(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029852
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】留め具、および、留め具組体
(51)【国際特許分類】
B42F 1/02 20060101AFI20240229BHJP
A44B 99/00 20100101ALI20240229BHJP
【FI】
B42F1/02 C
A44B99/00 611B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132273
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】591070831
【氏名又は名称】株式会社マーゼンプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】100109195
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 勝典
(72)【発明者】
【氏名】内藤 佳秋
【テーマコード(参考)】
2C017
【Fターム(参考)】
2C017BA01
2C017DA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】留め具が被取付物を複数の異なる姿勢で着脱可能に取り付ける。
【解決手段】留め具は、回動可能な2つの保持部材と、弾性付勢部材とを備える。各保持部材は、回動支点を形成するための支点部分と、各保持部材が延びる所定の延出方向において支点部分を基準として一方側に配置される挟持部分と、支点部分を基準として他方側に配置される操作部分と、挟持部分および操作部分よりも支点部分に近い位置に配置され、被取付物を取り付けるための取付部分とを含む。弾性付勢部材は、両挟持部分が接近する方向に両保持部材を弾性力により付勢する。両挟持部分が離れる方向に両保持部材が支点部分の周りに回動するように、両操作部分は、弾性付勢部材の弾性力に抗して操作可能に形成される。各取付部分は、被取付物の一部分が所定の延出方向において貫通する開口に挿通されることにより、被取付物を各保持部材に着脱可能に取り付ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被保持媒体を挟持して保持する留め具であって、
互いに回動可能に組付けられる第1および第2の保持部材と、
弾性付勢部材と、を備え、
第1および第2の保持部材の各保持部材は、
回動支点を形成するための支点部分と、
各保持部材が延びる所定の延出方向において支点部分を基準として一方側に配置され、被保持媒体を挟持するための挟持部分と、
所定の延出方向において支点部分を基準として他方側に配置される操作部分と、
所定の延出方向において挟持部分および操作部分よりも支点部分に近い位置に配置され、被取付物を取り付けるための取付部分と、を含み、
弾性付勢部材は、第1および第2の保持部材の両挟持部分が互いに接近する方向に、両保持部材を弾性力によりそれぞれ付勢し、
両保持部材の両挟持部分が互いに離れる方向に両保持部材が支点部分の周りに回動するように、両保持部材の両操作部分は、弾性付勢部材の弾性力に抗して操作可能に形成され、
両保持部材の両取付部分の各取付部分は、所定の延出方向において貫通する開口を有し、
各取付部分は、所定の延出方向において被取付物の取付姿勢が反転する2つの異なる姿勢のうちのいずれかの取付姿勢となるように、被取付物の一部分が各取付部分の開口に挿通されることにより、被取付物を各保持部材に着脱可能に取り付ける留め具。
【請求項2】
第1および第2の保持部材の各保持部材は、
挟持部分が形成される内側面と、
取付部分が形成される外側面と、を含み、
各保持部材の外側面は、所定の延出方向に直線状に延びる側面により形成され、
被取付物の一部分は、所定の延出方向において、挟持部分から支点部分に向かう方向と、操作部分から支点部分に向かう方向とのいずれの方向からも、各保持部材の外側面に沿って取付部分の開口に挿通される請求項1に記載の留め具。
【請求項3】
第1および第2の保持部材の各保持部材は、
挟持部分が形成される内側面と、
取付部分が形成される外側面と、を含み、
取付部分は、各保持部材の外側面から突出して形成される一対の取付片を含み、
一対の取付片は、取付部分の開口を画定するために所定の延出方向と直交する方向に延びるとともに、その直交する方向において間隔をあけて各保持部材に配置される請求項1に記載の留め具。
【請求項4】
第1および第2の保持部材の各保持部材は、所定の延出方向における両端部であって、挟持部分が配置される側の挟持側端部、および操作部分が配置される側の操作側端部を含み、
操作側端部は、所定の延出方向と直交する方向に直線状に延びる端面により形成され、
第1の保持部材の操作側端部の端面と、第2の保持部材の操作側端部の端面とは、留め具が机の上面などの平面に載置される場合に、その載置される平面にそれぞれ接触して留め具を起立する状態に保持する請求項1に記載の留め具。
【請求項5】
取付部分は、支点部分よりも挟持側端部から離れる位置に配置されるとともに、支点部分よりも挟持側端部と操作側端部との間の中央位置に近い位置に配置される請求項4に記載の留め具。
【請求項6】
弾性付勢部材は、
第1および第2の弾性腕部分と、
両弾性腕部分を連結する連結部分と、を含み、
第1および第2の保持部材の各保持部材は、
挟持部分が形成される内側面と、
取付部分が形成される外側面と、
第1および第2の弾性腕部分の各弾性腕部分を収容する収容部分と、
所定の延出方向において支点部分と挟持部分との間に配置され、各弾性腕部分を係止する係止部分と、を含み、
収容部分は、各弾性腕部分が係止部分により係止される状態において、各弾性腕部分が各保持部材の外側面から突出しないように、各弾性腕部分を収容する請求項1に記載の留め具。
【請求項7】
第1および第2の保持部材の各保持部材は、外側面において開放して形成され、収容部分に連通する溝部分を含む請求項6に記載の留め具。
【請求項8】
支点部分は、内側面から突出する1つの突出部と、内側面から外側面に向かって窪む1つの窪み部と、を含み、
突出部と窪み部とは、挟持部分と溝部分との間の位置に配置され、各保持部材が回動する軸線に平行な方向において間隔をあけて配列され、
第1の保持部材の突出部は第2の保持部材の窪み部に嵌り、第1の保持部材の窪み部は第2の保持部材の突出部に嵌ることにより、両保持部材は互いに回動可能に組付けられる請求項7に記載の留め具。
【請求項9】
被保持媒体を挟持して保持する留め具と、留め具に着脱可能に取り付けられる被取付物と、を備える留め具組体であって、
留め具は、
互いに回動可能に組付けられる第1および第2の保持部材と、
弾性付勢部材と、を備え、
第1および第2の保持部材の各保持部材は、
回動支点を形成するための支点部分と、
各保持部材が延びる所定の延出方向において支点部分を基準として一方側に配置され、被保持媒体を挟持するための挟持部分と、
所定の延出方向において支点部分を基準として他方側に配置される操作部分と、
所定の延出方向において挟持部分および操作部分よりも支点部分に近い位置に配置され、被取付物を取り付けるための取付部分と、を含み、
弾性付勢部材は、第1および第2の保持部材の両挟持部分が互いに接近する方向に、両保持部材を弾性力により付勢し、
両保持部材の両挟持部分が互いに離れる方向に両保持部材が支点部分の周りに回動するように、両保持部材の両操作部分は、弾性付勢部材の弾性力に抗して操作可能に形成され、
両保持部材の両取付部分の各取付部分は、所定の延出方向において貫通する開口を有し、
各取付部分は、所定の延出方向において被取付物の取付姿勢が反転する2つの異なる姿勢のうちのいずれかの取付姿勢となるように、被取付物の一部分が各取付部分の開口に挿通されることにより、被取付物を各保持部材に着脱可能に取り付ける留め具組体。
【請求項10】
所定の延出方向において、挟持部分から支点部分に向かう方向から、被取付物の一部分が取付部分の開口に挿通されることにより、取付部分が、被取付物を各保持部材に着脱可能に取り付ける状態において、第1の保持部材の取付部分により取り付けられる第1の被取付物は、第1の保持部材の挟持部分から突出して延び、第2の保持部材の取付部分により取り付けられる第2の被取付物は、第2の保持部材の挟持部分から突出して延び、第1および第2の被取付物の突出する部分は、弾性付勢部材の弾性力により圧接される請求項9に記載の留め具組体。
【請求項11】
第1および第2の保持部材の各保持部材は、所定の延出方向における両端部であって、挟持部分が配置される側の挟持側端部、および操作部分が配置される側の操作側端部を含み、
支点部分は、操作側端部よりも、挟持側端部に近い位置に配置される請求項10に記載の留め具組体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに回動可能に組付けられる一対の保持部材を備え、両保持部材の両挟持部分により被保持媒体を挟持して保持する留め具に関する。詳細には、両保持部材の各保持部材が、被取付物を着脱可能に取り付ける取付部分を含む留め具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣服またはメモ用紙などの被保持媒体を挟持して保持するために互いに回動可能に組付けられる一対の保持部材を備える留め具として、種々の構成の留め具が提案されている。たとえば、特許文献1および特許文献2に記載のクリップのように、被保持媒体を挟持する一対の保持部材を備える留め具が知られている。特許文献1に記載のクリップは、両保持部材の一方の保持部材の挟持側端部に、U字形状のフックが形成され、名札カードなどがフックにより吊り下げられる構成を備える。特許文献2に記載のクリップは、両保持部材の一方の保持部材の操作側端部に、屈曲形状の部分が形成され、コピー用紙などが屈曲形状の部分により挟み込まれる構成を備える。
