(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029904
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】自動ドアシステム
(51)【国際特許分類】
E05F 15/73 20150101AFI20240229BHJP
【FI】
E05F15/73
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132364
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】599070259
【氏名又は名称】株式会社日鋼サッシュ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三野 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】清家 昭宏
(72)【発明者】
【氏名】細川 義記
(72)【発明者】
【氏名】谷本 龍
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA02
2E052BA02
2E052BA04
2E052CA06
2E052EA03
2E052EB01
2E052EC01
2E052EC02
2E052GA06
2E052GB01
2E052GC02
2E052GC06
2E052GD09
2E052GD11
2E052JA01
2E052KA12
2E052KA22
(57)【要約】
【課題】オープニングサイドからの通行者と開き戸との干渉を抑制でき、その通行者の円滑な通行を維持することができる自動ドアシステムを提供する。
【解決手段】自動ドアシステム10は、開き戸11a、11bのオープニングサイドに設けられ、壁12に沿った通行を制限するためのゲートポールと、開き戸11a、11bの動作を制御する制御装置15と、を含む。そしてゲートポールには信号発信装置が設けられ、この信号発信装置から発信される信号に基づいて、制御装置15が開き戸11a、11bの開動作を行う。この構成により、ゲートポールの信号発信装置を、開き戸11a、11bから十分離れた位置に設けることができるので、信号発信装置により信号を発信させた通行者30が、開動作を行う開き戸11a、11bと接触することを抑制でき、通行者30が円滑に開き戸11a、11bを通過することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に設けられ、自動で開閉する開き戸を含む自動ドアシステムであって、
前記開き戸のオープニングサイドに設けられ、該オープニングサイドにおける、前記壁に沿った通行を制限するためのゲートポールと、
前記開き戸の動作を制御する制御装置と、を含み、
前記ゲートポールには信号発信装置が設けられ、
該信号発信装置から発信される信号に基づいて、前記制御装置が前記開き戸の開動作を行う、
ことを特徴とする自動ドアシステム。
【請求項2】
前記信号発信装置が、前記ゲートポールに設けられたスイッチである、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動ドアシステム。
【請求項3】
前記信号発信装置が、前記ゲートポールに設けられ、前記開き戸を通行する通行者を検知する検知装置を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動ドアシステム。
【請求項4】
前記開き戸が、防火扉である、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動ドアシステム。
【請求項5】
前記開き戸に設けられ、あらかじめ定められた空間内の物体を検知するための第1エリアセンサを備え、
前記制御装置は、前記第1エリアセンサが物体を検知すると、前記開き戸の動作を停止または反転させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動ドアシステム。
【請求項6】
前記開き戸のクロージングサイドの前記壁に設けられ、あらかじめ定められた空間内の物体を検知するための第2エリアセンサを備え、
前記制御装置は、前記第2エリアセンサが物体を検知すると、前記開き戸の開動作を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動ドアシステム。
【請求項7】
前記スイッチは、光により前記開き戸の通行者の注意を引くよう構成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の自動ドアシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドアシステムに関する。さらに詳しくは、本発明は、開き戸を自動で動作させる自動ドアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
映画館、劇場などでの出入り口に設けられる扉は、開き戸であることが多い。これはその扉を含むシステムが、所定のレベルの防音機能および防火機能を有する必要があるからであり、引戸では、これらの防音機能および防火機能を有することが構造上難しいからである。これらの開き戸について、特許文献1では自動で動作する開き戸(特許文献1の
