得する場合、データの入力手段を構成する店員側表示部11や顧客側表示部12、あるいは別途設けたメカキー等により、置数として量り売り商品の商品重量の入力を受け付け、これにより商品重量を取得する。
【0033】
会計処理部105は、買上対象商品の会計処理を実行する。
具体的に会計処理部105は、登録処理部103によって登録された買上対象商品について合計額を算出した上、消費税等の税金を加算して会計額を算出する。この際、買上対象商品が量り売り商品である場合には、計量値として取得された商品重量に基づいて当該量り売り商品の販売価格を算出する。
なお、商品データ処理装置1において会計額が確定すると、会計情報に基づいて精算処理が行われる。精算処理は、商品データ処理装置1自身が精算のための機構や機能部を有している場合(物理的に一体であるか別体であるかは問わない)には当該商品データ処理装置1が実行してもよいし、商品データ処理装置1から会計情報を取得した他の装置であって、精算のための機構や機能部を有する装置が実行してもよい。精算のための機構や機能部は、現金支払いや所定の決済媒体又はコードを利用した決済、レシートを発行する印刷部などによって構成される。
【0034】
位置情報検出部106は、自端末(自装置)の位置を検出する。位置の検出は例えば、商品データ処理装置1に備えさせたGPS(Global Positioning System)によって行ったり、自端末(自装置)が通信(接続)する無線アクセスポイントやネットワーク経路上のルータのMACアドレスと位置情報(設置場所)を管理したテーブルに基づいた解析等によって行ったりすることができる。なお、屋外と移動と屋内の移動(店内、倉庫内、敷地内など)を分けて捉えるようにしてもよく、屋内における位置の測位ではビーコンと連携させるとよい。商品データ処理装置1がこの位置情報検出部106によって検出された位置に係る情報は、後述する第二の位置情報と対比される第一の位置情報を構成する。
【0035】
なお、位置情報検出部106によって検出される第一の位置情報は、地球上での位置を経度・緯度で表わすための基準となる座標系における特定の座標のほか、通信ネットワークにおいて商品データ処理装置1が接続するルータのMACアドレス、具体的な所在地名(住所)や店舗名など、商品データ処理装置1が設置されている位置が変わることによって変わり得る情報を含み、位置情報取得部107によって取得される位置情報との一致、不一致を判定可能なものであればよい。また、位置情報検出部106によって検出される第一の位置情報は、商品データ処理装置1の処理のみによって検出されるものでなくてもよい。例えば商品データ処理装置1が備えるGPSの座標情報や当該商品データ処理装置1が接続するルータのMACアドレスに基づき、ストアコントローラSCなどの上位装置が別途保持する管理テーブル(現在位置に関わる特定の情報と第一の位置情報を構成する情報を対応付けたテーブルであり、上述したリモートメンテナンス用管理テーブルと同様のものであってもよい)を参照して当該座標情報やMACアドレスに応じた所在地や店舗名等に係る情報を第一の位置情報として抽出するようになっていてもよい。
【0036】
なお、位置情報検出部106による位置情報の検出は、後述する判定処理部108が実行する判定処理に必要な処理であり、当該判定処理が実行されるタイミングで実行される。位置情報検出部106による位置情報の検出とこれに続く判定処理部108による判定処理は、一の例において、商品データ処理装置1の起動時に実行される。また、他の例では、一定の周期や、マスタデータの受信や実績データの送信といった所定の処理又はその操作に合わせたタイミングで実行されるものであってもよいし、これらのタイミングを複数、組み合わせて実行されるものであってもよい。また、これらの処理はフォアグラウンド又はバックグラウンドいずれの処理として実行されてもよく、バックグラウンド処理で実行される場合には、位置情報の不一致が判定されたときにその旨が使用者に報知される。
【0037】
位置情報取得部107は、後述する判定処理部108による処理の実行に合わせて、自端末(自装置)の起動時等、所定の処理の実行時に現在位置として登録されている位置に係る第二の位置情報を取得する。第二の位置情報は、商品データ処理装置1の使用場所(設置場所)として登録されている位置に係る情報であり、商品データ処理装置1は当該第二の位置情報が示す場所で使用されることが前提となっている。
【0038】
この第二の位置情報は、第一の位置情報との対比に用いられる情報であって、当該第一の位置情報に対応した種類の情報で構成される。即ち、第一の位置情報が座標情報で構成される場合には第二の位置情報も座標情報として構成され、第一の位置情報がルータのMACアドレスで構成される場合には第二の位置情報もルータのMACアドレスで構成される。
また、第二の位置情報が示す位置は、例えば、キャリブレーション(計量器の校正)を実施した取引証明用はかりの使用地域区分の該当する地域、商品データ処理装置1のログから取得される直近の使用場所、商品データ処理装置1が設置されている店舗等の所在地等として任意に設定された場所である。
【0039】
一の例において、第二の位置情報は、コールセンター端末CTに登録されている。この場合、位置情報取得部107は、通信処理部113によってコールセンター端末CTに問い合わせて第二の位置情報を取得する。また、他の例において、第二の位置情報は、商品データ処理装置1が備える所定の記憶部に登録されている。この場合、位置情報取得部107は、当該所定の記憶部を参照して第二の位置情報を取得する。
【0040】
判定処理部108は、第一の位置情報と第二の位置情報を対比し、一致を判定する。第一の位置情報と第二の位置情報は、座標や住所などによって構成され、これが一致するかどうかによって判定できる。なお、一致の判定においては、所定の閾値を設定し、第一の位置情報と第二の位置情報の差分が当該所定の閾値以下であれば一致するものと判定し、当該所定の閾値よりも大きければ不一致であると判定してもよい。この場合、一定の範囲内であれば第一の位置情報と第二の位置情報は一致するものと判定される。
