(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029920
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】処理装置、処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/523 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
H04M3/523
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132388
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100183162
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 義文
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 琳
【テーマコード(参考)】
5K201
【Fターム(参考)】
5K201BA13
5K201BA14
5K201BC06
5K201CA01
5K201CB01
5K201CB05
5K201CB13
5K201CB16
5K201DA02
5K201EC06
5K201EC09
5K201ED10
5K201EF09
(57)【要約】
【課題】コールセンターシステムの顧客サービスを向上させるとともに、稼働効率を向上させる。
【解決手段】本発明のコールセンターサーバ100(コンタクトセンタサーバ100)は、キュー制御部104が、待ち呼情報を取得する。また、着信履歴データに基づいて、着呼数推移データを生成する。また、待ち呼情報及び着呼数推移データを管理者端末200に送信し、優先対応呼設定要求及び優先対応呼設定対象を管理者端末200から受信する。また、キュー制御部104は、優先対応呼設定対象に基づいて、対象となるACD(Automatic Call Distribution)グループの応答待ちキュー105において、優先対応呼設定対象に関わる待ち呼のうち、待ち呼の先頭から優先対応となる個数の待ち呼を、対象となるACDグループの優先対応キュー106に移動する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
待ち呼の情報を有する第1情報を取得する第1処理部と、
着信履歴の情報を有する第2情報に基づいて、着信呼における数の推移の情報を有する第3情報を生成する第2処理部と、
前記第1情報及び前記第3情報を第1装置に送信し、優先対応呼設定の要求の情報を有する第4情報及び設定対象の情報を有する第5情報を前記第1装置から受信する第3処理部と、を備え、
前記第3処理部は、前記第5情報に基づいて、対象となるACD(Automatic Call Distribution)グループの応答待ちキューにおいて、前記設定対象の情報に関わる待ち呼のうち、待ち呼の先頭から優先対応となる個数の待ち呼を、前記対象となるACDグループの優先対応キューに移動する、処理装置。
【請求項2】
前記設定対象の情報は、自動音声応答(Interactive Voice Response)システムによって分類される着信呼の用件内容毎に用意されている、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記設定対象の情報は、着信呼の発信者に関する重要度の情報を有する第6情報を有しており、
前記第3処理部は、前記第5情報及び前記第6情報に基づいて、前記第1装置で選択された待ち呼を前記優先対応キューに移動する、請求項1又は請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
待ち呼の情報を有する第1情報を取得する第1ステップと、
着信履歴の情報を有する第2情報に基づいて、着信呼における数の推移の情報を有する第3情報を生成する第2ステップと、
前記第1情報及び前記第3情報を第1装置に送信する第3ステップと、
優先対応呼設定の要求の情報を有する第4情報及び設定対象の情報を有する第5情報を前記第1装置から受信する第4ステップと、
前記第5情報に基づいて、対象となるACD(Automatic Call Distribution)グループの応答待ちキューにおいて、前記設定対象の情報に関わる待ち呼のうち、待ち呼の先頭から優先対応となる個数の待ち呼を、前記対象となるACDグループの優先対応キューに移動する第5ステップと、を備える処理方法。
【請求項5】
処理装置のコンピューターを、
待ち呼の情報を有する第1情報を取得する第1処理部と、
着信履歴の情報を有する第2情報に基づいて、着信呼における数の推移の情報を有する第3情報を生成する第2処理部と、
