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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029863
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】分光計測用基準器
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/02 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
G01J3/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132292
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】青木 宏道
(72)【発明者】
【氏名】門奈 瑛樹
【テーマコード(参考)】
2G020
【Fターム(参考)】
2G020AA03
2G020AA04
2G020CB26
2G020CB27
2G020CD03
2G020CD36
2G020CD37
2G020CD39
(57)【要約】
【課題】計測対象に関する所定の定量値の高精度な取得を可能とする分光計測用基準器を提供する。
【解決手段】分光計測用基準器1Aは、対象物に照射される照射光を出射すると共に、照射光の照射に応じて対象物において生じた計測光が入射するヘッド部12を備える分光計測装置10に用いられる。分光計測用基準器1Aは、ヘッド部12が配置される第1開口21及び第2開口22を有する保持部2と、第1開口21に臨むように設定された第1領域R1及び第2開口22に臨むように設定された第2領域R2に配置されており、照射光に含まれる所定の波長帯の光に対して吸収性を有する吸収部3と、第1領域R1における吸収部3の存在状態及び第2領域R2における吸収部3の存在状態を互いに異ならせる調整部4と、を備える。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に照射される照射光を出射すると共に、前記照射光の照射に応じて前記対象物において生じた計測光が入射するヘッド部を備える分光計測装置に用いられる分光計測用基準器であって、
前記ヘッド部が配置される第1開口及び第2開口を有する保持部と、
前記第1開口に臨むように設定された第1領域及び前記第2開口に臨むように設定された第2領域に配置されており、前記照射光に含まれる所定の波長帯の光に対して吸収性を有する吸収部と、
前記第1領域における前記吸収部の存在状態及び前記第2領域における前記吸収部の存在状態を互いに異ならせる調整部と、を備える、分光計測用基準器。
【請求項2】
前記調整部は、
前記第1領域において前記第1開口に沿って配置された第1調整層と、
前記第2領域において前記第2開口に沿って配置されており、前記第1調整層とは異なる厚さを有する第2調整層と、を含み、
前記吸収部は、前記第1領域のうち前記第1調整層が配置されていない領域及び前記第2領域のうち前記第2調整層が配置されていない領域に配置されている、請求項1に記載の分光計測用基準器。
【請求項3】
前記第1調整層及び前記第2調整層は、前記所定の波長帯の光に対して透過性を有する、請求項2に記載の分光計測用基準器。
【請求項4】
前記第1開口及び前記第2開口は、前記吸収部に対して、互いに反対側に開口しており、
前記第1領域の一部及び前記第2領域の一部は、互いに重なっている、請求項1~3のいずれか一項に記載の分光計測用基準器。
【請求項5】
前記第1開口及び前記第2開口は、前記吸収部に対して、互いに同一の側に開口している、請求項1~3のいずれか一項に記載の分光計測用基準器。
【請求項6】
前記保持部は、前記吸収部及び前記調整部を収容している筐体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の分光計測用基準器。
【請求項7】
前記ヘッド部のサイズに応じて前記第1開口及び前記第2開口のそれぞれに配置されるスペーサを更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の分光計測用基準器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光計測装置に用いられる分光計測用基準器に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物に照射される照射光を出射すると共に、照射光の照射に応じて対象物において生じた計測光が入射するヘッド部を備える分光計測装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような分光計測装置は、対象物に含まれる計測対象(例えば、食肉に含まれる脂肪等)が特定の波長帯の光を吸収しやすいという性質を利用して、計測対象に関する所定の定量値(例えば、脂肪量、脂肪率等)を取得するために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-070550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような分光計測装置では、計測光のスペクトルデータに基づいて所定の定量値を演算するための演算式において、演算係数を取得したり、演算係数を較正したりすることが、所定の定量値を精度良く取得する上で重要である。