【0041】
また、判定処理部108は、後述する確認処理部109によって移転登録情報を取得した場合には、第一の位置情報が示す位置と移転登録情報が示す位置とを対比し、一致を判定する。なお、移転登録情報に移転の時期に係る情報が含まれる場合には、第一の位置情報の検出日時が移転後の日時であるかを合わせて判定し、第一の位置情報の検出日時が移転後の日時であるときのみ、移転登録情報が有効なものとして第一の位置情報が示す位置と移転登録情報が示す位置との対比を行うようにしてもよい。
【0042】
なお、本実施形態にかかわらず、コールセンター端末CTが判定処理部108を有するものとしてもよい。この場合、コールセンター端末CTは、商品データ処理装置1から第一の位置情報と共に判定処理要求を受信すると、上述のように第一の位置情報と第二の位置情報の一致を判定し、判定結果を商品データ処理装置1に返す。なお、この場合において、商品データ処理装置1が第二の位置情報も保持しているときは、コールセンター端末CTは、商品データ処理装置1から第一の位置情報と第二の位置情報を判定処理要求と共に受信する。このほか、後述のとおり位置情報検出部106や位置情報取得部107などの機能部についてもコールセンター端末CTが有するように構成することもできる。
【0043】
また、第一の位置情報と第二の位置情報の一致又は不一致の判定において、商品データ処理装置1の移動が屋内移動であるか屋外移動であるかを区別し、それぞれで続く処理(後述する表示制御部111による処理や制限処理部112による処理)を異ならせるようにしてもよい。例えば、第一の位置情報と第二の位置情報が一致しない場合でも、それが屋内移動であれば第一の位置情報と第二の位置情報とが一致したものとして扱い、以後の処理を行うようにしてもよい。また、屋内移動であっても、その位置の変化に応じて、これまでに設置されていた部門とは異なる部門に移動したことを判定し、これにより移動先の部門での運用に適するように設定されるようになっていてもよい。
【0044】
なお、商品データ処理装置1の移動が屋内移動かどうかは例えば、上述した位置情報検出部106がビーコンを用いて測位を行うことにより特定できる。さらに、屋内移動において、ビーコンを用いた測定において、部門ごとの位置を識別可能とした店舗内のフロアマップを保持、参照することで、商品データ処理装置1の移動先の部門がどこであるかを把握できる。
【0045】
また、第一の位置情報と第二の位置情報の一致又は不一致の判定において、商品データ処理装置1の移動が予め登録されている企業内の店舗間移動などであれば、管理者用のコードやパスワードによる認証を経て使用できるようにしてもよい。商品データ処理装置1の移動が予め登録されている企業内の店舗かどうかは、当該企業内の店舗の所在地情報をテーブルに保持しておき、これを参照して第一位置情報がいずれかと一致するか否かを判定することによって判定できる。
【0046】
確認処理部109は、第一の位置情報と第二の位置情報とが不一致である場合において、第二の位置情報の変更を示す移転登録情報の有無を確認する。移転登録情報は例えば、店舗の移転などに伴って商品データ処理装置1の使用場所(設置場所)が変わる場合に予め登録される情報である。この移転登録情報には例えば、商品データ処理装置1の識別情報と、商品データ処理装置1の移転後の使用場所に係る情報が含まれる。
なお、移転登録情報には、移転後の使用場所における使用開始時期に係る情報が含まれていてもよく、これにより、移転登録情報を参照することで商品データ処理装置1がいつからどこで使用されるのかを把握できる。
【0047】
移転登録情報は例えば、コールセンター端末CTに登録されており、商品データ処理装置1の確認処理部109は、通信処理部113によりコールセンター端末CTに移転登録情報の有無を問い合わせ、移転登録情報があった場合には当該移転登録情報の提供を受ける。
なお、本実施形態に関わらず、移転登録情報を商品データ処理装置1に登録することもできる。
また、商品データ処理装置1に第二の位置情報を登録することもできる。この場合において、コールセンター端末CTに移転登録情報が登録されていたときは、当該コールセンター端末CTから移転登録情報を取得すると、当該第二の位置情報を当該移転登録情報が示す移転後の位置に更新するようにしてもよい。
【0048】
受付処理部110は、店員側表示部11上に表示された所定の入力画面を介して各種の情報の入力を受け付ける。
この受付処理部110は例えば、商品種別の選択入力や会計操作等、商品登録や精算のための操作を受け付ける。また、受付処理部110は、第一の位置情報と第二の位置情報が不一致である場合に、商品データ処理装置1の使用許可情報の入力を受け付ける。
【0049】
使用許可情報は、商品データ処理装置1の使用権限を証するための認証情報であり、判定処理部108による判定処理の結果、第一の位置情報と第二の位置情報が不一致である場合に要求される。商品データ処理装置1の起動時において第一の位置情報と第二の位置情報が一致しない場合には商品データ処理装置1の起動が制限されるが、この使用許可情報が受け付けられたときは制限が解除され、商品データ処理装置1を使用可能なものとして起動させることができる。使用許可情報は、予め商品データ処理装置1のユーザに対して発行されているものであってもよいし、商品データ処理装置1の起動が制限された際に、ユーザがコールセンター端末CTに問い合わせて発行、取得を受けるものであってもよい。
【0050】
なお、使用許可情報の入力要求と使用許可情報を受け付けた場合の処理は各種の態様を取ることができる。
例えば、第一の位置情報と第二の位置情報が一致しなかった場合には、移転登録情報の有無にかかわらず使用許可情報の入力を求めてもよいし、移転登録情報がなかった、あるいは第一の位置情報が示す位置と移転登録後の位置が一致しなかった場合にのみ使用許可情報の入力を求めてもよい。
