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特開2024-29885文字入力装置、文字入力方法、および文字入力プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029885
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】文字入力装置、文字入力方法、および文字入力プログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 5/02 20060101AFI20240229BHJP
   G06F 40/166 20200101ALI20240229BHJP
   G06F 40/129 20200101ALI20240229BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20240229BHJP
【FI】
G09B5/02
G06F40/166
G06F40/129
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132331
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平井 義弘
【テーマコード(参考)】
2C028
5B109
5L049
【Fターム(参考)】
2C028AA02
2C028BA00
2C028BB01
2C028BC05
5B109MA01
5B109MA13
5B109VA01
5L049CC34
(57)【要約】
【課題】文字入力をキー操作で行っても、ユーザが漢字の送り仮名を正しく覚えているかどうかを適正に把握でき、且つユーザに対して漢字の送り仮名を正しく覚えさせる学習も効果的に行える技術を提供する。
【解決手段】第1文字列取得部が、キー操作によって入力された入力文字列に対応づけられた第1文字列を取得する、第2文字列生成部が、第1文字列に属する文字であって、入力文字列に属していない文字を特定文字とし、この特定文字と、入力文字列に属する一部の文字とを組み合わせた第2文字列を生成する。変換候補出力部が、第1文字列、および第2文字列を、入力文字列の変換候補として出力する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キー操作によって入力された入力文字列に対応づけられた第1文字列を取得する第1文字列取得部と、
前記第1文字列に属する文字であって、前記入力文字列に属していない文字を特定文字とし、この特定文字と、前記入力文字列に属する一部の文字とを組み合わせた第2文字列を生成する第2文字列生成部と、
前記第1文字列、および前記第2文字列を、前記入力文字列の変換候補として出力する変換候補出力部と、を備えた文字入力装置。
【請求項2】
前記第2文字列生成部は、前記第1文字列取得部において複数の前記第1文字列が取得された場合、取得された複数の前記第1文字列から選択した前記第1文字列毎に、前記第2文字列を生成する、請求項1に記載の文字入力装置。
【請求項3】
前記特定文字について、その形状が類似する類似文字を抽出し、前記第1文字列、および前記第2文字列に属する前記特定文字を前記類似文字に置き換えた第3文字列を生成する第3文字列生成部を備え、
前記変換候補出力部は、前記第3文字列も前記入力文字列の変換候補に加えて出力する、請求項1、または2に記載の文字入力装置。
【請求項4】
前記変換候補出力部が前記入力文字列の変換候補として出力する前記第1文字列、および前記第2文字列の並びを調整する調整部を備えた請求項1、または2に記載の文字入力装置。
【請求項5】
前記変換候補出力部が前記入力文字列の変換候補として出力する前記第1文字列、前記第2文字列、および前記第3文字列の並びを調整する調整部を備えた請求項3に記載の文字入力装置。
【請求項6】
前記入力文字列は、かな文字列であり、
前記第1文字列は、前記入力文字列がかな漢字変換された文字列である、請求項1、または2に記載の文字入力装置。
【請求項7】
キー操作によって入力された入力文字列に対応づけられた第1文字列を取得する第1文字列取得ステップと、
前記第1文字列に属する文字であって、前記入力文字列に属していない文字を特定文字とし、この特定文字と、前記入力文字列に属する一部の文字とを組み合わせた第2文字列を生成する第2文字列生成ステップと、
前記第1文字列、および前記第2文字列を、前記入力文字列の変換候補として出力する変換候補出力ステップと、をコンピュータが実行する文字入力方法。
【請求項8】
キー操作によって入力された入力文字列に対応づけられた第1文字列を取得する第1文字列取得ステップと、
前記第1文字列に属する文字であって、前記入力文字列に属していない文字を特定文字とし、この特定文字と、前記入力文字列に属する一部の文字とを組み合わせた第2文字列を生成する第2文字列生成ステップと、
前記第1文字列、および前記第2文字列を、前記入力文字列の変換候補として出力する変換候補出力ステップと、をコンピュータに実行させる文字入力プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユーザの学力を把握するための試験の実施や、ユーザの学習の支援を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザ(受験者)の学力を把握する試験をコンピュータで行うCBT(Computer Based Testing)の活用が広まっている。CBTでは、試験問題が端末(コンピュータ)のディスプレイに表示される。ユーザは、端末に設けられたマウスやキーボード等の入力デバイスを操作して、ディスプレイに表示された試験問題に解答する。
