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特開2024-29898開閉装置、開閉装置の組み立て方法及び組立用治具
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  • 特開-開閉装置、開閉装置の組み立て方法及び組立用治具 図1
  • 特開-開閉装置、開閉装置の組み立て方法及び組立用治具 図2
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  • 特開-開閉装置、開閉装置の組み立て方法及び組立用治具 図4
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  • 特開-開閉装置、開閉装置の組み立て方法及び組立用治具 図6
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  • 特開-開閉装置、開閉装置の組み立て方法及び組立用治具 図9
  • 特開-開閉装置、開閉装置の組み立て方法及び組立用治具 図10
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029898
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】開閉装置、開閉装置の組み立て方法及び組立用治具
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/15 20060101AFI20240229BHJP
   E06B 9/02 20060101ALI20240229BHJP
   E06B 9/58 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
E06B9/15 E
E06B9/02 A
E06B9/58 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132355
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】脇田 嵩朗
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042DA02
2E042DA04
(57)【要約】
【課題】複数のパネル体がヒンジによって相互に回動可能に接続された開閉体を備える開閉装置において、開閉体のヒンジが設けられる側の面の意匠性の向上をすることが可能な、開閉装置の提供。
【解決手段】複数のパネル体11がヒンジ12、13によって相互に回動可能に接続された開閉体を備える開閉装置であって、ヒンジ12、13による隣り合うパネル体11の接続部分において、ヒンジ12、13の羽根が隣り合うパネル体11の間に配置されている、開閉装置1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパネル体が回動部材によって相互に回動可能に接続された開閉体を備える開閉装置であって、
前記回動部材による隣り合う前記パネル体の接続部分において、前記回動部材の少なくとも一部が前記隣り合うパネル体の間に配置されている、開閉装置。
【請求項2】
前記回動部材がヒンジであり、
前記隣り合うパネル体の、上側のパネル体の底面に底面ヒンジ接合部が形成されており、下側のパネル体の上面に上面ヒンジ接合部が形成されている、請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
前記パネル体の上面に、パネル側係合部若しくはパネル側被係合部が少なくとも一時的に形成されており、
前記ヒンジに、前記パネル側係合部若しくは前記パネル側被係合部と、非固定的に係合する、ヒンジ側被係合部若しくはヒンジ側係合部が少なくとも一時的に形成されている、請求項2に記載の開閉装置。
【請求項4】
前記パネル体の後面に、前記ヒンジの羽根を挿入するヒンジ挿入孔が形成されており、前記パネル体の内側で、前記パネル体と前記ヒンジが接続されている、請求項2に記載の開閉装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載の開閉装置の組み立て方法であって、
前記隣り合うパネル体の上側のパネル体を上下逆にして、前記隣り合うパネル体の下側のパネル体の上面に対して前記上側のパネル体の底面を位置合わせするステップと、