前記第1情報及び前記第3情報を第1装置に送信し、優先対応呼設定の要求の情報を有する第4情報及び設定対象の情報を有する第5情報を前記第1装置から受信する第3処理部と、して機能させ、
前記第3処理部に、前記第5情報に基づいて、対象となるACD(Automatic Call Distribution)グループの応答待ちキューにおいて、前記設定対象の情報に関わる待ち呼のうち、待ち呼の先頭から優先対応となる個数の待ち呼を、前記対象となるACDグループの優先対応キューに移動させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コールセンターシステム(コンタクトセンターシステム)の着信呼自動分配機能(ACD(Automatic Call Distribution)機能)では、着信呼は、振り分け先が決まると、順次、対象となる振り分け用のキュー(待ち行列)に積み込まれ、振り分け先のオペレータが受信可能となると、キューから該オペレータに分配されていた。そのため、着信呼数が応答可能なオペレータ数を上回った場合、着信呼はオペレータが応答可能となるまでキューで待機させられることになる。このような仕様のため、発信者からの着信が待たせたくない着信であったとしても、一旦キューに入ると該着信よりも前にキューイングされたすべての着信がオペレータに接続されるまで、又は発信者によって着信が放棄されることでキュー内に待ち呼がなくなるまで、着信を待機させなければならなかった。
【0003】
特許文献1では、待たせたくない着信を迅速に対応できるように、キューに入っている待ち呼リストをオペレータに通知し、オペレータが対応したい待ち呼を指定することにより、該待ち呼をキューから取り出してそのオペレータと接続する方法を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、オペレータが待ち呼を選択して対応する方式では、オペレータの個人判断に依存してしまう。このため、個人対応件数を上げるために対応時間が短そうな顧客ばかり選択したり、クレーマの対応を避けたりする恐れがあり、着信呼への対応が偏り、顧客サービスの低下につながる、という問題があった。また、特許文献1の方式では、コールセンターシステム全体の着信状況や着信傾向を確認した上での対応ができないため、コールセンターシステム全体の稼働効率の低下につながる、という問題があった。
【0006】
上記事情に鑑みて、本発明は、コールセンターシステムの顧客サービスを向上させるとともに、稼働効率を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明は、待ち呼の情報を有する第1情報を取得する第1処理部と、着信履歴の情報を有する第2情報に基づいて、着信呼における数の推移の情報を有する第3情報を生成する第2処理部と、前記第1情報及び前記第3情報を第1装置に送信し、優先対応呼設定の要求の情報を有する第4情報及び設定対象の情報を有する第5情報を前記第1装置から受信する第3処理部と、を備え、前記第3処理部は、前記第5情報に基づいて、対象となるACD(Automatic Call Distribution)グループの応答待ちキューにおいて、前記設定対象の情報に関わる待ち呼のうち、待ち呼の先頭から優先対応となる個数の待ち呼を、前記対象となるACDグループの優先対応キューに移動する、処理装置である。
【0008】
また、本発明は、待ち呼の情報を有する第1情報を取得する第1ステップと、着信履歴の情報を有する第2情報に基づいて、着信呼における数の推移の情報を有する第3情報を生成する第2ステップと、前記第1情報及び前記第3情報を第1装置に送信する第3ステップと、優先対応呼設定の要求の情報を有する第4情報及び設定対象の情報を有する第5情報を前記第1装置から受信する第4ステップと、前記第5情報に基づいて、対象となるACD(Automatic Call Distribution)グループの応答待ちキューにおいて、前記設定対象の情報に関わる待ち呼のうち、待ち呼の先頭から優先対応となる個数の待ち呼を、前記対象となるACDグループの優先対応キューに移動する第5ステップと、を備える処理方法である。
【0009】
また、本発明は、処理装置のコンピューターを、待ち呼の情報を有する第1情報を取得する第1処理部と、着信履歴の情報を有する第2情報に基づいて、着信呼における数の推移の情報を有する第3情報を生成する第2処理部と、前記第1情報及び前記第3情報を第1装置に送信し、優先対応呼設定の要求の情報を有する第4情報及び設定対象の情報を有する第5情報を前記第1装置から受信する第3処理部と、して機能させ、前記第3処理部に、前記第5情報に基づいて、対象となるACD(Automatic Call Distribution)グループの応答待ちキューにおいて、前記設定対象の情報に関わる待ち呼のうち、待ち呼の先頭から優先対応となる個数の待ち呼を、前記対象となるACDグループの優先対応キューに移動させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コールセンターシステムの顧客サービスを向上させるとともに、稼働効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係るコールセンターシステム(コンタクトセンターシステム)のシステム構成を示す図である。
