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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029844
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   E05B 81/76 20140101AFI20240229BHJP
   E05B 17/22 20060101ALI20240229BHJP
   E05B 85/14 20140101ALI20240229BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
E05B81/76
E05B17/22 Z
E05B85/14
B60J5/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132254
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】香川 亮太
(72)【発明者】
【氏名】村山 健一
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250LL01
2E250PP12
2E250SS09
(57)【要約】
【課題】車外からの、特に、幼児や児童によるドアの開操作を制限することにより、予期せぬ事故を未然に防止する。
【解決手段】乗員によるドアハンドルDHの把持状態を検出する検出部10と、検出部10により検出された把持状態に関する情報に基づいて、ドアロック/アンロックを制御する制御部20と、を備え、制御部20は、検出部10において検出された検出値が所定値未満であるときに、ドアをアンロック状態からロック状態となるよう制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員によるドアハンドルの把持状態を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記把持状態に基づいて、ドアロック/アンロックを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記検出部において検出された検出値が所定値未満であるときに、ドアをアンロック状態からロック状態となるよう制御することを特徴とする車両。
【請求項2】
前記検出部は、前記ドアハンドルの把持状態を前記ドアハンドルに加わる荷重値として検出することを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記検出部は、前記ドアハンドルの把持状態を前記ドアハンドルの変位量として検出することを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項4】
前記検出部は、前記ドアハンドルの把持状態を前記ドアハンドルへの接触領域として検出することを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項5】
車両所有者あるいは車両操作許可者を含む成人について、前記検出部において検出された前記検出値をパターン化した情報を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記検出値が前記所定値未満で、且つ、前記記憶部に記憶された前記検出値のパターンと類似しない場合には、前記ドアをアンロック状態からロック状態となるよう制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両のドアハンドルに対する乗員の操作を検出して、ドアロック/アンロックを制御する車両が実用化され、普及している。
【0003】
例えば、この種の技術として、ドアロック/アンロックを制御する車両のドアハンドルに設けられ、乗員がドアに接触した際のドアハンドルによるドアの開閉動作を検出するセンサを備え、センサからの出力がある場合に、ドアロックのロック機構の動作を制御する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-030256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術では、例えば、車両の周囲状況を十分に確認することなく、幼児や児童等がドアハンドルを操作した場合であっても、ドアが開いてしまい、車両周囲の歩行者や自転車、隣接して駐車している車両へのドアの衝突が生じるといった予期せぬ事故が発生してしまう虞があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、車外からの、特に、幼児や児童によるドアの開操作を制限することにより、予期せぬ事故を未然に防止する車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、乗員によるドアハンドルの把持状態を検出する検出部と、前記検出部により検出された前記把持状態に関する情報に基づいて、ドアロック/アンロックを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検出部において検出された検出値が所定値未満であるときに、ドアをアンロック状態からロック状態となるよう制御することを特徴とする車両を提案している。
【0008】
