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特開2024-29856コイル基板、モータ用コイル基板及びモータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029856
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】コイル基板、モータ用コイル基板及びモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/26 20060101AFI20240229BHJP
   H02K 3/28 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H02K3/26 E
H02K3/28 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132279
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122622
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徳久
(72)【発明者】
【氏名】平澤 貴久
(72)【発明者】
【氏名】古野 貴之
【テーマコード(参考)】
5H603
【Fターム(参考)】
5H603AA01
5H603BB01
5H603BB07
5H603BB09
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB01
5H603CC19
5H603CD11
5H603CD25
5H603CD26
5H603FA25
5H603FA29
(57)【要約】
【課題】安定した性能のモータが得られるコイル基板と、コイル基板を用いて形成されるモータ用コイル基板と、モータ用コイル基板を用いて形成されるモータの提供。
【解決手段】実施形態のコイル基板は、長手方向一端側の第1領域と、前記第1領域の隣の第2領域を有するフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板に形成されており、第1相コイルと第2相コイルと第3相コイルを含むコイルと、外部と接続するための第1相端子と第2相端子と第3相端子を有する。前記第1相端子は、前記第1相コイルと前記第3相コイルに接続されている。前記第2相端子は、前記第2相コイルと前記第1相コイルに接続されている。前記第3相端子は、前記第3相コイルと前記第2相コイルに接続されている。前記第1領域内に、前記第1相端子と前記第3相端子が配置されている。前記第2領域内に、前記第2相端子が配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向一端側の第1領域と、前記第1領域の隣の第2領域を有するフレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板に形成されており、第1相コイルと第2相コイルと第3相コイルを含むコイルと、
外部と接続するための第1相端子と第2相端子と第3相端子を有するコイル基板であって、
前記第1相端子は、前記第1相コイルと前記第3相コイルに接続されており、
前記第2相端子は、前記第2相コイルと前記第1相コイルに接続されており、
前記第3相端子は、前記第3相コイルと前記第2相コイルに接続されており、
前記第1領域内に、前記第1相端子と前記第3相端子が配置されており、
前記第2領域内に、前記第2相端子が配置されている。
【請求項2】
長手方向一端側の第1領域と、前記第1領域の隣の第2領域を有するフレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板に形成されており、第1相コイルと第2相コイルと第3相コイルを含むコイルと、
外部と接続するための第1相端子と第2相端子と第3相端子を有するコイル基板であって、
前記第1相端子は、前記第1相コイルと前記第3相コイルに接続されており、
前記第2相端子は、前記第2相コイルと前記第1相コイルに接続されており、
前記第3相端子は、前記第3相コイルと前記第2相コイルに接続されており、
前記第1領域内に、前記第1相端子が配置されており、
前記第2領域内に、前記第2相端子と前記第3相端子が配置されている。
【請求項3】
請求項1または2のコイル基板を前記長手方向に沿って巻くことによって形成されるモータ用コイル基板。
【請求項4】
