(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029909
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】NFT流通システムおよびNFT流通プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/40 20120101AFI20240229BHJP
【FI】
G06Q20/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132370
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】515253821
【氏名又は名称】SBINFT株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522335860
【氏名又は名称】SBI VCトレード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125391
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 凱生
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA75
(57)【要約】
【課題】転送できないNTT(None transferable token)型KYCトークンを発行して、購入者の認証を行なうことによって、NFTの適正な流通を図ると共に、権利者への適切な収益分配を実行する。
【解決手段】NFTの購入資格を有することを示すNTT(None transferable token)証明書であるKYC(Know Your Customer)を購入者に発行することによって、NFTの流通認証を行なうNTTスマートコントラクト7と、ロイヤリティ情報の取得リクエストに応じて、NFTのコントラクトまたはトークン毎の収益分配情報を出力する収益分配情報管理コントラクト9と、NFTの購入者がKYCを保有していることを条件に、NFTの売買の決済を行なうと共に、収益分配情報管理コントラクトから取得した収益分配情報に基づいて、権利者に前記NFTの売買の収益を分配する決済プロトコル15と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックチェーンに記録されるNFT(Non-Fungible Token)に権利のロイヤリティに関するデータを記録し、前記NFTが販売者から購入者へ流通する際に権利者に収益分配を実行するNFT流通システムであって、
前記NFTの購入資格を有することを示すNTT(None transferable token)証明書であるKYC(Know Your Customer)を購入者に発行することによって、前記NFTの流通認証を行なうNTTスマートコントラクトと、
ロイヤリティ情報の取得リクエストに応じて、NFTのコントラクトまたはトークン毎の収益分配情報を出力する収益分配情報管理コントラクトと、
前記NFTの購入者が前記KYCを保有していることを条件に、前記NFTの売買の決済を行なうと共に、前記収益分配情報管理コントラクトから取得した収益分配情報に基づいて、権利者に前記NFTの売買の収益を分配する決済プロトコルと、を備えることを特徴とするNFT流通システム。
【請求項2】
NTTスマートコントラクトは、購入者が暗号資産取引所にNFTウォレットを保有する場合のみ、前記NFTウォレットに前記KYCを発行することを特徴とする請求項1記載のNFT流通システム。
【請求項3】
ブロックチェーンに記録されるNFT(Non-Fungible Token)に権利のロイヤリティに関するデータを記録し、前記NFTが販売者から購入者へ流通する際に権利者に収益分配を実行するNFT流通プログラムであって、
前記NFTの購入資格を有することを示すNTT(None transferable token)証明書であるKYC(Know Your Customer)を購入者に発行することによって、前記NFTの流通認証を行なう処理と、
ロイヤリティ情報の取得リクエストに応じて、NFTのコントラクトまたはトークン毎の収益分配情報を出力する処理と、
前記NFTの購入者が前記KYCを保有していることを条件に、前記NFTの売買の決済を行なうと共に、前記収益分配情報に基づいて、権利者に前記NFTの売買の収益を分配する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とするNFT流通プログラム。