【0005】
本発明は、計測対象に関する所定の定量値の高精度な取得を可能とする分光計測用基準器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の分光計測用基準器は、[1]「対象物に照射される照射光を出射すると共に、前記照射光の照射に応じて前記対象物において生じた計測光が入射するヘッド部を備える分光計測装置に用いられる分光計測用基準器であって、前記ヘッド部が配置される第1開口及び第2開口を有する保持部と、前記第1開口に臨むように設定された第1領域及び前記第2開口に臨むように設定された第2領域に配置されており、前記照射光に含まれる所定の波長帯の光に対して吸収性を有する吸収部と、前記第1領域における前記吸収部の存在状態及び前記第2領域における前記吸収部の存在状態を互いに異ならせる調整部と、を備える、分光計測用基準器」である。
【0007】
上記[1]に記載の分光計測用基準器では、照射光に含まれる所定の波長帯の光に対して吸収部が吸収性を有しており、第1領域における吸収部の存在状態及び第2領域における吸収部の存在状態が互いに異なっている。これにより、第1領域を「第1所定値の定量値を有する対象物」に相当する領域とし、第2領域を「第1所定値とは異なる第2所定値の定量値を有する対象物」に相当する領域とすることができる。したがって、第1開口及び第2開口のそれぞれに分光計測装置のヘッド部を配置して、第1領域及び第2領域のそれぞれに照射光を照射しつつ、第1領域及び第2領域のそれぞれにおいて生じた計測光を分光して検出することで、計測光のスペクトルデータに基づいて所定の定量値を演算するための演算式において、演算係数を取得したり、演算係数を較正したりすることが可能となる。よって、上記[1]に記載の分光計測用基準器によれば、計測対象に関する所定の定量値の高精度な取得が可能となる。
【0008】
本発明の分光計測用基準器は、[2]「前記調整部は、前記第1領域において前記第1開口に沿って配置された第1調整層と、前記第2領域において前記第2開口に沿って配置されており、前記第1調整層とは異なる厚さを有する第2調整層と、を含み、前記吸収部は、前記第1領域のうち前記第1調整層が配置されていない領域及び前記第2領域のうち前記第2調整層が配置されていない領域に配置されている、上記[1]に記載の分光計測用基準器」であってもよい。当該[2]に記載の分光計測用基準器によれば、第1領域及び第2領域のそれぞれにおける吸収部の存在状態を、簡易な構成で調整することができる。
【0009】
本発明の分光計測用基準器は、[3]「前記第1調整層及び前記第2調整層は、前記所定の波長帯の光に対して透過性を有する、上記[2]に記載の分光計測用基準器」であってもよい。当該[3]に記載の分光計測用基準器によれば、第1調整層及び第2調整層が照射光の特性に影響を及ぼすのを防止することができる。
【0010】
本発明の分光計測用基準器は、[4]「前記第1開口及び前記第2開口は、前記吸収部に対して、互いに反対側に開口しており、前記第1領域の一部及び前記第2領域の一部は、互いに重なっている、上記[1]~[3]のいずれか一つに記載の分光計測用基準器」であってもよい。当該[4]に記載の分光計測用基準器によれば、第1領域の一部及び第2領域の一部が互いに重なっている領域では吸収部が共通することになるため、類似した条件で、第1領域及び第2領域のそれぞれにおいて生じた計測光を分光して検出することが可能となる。
【0011】
本発明の分光計測用基準器は、[5]「前記第1開口及び前記第2開口は、前記吸収部に対して、互いに同一の側に開口している、上記[1]~[3]のいずれか一つに記載の分光計測用基準器」であってもよい。当該[5]に記載の分光計測用基準器によれば、同一の側から第1開口及び第2開口のそれぞれに分光計測装置のヘッド部を配置することができるため、分光計測装置による計測を効率良く実施することが可能となる。
【0012】
本発明の分光計測用基準器は、[6]「前記保持部は、前記吸収部及び前記調整部を収容している筐体である、上記[1]~[5]のいずれか一つに記載の分光計測用基準器」であってもよい。当該[6]に記載の分光計測用基準器によれば、吸収部の劣化を抑制することができる。
【0013】
本発明の分光計測用基準器は、[7]「前記ヘッド部のサイズに応じて前記第1開口及び前記第2開口のそれぞれに配置されるスペーサを更に備える、上記[1]~[6]のいずれか一つに記載の分光計測用基準器」であってもよい。当該[7]に記載の分光計測用基準器によれば、分光計測装置においてヘッド部のサイズが変更された場合にも、第1領域及び第2領域のそれぞれに対してヘッド部の位置決めを適切に実施することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、計測対象に関する所定の定量値の高精度な取得を可能とする分光計測用基準器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態の分光計測装置の側面図である。
