(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029841
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】圧力センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 19/06 20060101AFI20240229BHJP
G01L 7/08 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G01L19/06 A
G01L7/08
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132249
(22)【出願日】2022-08-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】522335273
【氏名又は名称】合同会社エルエーサイエンス・ラボ
(71)【出願人】
【識別番号】522335284
【氏名又は名称】株式会社ジェム-テック
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【弁理士】
【氏名又は名称】末松 亮太
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】相澤 満芳
(72)【発明者】
【氏名】増田 久則
(72)【発明者】
【氏名】川村 喜則
(72)【発明者】
【氏名】李 度 昊
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055CC02
2F055DD01
2F055FF04
2F055GG25
(57)【要約】
【課題】より高温の圧力媒体の圧力測定を精度よく行うことができる圧力センサを提供することを目的とする。
【解決手段】
半導体製造装置に用いられる圧力センサ1であって、中空な筒状のハウジング2と、ハウジング2の一端側に設けられた第1基台3と、ハウジング2の他端側に設けられた第2基台4と、第1基台3に支持され、圧力Pを受けると弾性変形するダイヤフラム5aと、第2基台4に支持され、ダイヤフラム5aの弾性変形による応力を検出して電気信号に変換するセンサ部6と、第1基台3および第2基台4を貫通し、ダイヤフラム5aとセンサ部6との間に設けられたロッドピン7と、第2基台4の外面とハウジング2の内周面との間に設けられた第1摺動部材10とを備え、ロッドピン7は、30℃から100℃における熱線膨張係数が1.3×10-6/℃以下の金属材料により形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造装置に用いられる圧力センサであって、
中空な筒状のハウジングと、
前記ハウジングの一端側に設けられた第1基台と、
前記ハウジングの他端側に設けられた第2基台と、
前記第1基台に支持され、圧力を受けると弾性変形するダイヤフラムと、
前記第2基台に支持され、前記ダイヤフラムの弾性変形による応力を検出して電気信号に変換する圧力検出素子と、
前記第1基台および前記第2基台を貫通し、前記ダイヤフラムと前記圧力検出素子との間に設けられた圧力伝達部材と、
前記第2基台の外面と前記ハウジングの内周面との間に設けられた第1摺動部材と
を備え、
前記圧力伝達部材は、30℃から100℃における熱線膨張係数が1.3×10-6/℃以下の金属材料により形成されている
ことを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の圧力センサにおいて、
前記第1基台および前記第2基台の各々には、前記ハウジングの長手方向の中心軸に沿った貫通孔が形成され、
前記圧力伝達部材は、前記貫通孔に挿通され、前記中心軸に沿って設けられる
ことを特徴とする圧力センサ。
【請求項3】
請求項2に記載の圧力センサにおいて、
さらに、前記第1基台と前記第2基台との間に設けられた、複数の支柱を備え、
前記複数の支柱は、前記圧力伝達部材の周囲を囲うように、前記中心軸から離間した位置に前記中心軸と平行に設けられている
ことを特徴とする圧力センサ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の圧力センサにおいて、
前記圧力伝達部材の一端は、前記ダイヤフラムに溶接され、
前記圧力伝達部材の他端は、前記圧力検出素子の検出面に溶接されている
ことを特徴とする圧力センサ。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の圧力センサにおいて、
前記圧力伝達部材は、スーパーインバー材により形成されていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載の圧力センサにおいて、
前記第1摺動部材は、熱伝導率が樹脂材料のなかで比較的低い、フッ素樹脂を含む材料により形成されていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載の圧力センサにおいて、