【0003】
また、特許文献1には、手書き入力が行えるタブレット端末を用いることにより、CBTで筆記式試験を行うシステムが記載されている。
【0004】
また、CBTに限らず、端末でのユーザの学習を支援するディジタル学習教材の活用も広まっている。ディジタル学習教材は、配信された端末のディスプレイに演習問題等を表示させ、ユーザに解答させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011- 81024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、端末における文字列の入力操作が、キーボード(ソフトウェアキーボードを含む。)でのキー操作である場合、ユーザが漢字の送り仮名を正しく覚えているかどうかをCBTで把握したり、ディジタル学習教材でユーザに漢字の送り仮名を正しく覚えさせる学習を効果的に行ったりすることが困難であった。例えば、キー操作では、ユーザが入力した読み(かな文字列)に対して、公知のかな漢字変換機能によって出力される変換候補の送り仮名が正しい。したがって、ユーザは、送り仮名を正しく覚えていなくても、文字の入力が正しい送り仮名で行える。
【0007】
一方、文字入力を手書き入力で行う構成であれば、ユーザが送り仮名を漢字と区別して入力(手書き)するので、ユーザが漢字の送り仮名を正しく覚えているかどうかの把握や、ディジタル学習教材で漢字の送り仮名をユーザに正しく覚えさせられる。この場合、端末は、文字列を手書き入力で行える構成を設けたものにしなければならない。したがって、文字入力をキー操作で行う端末に比べて、大型化するとともに、高価になり、ユーザの負担を増加させる。
【0008】
この発明の目的は、文字入力をキー操作で行っても、ユーザが漢字の送り仮名を正しく覚えているかどうかを適正に把握でき、且つユーザに対して漢字の送り仮名を正しく覚えさせる学習も効果的に行える技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の文字入力装置は、上記目的を達成するため以下に示すように構成している。
【0010】
第1文字列取得部は、キー操作によって入力された入力文字列に対応づけられた第1文字列を取得する。ここで言う、キー操作は、ハードウェアキーボードでのキー操作に限らず、ソフトウェアキーボードでのキー操作であってもよい。入力文字列は、例えば発音表記(かな文字列)である。また、第1文字列は、入力文字列に対応付けて辞書等に登録されている変換文字列である。例えば、第1文字列は、入力文字列を公知のかな漢字変換機能によって取得された文字列である。
【0011】
第2文字列生成部は、第1文字列に属する文字であって、入力文字列に属していない文字を特定文字とし、この特定文字と、入力文字列に属する一部の文字とを組み合わせた第2文字列を生成する。例えば、入力文字列が、「おさない」であり、第1文字列が「幼い」であった場合、特定文字は、「幼」である。この場合、第2文字列生成部は、例えば、「幼ない」、「幼さない」を第2文字列として生成する。また、第2文字列生成部は、第2文字列として、「幼」をも生成する構成であってよい。
【0012】
変換候補出力部は、第1文字列、および第2文字列を入力文字列の変換候補として出力する。
【0013】
この構成によれば、キー操作によって入力された入力文字列に対して、送り仮名を異ならせた複数の変換候補が出力される。したがって、送り仮名を正しく覚えていないユーザは、誤って覚えている送り仮名の変換候補を選択する。したがって、文字入力をキー操作で行っても、ユーザが漢字の送り仮名を正しく覚えているかどうかを適正に把握でき、且つユーザに対して漢字の送り仮名を正しく覚えさせる学習も効果的に行える。
【0014】
また、ユーザは、文字列を手書きで入力するために用いる手書き入力装置を用意しなくてもよい。さらに、第2文字列生成部を備えたことで、辞書に登録する文字列を増加させることがなく(送り仮名が適正でない文字列を辞書に登録しなくてもよい。)、辞書を記憶する記憶媒体の容量の増加も抑えられる。これにより、ユーザが操作する端末の大型化、およびコストアップをも抑えられる。
【0015】
また、第2文字列生成部は、例えば、第1文字列取得部において複数の第1文字列が取得された場合、取得された複数の第1文字列から選択した第1文字列毎に、第2文字列を生成してもよい。
【0016】
例えば、入力文字列が、「おさない」で、取得された第1文字列が「幼い」、「押さない」、「推さない」等であった場合、第2文字列生成部は、「幼ない」、「幼さない」、「推い」、「推ない」を第2文字列として生成してもよい。この例では、第2文字列生成部は、取得された第1文字列から、「幼い」、「推さない」の2つを選択し、「押さない」を選択していない。
【0017】
なお、第2文字列生成部は、「押さない」も選択した場合、「押い」、「押ない」を第2文字列として生成する。
【0018】
第2文字列生成部が、入力文字列に対して取得された複数の第1文字列の中から、選択する第1文字列(第2文字列を生成に用いる第1文字列)の個数は、予め設定しておいてもよいし、取得された第1文字列の個数を基に決定する構成であってもよい。