また、使用許可情報が受け付けられた場合、商品データ処理装置1は、表示制御部111によって通常の起動画面を端末上に表示させ、全ての機能が使用可能となるように起動させることもできるし、後述する制限処理部112の制御により一部の機能についてのみ使用可能となるように起動させることもできる。
また、第一の位置情報と第二の位置情報が一致しなかった場合でも、所定の機能の実行要求については、使用許可情報の受け付けを要しないものとしてもよい。
また、商品データ処理装置1の起動時において第一の位置情報と第二の位置情報が一致しない場合に、コールセンター端末CTからの操作によって起動の制限を解除することもできるが、このようにコールセンター端末CTからの操作によって起動の制限が解除される場合でも商品データ処理装置1側に使用許可情報の入力を要求するようにしてもよい。
【0051】
表示制御部111は、店員側表示部11や顧客側表示部12に各種の情報を表示させる。例えば、商品の登録や精算のための情報の表示、商品データ処理装置1の機能制限や使用許可情報の入力要求に関する情報の表示、起動画面の表示などを行う。
【0052】
商品の登録や精算のための情報の表示では、商品の登録データ等の各種の情報を表示させたり、商品の入力を受け付けるための受付画面を表示させたりする。例えば、店員の操作により、商品種別の入力が要求されたとき、商品種別の入力を受け付ける受付画面を店員側表示部11上に表示する。また、全ての買上対象商品の登録状況を顧客側表示部12上に表示する。
【0053】
商品データ処理装置1の機能制限に関する情報の表示について、一の例では、第一の位置情報と第二の位置情報とを対比し、一致する場合には通常の起動画面を表示させ、不一致の場合には位置情報が不一致であることを表示させる。このとき、第一の位置情報と第二の位置情報とが不一致である場合でも、使用許可情報の入力画面を表示させ、受付処理部110により正しい使用許可情報が受け付けられると通常の起動画面や、一部の機能を制限した状態の起動画面を表示させてもよい。
また、他の例では、第一の位置情報と第二の位置情報とを対比し、不一致の場合にはまず、確認処理部109によって移転登録情報の有無が確認され、その結果、移転登録情報がなかった場合には位置情報が不一致であることを表示させる。一方、移転登録情報があった場合には、移転登録後の位置に係る情報が第一の位置情報と同じである場合に通常の起動画面を表示させる。この場合でも、第一の位置情報と第二の位置情報が不一致の場合には、移転登録情報の有無にかかわらず使用許可情報の入力画面を表示させ、受付処理部110により正しい使用許可情報が受け付けられると通常の起動画面や、一部の機能を制限した状態の起動画面を表示させてもよい。
【0054】
なお、表示制御部111は、店員側表示部11や顧客側表示部12に機能制限に関する情報を表示するが、これに限らず、音声によるアナウンス、別途設けたランプの点灯などで情報を通知するようにしてもよい。
【0055】
制限処理部112は、所定の条件に応じて、商品データ処理装置1が実行し得る機能の内の一部又は全ての機能の実行を制限する。
例えば、制限処理部112は、第一の位置情報と第二の位置情報が一致しなかった場合に、商品データ処理装置1の計量に関する機能自体(計量部15の機能実行)や、計量部15で計量した質量により算出される売価を用いた処理を制限したり、全ての機能実行を制限して商品データ処理装置1の起動を禁止したりする。また、商品の登録や会計に関わる処理以外に、商品データ処理装置1の所在地情報を使用する商品の発注操作なども制限できる。また、所定の処理に関する実績データの出力も制限できる。このほか、どのような状況において機能を制限するかは、各種の設定が可能であり、第一の位置情報と第二の位置情報が一致しなかった場合のほか、使用許可情報の入力が受け付けられなかった場合に機能を制限してもよい。
【0056】
また、第一の位置情報と第二の位置情報が一致しなかった場合において、正しい使用許可情報の入力が受け付けられた場合には、商品データ処理装置1の計量に関する機能のみを制限してもよい。また、設定を確認するためのセットアップ画面やメンテナンス画面の表示、さらには確認を要する項目の案内を行った後、新たな設定情報がコールセンター端末CTに送信され、これに応じてコールセンター端末CTから使用許諾が送信された場合には、一部の機能を制限して、あるいは制限なく商品データ処理装置1を使用できるようになっていてもよい。一方、当該正しい使用許可情報の入力が受け付けられなかった場合には、商品データ処理装置1の機能の全てを制限するなど、売上計上や実績計上に関わる処理のほか、位置情報が異なることで不具合が発生する機能や操作などを制限する一方、商品登録や商品情報の編集、商品情報の確認などは制限なく実行できるように許可することもできる。
【0057】
なお、使用が予定されている位置と実際の位置が異なる場合、店舗が異なる場合や部門が異なる場合、あるいはどこの店舗にも属さないような場合に分けて、所定の機能を制限するなどの処理を行ってもよい。例えば、店舗や部門が異なる場合には、当該異なる店舗や部門に応じたマスタデータをコールセンター端末CTや所定のクラウドサーバ等から受信して一部又は全ての機能を実行可能とするなど、コールセンター端末CTや所定のクラウドサーバ等に対する実績データの送信を禁止するなどしてもよい。また、商品データ処理装置1がどこの店舗にも属さないような位置にある場合には、全ての機能を制限してもよい。
【0058】
また、制限処理部112によって機能を制限された商品データ処理装置1に実行可能な機能は、具体的な商品データ処理装置1の種類又は仕様によって異なる。例えば、商品データ処理装置1が計量包装値付け装置によって実現される場合には、自動値付けモードや包装値付けモードにおいて、定額商品のみが処理対象となる。また、商品データ処理装置1が計量値付け装置によって実現される場合には、定額商品のラベルしか発行できない。