請求項3のモータ用コイル基板を円筒状のヨークの内側に配置し、前記モータ用コイル基板の内側に回転軸と磁石を配置することによって形成されるモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、コイル基板と、コイル基板を用いて形成されるモータ用コイル基板と、モータ用コイル基板を用いて形成されるモータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、フレキシブル基板と、フレキシブル基板上に形成されているコイルと、コイルに電流を供給するための配線、とを有するコイル基板を開示する。コイルは、U相コイルとV相コイルとW相コイルを含む。配線は、U相コイルに給電するためのU相配線と、V相コイルに給電するためのV相配線と、W相コイルに給電するためのW相配線とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-61765号公報
【発明の概要】
【0004】
[特許文献1の課題]
特許文献1のコイル基板はU相配線とV相配線とW相配線を結線するための配線を有すると考えられる。各相を結線するための配線が存在することにより抵抗が増加すると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のコイル基板の一つは、長手方向一端側の第1領域と、前記第1領域の隣の第2領域を有するフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板に形成されており、第1相コイルと第2相コイルと第3相コイルを含むコイルと、外部と接続するための第1相端子と第2相端子と第3相端子を有する。前記第1相端子は、前記第1相コイルと前記第3相コイルに接続されている。前記第2相端子は、前記第2相コイルと前記第1相コイルに接続されている。前記第3相端子は、前記第3相コイルと前記第2相コイルに接続されている。前記第1領域内に、前記第1相端子と前記第3相端子が配置されている。前記第2領域内に、前記第2相端子が配置されている。
【0006】
本発明の実施形態のコイル基板では、第1相端子と第3相端子は第1領域内に配置されており、第2相端子は第2領域内に配置されている。そのため、第1相コイルと第2相コイルと第3相コイルが結線される場合の配線の少なくとも一部を短くすることができる。コイル基板がモータ用コイル基板として使用される場合の抵抗を低減することができる。
【0007】
本発明のコイル基板の他の一つは、長手方向一端側の第1領域と、前記第1領域の隣の第2領域を有するフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板に形成されており、第1相コイルと第2相コイルと第3相コイルを含むコイルと、外部と接続するための第1相端子と第2相端子と第3相端子を有する。前記第1相端子は、前記第1相コイルと前記第3相コイルに接続されている。前記第2相端子は、前記第2相コイルと前記第1相コイルに接続されている。前記第3相端子は、前記第3相コイルと前記第2相コイルに接続されている。前記第1領域内に、前記第1相端子が配置されている。前記第2領域内に、前記第2相端子と前記第3相端子が配置されている。
【0008】
本発明の実施形態の改変例のコイル基板では、第1相端子は第1領域内に配置されており、第2相端子と第3相端子は第2領域内に配置されている。そのため、第1相コイルと第2相コイルと第3相コイルが結線される場合の配線の少なくとも一部を短くすることができる。コイル基板がモータ用コイル基板として使用される場合の抵抗を低減することができる。
【0009】
本発明のモータ用コイル基板は、上記の本発明のコイル基板を長手方向に沿って巻くことによって形成される。
【0010】
本発明の実施形態のモータ用コイル基板は低抵抗である。そのため、実施形態のモータ用コイル基板を用いてモータが形成される場合、安定した性能のモータが得られる。
【0011】
本発明のモータは、上記の本発明のモータ用コイル基板を円筒状のヨークの内側に配置し、前記モータ用コイル基板の内側に回転軸と磁石を配置することによって形成される。
【0012】
本発明の実施形態のモータでは、モータ用コイル基板の抵抗が小さい。安定した性能のモータが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態のコイル基板を模式的に示す平面図。
図2】実施形態のコイル基板を模式的に示す断面図。
図3A】実施形態のコイル基板におけるU相コイルを模式的に示す平面図。
図3B】実施形態のコイル基板におけるV相コイルを模式的に示す平面図。
図3C】実施形態のコイル基板におけるW相コイルを模式的に示す平面図。
図4】実施形態のコイル基板のU相、V相、W相を対比した平面図。
図5】実施形態のコイル基板を簡略化して示す説明図。
図6】実施形態のモータ用コイル基板を模式的に示す斜視図。