前記下側のパネル体の上面と、前記上側のパネル体の底面を、前記回動部材で接合するステップと、
前記上側のパネル体を起こして、前記上側のパネル体を前記下側のパネル体の上部に配置するステップと、
上記各ステップを繰り返すことにより、前記開閉体を形成するステップと、
を有する、開閉装置の組み立て方法。
【請求項6】
前記開閉装置が、前記開閉体の上下方向の移動をガイドするガイド部材と、前記ガイド部材に移動可能に係合し、前記開閉体の幅方向の両側に設けられた複数の被ガイド部材と、を備え、
前記上側のパネル体に、前記ガイド部材と係合した前記被ガイド部材を取り付けるステップをさらに有する、請求項5に記載の開閉装置の組み立て方法。
【請求項7】
前記位置合わせするステップにおいて、
前記上側のパネル体を、前記下側のパネル体に対して吊持させることで、前記下側のパネル体の上面に対して前記上側のパネル体の底面を位置合わせする、請求項5に記載の開閉装置の組み立て方法。
【請求項8】
請求項7に記載の開閉装置の組み立て方法で使用する組立用治具であって、
前記上側のパネル体を保持する保持部と、
前記下側のパネル体に係合し、前記下側のパネル体の上面に対して前記上側のパネル体の底面を位置合わせさせる係合位置合わせ部と、
を備える、組立用治具。
【請求項9】
前記保持部が、長さ調節機能を有し、前記上側のパネル体に巻き回されてこれを保持する巻き掛け部材を備える、請求項8に記載の組立用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパネル体がヒンジによって相互に回動可能に接続された開閉体を備える開閉装置、その組み立て方法、及び組立用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
開口部を開閉するための開閉装置の一形態として、シャッターに代表されるように、開閉体が上下方向にスライドすることで開口部を開閉させるものがある。
このような開閉体が上下方向にスライドするものの一形態として、オーバーヘッドドアやオーバースライディングドアと呼称され、複数のパネル体がヒンジによって相互に回動可能に接続された開閉体を備える開閉装置があり、特許文献1にはこのような開閉装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-13674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各パネル体のヒンジによる接続は、通常、パネル体の後面(屋内側)にて行われる。即ち、ヒンジがパネル体の後面(屋内側)に設けられている。これは、通常、開閉体の開閉を案内するガイド部材(ガイドレール)が、その上部側で屋内側へと湾曲しており、これに沿ってパネル体の接合部分を屋内側へ屈曲可能とさせるためのものである。
従来、開閉体の後面側(屋内側)の意匠性は、その前面側(屋外側)に比べるとあまり重要視はされていなかったが、開閉体の後面側(屋内側)の意匠性の向上も求められるようになってきている。開閉体の後面側に設けられているヒンジは、後面側の意匠性の向上における課題となっている。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、複数のパネル体がヒンジによって相互に回動可能に接続された開閉体を備える開閉装置において、開閉体のヒンジが設けられる側の面の意匠性の向上をすることが可能な、開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成1)
複数のパネル体が回動部材によって相互に回動可能に接続された開閉体を備える開閉装置であって、前記回動部材による隣り合う前記パネル体の接続部分において、前記回動部材の少なくとも一部が前記隣り合うパネル体の間に配置されている、開閉装置。
【0007】
(構成2)
前記回動部材がヒンジであり、前記隣り合うパネル体の、上側のパネル体の底面に底面ヒンジ接合部が形成されており、下側のパネル体の上面に上面ヒンジ接合部が形成されている、構成1に記載の開閉装置。
【0008】
(構成3)
前記パネル体の上面に、パネル側係合部若しくはパネル側被係合部が少なくとも一時的に形成されており、前記ヒンジに、前記パネル側係合部若しくは前記パネル側被係合部と、非固定的に係合する、ヒンジ側被係合部若しくはヒンジ側係合部が少なくとも一時的に形成されている、構成2に記載の開閉装置。