これらの機能の制限では、使用者が制限されている機能を実行しようとしたタイミングでアラートを出すようにしてもよい。
【0059】
通信処理部113は、所定の通信プロトコルに基づいたデータ通信を可能とするブラウザプログラム等であり、インターネット等の公衆回線や専用回線等の所定の通信網を介してコールセンター端末CTとデータの送受信を実行する。
【実施例0060】
●商品データ処理装置1による処理フローの例1
続いて、本実施形態に係る商品データ処理装置を構成する商品データ処理装置1の起動時の処理の流れの一例について図5を参照して説明する。
オフ状態にある商品データ処理装置1は、店員等の商品データ処理装置1のユーザから起動要求を受け付ける(S101)。これに応じて、位置情報検出部106は第一の位置情報を構成する自装置の位置を検出し(S102)、位置情報取得部107はコールセンター端末CTから第二の位置情報を取得する(S103)。
【0061】
判定処理部108は、第一の位置情報と第二の位置情報を対比し、一致するか否かを判定する(S104)。
その結果、第一の位置情報と第二の位置情報が一致した場合には、機能制限をすることなく表示制御部111が通常の起動画面を表示させ、商品データ処理装置1を起動させる(S107)。
【0062】
一方、第一の位置情報と第二の位置情報が不一致である場合には、位置情報が一致しなかったの旨を画面上に表示するなどして状況を報知して使用を制限する(S105)。そして、使用許可情報の入力画面を表示し、使用許可情報の入力を受付可能に待機する(S106)。
受付処理部110によって正しい使用許可情報の入力が受け付けられた場合には、通常の起動画面を表示させて商品データ処理装置1を起動させ、処理や機能の実行を可能とする(S107)。一方、正しい使用許可情報の入力がなかった場合には、制限処理部112により所定の機能、例えば計量に関する機能を制限した状態で商品データ処理装置1が起動させられる(S108)。
【0063】
なお、以上の処理において、S106の処理で正しい使用許可情報の入力があったときには、制限処理部112により所定の機能を制限して商品データ処理装置1を起動させて処理や機能の実行を可能とし、正しい使用許可情報の入力がなかった場合には、全ての機能を制限し、商品データ処理装置1が起動することなく終了してもよい。
【0064】
●商品データ処理装置1による処理フローの例2
図6は、本実施形態に係る商品データ処理装置を構成する商品データ処理装置1の起動時の処理の流れの他の一例を示している。
なお、この例において、起動要求の受付(S101)から判定処理部108による判定処理(S104)。までの処理は図5を参照して説明した上述の例と同様であり、第一の位置情報と第二の位置情報が一致した場合には、表示制御部111が機能制限をすることなく通常の起動画面を表示させ、商品データ処理装置1を起動させる(S107)。
【0065】
第一の位置情報と第二の位置情報が不一致である場合には、確認処理部109が移転登録情報の有無を確認する(S201)。その結果、移転登録情報があった場合には(S202)、判定処理部108は移転登録情報として登録されている移転後の位置と第一の位置情報に係る位置の一致を判定する(S203)。その結果、移転登録情報として登録されている移転後の位置と第一の位置情報に係る位置が一致した場合には、第一の位置情報と第二の位置情報が一致した場合と同様、機能制限をすることなく表示制御部111が通常の起動画面を表示させて商品データ処理装置1を起動させ、処理の処理や機能の実行を可能とする(S107)。
【0066】
他方、S202の処理において移転登録情報がなかった場合、また、S203の処理において移転後の位置と第一の位置情報に係る位置が一致しなかった場合には、位置情報が一致しなかった旨を画面上に表示するなどして状況を報知して使用を制限する(S204)。そして、使用許可情報の入力画面を表示し、使用許可情報の入力を受付可能に待機する(S205)。
受付処理部110によって正しい使用許可情報の入力が受け付けられた場合には、制限処理部112により所定の機能、例えば計量に関する機能を制限した状態で商品データ処理装置1が起動させられる(S108)。
【0067】
なお、以上の処理において、S204及びS205の処理で状況の報知と使用許可情報を受け付ける処理を実行するのに代えて、第一の位置情報と第二の位置情報が一致しなかった段階で使用許可情報の入力を要求し、正しい使用許可情報の入力があったときに移転登録情報の有無を確認するステップに進むようにしてもよい。
【0068】
●商品データ処理装置1による処理フローの例3
図7は、本実施形態に係る商品データ処理装置を構成する商品データ処理装置1の起動時の処理の流れの他の一例を示している。
なお、この例においても、起動要求の受付(S101)から判定処理部108による判定処理(S104)。までの処理は図5を参照して説明した上述の例と同様であり、第一の位置情報と第二の位置情報が一致した場合には、表示制御部111が機能制限をすることなく通常の起動画面を表示させて商品データ処理装置1を起動させ、処理や機能の実行を可能とする(S107)。
【0069】
第一の位置情報と第二の位置情報が不一致である場合には、確認処理部109が移転登録情報の有無を確認する(S301)。その結果、移転登録情報があった場合には(S302)、判定処理部108は移転登録情報として登録されている移転後の位置と第一の位置情報に係る位置の一致を判定する(S302)。移転登録情報として登録されている移転後の位置と第一の位置情報に係る位置が一致した場合でも、さらに使用許可情報の入力を受け付け、正しい使用許可情報を受け付けたときにのみ、制限処理部112により所定の機能、例えば計量に関する機能を制限した状態で起動させる(S108)。