【
図4】管理者端末の画面に表示される待ち呼管理画面の一例である。
【
図5】管理者による待ち呼の一括の優先対応呼設定フローの一例である。
【
図6】第2実施形態に係る、用件の待ち呼詳細画面の一例である。
【
図7】管理者による個別待ち呼の優先対応呼設定フローの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、参照する図面において、本発明を構成する部材の寸法は、説明を明確にするために誇張して表現されている場合がある。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0013】
[第1実施形態]
<構成>
図1は、第1実施形態に係るコールセンターシステム(コンタクトセンターシステム)のシステム構成を示す図である。
図1において、顧客電話機1は、顧客が使用する外線電話機である。顧客電話機1は、公衆網2に接続されており、公衆網2に接続されているコールセンターシステム10に電話をかけることができる。顧客電話機1は、
図1に示すように1つでもよいし、複数でもよい。
【0014】
コールセンターシステム10は、公衆網2に接続されているGW3(ゲートウェイ装置)と、コールセンターサーバ100(コンタクトセンタサーバ100)と、管理者端末200と、複数のオペレータ端末300とを備えている。管理者端末200は複数であってもよい。オペレータ端末300は1つであってもよい。GW3と、コールセンターサーバ100と、オペレータ端末300は、コールセンターシステム10内の通信網4に接続されている。通信網4は、LAN(Local Area Network)であってもよいし、IP(Internet Protocol)網であってもよい。
【0015】
コールセンターサーバ100(コンタクトセンタサーバ100)と、管理者端末200と、オペレータ端末300は、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、ハードディスクなどの記憶手段(記憶部)と、ネットワークインタフェースとを有するコンピューターとして構成される。このコンピューターは、CPUが、メモリ上に読み込んだプログラムを実行することにより、各種機能が実現される。
【0016】
GW3は、顧客電話機1とコールセンターシステム10とを公衆網2を介して接続する装置である。GW3は、公衆網2と通信網4との間に配置される変換装置として機能する。GW3は、公衆網2側の信号(音声信号を含む)と通信網4側の信号(音声信号を含む)との間のメディア変換を行うことができる。
【0017】
(コールセンターサーバ100)
コールセンターサーバ100は、電話応対業務に関する処理を行う装置である。コールセンターサーバ100は、通信処理部101と、IVR処理部102と、呼制御処理部103と、キュー制御部104と、応答待ちキュー105と、優先対応キュー106と、着呼数推移データ生成部107と、着信履歴データ格納部108と、顧客情報データ格納部109と、を備えている。
【0018】
通信処理部101は、コールセンターサーバ100におけるデータの送受信処理を行う。
IVR処理部102は、通信処理部101を介して公衆網2に接続しており、音声通話の着信に対して自動で応答する自動音声応答(Interactive Voice Response)システムとして機能する。具体的には、IVR処理部102は、顧客電話機1から着信した電話番号に応じて、予め決められたロジックに従って用意された応答音声を再生することにより、顧客にダイヤル操作を促し、顧客によるダイヤル操作によって、用件内容情報(1又は複数回のダイヤル操作ごとに紐づけられた用件内容を示す情報)などを顧客から取得すると、取得した情報に従って呼制御処理部103に音声通話を引き継ぐ。
【0019】
呼制御処理部103は、顧客電話機1からの着信を適切なオペレータに自動的に分配するACD(Automatic Call Distribution)機能を有する。ACD機能では、複数のオペレータ端末300を1つのグループ(以下、「ACDグループ」と呼ぶ場合がある)とし、これに1つ以上の着信番号を割り当てる。着信番号は、着信呼を分類するための識別子であって、例えば、IVRによる用件内容の分類に整合させることができる。よって、各ACDグループに属するオペレータ(オペレータ端末300)に応対してもらう用件の種類を絞り込むことができる。当該着信番号に対する着信呼が発生した場合には、上記ACDグループ内のオペレータ端末300に対して着信を行う。着信可能なオペレータ端末300がない場合(例:着信番号に対応するACDグループに属するすべてのオペレータ端末300がすでに応答中であった場合)、当着信呼を該当ACDグループの応答待ちキュー105に入れる(キューイング)。着信可能な(待機中の)オペレータ端末300を検知した場合、呼制御処理部103は、キュー制御部104を介して、優先対応キュー106と応答待ちキュー105にキューイングされた着信呼を取り出し、検知したオペレータ端末300に着信する。