【0009】
(構成4)
前記パネル体の後面に、前記ヒンジの羽根を挿入するヒンジ挿入孔が形成されており、前記パネル体の内側で、前記パネル体と前記ヒンジが接続されている、構成2又は3に記載の開閉装置。
【0010】
(構成5)
構成1から4の何れかに記載の開閉装置の組み立て方法であって、前記隣り合うパネル体の上側のパネル体を上下逆にして、前記隣り合うパネル体の下側のパネル体の上面に対して前記上側のパネル体の底面を位置合わせするステップと、前記下側のパネル体の上面と、前記上側のパネル体の底面を、前記回動部材で接合するステップと、前記上側のパネル体を起こして、前記上側のパネル体を前記下側のパネル体の上部に配置するステップと、上記各ステップを繰り返すことにより、前記開閉体を形成するステップと、を有する、開閉装置の組み立て方法。
【0011】
(構成6)
前記開閉装置が、前記開閉体の上下方向の移動をガイドするガイド部材と、前記ガイド部材に移動可能に係合し、前記開閉体の幅方向の両側に設けられた複数の被ガイド部材と、を備え、前記上側のパネル体に、前記ガイド部材と係合した前記被ガイド部材を取り付けるステップをさらに有する、構成5に記載の開閉装置の組み立て方法。
【0012】
(構成7)
前記位置合わせするステップにおいて、前記上側のパネル体を、前記下側のパネル体に対して吊持させることで、前記下側のパネル体の上面に対して前記上側のパネル体の底面を位置合わせする、構成5又は6に記載の開閉装置の組み立て方法。
【0013】
(構成8)
構成7に記載の開閉装置の組み立て方法で使用する組立用治具であって、前記上側のパネル体を保持する保持部と、前記下側のパネル体に係合し、前記下側のパネル体の上面に対して前記上側のパネル体の底面を位置合わせさせる係合位置合わせ部と、を備える、組立用治具。
【発明の効果】
【0014】
(構成9)
前記保持部が、長さ調節機能を有し、前記上側のパネル体に巻き回されてこれを保持する巻き掛け部材を備える、構成8に記載の組立用治具。
【0015】
本発明の開閉装置によれば、複数のパネル体がヒンジによって相互に回動可能に接続された開閉体を備える開閉装置において、開閉体のヒンジが設けられる側の面の意匠性の向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る実施形態の開閉装置の概略を示す斜視図
図2】実施形態1のパネル体の一部を示す図
図3】実施形態1の開閉体の組み立て方法を説明する図
図4】実施形態2の開閉体の組み立て方法に使用する組立用治具を示す図
図5】実施形態2の開閉体の組み立て方法を説明する図
図6】実施形態2の開閉体の組み立て方法を説明する図
図7】パネル体の別の例を示す図
図8】実施形態3のパネル体の接合部分を示す図
図9】実施形態3の開閉体の組み立て方法を説明する図
図10】ねじ止めするための部材の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0018】
<実施形態1>
図1は、本発明に係る実施形態1の開閉装置を示す図であり、室内側から見た斜視図である。
開閉装置1は、例えば屋内と屋外を隔てる壁面に形成されている開口部を開閉する開閉装置であって、より具体的には、オーバーヘッドドアやオーバースライディングドア等と呼称される開閉装置である。
図1に示されるように、開閉装置1は、
複数のパネル体11が回動部材であるヒンジ12,13によって相互に回動可能に接続されることで構成された開閉体と、
開閉体の上下方向の移動をガイドするガイド部材であるガイドレール15と、
ガイドレール15に移動可能に係合し、開閉体の幅方向の両側に設けられた複数の被ガイド部材であるローラ14と、を備えている。
上記構成により、開閉体は、図1に示される閉状態と、開閉体が上部で略水平状態となる開状態との間で、ガイドレール15に沿って移動可能である。
各パネル体を接続する回動部材であるヒンジは、パネル体の幅方向の中間部で使用されるヒンジ12と、両端部で使用されるヒンジ13があり、本実施形態では、ローラ14が、ヒンジ13によって保持されている。ヒンジ13のヒンジ軸が、軸筒によって構成されており、この軸筒に、ローラ14の軸が挿通されて保持されるものである。なお「回動部材」にはヒンジの他、蝶番も含まれる。
なお、開閉装置1には、その他に、開閉体の開閉を駆動させるための駆動装置及びその機構、開閉動作を制御するための制御装置等(特に図示せず)が備えられるが、それらの構成は本発明に直接関係するものではないため、ここでのこれ以上の説明を省略する。