前記圧力伝達部材は、長手方向に分割可能に構成され、かつ、分割部分は、前記圧力伝達部材の長手方向の長さが調節可能に構成されていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項8】
請求項3に記載の圧力センサにおいて、
前記複数の支柱は、スーパーインバー材により形成されていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項9】
請求項3に記載の圧力センサにおいて、
さらに、前記第1基台と前記第2基台との間に設けられ、前記複数の支柱および前記圧力伝達部材を支持する支持板と、
前記支持板と前記ハウジングの内周面との間に配置された第2摺動部材と
を備え、
前記第2摺動部材は、熱伝導率が樹脂材料のなかで比較的低い、フッ素樹脂を含む材料により形成されていることを特徴とする圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサに係り、特に、半導体製造装置に用いられ、高温の圧力媒体の圧力を測定する圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体製造装置、自動車、医療機器等の様々な分野において、液体や気体の圧力を測定するために圧力センサが用いられている。測定する媒体が非常に高温となる場合、圧力センサが高温に耐え得る構造を備えることが重要となる。
【0003】
例えば、半導体製造プロセスで用いられる多種の特殊ガスなどの高温圧力媒体の圧力を測定するための圧力センサが知られている。特に、半導体製造プロセスにおける重要な工程の中に、拡散炉でシリコンウエハーの表面にSiO2等の絶縁膜を形成したり、CVD(化学気相成長)と呼ばれるシリコン基板上に薄膜を形成する蒸着法を用いた工程がある。また、これらの工程では、熱酸化装置やCVD装置における反応容器に薄膜成分を含む原料ガスを供給し、基板表面に化学反応により膜を堆積させる工程がある。
【0004】
近年、これら時間のかかる膜付け工程の経過時間を短縮するために、容器内の温度および供給するガスの温度を高温化し、ガスの化学反応速度を上げる方法が用いられている。このような半導体製造プロセスに用いられる半導体製造装置では、工程制御に用いる圧力センサの耐熱化、特に、250℃以上の耐熱性を有する圧力センサの開発が要求されている。
【0005】
しかし、従来の圧力センサは、圧力媒体の温度が180℃以上となると、使用が困難となる場合がある。例えば、CrNiの材料を用いた金属歪ゲージを備える圧力センサでは、圧力媒体の温度は150℃までに制限される。また、一般的なSi半導体の歪ゲージは、100℃以上になると温度ドリフトが大きく不安定になり使用することが困難である。また、SiCを用いた歪ゲージも開発されているが、内部に用いられる配線は180℃~250℃で被覆が炭化してしまい使用することができなくなる。さらに、圧力センサが付帯する電子回路は、高温部に暴露されると破損するため、圧力センサにおいて圧力が印加される受圧部から隔離しなければならない。
【0006】
そこで、圧力センサの圧力検出素子を高温となる受圧部から隔離し、圧力検出素子の温度を、例えば、100℃以下まで下げるセンサ構造が提案されている。例えば、非特許文献1は、高温環境下にある受圧部から隔離された圧力検出素子に変位を伝達するのに、受圧部と圧力検出素子との間にシリコンオイルを充填したコイル状の細管を備える圧力センサを開示している。非特許文献1に記載の圧力センサでは、受圧部と圧力検出素子との間に設けられた空間により、細管に充填されたシリコンオイルが受けた受圧部からの熱を空冷し、圧力検出素子側への熱の影響を少なくすることで、高温環境下での圧力の測定を行っている。
【0007】
しかし、非特許文献1に記載されている圧力センサは、シリコンオイルを圧力伝達媒体として用いた構造であり、シリコンオイルの耐熱温度が250℃であることによる圧力センサの耐熱性は制約される。特に、250℃以上の加熱温度では、シリコンオイルが沸騰し蒸気圧が発生するため、測定誤差が生ずる。
【0008】
また、非特許文献1に記載されている圧力センサでは、圧力センサの金属容器および金属の細管は加熱温度の上昇に比例して拡張し、細管の端面にある圧力検出素子の隔膜を押し付けることになる。すなわち、圧力伝達応力と温度上昇とによる細管の拡張応力と、耐熱シリコンオイルの圧力変位応力とが合成された応力となって圧力検出素子のダイヤフラムを押し上げるので、高温での測定誤差はより大きくなる。
【0009】
さらに、非特許文献1に記載されている圧力センサでは、受圧部と圧力検出素子との距離を、空冷のために比較的長く取る必要があり、また、コイル状の細管を用いることにより、受圧部と圧力検出素子との距離がさらに長くなる。そのため、受圧部から圧力検出素子への圧力伝達速度が遅くなる。
【0010】
圧力センサの圧力検出素子を高温となる受圧部から隔離し、圧力検出素子の温度を下げる従来のセンサ構造の別の例として、特許文献1は、受圧部と圧力検出素子との間にロッドピンを設け、受圧部の圧力をロッドピンが圧力検出素子へ伝達する構造を有する圧力センサを開示している。