図7】実施形態のモータ用コイル基板における各端子の位置を模式的に示す説明図。
図8】実施形態のモータを模式的に示す断面図。
図9】改変例1のコイル基板を模式的に示す平面図。
図10】改変例1のコイル基板を簡略化して示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態]
図1は実施形態のコイル基板2を示す平面図である。図2は、図1のII-II間の断面図である。図3A図3Cは、それぞれ、U相コイル20U、V相コイル20V、W相コイル20Wを示す平面図である。図4はコイル基板2のU相、V相、W相を対比した平面図である。図5図1のコイル基板2を簡略化して示す平面図である。
【0015】
図1に示されるように、コイル基板2は、フレキシブル基板10と、U相コイル20Uと、V相コイル20Vと、W相コイル20Wと、U相端子40Uと、V相端子40Vと、W相端子40Wと、複数のコイル間接続線50U、50V、50Wと、複数の相間接続線60U、60Vと、戻り線70Wとを有する。
【0016】
フレキシブル基板10は、第1面10Fと、第1面10Fと反対側の第2面10Bとを有する樹脂基板である。フレキシブル基板10は、ポリイミド、ポリアミド等の絶縁性を有する樹脂を用いて形成される。フレキシブル基板10は可撓性を有する。フレキシブル基板10は第1辺E1~第4辺E4の四辺を有する矩形状に形成されている。第1辺E1はフレキシブル基板10の長手方向(図1の矢印LD方向)の一端側の短辺である。第2辺E2は長手方向の他端側の短辺である。第1辺E1と第2辺E2はともに長手方向と直交する直交方向(図1の矢印OD方向)に沿って延びる短辺である。第3辺E3と第4辺E4はともに長手方向に沿って延びる長辺である。後で詳しく説明されるように、コイル基板2が円筒状に巻かれてモータ用コイル基板550(図6参照)が形成される場合、第1面10Fは内周側に配置され、第2面10Bは外周側に配置される。
【0017】
フレキシブル基板10は、長手方向の一端側(第1辺E1側)の第1領域R1と、第1領域R1の隣の第2領域R2とを有する。第2領域R2は第2辺E2を含む。
【0018】
U相端子40U、V相端子40V、W相端子40Wは、いずれも、フレキシブル基板10の第3辺E3に形成されている。実施形態では、U相端子40UとW相端子40Wは第1領域R1内に配置されている。V相端子40Vは第2領域R2内に配置されている。図1に示されるように、U相端子40UはU相コイル20Uの始端20USに接続されている。同時に、U相端子40Uは戻り線70Wを介してW相コイル20Wの終端20WEに接続されている。V相端子40VはV相コイル20Vの始端20VSに接続されている。同時に、V相端子40Vは相間接続線60Uを介してU相コイル20Uの終端20UEに接続されている。W相端子40WはW相コイル20Wの始端20WSに接続されている。同時に、W相端子40Wは相間接続線60Vを介してV相コイル20Vの終端20VEに接続されている。すなわち実施形態では、U相コイル20U、V相コイル20V、W相コイル20WはΔ結線されている(図5参照)。
【0019】
U相コイル20U、V相コイル20V、W相コイル20Wは、それぞれ、三相モータのU相、V相、W相を構成する。
【0020】
図1図3A図4に示されるように、U相コイル20Uの始端20USは第1領域R1内に配置されている。U相コイル20Uの終端20UEは第2領域R2内に配置されている。図3Aに示されるように、U相コイル20Uは、6個のコイル31U、32U、33U、34U、35U、36Uを含んでいる。6個のコイル31U~36Uは、U相コイル20Uの始端20USから終端20UEに向かって(第1領域R1から第2領域R2に向かって)この順で並んでいる。6個のコイル31U~36Uはコイル間接続線50Uによって相互に接続されている。
【0021】
6個のコイル31U~36Uは、いずれも、1ターン中の半ターンを構成する配線が第1面10F側に形成され、残り半ターンを構成する配線が第2面10B側に形成され、隣接する各ターンがずらされながら配置されることによって形成されている。
【0022】
U相コイル20Uの始端20USから1番目のコイル31Uと3番目のコイル33Uと5番目のコイル35Uの巻き始め位置(始端)は第1面10Fに配置され、巻き終わり位置(終端)は第2面10Bに配置されている。フレキシブル基板10を第1面10F側から見る場合に、コイル31U、33U、35Uは反時計回りに巻かれている。
【0023】
一方、U相コイル20Uの始端20USから2番目のコイル32Uと4番目のコイル34Uと6番目のコイル36Uの巻き始め位置(始端)は第2面10Bに配置され、巻き終わり位置(終端)は第1面10Fに配置されている。フレキシブル基板10を第1面10F側から見る場合に、コイル32U、34U、36Uは時計回りに巻かれている。