【0070】
他方、S302の処理において移転登録情報がなかった場合、S303の処理において移転後の位置と第一の位置情報に係る位置が一致しなかった場合、及びS304の処理において正しい使用許可情報の入力が受け付けられなかった場合には、表示制御部111によってその旨のメッセージが表示されるなどした上、制限処理部112により全ての機能が制限されて商品データ処理装置1が起動することなく終了する。
【0071】
なお、図7に示した処理フローの変形例として、図8に示すように、S304において使用許可情報の入力があったときは通常通りに起動画面を表示して商品データ処理装置1を起動する一方、使用許可情報の入力をスキップ可能とし、スキップした場合には制限処理部112により所定の機能を制限して商品データ処理装置1を起動させるようにしてもよい。
【0072】
なお、以上の本実施例1では、位置情報の不一致があった場合に、商品データ処理装置1の起動を制限し、移転登録情報の確認や使用許可情報の入力を要するものとしたが、商品データ処理装置1を一旦通常通り起動させた上、所定の処理又は機能を制限し、移転登録情報の確認や使用許可情報の入力を経て所定の処理又は機能を実行できるようにしてもよい。また、一連の処理を実行するタイミングについて、上記のとおり例示した処理フローでは、商品データ処理装置1の起動時としたが、これに限らず、一定の周期や、マスタデータの受信や実績データの送信といった所定の処理又はその操作に合わせたタイミングで行ってもよい。そして、そのようなタイミングで処理を行った結果、位置情報の不一致があった場合は、移行の処理を制限するなどすればよい。
【0073】
●画面例
図9は、第一の位置情報と第二の位置情報が一致しなかった場合に、使用許可情報の入力を要求する画面の一例を示している。
画面上のメッセージは、位置情報検出部106によって検出された商品データ処理装置1の位置がコールセンター端末CTに登録されている使用場所と異なること、移転登録が済んでいるか否かの確認、及び使用許可情報たる「認証コード」の入力要求を案内している。
また、メッセージの下方には、使用許可情報の入力欄、機能を制限して使用することを要求するボタンが設けられている。例えば、使用許可情報が入力されてボタンが押下されると、使用許可情報が認証され、認証に成功すると制限処理部112によって一部の機能が制限された状態で商品データ処理装置1の使用が可能となる。なお、使用許可の方式については、所定のトークン(ハードウェアトークン又はソフトウェアトークンのいずれでもよい)でワンタイムパスワードを発行し、当該ワンタイムパスワードの入力を受け付けることによって認証するなど、他の方式によることもできる。
【0074】
以上の本実施形態に係る管理システム2及び商品データ処理装置1によれば、商品データ処理装置1の使用場所が変わった場合でも、適切な使用を担保できる。具体的に、商品データ処理装置1の使用地域が変わって正確な計量が行えなくなる場合には、少なくとも計量に関わる機能を制限することで間違った計量とこれに基づく商品の販売等を防ぐことができる。また、商品データ処理装置1を系列店間で移動させると、号機番号やIPアドレスが重複してエラーを生じる可能性があることから、使用許可情報の入力を要求するなど、商品データ処理装置1の起動を制限することで正常に動作している他の商品データ処理装置1への悪影響を防ぐことができる。また、商品データ処理装置1の盗難や転売が行われても、使用場所が変わったことを認識して使用許可情報の入力を求めることができ、使用の正当性を確認することができる。
【0075】
なお、以上の本実施形態において、コールセンター端末CTが所定の操作や適宜のタイミングで位置情報検出部106により検出された第一の位置情報を受信し、第一の位置情報に応じた処理を行ってもよい。
具体的には、第一の位置情報と第二の位置情報との対比の結果、商品データ処理装置1が所定の場所へ移動したことを認識した際には、当該所定の場所での運用に必要となるファームウェアやデータなどをコールセンター端末CTから提供するようにしてもよい。この場合、ファームウェアのアップデートの内容が標準仕様に関わるものであれば、位置情報に関係なく自動アップデートするようにし、有償プログラム又は特定顧客向けのプログラムである場合には自動アップデートを禁止してもよい。
また、商品データ処理装置1の消耗品の自動発注において、第一の位置情報が第二の位置情報と異なる場合には、コールセンター端末CT上でアラートを出すようにしてもよい。
【0076】
また、位置情報検出部106によって検出された位置を示す第二の位置情報が商品データ処理装置1からコールセンター端末CTに提供された場合において、当該第二の位置情報が示す位置が移転登録情報としてコールセンター端末CTに登録されている移転後の位置に係る情報と一致する場合には、当該コールセンター端末CTに登録されている移転後の位置を商品データ処理装置1の新しい設置位置として確定するようにしてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、第二の位置情報を取引証明用はかりの使用地域区分における所定の地域とし、第一の位置情報に基づく位置が第二の位置情報と異なる場合に、制限処理部112により、取引証明用はかりとしての計量部15で計量した質量により算出される売価を用いる処理の実行を制限することを含むが、第一の位置情報と第二の位置情報の一致の判定とは別に、第一の位置情報と取引証明用はかりの使用地域区分が一致するか否かを判定してもよい。例えば、商品データ処理装置1の取引証明用はかりの使用地域区分を予め登録しておき、第一の位置情報と第二の位置情報が異なる場合でも、予め登録してある取引証明用はかりの使用地域区分内での相違であれば、商品データ処理装置1を通常どおりに起動させる一方、取引証明用はかりの使用地域区分とも相違するようであれば、計量部15により計量した質量により算出される売価を用いる処理を制限したり、使用や起動自体を制限したりしてもよい。