【0011】
しかし、特許文献1に記載の圧力センサでは、圧力センサの金属容器は、例えば、300℃の加熱温度に耐え得るが、金属容器に用いられるステンレス等の金属は、熱膨張が比較的大きい。また、ロッドピンについても、ステンレスなどの金属が用いられるため、熱膨張率が比較的大きい。圧力センサの金属容器およびロッドピンは、ともに加熱温度の上昇に伴い熱膨張して圧力検出素子の中心部に応力として押し付けることになる。そのため、圧力の応力と熱膨張応力とで合成された応力が圧力検出素子の検出面に伝達され、測定圧力の誤差が生ずる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】ケラー社,“シリーズ35XHTC データシート”,[online],令和2年9月15日,[令和4年6月27日検索],インターネット <https://download.keller-druck.com/api/download/hH7qKyYHH2gDhU7CPqeCgX/en/2020-09.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来の技術によれば、より高温の圧力媒体の圧力測定を精度よく行うことは困難であった。
【0015】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、より高温の圧力媒体の圧力測定を精度よく行うことができる圧力センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決するために、本発明に係る圧力センサは、半導体製造装置に用いられる圧力センサであって、中空な筒状のハウジングと、前記ハウジングの一端側に設けられた第1基台と、前記ハウジングの他端側に設けられた第2基台と、前記第1基台に支持され、圧力を受けると弾性変形するダイヤフラムと、前記第2基台に支持され、前記ダイヤフラムの弾性変形による応力を検出して電気信号に変換する圧力検出素子と、前記第1基台および前記第2基台を貫通し、前記ダイヤフラムと前記圧力検出素子との間に設けられた圧力伝達部材と、前記第2基台の外面と前記ハウジングの内周面との間に設けられた第1摺動部材とを備え、前記圧力伝達部材は、30℃から100℃における熱線膨張係数が1.3×10-6/℃以下の金属材料により形成されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る圧力センサにおいて、前記第1基台および前記第2基台の各々には、前記ハウジングの長手方向の中心軸に沿った貫通孔が形成され、前記圧力伝達部材は、前記貫通孔に挿通され、前記中心軸に沿って設けられてもよい。
【0018】
また、本発明に係る圧力センサにおいて、さらに、前記第1基台と前記第2基台との間に設けられた、複数の支柱を備え、前記複数の支柱は、前記圧力伝達部材の周囲を囲うように、前記中心軸から離間した位置に前記中心軸と平行に設けられていてもよい。
【0019】
また、本発明に係る圧力センサにおいて、前記圧力伝達部材の一端は、前記ダイヤフラムに溶接され、前記圧力伝達部材の他端は、前記圧力検出素子の検出面に溶接されていいてもよい。
【0020】
また、本発明に係る圧力センサにおいて、前記圧力伝達部材は、スーパーインバー材により形成されていてもよい。
【0021】
また、本発明に係る圧力センサにおいて、前記第1摺動部材は、熱伝導率が樹脂材料のなかで比較的低い、フッ素樹脂を含む材料により形成されていてもよい。
【0022】
また、本発明に係る圧力センサにおいて、前記圧力伝達部材は、長手方向に分割可能に構成され、かつ、分割部分は、前記圧力伝達部材の長手方向の長さが調節可能に構成されていてもよい。
【0023】
また、本発明に係る圧力センサにおいて、前記複数の支柱は、スーパーインバー材により形成されていてもよい。
【0024】
また、本発明に係る圧力センサにおいて、さらに、前記第1基台と前記第2基台との間に設けられ、前記複数の支柱および前記圧力伝達部材を支持する支持板と、前記支持板と前記ハウジングの内周面との間に配置された第2摺動部材とを備え、前記第2摺動部材は、熱伝導率が樹脂材料のなかで比較的低い、フッ素樹脂を含む材料により形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、第1基台および第2基台を貫通し、ダイヤフラムと圧力検出素子との間に設けられた圧力伝達部材と、第2基台の外面とハウジングの内周面との間に設けられた第1摺動部材とを備え、圧力伝達部材は、30℃から100℃における熱線膨張係数が1.3×10-6/℃以下の金属材料により形成されている。そのため、より高温の圧力媒体の圧力測定を精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る圧力センサの要部を示す図であり、(a)は概略断面図、(b)は(a)のA矢視概略平面図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態に係る圧力センサの本体部の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態に係る圧力センサのハウジングの構造例を示す図であり、(a)は正面図、(b)はA矢視概略平面図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態に係る圧力センサのロッドピンの材料を説明するための図である。