【0019】
図2は、本実施形態のパネル体11の接合を示す図(簡単化のため、開閉体を構成するパネル体11のうちの隣り合う2つのパネル体(上側のパネル体11Aと下側のパネル体11B)を示した垂直断面図)である。
パネル体11は、
前面が平面状に形成されている前面部材111と、
後面が平面状に形成されている後面部材112と、
パネル体11内部でパネル体11の幅方向に延在し、上下方向に複数配置された補強部材113と、
前面部材111と、後面部材112と、ヒンジ12若しくはヒンジ13と、を一体的に締結させる締結部材であるポップナットPNと、を備えている。
本実施形態のパネル体11の上面と底面は、相互にあいじゃくり構造となるように形成されている。また、上面と底面のそれぞれにおいて、前面部材111と後面部材112が重なる部分が形成されており、この前面部材111と後面部材112が重なる部分において、それぞれにポップナットPNを挿通させる挿通穴が形成されている。
パネル体11は、補強部材113を前面部材111と後面部材112に接着させるようにして各部材を相互に配置し、上述の挿通穴にポップナットPNを挿通してポップナットPNをかしめることで構成される。
ポップナットPNは、ヒンジ12若しくはヒンジ13をねじ止めするねじを螺合させるねじ穴としても機能する。即ち、下側のパネル体11Bの底面にヒンジ12,13の一方の羽根が締結され、上側のパネル体11Aの上面にヒンジ12,13の他方の羽根が締結されるものであり、「隣り合うパネル体の、上側のパネル体の底面に底面ヒンジ接合部が形成されており、下側のパネル体の上面に上面ヒンジ接合部が形成されている」ものである。
当該構成により、図2に示されるように、ヒンジ12,13による隣り合うパネル体(上側のパネル体11Aと下側のパネル体11B)の接続部分において、ヒンジ12,13の羽根が隣り合うパネル体の間に配置される。
【0020】
図3は、本実施形態の開閉体の組み立て方法を説明する図である。
開閉体の組み立ての基本的な作業は、以下の手順で行われる。なお、ガイドレール15等は既に設置済みの状態として説明する。
1.最下段のパネル体を開口部に設置して、当該最下段のパネル体に、ガイドレール(ガイド部材)15に係合させたローラ(被ガイド部材)14を取り付ける。
2.上記設置された最下段のパネル体に対して、その上に設置されるパネル体をヒンジで接続する(その際に、ガイドレール15と係合したローラ14を取り付ける作業も行う)。
3.上記2の作業を、最上段のパネル体を接続するまで繰り返す。これにより、ガイドレールに沿って移動可能に取り付けられた開閉体が組み上がる。
上記の基本的な手順は、従来と同様であるが、本実施形態の開閉体の組み立て方法においては、2の手順の具体的な作業において、従来とは異なっている。
【0021】
本実施形態の開閉体の組み立て方法では、パネル体をヒンジによって接続(隣り合うパネル体の、下側のパネル体11B(既設済みのパネル体)に、上側のパネル体11Aを接続して設置)する作業が、以下の手順で行われる。
2-1.上側のパネル体11Aを上下逆にして、下側のパネル体11Bの上面に対して上側のパネル体11Aの底面を位置合わせする。
2-2.下側のパネル体11Bの上面と、上側のパネル体11Aの底面を、ヒンジ12,13で接合する。
2-3.上側のパネル体11Aを起こして、上側のパネル体11Aを下側のパネル体11Bの上部に配置する。
【0022】
手順2-1は、図3(a)で示されるように、下側のパネル体11Bの上面の上面ヒンジ接合部に対して、上側のパネル体11Aの底面の底面ヒンジ接合部が隣接するように、上側のパネル体11Aを上下逆にして保持するものである。当該保持は、「上側のパネル体を、下側のパネル体に対して吊持させることで、下側のパネル体の上面に対して上側のパネル体の底面を位置合わせする」ことで行われる。
上側のパネル体11Aの保持(下側のパネル体に対する吊持)は、本実施形態では、下側のパネル体の上面に形成されたパネル側係合部に、ヒンジに形成されたヒンジ側被係合部を非固定的に係合させることによって行う。