また、商品データ処理装置1が複数種類の装置で構成される場合、装置の種類に応じて扱いを異ならせてもい。
【0078】
また、上記実施例1に関わらず、商品データ処理装置1が備えた機能の一部は、商品データ処理装置1以外の店舗内システム10又は管理システム2を構成する資源が保持してもよい。図10は、その一例を示しており、商品データ処理装置1が会員マスタ101、商品マスタ102、登録処理部103、重量情報取得部104、会計処理部105、受付処理部110、表示制御部111、制限処理部112、通信処理部113からなる機能ブロックを備え、商品データ処理装置1の上位にあたるストアコントローラSCが位置情報検出部106、位置情報取得部107、判定処理部108、確認処理部109、通信処理部114からなる機能ブロックを備える。なお、通信処理部114はストアコントローラSCが他の端末等とネットワークを介して通信を実行するための機能部である。
【0079】
この場合、第一の位置情報の検出から位置情報の一致を判定する判定処理に至るまでの処理がストアコントローラSC上で実行され、商品データ処理装置1は、ストアコントローラSCによって実行された処理の結果に応じて所定の処理を実行あるいは制限したり、所定の情報を表示したりする。
また、ストアコントローラSCは商品データ処理装置1を監視し、所定のタイミング、例えば商品データ処理装置1の起動時や一定の時間的なタイミング、あるいは商品データ処理装置1が所定の処理を実行するタイミングで位置情報の判定処理を実行することもできる。判定処理の結果は商品データ処理装置1に送信あるいは出力され、これにより商品データ処理装置1は判定処理の結果に応じて所定の処理を実行したり、一部の機能を制限したりする。なお、判定処理の結果を直接、商品データ処理装置1に送信あるいは出力することなく、商品データ処理装置1を管理する別途の装置に送信あるいは出力し、当該装置から商品データ処理装置1に判定処理の結果あるいは当該判定処理の結果に応じた命令を送信あるいは出力するようになっていてもよい。また、判定処理の結果がストアコントローラSCに設けられた画面上に出力(表示)され、管理者がこれに基づいて商品データ処理装置1を管理することもできる。
【0080】
なお、上記のとおり図10は一例であって、図10においてストアコントローラSCが保持するものとした位置情報検出部106、位置情報取得部107、判定処理部108、確認処理部109といった構成の一部又は全てをコールセンター端末CTや別途設けたサーバなどが保持してもよい。
【実施例0081】
実施例2に係る管理システム2では、上述した第一の位置情報と第二の位置情報が一致しなかった場合において、第一の位置情報が示す位置、即ち実際の商品データ処理装置1の位置で当該商品データ処理装置1を一定条件で使用可能としつつ、適切なマスタ管理を実現する。
【0082】
図10は、本実施例をクラウド型サービスとして実現した場合のシステム構成の一例を概念的に示している。
この例では、A社は、A-1店舗とA-2店舗という、所在地の異なる二つの店舗を有しており、クラウドには各店舗の情報を一元的に管理するA社用のマスタ(A社マスタ3)が設けられている。
なお、この例にかかわらず、A社以外の複数の企業のマスタがクラウド上で管理されていてもよい。
【0083】
A-1店舗には、精肉部門や鮮魚部門といった部門ごとに商品データ処理装置1が設置され、A-2店舗にも同様に商品データ処理装置1が設置されている。
なお、各商品データ処理装置1は、計量値付け装置やラベルプリンタなど、各部門で必要とされる機能あるいは仕様に即した装置であり、必ずしも同じ機能を有したもの又は同じ装置とは限らない。
【0084】
クラウド上のマスタには例えば、商品の売価等に関する商品マスタ、商品の原材料や添加物等に関する添加物マスタ、売上や商品の生産数量等の実績データに関する実績マスタが含まれる。このほか、クラウド上で管理される情報として、ラベルのレイアウト等に関するフォーマット、税金スペック、作業指示情報などが含まれていてもよい。これらの情報は適宜、店舗ごとに管理されており、店舗ごとに必要な情報を選択的に抽出できる。
また、上述したリモートメンテナンス管理用テーブルもクラウド上に保持されていてもよく、これにより各商品データ処理装置1からのリクエストを識別できる。
【0085】
マスタの情報は、適宜のタイミングで商品データ処理装置1に対して送信される。この際、各商品データ処理装置1の使用状況に応じて、各商品データ処理装置1が必要とするマスタデータがマスタから抽出される。
また、各商品データ処理装置1からは、実績データなど、マスタに蓄積される情報が送信(出力)される。各商品データ処理装置1からクラウド上に送信された実績データは、商品データ処理装置1が設置されている店舗や部門の情報に基づき、当該店舗や部門ごとに集計、管理される。
【0086】
ここで、本実施例においても実施例1と同様、位置情報検出部106による位置検出、及びこれに続く判定処理部108による第一の位置情報と第二の位置情報との対比に基づく判定処理が所定のタイミングで実行される。以下、第一の位置情報と第二の位置情報が一致しなかった場合に実行される処理の例について、場合分けをして説明する。
【0087】
<第一の位置情報が示す位置がA社の店舗ではない場合>
商品データ処理装置1がA社の管轄下にないと判断された場合、例えば商品データ処理装置1に設定されている企業コードに基づき、第一の位置情報が示す位置が当該企業コードで関連付けられた店舗等の所在地とは異なる場合である。この場合には少なくとも、商品データ処理装置1は、A社のマスタデータの受信や実績データの送信(出力)など、商品データ処理装置1を用いたA社の業務上必要とされるデータの送受信や入出力が制限される。なお、この場合には、マスタに関わるデータの送受信に限らず、商品データ処理装置1の使用自体を制限してもよい。
