(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029867
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】液体吐出システム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
B41J2/14 611
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132303
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】田端 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】井出 典孝
(72)【発明者】
【氏名】野澤 大
(72)【発明者】
【氏名】谷本 里香
(72)【発明者】
【氏名】花岡 幸弘
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF71
2C057AG14
2C057AG44
2C057AK07
2C057AN10
2C057AR14
2C057AR16
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】電力量が不安定となった場合であっても対応可能な液体吐出システムを提供すること。
【解決手段】第1ヘッドユニット及び第2ヘッドユニットを備えた液体吐出システムであって、第1ヘッドユニットは、第1電源電圧が正常であるか否かを判定する第1判定回路と、第1電源電圧に基づいて第1駆動信号を出力する第1駆動回路と、第1駆動信号が供給されることで液体を吐出する第1吐出ヘッドと、を有し、第2ヘッドユニットは、第2電源電圧が正常であるか否かを判定する第2判定回路と、第2電源電圧に基づき第2駆動信号を出力する第2駆動回路と、第2駆動信号が供給されることで液体を吐出する第2吐出ヘッドと、を有し、第1判定回路が第1電源電圧は正常でないと判定した場合、又は第2判定回路が第2電源電圧は正常でないと判定した場合、第1吐出ヘッド及び第2吐出ヘッドは、液体の吐出を停止する、液体吐出システム。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に液体を吐出する第1ヘッドユニットと、前記媒体に液体を吐出する第2ヘッドユニットと、を備えた液体吐出システムであって、
前記第1ヘッドユニットは、
第1電源電圧が入力される第1USBコネクターと、
前記第1電源電圧に基づく第2電源電圧が出力される第2USBコネクターと、
前記第1電源電圧が正常であるか否かを判定する第1判定回路と、
前記第1電源電圧に基づいて第1駆動信号を出力する第1駆動回路と、
前記第1駆動信号が供給されることで液体を吐出する第1吐出ヘッドと、
少なくとも、前記第1USBコネクターの一部、及び前記第2USBコネクターの一部が露出した状態で、前記第1USBコネクター、前記第2USBコネクター、前記第1判定回路、前記第1駆動回路、及び前記第1吐出ヘッドを収容する第1筐体と、
を有し、
前記第2ヘッドユニットは、
前記第2電源電圧が入力される第3USBコネクターと、
前記第2電源電圧が正常であるか否かを判定する第2判定回路と、
前記第2電源電圧に基づき第2駆動信号を出力する第2駆動回路と、
前記第2駆動信号が供給されることで液体を吐出する第2吐出ヘッドと、
少なくとも、前記第3USBコネクターの一部が露出した状態で、前記第3USBコネクター、前記第2判定回路、前記第2駆動回路、及び前記第2吐出ヘッドを収容する第2筐体と、
を有し、
前記第1判定回路が前記第1電源電圧は正常でないと判定した場合、又は前記第2判定回路が前記第2電源電圧は正常でないと判定した場合、前記第1吐出ヘッド及び前記第2吐出ヘッドは、液体の吐出を停止する、
ことを特徴とする液体吐出システム。
【請求項2】
前記第1駆動回路は、
前記第1駆動信号の基となる基駆動信号を変調した変調信号を出力する変調回路と、
前記変調信号を増幅した増幅変調信号を出力する増幅回路と、
前記増幅変調信号の基準電位をレベルシフトしたレベルシフト増幅変調信号を出力するレベルシフト回路と、
前記レベルシフト増幅変調信号を復調することで前記第1駆動信号を出力する復調回路と、
を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出システム。
【請求項3】
前記第1ヘッドユニットは、前記第1判定回路における前記第1電源電圧が正常であるか否かの判定結果を示す第1判定結果信号が出力される第1端子を含み、
前記第2ヘッドユニットは、前記第2判定回路における前記第2電源電圧が正常であるか否かの判定結果を示す第2判定結果信号が出力される第2端子を含み、
前記第1ヘッドユニットと前記第2ヘッドユニットとは、前記第1端子と前記第2端子とを介して電気的に接続している、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出システム。
【請求項4】
前記第1判定結果信号が伝搬する第1配線と、前記第2判定結果信号が伝搬する第2配線と、はワイヤードオア接続されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出システム。
【請求項5】
前記第1ヘッドユニットと前記第2ヘッドユニットとは、前記第1端子と前記第2端子とが嵌合することで、電気的に接続している、
ことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出システム。
【請求項6】
前記第1ヘッドユニットと前記第2ヘッドユニットとは、前記第1端子と前記第2端子とがケーブルを介して接続することで、電気的に接続している、
ことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出システム。
【請求項7】
前記第1USBコネクターには、バッテリーが出力する前記第1電源電圧が入力される、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出システム。
【請求項8】
前記第1USBコネクターには、ホストコンピューターが出力する前記第1電源電圧が入力される、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出システム。
【請求項9】
前記第1判定回路は、前記第1電源電圧の値に基づいて、前記第1電源電圧が正常であるか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出システム。
【請求項10】
前記第1判定回路は、前記第1電源電圧が前記第1ヘッドユニットで伝搬される際に生じる電流値に基づいて、前記第1電源電圧が正常であるか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
媒体に対して液体を吐出するとこと媒体に所望の画像を形成する液体吐出装置には、USB(Universal Serial Bus)通信の規格に準拠したUSBケーブルを介して供給されるUSBバスパワーによって動作する液体吐出装置が知られている。このようなUSBバスパワーにより供給できる電力量は、USB規格に準拠しているが故に限りがあり、一方で、液体吐出装置で消費される電力量は、当該液体吐出装置の動作状況に応じて大きく変動する。そのため、USBバスパワーにより供給される電力により動作する液体吐出装置の場合、当該液体吐出装置の動作状態に応じて供給される電力量が不安定となり、その結果、液体の吐出精度が低下するおそれがあった。このようなUSBバスパワーによって動作する液体吐出装置に対して、特許文献1には、USBバスパワーによる電力の給電状態を監視することで、当該給電状態に応じた適切な処置を行うことが可能な液体吐出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の媒体に形成される画像品質向上の要求を受け、複数の液体吐出装置(ヘッドユニット)が相互に接続された液体吐出システムが開発されている。しかしながら、このような液体吐出システムに供給される電力量が不安定となった場合の液体吐出システムの動作について、特許文献1には何らの記載もなく、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る液体吐出システムの一態様は、
媒体に液体を吐出する第1ヘッドユニットと、前記媒体に液体を吐出する第2ヘッドユニットと、を備えた液体吐出システムであって、
前記第1ヘッドユニットは、
第1電源電圧が入力される第1USBコネクターと、
前記第1電源電圧に基づく第2電源電圧が出力される第2USBコネクターと、
前記第1電源電圧が正常であるか否かを判定する第1判定回路と、
前記第1電源電圧に基づいて第1駆動信号を出力する第1駆動回路と、
前記第1駆動信号が供給されることで液体を吐出する第1吐出ヘッドと、
少なくとも、前記第1USBコネクターの一部、及び前記第2USBコネクターの一部が露出した状態で、前記第1USBコネクター、前記第2USBコネクター、前記第1判定回路、前記第1駆動回路、及び前記第1吐出ヘッドを収容する第1筐体と、
を有し、
前記第2ヘッドユニットは、
前記第2電源電圧が入力される第3USBコネクターと、
前記第2電源電圧が正常であるか否かを判定する第2判定回路と、
前記第2電源電圧に基づき第2駆動信号を出力する第2駆動回路と、
前記第2駆動信号が供給されることで液体を吐出する第2吐出ヘッドと、
少なくとも、前記第3USBコネクターの一部が露出した状態で、前記第3USBコネクター、前記第2判定回路、前記第2駆動回路、及び前記第2吐出ヘッドを収容する第2筐体と、
を有し、
前記第1判定回路が前記第1電源電圧は正常でないと判定した場合、又は前記第2判定回路が前記第2電源電圧は正常でないと判定した場合、前記第1吐出ヘッド及び前記第2吐出ヘッドは、液体の吐出を停止する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】液体吐出システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】ヘッドユニットの内部構造の一例を示す図である。
【
図3】複数の吐出部の内の1個の概略構造の一例を示す図である。
【
図4】ヘッドユニットをZ軸に沿って-Z側見た場合の図である。
【
図5】ヘッドユニットの機能構成の一例を示す図である。
【
図6】電源異常判定回路の機能構成の一例を示す図である。
【
図8】駆動信号COMの信号波形の一例を示す図である。
【
図9】駆動信号選択制御回路の構成を示す図である。
【
図10】デコーダーにおけるデコード内容の一例を示す図である。
【
図11】吐出部の1個分に対応する選択回路の構成を示す図である。
【
図12】駆動信号選択制御回路の動作を説明するための図である。
【
図13】液体吐出システムにおけるヘッドユニットの相互間における異常情報の共有について説明するための図である。
【
図14】電源異常判定回路の変形例の機能構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0008】
以下の説明では、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を図示して説明を行う。このとき、図示するX軸の矢印の起点側を-X側、先端側を+X側と称し、図示するY軸を示す矢印の起点側を-Y側、先端側を+Y側と称し、図示するZ軸を示す矢印の起点側を-Z側、先端側を+Z側と称する場合がある。
【0009】
1.液体吐出システムの概要
図1は、液体吐出システム1の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、液体吐出システム1は、ヘッドユニット10-1~10-n、ケーブル3-1~3-(n-1)、及びケーブル5-1~5-(n-1)を有する。そして、液体吐出システム1は、パーソナルコンピューター、タブレット、及びスマートフォンなどのホストコンピューターから供給される駆動電圧により駆動し、当該ホストコンピューターから入力される画像データに応じた画像を媒体に形成する。
【0010】
ヘッドユニット10-1~10-nは、X軸に沿って、-X側から+X側に向かいヘッドユニット10-1,10-2,…,10-nの順に並んで位置している。このとき、ヘッドユニット10-1,10-2,…,10-nのそれぞれは、不図示の固定用治具等によって相互に固定されている。
【0011】
ヘッドユニット10-1,10-2,…,10-nのそれぞれは、ローラー31,32、吐出ヘッド20、及びコネクターCN1,CN2,CN3を有する。
【0012】
ローラー31は、ヘッドユニット10-1,10-2,…,10-nのそれぞれの-Z側の面から少なくとも一部が露出した状態で、回転軸がY軸に沿った方向となるように設けられている。ローラー32は、ヘッドユニット10-1,10-2,…,10-nのそれぞれの-Z側の面から少なくとも一部が露出した状態で、ローラー31の+X側に位置し、回転軸がY軸に沿った方向となるように設けられている。吐出ヘッド20は、ヘッドユニット10-1,10-2,…,10-nのそれぞれの-Z側の面から少なくとも一部が露出した状態で、X軸に沿った方向においてローラー31とローラー32との間に位置し、媒体に液体の一例としてのインクを吐出する。
【0013】
コネクターCN1,CN2は、ヘッドユニット10-1,10-2,…,10-nのそれぞれの+Z側の面から少なくとも一部が露出した状態で、Y軸に沿って-Y側から+Y側に向かい、コネクターCN1,CN2の順に並んで位置している。ヘッドユニット10-1が有するコネクターCN1には、ケーブルCBの一端が接続される。ケーブルCBの他端は、パーソナルコンピューター、タブレット、及びスマートフォンなどのホストコンピューターと電気的に接続される。ヘッドユニット10-1が有するコネクターCN2には、ケーブル5-1の一端が接続されている。ヘッドユニット10-2が有するコネクターCN1には、ケーブル5-1の他端が接続され、ヘッドユニット10-2が有するコネクターCN2には、ケーブル5-2の一端が接続されている。同様に、ヘッドユニット10-i(iは2~n-1のいずれか)が有するコネクターCN1には、ケーブル5-(i-1)の他端が接続され、ヘッドユニット10-iが有するコネクターCN2には、ケーブル5-iの一端が接続されている。そして、ヘッドユニット10-nが有するコネクターCN1には、ケーブル5-(n-1)の他端が接続されている。このとき、ヘッドユニット10-nが有するコネクターCN2は、