【0003】
一対の保持部材を備える留め具として、特許文献1および特許文献2に記載のクリップ以外にも、特許文献3に記載のクリップが知られている。特許文献3に記載のクリップは、両保持部材の一方の保持部材の操作側端部に近い位置に、鍔状の部分と、その鍔状の部分を支える軸部分とが形成される。所定形状の被取付物が、軸部分の周りに巻かれる状態などの特定の状態で鍔状の部分により取り付けられる構成と考えられる。
【0004】
近年、アニメーションなどの登場人物の図柄が描かれるキャラクターグッズを室内に飾ったりキーホルダなどに付けたりすることにより、ユーザ好みの環境を楽しむことが流行している。たとえば、キャラクターグッズとしては、特許文献4に記載のキャラクターグッズなどが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】意匠登録第1261767号公報
【特許文献2】意匠登録第1466550号公報
【特許文献3】意匠登録第1598798号公報
【特許文献4】実用新案登録第3232949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近のアニメの流行などを考慮すれば、ユーザが、好みのキャラクターグッズを好みの姿勢でクリップに取り付けることにより、自分好みのオリジナルのクリップを作成して、楽しみたいという潜在的な需要が存在することが予想される。しかし、特許文献1乃至特許文献3に記載のクリップは、名札カードまたはメモ用紙などの一定形状の被取付物を、クリップの一箇所に、一定の取付姿勢で取り付けることを想定して設計され、クリップの用途が単一の用途に限定される。このために、特許文献4に記載のキャラクターグッズなどのユーザ好みの被取付物を、ユーザ好みの姿勢で取り付けることにより、自分好みのオリジナルのクリップを作成したり、または、自分好みの使用形態でクリップを使用するためには、特許文献1乃至特許文献3に記載のクリップは、適していない。
【0007】
そこで、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、被取付物が複数の異なる姿勢で着可能に取り付けられる留め具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(第1の発明態様およびその具体的態様)
請求項1に記載の第1の発明態様は、被保持媒体を挟持して保持する留め具であって、互いに回動可能に組付けられる第1および第2の保持部材と、弾性付勢部材と、を備え、第1および第2の保持部材の各保持部材は、回動支点を形成するための支点部分と、各保持部材が延びる所定の延出方向において支点部分を基準として一方側に配置され、被保持媒体を挟持するための挟持部分と、所定の延出方向において支点部分を基準として他方側に配置される操作部分と、所定の延出方向において挟持部分および操作部分よりも支点部分に近い位置に配置され、被取付物を取り付けるための取付部分と、を含み、弾性付勢部材は、第1および第2の保持部材の両挟持部分が互いに接近する方向に、両保持部材を弾性力によりそれぞれ付勢し、両保持部材の両挟持部分が互いに離れる方向に両保持部材が支点部分の周りに回動するように、両保持部材の両操作部分は、弾性付勢部材の弾性力に抗して操作可能に形成され、両保持部材の両取付部分の各取付部分は、所定の延出方向において貫通する開口を有し、各取付部分は、所定の延出方向において被取付物の取付姿勢が反転する2つの異なる姿勢のうちのいずれかの取付姿勢となるように、被取付物の一部分が各取付部分の開口に挿通されることにより、被取付物を各保持部材に着脱可能に取り付ける。
【0009】
本発明態様では、第1の保持部材と、第2の保持部材とは、全く同じ形状、寸法、および材質を有する部材であってもよいし、形状、寸法、および材質の少なくとも1つ構成要素において異なる部材であってもよい。
【0010】
本発明態様では、弾性付勢部材は、第1および第2の保持部材の両挟持部分が互いに接近する方向に、両保持部材を弾性力によりそれぞれ付勢する構成であれば、種々の構成で具現化される。たとえば、弾性付勢部材としては、コイルバネ、または、U字形状の板バネが使用されてもよい。
【0011】
本発明態様では、両挟持部分が互いに離れる方向に両保持部材が支点部分の周りに回動するように、弾性付勢部材の弾性力に抗して、ユーザが操作部分を操作することができるのであれば、操作部分は、各保持部材の操作側端部に限定されず、支点部分と操作側端部との間の領域に配置されればよい。
【0012】
本発明態様では、取付部材の開口は、各保持部材が延びる所定の延出方向、すなわち各保持部材の長手方向において貫通する取付空間を形成する形状であれば、種々の構成で具現化される。たとえば、所定の延出方向と直交する方向、すなわち各保持部材の幅方向において、間隔をあけて配列される一対の取付片により、開口の取付空間が画定される構成であってもよいし、直交する方向に連続して延びる部分を有する少なくとも1つの取付枠により、開口の取付空間が画定される構成であってもよい。
【0013】
本発明態様では、「被取付物の一部分が各取付部分の開口に挿通される」について、被取付物の一部分が所定の延出方向において開口の一方の側から他方の側に向かって延びる状態で、被取付物の一部分が開口に嵌るのであれば、被取付物の一部分が開口に対して進入する方向は、所定の延出方向、すなわち各保持部材の長手方向に沿う方向であってもよいし、所定の延出方向と交差する方向、各保持部材の幅方向または厚さ方向に沿う方向であってもよい。
【0014】
本発明態様では、取付部分は、挟持部分および操作部分よりも支点部分に近い位置に配置されるのであれば、挟持部分が配置される側の挟持側端部と支点部分との間の位置に配置されてもよいし、操作部分が配置される側の操作側端部と支点部分との間の位置に配置されてもよし、挟持側端部および操作側端部の間の中央位置に配置されてもよい。
【0015】
本発明態様では、被取付物は留め具の必須構成要素ではないが、被取付物は、その一部分が各取付部分の開口に挿通される形状であれば、種々の形状で構成される。たとえば、被取付物は、平板形状または立体形状の物品に、キャラクターなどの図柄を表す画像、または、ユーザが希望するメッセージが描かれる構成であってもよい。
【0016】
本発明態様では、被取付物の一部分が各取付部分の開口に挿通される構成であるが、被取付物の一部分は、被取付物の所定形状の端部、たとえばキャラクターのつま先に近い部分であってもよいし、被取付物の所定形状の中間部分、たとえばキャラクターのウエストに近い部分であってもよい。
【0017】
本発明態様では、両保持部材の各保持部材が、取付部分を含む構成であるが、留め具を使用する際に、一方の保持部材の取付部分の開口のみに、1つの被取付物が挿通されて使用されてもよいし、両方の保持部材の取付部分の開口に、2つの被取付物がそれぞれ挿通されて使用されてもよい。また、2つの被取付物が両方の保持部材の取付部分の開口に挿通される場合には、2つの被取付物は、その形状、寸法、および、描かれる画像などについて、同じ物であってもよいし、異なる物であってもよい。
【0018】
本発明態様では、「被取付物を各保持部材に着脱可能に取り付ける」とは、留め具および被取付物以外に特別な部材を使用することなく、また、留め具および被取付物に特別な加工を施すことなく、被取付物を各保持部材に対して取り付けたり取り外したりすることである。
【0019】
本発明態様では、「所定の延出方向において被取付物の取付姿勢が反転する2つの異なる姿勢」とは、たとえば、被取付物に描かれる画像の特定部分が、取付部分よりも挟持側端部の側に位置する姿勢と、取付部分よりも操作側端部の側に位置する姿勢とを意味する。
【0020】
本発明態様では、被保持媒体は、メモ用紙またはファイルなどの携帯可能な媒体であってもよいし、仕切りまたはスタンドなど、所定の位置に設置される静止状態の媒体であってもよい。
【0021】
請求項2に記載の具体的態様では、第1および第2の保持部材の各保持部材は、挟持部分が形成される内側面と、取付部分が形成される外側面と、を含み、各保持部材の外側面は、所定の延出方向に直線状に延びる側面により形成され、被取付物の一部分は、所定の延出方向において、挟持部分から支点部分に向かう方向と、操作部分から支点部分に向かう方向とのいずれの方向からも、各保持部材の外側面に沿って取付部分の開口に挿通される。
【0022】
本具体的態様では、各保持部材の外側面は、被取付物を開口に向かって円滑に案内するためには、所定の延出方向に直線状に延びる平坦面により形成されることが好ましい。しかし、外側面は、所定の延出方向に直線状に延びる形状であれば、平坦面には限定されない。たとえば、所定の延出方向に直線状に延びる溝部が外側面に形成されてもよい。
【0023】