【0088】
<第一の位置情報が示す位置がA社の異なる店舗であった場合>
商品データ処理装置1が、使用が予定されている店舗から他の店舗(例えばA社のチェーン店)へ移動しているものと判断された場合、必要に応じて移動先の店舗で使用可能な状態に設定する。この際には例えば、商品データ処理装置1の設定が異なる店舗向けになっていることを画面上に表示するなどして使用者に報知すると共に、商品データ処理装置1の使用が移動先店舗での一時的使用(所謂応援機としての使用)なのか、移動先店舗での継続的な使用であるかを確認してもよい。
【0089】
一時的な使用であった場合には例えば、一時的な使用である旨のフラグを設定し、フラグが設定されている間、商品データ処理装置1は移動先の店舗の装置として扱れる。そして、商品データ処理装置1に対し、移動先の店舗で必要となるマスタデータを送信して当該商品データ処理装置1のデータを更新させる。また、フラグが設定されている間、当該商品データ処理装置1からクラウドに送信された実績データは、移動先の店舗の実績データとしてマスタで管理される。
一方、継続的な使用である場合には例えば、リモートメンテナンス用管理テーブルにおいて商品データ処理装置1の店舗コードを変更するなど、当該商品データ処理装置1の使用場所を変更し、これにより当該商品データ処理装置1は移動先の店舗の装置として扱れる。そして、商品データ処理装置1に対し、移動先の店舗で必要となるマスタデータを送信してデータを更新させる。また、以後において、当該商品データ処理装置1からクラウドに送信された実績データは、移動先の店舗の実績データとしてマスタで管理される。
【0090】
なお、他の例では、使用者の確認を経ることなく、移動先の店舗で使用されるものとみなしてもよい。この場合、一時的な使用とみなして対応することもできるし、継続的な使用とみなして対応することもできる。
また、商品データ処理装置1に対し、移動先店舗での使用に必要なマスタデータを送信してデータ更新させ場合、マスタデータを新規に送信してもよいし、差分を送信するようにしてもよい。
【0091】
また、他店舗での使用について、必要となるマスタデータがない、あるいは地域が違うことで処理が認められないものとして、制限処理部112により所定の機能を制限するようにしてもよい。例えば計量値付け機であれば、計量あるいは試し秤としての計量のみは実行可能としつつ、計量した上での値付けについては、売価や印字内容が店舗間で相違するため制限する。また、必要なマスタデータがない限りは、実績データの送信機能を制限することもできる。
【0092】
<第一の位置情報が示す位置がA社内の異なる部門であった場合>
この場合、商品データ処理装置1は、移動先の部門で必要となるマスタデータを受信し、実績データは移動先部門におけるデータとしてマスタに送信する。なお、この場合においても、商品データ処理装置1の設定が異なる部門向けになっていることを画面上に表示するなどして使用者に報知すると共に、商品データ処理装置1の移動先部門での使用が一時的使用(所謂応援機としての使用)なのか、継続的な使用なのかを確認してもよく、一時的な使用の場合にはフラグ管理を行うとよい。また、部門が異なることを画面上に表示するなどして商品データ処理装置1の使用者に報知し、確認操作を経た上で実績データを送信するようにしてもよい。
【0093】
なお、以上の本実施形態において、商品データ処理装置1は消耗品の発注操作を受け付け、当該商品データ処理装置1から直接あるいはストアコントローラSCを介してコールセンター端末CTに消耗品を発注できるようになっていてもよい。消耗品としては例えば、商品データ処理装置1がPOS端末であればレシートやラベルなどがあり、商品データ処理装置1がラベルプリンタや包装機であればラベルや包装フィルム、トレイなどがある。
【0094】
また、消耗品に関しては、店舗や部門に複数の装置がある場合には、クラウド上あるいはコールセンター(例えばコールセンター端末CT)において集計し、注文確認のアラートを店舗(例えばストアコントローラSC)へ発信するなどしてもよい。また、ストアコントローラSCや部門内の装置のうち1台(商品データ処理装置1であってもよいし、他のバックアップ装置でもよい)で集計した上、装置の画面に発注指示のボタンや消耗品一覧画面を表示し、消耗品を選択した上で発注を指示する操作画面から指示を受け付けるようになっていてもよい。
【0095】
なお、第一の位置情報と第二の位置情報が不一致である場合に消耗品を発注するときは、実際に商品データ処理装置1が使用されている店舗や部門から消耗品を選択、発注できるようになっているとよい。例えば、商品データ処理装置1が上述のように所定の店舗で又は所定の部門で応援機として用いられている場合、これをフラグ管理しておいて当該フラグがたてられている限りは、当該所定の店舗又は所定の部門からの操作として消耗品の選択、発注を受け付ければよい。
【0096】
また、以上の本実施形態においては、位置情報検出部106により検出した第一の位置情報と、位置情報取得部107により取得した第二の位置情報を対比したが、他の実施形態においては、商品データ処理装置1の前回の使用時における位置情報(例えば、前回、取得した位置情報検出部106により検出した第一の位置情報。以下、「第三の位置情報」と称する)を記憶しておき、当該第三の位置情報と第二の位置情報を対比することができる。対比の結果に基づく処理は上述した処理と同様に実行できる。
【0097】
また、商品データ処理装置1やストアコントローラSCからコールセンター端末CTに供給される位置情報は、商品データ処理装置1の稼働状況を把握するのに利用することもできる。例えば、位置情報に含まれるルータのMACアドレスや商品データ処理装置1のシリアルナンバーに基づき、リモートメンテナンス契約対象外の商品データ処理装置1を把握できるし、一定期間、シリアルナンバーに関連付けられたデータ通信がない商品データ処理装置1について契約解除等のデータ更新漏れの照合を行える。