形態2;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記検出部は、前記ドアハンドルの把持状態を前記ドアハンドルに加わる荷重値として検出することを特徴とする車両を提案している。
【0009】
形態3;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記検出部は、前記ドアハンドルの把持状態を前記ドアハンドルの変位量として検出することを特徴とする車両を提案している。
【0010】
形態4;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記検出部は、前記ドアハンドルの把持状態を前記ドアハンドルへの接触領域として検出することを特徴とする車両を提案している。
【0011】
形態5;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、車両所有者あるいは車両操作許可者を含む成人について、前記検出部において検出された前記検出値をパターン化した情報を記憶する記憶部を備え、前記制御部は、前記検出値が前記所定値未満で、且つ、前記記憶部に記憶された前記検出値のパターンと類似しない場合には、前記ドアをアンロック状態からロック状態となるよう制御することを特徴とする車両を提案している。
【発明の効果】
【0012】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、車外からの、特に、幼児や児童によるドアの開操作を制限することにより、予期せぬ事故を未然に防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態に係る車両の構成を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る車両を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る車両の処理フローを示す図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る車両の構成を示す図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る車両の処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図1から図5を用いて説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
図1および図3を用いて、本実施形態に係る車両1について説明する。
【0016】
<車両1の構成>
図1に示すように、本実施形態に係る車両1は、検出部10と、制御部20と、ドアロック機構30と、を含んで構成されている。
図2に示すように、車両1は、乗員がドアを開閉するときに把持するドアハンドルDHを備えている。
なお、以下では、車両1がドアのロックあるいはアンロックを制御できる、例えば、スマートキーやデジタルキーによるドアロック機構を備えているものとして説明する。
【0017】
検出部10は、乗員によるドアハンドルDHの把持状態を検出する。
具体的には、検出部10は、乗員が把持するドアハンドルDHに設けられたセンサによって、乗員によるドアハンドルDHの把持状態を検出する。
ここで、乗員によるドアハンドルDHの把持状態を検出する検出部10としては、ドアハンドルDHに加わる荷重値を検出する検出部10aと、ドアハンドルDHの変位量を検出する検出部10bと、ドアハンドルDHへの接触領域を検出する検出部10cと、を例示することができる。
なお、本実施形態に係る車両1は、検出部10a、10b、10cのいずれかひとつを含んで構成されている。
【0018】
検出部10aは、ドアハンドルDHの把持状態を、ドアハンドルDHに加わる荷重値として検出する。
具体的には、検出部10aは、例えば、ロードセルであって、乗員がドアハンドルDHを把持したときの、ドアハンドルDHに加わる荷重値を検出する。
なお、検出部10aは、検出した荷重値をドアハンドルDHの把持状態を示す検出値として、後述する制御部20に送信する。
【0019】
検出部10bは、ドアハンドルDHの把持状態を、ドアハンドルDHの変位量として検出する。
具体的には、検出部10bは、例えば、エラストマセンサであって、乗員がドアハンドルDHを操作したときのストロークをエラストマ(シリコンゴム)の変位量として検出する。
なお、検出部10bは、検出した変位量をドアハンドルDHの把持状態を示す検出値として、後述する制御部20に送信する。
【0020】
検出部10cは、ドアハンドルDHの把持状態を、ドアハンドルDHへの接触領域として検出する。
具体的には、検出部10cは、例えば、タッチセンサであって、乗員がドアハンドルDHを把持したときに、乗員の指や手のひらがタッチセンサに接触している領域の情報を検出する。
より具体的には、検出部10cは、タッチセンサに接触している領域の情報として、例えば、タッチセンサに接触している領域全体の大きさや横幅等を検出する。
なお、検出部10cは、検出した接触領域に関する情報をドアハンドルDHの把持状態を示す検出値として、後述する制御部20に送信する。
【0021】
制御部20は、図示しないROM等に格納された制御プログラムに従って、車両1の全体の動作を制御する。
本実施形態においては、制御部20は、検出部10により検出された把持状態に関する情報に基づいて、ドアロック/アンロックを制御する。
具体的には、制御部20は、検出部10において検出された検出値が所定値未満であるときに、ドアをアンロック状態からロック状態とするように制御する。