図1に示すように開放状態となる。なお、ヘッドユニット10-nは、コネクターCN2を有さなくてもよい。
【0014】
すなわち、ヘッドユニット10-1とヘッドユニット10-2とは、ヘッドユニット10-1が有するコネクターCN2とヘッドユニット10-2が有するコネクターCN1とが、ケーブル5-1を介して接続することで、電気的に接続し、ヘッドユニット10-iとヘッドユニット10-(i+1)とは、ヘッドユニット10-iが有するコネクターCN2とヘッドユニット10-(i+1)が有するコネクターCN1とが、ケーブル5-iを介して接続することで、電気的に接続している。
【0015】
そして、ヘッドユニット10-1のコネクターCN1には、ケーブルCBを介してホストコンピューターから画像データと駆動電圧とが入力される。ヘッドユニット10-1は、入力される画像データ、及び駆動電圧に基づいて動作するとともに、入力される画像データ、及び駆動電圧をコネクターCN2から出力する。ヘッドユニット10-2のコネクターCN1には、ヘッドユニット10-1が出力する画像データ、及び駆動電圧がケーブル5-1を介して入力される。ヘッドユニット10-2は、入力される画像データ、及び駆動電圧に基づいて動作するとともに、入力される画像データ、及び駆動電圧をコネクターCN2から出力する。同様に、ヘッドユニット10-iのコネクターCN1には、ヘッドユニット10-(i-1)が出力する画像データ、及び駆動電圧がケーブル5-(i-1)を介して入力される。ヘッドユニット10-iは、入力される画像データ、及び駆動電圧に基づいて動作するとともに、入力される画像データ、及び駆動電圧をコネクターCN2から出力する。そして、ヘッドユニット10-nのコネクターCN1には、ヘッドユニット10-(n-1)が出力する画像データ、及び駆動電圧がケーブル5-(n-1)を介して入力される。ヘッドユニット10-nは、入力される画像データ、及び駆動電圧に基づいて動作する。
【0016】
すなわち、ヘッドユニット10-1~10-nは、ケーブル5-1~5-(n-1)によって直列に接続されている。そして、ホストコンピューターが出力する画像データ、及び駆動電圧は、ヘッドユニット10-1~10-n、及びケーブル5-1~5-(n-1)を伝搬し、ヘッドユニット10-1~10-nのそれぞれに入力される。このようなケーブルCB,5-1~5-(n-1)は、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したUSBケーブルを用いることが好ましく、コネクターCN1,CN2は、当該USBケーブルの取り付けが可能なUSBレセプタクルコネクターを用いることが好ましい。これにより、ヘッドユニット10-1~10-nの相互間を1つのケーブルによって接続することが可能となり、液体吐出システム1の構成が煩雑になるおそれが低減する。
【0017】
すなわち、ヘッドユニット10-1は、USB規格に準拠し、駆動電圧が入力されるコネクターCN1と、USB規格に準拠し、駆動電圧が出力されるコネクターCN2と、を有し、ヘッドユニット10-1が有するコネクターCN1には、ホストコンピューターが出力する駆動電圧が入力される。また、ヘッドユニット10-2~10-(n-1)のそれぞれは、USB規格に準拠し、駆動電圧が入力されるコネクターCN1と、USB規格に準拠し、駆動電圧が出力されるコネクターCN2と、を有し、ヘッドユニット10-iが有するコネクターCN1には、ヘッドユニット10-(i-1)が出力する駆動電圧が入力される。また、ヘッドユニット10-nは、USB規格に準拠し、駆動電圧が入力されるコネクターCN1を有し、ヘッドユニット10-nが有するコネクターCN1には、ヘッドユニット10-(n-1)が出力する駆動電圧が入力される。
【0018】
コネクターCN3は、コネクターCN1,CN2の+Y側に位置し、少なくとも一部がヘッドユニット10-1,10-2,…,10-nのそれぞれの+Z側の面から露出した状態で設けられている。ヘッドユニット10-1~10-nのそれぞれが有するコネクターCN3に、対応するケーブル3-1~3-(n-1)が接続される。これにより、ヘッドユニット10-1~10-nが相互に接続される。
【0019】
具体的には、ヘッドユニット10-1~10-nのそれぞれが有するコネクターCN3は、端子TM1,TM2を含む。ヘッドユニット10-1が有する端子TM2には、ケーブル3-1の一端が接続されている。ヘッドユニット10-2が有する端子TM1には、ケーブル3-1の他端が接続され、ヘッドユニット10-2が有する端子TM2には、ケーブル3-2の一端が接続されている。同様に、ヘッドユニット10-iが有する端子TM1には、ケーブル3-(i-1)の他端が接続され、ヘッドユニット10-iが有する端子TM2には、ケーブル3-iの一端が接続されている。そして、ヘッドユニット10-nが有する端子TM1には、ケーブル3-(n-1)の他端が接続されている。このとき、ヘッドユニット10-1が有する端子TM1、及びヘッドユニット10-nが有する端子TM2は、
図1に示すように開放状態となる。なお、ヘッドユニット10-1のコネクターCN3は端子TM1を有さなくてもよく、同様に、ヘッドユニット10-nのコネクターCN3は端子TM2を有さなくてもよい。
【0020】
以上のように、ヘッドユニット10-1とヘッドユニット10-2とは、ヘッドユニット10-1が有する端子TM2とヘッドユニット10-2が有する端子TM1とが、ケーブル3-1を介して接続することで、電気的に接続し、ヘッドユニット10-iとヘッドユニット10-(i+1)とは、ヘッドユニット10-iが有する端子TM2とヘッドユニット10-(i+1)が有する端子TM1とが、ケーブル3-iを介して接続することで、電気的に接続している。すなわち、ヘッドユニット10-1~10-nは、ケーブル3-1~3-(n-1)によって相互に電気的に接続されている。本実施形態の液体吐出システム1では、ヘッドユニット10-1~10-nを、ケーブル3-1~3-(n-1)によって相互に電気的に接続することで、ヘッドユニット10-1~10-nのいずれかで生じた異常情報であって、具体的には、ヘッドユニット10-1~10-nのそれぞれにおける駆動電圧の異常の有無を示す情報を共有している。なお、当該異常情報の共有方法の詳細については後述する。
【0021】
本実施形態の液体吐出システム1は、ヘッドユニット10-1~10-nが使用者によって手動でX軸に沿って移動された場合に、ローラー31,32が回転し、ローラー31,32の回転量に応じたタイミングで吐出ヘッド20が画像データに基づく量のインクを吐出する。これにより、液体吐出システム1は、画像データに応じた画像を媒体に形成する。すなわち、本実施形態の液体吐出システム1は、ヘッドユニット10-1~10-nを有するハンディープリンターを構成している。
【0022】
ここで、本実施形態の液体吐出システム1では、ヘッドユニット10-1~10-nが、ローラー31,32の回転軸と直交する方向であって、X軸に沿った方向に1列に並び接続されている場合を例示しているが、ヘッドユニット10-1~10-nのいくつかが、Y軸に沿った方向に並び接続されていてもよい。
図1に示すように、ヘッドユニット10-1~10-nをX軸に沿った方向に1列に並ぶように設けることで、液体吐出システム1が媒体に形成する画像の解像度を高めることができる。一方で、ヘッドユニット10-1~10-nのいくつかを、Y軸に沿った方向に接続することで、液体吐出システム1が使用者の操作によって手動でX軸に沿って移動された場合に、液体吐出システム1が媒体の広範囲に画像を形成することができ、印刷速度を高めることができる。すなわち、ヘッドユニット10-1~10-nを含んで構成された本実施形態の液体吐出システム1は、ヘッドユニット10-1~10-nを任意の配置に接続することが可能であり、これにより、使用者の使用用途に応じた汎用性の高い液体吐出システム1を提供することができる。
【0023】
2.ヘッドユニットの概要
次に液体吐出システム1を構成するヘッドユニット10-1~10-nの構成の詳細について説明する。ここで、ヘッドユニット10-1~10-nはいずれも同じ構成である。そのため、以下の説明において、ヘッドユニット10-1~10-nを区別する必要がない場合、単にヘッドユニット10と称する場合がある。
【0024】
2.1 ヘッドユニットの構造
まず、ヘッドユニット10の構造の詳細について説明する。
図2は、ヘッドユニット10の内部構造の一例を示す図である。
図2に示すように、ヘッドユニット10は、筐体12と、筐体12に収容された配線基板14、吐出ヘッド20、インク容器40、及びローラー31,32と、を有する。
【0025】
ローラー31は、筐体12の-Z側の面から少なくとも一部が露出した状態で、回転軸がY軸に沿った方向となるように設けられている。ローラー32は、ローラー31の+X側に位置し、筐体12の-Z側の面から少なくとも一部が露出した状態で、回転軸がY軸に沿った方向となるように設けられている。そして、ローラー31,32は、使用者がヘッドユニット10を手動でX軸に沿った方向に移動させた場合に回転する。
【0026】
配線基板14は、筐体12の-X側の面に沿って延在する板状の部材である。配線基板14には、前述したコネクターCN1,CN2,CN3に加えて、画像データとローラー31,32の回転量とに基づいて、吐出ヘッド20の動作を制御するための各種回路が設けられている。なお、以下の説明では、ヘッドユニット10が有する配線基板14は1個であるとして説明を行うが、ヘッドユニット10は、複数の配線基板14を有してもよい。
【0027】
インク容器40は、筐体12の+X側の面に沿って位置し、吐出ヘッド20から吐出されるインクを貯留するとともに、貯留するインクを吐出ヘッド20に供給する。このようなインク容器40は、例えば、インクカートリッジや可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパックであってもよく、インクの補充が可能なインクタンクであってもよい。
【0028】
吐出ヘッド20は、X軸に沿った方向において、配線基板14とインク容器40との間に位置している。また、吐出ヘッド20は、媒体にインクを吐出する複数の吐出部600を有する。このような吐出ヘッド20は、筐体12の-Z側の面の内、ローラー31とローラー32との間の領域から複数の吐出部600が露出するように設けられている。
【0029】
ここで、吐出ヘッド20が有する吐出部600の構造の一例について説明する。
図3は、複数の吐出部600の内の1個の概略構造の一例を示す図である。なお、
図3には、吐出部600に加えて、複数の吐出部600に共通に設けられたリザーバー641と、リザーバー641にインクを供給する供給口661と、を図示している。
【0030】
図3に示すように、吐出部600は、圧電素子60、振動板621、キャビティー631、及びノズルプレート632を含む。
【0031】
圧電素子60は、圧電体601と電極611,612とを含む。そして、圧電素子60において、電極611,612は、圧電体601を挟むように位置している。以上のように構成された圧電素子60は、電極611に供給される電圧と電極612に供給される電圧との電位差に応じて、圧電体601の中央部分が上下方向に変位するように駆動する。
【0032】
振動板621は、
図3における圧電素子60の下方に位置している。すなわち、圧電素子60は、振動板621の
図3における上方の面に形成されている。このような振動板621は、圧電素子60の駆動に伴う上下方向への変位に伴い、上下方向に変形する。
【0033】
振動板621の
図3における下方には、キャビティー631が位置している。キャビティー631は、リザーバー641と連通している。これにより、インク容器40から供給口661を介して供給されたインクが、リザーバー641を経由してキャビティー631の内部に供給される。このようなキャビティー631は、振動板621の上下方向の変位に伴い内部容積が変化する。すなわち、振動板621はキャビティー631の内部容積を変化させるダイヤフラムとして機能し、キャビティー631は振動板621の変位に伴い内部圧力が変化する圧力室として機能する。
【0034】
ノズルプレート632には、ノズル651が形成されている。ノズル651は、ノズルプレート632に設けられ開口部であって、キャビティー631と連通している。そして、キャビティー631の内部に充填されたインクは、キャビティー631の内部容積の変化に応じてノズル651から吐出される。
【0035】
以上のように構成された吐出部600において、圧電素子60が上方向に撓むように駆動した場合、振動板621が上方向に変位する。これにより、キャビティー631の内部容積が拡大し、リザーバー641に貯留されているインクがキャビティー631に引き込まれる。一方で、圧電素子60が下方向に撓むように駆動した場合、振動板621が下方向に変位する。これにより、キャビティー631の内部容積が縮小し、キャビティー631の内部容積の縮小の程度に応じた量のインクが、ノズル651から吐出される。なお、圧電素子60は、駆動によりノズル651からインクを吐出できる構造であればよく、
図3に示す構造に限られるものではない。
【0036】
図4は、ヘッドユニット10をZ軸に沿って-Z側見た場合の図である。
図4に示すように、吐出ヘッド20が有する複数の吐出部600は、複数の吐出部600のそれぞれに含まれるノズル651がY軸に沿って2列で並ぶように設けられている。すなわち、吐出ヘッド20は、筐体12の-Z側の面の内のローラー31とローラー32との間の領域から2列で並設されたノズル651が露出するように設けられている。ここで、
図4では、Y軸に沿って2列で並んで設けられた複数のノズル651が、X軸に沿った方向において略同じ位置となる場合を図示しているが、Y軸に沿って2列で並んで設けられたノズル651のX軸に沿った方向の位置は相互に異なる位置であってもよい。すなわち、吐出ヘッド20が有する2列で並んでも受けられるノズル651は、所謂千鳥状に配置されていてもよい。これにより、媒体に形成される画像の解像度を高めることができる。
【0037】