図6参照)が開示されている。この特許文献1では、エリアセンサの検知エリア全体を複数の小検知エリアに分割している。そして、開き戸がこの検知エリアのいずれかで停止した際に、この開き戸がどこに位置しているかを小検知エリアによる検知で確認する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、開き戸が自動ドアである場合、その開き戸のオープニングサイドにおいて、その開き戸と、その開き戸の通行者とが干渉するという問題がある。具体的に
図6、
図7によりその干渉について説明する。
図6、
図7は、いずれも従来の開き戸の自動ドアシステムを斜め上方向から見た斜視図である。
【0005】
図6に示すように、開き戸の自動ドアシステム50において、エリアセンサ53により開き戸51a、51bの開動作が行われる場合、エリアセンサ53を働かせるために通行者54は開き戸51a、51bに近づく必要があるが、この開き戸51a、51bに通行者54が近づきすぎると開動作を行う開き戸51a、51bと接触する可能性があるという問題がある。このため通行者54は、ある程度離れた状態で開き戸51a、51bが開くのを待つ必要があり、通行者54が円滑に通行することができなくなるという問題がある。さらに自動ドアシステム50において、エリアセンサ53により開き戸51a、51bの開動作が行われる場合、自動ドアシステム50を通り抜けずに、自動ドアシステム50が設置された壁に沿って歩く歩行者に対してそのエリアセンサ53が働いて、開き戸51a、51bが開き、この歩行者と開き戸51a、51bが接触するおそれがあるという問題がある。
また、
図7に示すように上記歩行者が多いエリアでは、開き戸の自動ドアシステム50において、壁52または開き戸51a、51bに押しボタンスイッチ55が設けられ、この押しボタンスイッチ55により開き戸の開動作が行われる場合がある。しかしこの場合も、通行者54はその押しボタンスイッチ55を押すために開き戸51a、51bに近づく必要があり、その際に開動作を行う開き戸51a、51bと、通行者54と、が接触する可能性があるという問題がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、オープニングサイドからの通行者と開き戸との干渉を抑制でき、その通行者の円滑な通行を維持することができる自動ドアシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の自動ドアシステムは、壁に設けられ、自動で開閉する開き戸を含む自動ドアシステムであって、前記開き戸のオープニングサイドに設けられ、該オープニングサイドにおける、前記壁に沿った通行を制限するためのゲートポールと、前記開き戸の動作を制御する制御装置と、を含み、前記ゲートポールには信号発信装置が設けられ、該信号発信装置から発信される信号に基づいて、前記制御装置が前記開き戸の開動作を行うことを特徴とする。
第2発明の自動ドアシステムは、第1発明において、前記信号発信装置が、前記ゲートポールに設けられたスイッチであることを特徴とする。
第3発明の自動ドアシステムは、第1発明において、前記信号発信装置が、前記ゲートポールに設けられ、前記開き戸を通行する通行者を検知する検知装置を含むことを特徴とする。
第4発明の自動ドアシステムは、第1発明において、前記開き戸が、防火扉であることを特徴とする。
第5発明の自動ドアシステムは、第1発明において、前記開き戸に設けられ、あらかじめ定められた空間内の物体を検知するための第1エリアセンサを備え、前記制御装置は、前記第1エリアセンサが物体を検知すると、前記開き戸の動作を停止または反転させることを特徴とする。
第6発明の自動ドアシステムは、第1発明において、前記開き戸のクロージングサイドの前記壁に設けられ、あらかじめ定められた空間内の物体を検知するための第2エリアセンサを備え、前記制御装置は、前記第2エリアセンサが物体を検知すると、前記開き戸の開動作を行うことを特徴とする。
第7発明の自動ドアシステムは、第2発明において、前記スイッチは、光により前記開き戸の通行者の注意を引くよう構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、開き戸のオープニングサイドにゲートポールが設けられていることにより、壁に沿った通行を制限することができ、開き戸が間違って開動作を行うことを防止できる。また、そのゲートポールに設けられた信号発信装置から発信される信号により開き戸の開動作が行われることにより、ゲートポールの信号発信装置を、開き戸から十分離れた位置に設けることができるので、信号発信装置により信号を発信させた通行者が、開動作を行う開き戸と接触することを抑制でき、通行者が円滑に開き戸を通過することができる。
第2発明によれば、信号発信装置がゲートポールに設けられたスイッチであることにより、自動ドアシステムをシンプルに構成でき、自動ドアシステムのコストを抑制することができる。
第3発明によれば、信号発信装置が、ゲートポールに設けられ、開き戸を通行する通行者を検知する検知装置を含むことにより、通行者が開き戸を開けるためにのみ必要となる動作を省略でき、通行者がより円滑に開き戸を通過することができる。