【0019】
この構成によれば、ユーザが、同音異義語を正しく覚えているかどうかについても適正に把握でき、且つユーザに漢字を正しく覚えさせる学習も効果的に行える。
【0020】
また、例えば、特定文字について、その形状が類似する類似文字を抽出し、第1文字列、および第2文字列に属する特定文字を類似文字に置き換えた第3文字列を生成する第3文字列生成部を追加的に備え、変換候補出力部が第3文字列も入力文字列の変換候補に加えて出力する構成にしてもよい。
【0021】
例えば、第3文字列生成部が、「幼」の類似文字として「幻」を抽出した場合、第3文字列生成部が、「幻い」、「幻ない」、「幻さない」を第3文字列として生成する。
【0022】
この構成によれば、ユーザが特定文字を正しく覚えているかどうかを適正に把握でき、且つユーザに正しい特定文字を覚えさせる学習も効果的に行える。
【0023】
また、例えば、変換候補出力部が入力文字列の変換候補として出力する第1文字列、および第2文字列の並びを調整する調整部、または、変換候補出力部が入力文字列の変換候補として出力する第1文字列、第2文字列、および第3文字列の並びを調整する調整部を備えてもよい。
【0024】
このように構成すれば、出力された変換候補における、正答の位置がいつも同じ位置にならないので、ユーザが漢字の送り仮名を正しく覚えているかどうかを適正に把握できる。また、ディジタル学習教材を活用した学習では、ユーザに対して漢字の送り仮名を正しく覚えさせる学習も効果的に行える。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、文字入力をキー操作で行っても、ユーザが漢字の送り仮名を正しく覚えているかどうかを適正に把握でき、且つユーザに対して漢字の送り仮名を正しく覚えさせる学習も効果的に行える。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】CBT(Computer Based Testing)を実施するネットワークシステムを示す概略図である。
図2】ユーザ端末の表示器における、サーバ装置から配信されてきた問題の表示例を示す図である。
図3】ユーザ端末の表示器における、サーバ装置から配信されてきた問題に対して、解答欄にかな文字列が入力されたときの表示例を示す図である。
図4】ユーザ端末の表示器における、サーバ装置から配信されてきた問題に対して、解答欄に入力されたかな文字列の変更候補の表示例を示す図である。
図5】サーバ装置の主要部の構成を示すブロック図である。
図6】ユーザ端末の主要部の構成を示すブロック図である。
図7】サーバ装置の動作を示すフローチャートである。
図8】ユーザ端末の動作を示すフローチャートである。
図9】変形例1のサーバ装置の動作を示すフローチャートである。
図10】変形例2のサーバ装置の主要部の構成を示すブロック図である。
図11】変形例2のサーバ装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0028】
<1.適用例>
図1は、CBT(Computer Based Testing)を実施するネットワークシステムを示す概略図である。この例のネットワークシステムは、図1に示すように、ネットワーク5を介して複数のユーザ端末2がサーバ装置1にデータ通信可能に接続された構成である。
【0029】
ユーザ端末2は、CBTの受験者であるユーザが操作するパーソナルコンピュータや、タブレット端末である。サーバ装置1は、ユーザ端末2に対して、CBTで実施する問題の配信、およびユーザ端末2から送信されてきた解答の採点を行う。
【0030】
この例では、この発明にかかる文字入力装置は、サーバ装置1に適用されているものとして説明するが、ユーザ端末2に適用されていてもよい。
【0031】
サーバ装置1は、ユーザ端末2に対して、CBTの問題を配信する。
【0032】
ユーザ端末2は、サーバ装置1から配信されてきた問題を表示器の画面に表示する。ユーザは、この問題にかかる解答を入力デバイスであるキーボードを操作して入力する。この例では、ユーザは、かな文字列をキー操作によって入力する。キーボードは、ハードウェアキーボードであってもよいし、ソフトウェアキーボードであってもよい。
【0033】
サーバ装置1は、例えば、
「おじいさんは、オサナイふたりのまごとあそんで、へとへとになりました。」
カタカナの部分を漢字1文字と、送り仮名になおしなさい。
【0034】
という問題をユーザ端末2に配信する。
また、サーバ装置1がユーザ端末2に配信する問題は、
「小さい子供という意味で用いられる「おさない」を漢字と送り仮名で答えてください。」
という問題であってもよい。
【0035】
なお、上記の問題はあくまでも例示であり、この問題でなければならないという意味ではなく、また、サーバ装置1がユーザ端末2に配信する問題が1問であるという意味でもない。
【0036】
ユーザ端末2は、サーバ装置1から配信されてきた問題を表示器に表示する。例えば、ユーザ端末2は、サーバ装置1から配信されてきた問題を、図2(A)、(B)に示すように表示器に表示する。CBTの受験者であるユーザは、ユーザ端末2のキーボードを操作し、サーバ装置1から配信されてきた問題の解答にかかる文字列の発音表記(かな文字列)を解答欄に入力する。例えば、ユーザは、図3(A)、(B)に示すように解答欄に「おさない」をかな文字列で入力する。ユーザ端末2は、解答欄に入力されたかな文字列(例えば、「おさない」)をサーバ装置1に送信する。