図2図1に示される分光計測装置の正面図である。
図3】計測光のスペクトルを示す図である。
図4】照射光のスペクトルを決定する方法の工程を示す図である。
図5】照射光のスペクトルを決定する方法の工程を示す図である。
図6】照射光のスペクトルを示す図である。
図7】計測光のスペクトルの二次微分値を示す図である。
図8図1に示される演算装置の表示部における表示例を示す図である。
図9図1に示される演算装置の表示部における表示例を示す図である。
図10】第1実施形態の分光計測用基準器の斜視図である。
図11図10に示される分光計測用基準器の断面図である。
図12図10に示される分光計測用基準器の使用例を示す図である。
図13】スペーサを備える分光計測用基準器の斜視図である。
図14】第2実施形態の分光計測用基準器の斜視図である。
図15図14に示される分光計測用基準器の使用例を示す図である。
図16】第2実施形態の分光計測用基準器の斜視図である。
図17】変形例の調整部の斜視図である。
図18】変形例の調整部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[分光計測装置の構成]
【0017】
図1に示される分光計測装置10は、対象物Sに照射光を照射し、照射光の照射に応じて対象物Sにおいて生じた計測光(例えば、反射光、散乱光等)を分光して検出する装置である。分光計測装置10は、対象物Sに含まれる計測対象(例えば、食肉に含まれる脂肪等)が特定の波長帯の光を吸収しやすいという性質を利用して、計測対象に関する所定の定量値(例えば、脂肪量、脂肪率等)を取得するために、計測光の検出信号を外部の演算装置100に出力する。演算装置100は、計測光の検出信号に基づいて所定の定量値を算出する。演算装置100は、本体部101と、ディスプレイ等の表示部102と、キーボード及びマウス等の入力部103と、を備えるコンピュータ装置である。本体部101は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等によって構成された演算部である。
【0018】
図1及び図2に示されるように、分光計測装置10は、本体部11と、ヘッド部12と、ケーブル13と、複数の光源14と、分光器15と、を備えている。本体部11は、分光計測装置10の各部を制御する制御部(図示省略)を含んでいる。当該制御部は、ケーブル13によって演算装置100の本体部101と電気的に接続されている。本体部11は、操作者が握るグリップ部としても機能する。
【0019】
ヘッド部12は、対象物Sに照射される照射光を出射すると共に、照射光の照射に応じて対象物Sにおいて生じた計測光が入射する部分である。図2に示されるように、ヘッド部12は、筒状の本体部材121と、板状の保持部材122と、管状の導光部材123と、板状の光透過部材124と、を有している。保持部材122は、本体部材121の内側に取り付けられている。導光部材123は、保持部材122の中心部分を貫通した状態で保持部材122に固定されている。光透過部材124は、本体部11(図1参照)とは反対側の本体部材121の開口部分に取り付けられている。
【0020】
複数の光源14は、保持部材122に形成された複数の開口に配置された状態で、配線基板(図示省略)を介してヘッド部12に取り付けられている。複数の光源14は、導光部材123を包囲するように配置されている。各光源14は、例えば、LED(light emitting diode)である。一例として、計測対象が脂肪である場合、複数の光源14は、脂肪が吸収しやすい920~940nmの波長帯に中心波長を有する光を出射する光源と、当該特定の波長帯よりも短い波長帯に中心波長を有する光を出射する光源と、を含んでいる。分光計測装置10では、複数の光源14から出射される光によって照射光が生成され、当該照射光が光透過部材124を介して対象物Sに照射される。
【0021】
分光器15は、導光部材123と向かい合った状態で、本体部11に取り付けられている。分光器15は、光透過部材124を介して導光部材123に入射して導光部材123によって導光された計測光を分光して検出する。一例として、分光器15は、計測光を入射させる光入射部を有する筐体と、入射した計測光を筐体内において分光する回折格子と、分光された計測光を筐体内において検出する光検出素子と、を有している。
【0022】