【
図5A】
図5Aは、本実施の形態に係る圧力センサのロッドピンの材料を説明するための図である。
【
図5B】
図5Bは、本実施の形態に係る圧力センサのロッドピンの材料を説明するための図である。
【
図5C】
図5Cは、本実施の形態に係る圧力センサのロッドピンの材料を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本実施の形態に係る圧力センサにおける熱膨張の影響を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施の形態について、
図1から
図6を参照して詳細に説明する。
[実施の形態]
まず、本発明の実施の形態に係る圧力センサ1の概要について説明する。
図1の(a)は、本発明の実施の形態に係る圧力センサ1の要部の概略断面図であり、
図1の(b)は、圧力センサ1のA矢視概略平面図である。
図2は、本発明の実施の形態に係る圧力センサ1の本体部の分解斜視図である。圧力センサ1は半導体製造装置に設けられ、例えば、250℃以上となる圧力媒体、例えば、ガスなどの圧力Pを測定する。
【0028】
図1の(a)に示すように、圧力センサ1は、主に、ハウジング2、受圧部5、およびセンサ部(圧力検出素子)6を備え、中空な筒状のハウジング2の内部には、第1基台3、第2基台4、ロッドピン(圧力伝達部材)7、支柱8a、8b、8c、および支持板9が収容されている。受圧部5に印加される圧力Pは、ロッドピン7によってセンサ部6に伝達される。
【0029】
なお、以下において、ハウジング2を除いた圧力センサ1の構造、つまり、第1基台3、第2基台4、受圧部5、センサ部6、ロッドピン7、支柱8a、8b、8c、支持板9、第1摺動部材10、および第2摺動部材11を含む構造を、圧力センサ1の本体部と呼ぶ。また、本実施の形態に係る圧力センサ1は、本体部の各構造およびハウジング2が、順次、溶接や接着などにより接続され一体化されたものである。
【0030】
ハウジング2は、軸O方向に貫通する円形断面の中空部を有する筒状に形成されている。ハウジング2の両端には開口が形成され、一端側には、外部から印加される圧力Pを受ける受圧部5が設けられている。ハウジング2の他端側には、受圧部5におけるダイヤフラム5aの弾性変形による応力を検出して電気信号に変換するセンサ部6が設けられている。ハウジング2の長手方向の長さは、測定する圧力Pの温度に応じて設定される。なお、以下においてハウジング2の長手方向の軸Oを圧力センサ1の軸Oと称することがある。
【0031】
ハウジング2は、例えば、アルミニウム等の熱伝導率の高い金属材料により形成されている。ハウジング2の外周面は、例えば、受圧部5からの熱を放熱するために、複数のフィンを形成して伝熱面積を広げた構造とすることができる。
図3の(a)は、フィン構造が形成された外周面を有するハウジング2の正面図を示し、
図3の(b)は、フィン構造が形成された外周面を有するハウジング2のA矢視平面図を示す。ハウジング2をこのような構造とすることで、高温に曝される受圧部5からの熱を効率よく放熱し、かつ、本体部が収容されているハウジング2内部の温度の変動を抑えることができる。
【0032】
例えば、300℃の高温となる圧力Pを測定する場合、ハウジング2の長手方向の長さを、145[mm]とし、径方向の長さを、50[mm]とすることができる。なお、ハウジング2の長手方向の長さ、つまり、圧力センサ1の本体部における受圧部5とセンサ部6との離間距離は、測定する圧力Pの温度に応じて設定される。例えば、測定する圧力Pの温度が300℃よりも低い場合には、ハウジング2の長手方向の長さをより短くすることができる。
【0033】
第1基台3は、ハウジング2の一端側、すなわち受圧部5側に設けられている。第1基台3は、ハウジング2の内径に略一致する直径を有した円形断面の略円柱に形成されている。第1基台3は、一方の底面3a側において、受圧部5を支持している。また、第1基台3の他方の底面3bは、ハウジング2の中空側に面している。
【0034】
第1基台3には、底面3aから他方の底面3bに向けて、軸Oに沿った貫通孔3cが形成されている。貫通孔3cの直径は、後述するロッドピン7の径よりもわずかに大きい。なお、底面3aの外縁部分には、軸O方向に沿って突出構造が形成されている。底面3aの突出構造によって、軸O周辺の領域に第1基台3の内部側に向けた凹みが形成されている。この凹み構造により、圧力Pによる受圧部5のダイヤフラム5aのたわみを許容する空間が形成される。
【0035】