【0037】
この例では、ユーザが、ユーザ端末2のキーボードを操作して入力したかな文字列が、この発明で言う入力文字列に相当する。
【0038】
サーバ装置1は、ユーザ端末2から受信したかな文字列に応じて変換候補を生成する。例えば、サーバ装置1は、受信したかな文字列を用いて、辞書を検索する公知のかな漢字変換処理を行い、かな漢字変換された「幼い」(変換文字列)を取得する。公知のように、辞書には、単語毎に、その単語の読みであるかな文字列(発音表記)、品詞、変換文字列等が対応づけて登録されている。通常、辞書には、送り仮名が正しい変換文字列が登録されている。言い換えれば、辞書には、誤った送り仮名で変換文字列が登録されていない。この例では、変換文字列が、この発明で言う第1文字列に相当する。
【0039】
サーバ装置1は、かな漢字変換処理で取得した変換文字列に属する文字(含まれている文字)であって、入力されたかな文字列に属していない文字(含まれていない文字)を特定文字として抽出する。ここで示した例では、かな文字列が「おさない」であり、変換文字列が「幼い」であるので、「幼」を特定文字として抽出する。特定文字は、1文字であるとは限らない。
【0040】
サーバ装置1は、特定文字と、入力されたかな文字列に属している一部の文字とを組み合わせた組合せ文字列を生成する。この例では、組合せ文字列が、この発明で言う第2文字列に相当する。ここで示した例では、特定文字列「幼」と、かな文字列の一部の文字「さない」とを組み合わせた「幼さない」、特定文字列「幼」と、かな文字列の一部の文字「ない」とを組み合わせた「幼ない」を組合せ文字列として生成する。
【0041】
この例では、サーバ装置1は、特定文字列「幼」と、かな文字列の一部の文字「い」とを組み合わせた「幼い」が、変換文字列と同じ文字列であることから、組合せ文字列として「幼い」を生成していない。サーバ装置1は、「幼」についても組合せ文字列として生成する構成であってもよい。
【0042】
上記の説明から明らかなように、サーバ装置1は、送り仮名が誤っている文字列を組合せ文字列として生成する。
【0043】
サーバ装置1は、変換文字列、および組合せ文字列を、入力文字列の変換候補としてユーザ端末2に返信(出力)する。このとき、サーバ装置1は、ユーザ端末2に対して、決定した各変換候補の表示順を通知する。例えば、サーバ装置1は、入力文字列を受信した時刻、変換文字列を取得した時刻、または組合せ文字列の生成が完了した時刻等に発生させた乱数を基に、各変換候補の表示順を決定する。サーバ装置1は、各変換候補の表示順を常に同じにしない(各変換候補の表示順を変化させられる、)、構成であれば、上記した乱数を発生させる構成でなく、他の構成であってもよい。
【0044】
ユーザ端末2は、サーバ装置1からの通知にしたがって、変換候補を表示する。例えば、ユーザ端末2は、通知された変換候補の表示順が「幼い」、「幼ない」、「幼さない」であった場合、変換候補を図4(A)に示すように通知された並びで表示する。また、ユーザ端末2は、通知された変換候補の表示順が「幼ない」、「幼さない」、「幼い」であった場合、変換候補を図4(B)に示すように通知された並びで表示する。図4(A)、(B)において、ハッチングで示している変換候補(図4(A)では「幼い」、図4(B)では「幼さない」)が、その時点において選択されている変換候補である。ユーザは、例えば、変換候補の選択を、カーソルを選択する変換候補に合わせることによって行う。
【0045】
ユーザ端末2は、変換候補の確定にかかる操作(例えば、ENTERキーの操作)が行われたとき、その時点において選択されていた変換候補を確定文字列に確定する。ユーザ端末2は、確定文字列を、この問題に対するユーザの解答としてサーバ装置1に送信する。例えば、ユーザ端末2は、確定文字列が「幼い」であった場合、「幼い」をユーザの解答としてサーバ装置1に送信する。また、ユーザ端末2は、確定文字列が「幼ない」であった場合、「幼ない」をユーザの解答としてサーバ装置1に送信する。さらに、ユーザ端末2は、確定文字列が「幼さない」であった場合、「幼さない」をユーザの解答としてサーバ装置1に送信する。
【0046】
サーバ装置1は、ユーザ端末2から送信されてきた問題の解答を採点する。したがって、ユーザ端末2が、文字入力をキー操作で行うものであっても、ユーザが漢字の送り仮名を正しく覚えているかどうかを適正に把握できる。
【0047】
また、上記の説明では、CBTを例にしたが、ディジタル学習教材を活用し、漢字の送り仮名をユーザに正しく覚えさせる学習が効果的に行える。
【0048】
また、このネットワークシステムでは、ユーザは、文字列を手書きで入力する手書き入力装置を用意しなくてもよい。これにより、ユーザ端末2の大型化、およびコストアップをも抑えられる。さらに、サーバ装置1は、送り仮名が誤っている文字列を辞書に登録する必要がないので、この辞書を記憶する記憶媒体の記憶容量の増加も抑えられる。
【0049】
<2.構成例>
図5は、この例のサーバ装置の主要部の構成を示すブロック図である。サーバ装置1は、制御ユニット11と、辞書データベース12(辞書DB12)と、通信部13とを備えている。
【0050】
制御ユニット11は、サーバ装置1本体各部を制御する。また、制御ユニット11は、かな漢字変換部11a、組合せ文字列生成部11b、調整部11c、および採点部11dを有している。制御ユニット11が有するかな漢字変換部11a、組合せ文字列生成部11b、調整部11c、および採点部11dについては後述する。