より具体的には、下側のパネル体の上面のヒンジ接合部に打設されたねじ11B-1(パネル側係合部)に、上側のパネル体11Aに締結されているヒンジ12の一方の羽根に形成された穴12-1(ヒンジ側被係合部)を引っかけるようにして係合させることで、上側のパネル体11Aの保持が行われる。即ち、ヒンジ12を予め上側のパネル体11Aに取り付けて置き、ヒンジ12の穴12-1を、下側のパネル体11Bに少し突出するように設けられているねじ11B-1に対して引っ掛けるようにするものである。ねじ11B-1は、複数設けられるものであってもよいし、パネル体の幅方向の略中央付近に1個所だけ設けられるもの等であってもよい。
ヒンジ12の一方の羽根に形成された穴12-1は、ねじ頭挿通部12-11と、ねじ軸係止部12-12を備えている。ねじ頭挿通部12-11は、ねじ11B-1のねじ頭を挿通させる大きさで形成され、ねじ軸係止部12-12は、ねじ11B-1の軸部の直径より僅かに大きい大きさで形成される。ねじ軸係止部12-12は、ねじ11B-1に対して引っ掛けられる際に、ねじ11B-1のねじ軸が収容される部分であり、ねじ軸係止部12-12にねじ11B-1のねじ軸が入り込むことで、パネル体下面の底面ヒンジ接合部に対して、ヒンジ12を位置合わせする(ヒンジを締結するねじSのねじ穴の位置合わせをする)機能も有している。
ヒンジ12の他方の羽根には、ヒンジが閉じた際にねじ11B-1と対向する位置に、穴12-2が形成されている。これは、ヒンジが閉じた際にねじ11B-1との干渉を防止するための逃げ穴である。
なお、ねじ11B-1は、ヒンジ12や13の取り付けが終わった後に、取り外されるもの(パネル側係合部が一時的に形成されるもの)であってもよい(この場合、穴12-2は特に必要ない)。また、ここではパネル体側に係合部(突起等)が形成され、ヒンジ側に被係合部(突起と係合する凹部等)が形成されるものを例としたが、ヒンジ側に係合部(突起等)を形成し、パネル体側に被係合部(突起と係合する凹部等)を形成するものであってもよい。
上記説明した概念によれば、上側のパネル体11Aが保持されると共に、ヒンジによる接続のための位置合わせも行われるために、非常に好適であるが、上記のような保持及び位置決め手段を用いることなく、単に人手で上側のパネル体11Aを適切な位置に保持するようなものであっても構わない。
【0023】
手順2-2では、ヒンジ12,13によって、上側のパネル体11Aを、下側のパネル体11Bに接合する作業が行われる。
ヒンジ12は、上述ように、既に上側のパネル体11Aに対して締結されており、また、上側のパネル体11Aを下側のパネル体11Bに対して引っかけるように保持することで、基本的な位置決めもされている(ポップナットPNと、ヒンジ12のねじ穴の位置が概ね合っている)ため、ねじSを、ヒンジ12の羽根のねじ穴を通して、ポップナットPNに螺合させるだけである。
ヒンジ13は、本実施形態では、ローラ14を保持する部材でもあり、従って、ヒンジ13の取り付け作業では、ガイドレール15に係合させたローラ14の軸を、ヒンジ13のヒンジ軸(軸筒)に通し、ヒンジ13を上側のパネル体11A及び下側のパネル体11Bに接続する作業が行われる。
なお、以下で説明するように、ガイドレール15に係合させたローラ14を取り付けたヒンジ13を、予め、下側のパネル体11Bの上面に接続しておくようにするとよい。
【0024】
手順2-3では、ヒンジ12,13によって接続された上側のパネル体11Aを、回動させるように引き起こして、下側のパネル体11Bの上部に配置する。
そして、引き起こした上側のパネル体11Aの上面の両端部において、ガイドレール15に係合させたローラ14を取り付けたヒンジ13の取り付けを行う。これにより、「上側のパネル体に、ガイド部材と係合した被ガイド部材を取り付けるステップ」が行われるものであり、前述の手順2-2と合わせて、上側のパネル体の上下でガイドレールに対する取り付けが行われることになる。
手順2-3におけるヒンジ13の取り付けは、前述の手順2-2から見ると、「ガイドレール15に係合させたローラ14を取り付けたヒンジ13を、予め、下側のパネル体11Bの上面に接続しておく」に該当するものとなる。
なお、本実施形態では、ヒンジ13がローラを保持する機能も併せ持つものを例としているが、ヒンジとは別の部材でローラを保持するものであっても勿論よい。
【0025】
以上のごとく、本実施形態の開閉装置1によれば、開閉体の後面側(ヒンジが設けられる側の面)において、ヒンジの羽根や、それを締結するためのねじ等が表れないようにすることができるため、開閉体のヒンジが設けられる側の面の意匠性の向上をすることができる。
また、本実施形態の開閉装置の組み立て方法によれば、上述の開閉装置の組み立て作業を容易かつ効率よく行うことができる。