図2に戻り、吐出ヘッド20には、インク容器40に貯留されたインクがインク供給チューブ42を介して供給される。吐出ヘッド20に供給されたインクは、供給口661を介して複数の吐出部600に供給される。また、吐出ヘッド20には、配線基板14に設けられた各種回路で生成された信号がフレキシブルケーブル16を介して入力される。そして、吐出ヘッド20は、フレキシブルケーブル16を介して入力される信号によって規定されるタイミングで、圧電素子60を駆動する。これにより、吐出部600のキャビティー631に貯留されたインクがノズル651から吐出される。
【0038】
以上のように本実施形態のヘッドユニットにおいて、筐体12は、コネクターCN1の少なくとも一部、コネクターCN2の少なくとも一部、及びコネクターCN3の少なくとも一部のそれぞれが露出した状態で、コネクターCN1,CN2,CB3が設けられた配線基板14と、インクを吐出する吐出ヘッド20と、インク容器40とを収容する。そして、使用者が手動で筐体12をX軸に沿った方向に移動させることで、ローラー31,32が回転し、当該ローラーの回転に応じたタイミングで、配線基板14に設けられた回路が吐出ヘッド20の動作を制御する信号を吐出ヘッド20に出力する。その結果、吐出ヘッド20は、使用者が手動で筐体12をX軸に沿った方向に移動させる移動状態に応じて、インクを吐出する。
【0039】
2.2 ヘッドユニットの機能構成
次に、ヘッドユニット10の機能構成について説明する。
図5は、ヘッドユニット10の機能構成の一例を示す図である。前述のとおり、ヘッドユニット10は、配線基板14、吐出ヘッド20、及び配線基板14と吐出ヘッド20とを電気的に接続するフレキシブルケーブル16を有する。また、ヘッドユニット10は、ローラー31,32の回転量を検出し、当該回転量に応じた位置情報信号PSを出力するエンコーダー80を有する。
【0040】
配線基板14には、コネクターCN1,CN2,CN3、USBインターフェース回路100、電源異常判定回路110、ヘッド制御回路120、及び駆動回路50が設けられている。
【0041】
USBインターフェース回路100には、コネクターCN1を介して、電圧信号Vdd、及びグラウンド信号Vssと、アドレス情報と画像データを含む差動信号D+,D-と、が入力される。また、コネクターCN1を介して入力された電圧信号Vdd、グラウンド信号Vss、及び差動信号D+,D-は、配線基板14で分岐された後、コネクターCN2から出力される。そして、ヘッドユニット10は、コネクターCN1を介して入力される電圧信号Vddとグラウンド信号Vssとの電位差により駆動する。すなわち、電圧信号Vddがヘッドユニット10を駆動する駆動電圧に相当し、グラウンド信号Vssがヘッドユニット10におけるグラウンド電位に相当し、電圧信号Vddによって駆動するヘッドユニット10が消費する電力がヘッドユニット10の駆動電力に相当する。ここで、グラウンド信号Vssは、前述のとおりヘッドユニット10のグラウンド電位に相当する。このようなグラウンド信号Vssは、USBインターフェース回路100に入力されるとともに、USBインターフェース回路100を含むヘッドユニット10の各種回路に供給される。
【0042】
USBインターフェース回路100は、入力される差動信号D+,D-をシングルエンドの信号に復元するとともに、復元した信号に含まれるアドレス情報に基づいて、ヘッドユニット10に対応する画像データを生成する。そして、USBインターフェース回路100は、生成した画像データから画像情報PDを生成しヘッド制御回路120に出力する。また、USBインターフェース回路100は、入力される電圧信号Vddを電圧信号Vdd1として電源異常判定回路110に出力する。このようなUSBインターフェース回路100は、1又は複数の半導体装置を含んで構成されている。
【0043】
ここで、本実施形態のヘッドユニット10では、コネクターCN1を介して入力された電圧信号Vdd、グラウンド信号Vss、及び差動信号D+,D-を配線基板14で分岐し、分岐した一方の電圧信号Vdd、グラウンド信号Vss、及び差動信号D+,D-がUSBインターフェース回路100に入力され、分岐した他方の電圧信号Vdd、グラウンド信号Vss、及び差動信号D+,D-がコネクターCN2から出力されるとして説明を行うが、コネクターCN1を介して入力された電圧信号Vdd、グラウンド信号Vss、及び差動信号D+,D-は、分岐されることなくUSBインターフェース回路100に入力され、その後、USBインターフェース回路100が、コネクターCN2から出力される電圧信号Vdd、グラウンド信号Vss、及び差動信号D+,D-と、ヘッド制御回路120に入力される画像情報PDと、電源異常判定回路110に入力される電圧信号Vdd1と、を出力してもよい。
【0044】
電源異常判定回路110は、USBインターフェース回路100から入力される電圧信号Vdd1が正常であるか否かを判定する。そして、電源異常判定回路110は、判定結果を含む判定結果信号Rsを生成し出力する。電源異常判定回路110が生成した判定結果信号Rsは、コネクターCN3が有する端子TM1,TM2に出力されるとともに、駆動回路50にも入力される。また、電源異常判定回路110は、入力される電圧信号Vdd1を電圧信号Vdd2として、ヘッド制御回路120、及び駆動回路50に出力する。すなわち、電源異常判定回路110は、電圧信号Vdd1,Vdd2が正常であるか否かを判定している。そして、電源異常判定回路110における電圧信号Vdd1,Vdd2が正常であるか否かの判定結果を示す判定結果信号Rsは、端子TM1,TM2から出力される。換言すれば、ヘッドユニット10は、電源異常判定回路110における電圧信号Vdd1,Vdd2が正常であるか否かの判定結果を示す判定結果信号Rsを出力する端子TM1,TM2を含む。なお、電源異常判定回路110の構成、及び動作の詳細は後述する。
【0045】
ヘッド制御回路120には、電源異常判定回路110が出力する電圧信号Vdd2と、USBインターフェース回路100が出力する画像情報PDと、エンコーダー80が出力する位置情報信号PSと、が入力される。
【0046】
ヘッド制御回路120は、入力される電圧信号Vdd2を駆動電源として動作することで、入力される画像情報PDに基づいてクロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び基駆動信号dAを生成し、保持する。そして、ヘッド制御回路120は、エンコーダー80が出力する位置情報信号PSに同期したタイミングで、保持するクロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHを吐出ヘッド20に出力するとともに、基駆動信号dAを駆動回路50に出力する。このようなヘッド制御回路120は、生成したクロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び基駆動信号dAを保持する保持領域を含む1又は複数の半導体装置を含んで構成されている。
【0047】
駆動回路50には、電源異常判定回路110が出力する電圧信号Vdd2、及び判定結果信号Rsと、ヘッド制御回路120が出力する基駆動信号dAと、が入力される。駆動回路50は、入力される判定結果信号Rsが電圧信号Vdd1,Vdd2が異常で無いことを示す信号である場合、基駆動信号dAと電圧信号Vdd2とに基づいて駆動信号COMを生成し、吐出ヘッド20に出力する。すなわち、駆動回路50は、電圧信号Vdd2に基づいて駆動信号COMを出力する。一方で、駆動回路50は、入力される判定結果信号Rsが電圧信号Vdd1,Vdd2の少なくとも一方が異常であることを示す信号である場合、駆動信号COMの生成、及び出力の少なくとも一方を停止する。なお、駆動回路50の構成、及び動作の詳細は後述する。
【0048】
吐出ヘッド20は、駆動信号選択制御回路200と複数の吐出部600とを有する。
【0049】
駆動信号選択制御回路200には、ヘッド制御回路120が出力するクロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHと、駆動回路50が出力する駆動信号COMと、が入力される。駆動信号選択制御回路200は、入力されるクロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHに基づいて、駆動信号COMに含まれる信号波形を選択、又は非選択とすることで複数の吐出部600のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを生成し、対応する吐出部600に出力する。なお、駆動信号選択制御回路200の構成、及び動作の詳細は後述する。
【0050】
複数の吐出部600のそれぞれは、前述のとおり圧電体601と電極611,612とを有する圧電素子60を含む。圧電素子60の一端であって、例えば電極611には、対応する駆動信号VOUTが供給される。また、圧電素子60の他端であって、例えば電極612には、基準電圧信号VBSが供給される。圧電素子60は、電極611に供給される駆動信号VOUTの電圧値と、電極612に供給される基準電圧信号VBSの電圧値とので電位差に応じて駆動する。その結果、対応する吐出部600のノズル651から圧電素子の駆動量に応じた量のインクが吐出される。すなわち、吐出ヘッド20は、駆動信号COMが供給されることでインクを吐出する。ここで、圧電素子60の他端であって、電極612に供給される基準電圧信号VBSは、電圧値がグラウンド信号Vssと同じ電圧値の信号であってもよく、電圧値が5.5Vや6V等で一定の直流電圧信号であってもよい。この基準電圧信号VBSは、圧電素子60の駆動の基準電位として機能する。
【0051】
2.3 電源異常判定回路の機能構成
次に、ヘッドユニット10が有する電源異常判定回路110の構成、及び動作について説明する。
図6は、電源異常判定回路110の機能構成の一例を示す図である。
図6に示すように、電源異常判定回路110は、配線Wvd,Wrs、抵抗素子112、及びコンパレーター114を含む。
【0052】
電源異常判定回路110に入力された電圧信号Vdd1は、配線Wvdを伝搬し電圧信号Vdd2として出力される。抵抗素子112の一端は配線Wvdと電気的に接続し、抵抗素子112の他端は配線Wrsと電気的に接続している。コンパレーター114の+側入力端子は配線Wvdと電気的に接続し、コンパレーター114の-側入力端子には基準電圧として機能する電圧信号Vrefが入力され、コンパレーター114の出力端子は配線Wrsと電気的に接続している。そして、電源異常判定回路110は、配線Wrsの電圧値を判定結果信号Rsとして出力する。換言すれば、配線Wrsは、判定結果信号Rsを伝搬する。
【0053】
以上のように構成された電源異常判定回路110において、コンパレーター114は、+側入力端子に入力される配線Wvdを伝搬する信号の電圧値と、-側入力端子に入力される電圧信号Vrefの電圧値と、を比較する。コンパレーター114の出力端子は、配線Wvdを伝搬する信号の電圧値と電圧信号Vrefの電圧値との比較結果に応じて、ハイインピーダンスとなるのか、若しくは、グラウンド電位なるかで切り替えられる。
【0054】
以上のように構成された電源異常判定回路110において、配線Wvdを伝搬する信号の電圧値が電圧信号Vrefの電圧値よりも大きい場合、すなわち、電圧信号Vdd1,Vdd2の電圧値が電圧信号Vrefの電圧値よりも大きい場合、コンパレーター114は、出力端子のインピーダンスをハイインピーダンスとする。このとき、コンパレーター114の出力端子が電気的に接続されている配線Wrsには、抵抗素子112を介して配線Wvdを伝搬する信号の電圧値であって、電圧信号Vdd1,Vdd2の電圧値の信号が供給される。したがって、電圧信号Vdd1,Vdd2の電圧値が電圧信号Vrefの電圧値よりも大きい場合、電源異常判定回路110は、配線Wvdを伝搬する信号の電圧値の判定結果信号Rsを出力する。
【0055】
一方で、配線Wvdを伝搬する信号の電圧値が電圧信号Vrefの電圧値よりも小さい場合、すなわち、電圧信号Vdd1,Vdd2の電圧値が電圧信号Vrefの電圧値よりも小さい場合、コンパレーター114は、出力端子をグラウンド電位とする。その結果、コンパレーター114の出力端子が電気的に接続される配線Wrsの電位は、グラウンド電位となる。すなわち、電源異常判定回路110は、電圧信号Vdd1,Vdd2の電圧値が電圧信号Vrefの電圧値よりも小さい場合、グラウンド電位の判定結果信号Rsを出力する。
【0056】
以上のように、電源異常判定回路110は、配線Wvdを伝搬する信号の電圧値であって電圧信号Vdd1,Vdd2の電圧値と電圧信号Vrefの電圧値と比較することで、電圧信号Vdd1,Vdd2の電圧値がヘッドユニット10の駆動に対して十分な大きさであるか否かを判定する。すなわち、電源異常判定回路110は、電圧信号Vdd1,Vdd2の電圧値が正常であるか否かを判定する。そして、電源異常判定回路110は、電圧信号Vdd1,Vdd2の電圧値が正常であると判定した場合、配線Wvdを伝搬する信号の電圧値の判定結果信号Rsを出力し、電圧信号Vdd1,Vdd2の電圧値が正常でないと判定した場合、グラウンド電位の判定結果信号Rsを出力する。
【0057】
ここで、以下の説明において、電圧信号Vdd1,Vdd2の電圧値が正常である場合、電源異常判定回路110は、Hレベルの判定結果信号Rsを出力し、電圧信号Vdd1,Vdd2の電圧値が正常でない場合、電源異常判定回路110は、Lレベルの判定結果信号Rsを出力するとして説明を行う場合がある。
【0058】
また、コンパレーター114に入力される電圧信号Vrefは、例えばバンドギャップリファレンス電圧を用いることができる。このとき、電源異常判定回路110は、配線Wvdを伝搬する信号の電圧値と、バンドギャップリファレンス電圧を所定の電圧値に昇圧した電圧信号Vrefと、を比較し、比較結果に応じた判定結果信号Rsを出力してもよい。また、電源異常判定回路110は、配線Wvdを伝搬する信号を分圧した電圧値と、電圧信号Vrefと、を比較し、比較結果に応じた判定結果信号Rsを出力してもよい。
【0059】
以上のように、本実施形態のヘッドユニット10において、電源異常判定回路110は、電圧信号Vdd1,Vdd2の電圧値に基づいて、電圧信号Vdd1,Vdd2の電圧値が正常であるか否かを判定する。
【0060】
2.4 駆動回路の機能構成
次に、駆動信号COMを出力する駆動回路50の構成、及び動作について説明する。
図7は、駆動回路50の機能構成の一例を示す図である。
図7に示すように駆動回路50は、電源供給切替回路502、昇圧回路504、DAC(Digital to Analog Converter)510、加算器515,516、変調回路520、増幅回路550、復調回路560、帰還回路570、及びレベルシフト回路580を有する。