請求項3に記載の具体的態様では、第1および第2の保持部材の各保持部材は、挟持部分が形成される内側面と、取付部分が形成される外側面と、を含み、取付部分は、各保持部材の外側面から突出して形成される一対の取付片を含み、一対の取付片は、取付部分の開口を画定するために所定の延出方向と直交する方向に延びるとともに、その直交する方向において間隔をあけて各保持部材に配置される。
【0024】
本具体的態様では、一対の取付片の各取付片は、被取付物が外側面と直交する方向に外側面から脱落することを防ぐために、所定の延出方向と直交する方向に延びる部分を有する構成であれば、種々の構成で具現化される。
【0025】
請求項4に記載の具体的態様では、第1および第2の保持部材の各保持部材は、所定の延出方向における両端部であって、挟持部分が配置される側の挟持側端部、および操作部分が配置される側の操作側端部を含み、操作側端部は、所定の延出方向と直交する方向に直線状に延びる端面により形成され、第1の保持部材の操作側端部の端面と、第2の保持部材の操作側端部の端面とは、留め具が机の上面などの平面に載置される場合に、その載置される平面にそれぞれ接触して留め具を起立する状態に保持する。
【0026】
本実施形態では、操作側端部の端面は、机の上面などの載置される平面との接触面積を広くするためには、平坦面により形成されることが好ましい。しかし、操作側端部の端面は、所定の延出方向と直交する方向に直線状に延びる形状であれば、平坦面には限定されない。所定の延出方向と直交する方向に直線状に延びる溝部が端面に形成されてもよい。
【0027】
請求項5に記載の具体的態様では、取付部分は、支点部分よりも挟持側端部から離れる位置に配置されるとともに、支点部分よりも挟持側端部と操作側端部との間の中央位置に近い位置に配置される。
【0028】
本実施形態では、取付部分は、挟持側端部と操作側端部との間の中央位置に配置されてもよいし、挟持側端部および操作側端部のうちの一方の端部の側に中央位置からずれた位置に配置されてもよい。
【0029】
請求項6に記載の具体的態様では、弾性付勢部材は、第1および第2の弾性腕部分と、両弾性腕部分を連結する連結部分と、を含み、第1および第2の保持部材の各保持部材は、挟持部分が形成される内側面と、取付部分が形成される外側面と、第1および第2の弾性腕部分の各弾性腕部分を収容する収容部分と、所定の延出方向において支点部分と挟持部分との間に配置され、各弾性腕部分を係止する係止部分と、を含み、収容部分は、各弾性腕部分が係止部分により係止される状態において、各弾性腕部分が各保持部材の外側面から突出しないように、各弾性腕部分を収容する。
【0030】
本具体的態様では、各保持部材の収容部分は、各弾性腕部分を収容する空間を有すれば、連結部分の全部または一部分を収容する空間を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0031】
請求項7に記載の具体的態様では、第1および第2の保持部材の各保持部材は、外側面において開放して形成され、収容部分に連通する溝部分を含む。
【0032】
本具体的態様では、溝部分は、所定の延出方向において支点部分と異なる位置に配置されてもよいし、所定の延出方向と直交する方向、すなわち各保持部材の幅方向に並んで配置されてもよい。
【0033】
請求項8に記載の具体的態様では、支点部分は、内側面から突出する1つの突出部と、内側面から外側面に向かって窪む1つの窪み部と、を含み、突出部と窪み部とは、挟持部分と溝部分との間の位置に配置され、各保持部材が回動する軸線に平行な方向において間隔をあけて配列され、第1の保持部材の突出部は第2の保持部材の窪み部に嵌り、第1の保持部材の窪み部は第2の保持部材の突出部に嵌ることにより、両保持部材は互いに回動可能に組付けられる。
【0034】
本具体的態様では、突出部は、半球状に突出して形成されるとともに、窪み部は、半球状に窪んで形成されることが好ましい。しかし、突出部および窪み部は、半球状の形状に限定されず、種々の形状で具現化される。たとえば、各保持部材が回動する軸線に平行な方向に長い曲面形状に、突出部および窪み部は、形成されてもよい。
【0035】
(第2の発明態様およびその具体的態様)
請求項9に記載の第2の発明態様は、被保持媒体を挟持して保持する留め具と、留め具に着脱可能に取り付けられる被取付物と、を備える留め具組体である。留め具は、互いに回動可能に組付けられる第1および第2の保持部材と、弾性付勢部材と、を備え、第1および第2の保持部材の各保持部材は、回動支点を形成するための支点部分と、各保持部材が延びる所定の延出方向において支点部分を基準として一方側に配置され、被保持媒体を挟持するための挟持部分と、所定の延出方向において支点部分を基準として他方側に配置される操作部分と、所定の延出方向において挟持部分および操作部分よりも支点部分に近い位置に配置され、被取付物を取り付けるための取付部分と、を含み、弾性付勢部材は、第1および第2の保持部材の両挟持部分が互いに接近する方向に、両保持部材を弾性力により付勢し、両保持部材の両挟持部分が互いに離れる方向に両保持部材が支点部分の周りに回動するように、両保持部材の両操作部分は、弾性付勢部材の弾性力に抗して操作可能に形成され、両保持部材の両取付部分の各取付部分は、所定の延出方向において貫通する開口を有し、各取付部分は、所定の延出方向において被取付物の取付姿勢が反転する2つの異なる姿勢のうちのいずれかの取付姿勢となるように、被取付物の一部分が各取付部分の開口に挿通されることにより、被取付物を各保持部材に着脱可能に取り付ける。
【0036】
本発明態様では、留め具組体は、留め具と、少なくとも1つの被取付物とを必須構成要素とする。留め具組体は、第1および第2の保持部材の両取付部分にそれぞれ取り付けられる2つの被取付物以外に、ユーザが任意に選択することができる別の被取付物を備える構成であってもよい。
【0037】
本発明態様は、第1の発明態様、および、その具体的態様について記載されるように、種々の態様にて具現化される。
【0038】
請求項10に記載の具体的態様では、所定の延出方向において、挟持部分から支点部分に向かう方向から、被取付物の一部分が取付部分の開口に挿通されることにより、取付部分が、被取付物を各保持部材に着脱可能に取り付ける状態において、第1の保持部材の取付部分により取り付けられる第1の被取付物は、第1の保持部材の挟持部分から突出して延び、第2の保持部材の取付部分により取り付けられる第2の被取付物は、第2の保持部材の挟持部分から突出して延び、第1および第2の被取付物の突出する部分は、弾性付勢部材の弾性力により圧接される。
【0039】
本具体的態様では、第1の被取付物と、第2の被取付物とは、形状および寸法について、同じ物であってもよいし、異なる物であってもよい。
【0040】
請求項11に記載の具体的態様では、第1および第2の保持部材の各保持部材は、所定の延出方向における両端部であって、挟持部分が配置される側の挟持側端部、および操作部分が配置される側の操作側端部を含み、支点部分は、操作側端部よりも、挟持側端部に近い位置に配置される。
【発明の効果】
【0041】
(第1の発明態様およびその具体的態様の効果)
請求項1に記載の第1の発明態様では、被取付物を取り付けるための取付部分が、所定の延出方向において挟持部分および操作部分よりも支点部分に近い位置に配置される。両保持部材の両取付部分は、所定の延出方向において貫通する開口をそれぞれ有する。所定の延出方向において被取付物の取付姿勢が反転する2つの異なる姿勢のうちのいずれかの取付姿勢となるように、被取付物の一部分が各取付部分の開口に挿通されることにより、各取付部分は、被取付物を各保持部材に着脱可能に取り付ける。この結果、被取付物が複数の異なる姿勢で着脱可能に留め具に取り付けられるので、ユーザは、好みの被取付物を好みの取付姿勢で留め具に取り付け、好みの形状の留め具を作成したり、また、好みの使用態様で留め具を使用したりすることができる。
【0042】
請求項2に記載の具体的態様では、各保持部材の外側面は、所定の延出方向に直線状に延びる側面により形成される。被取付物の一部分は、所定の延出方向において、挟持部分から支点部分に向かう方向と、操作部分から支点部分に向かう方向とのいずれの方向からも、各保持部材の外側面に沿って取付部分の開口に挿通される。この結果、ユーザは、被取付物を各保持部材の外側面に沿って取付部分の開口に挿通することができる。また、ユーザは、被取付物に応じて、たとえば被取付物に描かれる図柄、または被取付物の使用態様に応じて、被取付物を開口に挿通する方向を選ぶことにより、被取付物を好みの姿勢で留め具に取り付けることができる。
【0043】
請求項3に記載の具体的態様では、取付部分は、各保持部材の外側面から突出して形成される一対の取付片を含む。一対の取付片は、取付部分の開口を画定するために所定の延出方向と直交する方向に延びるとともに、その直交する方向において間隔をあけて各保持部材に配置される。この結果、被取付物の一部分と開口との寸法精度がばらつく場合でも、一対の取付片が僅かに弾性変形して一対の取付片の間隔が調整されることから、ユーザは、被取付物の一部分を開口に確実に挿通させることができる。
【0044】