第4発明によれば、開き戸が防火扉であることにより、所定の構造を有する、重量の重い開き戸と、通行者が接触することを抑制できるので、通行者が誤って開き戸に接触することを抑制できるので、接触者が怪我をする機会を抑制できる。
第5発明によれば、開き戸に第1エリアセンサが設けられており、その第1エリアセンサが物体を検知すると、制御装置が開き戸の動作を停止または反転させることにより、通行者に開き戸が衝突するのを抑制でき、安全な自動ドアシステムを提供できる。
第6発明によれば、開き戸のクロージングサイドの壁に第2エリアセンサが設けられ、制御装置は、第2エリアセンサが物体を検知すると開き戸の開動作を行うことにより、クロージングサイドは、構造上開き戸が向かってくることはないので、シンプルな構成で開き戸の制御を行うことができ、システムの製造コストを抑えることができる。
第7発明によれば、ゲートポールに設けられたスイッチが、光により開き戸の通行者の注意を引くように構成されていることにより、スイッチが開き戸から離れた位置にあっても、開動作のためのスイッチを容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る自動ドアシステムの斜め上方向からの斜視図である。
【
図2】
図1の自動ドアシステムを構成するゲートポールの斜め上方向からの斜視図である。
【
図3】
図1の自動ドアシステムのシステムのブロック構成図である。
【
図4】
図1の自動ドアシステムの制御フロー図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る自動ドアシステムを構成するゲートポールの斜め上方向からの斜視図である。
【
図6】従来の第1の自動ドアシステムの斜め上方向からの斜視図である。
【
図7】従来の第2の自動ドアシステムの斜め上方向からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための自動ドアシステムを例示するものであって、本発明は自動ドアシステムを以下のものに特定しない。なお、各図面が示す部材の大きさまたは位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。
【0011】
(第1実施形態)
図1には本発明の第1実施形態に係る自動ドアシステム10の斜め上方向からの斜視図を示す。本実施形態に係る自動ドアシステム10は、壁12に設けられ、自動で開閉する開き戸11a、11bを有する。開き戸11a、11bはいわゆる観音開きであり、
図1の床面に二点鎖線の矢印で示すように、
図1の手前側に開閉する。開き戸11a、11bは、複数のヒンジを用いて、そのヒンジを中心に開閉する。開き戸11a、11bは、自動ドアであり、その開閉は、電動モータで行われる。なお、本実施形態に係る自動ドアシステム10では、開き戸11a、11bの開閉方向は、
図1に示すように手前側の一方向で描かれているが、ヒンジの構造によっては手前側の一方だけでなく、
図1の奥側にも開閉する構造も採用することができる。また、
図1では開き戸11a、11bと言う形の2つのドアがある構造が開示されているが、これに限定されず1つのドアがある構造も本発明の自動ドアシステム10に含まれる。
【0012】
本実施形態に係る自動ドアシステム10は、その開き戸11a、11bが防火扉である場合がある。一般的に防火扉と呼ばれている防火戸は、建築基準法の特定防火設備に該当し、「鉄製で鉄板の厚さが1.5mm以上」という要件が定められている(平12年建告第1369号)。開き戸11a、11bが防火扉である場合、これらの重量は非常に重くなるため、一般のドアと比較するとこれらに通行者30が接触した場合に、通行者30が怪我をする可能性が高くなる。開き戸11a、11bが防火扉であることにより、所定の構造を有する、重量の重い開き戸11a、11bと、通行者30と、が接触することを抑制できるので、通行者30が誤って開き戸11a、11bに接触することを抑制できるので、接触者が怪我をする機会を抑制できる。
【0013】
本実施形態に係る自動ドアシステム10は、開き戸11a、11bのオープニングサイドにゲートポールが設けられている。オープニングサイドとは、壁12を基準として開き戸11a、11bが開く側であり、
図1では、
図1の手前側が該当する。このゲートポールは、ゲートを構成するためのポールであり、壁12に沿って歩く歩行者などの通行を制限するために設けられる。
【0014】
本実施形態では、開き戸11a、11bに向かって、開き戸11aの左側に第1ゲートポール20および第2ゲートポール21が設けられ、開き戸11bの右側に第3ゲートポール22および第4ゲートポール23が設けられている。そして第1ゲートポール20と第2ゲートポール21との間、第2ゲートポール21と壁12との間、第3ゲートポール22と第4ゲートポール23との間、および第4ゲートポール23と壁12との間は、それぞれ通行防止部材14が設けられている。本実施形態において、この通行防止部材14は、内部に通信線が設けられたひも状部材である。ただし通行防止部材14は、このひも状部材に限定されることはない。例えば、プラスチックの筒状部材であったり、通信線が用いられていない場合は、鎖であったりする場合もある。
【0015】
開き戸11a、11bのオープニングサイドにゲートポールが設けられていることにより、壁12に沿った通行を制限することができ、開き戸11a、11bが間違って開動作を行うことを防止できる。