【0061】
電源供給切替回路502には、電圧信号Vdd2と判定結果信号Rsとが入力される。電源供給切替回路502は、入力される判定結果信号Rsの論理レベルに基づいて、電圧信号Vdd2を駆動回路50に供給するか否かを切り替える。すなわち、電源供給切替回路502は、スイッチ回路として機能する。
【0062】
具体的には、電源供給切替回路502に電圧信号Vdd2が正常であることを示すHレベルの判定結果信号Rsが入力された場合、電源供給切替回路502は、一端と他端とが導通に制御される。その結果、駆動回路50が有する各種の構成に電圧信号Vdd2、及び電圧信号Vdd2に基づいて生成された各種の信号が供給される。一方で、電源供給切替回路502に電圧信号Vdd2が正常でないことを示すLレベルの判定結果信号Rsが入力された場合、電源供給切替回路502は、一端と他端とが非導通に制御される。その結果、駆動回路50が有する各種の構成に電圧信号Vdd2、及び電圧信号Vdd2に基づいて生成された各種の信号が供給されない。したがって、駆動回路50は、駆動信号COMを生成せず、駆動回路50から駆動信号COMは出力されない。すなわち、駆動回路50に電圧信号Vdd2が正常でないことを示すLレベルの判定結果信号Rsが入力された場合、駆動回路50は、駆動信号COMの生成、及び出力の少なくとも一方を停止する。
【0063】
ここで、駆動回路50は、電源供給切替回路502に電圧信号Vdd2が正常でないことを示すLレベルの判定結果信号Rsが入力された場合に、駆動回路50は、駆動信号COMの生成、及び出力の少なくとも一方を停止できればよい。そのため、駆動回路50は、電源供給切替回路502に代えて、若しくは加えて、判定結果信号Rsの論理レベルに応じて、後述する変調回路520、増幅回路550、DAC510等の動作を制御する構成を有してもよい。
【0064】
昇圧回路504には、電源供給切替回路502が出力する電圧信号Vdd2が入力される。昇圧回路504は、入力される電圧信号Vdd2を昇圧することで、電圧信号VHV,Vmを含む複数の電圧値の信号を生成する。そして、昇圧回路504は、電圧信号VHV,Vmを駆動回路50に含まれる各種の構成に出力する。ここで、昇圧回路504が生成する電圧信号VHVは、例えば、20Vの直流電圧であり、電圧信号Vmは、例えば、7.5Vの直流電圧である。
【0065】
DAC回路510には、基駆動信号dAが入力される。DAC回路510は、入力される基駆動信号dAをデジタル-アナログ変換することでアナログ信号の基駆動信号aAを出力する。
【0066】
加算器515の+側の入力端には、基駆動信号aAが入力される。加算器515の-側の入力端には、帰還信号VFB1が入力される。そして、加算器515は、基駆動信号aAから帰還信号VFB1を差し引いた信号を出力する。ここで、加算器515に入力される帰還信号VFB1は、駆動信号COMが帰還回路570を介して帰還した信号であって、駆動信号COMの電圧値を減衰した信号である。
【0067】
加算器516の+側の入力端には、加算器515が出力する信号が入力される。加算器516の-側の入力端には、帰還信号VFB2が入力される。そして、加算器516は、加算器515が出力する信号から帰還信号VFB2を差し引いた信号を補正基駆動信号oAとして出力する。ここで、加算器516に入力される帰還信号VFB2は、駆動信号COMが帰還回路570を介して帰還した信号であって、駆動信号COMに含まれる高周波リップル成分の信号を抽出するとともに、抽出した高周波リップル成分の信号の電圧値を減衰した信号である。
【0068】
変調回路520は比較器を含み、補正基駆動信号oAをパルス変調した変調信号MSを出力する。具体的には、変調回路520は、補正基駆動信号oAの電圧値と所定の電圧値の閾値電圧とを比較する。そして、変調回路520は、補正基駆動信号oAの電圧値が閾値電圧の電圧値よりも大きい場合にHレベルとなり、補正基駆動信号oAの電圧値が閾値電圧の電圧値よりも小さい場合にLレベルとなる変調信号MSを出力する。
【0069】
増幅回路550は、ゲートドライブ回路530、ダイオードD1、コンデンサーC1、及びトランジスターM1,M2を含む。増幅回路550は、変調信号MSを増幅することで増幅変調信号AMS1を生成し、中点CP1に出力する。
【0070】
変調回路520が出力する変調信号MSは、ゲートドライブ回路530が有するゲートドライバー531に入力される。ゲートドライバー531は、入力される変調信号MSの電圧値をレベルシフトしたゲート信号HGD1を出力する。また、変調回路520が出力する変調信号MSは、インバーター521において論理レベルが反転された後、ゲートドライブ回路530が有するゲートドライバー532に入力される。ゲートドライバー532は、入力される変調信号MSの論理レベルが反転された信号の電圧値をレベルシフトしたゲート信号LGD1を出力する。
【0071】
トランジスターM1,M2は、Nチャネル型のMOS-FETである。ゲートドライバー531が出力するゲート信号HGD1は、トランジスターM1のゲート端子に入力される。トランジスターM1のドレイン端子には、電圧信号VHVが入力されている。トランジスターM1のソース端子は、中点CP1と電気的に接続している。また、ゲートドライバー532が出力するゲート信号LGD1は、トランジスターM2のゲート端子に入力される。トランジスターM2のドレイン端子は、中点CP1と電気的に接続している。トランジスターM2のソース端子には、グラウンド電位が供給されている。そして、トランジスターM1がゲート信号HGD1に基づき動作し、トランジスターM2がゲート信号LGD1に基づき動作することで、トランジスターM1とトランジスターM2とが接続された中点CP1に、変調信号MSを電圧信号VHVで増幅した増幅変調信号AMS1が生成される。
【0072】
ここで、ゲート信号HGD1及びゲート信号LGD1を出力するゲートドライブ回路530の動作について説明する。ゲートドライブ回路530は、ゲートドライバー531,532を含む。前述のとおり、ゲートドライバー531には、変調信号MSが入力される。また、ゲートドライバー532には、変調信号MSの論理レベルがインバーター521により反転された信号が入力される。すなわち、ゲートドライバー531に入力される信号とゲートドライバー532に入力される信号とは、排他的にHレベルとなる。ここで、排他的にHレベルとなるとは、ゲートドライバー531とゲートドライバー532とに同時にHレベルの信号が入力されないことが含まれる。すなわち、排他的にHレベルとなるとは、ゲートドライバー531とゲートドライバー532とに同時にLレベルの信号が入力される場合を除外するものではない。
【0073】
ゲートドライバー531の低電位側の電源端子は、中点CP1と電気的に接続している。したがって、ゲートドライバー531の低電位側の電源端子には、中点CP1に生じた電圧値の電圧信号HVS1が供給される。ゲートドライバー531の高電位側の電源端子は、ダイオードD1のカソード端子、及びコンデンサーC1の一端と電気的に接続している。また、ダイオードD1のアノード端子には、電圧信号Vmが供給され、コンデンサーC1の他端は、中点CP1と電気的に接続している。すなわち、ゲートドライバー531の高電位側の電源端子には、ダイオードD1とコンデンサーC1とを含むブートストラップ回路の出力電圧が供給される。これにより、ゲートドライバー531の高電位側の電源端子には、中点CP1の電圧値であって電圧信号HVS1の電圧値よりも電圧信号Vmの電圧値だけ大きな電圧値の電圧信号HVD1が供給される。そして、ゲートドライバー531は、Hレベルの変調信号MSが入力された場合、電圧信号HVD1の電圧値のゲート信号HGD1を出力し、Lレベルの変調信号MSが入力された場合、電圧信号HVS1の電圧値のゲート信号HGD1を出力する。
【0074】
ゲートドライバー532の低電位側の電源端子には、グラウンド電位の電圧信号LVS1が供給される。ゲートドライバー532の高電位側の電源端子には、電圧信号Vmの電圧値の電圧信号LVD1が供給される。そして、ゲートドライバー532は、Lレベルの変調信号MSの論理レベルがインバーター521によって反転されたHレベルの信号が入力された場合、電圧信号LVD1の電圧値のゲート信号LGD1を出力し、Hレベルの変調信号MSの論理レベルがインバーター521によって反転されたLレベルの信号が入力された場合、電圧信号LVS1の電圧値のゲート信号LGD1を出力する。
【0075】
以上のように、増幅回路550は、変調信号MSに基づいてゲート信号HGD1、及びゲート信号LGD1を出力するゲートドライブ回路530と、一端であるドレイン端子に電圧信号VHVが供給され、他端であるソース端子が中点CP1と電気的に接続し、ゲート端子に入力されるゲート信号HGD1に基づいて動作するトランジスターM1と、一端であるドレイン端子が中点CP1と電気的に接続し、他端であるソース端子にグラウンド電位が供給され、ゲート端子に入力されるゲート信号LGD1に基づいて動作するトランジスターM2と、を有する。そして、増幅回路550は、トランジスターM1とトランジスターM2とが接続される中点CP1に、変調信号MSを電圧信号VHVの電圧値で増幅した増幅変調信号AMS1を出力する。
【0076】
レベルシフト回路580は、基準レベル切替回路582、ゲートドライブ回路590、ダイオードD11,D12、コンデンサーC11,C12、トランジスターM3,M4、及びブートストラップ回路BSを含む。そして、レベルシフト回路580は、増幅変調信号AMS1の基準電位をレベルシフトしたレベルシフト増幅変調信号AMS2を生成し、中点CP2に出力する。
【0077】
レベルシフト回路580が有する基準レベル切替回路582には、基駆動信号dAが入力される。基準レベル切替回路582は、入力される基駆動信号dAにより規定される電圧値が、所定の電圧値以上である場合にHレベルの基準レベル切替信号LSをゲートドライブ回路590に出力し、入力される基駆動信号dAにより規定される電圧値が、所定の電圧値未満である場合にLレベルの基準レベル切替信号LSをゲートドライブ回路590に出力する。ここで、所定の電圧値とは、増幅回路550に供給される電圧信号VHVの電圧値以下であって、好ましくは、電圧信号VHVの電圧値の近傍の電圧値である。
【0078】
ゲートドライブ回路590は、基準レベル切替回路582が出力する基準レベル切替信号LSの論理レベルに応じて、トランジスターM3を駆動するゲート信号HGD2と、トランジスターM4を駆動するゲート信号LGD2と、を出力する。
【0079】
基準レベル切替回路582が出力する基準レベル切替信号LSは、ゲートドライブ回路590が有するゲートドライバー591に入力される。ゲートドライバー591は、入力される基準レベル切替信号LSの電圧値をレベルシフトしたゲート信号HGD2を出力する。また、基準レベル切替回路582が出力する基準レベル切替信号LSは、インバーター584において論理レベルが反転された後、ゲートドライブ回路590が有するゲートドライバー592に入力される。ゲートドライバー592は、入力される基準レベル切替信号LSの論理レベルが反転された信号の電圧値をレベルシフトしたゲート信号LGD2を出力する。
【0080】
トランジスターM3,M4は、Nチャネル型のMOS-FETである。ゲートドライバー591が出力するゲート信号HGD2は、トランジスターM3のゲート端子に入力される。トランジスターM3のドレイン端子には、ブートストラップ回路BSが出力するレベルシフト電圧信号Vlsが入力されている。トランジスターM3のソース端子は、中点CP2と電気的に接続している。また、ゲートドライバー592が出力するゲート信号LGD2は、トランジスターM4のゲート端子に入力される。トランジスターM4のドレイン端子は、中点CP2と電気的に接続している。トランジスターM4のソース端子は、中点CP1と電気的に接続している。そして、トランジスターM3がゲート信号HGD2に基づき動作し、トランジスターM4がゲート信号LGD2に基づき動作することで、トランジスターM3とトランジスターM4とが接続される中点CP2には、中点CP1に出力された増幅変調信号AMS1の基準電位を電圧信号VHVに基づいてレベルシフトしたレベルシフト増幅変調信号AMS2が出力される。
【0081】
すなわち、レベルシフト回路580に含まれるトランジスターM3は、一端であるドレイン端子にブートストラップ回路BSが出力するレベルシフト電圧信号Vlsが供給され、他端であるソース端子が中点CP2と電気的に接続し、ゲートドライバー591が出力するゲート信号HGD2に基づいて動作し、レベルシフト回路580に含まれるトランジスターM4は、一端であるドレイン端子が中点CP2と電気的に接続し、他端であるソース端子に増幅回路550が出力する増幅変調信号AMS1が供給され、ゲートドライバー592が出力するゲート信号LGD2に基づいて動作する。そして、レベルシフト回路580は、トランジスターM3とトランジスターM4とが接続される中点CP2に生成された信号を、レベルシフト増幅変調信号AMS2として出力する。
【0082】
ブートストラップ回路BSは、ダイオードD13とコンデンサーC13とを含む。ダイオードD13のアノード端子には、電圧信号VHVが供給されている。ダイオードD13のカソード端子は、コンデンサーC13の一端と電気的に接続している。また、コンデンサーC13の他端は中点CP1と電気的に接続している。すなわち、ブートストラップ回路BSには、電圧信号VHVと中点CP1に出力された増幅変調信号AMS1とが入力される。そして、ブートストラップ回路BSは、電圧信号VHVの電圧値に増幅変調信号AMS1の電圧値を加算したレベルシフト電圧信号Vlsを生成し、トランジスターM3のドレイン端子に出力する。換言すれば、ブートストラップ回路BSは、電圧信号VHVと増幅変調信号AMS1とに応じた信号であって、増幅変調信号AMS1の基準電位を電圧信号VHVに基づいてレベルシフトしたレベルシフト電圧信号Vlsを出力する。
【0083】
ここで、ゲート信号HGD2及びゲート信号LGD2を出力するゲートドライブ回路590の動作について説明する。ゲートドライブ回路590は、ゲートドライバー591,592を含む。前述のとおり、ゲートドライバー591には、基準レベル切替信号LSが入力される。また、ゲートドライバー592には、基準レベル切替信号LSの論理レベルがインバーター584により反転された信号が入力される。すなわち、ゲートドライバー591に入力される信号とゲートドライバー592に入力される信号とは、排他的にHレベルとなる。