分光計測装置10では、本体部11(図1参照)側の本体部材121の開口部分が、本体部11に着脱可能に接続されている。これにより、分光計測装置10では、ヘッド部12及び複数の光源14によって構成されたユニットが、本体部11に対して着脱可能となっている。したがって、分光計測装置10では、ヘッド部12及び複数の光源14によって構成されたユニットを、別の種類のユニットに交換することができる。ヘッド部12及び複数の光源14によって構成されたユニットの交換が必要なのは、計測に適した「照射光のスペクトル」及び「導光部材123と各光源14との位置関係」等が計測対象及び計測位置等によって変わるからである。なお、分光計測装置10では、分光器15がヘッド部12に取り付けられており、ヘッド部12、複数の光源14、及び分光器15によって構成されたユニットが、本体部11に対して着脱可能となっていてもよい。
[照射光のスペクトルを決定する方法]
【0023】
計測対象が脂肪である場合を例として、照射光のスペクトルを決定する方法について説明する。例えば、脂肪率が互いに異なる複数の対象物Sが用意され、一般的なハロゲンランプから出射された光が照射光として各対象物Sに照射されると、図3に示されるように、550~1100nmという広い波長範囲において、計測光のスペクトルが脂肪率ごとに取得される。ここで、図3に示される各スペクトルでは、脂肪が吸収しやすい920~940nmの波長帯を含む狭い波長範囲Wにおいて、プロファイルの変化が顕著に現れている。
【0024】
そこで、まず、図4の(a)に示されるように、波長範囲Wを含む波長範囲において各スペクトルが抽出される。波長範囲Wでは、脂肪率が高くなるほど、スペクトルのプロファイルが大きく「下に凸」となるため、図4の(a)及び(b)に示されるように、脂肪率が例えば80%を超えている場合の各スペクトルに基づいて平均スペクトルBPが生成される。続いて、図5の(a)に示されるように、例えば、所定の強度値から平均スペクトルBPが減算されることで、逆波形パターンIPが生成される。続いて、図5の(b)に示されるように、逆波形パターンIPに近似されたプロファイルを有する照射光のスペクトルSP1が生成される。
【0025】
つまり、対象物Sに含まれる計測対象が吸収しやすい波長帯を含む波長範囲において、所定の定量値が互いに異なる複数の対象物Sについて、計測光のスペクトルが定量値ごとに取得され、当該波長範囲において、定量値が所定値を超えている場合の各スペクトルに基づいて平均スペクトルBPが生成され、平均スペクトルBPに基づいて、平均スペクトルBPとは反対側に凸のプロファイルを有する照射光のスペクトルSP1が生成される。これにより、計測光の検出信号の強度値の分散範囲を狭くして、分光計測装置10において計測光を検出する光検出素子のダイナミックレンジを当該分散範囲に割り当てることができるため、計測光の検出においてS/N比及び分解能を向上させることが可能となる。
【0026】
図6は、照射光のスペクトルを示す図である。図6に示されるように、一般的なハロゲンランプから出射される光のスペクトルSP0は、脂肪が吸収しやすい920~940nmの波長帯を含む波長範囲Wよりも短い波長にピークを有しており、490~1100nmの広い波長範囲に広がっている。それに対し、上述した方法によって決定された照射光のスペクトルSP1は、脂肪が吸収しやすい920~940nmの波長帯に含まれる波長にピークを有しており、波長範囲Wの長波長側において波長範囲Wの短波長側よりも急峻に変化している。
[計測対象に関する所定の定量値を算出する方法]
【0027】
計測対象が脂肪である場合を例として、計測対象に関する所定の定量値を算出する方法について説明する。演算装置100は、分光計測装置10から計測光の検出信号を取得すると、当該検出信号に基づいて計測光のスペクトルデータを波長に関して二次微分する。図7は、計測光のスペクトルの二次微分値を示す図である。図7には、脂肪量が比較的少ない対象物Sについて算出された二次微分値R1、脂肪量が比較的多い対象物Sについて算出された二次微分値R3、及び脂肪量が中間値の対象物Sについて算出された二次微分値R2が示されている。このように、830~950nmの波長範囲では、二次微分値が脂肪量に応じて大きく変化することになる。
【0028】
演算装置100は、850nmを含む波長帯Δλ1の二次微分値の代表値x1、920nmを含む波長帯Δλ2の二次微分値の代表値x2、及び950nmを含む波長帯Δλ3の二次微分値の代表値x3を求め、「演算式:f(x)=a・x1+b・x2+c・x3+d」を用いて、脂肪に関する定量値(脂肪量、脂肪率等)を算出する。ここで、上記演算式中のa,b,c,dは、予め回帰演算によって算出されて演算装置100に記憶されている演算係数である。なお、各代表値x1,x2,x3は、各波長帯Δλ1,Δλ2,Δλ3における二次微分値の平均値、最大値、最小値又は中心値のいずれであってもよい。
【0029】
演算装置100に記憶される演算係数a,b,c,dは、次のように取得される。まず、対象物Sの脂肪量がソックスレー法等の化学分析によって取得される。続いて、当該対象物Sについて分光計測装置10による計測が実施され、計測光のスペクトルの二次微分値が算出される。続いて、演算装置100において、化学分析による脂肪量のデータ及び二次微分値のデータが用いられた回帰分析が実行されることで、演算係数a,b,c,dが取得される。回帰分析は、重回帰分析、PLS分析等によって、化学分析による脂肪量のデータ及び二次微分値のデータの関連付けが実施されることで、実行される。