請求項4に記載の具体的態様では、操作側端部は、所定の延出方向と直交する方向に直線状に延びる端面により形成される。第1の保持部材の操作側端部の端面と、第2の保持部材の操作側端部の端面とは、留め具が載置される平面にそれぞれ接触して留め具を起立する状態に保持する。この結果、ユーザは、メモ用紙などの被保持媒体が両挟持部分により挟まれる状態の留め具を起立する状態で机の上面などに載置することができる。また、被取付物が挟持部分から突出して延びる状態で取付部分により取り付けられる場合でも、ユーザは、留め具を起立する状態で机の上面などに載置することができる。
【0045】
請求項5に記載の具体的態様では、取付部分は、支点部分よりも挟持側端部から離れる位置に配置されるとともに、支点部分よりも挟持側端部と操作側端部との間の中央位置に近い位置に配置される。この結果、支点部分は取付部分よりも中央位置から離れて挟持側端部に近い位置に配置されることから、被取付物が挟持部分から突出して延びる状態で取付部分により取り付けられる場合でも、第1の保持部材の操作側端部の端面と第2の保持部材の操作側端部の端面とが充分に間隔をあけた状態で配置されることから、ユーザは、被取付物が挟持部分から突出して延びる状態の留め具を、机の上面などに安定して載置することができる。
【0046】
請求項6に記載の具体的態様では、弾性付勢部材は、第1および第2の弾性腕部分と、両弾性腕部分を連結する連結部分と、を含む。第1および第2の保持部材の各保持部材は、第1および第2の弾性腕部分の各弾性腕部分を収容する収容部分と、所定の延出方向において支点部分と挟持部分との間に配置され、各弾性腕部分を係止する係止部分と、を含む。収容部分は、各弾性腕部分が係止部分により係止される状態において、各弾性腕部分が各保持部材の外側面から突出しないように、各弾性腕部分を収容する。この結果、各弾性腕部分が各保持部材の外側面から突出しないことから、ユーザは、被取付物を外側面に接触させる状態で取付部分に安定して取り付けることができる。また、ユーザは、各弾性腕部分に邪魔されることなく外側面に沿って被取付物を開口に挿通させることができる。
【0047】
請求項7に記載の具体的態様では、第1および第2の保持部材の各保持部材は、外側面において開放して形成され、収容部分に連通する溝部分を含む。この結果、各弾性腕部分を各係止部分に係止させる場合に、各弾性腕部分の一部分を溝部分から一時的に突出させることが許容されることから、弾性付勢部材を両保持部材に組み付ける作業が容易になる。
【0048】
請求項8に記載の具体的態様では、支点部分は、内側面から突出する1つの突出部と、内側面から外側面に向かって窪む1つの窪み部と、を含む。突出部と窪み部とは、挟持部分と溝部分との間の位置に配置され、各保持部材が回動する軸線に平行な方向において間隔をあけて配列される。第1の保持部材の突出部は第2の保持部材の窪み部に嵌り、第1の保持部材の窪み部は第2の保持部材の突出部に嵌ることにより、両保持部材は互いに回動可能に組付けられる。この結果、同じ構造を有する保持部材から、第1の保持部材と第2の保持部材とを構成することができることから、留め具の製作工程を簡易にすることができる。また、突出部と窪み部とが挟持部分と溝部分との間の位置に配置されることから、突出部と窪み部とが各保持部材の幅方向において溝部分と並んで配置される構成に比べ、各保持部材の幅方向の寸法を小さくすることができる。
【0049】
(第2の発明態様およびその具体的態様の効果)
請求項9に記載の第2の発明態様は、被保持媒体を挟持して保持する留め具と、留め具に着脱可能に取り付けられる被取付物と、を備える留め具組体である。第2の発明態様では、被取付物を取り付けるための取付部分が、所定の延出方向において挟持部分および操作部分よりも支点部分に近い位置に配置される。両保持部材の両取付部分は、所定の延出方向において貫通する開口をそれぞれ有する。所定の延出方向において被取付物の取付姿勢が反転する2つの異なる姿勢のうちのいずれかの取付姿勢となるように、被取付物の一部分が各取付部分の開口に挿通されることにより、各取付部分は、被取付物を各保持部材に着脱可能に取り付ける。この結果、被取付物が複数の異なる姿勢で着脱可能に留め具に取り付けられるので、ユーザは、好みの被取付物を好みの取付姿勢で留め具に取り付け、好みの形状の留め具組体を作成したり、また、好みの使用態様で留め具組体を使用したりすることができる。
【0050】
請求項10に記載の具体的態様では、所定の延出方向において、挟持部分から支点部分に向かう方向から、被取付物の一部分が取付部分の開口に挿通されることにより、取付部分が、被取付物を各保持部材に着脱可能に取り付ける。取付部分が被取付物を各保持部材に取り付ける状態において、第1の保持部材の取付部分により取り付けられる第1の被取付物は、第1の保持部材の挟持部分から突出して延び、第2の保持部材の取付部分により取り付けられる第2の被取付物は、第2の保持部材の挟持部分から突出して延びる。第1および第2の被取付物の突出する部分は、弾性付勢部材の弾性力により圧接される。この結果、第1および第2の被取付物の突出する部分は、両挟持部分と同様に、メモ用紙などの被保持媒体を挟んで保持することができる。
【0051】
請求項11に記載の具体的態様では、支点部分は、操作側端部よりも、挟持側端部に近い位置に配置される。この結果、支点部分が挟持側端部に近い位置に配置されることから、第1の保持部材の操作側端部と第2の保持部材の操作側端部とが、充分に間隔をあけて配置される。両保持部材の取付部分によりそれぞれ取り付けられる第1および第2の被取付物の突出する部分が、メモ用紙などの被保持媒体を挟んで保持する場合でも、ユーザは、留め具組体を起立する状態で安定して机の上面などに載置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本発明の実施形態である留め具組体1であって、留め具10と2つの装飾表示体12、14とを備える留め具組体1を示す斜視図である。
【
図3】留め具10の第1の保持部材20を右方から見た右側面図である。
【
図4】第1の保持部材20を後方から見た背面図である。
【
図5】第1の保持部材20を下方から見た底面図である。
【
図6】留め具1の第1および第2の保持部材20、22と、U字形バネ24とを分解した状態を前方から見た正面図である。
【
図7】
図6に示すX1-X1線に沿って留め具1を切断した状態を右方から見た右側断面図である。
【
図8】留め具1の第1および第2の保持部材20、22に、U字形バネ24を組付けた状態を前方から見た正面図である。
【
図9】
図8に示すX2-X2線に沿って留め具1を切断した状態を右方から見た右側断面図である。
【
図10】
図1に示す留め具組体1から装飾表示体14を取り外し装飾表示体12のみを取り付ける状態の留め具組体1を示す斜視図である。
【
図11】
図2に示す留め具10の上下を逆転させ、その留め具10を机140の上面などの平面DPに載置した状態を示す斜視図である。
【
図12】
図11に示す留め具10に2つの装飾表示体12、14を取り付けた状態の留め具組体1を示す斜視図である。
【
図13】
図12に示す留め具組体1から装飾表示体14を取り外し装飾表示体12のみを取り付ける状態の留め具組体1を示す斜視図である。
【
図14】本発明の第1の変形例である留め具100を示す斜視図である。
【
図15】本発明の第2の変形例である留め具200を示す斜視図である。
【
図16】本発明の第3の変形例である留め具300を示す斜視図である。
【
図17】本発明の第4の変形例である留め具400を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
<実施形態>
以下に、本発明の実施形態である留め具組体1について、図面を参照して説明する。
図1は、留め具10と2つの装飾表示体12、14とを備える留め具組体1を示す。
図1において矢印で示す3つの方向を、上下方向、左右方向、および前後方向として、
図2以降の他の図面でも同様に、各方向を示す。
【0054】
図1において、装飾表示体12は、装飾表示部分12Aと、延出部分12Bとを含む。装飾表示部分12Aの前面には、アニメの登場人物などの図柄が描かれる。延出部分12Bは、装飾表示部分12Aの下方部分から下方に延びる。同様に、装飾表示体14は、装飾表示部分14Aと、延出部分14Bとを含む。装飾表示部分14Aの後面には、アニメの登場人物などの図柄が描かれる。延出部分14Bは、装飾表示部分14Aの下方部分から下方に延びる。
図2は、
図1に示す2つの装飾表示体12、14が取り外された留め具10単体を示す。
図2において、留め具10は、第1の保持部材20と、第2の保持部材22と、U字形バネ24とを備える。
【0055】
[第1および第2の保持部材20、22の詳細な構成]
第1および第2の保持部材20、22の詳細な構成について、図面を参照して説明する。第1および第2の保持部材20、22は、同じ形状、寸法、および、材質を有するので、第1の保持部材20を例として、
図3乃至
図7を参照して説明する。
図3乃至
図5は、第1の保持部材20単体を示す右側面図、背面図、および底面図である。
図6、および
図7は、第1および第2の保持部材20、22とU字形バネ24とに分解された状態の留め具10を示す正面図、および右側断面図である。
【0056】
第1の保持部材20は、上下方向を長手方向として延び、合成樹脂材料により一体的に成形される。合成樹脂材料として、透明性、耐衝撃性、および寸法安定性に優れるポリカーボネート樹脂、またはABS樹脂などが使用される。第1の保持部材20は、
図4に示されるように、上下方向の長さが左右方向の幅の2倍程度の長さとなる縦長の長方形形状を有する。
【0057】