【0084】
ゲートドライバー591の低電位側の電源端子は、中点CP2と電気的に接続している。したがって、ゲートドライバー591の低電位側の電源端子には、中点CP2に生じた電圧値の電圧信号HVS2が供給される。ゲートドライバー591の高電位側の電源端子は、ダイオードD11のカソード端子、及びコンデンサーC11の一端と電気的に接続している。また、ダイオードD11のアノード端子には、電圧信号Vmが供給され、コンデンサーC11の他端は、中点CP2と電気的に接続している。すなわち、ゲートドライバー591の高電位側の電源端子には、ダイオードD11とコンデンサーC11とを含むブートストラップ回路の出力電圧が供給される。これにより、ゲートドライバー591の高電位側の電源端子には、中点CP2の電圧値であって電圧信号HVS2の電圧値よりも電圧信号Vmの電圧値だけ大きな電圧値の電圧信号HVD2が供給される。そして、ゲートドライバー591は、Hレベルの基準レベル切替信号LSが入力された場合、電圧信号HVD2の電圧値のゲート信号HGD2を出力し、Lレベルの基準レベル切替信号LSが入力された場合、電圧信号HVS2の電圧値のゲート信号HGD2を出力する。
【0085】
ゲートドライバー592の低電位側の電源端子は、中点CP1と電気的に接続している。したがって、ゲートドライバー592の低電位側の電源端子には、中点CP1に生じた信号であって、増幅変調信号AMS1が電圧信号LVS2として供給される。ゲートドライバー592の高電位側の電源端子は、ダイオードD12のカソード端子、及びコンデンサーC12の一端と電気的に接続している。また、ダイオードD12のアノード端子には、電圧信号Vmが供給され、コンデンサーC12の他端は、中点CP1と電気的に接続している。すなわち、ゲートドライバー592の高電位側の電源端子には、ダイオードD12とコンデンサーC13とを含むブートストラップ回路の出力電圧が供給される。これにより、ゲートドライバー592の高電位側の電源端子には、電圧信号LVS2の電圧値よりも電圧信号Vmの電圧値だけ大きな電圧値の電圧信号LVD2が供給される。そして、ゲートドライバー592は、Lレベルの基準レベル切替信号LSの論理レベルがインバーター584によって反転されたHレベルの信号が入力された場合、電圧信号LVD2の電圧値のゲート信号LGD2を出力し、Hレベルの基準レベル切替信号LSの論理レベルがインバーター584によって反転されたLレベルの信号が入力された場合、電圧信号LVS2の電圧値のゲート信号HGD2を出力する。
【0086】
以上のように構成されたレベルシフト回路580において、ゲート信号HGD2に基づきトランジスターM3のドレイン端子とソース端子とが非導通に制御され、且つゲート信号LGD2に基づきトランジスターM4のドレイン端子とソース端子とが導通に制御されている場合、すなわち、基準レベル切替回路582がLレベルの基準レベル切替信号LSを出力している場合、増幅回路550の中点CP1とレベルシフト回路580の中点CP2とは、トランジスターM4を介して電気的に接続される。したがって、レベルシフト回路580は、トランジスターM4を介して中点CP2に供給される増幅変調信号AMS1を、レベルシフト増幅変調信号AMS2として出力する。
【0087】
一方で、ゲート信号HGD2に基づきトランジスターM3のドレイン端子とソース端子とが導通に制御され、且つゲート信号LGD2に基づきトランジスターM4のドレイン端子とソース端子とが非導通とが導通に制御されている場合、すなわち、基準レベル切替回路582がHレベルの基準レベル切替信号LSを出力している場合、増幅回路550の中点CP1とレベルシフト回路580の中点CP2とは、ブートストラップ回路BS、及びトランジスターM3を介して電気的に接続される。したがって、レベルシフト回路580は、増幅変調信号AMS1の基準電位を電圧信号VHVに基づいてレベルシフトしたレベルシフト電圧信号Vlsを、レベルシフト増幅変調信号AMS2として出力する。
【0088】
レベルシフト回路580が出力するレベルシフト増幅変調信号AMS2は、復調回路560に入力される。復調回路560は、入力されるレベルシフト増幅変調信号AMS2を平滑することで復調し、駆動信号COMを生成する。そして、復調回路560で生成された駆動信号COMが駆動回路50から出力される。換言すれば、復調回路560は、レベルシフト増幅変調信号AMS2を復調することで駆動信号COMを出力する。
【0089】
復調回路560は、インダクターL10とコンデンサーC10とを含む。インダクターL10の一端は、中点CP2と電気的に接続している。インダクターL10の他端は、コンデンサーC10の一端と電気的に接続している。コンデンサーC10の他端には、グラウンド電位が供給されている。すなわち、インダクターL10とコンデンサーC10とは、ローパスフィルター回路を構成する。そして、レベルシフト回路580から出力されたレベルシフト増幅変調信号AMS2は、当該ローパスフィルター回路によって平滑され、駆動回路50は、平滑されたレベルシフト増幅変調信号AMS2を駆動信号COMとして出力する。
【0090】
帰還回路570は、第1帰還回路572、及び第2帰還回路574を含む。第1帰還回路572及び第2帰還回路574には、復調回路560が出力する駆動信号COMが入力される。
【0091】
第1帰還回路572は、入力される駆動信号COMの電圧値を減衰する。そして、第1帰還回路572は、減衰した信号を帰還信号VFB1として加算器515に帰還する。第2帰還回路574は、入力される駆動信号COMの低周波成分が除去し高周波リップル成分の信号を抽出する不図示のハイパスフィルター回路と、当該高周波リップル成分の信号に重畳するノイズ成分を除去するローパスフィルター回路と、を含む。そして、第2帰還回路574は、駆動信号COMに含まれる高周波リップル成分の信号からノイズ成分が除去された信号を減衰し、帰還信号VFB2として加算器516に帰還する。
【0092】
以上のように、駆動回路50が出力する駆動信号COMは、増幅変調信号AMS1の基準電圧をレベルシフトしたレベルシフト増幅変調信号AMS2を復調回路560に含まれるローパスフィルターによって平滑することで生成される。このような駆動信号COMを、第1帰還回路572によって減衰し加算器515に帰還することで、駆動回路50は、第1帰還回路572の遅延と帰還の伝達関数とで定まる周波数で自励発振する。しかしながら、第1帰還回路572を介した帰還経路のみでは遅延量が大きく、それ故に、駆動信号COMの信号波形の精度を十分に確保できるほどに、駆動回路50の自励発振の周波数を高くすることができない場合があった。本実施形態の駆動回路50では、第1帰還回路572を介した帰還経路とは別に、駆動信号COMに含まれる高周波リップル成分を帰還する第2帰還回路574を設けることで、駆動回路50の回路全体でみた場合における遅延量を小さくし、変調信号MSの周波数を駆動信号COMの信号波形の精度を十分に確保できるほどに高くすることができる。これにより、駆動回路50の自励発振の周波数を駆動信号COMの信号波形の精度を十分に確保できる程度に高くすることができ、その結果、駆動回路50が出力する駆動信号COMの波形精度を高めることができる。
【0093】
以上のように、本実施形態の駆動回路50は、駆動信号COMの基となる基駆動信号dA,aAを変調した変調信号MSを出力する変調回路520と、変調信号MSを増幅した増幅変調信号AMS1を出力する増幅回路550と、増幅変調信号AMS1の基準電位をレベルシフトしたレベルシフト増幅変調信号AMS2を出力するレベルシフト回路580と、レベルシフト増幅変調信号AMS2を復調することで駆動信号COMを出力する復調回路560と、を有する。
【0094】
以上のように構成された駆動回路50は、基駆動信号dA,aAを変調した変調信号MSを増幅し復調することとで駆動信号COMを生成する所謂D級増幅回路を含む。これにより、本実施形態の駆動回路50は、A級増幅回路、B級増幅回路、及びAB級増幅回路を用いた場合と比較して、高効率で増幅することが可能となり、駆動回路50における消費電力を低減することができる。さらに、本実施形態の駆動回路50では、増幅回路550が変調信号MSを増幅することにより生成した増幅変調信号AMS1の基準電位を、レベルシフト回路580によってシフトさせることで、駆動信号COMを生成している。このような駆動回路50では、電圧信号VHVの電圧値を出力する駆動信号COMの電圧値よりも低くすることが可能となり、それ故に、増幅回路550に含まれるトランジスターM1,M2における電力損失を低減することができる。すなわち、本実施形態の駆動回路50では、A級増幅回路、B級増幅回路、及びAB級増幅回路を用いた場合と比較して、消費電力が低減することは勿論のこと、従前のD級増幅回路を用いた場合と比較しても、消費電力を低減することができる。
【0095】
2.5 駆動信号選択制御回路の機能構成
次に、駆動信号選択制御回路200の構成、及び動作について説明する。前述の通り、駆動信号選択制御回路200は、クロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHに基づいて、駆動信号COMに含まれる信号波形を選択又は非選択とすることで、複数の吐出部600のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを生成し、対応する吐出部600に出力する。そこで、駆動信号選択制御回路200の構成、及び動作を説明するにあたり、まず、駆動信号選択制御回路200に入力される駆動信号COMの信号波形の一例について説明する。
【0096】
図8は、駆動信号COMの信号波形の一例を示す図である。
図8に示すように、駆動信号COMは、ラッチ信号LATが立ち上がってからチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間T1に配置された台形波形Adpと、チェンジ信号CHが立ち上がってから次にチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間T2に配置された台形波形Bdpと、チェンジ信号CHが立ち上がってからラッチ信号LATが立ち上がるまでの期間T3に配置された台形波形Cdpと、を含む。台形波形Adpは、圧電素子60に供給された場合に当該圧電素子60に対応する吐出部600から所定量のインクが吐出するように圧電素子60を駆動する信号波形である。台形波形Bdpは、圧電素子60に供給された場合に当該圧電素子60に対応する吐出部600から所定量よりも少量のインクが吐出するように圧電素子60を駆動する信号波形である。台形波形Cdpは、圧電素子60に供給された場合に当該圧電素子60に対応する吐出部600からインクが吐出されない程度に圧電素子60を駆動する信号波形である。ここで、台形波形Cdpが圧電素子60に供給された場合、当該圧電素子60は、対応する吐出部600のノズル開孔部付近のインクを振動させる。これにより、ノズル開孔部付近のインク粘度が増大するおそれが低減する。
【0097】
また、台形波形Adp,Bdp,Cdpのそれぞれは、開始タイミングでの電圧値、及び終了タイミングでの電圧値がいずれも電圧Vcで共通である。すなわち、台形波形Adp,Bdp,Cdpのそれぞれは、電圧Vcで開始し電圧Vcで終了する信号波形である。
【0098】
以下の説明において、圧電素子60に台形波形Adpが供給された場合に、当該圧電素子60に対応する吐出部600から吐出される所定量のインクの量を中程度の量と称し、圧電素子60に台形波形Bdpが供給された場合に、当該圧電素子60に対応する吐出部600から吐出される所定量のよりも少ないインクの量を小程度の量と称する場合がある。また、圧電素子60に台形波形Cdpが供給された場合に、当該圧電素子60に対応する吐出部600のノズル開孔部付近のインクを振動させてインク粘度の増大を防止するための動作を微振動と称する場合がある。なお、
図8に示す駆動信号COMの信号波形は一例であってこれに限られるものではない。駆動信号COMの信号波形は、吐出されるインクの性質や、インクが着弾する媒体の材質等に応じた様々な形状の信号波形を組み合わせることができる。
【0099】
本実施形態の駆動信号選択制御回路200は、期間T1,T2,T3を含む周期Taにおいて、台形波形Adp,Bdp,Cdpのそれぞれを選択又は非選択とすることで、吐出部600から吐出されるインクの量を制御する。すなわち、周期Ta毎に媒体に形成されるドットサイズが制御される。以下の説明において、期間T1,T2,T3を含む周期Taを、所定のサイズのドットを媒体に形成するドット形成周期と称する場合がある。
【0100】
次に、駆動信号COMに含まれる信号波形を選択又は非選択とすることで駆動信号VOUTを生成する駆動信号選択制御回路200の構成、及び動作について説明する。
図9は、駆動信号選択制御回路200の構成を示す図である。
図9に示すように、駆動信号選択制御回路200は、選択制御回路210と複数の選択回路230を有する。
【0101】
選択制御回路210には、クロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHが入力される。また、選択制御回路210には、シフトレジスター(S/R)212とラッチ回路214とデコーダー216との組が、複数の吐出部600の各々に対応して設けられている。すなわち、吐出ヘッド20がp個の吐出部600を有する場合、駆動信号選択制御回路200は、p個のシフトレジスター212と、p個のラッチ回路214と、p個のデコーダー216とを含む。
【0102】
印刷データ信号SIは、クロック信号SCKに同期して選択制御回路210に入力される。印刷データ信号SIは、「大ドットLD」、「中ドットMD」、「小ドットSD」、及び「非記録ND」のいずれかを選択するための2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を、p個の吐出部600の各々に対応してシリアルに含む。すなわち、印刷データ信号SIは、少なくとも2pビットのシリアル信号である。印刷データ信号SIに含まれる印刷データ[SIH,SIL]は、p個の吐出部600のそれぞれに対応するp個のシフトレジスター212に保持される。
【0103】