呼制御処理部103は、着信呼を受け取った後、該着信呼に対応する着信呼情報を生成する。着信呼情報は、GW3から通知された発信者番号(例:顧客電話機1の電話番号やダイヤルイン番号)、IVR処理部102から通知された用件内容情報と、発信者番号に関連付けられた付加情報とを含む。付加情報は、予め顧客情報データ格納部109に保持されており、電話番号をキーとして該テーブル(
図3参照)から検索される。
さらに、呼制御処理部103は、着信時刻、着信呼情報に含まれる発信者番号、着信先ACDグループ、用件(用件内容)を着信履歴データとして、着信履歴データ格納部108に書き込む(後述の
図2を参照)。
【0020】
キュー制御部104は、応答待ちキュー105と優先対応キュー106を制御する。キュー制御部104は、呼制御処理部103からの指令に応じて、応答待ちキュー105や優先対応キュー106にアクセスし、着信呼情報の書き込みや取り出しを行う機能を備える。また、キュー制御部104は、管理者端末200からの要求に応じて着信呼情報の参照や、管理者によって優先対応呼と指定された着信呼(待ち呼)を応答待ちキュー105から優先対応キュー106に移動する機能を備える。キュー制御部104は、呼制御処理部103から着信呼(待ち呼)の取り出し指令を受け取った際、まず、優先対応キュー106にアクセスし先頭から着信呼(待ち呼)を取り出す。キュー制御部104は、優先対応キュー106に着信呼(待ち呼)がない場合、応答待ちキュー105にアクセスし、先頭から着信呼(待ち呼)を取り出す。
【0021】
応答待ちキュー105は、顧客電話機1からの着信呼の着信呼情報を保持する待ち行列機能を提供する。応答待ちキュー105は、(
図1中符号G1、G2,G3・・・で示される)ACDグループ毎に存在する。着信先ACDグループに応答可能なオペレータ端末300がない場合において、新たな着信呼があったとき、呼制御処理部103は、キュー制御部104を用いて、当該着信呼の着信呼情報を、対応するACDグループ(当該着信呼の着信番号が割り当てられ、当該着信呼が分配されるように決められたACDグループ)の応答待ちキュー105に積み込む(保持する)。
【0022】
優先対応キュー106は、応答待ちキュー105から移動された着信呼情報を保持する待ち行列機能を提供する。優先対応キュー106は、応答待ちキュー105毎に存在する。つまり、優先対応キュー106は、(
図1中符号G1、G2,G3・・・で示される)ACDグループ毎に存在する。キュー制御部104は、任意のACDグループの応答待ちキュー105に保持されている着信呼情報を、所定条件下、同じACDグループの優先対応キュー106に移動する。
【0023】
着呼数推移データ生成部107は、着信履歴データ格納部108に格納された着信履歴データを集計し、所定期間(例えば90分)における各ACDグループの各用件内容について、単位時間(例えば5分)毎の着呼数を着呼数推移データとして生成する。
【0024】
着信履歴データ格納部108は、着信呼の発信者番号、着信時刻、着信先ACDグループ、用件内容を関連付けた着信履歴データを格納する。
図2は、着信履歴データの一例を示す。着信履歴データは、例えば、
図2に示すように、当該着信呼が呼制御処理部103に着信した時刻を示す着信時刻601と、発信者(顧客電話機1)の電話番号を示す発信者番号602と、当該着信呼の着信先(分配先)となるACDグループを示す着信先ACDグループ603と、IVR処理部102により顧客(顧客電話機1)から入力された用件内容を示す用件604を含む。着信履歴データが備える情報は、着信時刻601、発信者番号602、着信先ACDグループ603、用件604に限定されない。
【0025】
顧客情報データ格納部109は、着信呼の発信者番号、発信者の氏名、付加情報を関連付けた顧客情報データを格納する。
図3は、顧客情報データの一例を示す。顧客情報データは、例えば、
図3に示すように、発信者(顧客電話機1)の電話番号を示す発信者番号801と、発信者の氏名を示す氏名802と、発信者の情報(重要度など)を示す付加情報803を含む。重要度は、発信者をランク分けする指標であり、重要度の大きい順に、A,B,C,・・・とラベリングできる。例えば、緊急度の高い用件を問い合わせる発信者の場合、重要度を大きくする。
【0026】
(管理者端末200)