また、底面3aにおける軸O周辺のさらに狭い領域を囲うように、外縁部分の突出構造よりも低い突起が形成され、受圧部5のダイヤフラム5aが受けることができる最大たわみを規定するストッパーとして機能する。また、第1基台3の底面3b側には、後述する支柱8a、8b、8cの一方の端部が固定的に支持される。第1基台3は、ステンレス(SUS304)等の金属材料により形成されている。第1基台3とハウジング2および受圧部5とは、それぞれ溶接などにより固定的に接合される。
【0036】
第2基台4は、ハウジング2の他端側、すなわちセンサ部6側に設けられている。第2基台4は、ハウジング2の内径よりもわずかに小さい直径の円形断面を有する略円柱に形成されている。第2基台4は、一方の底面4a側において、センサ部6を支持している。また、第2基台4の他方の底面4bは、ハウジング2の中空側に面している。
【0037】
第2基台4には、底面4aから他方の底面4bに向けて、軸Oに沿った貫通孔4cが形成されている。貫通孔4cの直径は、後述するロッドピン7の径よりもわずかに大きく、第1基台3に形成されている貫通孔3cの直径と同等の大きさとすることができる。
【0038】
また、第2基台4の底面4b側には、後述する支柱8a、8b、8cの他方の端部が支持される3つの非貫通孔4dが形成されている。この非貫通孔4dの直径は、支柱8a、8b、8cの径よりもわずかに大きい直径とすることができる。また、非貫通孔4dの軸O方向の深さは、
図1の(a)に示すように、支柱8a、8b、8cの他方の端部と非貫通孔4dとの間に遊びとなるスペースが形成されるよう、十分な深さとされる。なお、非貫通孔4dの遊びスペースの詳細は後述する。
【0039】
第2基台4は、ステンレス等の金属材料により形成されている。第2基台4とセンサ部6とは、溶接などにより固定的に接合されるが、第2基台4とハウジング2とは、後述の第1摺動部材10を介して、第2基台4がハウジング2に対して軸O方向に摺動可能となるように設けられる。
【0040】
受圧部5は、圧力Pを受けると弾性変形する受圧用のダイヤフラム5aを備える。ダイヤフラム5aは、一面が外部に露出した受圧面となっている。この受圧面が、被測定圧力としての外部からの圧力Pを受けてたわみ変形し、ダイヤフラム5aの他面の中央の領域に固定的に接合している後述のロッドピン7の端面7aに軸O方向の力を印加する。
【0041】
受圧部5は、例えば、SUS316などのステンレスにより形成される。また、ダイヤフラム5aは、
図1の(b)に示すように、円盤状のステンレスの薄膜により形成され、中心点が、圧力センサ1の軸Oと一致する。
【0042】
センサ部6は、ダイヤフラム6aおよび信号処理部6bがケース部材6cに収容された構造を有する。センサ部6は、例えば、歪抵抗方式、静電容量方式、圧電素子方式などによるセンサ構造とすることができる。例えば、歪抵抗方式においては、ダイヤフラム6aは、ステンレスなどの金属薄膜、セラミック薄膜、またはシリコン(Si)の薄膜に歪抵抗ブリッジ回路を形成することができる。
【0043】
ダイヤフラム6aの中心点は圧力センサ1の軸Oと一致する。ダイヤフラム6aの一面は、ロッドピン7により伝達された圧力Pによる応力を検出する検出面となっており、後述のロッドピン7の他方の端面7bが固定的に接合されている。例えば、ロッドピン7の他方の端面7bは、ダイヤフラム6aの中心点の領域にエポキシ樹脂系などの接着剤で固着することができる。ロッドピン7が接合されている面とは反対側の、ダイヤフラム6aの他面には、図示されないゲージ抵抗が配置され、ロッドピン7により伝達される圧力Pの応力によって変化するゲージ抵抗の抵抗値が検出される。
【0044】
ダイヤフラム6aと信号処理部6bとの間には、押さえリング6eが設けられている。押さえリング6eを設けることにより、ダイヤフラム6aの軸Oに沿った位置が固定されるため、ロッドピン7の端面7bがダイヤフラム6aの中心を押圧する際に、受圧部5のダイヤフラム5aの圧力変位を確実に伝達することができる。
【0045】
信号処理部6bは、ダイヤフラム6aにおいて検出されたゲージ抵抗の抵抗値を、圧力Pに比例した電圧信号に変換する。より具体的には、信号処理部6bは、圧力Pを示す電気信号の増幅、AD変換、ノイズの除去などを含む公知の信号処理を行い、外部に出力する。なお、信号処理部6bには、圧力センサ1を外部電子装置に接続する図示されない端子が設けられており、この端子には、センサ出力が供給される信号線6d(
図2参照)が接続される。
【0046】
ロッドピン7は、第1基台3および第2基台4を貫通して、受圧部5とセンサ部6との間に設けられている棒状の部材である。より具体的には、ロッドピン7の長手方向の一方の端面7aは、受圧部5のダイヤフラム5aに接合され、かつ、他方の端面7bについても、センサ部6のダイヤフラム6aに接合された状態で、第1基台3の貫通孔3cおよび第2基台4の貫通孔4cに挿通されている。
【0047】
ロッドピン7の径は、第1基台3の貫通孔3cおよび第2基台4の貫通孔4cに触れない程度の一定のスペースが形成されるよう、貫通孔3c、4cの径よりも小さい径とすることができる。また、ロッドピン7の軸は、圧力センサ1の軸Oに一致する。このように、ロッドピン7は、第1基台3および第2基台4の貫通孔3c、4cに挿通されて、軸Oに沿って受圧部5とセンサ部6との間に設けられることで、受圧部5に印加された圧力Pをセンサ部6に伝達することができる。