第1の保持部材20は、挟持部分30と、操作部分32と、支点部分34と、取付部分36とを含む。挟持部分30は、第1の保持部材20の挟持側端部である下方端部38において、後方に突出して形成される。操作部分32は、第1の保持部材20の操作側端部である上方端部40に近い領域に、配置される。支点部分34は、上下方向において下方端部38と上方端部40との間の中央位置CPよりも下方の位置P1において、第1の保持部材20の内側面である後方面42に配置される。取付部分36は、上下方向において中央位置CPよりも僅かに上方にずれた位置P2において、第1の保持部材20の外側面である前方面44に配置される。取付部分36の位置P2は、上下方向における取付部分36の中央位置であり、支点部分34の位置P1よりも、第1の保持部材20の中央位置CPに近い位置である。
図3において、後方面42は、上方端部40から支点部分34まで下後方に向かって傾斜する面と、支点部分34から挟持部分30の近傍部分まで下前方に向かって傾斜する面とを含む。前方面44は、上方端部40から下方端部38まで直線状に延びる平坦な面により形成される。下方端部38、および上方端部40は、左右方向に直線状に延びる面によりそれぞれ形成される。
【0058】
支点部分34は、半球状の突出部46と、半球状の窪み部48と、段部50とを含む。
図4において、突出部46は、第1の保持部材20の右側縁部寄りに配置され、窪み部48は、第1の保持部材20の左側縁部寄りに配置される。段部50は、窪み部48の下方に配置され、窪み部48に連結して段差状に形成される。突出部46および窪み部48は、第1の保持部材20の幅方向である左右方向において、間隔をあけて一列に配列される。支点部分34の位置P1は、上下方向において突出部46および窪み部48が配置される位置である。
【0059】
取付部分36は、
図5に示されるように、一対の取付片52、54を含む。一対の取付片52、54は、第1の保持部材20の幅方向である左右方向において一列に配列される。取付片52は、第1の保持部材20の右側縁部から前方に突出する部分52Aと、その突出する部分52Aから屈曲して左方に延びる部分52Bとを含む。取付片54は、第1の保持部材20の左側縁部から前方に突出する部分54Aと、その突出する部分54Aから屈曲して右方に延びる部分54Bとを含む。取付片52の左方に延びる部分52Bと、取付片54の右方に延びる部分54Bとは、左右方向において間隔をあけて配置される。一対の取付片52、54は、
図5に示されるように、左右方向に長い長方形の開口56を形成する。開口56は、上下方向に貫通する空間を有する。装飾表示体12の延出部分12Bは、開口56に挿通するように、開口56は形成される。延出部分12Bが開口56に挿通する際に、一対の取付片52、54は弾性変形することができる。
【0060】
図3において、取付部分36の上下方向の長さは、装飾表示体12の延出部分12Bを保持するために必要な長さに設定される。本実施形態では、取付部分36の上下方向の長さは、保持部材20の上下方向の長さ、すなわち保持部材20の全長の約1/6に設定される。取付部分36の上下方向の長さの設定により、保持部材20の前方面44が、取付部分36の上下両側に、取付部分36の上下方向の長さの2倍以上の長さにわたって延びる。
【0061】
図7に示されるように、第1の保持部材20は、収容部分58と、係止部分60と、下方溝部62と、上方溝部64とを、さらに含む。収容部分58は、上下方向において取付部分36を含む領域において、第1の保持部材20の後方面42と前方面44との間に形成される。収容部分58は、
図4に示されるように左右方向に僅かに長い長方形形状に形成される幅広部分58Aと、
図6に示されるように幅広部分58Aから連続して下方に延びる第1の幅狭部分58Bと、
図4に示されるように幅広部分58Aから連続して上方に延びる第2の幅狭部分58Cとを含む。幅広部分58Aは、上下方向において取付部分36と同じ位置において、第1の保持部材20の後方面42と前方面44との間に前後方向に貫通して形成される。下方溝部62は、第1の保持部材20の前方面44において、第1の幅狭部分58Bを前方に開放するように、形成される。第1の幅狭部分58Bは、
図7に示されるように、幅広部分58Aから前下方に向かって傾斜する後方側の壁部を有する。係止部分60は、第1の幅狭部分58Bの後方側の壁部に、段差状に形成される。上方溝部64は、第1の保持部材20の後方面42において、第2の幅狭部分58Cを後方に開放するように、形成される。第2の幅狭部分58Cは、
図7に示されるように、幅広部分58Aから後上方に向かって傾斜する前方側の壁部を有する。第1および第2の幅狭部分58B、58Cは、左右方向において、幅広部分58Aよりも狭い幅を有し、第1の幅狭部分58Bは、第2の幅狭部分58Cよりも僅かに広い幅を有する。下方溝部62は、第1の幅狭部分58Bの幅と同じ左右方向の幅を有し、上方溝部64は、第2の幅狭部分58Cの幅と同じ左右方向の幅を有する。
【0062】
第2の保持部材22は、第1の保持部材20と同じ構造を有することから、挟持部分80と、操作部分82と、支点部分84と、取付部分86とを含むとともに、収容部分108と、係止部分110と、下方溝部112と、上方溝部114とを含む。
図7、および、その他の図面において、第1の保持部材20の各部分に対応する第2の保持部材22の各部分には、第1の保持部材20の各部分に付される引用番号に数値「50」を加えることにより定められる引用番号が、付される。本明細書中において、第2の保持部材22の各部分については、上記のとおり定められる引用番号を付して説明される。
【0063】
[U字形バネ24の詳細な構成]
U字形バネ24の詳細な構成について、
図6および
図7を参照して説明する。
図7において、U字形バネ24は、U字形状に湾曲して形成され、合成樹脂材料により一体的に成形される。合成樹脂材料として、弾性率、および耐衝撃性に優れるポリアセタール樹脂などが使用される。
【0064】
U字形バネ24は、第1の弾性腕部分120と、第2の弾性腕部分122と、連結部分124とを含む。第1および第2の鉤状部126、128が、第1および第2の弾性腕部分120、122の先端部に、それぞれ形成される。連結部分124は、両弾性腕部分120、122を連結する。U字形バネ24は、左右方向の寸法である幅が一定の幅となるように形成される。U字形バネ24の幅は、第1および第2の保持部材20、22の上方溝部64、114の左右方向の寸法である幅と、ほぼ同じ幅に設定されるとともに、両保持部材20、22の下方溝部62、112の左右方向の寸法である幅よりも僅かに狭い幅に設定される。
【0065】
U字形バネ24は、
図7に示される自然状態から、両弾性腕部分120、122が互いに離れる方向に弾性変形することができる。第1および第2の鉤状部126、128は、両保持部材20、22の係止部分60、110にそれぞれ係合することができる。
【0066】
[実施形態の動作および作用]
留め具10を組み立てる手順と、留め具組体1の種々の使用態様とについて、図面を参照して説明する。
【0067】
(留め具10を組み立てる手順)
留め具10の組み立てる手順について、
図6乃至
図9を参照して説明する。
図8、および
図9は、留め具1の第1および第2の保持部材20、22に、U字形バネ24を組付けた状態を示す正面図、右側断面図である。
【0068】
先ず、作業者は、第1の保持部材20の突出部46が第2の保持部材22の窪み部98に嵌るとともに、第1の保持部材20の窪み部48が第2の保持部材22の突出部96に嵌るように、第1および第2の保持部材20、22を向かい合わせに位置させて、組み合わせる。作業者は、組み合わせられた第1および第2の保持部材20、22の操作側端部40、90から、U字形バネ24を両保持部材20、22の上方溝部64、114に押し込むことにより、U字形バネ24を両保持部材20、22に組み付ける。
【0069】
U字形バネ24の左右方向の幅は、上方溝部64、114および第2の幅狭部分58C、108Cの左右方向の幅とほぼ同じ幅であることから、作業者は、U字形バネ24を組み付ける際に、U字形バネ24の両弾性腕部分120、122を、上方溝部64、114および第2の幅狭部分58C、108Cに沿って案内することにより、容易に嵌め込むことができる。この嵌め込み作業により、U字形バネ24の両鉤状部126、128が、両保持部材20、22の両幅広部分58A、108Aを通過した後に、両保持部材20、22の第1の幅狭部分58B、108Bの傾斜する壁部にそれぞれ当接する。
【0070】
両鉤状部126、128が第1の幅狭部分58B、108Bの傾斜する壁部にそれぞれ当接した後に、作業者がU字形バネ24をさらに押し込むと、U字形バネ24の両鉤状部126、128は、第1の幅狭部分58B、108Bの傾斜する壁部に沿って移動し、両弾性腕部分120、122は、互いに離れる方向に弾性変形する。両弾性腕部分120、122が互いに離れる方向に弾性変形することから、第1の鉤状部126の近接部分は、第1の保持部材20の外側面である前方面44から、下方溝部62を通して外側に一時的に突出し、第2の鉤状部128の近接部分は、第2の保持部材22の外側面である前方面94から、下方溝部112を通して外側に一時的に突出する。U字形バネ24の左右方向の幅は、下方溝部62、112および第1の幅狭部分58B、108Bの左右方向の幅よりも僅かに狭いことから、U字形バネ24の両弾性腕部分120、122は、下方溝部62、112および第1の幅狭部分58B、108Bとの接触抵抗に妨げられることなく、自由に弾性変形することができる。