【0051】
辞書DB12は、単語毎に、その単語の読みであるかな文字列(発音表記)、品詞、変換文字列等が対応づけて登録されている。辞書DB12は、例えばHDD(Hard Disk Drive)であってもよいし、SSD(Solid State Drive)であってもよいし、他の記憶媒体であってもよい。
【0052】
通信部13は、ネットワーク5を介して接続されるユーザ端末2との間でデータ通信を行う。この例では、通信部13が、この発明で言う変換候補出力部に相当する構成を有している。
【0053】
次に、制御ユニット11が有するかな漢字変換部11a、組合せ文字列生成部11b、調整部11c、および採点部11dについて説明する。
【0054】
かな漢字変換部11aは、辞書DB12を参照し、ユーザ端末2から受信したかな文字列に対応づけられた変換文字列を取得する。かな漢字変換部11aは、公知のかな漢字変換処理を実行する。かな漢字変換部11aが、この発明で言う第1文字列取得部に相当する。
【0055】
組合せ文字列生成部11bは、かな漢字変換部11aが取得した変換文字列に属する文字(含まれている文字)であって、ユーザ端末2から受信したかな文字列に属していない文字(含まれていない文字)を特定文字として抽出する。例えば、組合せ文字列生成部11bは、かな文字列が「おさない」であり、変換文字列が「幼い」であった場合、「幼」を特定文字として抽出する。特定文字は、1文字であるとは限らない。
【0056】
また、組合せ文字列生成部11bは、抽出した特定文字と、入力されたかな文字列に属している一部の文字とを組み合わせた組合せ文字列を生成する。例えば、特定文字列「幼」と、かな文字列の一部の文字「さない」とを組み合わせた「幼さない」、特定文字列「幼」と、かな文字列の一部の文字「ない」とを組み合わせた「幼ない」を組合せ文字列として生成する。組合せ文字列生成部11bが、この発明で言う第2文字列生成部に相当する。
【0057】
この例では、組合せ文字列生成部11bは、特定文字列「幼」と、かな文字列の一部の文字「い」とを組み合わせた「幼い」が、変換文字列と同じ文字列であることから、組合せ文字列として「幼い」を生成しない。組合せ文字列生成部11bは、「幼」についても組合せ文字列として生成してもよい。
【0058】
調整部11cは、かな漢字変換部11aが取得した変換文字列、および組合せ文字列生成部11bが生成した組合せ文字列を、ユーザ端末2から受信したかな文字列の変換候補とし、ユーザ端末2において変換候補として表示されるときの並び順を決定する。例えば、調整部11cは、入力文字列を受信した時刻、変換文字列を取得した時刻、または組合せ文字列の生成が完了した時刻等に発生させた乱数を基に、各変換候補の並びを決定する。調整部11cは、各変換候補の表示順を常に同じにしない(各変換候補の表示順を変化させられる、)、構成であれば、上記した乱数を発生させる構成でなく、他の構成であってもよい。
【0059】
採点部11dは、ユーザ端末2から受信したユーザの解答に対して、正誤を含めた採点を行う。
【0060】
サーバ装置1の制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、この発明にかかる文字入力プログラムを実行したときに、かな漢字変換部11a、組合せ文字列生成部11b、調整部11c、および採点部11dとして動作する。また、メモリは、この発明にかかる文字入力プログラムを展開する領域や、この文字入力プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。また、ハードウェアCPUが、この発明にかかる文字入力方法を実行するコンピュータである。
【0061】
なお、図5では、特に図示してないが、サーバ装置1は、ユーザ端末2に配信するCBTの問題や、この問題の正解を記憶している。
【0062】
図6は、この例のユーザ端末の主要部の構成を示すブロック図である。ユーザ端末2は、制御部21と、表示器22と、操作部23と、通信部24とを備えている。ユーザ端末2は、一般的なパーソナルコンピュータや、タブレット端末である。
【0063】
制御部21は、ユーザ端末2本体各部の動作を制御する。
【0064】
表示器22には、サーバ装置1から配信されてきたCBTの問題等が表示される。操作部23は、マウス、キーボード、タッチパネル等の入力デバイスを有する。操作部23は、ユーザ端末2本体に対するユーザの入力操作を受け付ける。通信部24は、ネットワーク5を介して接続されるサーバ装置1との間でデータ通信を行う。操作部23が有するキーボードは、ハードウェアキーボードであってもよいし、ソフトウェアキーボードであってもよい。
【0065】
ユーザ端末2の制御部21は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。また、制御部21は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。
【0066】
<3.動作例>
以下、CBTの実施時における、サーバ装置1、およびユーザ端末2の動作について説明する。図7は、サーバ装置の動作を示すフローチャートであり、図8は、ユーザ端末の動作を示すフローチャートである。
【0067】
サーバ装置1は、通信部13において、CBTの問題をユーザ端末2に配信する(s1)。サーバ装置1が配信した問題は、ネットワーク5を介してユーザ端末2の通信部24で受信される。サーバ装置1は、例えば、