ここで、所定値は、例えば、幼児や児童がドアハンドルDHを把持したときの検出部10の検出値よりも大きく、運転者等の成人がドアハンドルDHを把持したときの検出部10の検出値よりも小さい値に設定されている。
【0022】
ドアロック機構30は、車体側に設けられたストライカーと、ドア側に設けられたラッチと、ラッチを回動させるアクチュエータと、を含んで構成されている。
アクチュエータは、制御部20の制御信号に応じて、例えば、時計回りあるいは反時計回りにラッチを回動させ、ラッチがストライカーと噛み合う、あるいはラッチがストライカーから離脱することにより、ドアをロック状態あるいはアンロック状態とする。
【0023】
<車両1の処理>
図3を用いて、車両1の処理の詳細について説明する。
【0024】
検出部10は、乗員によるドアハンドルDHの把持状態を検出し、検出結果を制御部20に送信する(ステップS110)。
【0025】
制御部20は、検出部10からの検出値が、所定値未満か否かを判定し(ステップS120)、制御部20は、検出部10からの検出値が、所定値未満であると判定した場合(ステップS120の「YES」)には、ドアをロック状態とする旨の制御信号をドアロック機構30に送出し、ドアをアンロック状態からロック状態として(ステップS130)、処理を終了する。
【0026】
一方で、制御部20は、検出部10からの検出値が、所定値未満でないと判定した場合(ステップS120の「NO」)には、ドアのアンロック状態を維持させて(ステップS140)、処理を終了する。
【0027】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る車両1の制御部20は、検出部10において検出された乗員によるドアハンドルDHの把持状態に関する情報に基づいて、ドアロック/アンロックを制御し、制御部20は、検出部10において検出された検出値が所定値未満であるときに、ドアロック機構を制御し、ドアをアンロック状態からロック状態となるよう制御する。
例えば、店舗の駐車場に車両を駐車し、乗員を車内に残したまま、ドアロックをすることなく、幼児や児童を含む乗員が店舗に向かったが、幼児や児童がいち早く乗員が待つ車両に戻り、車内に入ろうとドアハンドルDHを操作する場面において、検出部10は、把持状態を所定値未満の検出値を検出し、この検出値を受けた制御部20は、ドアロック機構30を制御し、ドアを現在のアンロック状態からロック状態となるよう制御する。
また、例えば、店舗の駐車場に車両を駐車し、ドアロックをして乗員全員が店舗に向かったが、幼児や児童に先に車両に戻りたいとせがまれて、スマートキーを渡して、幼児や児童を先に車両に戻した場面において、幼児や児童がドアハンドルDHに触れると、ドアは、ロック状態からアンロック状態に遷移するが、幼児や児童がドアハンドルDHを把持すると、検出部10は把持状態を所定値未満の検出値として検出し、この検出値を受けた制御部20は、ドアロック機構30を制御し、ドアを現在のアンロック状態からロック状態となるよう制御する。
そのため、車外からのドア開操作を制限することにより、車両周囲を十分に確認することなく行われる幼児や児童のドア操作による予期せぬ事故を未然に防止することができる。
【0028】
検出部10aは、ドアハンドルDHの把持状態をドアハンドルに加わる荷重値として検出する。
つまり、一般に、幼児や児童の手は小さく、握力も小さいため、幼児や児童がドアハンドルDHを把持しても、検出部10aにおいて検出されるドアハンドルDHに加わる荷重値は、運転者等の成人に比べて小さい値となる。
そのため、制御部20は、検出部10aから入力したドアハンドルDHの荷重値が、所定値未満であった場合には、幼児や児童によるドアハンドルDHの操作なされたと判定し、ドアをアンロック状態からロック状態となるよう制御する。
これにより、車外からのドア開操作を制限することにより、車両周囲を十分に確認することなく行われる幼児や児童のドア操作による予期せぬ事故を未然に防止することができる。
【0029】
検出部10bは、ドアハンドルDHの把持状態をドアハンドルDHの変位量として検出する。
つまり、一般に、幼児や児童は握力が小さいため、幼児や児童がドアハンドルDHを把持しても、検出部10bにおいて検出されるドアハンドルDHの変位量は、運転者等の成人に比べて小さい値となる。
そのため、制御部20は、検出部10bから入力したドアハンドルDHの変位量が、所定値未満であった場合には、幼児や児童によるドアハンドルDHの操作がなされたと判定し、ドアをアンロック状態からロック状態となるよう制御する。
これにより、車外からのドア開操作を制限することにより、車両周囲を十分に確認することなく行われる幼児や児童のドア操作による予期せぬ事故を未然に防止することができる。
【0030】
検出部10cは、ドアハンドルDHの把持状態をドアハンドルDHへの接触領域として検出する。
つまり、一般に、幼児や児童は手が小さいため、幼児や児童がドアハンドルDHを把持した場合に、検出部10cにおいて検出されるドアハンドルDHへの接触領域の大きさは、運転者等の成人に比べて小さい値となる。
そのため、制御部20は、検出部10cから入力したドアハンドルDHへの接触領域の大きさが、所定値未満であった場合には、幼児や児童によるドアハンドルDHの操作がなされたと判定し、ドアをアンロック状態からロック状態となるよう制御する。
これにより、車外からのドア開操作を制限することにより、車両周囲を十分に確認することなく行われる幼児や児童のドア操作による予期せぬ事故を未然に防止することができる。