【0016】
また本実施形態では、開き戸11a、11bに、あらかじめ定められた空間内の物体を検知するための第1エリアセンサ16が、それぞれ設けられている。この第1エリアセンサ16は、開き戸11a、11bの比較的上部に設けられ、その地点から開き戸11a、11bの表面に沿ってセンサが作動するエリアが設けられている。本実施形態では、この第1エリアセンサ16が物体を検知すると、開き戸11a、11bはその動作を停止するよう制御されるか、反転動作をするよう制御される。
【0017】
図2には、本実施形態に係る自動ドアシステム10を構成する第1ゲートポール20の斜め上方向からの斜視図を示す。第1ゲートポール20は、上下に長い四角中の形状をしているポール部25と、このポール部25を支えるベース部27と、ポール部25の最上部に設けられたスイッチ26と、を含んで構成されている。このスイッチ26は、信号発信装置の一つである。また第1ゲートポール20は、ひも状部材である通行防止部材14が結合されている。スイッチ26は、開き戸11、11bの開動作を行うために使用される。本実施形態ではスイッチ26は、近接センサであり、非接触で動作させることができる。しかしスイッチ26はこれに限定されない。例えば、押しボタンスイッチであっても問題ない。
【0018】
また、本実施形態では、スイッチ26の表面は中心に黒丸があり、その同心円状に赤く光る部分が設けられており、光により開き戸11a、11bの通行者30の注意を引くように構成されている。ただし、スイッチ26の表面はこれに限定されない。例えば光る部分を点滅させたり、エレベータで用いられているような、頂点が両サイドを向いた2つの三角形の形状を点灯させたり、漢字の「開」の文字を点灯させたりして、光により開き戸11a、11bの通行者30の注意を引くことも可能である。
【0019】
ゲートポールに設けられたスイッチ26が、光により開き戸11a、11bの通行者30の注意を引くように構成されていることにより、スイッチ26が開き戸11a、11bから離れた位置にあっても、開動作のためのスイッチ26を容易に認識することができる。
【0020】
図2により、本実施形態の第1ゲートポール20の構成について上記のように説明したが、開き戸11a、11bを挟んで設置されている第3ゲートポール22も、第1ゲートポール20と同様の構成である。また、本実施形態では第2ゲートポール21、第4ゲートポール23には、スイッチ26は設けられていないが、開き戸11a、11bの左右それぞれ1つずつにスイッチ26のあるゲートポールを設ける構成に限定されることはない。例えば左右それぞれに2本の、スイッチ26のあるゲートポールを設けることも可能である。
【0021】
また、本実施形態では、第1ゲートポール20に設けられたスイッチ26のための通信線が通行防止部材14内に設けられているが、これに限定されない。例えば第1ゲートポール20内にバッテリーが設けられ、このバッテリーからの電源によりスイッチ26の信号を送信することも可能である。
【0022】
(自動ドアシステム10の制御構成)
図3には、本実施形態に係る自動ドアシステム10のシステムのブロック構成図を示す。本実施形態に係る自動ドアシステム10は、開き戸11a、11bの動作を制御するための制御装置15を有している。なお
図3においては、制御装置15に対して信号を主に送信する機器を左側に、制御装置15からの信号を主に受ける機器を右側に記載している。
【0023】
本実施形態に係る自動ドアシステム10では、制御装置15は壁12の中、または扉に取り付けされている開閉装置の中に格納される。制御装置15は、ゲートポールに設けられたスイッチ26、開き戸11a、11bに設けられた第1エリアセンサ16、および壁12に設けられた第2エリアセンサ17からの信号を受信する。
【0024】
なお第2エリアセンサ17は、
図1では示していないが、
図1の壁12を基準としてオープニングサイドとは逆のクロージングサイドにおいて、壁12の開き戸11a、11bの上側の無目部に設けられ、そこから下側に位置するあらかじめ定められた空間の物体を検知する。
【0025】
開き戸11a、11bのクロージングサイドの壁12に第2エリアセンサ17が設けられ、制御装置15は、第2エリアセンサ17が物体を検知すると開き戸11a、11bの開動作を行うことにより、クロージングサイドは、構造上開き戸11a、11bが通行者30に向かってくることはないので、シンプルな構成で開き戸の制御を行うことができ、システムの製造コストを抑えることができる。
【0026】
制御装置15は、上記のセンサ等の信号により、開閉用モータ18を動作させる。本実施形態に係る自動ドアシステム10では、開閉用モータ18は、開き戸11a、11bのオープニングサイドの壁12の開き戸11a、11bの上側の無目部に設けられている。
【0027】
(自動ドアシステム10の制御フロー)
図4には、本実施形態に係る自動ドアシステム10の制御フロー図の一例を示す。本実施形態に係る自動ドアシステム10は、最初の時点では閉じられている。
【0028】
自動ドアシステム10の制御装置15は、通行者30によるスイッチ26の操作が行われていない状態では、ステップ001(以下、S001のように記載する)において、スイッチ26からの信号を待つ状態を維持する。