【0048】
また、
図2に示すように、ロッドピン7は、長手方向に分割可能に構成され、かつ、分割部分には、ロッドピン7の長手方向の長さを調節可能とするアジャスター部7cを有する。例えば、アジャスター部7cは、2分割されるロッドピン7の一方の端部に形成された雌ねじ構造と、この雌ねじ構造と嵌まり合う雄ねじ構造が他方の端部に形成されることで構成される。
【0049】
ロッドピン7が分割可能となる構造を採用することで、圧力センサ1を作製する際には、ロッドピン7の端面7a、7bをそれぞれダイヤフラム5a、6aに接合した後に、2分割されたロッドピン7をアジャスター部7cで結合することができる。なお、ロッドピン7の長手方向の長さは、圧力センサ1が測定する圧力媒体によって加熱された本体部の空冷のために必要となる受圧部5とセンサ部6との離間距離に応じて決定される。
【0050】
ロッドピン7は、スーパーインバー等の常温付近での熱膨張率が低く、特に、30℃から100℃における熱線膨張係数が1.3×10
-6/℃以下の金属材料により形成される。スーパーインバーは、鉄、ニッケル、コバルトの合金である。
図4は、各種金属材料の熱線膨張係数の代表値を棒グラフで示す図である。
図4において、縦軸は、温度条件(常温30℃~100℃、-20℃~60℃)に応じたハッチングが付されている。
図5A~
図5Cは、それぞれ、各種金属材料の熱線膨張係数の代表値をテーブル形式で表す図である。
【0051】
図5に示すように、スーパーインバーは、例えば、ステンレス(SUS304)の熱線膨張率の1/35の熱線膨張率を有する金属材料であり、熱線膨張率の低さは、他の金属材料と比較して極めて低い。したがって、ロッドピン7をスーパーインバーにより形成することにより、ロッドピン7自体の熱線膨張による応力の影響を受けない圧力伝達部材が実現される。
【0052】
ロッドピン7の端面7a、7bはそれぞれ受圧部5のダイヤフラム5a、センサ部6のダイヤフラム6aに溶接や接着剤などにより固定的に接合することができる。
【0053】
支柱8a、8b、8cは、第1基台3と第2基台4との間に設けられている細長い円柱状の部材である。より具体的には、支柱8a、8b、8cは、支持板9を貫通して、第1基台3と第2基台4との間に設けられている。支柱8a、8b、8cの径は、ロッドピン7の径と同等とすることができる。また、支柱8a、8b、8cは、ハウジング2を矢印Aの方向から見て、ロッドピン7の周囲を囲うように、軸O上のロッドピン7から一定の距離だけ離間した位置に軸Oと平行となるように設けられている。
【0054】
支柱8a、8b、8cは、例えば、スーパーインバー等の常温付近での熱膨張率が低い、特に、30℃から100℃における熱線膨張係数が1.3×10-6/℃以下の金属材料により形成することができる。支柱8a、8b、8cについてもロッドピン7と同様に熱膨張率の極めて低いスーパーインバーにより形成することで、ロッドピン7だけでなく、本体部全体における熱膨張を抑えることができる。
【0055】
支柱8a、8b、8cの長手方向の一方の端部は、それぞれ第1基台3に固定的に接合されている。支柱8a、8b、8cの他方の端部は、それぞれ第2基台4の非貫通孔4dに挿入され、第2基台4に対して軸O方向に可動に設けられる。より詳細には、支柱8a、8b、8cの他方の端部と非貫通孔4dの底面との間には、支柱8a、8b、8cの軸O方向に沿った移動を可能とする遊びスペースが形成されている。
【0056】
支持板9は、ハウジング2の中空部において、第1基台3と第2基台4との間に配設される。支持板9は、例えば、第1基台3から第2基台4までの軸Oに沿った長さの半分の位置に配置することができる。支持板9は、ハウジング2の内径に略一致する直径の円形断面を有した略円柱に形成されている。支持板9の円形断面の中心点は、軸Oに一致する。支持板9の軸O方向には貫通孔9aが形成され、この貫通孔9aにロッドピン7が挿通される。貫通孔9aは、第1基台3および第2基台4の貫通孔3c、4cと同様の径を有し、ロッドピン7の径よりもわずかに大きい。
【0057】
支持板9には、さらに、支柱8a、8b、8cの各々が挿通される貫通孔が形成されている。支柱8a、8b、8cが挿通される貫通孔は、支柱8a、8b、8cと隙間なく接することができる程度の大きさの径とすることができる。
【0058】
支持板9と支柱8a、8b、8cとはそれぞれ固定的に接合される。一方において、支持板9とハウジング2とは、後述する第2摺動部材11を介して摺動可能に配置される。具体的には、支持板9はハウジング2に対して、軸O方向に摺動可能となるように配置される。支持板9は、ステンレス等の金属材料により形成されている。支持板9を設けることで、ロッドピン7を含む本体部がハウジング2内でより安定的に支持されるが、省略してもよい。
【0059】