【請求項4】
購入者が暗号資産取引所にNFTウォレットを保有する場合のみ、前記NFTウォレットに前記KYCを発行することを特徴とする請求項3記載のNFT流通プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロックチェーンに記録されるNFT(Non-Fungible Token)に権利のロイヤリティに関するデータを記録し、前記NFTが販売者から購入者へ流通する際に権利者に収益分配を実行するNFT流通システムおよびNFT流通プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、デジタルアートの領域では、創作者であることの証明や創作物が転売されたときに創作者に適正なロイヤリティを配分することが難しかったが、NFT(Non-Fungible Token)の登場により、創作者に適正なロイヤリティを配分することが可能となり、創作物の二次流通市場において、適正なコンテンツの取引が可能となった。このNFTとは、Ethereum(登録商標)の規格であるERC721に基づいて発行される唯一無二の価値を持ったトークンのことである。すなわち、代替不可能な固有のデータを持つことができるトークンであり、ブロックチェーン上に保存される。
【0003】
特許文献1には、スマートコントラクトによって管理されるトークンで表現されたゲーム資産の取引を容易にするボールトアプリケーションに関する技術が開示されている。この技術では、ユーザゲーム内インベントリを伴うゲームインベントリ管理システムを有する集中型ゲーム環境と、分散型ネットワークとの間をインタフェースするためのボールトアプリケーションは、ユーザに代わってゲーム資産に対応するトークンを保管し、ユーザの権利を示し、ユーザのゲーム内インベントリから削除すべきゲーム資産についてのリクエストのユーザ選択及びウォレットアドレスの指定を受け取り、選択されたゲーム資産を削除するリクエストに関するメッセージをゲーム環境に伝達し、インベントリから削除するリクエストの確認を受け取り、トランザクションを生成し、トークンを、ボールトスマートコントラクトを介して指定されたウォレットアドレスに転送する。
【0004】
また、特許文献2には、ブロックチェーンに基づく資産権利管理システムが開示されている。この資産権利管理システムでは、予めブロックチェーンネットワーク上で資産に対応する資産スマートコントラクトを発布し、資産スマートコントラクトを実行して資産の所有権を示す均質化した所有権トークンを生成し、所有権トークンに基づいて対応すると共に均質化していない資産の使用権を示す使用権トークンを生成する。資産スマートコントラクトが使用権トークンの取引により獲得した収益金額を受領すると、使用権トークンを移譲すると共に利益分配金額を計算して所有権者に発送し、資産権利管理及び収益の利便性を向上する技術的効果を達成する。
【0005】
また、特許文献3には、ブロックチェーンを用いて、コンテンツデータの権利を流通する技術が開示されている。この技術では、権利者端末、譲受人端末およびブロックチェーン制御端末は、権利を流通するためのスマートコントラクトプログラムが設定されたトランザクションを含み、権利者端末、譲受人端末およびブロックチェーン制御端末間で同期するブロックチェーンを記憶する。ブロックチェーン制御端末は、コンテンツデータの照合情報および流通対象の権利の種別を含み、所有者情報として権利者のアドレスが設定され、トークン識別子によって識別されるトークンデータを生成し、トークン識別子に対応するトークンデータをブロックチェーンに登録するトークン発行部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-023801号公報
【特許文献2】特開2021-072116号公報
【特許文献3】特開2020-068388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来から、権利のロイヤリティ、例えば、著作権料等については、複雑に権利者が絡んで著作物が完成することが多く、JASRAC等による管理や使用許諾等の手続が複雑となっている。また、海外へのコンテンツの輸出の際にも、権利者への収益の入金管理などが複雑化しており、改善が必要とされている。