【0030】
演算装置100は、脂肪に関する定量値(脂肪量、脂肪率等)を算出すると、図8及び図9に示されるように、表示部102に算出結果を表示する。図8に示される例では、「単位体積当たりの脂肪量:111.3mg/cm3」及び「クラス:A」が表示されている。図9に示される例では、計測光のスペクトルの二次微分値が表示されている。入力部103を介して「Disp」をクリックすることで、表示を切り替えることができる。
[第1実施形態の分光計測用基準器]
【0031】
図10及び図11に示される分光計測用基準器1Aは、上記演算式における演算係数a,b,c,dを較正するために、分光計測装置10に用いられる基準器である。分光計測用基準器1Aは、保持部2と、吸収部3と、調整部4と、を備えている。以下、後述する第1開口21が開口している方向をZ方向という。
【0032】
図10及び図11に示されるように、保持部2は、吸収部3及び調整部4を収容している。保持部2は、遮光性を有する筐体である。保持部2は、第1開口21及び第2開口22を有している。第1開口21及び第2開口22は、Z方向において互いに対向しており、吸収部3に対して、互いに反対側に開口している。より具体的には、保持部2は、板状の第1壁部23と、板状の第2壁部24と、筒状の第3壁部25と、を有している。第1壁部23は、Z方向における一方の側の第3壁部25の開口部分に取り付けられている。第2壁部24は、Z方向における他方の側の第3壁部25の開口部分に取り付けられている。第1開口21は、第1壁部23に形成されている。第2開口22は、第2壁部24に形成されている。Z方向から見た場合に、第1開口21及び第2開口22は、互いに同一の形状を有している。第1開口21及び第2開口22のそれぞれには、分光計測装置10のヘッド部12が配置される。第1開口21及び第2開口22のそれぞれは、ヘッド部12を位置決めする機能を有している。
【0033】
Z方向における第1開口21の一方の側(筐体である保持部2の内側)には、第1領域R1が設定されている。つまり、第1領域R1は、第1開口21に臨むように設定されている。Z方向における第2開口22の他方の側(筐体である保持部2の内側)には、第2領域R2が設定されている。つまり、第2領域R2は、第2開口22に臨むように設定されている。第1領域R1及び第2領域R2は、互いに同一の形状を有している。第1領域R1のうち第1開口21とは反対側の部分及び第2領域R2のうち第2開口22とは反対側の部分は、互いに重なっている。つまり、第1領域R1の一部及び第2領域R2の一部は、互いに重なっている。
【0034】
吸収部3は、第1領域R1及び第2領域R2に配置されている。吸収部3は、分光計測装置10から出射される照射光に含まれる所定の波長帯の光に対して吸収性を有している。当該所定の波長帯は、対象物Sに含まれる計測対象が吸収しやすい波長帯である。一例として、計測対象が脂肪である場合、当該所定の波長帯は、脂肪が吸収しやすい920~940nmの波長帯である。その場合、吸収部3の材料は、例えば、固体硬化油脂である。
【0035】
調整部4は、第1領域R1における吸収部3の存在状態及び第2領域R2における吸収部3の存在状態を互いに異ならせる。第1領域R1における吸収部3の存在状態とは、第1領域R1における吸収部3の位置(第1開口21を基準とした位置)の状態、第1領域R1における吸収部3の形状の状態、第1領域R1に占める吸収部3の割合の状態等を意味する。同様に、第2領域R2における吸収部3の存在状態とは、第2領域R2における吸収部3の位置(第2開口22を基準とした位置)の状態、第2領域R2における吸収部3の形状の状態、第2領域R2に占める吸収部3の割合の状態等を意味する。
【0036】
分光計測用基準器1Aでは、調整部4は、第1調整層41と、第1調整層41とは異なる厚さを有する第2調整層42と、を含んでいる。第1調整層41及び第2調整層42は、分光計測装置10から出射される照射光に含まれる所定の波長帯の光に対して透過性を有している。第1調整層41が所定の波長帯の光に対して透過性を有するとは、第1調整層41を当該光が透過する場合に、第1調整層41の厚さが変化しても、第1調整層41から出射された当該光の強度プロファイルが、第1調整層41に入射する当該光の強度プロファイルと略同一であることを意味する。同様に、第2調整層42が所定の波長帯の光に対して透過性を有するとは、第2調整層42を当該光が透過する場合に、第2調整層42の厚さが変化しても、第2調整層42から出射された当該光の強度プロファイルが、第2調整層42に入射する当該光の強度プロファイルと略同一であることを意味する。一例として、計測対象が脂肪である場合、第1調整層41及び第2調整層42のそれぞれの材料は、例えば、テフロン(登録商標)である。
【0037】