第1摺動部材10は、第2基台4の側面(外面)とハウジング2の内周面との間に設けられているフィルム状の部材である。第1摺動部材10は、第2基台4の側面全体を覆うように設けられる。第1摺動部材10は、例えば、フッ素樹脂(テフロン(登録商標))などの摩擦係数が小さく、滑り特性が良好で、かつ、例えば、他の樹脂材料と比較して熱伝導率が比較的低い材料により形成される。
【0060】
第2摺動部材11は、支持板9の側面とハウジング2の内周面との間に設けられているフィルム状の部材である。第2摺動部材11は、支持板9の側面全体を覆うように設けられる。第2摺動部材11についても、第1摺動部材10と同様にフッ素樹脂などにより形成される。
【0061】
ここで、
図6の(a)および(b)に示す、高温の圧力Pが印加される前と後とにおける圧力センサ1の概略断面図を参照して、ハウジング2および本体部における熱膨張の影響について説明する。
図6の(a)は、圧力Pが受圧部5に印加される前の圧力センサ1の概略断面図を示している。
図6の(b)は、圧力Pが受圧部5に印加された際の圧力センサ1の概略断面図を示している。
【0062】
高温のガスなどの圧力Pが受圧部5に印加されると、
図6の(b)に示すように、アルミニウム等の金属材料で形成されているハウジング2は熱膨張し、軸O方向に伸長する。具体的には、アルミニウムで形成されたハウジング2は、熱伝導に優れるが熱線膨張率が高いため、
図6の(b)の軸O方向の長さh’に示すように、圧力Pの印加前の長さhから熱膨張により長さdだけ軸O方向に伸長する。一方、ステンレスで形成された受圧部5は、放熱材として機能するハウジング2に接合しているため、高温に曝された際には、受圧部5の熱がハウジング2を介して放熱され、受圧部5の熱膨張は抑えられる。
【0063】
次に、受圧部5を支持する第1基台3は、放熱材として機能するハウジング2に直接接しているため、ある程度の熱膨張は抑えられる。しかし、
図6の(a)および(b)に示すように、圧力Pの印加後では、第1基台3は熱膨張によって長さb分だけ軸O方向に伸長している。
【0064】
前述したように、支柱8a、8b、8cの一方の端部は第1基台3に固定的に接合されている。そのため、熱膨張により第1基台3が軸O方向に伸長すると、第1基台3とともに支柱8a、8b、8cも軸O方向に押し上げられる。しかし、
図6の(b)に示すように、支柱8a、8b、8cの他方の端部は非貫通孔4d内において軸O方向に移動するのみである。つまり、支柱8a、8b、8cの他方の端部は、非貫通孔4dの底面に触れて第2基台4を押し上げるようなことはない。
【0065】
このように、非貫通孔4dの遊びスペースにより、熱膨張による第1基台3の伸長分の長さが吸収されるので、第2基台4は、第1基台3の熱線膨張の影響を受けない。なお、支柱8a、8b、8cは前述したようにスーパーインバーにより形成されているため、支柱8a、8b、8c自体の熱線膨張は影響しない。
【0066】
次に、ロッドピン7に着目すると、受圧部5に高温の圧力Pが印加された場合、ダイヤフラム5aが圧力Pによりたわみ、ロッドピン7に応力が伝わる。さらに、ロッドピン7は、圧力Pをセンサ部6のダイヤフラム6aに伝達する。ロッドピン7は、前述したように熱線膨張率が低い材料であるスーパーインバーにより形成されているため、高温の圧力Pを伝達する場合であっても、熱による軸O方向への伸長はほとんどない(
図6の(a)(b)の長さr)。
【0067】
なお、受圧部5のダイヤフラム5aは、極薄の金属薄膜により形成されており、ダイヤフラム5a自体の熱線膨張率は極めて小さく、熱による軸O方向への伸長は極めて小さい。そのため、ダイヤフラム5aの熱線膨張のロッドピン7に対する影響は極めて小さい。
【0068】
つまり、高温の圧力Pが印加されると、ハウジング2は熱膨張により軸O方向に伸長するのに対して、低熱膨張のロッドピン7および支柱8a、8b、8cを含む本体部は、熱による軸O方向の伸長がほとんどない。さらに、本体部が備える第1基台3の熱膨張による軸O方向への伸長分は、第2基台4の非貫通孔4dにより吸収される。つまり、本体部は、第1基台3の熱線膨張の影響を抑制できる構造を有する。
【0069】
また、圧力センサ1の本体部のうち、第1基台3、第2基台4、および支持板9がハウジング2と接する面であるところ、第2基台4および支持板9は、それぞれの側面を覆うように配設された第1摺動部材10、および第2摺動部材11を介してハウジング2の内周面に接している。第1摺動部材10および第2摺動部材11と接するハウジング2の内周面が摺動面となり、本体部に対してハウジング2が軸O方向に伸長することになる。
【0070】
具体的には、
図6の(a)および(b)に示すように、高温の圧力Pの印加後における第2基台4および支持板9の軸O方向の位置は、ハウジング2が軸O方向への伸長(長さhから長さh’)しているのに対して、ロッドピン7の長さrに対応する位置が維持されている。このように、ロッドピン7が支持されている本体部が、第1摺動部材10および第2摺動部材11を介してハウジング2と接することで、ハウジング2の熱膨張と、熱不動のロッドピン7との熱線膨張変位の差(長さd)を吸収させることができる。
【0071】