【0024】
図2図3A図1に示されるように、コイル31Uの配線の一部は隣のコイル32Uの配線の一部とフレキシブル基板10を介して重なっている。同様に、コイル32Uの配線の一部は隣のコイル33Uの配線の一部と重なる。コイル33Uの配線の一部は隣のコイル34Uの配線の一部と重なる。コイル34Uの配線の一部は隣のコイル35Uの配線の一部と重なる。コイル35Uの配線の一部は隣のコイル36Uの配線の一部と重なる。
【0025】
図3A図1に示されるように、コイル31Uとコイル32Uを接続するコイル間接続線50Uと、コイル33Uとコイル34Uを接続するコイル間接続線50Uと、コイル35Uとコイル36Uを接続するコイル間接続線50Uは第2面10Bに配置されている。一方、コイル32Uとコイル33Uを接続するコイル間接続線50Uと、コイル34Uとコイル35Uを接続するコイル間接続線50Uは第1面10Fに配置されている。U相端子40Uと相間接続線60Uは第1面10Fに配置されている。
【0026】
図1図3B図4に示されるように、V相コイル20Vの始端20VSは第2領域R2内に配置されている。V相コイル20Vの終端20VEは第1領域R1内に配置されている。図3Bに示されるように、V相コイル20Vは、6個のコイル31V、32V、33V、34V、35V、36Vを含んでいる。6個のコイル31V~36Vは、V相コイル20Vの始端20VSから終端20VEに向かって(第2領域R2から第1領域R1に向かって)この順で並んでいる。6個のコイル31V~36Vはコイル間接続線50Vによって相互に接続されている。
【0027】
6個のコイル31V~36Vは、いずれも、1ターン中の半ターンを構成する配線が第1面10F側に形成され、残り半ターンを構成する配線が第2面10B側に形成され、隣接する各ターンがずらされながら配置されることによって形成されている。
【0028】
V相コイル20Vの始端20VSから1番目のコイル31Vと3番目のコイル33Vと5番目のコイル35Vの巻き始め位置(始端)は第1面10Fに配置され、巻き終わり位置(終端)は第2面10Bに配置されている。フレキシブル基板10を第1面10F側から見る場合に、コイル31V、33V、35Vは反時計回りに巻かれている。
【0029】
一方、V相コイル20Vの始端20VSから2番目のコイル32Vと4番目のコイル34Vと6番目のコイル36Vの巻き始め位置(始端)は第2面10Bに配置され、巻き終わり位置(終端)は第1面10Fに配置されている。フレキシブル基板10を第1面10F側から見る場合に、コイル32V、34V、36Vは時計回りに巻かれている。
【0030】
図2図3B図1に示されるように、コイル31Vの配線の一部は隣のコイル32Vの配線の一部とフレキシブル基板10を介して重なっている。同様に、コイル32Vの配線の一部は隣のコイル33Vの配線の一部と重なる。コイル33Vの配線の一部は隣のコイル34Vの配線の一部と重なる。コイル34Vの配線の一部は隣のコイル35Vの配線の一部と重なる。コイル35Vの配線の一部は隣のコイル36Vの配線の一部と重なる。
【0031】
図3B図1に示されるように、コイル31Vとコイル32Vを接続するコイル間接続線50Vと、コイル33Vとコイル34Vを接続するコイル間接続線50Vと、コイル35Vとコイル36Vを接続するコイル間接続線50Vは第2面10Bに配置されている。一方、コイル32Vとコイル33Vを接続するコイル間接続線50Vと、コイル34Vとコイル35Vを接続するコイル間接続線50Vは第1面10Fに配置されている。V相端子40Vと相間接続線60Vは第1面10Fに配置されている。
【0032】
図1図3C図4に示されるように、W相コイル20Wの始端20WSは第1領域R1内に配置されている。W相コイル20Wの終端20WEは第2領域R2内に配置されている。図3Cに示されるように、W相コイル20Wは、6個のコイル31W、32W、33W、34W、35W、36Wを含んでいる。6個のコイル31W~36Wは、W相コイル20Wの始端20WSから終端20WEに向かって(第1領域R1から第2領域R2に向かって)この順で並んでいる。6個のコイル31W~36Wはコイル間接続線50Wによって相互に接続されている。
【0033】
6個のコイル31W~36Wは、いずれも、1ターン中の半ターンを構成する配線が第1面10F側に形成され、残り半ターンを構成する配線が第2面10B側に形成され、隣接する各ターンがずらされながら配置されることによって形成されている。
【0034】