これらの仕組みを、ブロックチェーン技術を用いて再構築し、シームレスなスマートコントラクトによる取引にすることで、改善が見込まれるが、従来の技術では、NFTの流通において、購入者がNFTの購入資格を有しているかどうかを認証することは、具体化されていない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、転送できないNTT(None transferable token)型KYCトークンを発行して、購入者の認証を行なうことによって、NFTの適正な流通を図ると共に、権利者への適切な収益分配を実行することができるNFT流通システムおよびNFT流通プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明のNFT流通システムは、ブロックチェーンに記録されるNFT(Non-Fungible Token)に権利のロイヤリティに関するデータを記録し、前記NFTが販売者から購入者へ流通する際に権利者に収益分配を実行するNFT流通システムであって、前記NFTの購入資格を有することを示すNTT(None transferable token)証明書であるKYC(Know Your Customer)を購入者に発行することによって、前記NFTの流通認証を行なうNTTスマートコントラクトと、ロイヤリティ情報の取得リクエストに応じて、NFTのコントラクトまたはトークン毎の収益分配情報を出力する収益分配情報管理コントラクトと、前記NFTの購入者が前記KYCを保有していることを条件に、前記NFTの売買の決済を行なうと共に、前記収益分配情報管理コントラクトから取得した収益分配情報に基づいて、権利者に前記NFTの売買の収益を分配する決済プロトコルと、を備えることを特徴とする。
【0010】
このように、購入者の認証を自動的に行うことができるため、NFTの流通を自動管理することが可能となる。また、権利の収益分配情報に基づいて、権利者にNFTの売買の収益を分配するので、権利のロイヤリティを自動管理することが可能となる。
【0011】
(2)また、本発明のNFT流通システムにおいて、NTTスマートコントラクトは、購入者が暗号資産取引所にNFTウォレットを保有する場合のみ、前記NFTウォレットに前記KYCを発行することを特徴とする。
【0012】
この構成により、KYCの有無によって、購入者の購入資格を判断することができるので、購入者の認証を自動的に行うことができる。
【0013】
(3)また、本発明のNFT流通プログラムは、ブロックチェーンに記録されるNFT(Non-Fungible Token)に権利のロイヤリティに関するデータを記録し、前記NFTが販売者から購入者へ流通する際に権利者に収益分配を実行するNFT流通プログラムであって、前記NFTの購入資格を有することを示すNTT(None transferable token)証明書であるKYC(Know Your Customer)を購入者に発行することによって、前記NFTの流通認証を行なう処理と、ロイヤリティ情報の取得リクエストに応じて、NFTのコントラクトまたはトークン毎の収益分配情報を出力する処理と、前記NFTの購入者が前記KYCを保有していることを条件に、前記NFTの売買の決済を行なうと共に、前記収益分配情報に基づいて、権利者に前記NFTの売買の収益を分配する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0014】
このように、購入者の認証を自動的に行うことができるため、NFTの流通を自動管理することが可能となる。また、権利の収益分配情報に基づいて、権利者にNFTの売買の収益を分配するので、権利のロイヤリティを自動管理することが可能となる。
【0015】
(4)また、本発明のNFT流通プログラムは、購入者が暗号資産取引所にNFTウォレットを保有する場合のみ、前記NFTウォレットに前記KYCを発行することを特徴とする。
【0016】
この構成により、KYCの有無によって、購入者の購入資格を判断することができるので、購入者の認証を自動的に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、購入者の認証を自動的に行うことができるため、NFTの流通を自動管理することが可能となる。また、権利の収益分配情報に基づいて、権利者にNFTの売買の収益を分配するので、権利のロイヤリティを自動管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係るNFT流通システムの概略攻勢を示す図である。
【
図2】NTTコントラクトが購入者に対してKYCを発行する様子を示す図である。
【
図3】NFT購入者が著作物等に関連付けられたNFTの購入の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