【0071】
両鉤状部126、128が両保持部材20、22の両係止部分60、110まで押し込まれると、
図9に示されるように、連結部分124が支点部分34、84の上方近傍に位置するとともに両弾性腕部分120、122が両保持部材20、22の第1の幅狭部分58B、108Bの内部に完全に収容される状態で、両鉤状部126、128は、両係止部分60、110にそれぞれ係合する。この係合により、U字形バネ24を両保持部材20、22に組み付ける作業が、完了する。すなわち、留め具10の組み立てが完了する。
【0072】
留め具10の組み立てが完了すると、第1および第2の保持部材20、22の操作部分32、82の操作により、両保持部材20、22は、支点部分34、84の周りに回動可能になる。両保持部材20、22が回動する軸線は、第1の保持部材20の突出部46および窪み部48と、第2の保持部材22の窪み部98および突出部96とが嵌る部分により形成される軸線であり、両保持部材20、22の幅方向と平行に延びる。
【0073】
組み立てが完了した留め具10において、
図9に示されるように第1および第2の保持部材20、22の挟持部分30、80が互いに接触する状態で、両保持部材20、22の挟持側端部38、88の端面は、前後方向に直線状に延びる広い連続平面を構成することができる。また、
図9に示されるように両挟持部分30、80が互いに接触する状態で、両保持部材20、22の操作側端部40、90の端面、特に、両保持部材20、22の内側面である後方面42、92に近い側に位置する端面の一部分は、机の上面などの平面DPと密着して接触することができるように、前後方向に直線状に延びる滑らかな面を構成することができる。
【0074】
(留め具組体1の種々の使用態様)
ユーザは、
図2に示されるように組み立てられた留め具10を、従来のクリップと同様に使用することができる。すなわち、ユーザは、両保持部材20、22の挟持部分30、80により、メモ用紙またはファイルを挟むという基本的な使用態様で、留め具10単体を使用することができる。
【0075】
ユーザは、留め具10に、1つの装飾表示体、または、2つの装飾表示体を取り付けることにより、種々の使用態様で、留め具組体1を使用することができる。
【0076】
《留め具組体1の第1の使用態様》
留め具組体1の第1の使用態様について、
図1および
図2を参照して説明する。ユーザが、表示される図柄および形状などの外観が異なる多種類の装飾表示体を有する場合に、多種類の装飾表示体の中から好みの2つの装飾表示体を選ぶ。この選ばれる2つの装飾表示体は、同じ外観の装飾表示体であってもよいし、異なる外観の装飾表示体であってもよい。ただし、多種類の装飾表示体の装飾表示部分の外観は、種々異なっていてもよいが、多種類の装飾表示体の延出部分、たとえば、
図1に示される装飾表示体12、14の延出部分12B、14Bは、ほぼ共通する形状および寸法であることが必要である。
【0077】
2つの装飾表示体として、装飾表示体12、14が選ばれた場合に、ユーザは、第1の保持部材20の操作側端部40から、装飾表示体12の延出部分12Bを、第1の保持部材20の外側面である前方面44に沿って、第1の保持部材20の取付部分36の開口56に挿入する。装飾表示体12の装飾表示部分12Aの下方端部が、取付部分36の一対の取付片52、54の上方端部に当接するまで、延出部分12Bが挿入されると、装飾表示体12の第1の保持部材20への取付作業が完了する。装飾表示体12の取付作業と同様に、ユーザは、装飾表示体14を第2の保持部材22の取付部分86に取り付けることができる。
【0078】
留め具組体1の第1の使用態様において、ユーザは、両保持部材20、22の操作部分32、82に代わって、両装飾表示体12、14の装飾表示部12A、14Aを操作することにより、両保持部材20、22の挟持部分30、80を互いに離れる方向に移動させることができる。ユーザは、両保持部材20、22の挟持部分30、80により、メモ用紙またはファイルを挟むことができる。また、ユーザは、両保持部材20、22の挟持部分30、80により、衝立または仕切りなどの端縁部を挟むことにより、留め具組体1を装飾物として好みの位置に取り付け、ユーザの仕事環境などを変えることができる。第1の使用態様において、図柄が表示される装飾表示部12A、14Aがユーザに見える姿勢、たとえば、
図1において、装飾表示部12Aが前方側に向き、装飾表示部14Aが後方側に向く姿勢にて、両装飾表示体12、14が取り付けられることが、好ましい。
【0079】
《留め具組体1の第2の使用態様》
留め具組体1の第2の使用態様について、
図10を参照して説明する。
図10は、
図1に示す留め具組体1から装飾表示体14を取り外し装飾表示体12のみを取り付ける状態の留め具組体1を示す。ユーザは、多種類の装飾表示体の中から好みの1つの装飾表示体を選ぶ。装飾表示体として、装飾表示体12が選ばれた場合、装飾表示体12を第1の保持部材20の取付部分36に取り付ける作業は、第1の使用態様と同様な作業である。
【0080】
留め具組体1の第2の使用態様において、ユーザは、第1の保持部材20に取り付けられた装飾表示体12の装飾表示部12Aと、第2の保持部材22の操作部分82とを操作することにより、両保持部材20、22の挟持部分30、80を互いに離れる方向に移動させることができる。第1の使用態様と同様に、ユーザは、両保持部材20、22の挟持部分30、80により、メモ用紙またはファイルを挟むことができる。また、装飾表示体12の装飾表示部12Aがユーザに見えるように、ユーザは、両保持部材20、22の挟持部分30、80により、衝立または仕切りなどの端縁部を挟むことにより、留め具組体1を装飾物として好みの位置に取り付け、ユーザの仕事環境などを変えることができる。
【0081】
《留め具組体1の第3の使用態様》
留め具組体1の第3の使用態様について、
図11および
図12を参照して説明する。
図11は、
図2に示す留め具10の上下を逆転させ、その留め具10を机140の上面などの平面DPに載置した状態を示す。
図12は、
図11に示す留め具10に2つの装飾表示体12、14を取り付けた状態の留め具組体1を示す。
【0082】
第1および第2の保持部材20、22の操作側端部である上方端部40、90は、
図11において、留め具1の下方側に位置し、机140の上面などの平面DPに接触して載置される。上方端部40、90は、左右方向に直線状に延び、平坦な面により形成されることから、留め具1は、上下逆転させた起立状態に維持される。留め具1は、両挟持部分30、80により、メモ用紙などを挟む状態において、起立状態で机140の上面などの平面DPに載置することができる。
【0083】
留め具組体1の第3の使用態様において、留め具10を
図11に示される起立状態に載置させて留め具組体1を使用することができる。第3の使用態様において、ユーザは、第1の使用態様と同様に、多種類の装飾表示体の中から、好みの2つの装飾表示体を選ぶ。
【0084】
2つの装飾表示体として、装飾表示体12、14が選ばれた場合に、ユーザは、第1の保持部材20の挟持側端部38から、装飾表示体12の延出部分12Bを、第1の保持部材20の外側面である前方面44に沿って、第1の保持部材20の取付部分36の開口56に挿入する。装飾表示体12の装飾表示部分12Aの下方端部が、取付部分36の一対の取付片52、54の上方端部に当接するまで、延出部分12Bが挿入されると、装飾表示体12の第1の保持部材20への取付作業が完了する。装飾表示体12の取付作業と同様に、ユーザは、装飾表示体14を第2の保持部材22の取付部分86に取り付けることができる。
【0085】
留め具組体1の第3の使用態様において、ユーザは、両保持部材20、22の操作部分32、82を操作することにより、両保持部材20、22に取り付けられた装飾表示体12、14の両上方端部を互いに離れる方向に移動させることができる。ユーザは、両保持部材20、22に取り付けられた装飾表示体12、14の両上方端部により、メモ用紙などを挟むことができる。装飾表示体12、14の両上方端部は、U字形バネ24の弾性力により、メモ用紙などを確実に保持することができる。また、ユーザは、装飾表示体12、14が取り付けられた留め具組体1を机140の上面などに載置することにより、留め具組体1を装飾物として飾ることができ、ユーザの仕事環境などを変えることができる。第3の使用態様において、図柄が表示される装飾表示部12A、14Aがユーザに見える姿勢、たとえば、
図12において、装飾表示部12Aが前方側に向き、装飾表示部14Aが後方側に向く姿勢にて、両装飾表示体12、14が取り付けられることが、好ましい。
【0086】
《留め具組体1の第4の使用態様》
留め具組体1の第4の使用態様について、
図13を参照して説明する。
図13は、
図12に示す留め具組体1から装飾表示体14を取り外し装飾表示体12のみを取り付ける状態の留め具組体1を示す。ユーザは、多種類の装飾表示体の中から好みの1つの装飾表示体を選ぶ。装飾表示体として、装飾表示体12が選ばれた場合、装飾表示体12を第1の保持部材20の取付部分36に取り付ける作業は、第3の使用態様と同様な作業である。
【0087】