W相コイル20Wの始端20WSから1番目のコイル31Wと3番目のコイル33Wと5番目のコイル35Wの巻き始め位置(始端)は第1面10Fに配置され、巻き終わり位置(終端)は第2面10Bに配置されている。フレキシブル基板10を第1面10F側から見る場合に、コイル31W、33W、35Wは反時計回りに巻かれている。
【0035】
一方、W相コイル20Wの始端20WSから2番目のコイル32Wと4番目のコイル34Wと6番目のコイル36Wの巻き始め位置(始端)は第2面10Bに配置され、巻き終わり位置(終端)は第1面10Fに配置されている。フレキシブル基板10を第1面10F側から見る場合に、コイル32W、34W、36Wは時計回りに巻かれている。
【0036】
図2図3C図1に示されるように、コイル31Wの配線の一部は隣のコイル32Wの配線の一部とフレキシブル基板10を介して重なっている。同様に、コイル32Wの配線の一部は隣のコイル33Wの配線の一部と重なる。コイル33Wの配線の一部は隣のコイル34Wの配線の一部と重なる。コイル34Wの配線の一部は隣のコイル35Wの配線の一部と重なる。コイル35Wの配線の一部は隣のコイル36Wの配線の一部と重なる。
【0037】
図3C図1に示されるように、コイル31Wとコイル32Wを接続するコイル間接続線50Wと、コイル33Wとコイル34Wを接続するコイル間接続線50Wと、コイル35Wとコイル36Wを接続するコイル間接続線50Wは第2面10Bに配置されている。一方、コイル32Wとコイル33Wを接続するコイル間接続線50Wと、コイル34Wとコイル35Wを接続するコイル間接続線50Wは第1面10Fに配置されている。W相端子40Wと戻り線70Wは第1面10Fに配置されている。
【0038】
図3C図5図1に示されるように、戻り線70Wは、W相コイル20Wの終端20WEとU相端子40Uの間を接続している。戻り線70Wは、第2領域R2から第1領域R1に亘って伸びている。
【0039】
図示は省略されるが、第1面10Fと第1面10F上に形成されている各コイル20U、20V、20Wの配線、コイル間接続線50U、50V、50W、相間接続線60U、60V、および戻り線70W上は樹脂絶縁層で覆われている。同様に、第2面10Bと第2面10B上に形成されている各コイル20U、20V、20Wの配線、コイル間接続線50U、50V、50W上は樹脂絶縁層で覆われている。
【0040】
図6は、実施形態のコイル基板2(図1図5)を用いたモータ用コイル基板550を模式的に示す斜視図である。図6に示されるように、実施形態のコイル基板2(図1図5)が円筒状に巻かれることによって、モータのためのモータ用コイル基板550が形成される。コイル基板2が円筒状に巻かれる場合、第1辺E1(図1)を起点として、直交方向に延びる軸(第1辺E1と平行に延びる軸)を中心に複数回巻かれる。また、コイル基板の巻かれる回数は特に限定されない。コイル基板2が円筒状に巻かれる際、フレキシブル基板10の第1面10Fが内周側に配置され、第2面10Bが外周側に配置される。
【0041】
図7は、モータ用コイル基板550を軸方向に沿って見た場合の各端子の位置を模式的に示す。図7に示されるように、U相端子40U、V相端子40V、W相端子40Wは、周方向に略120°間隔で配置されている。U相端子40UとW相端子40Wは内周面に配置される。V相端子40Vは外周面に配置される。
【0042】
図8は、実施形態のモータ用コイル基板550(図6図7)を用いたモータ600を模式的に示す断面図である。モータ600は、モータ用コイル基板550をヨーク560の内側に配置し、モータ用コイル基板550の内側に回転軸580と回転軸580に固定された磁石570とを配置することによって形成される。
【0043】
以上の通り、実施形態のコイル基板2(図1図5)、モータ用コイル基板550(図6図7)、モータ600(図8)の構成が説明された。上記の通り、実施形態のコイル基板2では、U相端子40UとW相端子40Wは第1領域R1内に配置されており、V相端子40Vは第2領域R2内に配置されている。そのため、第1領域R1と第2領域R2に亘って伸びる相間接続線は戻り線70Wのみであり、他の相間接続線60U、60Vは戻り線70Wよりも短い。相間接続線60U、60Vを短くすることができる。そのため、コイル基板2がモータ用コイル基板550として使用される場合の抵抗を低減することができる。実施形態のモータ用コイル基板550を用いてモータ600が形成される場合、安定した性能のモータ600が得られる。
【0044】
実施形態のU相端子40U、V相端子40V、W相端子40Wがそれぞれ「第1相端子」、「第2相端子」、「第3相端子」の一例である。実施形態のU相コイル20U、V相コイル20V、W相コイル20Wがそれぞれ「第1相コイル」、「第2相コイル」、「第3相コイル」の一例である。なお、U相、V相、W相の組合せは、実施形態以外の組み合わせでも適用することができる。