【0031】
<第2の実施形態>
図4および図5を用いて、本実施形態に係る車両1Aについて説明する。
なお、第1の実施形態と同一の符号を付す構成要素については、同一の機能を有することから、その詳細な説明は省略する。
<車両1Aの構成>
【0032】
図4に示すように、本実施形態に係る車両1Aは、検出部10Aと、制御部20Aと、ドアロック機構30と、パターン化部40と、記憶部50と、を含んで構成されている。
【0033】
検出部10Aは、乗員によるドアハンドルDHの把持状態を検出する。
検出部10Aは、乗員によるドアハンドルDHの把持状態を示す検出値を制御部20Aおよびパターン化部40に送信する。
【0034】
パターン化部40は、検出部10Aから受信した検出値について、ドアハンドルDHを把持するときの検出値の変化を時系列にパターン化する。
パターン化部40において、ドアハンドルDHを把持するときの検出値の変化を時系列にパターン化した情報のうち、車両所有者あるいは車両操作許可者を含む成人によるものは、制御部20Aを介して、後述する記憶部50に記憶される。
また、パターン化部40において、ドアハンドルDHを把持するときの変化を時系列にパターン化した情報のうち、車両所有者あるいは車両操作許可者を含む成人によるもの以外の情報は、制御部20Aに出力され、パターン化した情報間の類否判断に用いられる。
上記のパターン化は、検出部10Aから検出値を受信する度に実行される。
車両所有者あるいは車両操作許可者を含む成人であるかの判断は、例えば、ドライブレコーダーの画像あるいは乗員監視装置の画像中に操作しているドアハンドルDH近傍で写り込む人の体格で判定する。このとき、ドアハンドルDH近傍に写り込む人の上半身が誰なのかを特定することに意味はないため、特定処理は、実行されない。
また、車両を利用する人が限られている場合には、ドアハンドルDHの内部に指紋センサを設けて、判定してもよい。
パターン化されたデータのうち、近似する物は、制御部20Aが後述する記憶部50に書込み処理を行う際に、上書き処理される。
特徴的なパターンとしては、例えば、車両所有者が両手に荷物を抱え、全ての指を使うことができない状態でドアハンドルDHを操作した場合を例示することができる。
パターン化部40は、検出部10Aが、ドアハンドルDHの把持状態を荷重値として検出する検出部10aであった場合には、例えば、荷重値の変化を時系列にパターン化する。
また、パターン化部40は、検出部10Aが、ドアハンドルDHの把持状態をドアハンドルDHの変位量として検出する検出部10bであった場合には、例えば、荷重値の変化を時系列にパターン化する。
なお、ドアハンドルDHの把持状態をドアハンドルDHへの接触領域として検出する検出部10cについては、一般的に、接触領域が時系列的に、ある特徴を持って変化することが考えにくいため、除外する。
【0035】
記憶部50は、車両所有者あるいは車両操作許可者を含む成人について、検出部10Aにおいて検出された検出値をパターン化した情報を記憶する。
【0036】
制御部20Aは、検出部10Aによる検出値が所定値未満で、且つ、記憶部50に記憶された検出値のパターンと類似しない場合には、ドアをアンロック状態からロック状態となるよう制御する。
ここで、「類似しない」とは、例えば、パターン化部40により検出部10Aが検出した検出値についてパターン化されたドアハンドルDHを把持するときの検出値の時系列データと、記憶部50に記憶されているパターン化されたドアハンドルDHを把持するときの検出値の時系列データとを比較し、その差分が、予め定めた差分よりも大きい場合をいう。
制御部20Aは、検出部10Aは、乗員によるドアハンドルDHの把持状態を示す検出値についてパターン化されたドアハンドルDHを把持するときの検出値の時系列データをパターン化部40から入力する。
【0037】
<車両1Aの処理>
図5を用いて、車両1Aの処理の詳細について説明する。
検出部10Aは、乗員によるドアハンドルDHの把持状態を検出し、検出結果を制御部20Aおよびパターン化部40に送信する(ステップS210)。
【0038】
パターン化部40は、検出部10Aから入力した乗員によるドアハンドルDHの把持状態に関する検出値の時系列データをパターン化した情報を生成する(ステップS220)。
【0039】
制御部20Aは、検出部10Aからの検出値が、所定値未満か否かを判定し(ステップS230)、制御部20Aは、検出部10Aからの検出値が、所定値未満ではないと判定した場合(ステップS230の「NO」)には、ドアのアンロック状態を維持し(ステップS260)、処理を終了する。
【0040】
一方で、制御部20は、検出部10からの検出値が、所定値未満であると判定した場合(ステップS230の「YES」)には、次いで、記憶部50に記憶されている車両所有者あるいは車両操作許可者を含む成人についてのパターン化した情報と、ステップS220において生成されたパターン化した情報と、が類似するか否かを判定する(ステップS240)。
【0041】
制御部20は、記憶部50に記憶されている車両所有者あるいは車両操作許可者を含む成人についてのパターン化した情報と、ステップS220において生成されたパターン化した情報と、が類似すると判定する場合(ステップS240「YES」)には、ドアのアンロック状態を維持し(ステップS260)、処理を終了する。
【0042】