第1調整層41は、第1領域R1において第1開口21に沿って配置されている。換言すれば、第1調整層41は、第1領域R1において第1開口21を覆うように配置されている。第1開口21の側面21a、及び第1開口21内に露出している第1調整層41の表面41aによって、分光計測装置10のヘッド部12が配置される空間が画定されている。第2調整層42は、第2領域R2において第2開口22に沿って配置されている。換言すれば、第2調整層42は、第2領域R2において第2開口22を覆うように配置されている。第2開口22の側面22a、及び第2開口22内に露出している第2調整層42の表面42aによって、分光計測装置10のヘッド部12が配置される空間が画定されている。
【0038】
分光計測用基準器1Aでは、第1調整層41の厚さが第2調整層42の厚さよりも大きく、且つ、第1領域R1のうち第1調整層41が配置されていない領域及び第2領域R2のうち第2調整層42が配置されていない領域に吸収部3が配置されている。これにより、第1開口21と吸収部3との間の距離が、第2開口22と吸収部3との間の距離よりも大きくなり、第1領域R1に存在する吸収部3の厚さが、第2領域R2に存在する吸収部3の厚さよりも小さくなり、第1領域R1に占める吸収部3の割合が、第2領域R2に占める吸収部3の割合よりも小さくなる。一例として、計測対象が脂肪である場合、第1領域R1は、第1所定値の脂肪率を有する対象物Sに相当し、第2領域R2は、第1所定値よりも高い第2所定値の脂肪率を有する対象物Sに相当する。
【0039】
以上のように構成された分光計測用基準器1Aは、次のように用いられる。まず、図12の(a)に示されるように、第1開口21に分光計測装置10のヘッド部12が配置される。より具体的には、第1調整層41の表面41aにヘッド部12の端面12aが接触し且つ第1開口21の側面21aにヘッド部12の側面12bが接触するように、第1開口21にヘッド部12が配置される。ヘッド部12の端面12aは、照射光が出射され且つ計測光が入射するヘッド部12の表面である。第1開口21にヘッド部12が配置された状態で、分光計測装置10が、第1領域R1に照射光を照射しつつ、第1領域R1において生じた計測光を分光して検出し、当該計測光の検出信号を演算装置100に出力する。
【0040】
続いて、図12の(b)に示されるように、第2開口22に分光計測装置10のヘッド部12が配置される。より具体的には、第2調整層42の表面42aにヘッド部12の端面12aが接触し且つ第2開口22の側面22aにヘッド部12の側面12bが接触するように、第2開口22にヘッド部12が配置される。第2開口22にヘッド部12が配置された状態で、分光計測装置10が、第2領域R2に照射光を照射しつつ、第2領域R2において生じた計測光を分光して検出し、当該計測光の検出信号を演算装置100に出力する。
【0041】
演算装置100は、第1領域R1及び第2領域R2のそれぞれの定量値に関するデータを記憶している。第1領域R1の定量値に関するデータとは、第1領域R1が「第1所定値の定量値を有する対象物S」に相当することを示すデータである。第2領域R2の定量値に関するデータとは、第2領域R2が「第1所定値よりも高い第2所定値の定量値を有する対象物S」に相当することを示すデータである。演算装置100は、記憶している第1領域R1及び第2領域R2のそれぞれの定量値に関するデータ、並びに、取得した第1領域R1及び第2領域R2のそれぞれの計測光の検出信号に基づいて、上記演算式における演算係数a,b,c,dを較正する。
【0042】
なお、上述したように、分光計測装置10では、ヘッド部12及び複数の光源14によって構成されたユニットを、別の種類のユニットに交換することができる。そのため、分光計測用基準器1は、図13に示されるように、ヘッド部12のサイズに応じて第1開口21及び第2開口22のそれぞれに配置されるスペーサ5を更に備えていてもよい。スペーサ5は、第1開口21及び第2開口22のそれぞれと嵌まり合うリング状の本体部51を有している。第1開口21にスペーサ5が配置されている状態では、第1調整層41の表面41aにヘッド部12の端面12aが接触し且つ本体部51の側面51aにヘッド部12の側面12bが接触するように、第1開口21にヘッド部12が配置される。同様に、第2開口22にスペーサ5が配置されている状態では、第2調整層42の表面42aにヘッド部12の端面12aが接触し且つ本体部51の側面51aにヘッド部12の側面12bが接触するように、第2開口22にヘッド部12が配置される。
【0043】
以上説明したように、分光計測用基準器1Aでは、照射光に含まれる所定の波長帯の光に対して吸収部3が吸収性を有しており、第1領域R1における吸収部3の存在状態及び第2領域R2における吸収部3の存在状態が互いに異なっている。これにより、第1領域R1を「第1所定値の定量値を有する対象物S」に相当する領域とし、第2領域R2を「第1所定値とは異なる第2所定値の定量値を有する対象物S」に相当する領域とすることができる。したがって、第1開口21及び第2開口22のそれぞれに分光計測装置10のヘッド部12を配置して、第1領域R1及び第2領域R2のそれぞれに照射光を照射しつつ、第1領域R1及び第2領域R2のそれぞれにおいて生じた計測光を分光して検出することで、計測光のスペクトルデータに基づいて所定の定量値を演算するための演算式において、演算係数を取得したり、演算係数を較正したりすることが可能となる。よって、分光計測用基準器1Aによれば、計測対象に関する所定の定量値の高精度な取得が可能となる。