「おじいさんは、オサナイふたりのまごとあそんで、つかれています。」
カタカナの部分を漢字1文字と、送り仮名になおしなさい。
【0068】
という問題をユーザ端末2に配信する。
【0069】
ユーザ端末2は、通信部24において、サーバ装置1から配信されてきた問題を受信すると、受信した問題を表示器22に表示する(s21、s22)(図2(A)参照)。ユーザは、操作部23に設けられているキーボード等の入力デバイスを操作して、表示器22に表示された問題に対して解答する。具体的には、ユーザは、その問題の解答であると判断した文字列の発音表記(かな文字列)を解答欄に入力する。ユーザは、例えば、図2(A)に示す問題に対して、「おさない」を解答欄に入力する。
【0070】
ユーザ端末2は、通信部24において、入力されたかな文字列をサーバ装置1に送信する(s23、s24)。ユーザ端末2は、サーバ装置1から変換候補を受信するのを待つ(s25)。
【0071】
サーバ装置1は、上記したs1でユーザ端末2に問題を配信すると、ユーザ端末2からかな文字列を受信するのを待っている(s2)。サーバ装置1は、通信部13において、ユーザ端末2がs24で送信したかな文字列を受信すると、かな漢字変換部11aが受信したかな文字列の変換文字列を取得する(s3)。かな漢字変換部11aは、公知のかな漢字変換処理を実行し、ユーザ端末2から受信したかな文字列に対応する変換文字列を取得する。例えば、かな漢字変換部11aは、ユーザ端末2から受信したかな文字列が「おさない」であった場合、「幼い」を変換文字列として取得する。
【0072】
組合せ文字列生成部11bが、s3で取得した変換文字列に含まれていて、s2でユーザ端末2から受信したかな文字列に含まれていない文字を特定文字として抽出する(s4)。例えば、組合せ文字列生成部11bは、ユーザ端末2から受信したかな文字列が「おさない」であり、かな漢字変換部11aが取得した変換文字列が「幼い」であった場合、「幼」を特定文字として抽出する。
【0073】
組合せ文字列生成部11bは、s4で抽出した特定文字と、s2でユーザ端末2から受信したかな文字列に属している一部の文字とを組み合わせた組合せ文字列を生成する(s5)。組合せ文字列生成部11bは、例えば、特定文字列「幼」と、かな文字列の一部の文字「さない」とを組み合わせた「幼さない」、特定文字列「幼」と、かな文字列の一部の文字「ない」とを組み合わせた「幼ない」を組合せ文字列として生成する。組合せ文字列生成部11bは、組合せ文字列を1つ以上生成する。
【0074】
調整部11cが、s3で取得した変換文字列、およびs5で生成した組合せ文字列を変換候補とし、これらの変換候補の並び順を決定する(s6)。調整部11cは、例えば、入力文字列を受信した時刻、変換文字列を取得した時刻、または組合せ文字列の生成が完了した時刻等に発生させた乱数を基に、変換候補の並び順を決定する。
【0075】
サーバ装置1は、s2で受信したかな文字列の送信元であるユーザ端末2に対して、この問題の解答の変換候補を送信する(s7)。このとき、サーバ装置1は、ユーザ端末2に対して、この問題の解答の変換候補をs6で決定した並び順で表示することを指示する。
【0076】
ユーザ端末2は、通信部24において、問題の解答の変換候補を受信すると、受信した変換候補を、サーバ装置1から指示された並び順で表示器22に表示する(s25、s26)。ユーザ端末2は、例えば、サーバ装置1から受信した変換候補が、「幼い」、「幼ない」、「幼さない」の3つであり、これらの変換候補の表示順が「幼い」、「幼ない」、「幼さない」であれば、図4(A)に示す画面を表示器22に表示する。ユーザ端末2は、例えば、サーバ装置1から受信した変換候補が、「幼い」、「幼ない」、「幼さない」の3つであり、これらの変換候補の表示順が「幼ない」、「幼さない」、「幼い」であれば、図4(B)に示す画面を表示器22に表示する。
【0077】
ユーザ端末2は、いずれかの変換候補を、この問題の解答に確定するユーザの確定操作を受け付けると、確定された解答をサーバ装置1に送信し(s27、s28)、s21に戻る。ユーザ端末2は、例えば、ユーザが「幼い」を解答に確定すると、「幼い」をサーバ装置1に送信し、ユーザが「幼ない」を解答に確定すると、「幼ない」をサーバ装置1に送信し、ユーザが「幼さない」を解答に確定すると、「幼さない」をサーバ装置1に送信する。
【0078】
サーバ装置1は、ユーザ端末2から問題の解答を受信すると、この問題に対する採点を行い(s8、s9)、s1に戻る。
【0079】
このように、このネットワークシステムでは、キー操作によって入力された入力文字列に対して、送り仮名を異ならせた複数の変換候補がユーザに提示される。したがって、送り仮名を正しく覚えていないユーザは、誤って覚えている送り仮名の変換候補を解答として選択(確定)する。したがって、文字入力をキー操作で行っても、ユーザが漢字の送り仮名を正しく覚えているかどうかを適正に把握できる。また、ディジタル学習教材であれば、送り仮名を異ならせた複数の変換候補をユーザに提示することで、ユーザに対して漢字の送り仮名を正しく覚えさせる学習が効果的に行える。
【0080】
また、ユーザは、文字列を手書きで入力するために用いる手書き入力装置を用意しなくてもよい。さらに、辞書に登録する文字列を増加させることがなく(送り仮名が適正でない文字列を辞書に登録しなくてもよい。)、辞書DB12の記憶容量の増加も抑えられる。これにより、ユーザ端末2の大型化、およびコストアップも抑えられる。