【0026】
<実施形態2>
図4は、実施形態2の開閉体の組み立て方法に使用する組立用治具を示す斜視図である。
本実施形態は、実施形態1で説明した手順2-1における、「上側のパネル体を、下側のパネル体に対して吊持させることで、下側のパネル体の上面に対して上側のパネル体の底面を位置合わせ」を、図4に示す組立用治具2を用いて行うものである。
【0027】
組立用治具2は、上側金具21と、下側金具22と、上側金具21に挿通され、下側金具22に接続(固定)されているベルト(巻き掛け部材)23と、を備える。
機能的な観点では、組立用治具2は、
上側のパネル体を保持する保持部と、
下側のパネル体に係合し、下側のパネル体の上面に対して前記上側のパネル体の底面を位置合わせさせる係合位置合わせ部と、を備えている。
【0028】
上側のパネル体を保持する保持部は、上下逆にされた状態の上側のパネル体の上部と係合する係合凹部211を有する上側金具21と、上下逆にされた状態の上側のパネル体の下部と係合する係合凹部221を有する下側金具22と、締結部材であるバックル及び長さ調節機能(締め付け機能)を有するベルト23と、によって構成される。
係合位置合わせ部は、下側のパネル体の上部(即ち下側のパネル体の上面側)と係合する係合凹部212、及び、上下逆にされた状態の上側のパネル体の上部(即ち上側のパネル体の底面側)と係合する係合凹部211を有する上側金具21によって構成される。
なお、図4に示されるアイボルト213は、組立用治具2を取り付けた上側のパネル体を、吊り上げるための係合部である。前述の説明のように、開閉体の組み立ては、順次パネル体を積み上げて接続していく手順となるため、次第に高い位置での作業を行うことになる(作業者は、必要に応じて脚立や高所作業車等を使用することになる)。アイボルト213は、この際に、組立用治具2を取り付けた上側のパネル体を、作業を行う高さまで吊り上げ易くするための部材である。
【0029】
図5、6は、本実施形態の開閉体の組み立て方法を説明する図であり、図5は、上側のパネル体11Aを、下側のパネル体11Bに対して吊持させる作業を示す斜視図、図6は、上側のパネル体11Aが下側のパネル体11Bに対して吊持されている状態を示す断面的に示した図である。
「上側のパネル体を、下側のパネル体に対して吊持させることで、下側のパネル体の上面に対して上側のパネル体の底面を位置合わせ」する作業では、先ず、上側のパネル体11Aに対する組立用治具2の取り付けを行う。
上側のパネル体11Aに対する組立用治具2の取り付けは、バックルを外したバンド23を上側のパネル体11Aに巻き回すようにしつつ、上側金具21の係合凹部211と、下側金具22の係合凹部221を、それぞれ、上下逆にされた上側のパネル体の上部と下部にはめ込むようにする。この状態で、バンド23のバックルを嵌めると共に、バンド23締め付けることで、上側のパネル体11Aに対する組立用治具2の取り付けが行われる。
なお、組立用治具2は、複数用いるもの(図5では2つ使用したものを例としている)であっても良いし、パネル体の幅方向の略中央の1か所のみ(1つだけ)使用するものであってもよい。組立用治具2の取り付け位置は、ヒンジの取り付け作業の邪魔にならないように、ヒンジ接合部ではない場所とする。
【0030】
組立用治具2を上側のパネル体11Aに取り付けたら、上側金具21の係合凹部212を下側のパネル体の上部(即ち下側のパネル体の上面側)に対して引っ掛けるように係合させることで、上側のパネル体11Aが、下側のパネル体11Bに対して吊持される(図6の状態となる)。
上側金具21の係合凹部212の内側には、高さ方向の位置決め機能を有すると共に、緩衝(傷防止)機能も有する調整部材2121が配されており、また、係合凹部211の内側には、高さ方向の位置決め機能を有すると共に、緩衝(傷防止)機能も有する調整部材2111が配されている。
図6からも理解されるように、調整部材2111と調整部材2121によって、上側のパネル体11Aの底面(底面ヒンジ接合部)と、下側のパネル体11Bの上面(上面ヒンジ接合部)の高さ方向の位置合わせがなされる。また、係合凹部211と係合凹部212にそれぞれ上側のパネル体11Aと下側のパネル体11Bが嵌ることにより、上側のパネル体11A(ヒンジ接合部)と、下側のパネル体11B(ヒンジ接合部)の、パネル体の厚さ方向(図6における左右方向)の位置決めも行われる。