【0044】
分光計測用基準器1Aでは、調整部4が、第1領域R1において第1開口21に沿って配置された第1調整層41と、第2領域R2において第2開口22に沿って配置されており、第1調整層41とは異なる厚さを有する第2調整層42と、を含んでおり、吸収部3が、第1領域R1のうち第1調整層41が配置されていない領域及び第2領域R2のうち第2調整層42が配置されていない領域に配置されている。これにより、第1領域R1及び第2領域R2のそれぞれにおける吸収部3の存在状態を、簡易な構成で調整することができる。
【0045】
分光計測用基準器1Aでは、第1調整層41及び第2調整層42が、所定の波長帯の光に対して透過性を有している。これにより、第1調整層41及び第2調整層42が照射光の特性に影響を及ぼすのを防止することができる。
【0046】
分光計測用基準器1Aでは、第1開口21及び第2開口22が、吸収部3に対して、互いに反対側に開口しており、第1領域R1の一部及び第2領域R2の一部が、互いに重なっている。これにより、第1領域R1の一部及び第2領域R2の一部が互いに重なっている領域では吸収部3が共通することになるため、類似した条件で、第1領域R1及び第2領域R2のそれぞれにおいて生じた計測光を分光して検出することが可能となる。
【0047】
分光計測用基準器1Aでは、保持部2が、吸収部3及び調整部4を収容している筐体である。これにより、吸収部3の劣化を抑制することができる。
【0048】
分光計測用基準器1Aでは、ヘッド部12のサイズに応じて第1開口21及び第2開口22のそれぞれにスペーサ5が配置される。これにより、分光計測装置10においてヘッド部12のサイズが変更された場合にも、第1領域R1及び第2領域R2のそれぞれに対してヘッド部12の位置決めを適切に実施することができる。
[第2実施形態の分光計測用基準器]
【0049】
図14及び図15に示される分光計測用基準器1Bは、第1開口21及び第2開口22が互いに同一の側に開口している点で、上述した分光計測用基準器1Aと相違している。以下、分光計測用基準器1Bの構成のうち分光計測用基準器1Aの構成と相違する構成について説明し、分光計測用基準器1Bの構成のうち分光計測用基準器1Aの構成と同一の構成については、その説明を省略する。
【0050】
図14及び図15に示されるように、第1開口21及び第2開口22は、Z方向に垂直な一方向において並んでおり、吸収部3に対して、互いに同一の側に開口している。分光計測用基準器1Bでは、第1開口21及び第2開口22が、保持部2の第1壁部23に形成されており、第1調整層41及び第2調整層42が、吸収部3と第1壁部23との間に配置されている。第2調整層42と第1壁部23との間には、保持部2の一部である第1保持部材26が配置されている。第1調整層41と第2調整層42との間、及び第1調整層41と第1保持部材26との間には、保持部2の一部である第2保持部材27が配置されている。分光計測用基準器1Bでは、第2開口22が、第1壁部23及び第1保持部材26によって画定されている。なお、分光計測装置10が嵌め合わされていない開口(図15に示される状態では第2開口22)には、外乱光を遮光するための遮光カバー(図示省略)を配置してもよい。
【0051】
以上のように構成された分光計測用基準器1Bによれば、分光計測用基準器1Aと同様に、計測対象に関する所定の定量値の高精度な取得が可能となる。
【0052】
分光計測用基準器1Bでは、第1開口21及び第2開口22が、吸収部3に対して、互いに同一の側に開口している。これにより、同一の側から第1開口21及び第2開口22のそれぞれに分光計測装置10のヘッド部12を配置することができるため、分光計測装置10による計測を効率良く実施することが可能となる。
[第3実施形態の分光計測用基準器]
【0053】
図16に示される分光計測用基準器1Cは、第1開口21及び第2開口22が互いに同一の側に開口している点で、上述した分光計測用基準器1Aと相違しており、遮光性を有する第2保持部材27が第1壁部23から第2壁部24まで延在している点で、上述した分光計測用基準器1Bと相違している。以下、分光計測用基準器1Cの構成のうち分光計測用基準器1A及び分光計測用基準器1Bの構成と相違する構成について説明し、分光計測用基準器1Cの構成のうち分光計測用基準器1A及び分光計測用基準器1Bの構成と同一の構成については、その説明を省略する。
【0054】
図16に示されるように、分光計測用基準器1Cでは、保持部2の一部である第2保持部材27が、第1壁部23から第2壁部24まで延在しており、吸収部3を第1吸収部3aと第2吸収部3bとに隔てている。第2保持部材27は、遮光性を有しており、遮光部材として機能する。分光計測用基準器1Cでは、第2開口22が、第1開口21と同様に、第1壁部23によって画定されている。そのため、第2吸収部3bにおける第2開口22側の面は、第1吸収部3aにおける第1開口21側の面よりも第1壁部23側に位置している。