図1に戻って、管理者端末200は、電話応対業務の管理者が使用する装置である。管理者端末200は、例えば、パーソナルコンピュータやスマートホンとすることができるが、これに限定されない。管理者端末200は、通信処理部201と、操作入力部202と、表示出力部203と、待ち呼情報表示部204と、優先対応呼設定部205と、を備えている。
【0027】
通信処理部201は、管理者端末200におけるデータの送受信処理を行う。
操作入力部202は、マウスやキーボードなどの入力手段を介して管理者からの指示の入力を受け付ける。
表示出力部203は、各種データを映像信号に変換して管理者端末200のディスプレイに出力する。
【0028】
待ち呼情報表示部204は、操作入力部202を介して管理者から待ち呼表示要求を受け付けた場合、コールセンターサーバ100に待ち呼情報の取得要求を送信する。待ち呼情報は、応答待ちキュー105に保持されている着信呼情報を解析して得られる情報であり、例えば、対象の待ち呼が分配されることになるACDグループ、対象の待ち呼の用件内容情報、待ち呼数を含むが、これらに限定されない。また、待ち呼情報表示部204は、コールセンターサーバ100から受信した待ち呼情報および着呼数推移データを解析して、各ACDグループの用件毎の待ち呼数を集計するとともに、着呼数推移データを解析して各ACDグループの用件毎の着呼数推移グラフを生成する。また、待ち呼情報表示部204は、生成した着呼数推移グラフを含む待ち呼管理画面400の画像データを生成し、表示出力部203を介して画面に表示する。
【0029】
図4に、管理者端末の画面に表示される待ち呼管理画面の一例を示す。待ち呼管理画面400は、例えば、
図4に示すように、各ACDグループの用件毎の待ち呼数と着信呼数推移状況を表示するために管理者がクリックするボタンを示す着信状況表示ボタン401と、優先対応呼を設定するために管理者がクリックするボタンを示す優先対応呼設定ボタン402と、ACDグループの識別子を示すグループ欄403と、着信呼の用件内容(用件内容情報から取得可能)を示す用件欄404と、該当用件の待ち呼の数を示す待ち呼数欄405と、該当用件の一定期間(例えば90分)における着信呼数の単位時間(例えば5分)の推移状況を示す着呼数推移状況欄406と、管理者の設定によって、該当用件の待ち呼を優先対応するか否かを、チェックボックスへのチェックの有無で示す優先対応欄407と、優先対応した場合(チェックボックスへのチェックが有る場合)、該当用件の待ち呼数の何割を優先対応呼にするか設定するために管理者が入力する値(割合)を示す割合欄408とを含む。
【0030】
グループ欄403が示すACDグループ毎、かつ、用件欄404が示す用件内容毎に、待ち呼数欄405、着呼数推移状況欄406、優先対応欄407、及び割合欄408の値がそれぞれ関連付けられる。また、用件欄404は、該当用件の待ち呼詳細画面700を表示するために管理者がクリックするリンクとして機能する(後述の
図6参照)。管理者は、待ち呼管理画面400で表示された各用件の待ち呼数と着呼数推移状況を確認することで、どの用件の待ち呼を優先対応呼にするか判断し、必要に応じて優先対応呼設定を行う(チェックボックスにチェックを入れ、割合を入力する)。
【0031】
図1に戻って、優先対応呼設定部205は、管理者から優先対応呼設定要求を受け付けた場合(優先対応呼設定ボタン402が押された場合)、優先対応呼設定対象に選択された(チェックボックスにチェックが入った)用件の優先対応呼設定の割合欄408の入力値(割合)に基づいて優先対応呼の個数を算出し、コールセンターサーバ100に送信する。また、優先対応呼設定部205は、該優先対応呼設定対象の、ACDグループ(グループ欄403参照)、用件(用件欄404)、及び待ち呼個数(待ち呼数欄405参照)を集計し、コールセンターサーバ100に送信する。例えば、
図4に示すように、ACDグループ「G1」の「新規契約」の用件(待ち呼数:10件)については、優先対応呼に設定し、割合:50%が入力された場合、優先対応呼設定部205は、5(=10×50/100)件を優先対応呼に設定し、当該設定をコールセンターサーバ100に要求する。
【0032】
(オペレータ端末300)
オペレータ端末300は、電話応対業務に従事するオペレータが使用する装置であり、外線又は内線による、着信又は発信などの呼制御機能や、呼の音声通話機能を提供する。オペレータ端末300は、例えば、パーソナルコンピュータやスマートホン、電話機とすることができるが、これらに限定されない。
【0033】
<処理>
次に、第1実施形態の処理について説明する。
図5は、管理者による待ち呼の一括の優先対応呼設定フローの一例である。まず、管理者端末200は、待ち呼情報表示部204において、操作入力部202を介して入力された管理者の操作指示(待ち呼管理画面400の着信状況表示ボタン401をクリックする)を待ち呼表示要求として受け付ける(ステップS501)。次に、管理者端末200は、操作指示に従って、待ち呼表示要求をコールセンターサーバ100に送信する(ステップS502)。