著作権を含む知的財産権は、創作者や権利者が複雑に関係することが多く、従来は、例えば、JASRAC等の専門の管理団体が管理を行ってきたが、それでも海外にコンテンツを輸出しようとする際には、複雑な手続きが必要となり、また、権利者へのライセンス料等の収益管理などは十分に整理されていない状況である。本発明者は、これらの課題を解決すべく、ブロックチェーン技術を用いた「NFT流通権利保護決済プロトコル」を提案する。これにより、シームレスなスマートコントラクトによる取引を実現すると共に、OSS(Open Source Software)を用いることから不正なコピー利用の回避を図るものである。
【0020】
本発明者は、ブロックチェーン上に保存されるNFTに着目し、NFTの購入者の認証を自動的に行う仕組みを実現させることによって、NFTの流通を自動管理することや、権利の収益分配情報に基づいて、権利者にNFTの売買の収益を分配することができることを見出し、本発明に至った。
【0021】
すなわち、本発明の本発明のNFT流通システムは、ブロックチェーンに記録されるNFT(Non-Fungible Token)に権利のロイヤリティに関するデータを記録し、前記NFTが販売者から購入者へ流通する際に権利者に収益分配を実行するNFT流通システムであって、前記NFTの購入資格を有することを示すNTT(None transferable token)証明書であるKYC(Know Your Customer)を購入者に発行することによって、前記NFTの流通認証を行なうNTTスマートコントラクトと、ロイヤリティ情報の取得リクエストに応じて、NFTのコントラクトまたはトークン毎の収益分配情報を出力する収益分配情報管理コントラクトと、前記NFTの購入者が前記KYCを保有していることを条件に、前記NFTの売買の決済を行なうと共に、前記収益分配情報管理コントラクトから取得した収益分配情報に基づいて、権利者に前記NFTの売買の収益を分配する決済プロトコルと、を備えることを特徴とする。
【0022】
この構成により、本発明者は、NFTの流通を自動管理することを可能とし、また、権利のロイヤリティを自動管理することを可能とした。以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係るNFT流通システムの概略攻勢を示す図である。NFT流通システム1は、NTTスマートコントラクト7、収益分配情報管理コントラクト9および決済プロトコル15を備える。NTTスマートコントラクト7は、NFT(Non-Fungible Token)の購入資格を有することを示すNTT(None transferable token)証明書であるKYC(Know Your Customer)を購入者に発行する。これにより、NFTの流通認証を行なう。収益分配情報管理コントラクト9は、ロイヤリティ情報の取得リクエストに応じて、NFTのコントラクトまたはトークン毎の収益分配情報を出力する。
【0024】
NFTの流通は、アプリケーション層において、払われた仮想通貨に対して、決済情報を確認し、決済可能であった場合に、権利の計算層において収益の計算をする。つまり、権利の計算層の機能をスマートコントラクトというプログラムで実行する。そして、販売されてているNFTと収益の分配情報をマッチングさせる。本発明においては、決済プロトコル15は、NFTの購入者がKYCを保有していることを条件に、NFTの売買の決済を行なうと共に、収益分配情報管理コントラクト9から取得した収益分配情報に基づいて、権利者にNFTの売買の収益を分配する。
【0025】
本発明は、NFTに、決済プロトコルのエクスチェンジというプロトコルを付与する。例えば、NFTの流通の際、販売者から購入者へ購入情報(例えば、NFTのオーナー情報等)が伝達される。本発明は、このオーナー情報を移転させるタイミングで、認証を行なう。具体的には、「ノントランスファラブルトークン(NTT:None transferable token)」であるKYCトークンを発行し、NFTを買おうとしている購入者自身のアドレスに、このKYC証明書を提供する。このKYC証明書を持っているか持っていないか、によって、購入者としての資格を有するかどうかを判断する。
【0026】