【0081】
なお、上記の説明では、サーバ装置1は、問題を1問ずつユーザ端末2に配信する場合を例にしたが、サーバ装置1は、複数の問題を一括してユーザ端末2に配信し、問題別に、読み、および解答をユーザ端末2から受信する処理を実行する構成であってもよい。
【0082】
<4.変形例>
・変形例1
上記の例では、サーバ装置1は、s3で問題の正解である「幼い」を変換文字列として取得するとしたが、正解である「幼い」、および誤答であるが送り仮名が正しい同音の「押さない」、「推さない」等も変換文字列として取得する構成であってもよい。この変形例1のサーバ装置1は、上記の例と同様に図5に示した構成である。また、この変形例1のユーザ端末2は、上記の例と同様に図6に示した構成である。
【0083】
この場合、組合せ文字列生成部11bは、上記したs5で、「幼さない」、「幼ない」に加えて、「押ない」、「押い」、「推ない」、「推い」を組合せ文字列として生成してもよい。また、組合せ文字列生成部11bは、s3で取得した「押さない」、または「推さない」の一方の変換文字列について組合せ文字列を生成し、他方の変換文字列について組合せ文字列を生成しない構成であってもよい。また、組合せ文字列生成部11bは、「押ない」、「推ない」を組合せ文字列として生成し、「押い」、「推い」を組合せ文字列として生成しない構成であってもよい。
【0084】
図9は、この変形例1のサーバ装置の動作を示すフローチャートである。図9では、図7示した処理と同じ処理については、同じステップ番号を付している。
【0085】
なお、ユーザ端末2は、図8に示した処理を実行する。
【0086】
図9に示すように、この変形例1のサーバ装置1は、s3で複数の変換文字列を取得すると、組合せ文字列を生成する変換文字列を選択する(s11)。s11では、通常、問題の正解である変換文字列と、問題の誤答である1つ以上の変換文字列とを選択する。
【0087】
ここでは、かな漢字変換部11aが、s3で、問題の正解である「幼い」、および問題の誤答であるが「押さない」、「推さない」の3つの変換文字列を取得した場合を例にする。
【0088】
組合せ文字列生成部11bは、かな漢字変換部11aが取得した3つの変換文字列(「幼い」、「押さない」、「推さない」)の全てを組合せ文字列を生成する変換文字列として選択してもよいし、問題の正解である「幼い」と、問題の誤答である「押さない」、または「推さない」の一方を組合せ文字列を生成する変換文字列として選択してもよい。
【0089】
この変形例1のサーバ装置1は、s4、およびs5にかかる処理を、s11で選択した組合せ文字列を生成する変換文字列毎に行う。
【0090】
この変形例1のネットワークシステムも、上記の例と同様に、文字入力をキー操作で行っても、ユーザが漢字の送り仮名を正しく覚えているかどうかを適正に把握でき、且つユーザに対して漢字の送り仮名を正しく覚えさせる学習を効果的に行える。
【0091】
また、この変形例1では、ユーザに提示される変換候補が、例えば、「幼い」、「幼ない」、「幼さない」、「押い」、「押ない」、「押さない」、「推い」、「推ない」、「推さない」の9個となり、ユーザが、同音異義語を正しく覚えているかどうかについても適正に把握でき、且つユーザに漢字を正しく覚えさせる学習も効果的に行える。
【0092】
・変形例2
この変形例2のネットワークシステムも図1に示す構成である。この変形例2では、サーバ装置1Aの構成が、上記の例と異なる。図10は、変形例2のサーバ装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【0093】
この変形例2のサーバ装置1Aは、類似文字データベース14(類似文字DB14)を追加的に備えている。この類似文字DB14は、形状が類似する文字をグループ化して記憶させたデータベースである。類似文字DB14は、例えば、公知のOCR(Optical Character Reader)での文字認識において、ある認識文字に対して、候補として抽出される文字群(形状の特徴量が類似している文字群)をグループ化して記憶させたデータベースである。
【0094】
また、この変形例2のサーバ装置1Aの制御ユニット11Aは、上記の例で説明した漢字変換部11a、組合せ文字列生成部11b、調整部11c、および採点部11dに加えて、類似文字置換部11eを有している。この類似文字置換部11eは、組合せ文字列生成部11bが抽出した特定文字に形状が類似する類似文字を抽出する。類似文字置換部11eは、類似文字DB14を参照して、類似文字の抽出を行う。また、類似文字置換部11eは、変換候補毎に、その変換候補に含まれる特定文字を、その特定文字について抽出した類似文字に置き換えた変換候補を生成する。類似文字置換部11eが、この発明で言う第3文字列生成部に相当する。
【0095】
類似文字置換部11eは、例えば、特定文字が「幼」である場合、「幻」を類似文字として抽出する。また、類似文字置換部11eは、変換候補が、「幼い」、「幼ない」、「幼さない」である場合、「幼」を「幻」に置き換えた「幻い」、「幻ない」、「幻さない」を新たな変換候補として生成する。
【0096】
また、類似文字置換部11eは、例えば、特定文字が「押」である場合、「岬」を類似文字として抽出する。また、類似文字置換部11eは、「押い」、「押ない」、「押さない」が変換候補である場合、「押」を「岬」に置き換えた「岬い」、「岬ない」、「岬さない」を新たな変換候補として生成する。
【0097】