このように、圧力伝達部材であるロッドピン7は、ハウジング2に収容されつつも、熱的にはハウジング2からは隔離された、フローティング構造とされる。ロッドピン7をこのようなフローティング構造とすることで、ハウジング2の熱膨張による応力はロッドピン7によって伝達されることはない。
【0072】
また、ロッドピン7だけでなく、ロッドピン7を囲う支柱8a、8b、8cについてもスーパーインバーにより形成することで、本体部全体の軸O方向の熱線膨張を抑えることができる。
【0073】
以上説明したように、本実施の形態に係る圧力センサ1によれば、ロッドピン7を熱膨張率が極めて低い材料で形成し、かつ、フローティング構造とすることで、ハウジング2の熱膨張による応力がロッドピン7によって伝達されることはないため、より高温の圧力媒体の圧力測定、特に、半導体製造装置において要求される250℃の高温となる圧力媒体の圧力測定を精度よく行うことができる。
【0074】
以上、本発明の圧力センサにおける実施の形態について説明したが、本発明は説明した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に記載した発明の範囲において当業者が想定し得る各種の変形を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0075】
1…圧力センサ、2…ハウジング、3…第1基台、4…第2基台、3a、3b、4a、4b…底面、4d…非貫通孔、5…受圧部、6…センサ部、5a、6a…ダイヤフラム、6b…信号処理部、6c…ケース部材、6d…信号線、6e…押さえリング、7…ロッドピン、7a、7b…端面、7c…アジャスター部、8a、8b、8c…支柱、9…支持板、3c、4c、9a…貫通孔、10…第1摺動部材、11…第2摺動部材、O…軸、P…圧力。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造装置に用いられる圧力センサであって、
中空な筒状のハウジングと、
前記ハウジングの一端側に設けられた第1基台と、
前記ハウジングの他端側に設けられた第2基台と、
前記第1基台に支持され、圧力を受けると弾性変形するダイヤフラムと、
前記第2基台に支持され、前記ダイヤフラムの弾性変形による応力を検出して電気信号に変換する圧力検出素子と、
前記第1基台および前記第2基台を貫通し、前記ダイヤフラムと前記圧力検出素子との間に設けられた圧力伝達部材と、
前記第2基台の外面と前記ハウジングの内周面との間に設けられた第1摺動部材と
を備え、
前記圧力伝達部材は、30℃から100℃における熱線膨張係数が1.3×10-6/℃以下の金属材料により形成されている
ことを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の圧力センサにおいて、
前記第1基台および前記第2基台の各々には、前記ハウジングの長手方向の中心軸に沿った貫通孔が形成され、
前記圧力伝達部材は、前記貫通孔に挿通され、前記中心軸に沿って設けられる
ことを特徴とする圧力センサ。
【請求項3】
請求項2に記載の圧力センサにおいて、
さらに、前記第1基台と前記第2基台との間に設けられた、複数の支柱を備え、
前記複数の支柱は、前記圧力伝達部材の周囲を囲うように、前記中心軸から離間した位置に前記中心軸と平行に設けられている
ことを特徴とする圧力センサ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の圧力センサにおいて、
前記圧力伝達部材の一端は、前記ダイヤフラムに溶接され、
前記圧力伝達部材の他端は、前記圧力検出素子の検出面に溶接されている
ことを特徴とする圧力センサ。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の圧力センサにおいて、
前記圧力伝達部材は、スーパーインバー材により形成されていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載の圧力センサにおいて、
前記第1摺動部材は、フッ素樹脂を含む材料により形成されていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載の圧力センサにおいて、
前記圧力伝達部材は、長手方向に分割可能に構成され、かつ、分割部分は、前記圧力伝達部材の長手方向の長さが調節可能に構成されていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項8】
請求項3に記載の圧力センサにおいて、
前記複数の支柱は、スーパーインバー材により形成されていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項9】
請求項3に記載の圧力センサにおいて、
さらに、前記第1基台と前記第2基台との間に設けられ、前記複数の支柱および前記圧力伝達部材を支持する支持板と、
前記支持板と前記ハウジングの内周面との間に配置された第2摺動部材と
を備え、
前記第2摺動部材は、フッ素樹脂を含む材料により形成されていることを特徴とする圧力センサ。