一方で、制御部20は、記憶部50に記憶されている車両所有者あるいは車両操作許可者を含む成人についてのパターン化した情報と、ステップS220において生成されたパターン化した情報と、が類似しないと判定する場合(ステップS240「NO」)には、ドアをロック状態とする旨の制御信号をドアロック機構30に送出し(ステップS250)、ドアをアンロック状態からロック状態となるよう制御する。
【0043】
<作用効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る車両1Aの記憶部50は、車両所有者あるいは車両操作許可者を含む成人について、検出部10Aにおいて検出された検出値をパターン化した情報を記憶している。
また、制御部20Aは、検出値が所定値未満で、且つ、記憶部50に記憶された検出値のパターンと類似しない場合には、ドアをアンロック状態からロック状態となるよう制御する。
つまり、制御部20Aにおける制御の判断基準を「検出値が所定値未満」だけとした場合には、稀に生じる車両所有者あるいは車両操作許可者を含む成人の操作を含む場合がある。そこで、さらに、判断基準として、「記憶部50に記憶された検出値のパターンと類似しない」ことを付加することとしている。
このような判断基準を設けることにより、幼児や児童の操作であることを制御部20Aが、より的確に判断することが可能となるため、車外からの、特に、幼児や児童によるドアの開操作を制限することにより、予期せぬ事故を未然に防止することができる。
一方で、換言すれば、制御部20Aは、検出値が所定値未満で、且つ、記憶部50に記憶された検出値のパターンと類似する場合には、ドアをアンロック状態からロック状態となるようにする制御を実行しない。
つまり、上記の判断基準に合致する場合には、ドアをアンロック状態するとすることによって、たとえ稀に生じる車両所有者あるいは車両操作許可者を含む成人の操作であっても、車両所有者あるいは車両操作許可者を含む成人の利便性を図ることができる。
また、検出部10Aにおいて検出された検出値をパターン化した情報を比較することにより、点としての比較を線としての比較とすることができるため、比較における判定精度を向上させることができる。
そのため、車両所有者あるいは車両操作許可者を含む成人の行為と幼児や児童の行為とを精度よく峻別することができるため、車外からの、特に、幼児や児童によるドアの開操作を制限することにより、予期せぬ事故を未然に防止することができる。
【0044】
<変形例1>
上述した第1の実施形態に係る車両1の検出部10は、ドアハンドルDHに加わる荷重値を検出する検出部10a、ドアハンドルDHの変位量を検出する検出部10b、ドアハンドルDHへの接触領域を検出する検出部10cのいずれかひとつにより、ドアハンドルDHの把持状態を検出していたが、2つ以上を組み合わせてドアハンドルDHの把持状態を検出するようにしてもよい。
例えば、老人がドアハンドルDHを把持した場合には、ドアハンドルDHへの接触領域は幼児や児童より大きいが、ドアハンドルDHに加わる荷重値は、成人に比べ小さい値となる。
そのため、制御部20は、検出部10aの検出値(ドアハンドルDHに加わる荷重値を示す検出値)および、検出部10cの検出値(ドアハンドルDHへの接触領域を示す検出値)を取得し、取得した検出値と、検出値ごとに設定された所定値との比較結果から、現在ドアハンドルDHを把持している人が、老人であるか否かを判定する。
これは、幼児や児童と同様に老人は、車両周辺を十分に確認することなく、ドアの開操作を行ってしまう可能性もあることから、例えば、制御部20は、ドアハンドルDHを把持している人が、老人であると判定した場合には、ドアをアンロック状態からロック状態となるよう制御するものである。
これにより、車外からの、特に、老人によるドアの開操作を制限することにより、予期せぬ事故を未然に防止することができる。
【0045】
<変形例2>
上述した第2の実施形態では、パターン化部40は、検出部10Aから受信した検出値について、ドアハンドルDHを把持するときの検出値の変化を時系列にパターン化することを示したが、例えば、他の車両にドアハンドルDHを把持するときの検出値の変化を時系列にパターン化情報が格納されている場合には、それらの情報から、標準的な成人のパターン化した情報を生成し、これを各車両で、流用するようにしてもよい。
厳密には、上記データには、個人差を含むが、パターン化した情報を用いて判定を行う意図は、成人の操作と幼児や児童の操作を区別することにあるため、上記のような情報を用いた場合であっても、同等の効果が期待できる。
【0046】
なお、制御部20、20A等の処理をコンピュータシステムが読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを制御部20、20A等に読み込ませ、実行することによって本発明の車両1、1Aを実現することができる。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0047】
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0048】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0049】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1;車両
1A;車両
10;検出部
10A;検出部
20;制御部
20A;制御部
30;ドアロック機構
40;パターン化部
50;記憶部
DH;ドアハンドル
図1
図2
図3
図4
図5