なお、上側金具21や下側金具22の、パネル体とのあたり面となる箇所には、傷防止のための緩衝層を適宜設けるように(例えば樹脂シートやゴムシートを貼付する等)するとよい。
【0031】
上記による「上側のパネル体を、下側のパネル体に対して吊持させることで、下側のパネル体の上面に対して上側のパネル体の底面を位置合わせ」が行われた後の、ヒンジの接続などの各組み立て作業は、実施形態1と同様である。
【0032】
以上のごとく、本実施形態の開閉体の組み立て方法によれば、組立用治具2を用いることにより、その作業性が向上される。
組立用治具2は、長さ調節機能を有し、上側のパネル体に巻き回されてこれを保持する巻き掛け部材であるベルト23を備え、これによってパネル体を固定することで、作業性に優れるものである。なお、ここでは、「巻き掛け部材」としてベルトを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、例えば結束バンド等を用いるものであってもよい。
なお、本実施形態の組立用治具2を用いる場合においても、実施形態1で説明した「ヒンジ12の穴12-1と、下側のパネル体11Bのねじ11B-1との係合」の構成を利用するようにしてもよい。
【0033】
なお、実施形態1、2で説明した概念の適用において、パネル体の上面と底面に、ヒンジをねじ止めするためのヒンジ接合部が形成されるものであれば、パネル体自体の構成(形状)は任意のものとすることができる。
図7には、構成若しくは形状の異なるパネル体の例(概念図)を示した。
図7(a)のパネル体11-1は、上部と下部で前面側へ折れ曲がって一部が前面部材111に沿う形状を有する後面部材112-1が、前面部材111に対して取り付けられており、上下方向の中央部において補強部材113-1が配されている(前面部材111及び後面部材112-1に接着されている)ものの例である。
図7(b)のパネル体11-2は、断面視でジグザグ状に形成され、その一部が前面部材111に対して接着されている後面部材112-2が、前面部材111に対して、取り付けられているものの例である。
図7(c)のパネル体11-3は、前面部材111と後面部材112で構成されるパネル体の内部に、上下方向に延在し、パネル体の幅方向に複数本設置される補強部材113-2を有している(補強部材113-2は前面部材111及び後面部材112に接着されている)ものの例である。
何れも、パネル体の上面と底面において、前面部材と後面部材がポップナットPNによって接合され、このポップナットPNのねじ穴によって、ヒンジをねじ止めするためのヒンジ接合部が構成されている。
なお、図7では、実施形態のパネル体11と同様の前面部材111を有するものを例としているが、前面部材111についても異なる構成、形状とするものであってよい。
【0034】
<実施形態3>
図8は、実施形態3のパネル体の接合を示す図(簡単化のため、開閉体を構成するパネル体11-4のうちの隣り合う2つのパネル体(上側のパネル体11-4Aと下側のパネル体11-4B)を示した図)である。なお、実施形態3の開閉装置の構成は、以下で説明するヒンジの接続部分の構成の違いを除いて、基本的に実施形態1の開閉装置と同様であるため、ここでの説明を省略する。
本実施形態のパネル体11-4は、
前面が平面状に形成され、上部及び下部の折り返し部分で一部後面を構成している前面部材111-1と、
上部及び下部で、前面部材111-1の上部及び下部の折り返し部分の内部に沿う形状を有し、この上部及び下部を接続する平面部を有する後面部材112-3と、を備えている。
また、本実施形態のパネル体11-4では、パネル体の後面の上部及び下部に、ヒンジ13-1の羽根を挿入するヒンジ挿入孔H1、H2が形成されており、パネル体の内側で、パネル体とヒンジが接続されている。
【0035】
図9は、本実施形態の開閉体の組み立て方法を説明する図である。
なお、ヒンジの取り付け方法以外は、実施形態1や2で説明した方法と同様の方法とすることができるため、ここでは主にヒンジの取り付けに関してのみの説明とする。
下側のパネル体11-4Bの上部側には、予め、ヒンジ13-1(若しくはヒンジ12-1)を取り付けておく。当該取り付けは、ヒンジ13-1(若しくはヒンジ12-1)の一方の羽根を、ヒンジ挿入孔H1に差し込み、下側のパネル体11-4Bの上面に対してねじSで締結するものである。これにより、前面部材111-1と後面部材112-3とヒンジ13-1(若しくはヒンジ12-1)が一体的に締結される。