【0098】
●実施形態総括
本発明は、自装置の位置情報に応じて機能実行を制限する装置に関する。
【0099】
近時、産業機械においては、ネットワーク通信の発展、普及によりリモートメンテナンスが主流となっている(例えば、特開2019-176349号公報)。
【0100】
リモートメンテナンスでは、装置の稼働ログにより点検、部品交換、消耗品発注などをユーザに通知する。しかし、何らかの理由により装置の使用場所に変更があった場合、変更前の状態のまま装置を使用すると不具合を生じるおそれがある。
【0101】
そこで本発明は、自装置の位置情報に変更がないかどうかを確認し、位置情報が変更しても適切に運用できる装置を提供することを目的の一つとする。
【0102】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る商品データ処理装置は、第一の位置情報を構成する位置に係る情報として、自装置の位置を検出する位置情報検出手段と、前記自装置の現在位置として登録されている位置に係る第二の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記第一の位置情報と、前記第二の位置情報とを対比し、一致を判定する判定処理手段と、を備え、前記第一の位置情報と前記第二の位置情報が一致する場合には所定の処理を実行し、不一致の場合には位置情報が不一致であることを表示することを特徴とする。
【0103】
前記第一の位置情報と、前記第二の位置情報が不一致である場合において、前記第二の位置情報の変更を示す移転登録情報の有無を確認する確認処理手段、をさらに備え、前記移転登録情報があった場合に、前記所定の処理を実行するものとしてもよい。
【0104】
前記第一の位置情報と、前記第二の位置情報が不一致である場合において、使用を許可する使用許可情報を受け付ける受付処理手段、をさらに備え、前記受付処理手段において正しい前記使用許可情報が受け付けられると、前記所定の処理を実行するものとしてもよい。
【0105】
前記第一の位置情報と、前記第二の位置情報が不一致である場合において、所定の機能の実行要求については、前記受付手処理段による前記使用許可情報の受付を必要としないものとしてもよい。
【0106】
取引証明用の計量部と、前記第一の位置情報に基づく位置が、取引証明用はかりの使用地域区分の該当する地域とは異なる場合、前記計量部で計量した質量により算出される売価を用いる処理の実行を制限する制限処理手段と、をさらに備えるものとしてもよい。
【0107】
本発明の別の観点に係る商品データ処理装置は、第一の位置情報を構成する位置に係る情報として、自装置の位置を検出する位置情報検出手段と、前記自装置の現在位置として登録されている位置に係る第二の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記第一の位置情報と、前記第二の位置情報とを対比し、一致を判定する判定処理手段と、を備え、前記第一の位置情報と前記第二の位置情報が一致する場合には処理に関する実績データの出力を実行し、不一致の場合には、処理に関する実績データの出力を実行しない。
【0108】
本発明の別の観点に係る商品データ処理プログラムは、コンピュータに対し、第一の位置情報を構成する位置に係る情報として、自装置の位置を検出する位置情報検出処理と、前記自装置の現在位置として登録されている位置に係る第二の位置情報を取得する位置情報取得処理と、前記第一の位置情報と、前記第二の位置情報とを対比し、一致を判定する判定処理と、を実行させると共に、前記第一の位置情報と前記第二の位置情報が一致する場合には所定の処理を実行させ、不一致の場合には位置情報が不一致であることを表示させることを特徴とする。
【0109】
本発明の別の観点に係る商品データ処理システムは、上位装置とネットワークを経由して接続される複数の商品データ処理装置を備えるシステムにおいて、第一の位置情報を構成する位置に係る情報として、前記商品データ処理装置の位置を検出する位置情報検出手段と、前記商品データ処理装置の現在位置として登録されている位置に係る第二の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記第一の位置情報と、前記第二の位置情報とを対比し、一致を判定する判定処理手段と、を備え、前記商品データ処理装置は、前記第一の位置情報と前記第二の位置情報が一致する場合には所定の処理を実行し、不一致の場合には位置情報が不一致であることを表示する制御手段を備えることを特徴とする。
【0110】
なお、前記商品データ処理装置に所定の処理を実行させるコンピュータプログラム(商品データ処理プログラム)は、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供したり、CD-ROMなどのコンピュータ読取可能な各種の記録媒体に記録して提供したりすることができる。
【0111】
以上の本実施形態に係る商品データ処理装置によれば、自装置の位置情報に変更がないかどうかを確認し、位置情報が変更しても適切に装置を運用できる。
【符号の説明】
【0112】
1 :商品データ処理装置
2 :管理システム
10 :店舗内システム
11 :店員側表示部
12 :顧客側表示部
13 :コード読取部
14 :タグ読取部
15 :計量部
101 :会員マスタ
102 :商品マスタ
103 :登録処理部
104 :重量情報取得部
105 :会計処理部
106 :位置情報検出部
107 :位置情報取得部
108 :判定処理部
109 :確認処理部
110 :受付処理部
111 :表示制御部
112 :制限処理部
113 :通信処理部
CT :コールセンター端末
SC :ストアコントローラ

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