留め具組体1の第4の使用態様において、ユーザは、両保持部材20、22の操作部分32、82を操作することにより、第1の保持部材20に取り付けられた装飾表示体12、および第1の保持部材20の挟持部分30と、第2の保持部材22の挟持部分80とを、互いに離れる方向に移動させることができる。ユーザは、両保持部材20、22の挟持部分30、80により、メモ用紙などを挟むことができる。また、ユーザは、装飾表示体12が取り付けられた留め具組体1を机140の上面などに載置することにより、留め具組体1を装飾物として飾ることができ、ユーザの仕事環境などを変えることができる。
【0088】
[実施形態の効果]
本実施形態では、取付部分36、86が、第1および第2の保持部材20、22にそれぞれ備えられるとともに、両保持部材20、22の長手方向の中央位置CPに近い位置に配置される構成である。この構成により、長手方向に反転する2つの異なる取付姿勢で、ユーザは、好みの1つの装飾表示体12、または、好みの2つの装飾表示体12、14を、取付部分36、86に取り付けることができる。好みの装飾表示体の取り付けにより、ユーザは、オリジナルの留め具組体1を作成することができ、その留め具組体1を、多種類の使用態様のうちでユーザの現在の使用環境に適した使用態様で使用することができる。
【0089】
本実施形態では、支点部分34、84は、第1および第2の保持部材20、22の長手方向の中央位置CPよりも、両保持部材20、22の挟持側端部38、88に近い位置に配置される。両保持部材20、22の操作側端部40、90の端面は、両保持部材20、22の左右方向である幅方向に直線状に延びるとともに、
図9に示されるように、机の上面などの平面DPと密着して接触することができるように、前後方向に直線状に延びる滑らかな面を構成する。留め具組体1が
図12または
図13に示されるように起立状態で机140の上面などの平面DPに載置される場合、支点部分34、84が挟持側端部38、88に近い位置に配置されることから、両操作側端部40、90の端面の前後方向の間隔が広くなり、装飾表示体12、14が取り付けられた留め具組体1の起立状態での載置を安定させることができる。
【0090】
本実施形態では、2つの装飾表示体12、14が、
図1に示されるように第1および第2の保持部材20、22の操作側端部40、90から取り付けられる姿勢と、
図12に示されるように両保持部材20、22の挟持側端部38、88から取り付けられる姿勢と、が存在する。
図1に示される姿勢において、ユーザは、留め具10の操作部分32、82に代わって、両保持部材20、22に取り付けられた両装飾表示体12、14を操作することができ、操作部分32、82を操作する力よりも小さい力で、装飾表示体12、14を容易に操作することができる。また、
図12に示される姿勢において、ユーザは、両保持部材20、22に取り付けられた両装飾表示体12、14の上方端部により、メモ用紙またはメッセージカードなどを挟んで保持することができ、挟持部分30、80によりメモ用紙などを保持する場合に比べ、より見易い高い位置でメモ用紙などを保持することができる。
【0091】
本実施形態では、第1の保持部材20と、第2の保持部材22とは、全く同じ構造、すなわち、同じ形状、寸法、および材質を有するので、留め具10の製造工程を簡略化することができる。特に、両保持部材20、22の支点部分34、84が、突出部46、96および窪み部48、98から構成されることにより、両保持部材20、22を容易に同じ構造にすることができる。
【0092】
本実施形態では、取付部分36、86が、一対の取付片52、54、および、一対の取付片102、104をそれぞれ含み、弾性変形可能に構成されることから、装飾表示体12、14の延出部分12B、14Bが、左右方向の幅、および、前後方向の厚さのいずれかの寸法について、多少ばらつく場合であっても、一対の取付片の弾性変形により、延出部分12B、14Bを取付部分36、86の開口56、106に完全に嵌めることができる。
【0093】
本実施形態では、
図7に示されるように、向かい合わせに組付けられた第1および第2の保持部材20、22の操作側端部40、90から、U字形バネ24を両保持部材20、22に嵌め込むことにより、留め具10を簡単に組み立てることができる。特に、作業者は、両保持部材20、22の上方溝部64、114、および第2の幅狭部分58C、108Cに沿ってU字形バネ24の両弾性腕部分120、122を案内することにより、U字形バネ24を、支点部分34、84の近傍位置まで正確に押し込むことができる。
【0094】
本実施形態では、第1および第2の保持部材20、22は、両保持部材の外側面である前方面44、94において開放される下方溝部62、112を備える。U字形バネ24が両保持部材20、22に嵌め込まれる場合に、U字形バネ24の両鉤状部126、128は、第1の幅狭部分58B、108Bの傾斜する壁部に沿って移動し、両弾性腕部分120、122は、互いに離れる方向に弾性変形する。両弾性腕部分120、122が互いに離れる方向に弾性変形することから、第1の鉤状部126の近接部分は、第1の保持部材20の外側面である前方面44から、下方溝部62を通して外側に一時的に突出し、第2の鉤状部128の近接部分は、第2の保持部材22の外側面である前方面94から、下方溝部112を通して外側に一時的に突出する。両下方溝部62、112が、両鉤状部126、128の近接部分が外側に一時的に突出することを許容することから、作業者は、U字形バネ24の嵌め込み作業を容易に行うことができる。
【0095】
本実施形態では、
図4に示されるように、取付部分34、84の突出部46、96および窪み部48、98は、収容部分58の前後方向に貫通する幅広部分58Aよりも、挟持側端部38、88に近い位置に配置される。U字形バネ24が両保持部材20、22に嵌め込まれる際に、幅広部分58Aは、U字形バネ24を円滑に通過させるのに充分な広さの前後方向の空間を有する。突出部46、96および窪み部48、98が、幅広部分58Aよりも、挟持側端部38、88に近い位置に配置されることから、突出部46、96および窪み部48、98が上下方向において幅広部分58Aと同じ位置に配置される構成に比べて、両保持部材20、22の左右方向の幅を小さい幅に留めることができ、留め具10の小型化を図ることができる。
【0096】
本実施形態では、両鉤状部126、128が両保持部材20、22の両係止部分60、110まで押し込まれると、
図9に示されるように、連結部分124が支点部分34、84の上方近傍に位置するとともに両弾性腕部分120、122が両保持部材20、22の第1の幅狭部分58B、108Bの内部に完全に収容される状態で、両鉤状部126、128は、両係止部分60、110にそれぞれ係合する。両鉤状部126、128が両係止部分60、110まで押し込まれる状態では、U字形バネ24の両弾性腕部分120、122、および両鉤状部126、128は、両保持部材20、22の外側面である前方面44、94から外側に突出することはないので、装飾表示体12、14を、両保持部材20、22の外側面に密着させた状態で、取付部分36、86に確実に取り付けることができる。
【0097】
本実施形態では、留め具10は、
図11に示されるように、両保持部材20、22の操作側端部40、90を机140の上面などの平面DPに載置することができる。また、
図9に示されるように両保持部材20、22の挟持部分30、80が互いに接触する状態で、両保持部材20、22の挟持側端部38、88の端面は、前後方向に直線状に延びる広い連続平面を構成することから、挟持側端部38、88の端面を机140の上面などの平面DPに載置することができる。更に、挟持側端部38、88の端面が広い連続平面を構成することから、
図1に示されるように装飾表示体12、14が取り付けられた両保持部材20、22の挟持側端部38、88の端面を机140の上面などの平面DPに載置することもできる。
【0098】
本実施形態では、両取付部分36、86は、両保持部材20、22の長手方向の中央位置CPを含む領域内に配置される。換言すれば、
図3において、中央位置CPが、両取付部分36、86の各取付部分の上下方向の長さの範囲内に位置する。両保持部材20、22の長手方向において反転する2つの異なる取付姿勢のうちのいずれの取付姿勢で、装飾表示体12、14が両取付部分36、86に取り付けられる場合でも、装飾表示体12、14が両保持部材20、22の外側面である前方面44、94に接触する上下方向の接触領域が、ほぼ同じ面積の領域となり、いずれの取付姿勢でも、装飾表示体12、14を安定して保持することができる。
【0099】
本実施形態では、第1および第2の保持部材20、22の外側面である両前方面44、94は、両保持部材20、22の長手方向に直線状に延びる側面によりそれぞれ形成される。両取付部分36、86の両開口56、106は、両保持部材20、22の長手方向において貫通してそれぞれ形成される。ユーザは、各装飾表示体の延出部分を各前方面に沿って案内し、長手方向から各延出部分を各開口に挿入して容易に嵌めることができる。また、両前方面44、94は、上下方向において両取付部分36、86の上下両側にそれぞれ延びて形成されることから、各装飾表示体の延出部分を、各取付部分の上方または下方のいずれの方向からでも、各開口に挿入して容易に嵌めることができる。
【0100】
本実施形態では、