図1では、NFT購入者3が著作物等に関連付けられたNFTの購入の様子を示している。NFT購入者3が、決済プロトコル15へNFTの購入のリクエストを行なうと、決済プロトコル15は、収益分配情報管理コントラクト9へロイヤリティ情報取得リクエスト(R1)を行なう。収益分配情報管理コントラクト9は、決済プロトコル15からのロイヤリティ情報の取得リクエストに応じて、NFTのコントラクトまたはトークン毎の収益分配情報を決済プロトコル15へ出力する(R2)。NTTスマートコントラクト7は、予めNFTの購入資格を有することを示すNTT証明書であるKYCを、NFT購入者3へ発行しておく(R3)。そして、NTTスマートコントラクト7は、NFT購入者3が、NFTを購入しようとする際に、KYCを保有しているかどうかを確認し、この確認ができた場合に、決済プロトコル15に対して、KYCトークン保有確認結果を出力する(R4)。これにより、NFTの流通認証が実施される。決済プロトコル15は、収益分配情報管理コントラクト9から取得した収益分配情報に基づいて、ERC20に準拠したトークン11を権利者13(例えば、権利者A、権利者B、権利者C)へ分配する(R1)。また、決済プロトコル15は、決済処理の結果に基づいて、NFT購入者3が保有する暗号資産取引所ウォレット19にNFT17を転送する指示を与える(R5)。これにより、認証を伴ったNFTの売買が実施される。
【0027】
図2は、NTTコントラクトが購入者に対してKYCを発行する様子を示す図である。購入者は、NFTの購入をする前に、予めKYCトークンを入手する。まず、アドレスAの暗号資産交換業ユーザ21から、暗号資産取引所KYCシステム25のウォレットに対して、KYCトークン(顧客名、生年月日、電話番号を含む)を発行する(T1)。または、暗号資産取引所KYCシステム25上に口座を持っている購入者のみにKYCトークンを発行する。暗号資産交換業ユーザ21には、ERC20に準拠した暗号資産が保存されており、購入や投銭で利用可能となっている。
【0028】
暗号資産取引所KYCシステム25は、KYCの個人情報のデータベースを持っており、KYCの個人情報は、この暗号資産取引所KYCシステム25のデータベースと照合される。KYCトークンは、このデータベースに紐づくアドレス(EOA:Externally Owned Account)に配布される。
図2では、KYCトークンが、アドレスBのノンカストディアルウォレット23または取引所カストディアルウォレット26に発行される例を示す。購入者は署名によりこのKYCトークンを受け取り可能となる(T3)。このKYCトークンは、決済プロトコル15の「KYC認証つきNFT」を購入するための権利であり、これを取得することで、暗号資産取引所KYCシステム25のアカウントに紐づくこととなる(T4)。顧客名、生年月日、電話番号等の情報をマッチングさせることで、アドレスデータのトレース結果を検索することが可能となる(T5)。
【0029】
図3は、NFT購入者が著作物等に関連付けられたNFTの購入の手順を示すフローチャートである。NTTスマートコントラクト7は、予めNFTの購入資格を有することを示すNTT証明書であるKYCを、NFT購入者のユーザウォレットへ発行する(ステップS1)。ここでは、暗号資産取引所KYCシステム25上に口座を持っている購入者のみにKYCトークンを発行するようにしても良い。次に、NFT購入者が、ユーザウォレットを介して、NFT購入リクエストを発行すると(ステップS2)、決済プロトコルは、収益分配情報管理コントラクトから収益分配情報を取得する(ステップS3)。
【0030】
一方、NTTスマートコントラクトは、ユーザウォレットにKYCトークンが存在するかどうかを判断する認証処理を行なう(ステップS4)。認証が得られなければ、処理が終了するが、認証が得られた場合は、著作権者等に対して、ロイヤリティを分配する処理を行なう(ステップS5)。そして、決済プロトコルは、NFT販売者からNFT購入者へNFTの転送処理を行なう(ステップS6)。
【0031】
以上説明したように、本実施形態によれば、購入者の認証を自動的に行うことができるため、NFTの流通を自動管理することが可能となる。また、権利の収益分配情報に基づいて、権利者にNFTの売買の収益を分配するので、権利のロイヤリティを自動管理することが可能となる。なお、本明細書では、暗号資産取引所KYCシステムとKYCトークンとを組み合わせて認証を行なったが、本発明は、これに限定されるわけではなく、分散型ID認証システム(スマートコントラクト型個人認証)とKYCトークンとを組み合わせて認証を行なうことも可能である。
【符号の説明】
【0032】
1…NFT流通システム
3…NFT購入者
7…NTTスマートコントラクト
9…収益分配情報管理コントラクト
11…トークン
13…権利者
15…決済プロトコル
19…暗号資産取引所ウォレット
21…暗号資産交換業ユーザ
23…ノンカストディアルウォレット
25…暗号資産取引所KYCシステム
26…取引所カストディアルウォレット