【0055】
以上のように構成された分光計測用基準器1Cによれば、分光計測用基準器1A及び分光計測用基準器1Bと同様に、計測対象に関する所定の定量値の高精度な取得が可能となる。
【0056】
分光計測用基準器1Cでは、保持部2が、吸収部3を第1吸収部3aと第2吸収部3bとに隔てる第2保持部材27を有しており、当該第2保持部材27が遮光性を有している。これにより、分光計測装置10が嵌め合わされていない開口(図16に示される状態では第2開口22)に遮光カバー(図示省略)を配置しなくても、分光計測装置10が嵌め合わされている開口(図16に示される状態では第1開口21)側に外乱光が入射するのを防止することができるため、分光計測装置10による計測を効率良く実施することが可能となる。
[変形例]
【0057】
本発明は、上述した各実施形態に限定されない。例えば、調整部4は、第1領域R1における吸収部3の存在状態及び第2領域R2における吸収部3の存在状態を互いに異ならせるものであればよい。したがって、第1領域R1において第1開口21に沿って第1調整層41が配置されているのみで、第2領域R2において第2開口22に沿って第2調整層42が配置されていなくてもよい。逆に、第2領域R2において第2開口22に沿って第2調整層42が配置されているのみで、第1領域R1において第1開口21に沿って第1調整層41が配置されていなくてもよい。
【0058】
また、調整部4は、第1調整層41及び第2調整層42を含むものに限定されない。一例として、図17に示されるように、調整部4は、複数のスリット43aを有する筒状の調整部材43であってもよい。調整部材43は、例えば、遮光性を有する材料によって形成されている。その場合、互いに異なる形状を有する二つの調整部材43が、当該二つの調整部材43の全体が吸収部3に埋めこまれるように、第1領域R1及び第2領域R2に配置されていてもよい。或いは、一つの調整部材43が、当該一つの調整部材43の全体が吸収部3に埋めこまれるように、第1領域R1及び第2領域R2の一方のみに配置されていてもよい。また、図18の(a)及び(b)に示されるように、調整部4は、板状部分44a及び筒状部分44bによって構成された調整部材44であってもよい。調整部材44は、例えば、光拡散性及び光透過性を有する材料によって形成されている。その場合、互いに異なる形状を有する二つの調整部材44が、板状部分44aが第1開口21及び第2開口22に臨み且つ筒状部分44bが吸収部3に埋めこまれるように、第1領域R1及び第2領域R2に配置されていてもよい。或いは、一つの調整部材44が、板状部分44aが第1開口21及び第2開口22の一方のみに臨み且つ筒状部分44bが吸収部3に埋めこまれるように、第1領域R1及び第2領域R2の一方のみに配置されていてもよい。
【0059】
また、保持部2は、第1開口21及び第2開口22を有していれば、吸収部3及び調整部4を収容している筐体を構成していなくてもよい。また、第1開口21及び第2開口22の位置関係、上述したものに限定されない。例えば、第1開口21の向き及び第2開口22の向きは、互いに直交していてもよい。
【0060】
また、各分光計測用基準器1A,1Bは、上記演算式における演算係数a,b,c,dを較正するためだけでなく、上記演算式における演算係数a,b,c,dを取得するために、分光計測装置10に用いられてもよい。その場合、実サンプルである対象物Sについて所定の定量値をソックスレー法等の化学分析によって取得することが不要となる。
【0061】
また、分光計測装置10は、対象物Sに照射される照射光を出射すると共に、照射光の照射に応じて対象物Sにおいて生じた計測光が入射するヘッド部12を備えるものであれば、上述した構成を有するものに限定されない。計測対象も脂肪に限定されず、他の物質であってもよい。一例として、計測対象が水である場合には、水が吸収しやすい波長帯が950~970nmであるため、当該波長帯を含む波長範囲の照射光を出射する分光計測装置10が用いられ、各分光計測用基準器1A,1Bでは、当該波長帯の光に対して吸収性を有する吸収部3が用いられる。また、計測対象がクロロフィルである場合には、クロロフィルが吸収しやすい波長帯が670~690nmであるため、当該波長帯を含む波長範囲の照射光を出射する分光計測装置10が用いられ、各分光計測用基準器1A,1Bでは、当該波長帯の光に対して吸収性を有する吸収部3が用いられる。
【符号の説明】
【0062】
1A,1B…分光計測用基準器、2…保持部、3…吸収部、4…調整部、5…スペーサ、10…分光計測装置、12…ヘッド部、21…第1開口、22…第2開口、41…第1調整層、42…第2調整層、R1…第1領域、R2…第2領域、S…対象物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
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図18