具体的には、吐出部600に対応したp個のシフトレジスター212が互いに縦続接続しているとともに、シリアルで入力された印刷データ信号SIが、クロック信号SCKに従って順次後段のシフトレジスター212に転送される。そして、印刷データ[SIH,SIL]が対応するシフトレジスター212に保持されると、クロック信号SCKが停止する。換言すれば、クロック信号SCKの供給が停止することで、印刷データ信号SIに含まれる印刷データ[SIH,SIL]が対応するシフトレジスター212に保持される。なお、
図9では、p個のシフトレジスター212を区別するために、印刷データ信号SIが入力される上流側から順番に1段、2段、…、p段と表記して説明を行う。
【0104】
p個のラッチ回路214の各々は、ラッチ信号LATの立ち上がりで対応するシフトレジスター212に保持された印刷データ[SIH,SIL]を一斉にラッチする。そして、ラッチ回路214がラッチした印刷データ[SIH,SIL]は、対応するデコーダー216に入力される。
図10は、デコーダー216におけるデコード内容の一例を示す図である。デコーダー216は、期間T1,T2,T3のそれぞれにおいて、入力される印刷データ[SIH,SIL]で規定される論理レベルの選択信号Sを出力する。例えば、デコーダー216に印刷データ[SIH,SIL]=[1,0]が入力された場合、デコーダー216は、選択信号Sの論理レベルを、期間T1,T2,T3においてH,L,Lレベルとして出力する。
【0105】
デコーダー216が出力する選択信号Sは、選択回路230に入力される。選択回路230は、p個の吐出部600のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、駆動信号選択制御回路200は、吐出部600と同数のp個の選択回路230を有する。
図11は、吐出部600の1個分に対応する選択回路230の構成を示す図である。
図11に示すように、選択回路230は、NOT回路であるインバーター232とトランスファーゲート234とを含む。
【0106】
選択信号Sは、トランスファーゲート234において丸印が付されていない正制御端に入力されるとともに、インバーター232によって論理レベルが反転された後、トランスファーゲート234において丸印が付された負制御端にも入力される。また、トランスファーゲート234の入力端には、駆動信号COMが供給されている。そして、トランスファーゲート234は、Hレベルの選択信号Sが入力された場合に入力端と出力端との間が導通となり、Lレベルの選択信号Sが入力された場合に入力端と出力端との間が非導通となる。すなわち、トランスファーゲート234は、入力される選択信号Sの論理レベルがHレベルの場合に駆動信号COMに含まれる信号波形を出力端から出力し、入力される選択信号Sの論理レベルがLレベルの場合に駆動信号COMに含まれる信号波形を出力端から出力しない。
【0107】
そして、駆動信号選択制御回路200は、選択回路230が有するトランスファーゲート234の出力端に出力された信号を、駆動信号VOUTとして出力する。
【0108】
ここで、
図12を用いて駆動信号選択制御回路200の動作について説明する。
図12は、駆動信号選択制御回路200の動作を説明するための図である。印刷データ信号SIは、クロック信号SCKに同期したシリアル信号として選択制御回路210に入力される。印刷データ信号SIは、クロック信号SCKに同期して、p個の吐出部600のそれぞれに対応するp個のシフトレジスター212において順次転送される。その後、クロック信号SCKの入力が停止すると、シフトレジスター212には、p個の吐出部600のそれぞれに対応した印刷データ[SIH,SIL]が保持される。
【0109】
そして、ラッチ信号LATが立ち上がると、ラッチ回路214のそれぞれは、シフトレジスター212に保持されている印刷データ[SIH,SIL]を一斉にラッチする。なお、
図12に示すLT1、LT2、…、LTpは、1段、2段、…、p段のシフトレジスター212に対応するラッチ回路214によってラッチされた印刷データ[SIH,SIL]を示す。
【0110】
デコーダー216は、ラッチされた印刷データ[SIH,SIL]で規定されるドットのサイズに応じて、期間T1,T2,T3のそれぞれにおいて、選択信号Sの論理レベルを
図10に示す内容で出力する。そして、選択回路230が、デコーダー216が出力する選択信号Sの論理レベルに応じて駆動信号COMに含まれる信号波形を選択又は非選択とすることで、駆動信号VOUTを生成する。
【0111】
具体的には、デコーダー216に印刷データ[SIH,SIL]=[1,1]が入力された場合、デコーダー216は、選択信号Sの論理レベルを期間T1,T2,T3においてH,H,Lレベルとする。これにより、選択回路230は、期間T1において台形波形Adpを選択し、期間T2において台形波形Bdpを選択し、期間T3において台形波形Cdpを選択しない。その結果、駆動信号選択制御回路200は、「大ドットLD」に対応する駆動信号VOUTを出力する。
【0112】
「大ドットLD」に対応する駆動信号VOUTが吐出部600が有する圧電素子60に供給された場合、吐出部600は、期間T1において中程度の量のインクを吐出し、期間T2において小程度の量のインクを吐出し、期間T3においてインクを吐出しない。そして、吐出部600から吐出された中程度の量のインクと小程度の量のインクとが媒体に着弾し結合することで、媒体に「大ドットLD」が形成される。
【0113】
また、デコーダー216に印刷データ[SIH,SIL]=[1,0]が入力された場合、デコーダー216は、選択信号Sの論理レベルを期間T1,T2,T3においてH,L,Lレベルとする。これにより、選択回路230は、期間T1において台形波形Adpを選択し、期間T2において台形波形Bdpを選択せず、期間T3において台形波形Cdpを選択しない。その結果、駆動信号選択制御回路200は、「中ドットMD」に対応する駆動信号VOUTを出力する。
【0114】
「中ドットMD」に対応する駆動信号VOUTが吐出部600が有する圧電素子60に供給された場合、吐出部600は、期間T1において中程度の量のインクを吐出し、期間T2においてインクを吐出せず、期間T3においてインクを吐出しない。そして、吐出部600から吐出された中程度の量のインクが媒体に着弾することで、媒体に「中ドットMD」が形成される。
【0115】
また、デコーダー216に印刷データ[SIH,SIL]=[0,1]が入力された場合、デコーダー216は、選択信号Sの論理レベルを期間T1,T2,T3においてL,H,Lレベルとする。これにより、選択回路230は、期間T1において台形波形Adpを選択せず、期間T2において台形波形Bdpを選択し、期間T3において台形波形Cdpを選択しない。その結果、駆動信号選択制御回路200は、「小ドットSD」に対応する駆動信号VOUTを出力する。
【0116】
「小ドットSD」に対応する駆動信号VOUTが吐出部600が有する圧電素子60に供給された場合、吐出部600は、期間T1においてインクを吐出せず、期間T2において小程度の量のインクを吐出し、期間T3においてインクを吐出しない。そして、吐出部600から吐出された小程度の量のインクが媒体に着弾することで、媒体に「小ドットSD」が形成される。
【0117】
また、デコーダー216に印刷データ[SIH,SIL]=[0,0]が入力された場合、デコーダー216は、選択信号Sの論理レベルを期間T1,T2,T3においてL,L,Hレベルとする。これにより、選択回路230は、期間T1において台形波形Adpを選択せず、期間T2において台形波形Bdpを選択せず、期間T3において台形波形Cdpを選択する。その結果、駆動信号選択制御回路200は、「非記録ND」に対応する駆動信号VOUTを出力する。
【0118】
「非記録ND」に対応する駆動信号VOUTが吐出部600が有する圧電素子60に供給された場合、吐出部600は、期間T1においてインクを吐出せず、期間T2においてインクを吐出せず、期間T3においてインクを吐出しない。したがって、吐出部600からインクが吐出されず、媒体にドットが形成されない「非記録ND」となる。
【0119】
このとき、対応する選択回路230は、台形波形Cdpを含む駆動信号VOUTを出力する。したがって、対応する吐出部600に対して微振動が実行される。その結果、対応する吐出部600のノズル開孔部付近のインク粘度が増大するおそれが低減する。
【0120】
3.液体吐出システムにおける電源電圧異常検出動作
以上のように、本実施形態のヘッドユニット10は、USB規格に準拠し、電圧信号Vddが入力されるコネクターCN1と、USB規格に準拠し、電圧信号Vddが出力されるコネクターCN2と、電圧信号Vdd1,Vdd2が正常であるか否かを判定する電源異常判定回路110と、電圧信号Vdd2に基づいて駆動信号COMを出力する駆動回路50と、駆動信号COMが供給されることでのインクを吐出する吐出ヘッド20と、少なくとも、コネクターCN1の一部、及びコネクターCN2の一部が露出した状態で、コネクターCN1,CN2、電源異常判定回路110、駆動回路50、及び吐出ヘッド20を収容する筐体12と、を有し、液体吐出システム1は、上述したヘッドユニット10をn個、具体的には、n個のヘッドユニット10として、媒体にインクを吐出するヘッドユニット10-1~10-nを備える。
【0121】
このような液体吐出システム1において、ヘッドユニット10-1~10-nは、ケーブル5-1~5-(n-1)によって直列に接続されている。これにより、ケーブルCBを介して液体吐出システム1に供給された画像データ、及び電圧信号Vddが、ヘッドユニット10-1~10-nに供給される。そして、ヘッドユニット10-1~10-nのそれぞれは、入力される電圧信号Vddによって駆動するとともに、入力される画像データに応じたタイミングで、当該画像データに応じた量のインクを媒体に吐出する。これにより、液体吐出システム1は、画像データに応じた画像を媒体に形成する。
【0122】
また、液体吐出システム1において、ヘッドユニット10-1~10-nは、ケーブル3-1~3-(n-1)によって相互に電気的に接続されている。そして、液体吐出システム1においてヘッドユニット10-1~10-nは、ヘッドユニット10-1~10-nのいずれかで生じた異常情報を、ケーブル3-1~3-(n-1)を介して相互に伝搬することで共有するとともに、当該異常情報に応じた処理を実行する。
【0123】
このような液体吐出システム1における異常情報に応じた動作の一例について説明する。なお、以下の説明において、ヘッドユニット10-1~10-nのそれぞれに含まれる構成を区別して説明する場合、上述したヘッドユニット10が備える各構成の符号の末尾に「-1」~「-n」を付し説明を行う。例えば、以下の説明においてヘッドユニット10-j(jは1~nのいずれか)に含まれるUSBインターフェース回路100をUSBインターフェース回路100-jと称し、ヘッドユニット10-jに含まれる電源異常判定回路110を電源異常判定回路110-jと称し、ヘッドユニット10-jに含まれる駆動回路50を駆動回路50-jと称し、ヘッドユニット10-jに含まれる吐出ヘッド20を吐出ヘッド20-jと称し、USBインターフェース回路100-jが出力する電圧信号Vdd1を電圧信号Vdd1-jと称し、電源異常判定回路110-jが出力する電圧信号Vdd2を電圧信号Vdd2-jと称し、電源異常判定回路110-jが出力する判定結果信号Rsを判定結果信号Rs-jと称し、駆動回路50-jが出力する駆動信号COMを駆動信号COM-jと称する場合がある。
【0124】
図13は、液体吐出システム1におけるヘッドユニット10の相互間における異常情報の共有について説明するための図である。
図13に示すように、ケーブル3-1の一端は端子TM2-1と電気的に接続し、ケーブル3-1の他端は端子TM1-2と電気的に接続している。すなわち、ヘッドユニット10-1とヘッドユニット10-2とは、端子TM2-1と端子TM1-2とを介して電気的に接続している。また、前述のとおり、端子TM2-1は、電源異常判定回路110-1が有する配線Wrs-1と電気的に接続し、端子TM1-2は、電源異常判定回路110-2が有する配線Wrs-2と電気的に接続している。
【0125】
ここで、前述のとおり電源異常判定回路110-1は、配線Wvd-1を伝搬する信号の電圧値であってヘッドユニット10-1の駆動電圧である電圧信号Vdd1-1,Vdd2-1の電圧値が、電圧信号Vref-1の電圧値よりも大きい場合、コンパレーター114-1の出力端子のインピーダンスをハイインピーダンスとし、配線Wvd-1を伝搬する信号の電圧値であってヘッドユニット10-1の駆動電圧である電圧信号Vdd1-1,Vdd2-1の電圧値が、電圧信号Vref-1の電圧値よりも小さい場合、コンパレーター114-1の出力端子をグラウンド電位とする。同様に、電源異常判定回路110-2は、配線Wvd-2を伝搬する信号の電圧値であってヘッドユニット10-2の駆動電圧である電圧信号Vdd1-2,Vdd2-2の電圧値が、電圧信号Vrefの電圧値よりも大きい場合、コンパレーター114-2の出力端子のインピーダンスをハイインピーダンスとし、配線Wvd-2を伝搬する信号の電圧値であってヘッドユニット10-2の駆動電圧である電圧信号Vdd1-2,Vdd2-2の電圧値が、電圧信号Vref-2の電圧値よりも小さい場合、コンパレーター114-2の出力端子をグラウンド電位とする。
【0126】
そのため、電圧信号Vdd1-1,Vdd2-1の電圧値が電圧信号Vref-1の電圧値よりも小さい場合、又は電圧信号Vdd1-2,Vdd2-2の電圧値が電圧信号Vref-2の電圧値よりも小さい場合、配線Wrs-1を伝搬すると判定結果信号Rs-1、及び配線Wrs-2を伝搬すると判定結果信号Rs-2の双方がグラウンド電位となる。換言すれば、ヘッドユニット10-1において判定結果信号Rs-1が伝搬する配線Wrs-1と、ヘッドユニット10-2において判定結果信号Rs-2が伝搬する配線Wrs-2とは、ケーブル3-1によってワイヤードオア接続されている。
【0127】
これにより、電圧信号Vdd1-1,Vdd2-1の電圧値が電圧信号Vref-1の電圧値よりも小さい場合、又は電圧信号Vdd1-2,Vdd2-2の電圧値が電圧信号Vref-2の電圧値よりも小さい場合、電源異常判定回路110-1はLレベルの判定結果信号Rs-1を駆動回路50-1に出力し、電源異常判定回路110-2はLレベルの判定結果信号Rs-2を駆動回路50-2に出力する。その結果、駆動回路50-1は駆動信号COM-1の出力を停止し、駆動回路50-2は駆動信号COM-2の出力を停止する。したがって、吐出ヘッド20-1と吐出ヘッド20-2との双方がインクの吐出を停止する。
【0128】