【0045】
[実施形態の改変例1]
図9図10は、実施形態の改変例1を示す。図9は改変例1のコイル基板1002を示す平面図である。図10図9のコイル基板1002を簡略化して示す平面図である。改変例1では、U相端子40U、V相端子40V、W相端子40Wの位置が実施形態と反対である。すなわち、V相端子40Vは第1領域R1に配置されており、U相端子40UとW相端子40Wは第2領域R2に配置されている。
【0046】
U相コイル20Uの始端20USは第2領域R2内に配置されている。U相コイル20Uの終端20UEは第1領域R1内に配置されている。6個のコイル31U~36Uは、U相コイル20Uの始端20USから終端20UEに向かって(第2領域R2から第1領域R1に向かって)この順で並んでいる。コイル31U、33U、35Uは時計回りに巻かれている。コイル32U、34U、36Uは反時計回りに巻かれている。
【0047】
V相コイル20Vの始端20VSは第1領域R1内に配置されている。V相コイル20Vの終端20VEは第2領域R2内に配置されている。6個のコイル31V~36Vは、V相コイル20Vの始端20VSから終端20VEに向かって(第1領域R1から第2領域R2に向かって)この順で並んでいる。コイル31V、33V、35Vは時計回りに巻かれている。コイル32V、34V、36Vは反時計回りに巻かれている。
【0048】
W相コイル20Wの始端20WSは第2領域R2内に配置されている。W相コイル20Wの終端20WEは第1領域R1内に配置されている。6個のコイル31W~36Wは、W相コイル20Wの始端20WSから終端20WEに向かって(第2領域R2から第1領域R1に向かって)この順で並んでいる。コイル31W、33W、35Wは時計回りに巻かれている。コイル32W、34W、36Wは反時計回りに巻かれている。
【0049】
図9図10に示されるように、戻り線70Wは、W相コイル20Wの終端20WEとU相端子40Uの間を接続している。戻り線70Wは、第1領域R1から第2領域R2に亘って伸びている。
【0050】
上記の通り、改変例1のコイル基板1002では、V相端子40Vは第1領域R1内に配置されており、U相端子40UとW相端子40Wは第2領域R2内に配置されている。そのため、第1領域R1と第2領域R2に亘って伸びる相間接続線は戻り線70Wのみであり、他の相間接続線60U、60Vは戻り線70Wよりも短い。相間接続線60U、60Vを短くすることができる。そのため、コイル基板1002がモータ用コイル基板550として使用される場合の抵抗を低減することができる。改変例1のモータ用コイル基板550を用いてモータ600が形成される場合、安定した性能のモータ600が得られる。
【0051】
改変例1のV相端子40V、W相端子40W、U相端子40Uがそれぞれ「第1相端子」、「第2相端子」、「第3相端子」の一例である。改変例1のV相コイル20V、W相コイル20W、U相コイル20Uがそれぞれ「第1相コイル」、「第2相コイル」、「第3相コイル」の一例である。なお、U相、V相、W相の組合せは、改変例1以外の組み合わせでも適用することができる。
【0052】
[実施形態の改変例2]
図示は省略されるが、改変例2では、各コイル31U~36U、31V~36V、31W~36Wを構成する配線の配置が実施形態と異なる。改変例2でも、各コイルは、第1面10F上に設けられるコイル形状の配線(第1配線)と第2面10B上に設けられるコイル形状の配線(第2配線)とからなる。第1配線と第2配線は、フレキシブル基板10を貫通するビア導体を介して電気的に接続されている。第1配線は、外周から内周に向かって渦巻状(六角形の渦巻状)に形成されている。ビア導体は第1配線の内周側端部に形成されている。一方、第2配線は、内周から外周に向かって渦巻状(六角形の渦巻状)に形成されている。第1配線と第2配線は、第1面10Fから見て同じ巻き方向の渦巻状に形成されている。第1配線と第2配線は電気的に直列に接続された1つのコイルとして機能する。
【符号の説明】
【0053】
2、1002:コイル基板
10:フレキシブル基板
20U:U相コイル
20V:V相コイル
20W:W相コイル
40U:U相端子
40V:V相端子
40W:W相端子
50U:コイル間接続線
50V:コイル間接続線
50W:コイル間接続線
60U:相間接続線
60V:相間接続線
70W:戻り線
550:モータ用コイル基板
560:ヨーク
570:磁石
580:回転軸
600:モータ
R1:第1領域
R2:第2領域
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10