【0029】
自動ドアシステム10の通行者30は、自動ドアシステム10のオープニングサイドの離れた位置から、自動ドアシステム10に近づき、例えば左側の第1ゲートポール20のスイッチ26を作動させる。そしてS002において、制御装置15は、スイッチ26からの信号に従い、開き戸11a、11bを開閉用モータ18により開動作させ、開き戸11a、11bを開状態のまま維持する。
【0030】
その後S003において、制御装置15は、あらかじめ定められた時間が経過していない場合は開き戸11a、11bを開状態のまま維持する。この開状態が維持されている状態で、通行者30は開き戸11a、11bを通過し、自動ドアシステム10のクロージングサイドへ到達する。制御装置15は、S003において、あらかじめ定められた時間が経過した場合、S004にフローを進める。
【0031】
制御装置15は、S004において、開き戸11a、11bを閉動作させる。この閉動作の最中に、第1エリアセンサ16がオンになった場合について説明する。
【0032】
第1エリアセンサ16がオンになる場合とは、例えば通行者30が車いすを使用するなどあらかじめ定められた時間内に開き戸11a、11bを通過できておらず、閉動作を行っている開き戸11a、11bに近づいた場合などが該当する。この第1エリアセンサ16がオンになっていない場合、制御装置15はS005において、閉動作を継続し、開き戸11a、11bは閉状態となり、制御装置15は制御フローを終了させる。
【0033】
開き戸11a、11bが閉動作を行っている段階で、第1エリアセンサ16がオンになると、制御装置15はフローをS006に進ませる。
【0034】
制御装置15は、S006において、開き戸11a、11bの動作を停止させる。そして制御装置15は、S007において、あらかじめ定められた時間が経過していない場合は、その時間の経過を待ち、あらかじめ定められた時間が経過すると、開き戸11a、1bの閉動作を再開し、開き戸11a、11bが閉状態となって制御フローを終了させる。
【0035】
ゲートポールに設けられたスイッチ26により開き戸11a、11bの開動作が行われることにより、ゲートポールのスイッチ26を、開き戸11a、11bから十分離れた位置に設けることができるので、スイッチ26を押す通行者30が、開動作を行う開き戸11a、11bと接触することを抑制でき、その通行者30が円滑にその開き戸11a、11bを通過することができる。
【0036】
開き戸11a、11bに第1エリアセンサ16が設けられており、その第1エリアセンサ16が物体を検知している間、制御装置15が開き戸11a、11bの動作を停止させることにより、通行者30に開き戸11a、11bが衝突するのを抑制でき、安全な自動ドアシステム10を提供できる。
【0037】
なお、本実施形態においては第1エリアセンサ16が物体を検知すると、開き戸11a、11bの動作を停止させるフローについて説明したが、このフローに限定されない。例えば第1エリアセンサ16が物体を検知すると、開き戸11a、11bの動作を反転させることもできる。「反転」とは、少なくとも、開き戸11a、11bが開動作をしているときに、第1エリアセンサ16が物体を検知すると、制御装置15が開き戸11a、11bを閉動作させるか、開き戸11a、11bが閉動作をしているときに、第1エリアセンサ16が物体を検知すると、制御装置15が開き戸11a、11bを開動作させることを意味する。
【0038】
(第2実施形態)
図5には、本発明の第2実施形態に係る自動ドアシステム10を構成するゲートポールの斜め上方向からの斜視図を示す。他の構成は、第1実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0039】
第2実施形態におけるゲートポールは、開き戸11a、11bを通行する通行者を検知する検知装置28を含んでいる。検知装置28は、信号発信装置の一つであり、本実施形態では光電センサである。光電センサの投光部から赤外線28aが投光され、この赤外線28aが通行者等により遮断されると、検知装置28は、通行者を検知したとの信号を送信する。なお検知装置28は光電センサに限定されず、通行者を検知できるものであれば問題ない。またゲートポールにスイングする部材を設け、そのスイングする動作に合わせて信号が発信されるものも検知装置28に含まれる。
【0040】
(その他)
上記の実施形態では、開き戸11a、11bがスイッチ26の信号により、いずれも開くように記載したが、これに限定されない。例えば、自動ドアシステム10がコンサートホールで利用される場合、コンサートが始まる前は、両方の開き戸11a、11bが開くことが求められるが、コンサートが始まった後は、開き戸11a、11bのいずれかのみが開くことが求められるので、開き戸11a、11bのいずれかが開動作を行う場合もある。
【0041】
また、クロージングサイドに第2エリアセンサ17が設けられるように記載したがこれに限定されない。例えば、開き戸11a、11bの表面に開き戸11a、11bを開動作用スイッチが設けられる場合もある。
【符号の説明】
【0042】
10 自動ドアシステム
11(11a、11b) 開き戸
12 壁
15 制御装置
16 第1エリアセンサ
17 第2エリアセンサ
20 ゲートポール
26 スイッチ
28 検知装置