すなわち、本実施形態の液体吐出システム1において、ヘッドユニット10-1が有する電源異常判定回路110-1が電圧信号Vdd1-1,Vdd2-1は正常でないと判定した場合、又はヘッドユニット10-2が有する電源異常判定回路110-2が電圧信号Vdd1-2,Vdd2-2は正常でないと判定した場合、吐出ヘッド20-1及び吐出ヘッド20-2は、インクの吐出を停止する。
【0129】
同様に、ケーブル3-jの一端は端子TM2-jと電気的に接続し、ケーブル3-jの他端は端子TM1-(j+1)と電気的に接続している。すなわち、ヘッドユニット10-jとヘッドユニット10-(j+1)とは、端子TM2-jと端子TM1-(j+1)とを介して電気的に接続している。このとき、端子TM2-jは電源異常判定回路110-jが有する配線Wrs-jと電気的に接続し、端子TM1-(j+1)は電源異常判定回路110-(j+1)が有する配線Wrs-(j+1)と電気的に接続している。よって、ヘッドユニット10-jにおいて判定結果信号Rs-jが伝搬する配線Wrs-jと、ヘッドユニット10-(j+1)において判定結果信号Rs-(j+1)が伝搬する配線Wrs-(j+1)とは、ケーブル3-jによってワイヤードオア接続されている。
【0130】
これにより、電圧信号Vdd1-j,Vdd2-jの電圧値が電圧信号Vref-jの電圧値よりも小さい場合、又は電圧信号Vdd1-(j+1),Vdd2-(j+1)の電圧値が電圧信号Vref-(j+1)の電圧値よりも小さい場合、電源異常判定回路110-jはLレベルの判定結果信号Rs-jを駆動回路50-jに出力し、電源異常判定回路110-(j+1)はLレベルの判定結果信号Rs-(j+1)を駆動回路50-2に出力する。その結果、駆動回路50-jは駆動信号COM-jの出力を停止し、駆動回路50-(j+1)は駆動信号COM-(j+1)の出力を停止する。したがって、吐出ヘッド20-jと吐出ヘッド20-(j+1)との双方がインクの吐出を停止する。
【0131】
すなわち、本実施形態の液体吐出システム1において、ヘッドユニット10-jが有する電源異常判定回路110-jが電圧信号Vdd1-j,Vdd2-jは正常でないと判定した場合、又はヘッドユニット10-(j+1)が有する電源異常判定回路110-(j+1)が電圧信号Vdd1-(j+1),Vdd2-(j+1)は正常でないと判定した場合、吐出ヘッド20-j及び吐出ヘッド20-(j+1)は、インクの吐出を停止する。
【0132】
さらに、
図13に示すように本実施形態の液体吐出システム1が有するヘッドユニット10-1~10-nの全てが、ケーブル3-1~30(n-1)によって電気的に接続されている。具体的には、ケーブル3-1~3-(n-1)のそれぞれの一端が、端子TM2-1~TM2-(n―1)のそれぞれと電気的に接続し、ケーブル3-1~3-(n―1)のそれぞれの他端が端子TM1-2~TM1-nと電気的に接続している。すなわち、ヘッドユニット10-1~10-nは、端子TM2-1~TM2-(n―1)のそれぞれと、端子TM1-2~TM1-nのそれぞれと、を介して電気的に接続している。
【0133】
すなわち、ヘッドユニット10-1~10-nのそれぞれにおいて判定結果信号Rs-1~Rs-nのそれぞれが伝搬する配線Wrs-1~Wrs-nは、ケーブル3-1~3-(n-1)によってワイヤードオア接続されている。これにより、電源異常判定回路110-1~110-nが、電圧信号Vdd1-1~Vdd1-n,Vdd2-1~Vdd2-nのいずれかが正常でないと判定した場合、電源異常判定回路110-1~110-nのそれぞれは、Lレベルの判定結果信号Rs-1~Rs-nを生成し、駆動回路50-1~50-nに出力する。その結果、ヘッドユニット10-1~10-nが有する吐出ヘッド20-1~20-nの全てが、インクの吐出を停止する。
【0134】
換言すれば、ヘッドユニット10-1~10-nのそれぞれが有する電源異常判定回路110-1~110-nのいずれかが、供給される駆動電圧が正常でないと判定した場合、ヘッドユニット10-1~10-nのそれぞれが有する吐出ヘッド20-1~20-nの全てからのインクの吐出が停止する。
【0135】
ここで、ヘッドユニット10-1が第1ヘッドユニットの一例であり、ヘッドユニット10-2が第2ヘッドユニットの一例である。そして、ヘッドユニット10-1が有するコネクターCN1-1が第1USBコネクターの一例であり、コネクターCN2-1が第2USBコネクターの一例であり、端子TM2-1が第1端子の一例であり、判定結果信号Rs-1が伝搬する配線Wrs-1が第1配線の一例であり、電源異常判定回路110-1が第1判定回路の一例であり、駆動回路50-1が第1駆動回路の一例であり、吐出ヘッド20-1が第1吐出ヘッドの一例であり、コネクターCN1-1,CN2-1、電源異常判定回路110-1、駆動回路50-1、吐出ヘッド20-1を収容する筐体12-1が第1筐体の一例である。また、ヘッドユニット10-2が有するコネクターCN1-2が第3USBコネクターの一例であり、端子TM1-2が第2端子の一例であり、判定結果信号Rs-2が伝搬する配線Wrs-2が第2配線の一例であり、電源異常判定回路110-2が第2判定回路の一例であり、駆動回路50-2が第2駆動回路の一例であり、吐出ヘッド20-2が第2吐出ヘッドの一例であり、コネクターCN1-2、電源異常判定回路110-2、駆動回路50-2、吐出ヘッド20-2を収容する筐体12-2が第2筐体の一例である。
【0136】
そして、ホストコンピューターからヘッドユニット10-1のコネクターCN1-1に入力される電圧信号Vdd、及びヘッドユニット10-1を駆動する電圧信号Vdd1-1,Vdd2-1が第1電源電圧の一例であり、第1電源電圧の一例であるヘッドユニット10-1のコネクターCN1-1に入力される電圧信号Vddに基づく電圧であって、ヘッドユニット10-1のコネクターCN2-1に出力され、ヘッドユニット10-2のコネクターCN1-2に入力される電圧信号Vdd、及びヘッドユニット10-2を駆動する電圧信号Vdd1-2,Vdd2-2が第2電源電圧の一例であり、判定結果信号Rs-1が第1判定結果信号の一例であり、判定結果信号Rs-2が第2判定結果信号の一例であり、駆動信号COM-1が第1駆動信号の一例であり、駆動信号COM-2が第2駆動信号の一例である。
【0137】
4.作用効果
以上のように構成された液体吐出システム1は、ヘッドユニット10-1,10-2を含む複数のヘッドユニット10を備え、ヘッドユニット10-1は、コネクターCN1-1から供給される電圧信号Vddに応じた電圧信号Vdd1-1,Vdd2-1が正常であるか否かを判定する電源異常判定回路110-1と、電圧信号Vdd2-1に基づいて駆動信号COM-1を出力する駆動回路50-1と、駆動信号COM-1が供給されることでインクを吐出する吐出ヘッド20-1と、を有し、ヘッドユニット10-2は、コネクターCN1-2から供給される電圧信号Vddに応じた電圧信号Vdd1-2,Vdd2-2が正常であるか否かを判定する電源異常判定回路110-2と、電圧信号Vdd2-2に基づいて駆動信号COM-2を出力する駆動回路50-2と、駆動信号COM-2が供給されることでインクを吐出する吐出ヘッド20-2と、を有する。そして、液体吐出システム1は、電源異常判定回路110-1が電圧信号Vdd1-1,Vdd2-1は正常でないと判定した場合、又は電源異常判定回路110-2が電圧信号Vdd1-2,Vdd2-2は正常でないと判定した場合、吐出ヘッド20-1及び吐出ヘッド20-2は、インクの液体の吐出を停止する、
これにより、液体吐出システム1に供給される電力量が不安定になることに起因してヘッドユニット10-1,10-2のいずれかに供給される電力量が不安定となった場合であっても、吐出ヘッド20-1,20-2から不用意にインクが吐出されるおそれが低減し、その結果、媒体に形成される画像の品質が低下するおそれが低減するとともに、画像品質の低下に伴う媒体の損失や、不用意なインクの吐出によるインクの損失が生じるおそれも低減することができる。すなわち、本実施形態の液体吐出システム1では、液体吐出システム1が複数のヘッドユニット10を有する場合であっても、液体吐出システム1に供給される電力量が不安定になることに起因して、媒体に形成される画像の品質が低下するおそれを低減することができるとともに、画像品質の低下に伴う媒体の損失、及び吐出ヘッド20からの不用意なインクの吐出によるインクの損失が生じるおそれも低減することができる。これにより、媒体に形成される画像品質が低下するおそれを低減するとともに、環境負荷を低減した液体吐出システム1を提供することができる。
【0138】
さらに、本実施形態の液体吐出システム1では、ヘッドユニット10-1~10-nのそれぞれが有する駆動回路50-1~50-nのそれぞれが、駆動信号COMの基となる基駆動信号dA,aAを変調した変調信号MSを出力する変調回路520と、変調信号MSを増幅した増幅変調信号AMS1を出力する増幅回路550と、増幅変調信号AMS1の基準電位をレベルシフトしたレベルシフト増幅変調信号AMS2を出力するレベルシフト回路580と、レベルシフト増幅変調信号AMS2を復調することで駆動信号COMを出力する復調回路560と、を有する。これにより、駆動回路50-1~50-nのそれぞれにおける消費電力が低減する。その結果、液体吐出システム1に供給される電力量が不安定になるおそれが低減し、液体吐出システム1が複数のヘッドユニット10を有する場合であっても、液体吐出システム1の動作の安定性を向上させることができる。
【0139】
さらに、本実施形態の液体吐出システム1では、ヘッドユニット10-1~10-nのそれぞれにおいて、電源異常判定回路110-1~110-nが出力する判定結果信号Rs-1~Rs-nのそれぞれが伝搬する配線Wrs-1~Wrs-nがワイヤードオア接続されている。これにより、ヘッドユニット10-1~10-nのいずれかで駆動電圧の異常が生じた場合に、当該異常をCPU等の処理回路を介さずにヘッドユニット10-1~10-nで共有することができる。すなわち、ヘッドユニット10-1~10-nのいずれかで駆動電圧の異常を、短時間でヘッドユニット10-1~10-nで共有することができる。これにより、液体吐出システム1に供給される電力量が不安定になることに起因して生じた画像品質の低下に伴う媒体の損失、及び不用意なインクの吐出によるインクの損失が生じるおそれをさらに低減することができる。
【0140】
5.変形例
以上に説明した液体吐出システム1において、ヘッドユニット10-1~10-nは、ケーブル5-1~5-(n-1)を用いて相互に電気的に接続されているとして説明を行ったが、ヘッドユニット10-1~10-nは、USB規格に準拠した形状のコネクターを用いて相互に電気的に接続されていれば同様の作用効果を奏する。そのため、ヘッドユニット10-1~10-nのそれぞれが有するコネクターCN1をUSB規格に準拠した形状のUSBレセプタクルコネクターとし、ヘッドユニット10-1~10-nのそれぞれが有するコネクターCN2をUSB規格に準拠した形状のUSBプラグにするとともに、ヘッドユニット10-1~10-(n-1)のそれぞれが有するコネクターCN2が、ヘッドユニット10-2~10-nのそれぞれが有するコネクターCN1に嵌め合わされることで、ヘッドユニット10-1~10-nの相互間を通信可能に電気的に接続する構成であってもよい。すなわち、ヘッドユニット10-1とヘッドユニット10-2とは、コネクターCN2-1とコネクターCN1-2とが嵌合することで、電気的に接続していてもよい。係る構成を用いることで、上述した実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、ヘッドユニット10-1,10-2,…,10-nのそれぞれを固定する固定用治具等を用いる必要がなく、液体吐出システム1の構成が煩雑になるおそれがさらに低減する。
【0141】
また、以上に説明した液体吐出システム1において、ヘッドユニット10-1~10-nは、いずれかで生じた異常情報を共有可能にケーブル3-1~3-(n-1)を用いて相互に電気的に接続されているとして説明を行ったが、ヘッドユニット10-1~10-nは、いずれかで生じた異常情報を共有可能に電気的に接続されていればよい。そのため、ヘッドユニット10-iが有する端子TM1と、ヘッドユニット10-(i+1)が有する端子TM2とは、ケーブル3-iを用いずに直接嵌め合わされることにより、ヘッドユニット10-iとヘッドユニット10-(i+1)とを電気的に接続する構成であってもよい。そのため、ヘッドユニット10-1~10-(n-1)が有する端子TM1と、ヘッドユニット10-2~10-nが有する端子TM2とは、配線基板14-1~14-(n-1)と配線基板14-2~14-nとを直接接続する所謂基板対基板コネクター(BtoBコネクター)に含まれていてもよい。この場合において、ヘッドユニット10-1~10-nのそれぞれが有する端子TM1と端子TM2とが異なるコネクターに設けられていてもよい。係る構成を用いることで、上述した実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、ヘッドユニット10-1,10-2,…,10-nのそれぞれを固定する固定用治具等を用いる必要がなく、液体吐出システム1の構成が煩雑になるおそれがさらに低減する。
【0142】
また、以上のとおり本実施形態の液体吐出システム1では、上述のとおり液体吐出システム1が複数のヘッドユニット10を有する場合であっても、液体吐出システム1に供給される電力量が不安定になることに起因して、媒体に形成される画像の品質が低下するおそれを低減することができるとともに、画像品質の低下に伴う媒体の損失、及び吐出ヘッド20からの不用意なインクの吐出によるインクの損失が生じるおそれも低減することができる。それ故に、液体吐出システム1の駆動電圧は、パーソナルコンピューター、タブレット、及びスマートフォンなどのホストコンピューターから駆動電圧が供給される場合に限るものではなく、当該ホストコンピューターと比較して出力電力の小さな鉛蓄電池やニッケル・カドミウム蓄電池、金属リチウム電池、リチウムイオン二次電池などのバッテリーから供給されてもよい。換言すれば、ヘッドユニット10-1が有するコネクターCN1には、バッテリーが出力する駆動電圧が電圧信号Vddとして入力されてもよい。係る構成を用いた場合であっても、上述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、液体吐出システム1の駆動電圧が鉛蓄電池やニッケル・カドミウム蓄電池、金属リチウム電池、リチウムイオン二次電池などのバッテリーから供給されている場合、液体吐出システム1が媒体に形成する画像の情報を含む画像データは、例えば、近距離無線通信によって液体吐出システム1に供給されてもよく、液体吐出システム1が有する不図示の記憶部にあらかじめ記憶されていてもよい。