図3に示されるように、装飾表示体12、14の延出部分12B、14Bを取り付けるために必要な取付部分36、86の上下方向の長さは、保持部材20、22の上下方向の長さ、すなわち保持部材20、22の全長の約1/6に設定される。取付部分36、86の上下方向の長さの設定により、保持部材20、22の前方面44、84が、取付部分36、86の上下両側において、取付部分36、86の上下方向の長さの2倍以上の長さにわたってそれぞれ延びる。前方面44、84が取付部分36、86の上下両側に延びることから、各装飾表示体の延出部分を各取付部分の上方または下方のいずれの方向から取り付ける場合でも、各装飾表示体を安定して確実に取り付けることができる。また、前方面44、84が、取付部分36、86と操作側端部40、90との間の領域にわたって延びることから、取付部分36、86の配置により制約されることなく、操作部分32、82を広い領域に確保することができる。
【0101】
<構成の対応関係>
留め具組体1は、本発明の留め具組体の一例である。留め具10は、本発明の留め具の一例である。装飾表示体12、14は、本発明の被取付物の一例であり、本発明の第1および第2の被取付物の一例である。装飾表示体12、14の延出部分12B、14Bは、本発明の被取付物の一部分の一例である。第1および第2の保持部材20、22は、本発明の第1および第2の保持部材の一例である。U字形バネ24は、本発明の弾性付勢部材の一例である。挟持部分30、80は、本発明の挟持部分の一例である。操作部分32、82は、本発明の操作部分の一例である。支点部分34、84は、本発明の支点部分の一例である。取付部分36、86は、本発明の取付部分の一例である。下方端部38、88は、本発明の挟持側端部の一例である。上方端部40、90は、本発明の操作側端部の一例である。後方面42、92は、保持部材の内側面の一例である。前方面44、94は、保持部材の外側面の一例である。突出部46は、本発明の突出部の一例である。窪み部48は、本発明の窪み部の一例である。一対の取付片52、54、または一対の取付片102、104は、本発明の一対の取付片の一例である。開口56、106は、本発明の開口の一例である。収容部分58、108は、本発明の収容部分の一例である。係止部分60、110は、本発明の係止部分の一例である。下方溝部62、112は、本発明の溝部分の一例である。第1および第2の弾性腕部分120、122は、本発明の第1および第2の弾性腕部分の一例である。連結部分124は、本発明の連結部分の一例である。第1および第2の保持部材20、22の長手方向は、本発明の所定の延出方向の一例である。第1および第2の保持部材20、22の幅方向は、本発明の所定の延出方向と直交する方向の一例である。机140の上面などの平面DPが、本発明の「机の上面などの平面」の一例である。メモ用紙、衝立、および仕切りが、本発明の被保持媒体の一例である。
【0102】
<変形例>
本発明は、本実施形態に限定されることはなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。以下にその変形の一例を述べる。
【0103】
(1)本実施形態では、一対の取付片52、54、および一対の取付片102、104が、両保持部材20、22の左右方向である幅方向に間隔をあけて配置され、一対の取付片52、54により開口256が画定される。
図2に示されるように、両取付片の間隔は、各保持部材の長手方向に平行に延びる構成であるが、この構成に限定されない。たとえば、取付部分236、286の一対の取付片252、254、および一対の取付片302、304の間隔が、
図14に示されるように、保持部材20の長手方向に対して傾斜する方向に延びる構成であってもよい。
図14において、開口256は、一対の取付片252、254により画定される。また、一対の取付片の間隔が、クランク形状のように屈曲する形状で延びる構成であってもよい。一対の取付片の間隔の形状は、装飾表示体の延出部分を取り付ける力、および延出部分の寸法精度などに応じて決定されればよい。
【0104】
(2)本実施形態では、一対の取付片52、54、および一対の取付片102、104は、
図5に示されるように、幅広部分58A、108Aの前方にわたって、両保持部材20、22の左右方向である幅方向に延びる部分52B、54Bを有する。装飾表示体12、14の延出部分12B、14Bは、保持部材20、22の長手方向から、取付部分36、86の開口56、86に挿入される構成であるが、この構成に限定されない。たとえば、
図15に示されるように、取付部分336、386の一対の取付片352、354、および一対の取付片402、404が、爪状に形成される前端部分を有し、両取付片352、354により開口356が画定される構成であってもよい。この変形例では、ユーザは、両取付片352、354の弾性変形により、装飾表示体の延出部分を前方から開口356に嵌め込んで挿通することができる。
【0105】
(3)本実施形態では、一対の取付片52、54、および一対の取付片102、104の各取付片は、
図5に示されるように、前方面44、94から前後方向に突出する部分52A、54Aと、左右方向に延びる部分52B、54Bとを含み、屈曲する形状に形成される構成であるが、この構成に限定されない。たとえば、
図16に示されるように、取付部分436、486の一対の取付片452、454、および一対の取付片502、504の各取付片が、連続して湾曲する形状に形成され、一対の取付片452、454により、湾曲形状の開口456が画定される構成であってもよい。この変形例では、装飾表示体の延出部分の前方側の面は、湾曲面に形成され、延出部分の後方側の面は、平面に形成される必要がある。
【0106】
(4)本実施形態では、取付部分36、86は、左右方向である幅方向に間隔をあけて配置される一対の取付片52、54、および一対の取付片102、104を含む構成であるが、この構成に限定されない。たとえば、
図17に示されるように、取付部分536、586が、左右方向である幅方向に連続して延びる部分を有する取付枠からそれぞれ構成されてもよい。この変形例では、取付枠により開口556が画定される。取付枠は、一対の取付片の構成に比べ、弾性変形し難い構成であるので、たとえば、
図1において、装飾表示体12の延出部分12Bの左右両側部分が、弾性変形可能な形状に形成される構成であってもよい。また、装飾表示体12の延出部分12Bの左右方向の幅、および前後方向の厚さが、取付枠により画定される開口556の幅、および前後方向の高さよりも、小さい寸法に設定される場合、取付枠536、586の左右方向の中央位置において、後方に突出する凸部が各取付枠に形成され、装飾表示体12の延出部分12Bの前方面に、凸部が嵌る凹部が形成される構成であってもよい。この凸部と凹部との嵌合により、装飾表示体12の取付状態が保持される。
【0107】
(5)本実施形態では、
図2に示されるように、取付部分36が一対の取付片52、54を1組のみ含む構成であるが、この構成に限定されない。たとえば、各取付部分が、一対の取付片を複数組含み、複数組の一対の取付片が上下方向において各保持部材の前方面に間隔をあけて複数列配置される構成であってもよい。
【0108】
(6)本実施形態では、
図2に示されるように、取付部分36が一対の取付片52、54を含む構成であるが、この構成に限定されない。たとえば、各取付部分が、L字形に屈曲する1つの弾性取付片を含む構成であってもよい。たとえば、弾性取付片は、各保持部材の左側端部寄りの前方面から前方に突出する部分と、その突出する部分から右方に屈曲し、各保持部材の右側端部の近傍まで幅広部分の全幅にわたって延びる構成であってもよい。この変形例では、1つの弾性取付片により、各保持部材の長手方向に貫通する開口が画定される。変形例では、装飾表示体の延出部分が開口に嵌め込まれる方法として、2つの方法が存在する。第1の方法として、装飾表示体の延出部分が、各保持部材の前方面に沿って上下いずれかの方向から開口に挿通される方法である。第2の方法として、弾性取付片の右方端部は開放して構成されることから、装飾表示体の延出部分が、弾性取付片の右方端部から、各保持部材の幅方向に挿通される方法である。装飾表示体が弾性取付片の右方端部から脱落することを防止するために、係止爪が、弾性取付片の右方端部において後方に突出して形成される構成であってもよい。
【0109】
(7)本実施形態では、
図1および
図12に示されるように、装飾表示体12、14は、第1および第2の保持部材20、22の操作側端部40、90、または挟持側端部38、88から、上下方向に大きく突出して延び出る縦長の形状であるが、この形状に限定されない。たとえば、装飾表示体の装飾表示部分が延出部分から左右方向に突出して延びる横長の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0110】
1 留め具組体
10 留め具
12、14 装飾表示体
12A、14A 装飾表示部分
12B、14B 延出部分
20、22 第1および第2の保持部材
24 U字形バネ
30、80 挟持部分
32、82 操作部分
34、84 支点部分
36、86 取付部分
38、88 下方端部
40、90 上方端部
42、92 後方面
44、94 前方面
46 突出部
48 窪み部
52、54 一対の取付片
102、104 一対の取付片
56、106 開口
58、108 収容部分
60、110 係止部分
62、112 下方溝部
120、122 第1および第2の弾性腕部分
124 連結部分
DP 机140の上面などの平面