なお、ねじSの締結は、ヒンジ13-1(若しくはヒンジ12-1)の羽根のねじ穴にねじ溝が切られており(雌ネジ)、これにねじSが螺合されるものである。
【0036】
ヒンジ13-1(若しくはヒンジ12-1)が取り付けられている下側のパネル体11-4Bに対して、上側のパネル体11-4Aを隣接するように吊持させる際に、各ヒンジ13-1(若しくはヒンジ12-1)の他方の羽根を、ヒンジ挿入孔H2に差し込む。これにより、図9のような状態となり、この状態で、各ヒンジ13-1(若しくはヒンジ12-1)の他方の羽根を、上側のパネル体11-4Aの底面に対してねじSで締結することで、ヒンジ13-1(若しくはヒンジ12-1)による接合が行われる。
実施形態1で説明した手順2-3と同様に.上側のパネル体11-4Aを起こして、上側のパネル体11-4Aを下側のパネル体11Bの上部に配置し、上側のパネル体11-4Aの上部側にヒンジ13-1(若しくはヒンジ12-1)を取り付ける(この際に、ガイドレール(ガイド部材)15に係合させたローラ(被ガイド部材)14の取り付けも行う)。当該取り付けは、上記の「下側のパネル体11-4Bの上部側には、予め、ヒンジ13-1(若しくはヒンジ12-1)を取り付けておく」に該当する。
【0037】
以上のごとく、本実施形態の開閉装置によれば、実施形態1と同様に開閉体の後面側(ヒンジが設けられる側の面)において、ヒンジの羽根や、それを締結するためのねじ等が表れないようにすることができるため、開閉体のヒンジが設けられる側の面の意匠性の向上をすることができる。
また、ヒンジの羽根が隣り合うパネル体の間となる箇所に設けられるという概念としては実施形態1と同様ではあるが、本実施形態では、ヒンジの羽根がパネル体の内部に配されるように構成されているため、ヒンジの羽根が、上側のパネル体の底面と下側のパネル体の上面との間で挟まれる格好となる実施形態1に比べ、上側のパネル体の底面と下側のパネル体の上面との間隔を小さくすることも可能となり得る。これにより、後面側から見た際に、パネル体間の隙間を小さくすることができ、より意匠性の向上を図ることも可能となる。
【0038】
なお、本実施形態では、ヒンジ13-1(若しくはヒンジ12-1)を下側のパネル体11-4Bに対して先に取り付けるものを例としたが、ヒンジ13-1(若しくはヒンジ12-1)を上側のパネル体11-4Aに対して先に取り付けるようにするものであってもよい。
【0039】
本実施形態では、ヒンジ13-1(若しくはヒンジ12-1)の羽根のねじ穴にねじ溝が切られているものを例としたが、図10(a)に例示したヒンジ13-2のように、ナットNをヒンジの羽根に固定(溶接等)することで、ヒンジにねじ穴を設けさせるようにしてもよい。
ナットNをヒンジに対して固定せずに、適宜手でナットNを所定の位置で保持して、ネジSと螺合させるものであっても勿論構わないが、手や指を入れるスペースが無い場合には難しい作業となる。
このような場合に、図10(b)に示したように、プレート等にナットNを固定(溶接等)した部材を用いることで、当該部材を差し込むようにして、手や指を入れるスペースが無い場合にも、ナットNを所定の位置に配置させることが可能となる。
プレートの形状や、ナットNの配置位置や数は、ナットNを使用しようとする各取付部材に応じて、適宜定めればよい(任意の形状、任意の配置や数のものを利用することができる)。なお、プレートのナットNが固定される位置には、当然に、ねじを挿通させる穴が形成されている。
上記の実施形態でポップナットPNを使用している箇所においても、図10(b)に示したような部材を用いることにより、ポップナットPNに替えて、ナットNによる締結を行うことも可能である(ポップナットでは強度不足であるような場合に、ナットを使用することができる)。
【符号の説明】
【0040】
1...開閉装置
11...パネル体
11B-1...ねじ(パネル側係合部)
H1、H2...ヒンジ挿入孔
12、13...ヒンジ
12-1...穴(ヒンジ側被係合部)
14...ローラ(被ガイド部材)
15...ガイドレール(ガイド部材)
2...組立用治具
21...上側金具(係合位置合わせ部)
211...係合凹部(保持部)
212...係合凹部
22...下側金具
221...係合凹部(保持部)
23...ベルト(保持部、巻き掛け部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10