【0143】
さらに、上述した本実施形態の液体吐出システム1において、電源異常判定回路110は、電圧信号Vdd1,Vdd2の電圧値を検出することで電圧信号Vdd1,Vdd2の電圧値が正常であるか否かを判定しているが、電源異常判定回路110は、電圧信号Vdd1,Vdd2の伝搬に伴い生じる電流値を検出し、検出した電流値に基づいて、電圧信号Vdd1,Vdd2の電圧値が正常であるか否かを判定してもよい。すなわち、電源異常判定回路110-1~110-nのそれぞれは、電圧信号Vdd1-1~1-n,Vdd2-1~Vdd2-nがヘッドユニット10-1~10-nで伝搬される際に生じる電流値に基づいて、電圧信号Vdd1-1~1-n,Vdd2-1~Vdd2-nが正常であるか否かを判定してもよい。
【0144】
係る構成の一例について説明する。
図14は、電源異常判定回路110の変形例の機能構成の一例を示す図である。
図14に示すように、変形例の電源異常判定回路110は、配線Wvd-v,Wrs―v1,Wrs―v2、抵抗素子122,128、コンパレーター124、及びオペアンプ126を含む。
【0145】
抵抗素子128の一端は、配線Wvd-v1と電気的に接続し、抵抗素子128の他端は、配線Wvd-v2と電気的に接続している。そして、電源異常判定回路110に入力された電圧信号Vdd1は、配線Wvd-v1、抵抗素子128、及び配線Wvd-v2を伝搬し、電圧信号Vdd2として出力される。また、抵抗素子128の一端はオペアンプ126の+側入力端子と電気的に接続し、抵抗素子128の他端はオペアンプ126の-側入力端子と電気的に接続している。すなわち、オペアンプ126には、抵抗素子128の両端の電圧であって、電圧信号Vdd1が配線Wvd-v1、抵抗素子128、及び配線Wvd-v2を伝搬する際に生じる電流量と抵抗素子128の抵抗値とにより規定される電圧値が入力される。そして、オペアンプ126は、入力される電圧を増幅した電圧を出力端から出力する。すなわち、オペアンプ126は、電圧信号Vdd1が配線Wvd-v1、抵抗素子128、及び配線Wvd-v2を伝搬する際に生じる電流量に応じた電圧値の信号を出力端から出力する。
【0146】
抵抗素子122の一端は配線Wvd-v1と電気的に接続し、抵抗素子122の他端は配線Wrs-vと電気的に接続している。コンパレーター124の+側入力端子には、オペアンプ126が出力端から出力する電圧信号Vdd1が配線Wvd-v1、抵抗素子128、及び配線Wvd-v2を伝搬する際に生じる電流量に応じた電圧値の信号が入力され、コンパレーター124の-側入力端子には基準電圧として機能する電圧信号Vref-vが入力され、コンパレーター124の出力端子は配線Wrs-vと電気的に接続している。そして、電源異常判定回路110は、配線Wrsの電圧値を判定結果信号Rsとして出力する。
【0147】
以上のように構成された電源異常判定回路110において、コンパレーター124は、+側入力端子に入力される電圧信号Vdd1が配線Wvd-v1、抵抗素子128、及び配線Wvd-v2を伝搬する際に生じる電流量に応じた電圧値の信号の電圧値と、-側入力端子に入力される電圧信号Vrefの電圧値と、を比較する。そして、コンパレーター124は、電圧信号Vdd1が配線Wvd-v1、抵抗素子128、及び配線Wvd-v2を伝搬する際に生じる電流量に応じた電圧値の信号の電圧値と、電圧信号Vrefの電圧値との比較結果に応じて、出力端子のインピーダンスをハイインピーダンスとするのか、若しくは、出力端子をグラウンド電位とするのかを切り替える。
【0148】
以上のように構成された電源異常判定回路110において、電圧信号Vdd1が配線Wvd-v1、抵抗素子128、及び配線Wvd-v2を伝搬する際に生じる電流量に応じた電圧値の信号の電圧値が、電圧信号Vref-vの電圧値よりも大きい場合、すなわち、電圧信号Vdd1が配線Wvd-v1、抵抗素子128、及び配線Wvd-v2を伝搬する際に生じる電流量が所定の閾値よりも大きい場合、コンパレーター124は、出力端子のインピーダンスをハイインピーダンスとする。このとき、コンパレーター124の出力端子が電気的に接続される配線Wrs-vには、抵抗素子122を介して配線Wvd-v1を伝搬する信号の電圧値であって、電圧信号Vdd1,Vdd2の電圧値の信号が供給される。したがって、電源異常判定回路110は、配線Wvd-v1を伝搬する信号の電圧値の判定結果信号Rsを出力する。
【0149】
一方で、電圧信号Vdd1が配線Wvd-v1、抵抗素子128、及び配線Wvd-v2を伝搬する際に生じる電流量に応じた電圧値の信号の電圧値が、電圧信号Vrefの電圧値よりも小さい場合、すなわち、電圧信号Vdd1が配線Wvd-v1、抵抗素子128、及び配線Wvd-v2を伝搬する際に生じる電流量が所定の閾値よりも小さい場合、コンパレーター114は、出力端子をグラウンド電位とする。その結果、コンパレーター124の出力端子が電気的に接続される配線Wrsの電位は、グラウンド電位となる。すなわち、電源異常判定回路110は、グラウンド電位の判定結果信号Rsを出力する。
【0150】
以上のように構成された電源異常判定回路110であって、上述した実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0151】
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0152】
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0153】
上述した実施形態から以下の内容が導き出される。
【0154】
液体吐出システムの一態様は、
媒体に液体を吐出する第1ヘッドユニットと、前記媒体に液体を吐出する第2ヘッドユニットと、を備えた液体吐出システムであって、
前記第1ヘッドユニットは、
第1電源電圧が入力される第1USBコネクターと、
前記第1電源電圧に基づく第2電源電圧が出力される第2USBコネクターと、
前記第1電源電圧が正常であるか否かを判定する第1判定回路と、
前記第1電源電圧に基づいて第1駆動信号を出力する第1駆動回路と、
前記第1駆動信号が供給されることで液体を吐出する第1吐出ヘッドと、
少なくとも、前記第1USBコネクターの一部、及び前記第2USBコネクターの一部が露出した状態で、前記第1USBコネクター、前記第2USBコネクター、前記第1判定回路、前記第1駆動回路、及び前記第1吐出ヘッドを収容する第1筐体と、
を有し、
前記第2ヘッドユニットは、
前記第2電源電圧が入力される第3USBコネクターと、
前記第2電源電圧が正常であるか否かを判定する第2判定回路と、
前記第2電源電圧に基づき第2駆動信号を出力する第2駆動回路と、
前記第2駆動信号が供給されることで液体を吐出する第2吐出ヘッドと、
少なくとも、前記第3USBコネクターの一部が露出した状態で、前記第3USBコネクター、前記第2判定回路、前記第2駆動回路、及び前記第2吐出ヘッドを収容する第2筐体と、
を有し、
前記第1判定回路が前記第1電源電圧は正常でないと判定した場合、又は前記第2判定回路が前記第2電源電圧は正常でないと判定した場合、前記第1吐出ヘッド及び前記第2吐出ヘッドは、液体の吐出を停止する。
【0155】
この液体吐出システムによれば、第1判定回路が第1電源電圧は正常でないと判定した場合、又は第2判定回路が第2電源電圧は正常でないと判定した場合に、第1吐出ヘッド及び第2吐出ヘッドの双方からの液体の吐出が停止することで、液体吐出システムに供給される電力量が不安定になった場合に、品質が低下した画像が媒体に形成されるおそれが低減する。その結果、複数のヘッドユニットを有する液体吐出システムであっても、画像品質の低下に伴う媒体の損失、及び不用意な液体の吐出による当該液体の損失が生じるおそれが低減する。これにより、媒体に形成される画像品質が低下するおそれが低減するとともに、環境負荷を低減した液体吐出システムを提供することができる。
【0156】
上記液体吐出システムの一態様において、
前記第1駆動回路は、
前記第1駆動信号の基となる基駆動信号を変調した変調信号を出力する変調回路と、
前記変調信号を増幅した増幅変調信号を出力する増幅回路と、
前記増幅変調信号の基準電位をレベルシフトしたレベルシフト増幅変調信号を出力するレベルシフト回路と、
前記レベルシフト増幅変調信号を復調することで前記第1駆動信号を出力する復調回路と、
を有してもよい。
【0157】
この液体吐出システムによれば、第1駆動回路における消費電力を低減することができる。これにより、複数のヘッドユニットを備えた液体吐出システムにおいて供給される電力量が不足し、不安定となるおそれが低減する。したがって、複数のヘッドユニットを有する液体吐出システムであっても、画像品質の低下に伴う媒体の損失、及び不用意な液体の吐出による当該液体の損失が生じるおそれがさらに低減する。
【0158】
上記液体吐出システムの一態様において、
前記第1ヘッドユニットは、前記第1判定回路における前記第1電源電圧が正常であるか否かの判定結果を示す第1判定結果信号が出力される第1端子を含み、
前記第2ヘッドユニットは、前記第2判定回路における前記第2電源電圧が正常であるか否かの判定結果を示す第2判定結果信号が出力される第2端子を含み、
前記第1ヘッドユニットと前記第2ヘッドユニットとは、前記第1端子と前記第2端子とを介して電気的に接続していてもよい。
【0159】
上記液体吐出システムの一態様において、
前記第1判定結果信号が伝搬する第1配線と、前記第2判定結果信号が伝搬する第2配線と、はワイヤードオア接続されていてもよい。
【0160】
この液体吐出システムによれば、複数のヘッドユニットを備えた液体吐出システムにおいて、CPU等のプロセッサーを介さずに相互に判定結果信号を共有することができる。これにり、判定結果信号の共有を短時間に実現することができ、その結果、複数のヘッドユニットを有する液体吐出システムにおいて、画像品質の低下に伴う媒体の損失、及び不用意な液体の吐出による当該液体の損失が生じるおそれがさらに低減する。
【0161】
上記液体吐出システムの一態様において、
前記第1ヘッドユニットと前記第2ヘッドユニットとは、前記第1端子と前記第2端子とが嵌合することで、電気的に接続していてもよい。
【0162】
この液体吐出システムによれば、複数のヘッドユニットを備えた液体吐出システムにおいて、当該複数のヘッドユニットの相互間を固定する構成と、当該複数のヘッドユニットの相互間を電気的に接続する構成とを、個別に設ける必要がなく、液体吐出システムの構成が煩雑になるおそれが低減する。
【0163】
上記液体吐出システムの一態様において、
前記第1ヘッドユニットと前記第2ヘッドユニットとは、前記第1端子と前記第2端子とがケーブルを介して接続することで、電気的に接続していてもよい。
【0164】
上記液体吐出システムの一態様において、
前記第1USBコネクターには、バッテリーが出力する前記第1電源電圧が入力さされてもよい。
【0165】
この液体吐出システムによれば、第1判定回路が第1電源電圧は正常でないと判定した場合、又は第2判定回路が第2電源電圧は正常でないと判定した場合に、第1吐出ヘッド及び第2吐出ヘッドの双方からの液体の吐出が停止することで、電力量が不安定なバッテリーからの給電であっても、複数のヘッドユニットを有する液体吐出システムにおいて、画像品質の低下に伴う媒体の損失、及び不用意な液体の吐出による当該液体の損失が生じるおそれを低減できる。
【0166】
上記液体吐出システムの一態様において、
前記第1USBコネクターには、ホストコンピューターが出力する前記第1電源電圧が入力されてもよい。
【0167】
この液体吐出システムによれば、第1判定回路が第1電源電圧は正常でないと判定した場合、又は第2判定回路が第2電源電圧は正常でないと判定した場合に、第1吐出ヘッド及び第2吐出ヘッドの双方から液体の吐出が停止することで、USB基準によって電力量が規定されているホストコンピューターからの給電であっても、複数のヘッドユニットを有する液体吐出システムにおいて、画像品質の低下に伴う媒体の損失、及び不用意な液体の吐出による当該液体の損失が生じるおそれを低減できる。
【0168】
上記液体吐出システムの一態様において、
前記第1判定回路は、前記第1電源電圧の値に基づいて、前記第1電源電圧が正常であるか否かを判定してもよい。
【0169】
上記液体吐出システムの一態様において、
前記第1判定回路は、前記第1電源電圧が前記第1ヘッドユニットで伝搬される際に生じる電流値に基づいて、前記第1電源電圧が正常であるか否かを判定してもよい。
【符号の説明】
【0170】
1…液体吐出システム、3,5…ケーブル、10…ヘッドユニット、12…筐体、14…配線基板、16…フレキシブルケーブル、20…吐出ヘッド、31,32…ローラー、40…インク容器、42…インク供給チューブ、50…駆動回路、60…圧電素子、80…エンコーダー、100…USBインターフェース回路、110…電源異常判定回路、112…抵抗素子、114…コンパレーター、120…ヘッド制御回路、122…抵抗素子、124…コンパレーター、126…オペアンプ、128…抵抗素子、200…駆動信号選択制御回路、210…選択制御回路、212…シフトレジスター、214…ラッチ回路、216…デコーダー、230…選択回路、232…インバーター、234…トランスファーゲート、502…電源供給切替回路、504…昇圧回路、510…DAC回路、515,516…加算器、520…変調回路、521…インバーター、530…ゲートドライブ回路、531,532…ゲートドライバー、550…増幅回路、560…復調回路、570…帰還回路、572…第1帰還回路、574…第2帰還回路、580…レベルシフト回路、582…基準レベル切替回路、584…インバーター、590…ゲートドライブ回路、591,592…ゲートドライバー、600…吐出部、601…圧電体、611,612…電極、621…振動板、631…キャビティー、632…ノズルプレート、641…リザーバー、651…ノズル、661…供給口、BS…ブートストラップ回路、C1,C10,C11,C12,C13…コンデンサー、CB…ケーブル、CN1,CN2,CN3…コネクター、D1,D11,D12,D13…ダイオード、L10…インダクター、M1,M2,M3,M4…トランジスター、TM1,TM2…端子、Wrs,Wvd…配線