また、類似文字置換部11eは、例えば、特定文字が「推」である場合、「椎」を類似文字として抽出する。また、類似文字置換部11eは、「推い」、「推ない」、「推さない」が変換候補である場合、「推」を「椎」に置き換えた「椎い」、「椎ない」、「椎さない」を新たな変換候補として生成する。
【0098】
図11は、この変形例2のサーバ装置の動作を示すフローチャートである。図11では、図7、または図9示した処理と同じ処理については、同じステップ番号を付している。
【0099】
なお、ユーザ端末2は、図8に示した処理を実行する。
【0100】
この変形例2のサーバ装置1Aは、上記したs1~s5にかかる処理を行うと、類似文字置換部11eが、s5で組合せ文字列を生成した変換文字列毎に、その変換文字列に含まれる特定文字に形状が類似する類似文字を抽出する(s13)。類似文字置換部11eは、s5で組合せ文字列を生成した変換文字列、および生成した組合せ文字列毎に、その文字列に含まれる特定文字を、その特定文字についてs13で抽出した類似文字に置き換えた置換文字列を生成する(s14)。
【0101】
上記したように、類似文字置換部11eは、例えば、特定文字が「幼」である場合、「幻」を類似文字として抽出する。また、類似文字置換部11eは、変換候補が、「幼い」、「幼ない」、「幼さない」である場合、「幼」を「幻」に置き換えた「幻い」、「幻ない」、「幻さない」を新たな変換候補として生成する。
【0102】
また、類似文字置換部11eは、例えば、特定文字が「押」である場合、「岬」を類似文字として抽出する。また、類似文字置換部11eは、「押い」、「押ない」、「押さない」が変換候補である場合、「押」を「岬」に置き換えた「岬い」、「岬ない」、「岬さない」を新たな変換候補として生成する。
【0103】
また、類似文字置換部11eは、例えば、特定文字が「推」である場合、「椎」を類似文字として抽出する。また、類似文字置換部11eは、「推い」、「推ない」、「推さない」が変換候補である場合、「推」を「椎」に置き換えた「椎い」、「椎ない」、「椎さない」を新たな変換候補として生成する。
【0104】
なお、この変形例2では、問題の正解でない「押さない」、「推さない」については、組合せ文字列、および置換文字列を生成しない構成であってもよい。言い換えれば、この変形例2では、問題の正解である「幼い」についてのみ、組合せ文字列、および置換文字列を生成する構成であってもよい。
【0105】
サーバ装置1Aは、s14にかかる処理が完了すると、s6以降の処理を実行する。
【0106】
このようにこの変形例2では、ユーザに対して提示する変換候補には、誤った送り仮名の変換候補だけでなく、形状が類似する文字に置き換えられた変換候補も含まれている。したがって、ユーザは、送り仮名だけでなく、文字の形状をも覚えているかどうかについても適正に把握でき、且つユーザに漢字を正しく覚えさせる学習も効果的に行える。
【0107】
なお、サーバ装置1は、CBTにかかる問題の採点結果をユーザ端末2に通知してもよい。
【0108】
また、上記の例では、サーバ装置1が、辞書DB12を備えるとともに、制御ユニット11が、かな漢字変換部11a、組合せ文字列生成部11b、調整部11c、および採点部11dを備えるとしたが、これらの構成は、ユーザ端末2に備えられてもよいし、これらの構成の一部をサーバ装置1に設け、残りの構成をユーザ端末2に設けてもよい。
【0109】
このように構成すれば、ユーザ端末は、ユーザが予習、復習を行う学習端末としても利用できる。
【0110】
また、上記の例では、類似文字置換部11eは、存在している文字の中から特定文字に形状が類似している文字を類似文字として抽出する構成であるとしたが、例えば、文字の偏を置き換えたり、文字のつくりに対する点の追加や削除、または横棒、縦棒の追加や削除等を行ったりして生成した文字(存在しない文字であってもよい。)を類似文字として抽出する構成にしてもよい。
【0111】
また、この発明は、特定の種類の検定試験や、教科に限らず、CBTで筆記試験を実施できる。
【0112】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。また、上記した全ての例の説明で示したフローチャートにおける各ステップの順番は、あくまでも一例であり、可能な範囲で適宜入れ替えてもよい。
【0113】
さらに、この発明に係る構成と上述した実施形態に係る構成との対応関係は、以下の付記のように記載できる。
<付記>
キー操作によって入力された入力文字列に対応づけられた第1文字列を取得する第1文字列取得部(11a)と、
前記第1文字列に属する文字であって、前記入力文字列に属していない文字を特定文字とし、この特定文字と、前記入力文字列に属する一部の文字とを組み合わせた第2文字列を生成する第2文字列生成部(11b)と、
前記第1文字列、および前記第2文字列を、前記入力文字列の変換候補として出力する変換候補出力部(13)と、を備えた文字入力装置(1)。
【符号の説明】
【0114】
1、1A…サーバ装置
2…ユーザ端末
5…ネットワーク
11、11A…制御ユニット
11a…かな漢字変換部
11b…組合せ文字列生成部
11c…調整部
11d…採点部
11e…類似文字置換部
12…辞書データベース(辞書DB)
13…通信部
14…類似文字データベース(類似文字DB)
21…制御部
22…表示器
23…操作部
24…通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11