【0034】
次に、コールセンターサーバ100は、管理者端末200から待ち呼表示要求を受信すると、キュー制御部104を介して、各ACDグループの応答待ちキュー105にある待ち呼情報を取得する(ステップS503)。次に、コールセンターサーバ100は、着呼数推移データ生成部107において、着信履歴データ格納部108に格納された着信履歴データから、着呼数推移データ(各ACDグループの用件毎の単位時間当たりの着信呼数の一覧データ)を生成する(ステップS504)。次に、コールセンターサーバ100は、取得した待ち呼情報(ACDグループ、用件内容情報、待ち呼数を含む)及び着呼数推移データを管理者端末200に送信する(ステップS505)。
【0035】
次に、管理者端末200は、待ち呼情報表示部204にて、コールセンターサーバ100から受信した待ち呼情報を解析して各ACDグループの用件毎の待ち呼数を集計する(ステップS506)。また、管理者端末200は、待ち呼情報表示部204にて、コールセンターサーバ100から受信した着呼数推移データを解析して各ACDグループの用件毎の着呼数推移グラフを生成する(ステップS507)。次に、管理者端末200は、待ち呼情報表示部204にて、集計された待ち呼数、及び生成された着呼数推移グラフを含めた待ち呼管理画面400を、表示出力部203を介して画面に表示する(ステップS508)。
【0036】
次に、管理者端末200は、優先対応呼設定部205において、操作入力部202を介して入力された管理者の操作指示(待ち呼管理画面400の優先対応呼設定ボタン402をクリックする)を優先対応呼設定要求として受け付ける(ステップS509)。次に、管理者端末200は、操作指示に従って、優先対応呼設定情報を生成する(ステップS510)。優先対応呼設定情報は、管理者の操作より選択された優先対応呼設定対象となる、ACDグループ、用件内容情報、待ち呼個数、及び優先対応の割合値に基づいて算出された優先対応呼の個数、を含む。次に、管理者端末200は、優先対応呼設定部205において、優先対応呼設定要求及び優先対応呼設定情報をコールセンターサーバ100に送信する(ステップS511)。
【0037】
次に、コールセンターサーバ100は、管理者端末200から優先対応呼設定要求を受信すると、キュー制御部104を介して、対象ACDグループの応答待ちキュー105にアクセスし、優先対応呼に設定された待ち呼を優先対応キュー106に移動する(ステップS512)。具体的には、優先対応呼として、設定対象用件と一致する待ち呼を先頭から、優先対応個数分を優先対応キュー106に移動する。
【0038】
その後、コールセンターサーバ100は、対象のACDグループに属し、かつ、着信可能となったオペレータ端末300に対して、優先対応キュー106から取り出した待ち呼を分配する(ステップS513)。また、コールセンターサーバ100は、対象のACDグループに属し、かつ、着信可能となったオペレータ端末300に対して、応答待ちキュー105から取り出した待ち呼を分配する(ステップS514)。なお、優先対応キュー106の先頭から待ち呼の取り出しが行われ、優先対応キュー106の待ち呼がすべて分配された後、応答待ちキュー105の先頭から待ち呼の取り出しが行われ、分配される。
【0039】
<効果>
第1実施形態によれば、コールセンターサーバ100にてACDグループ毎の応答待ちキュー105と別に、優先対応キュー106が設けられ、優先対応キュー106にある待ち呼は応答待ちキュー105より優先的にオペレータ端末300に分配される。このため、管理者端末200の操作で各ACDグループの用件毎の待ち呼を優先対応呼に指定することによって、対象の待ち呼を応答待ちキュー105から優先対応キュー106に移動し、優先的にオペレータ端末300に接続させることができる。つまり、待ち呼の着信順位を変更できる。
【0040】
また、管理者端末200の待ち呼管理画面400にて、各ACDグループの用件毎の待ち呼情報および着呼数推移状況を表示することにより、管理者がコールセンタ全体の稼働状況や着信傾向を確認した上で、待ち呼の優先対応設定をすることができる。その結果、コールセンタ全体の稼働効率を向上することができる。
また、待ち呼の優先対応設定において、既存の待ち呼数の優先対応割合を設定することによって、オペレータによる着信呼への対応の偏りを低減した柔軟な運用が可能となり、コールセンタ全体の顧客サービスを向上させることができる。
【0041】
[第2実施形態]
第2実施形態の説明の際、第1実施形態と重複する説明は省略し、相違点について説明する。第2実施形態は、優先対応呼に設定できる待ち呼を着信呼1つ1つ個別に行うことができる点で、第1実施形態と異なる。
【0042】
図6に、第2実施形態に係る、用件の待ち呼詳細画面の一例を示す。
図4の待ち呼管理画面400において、用件欄404中に示されるリンク付きの用件を管理者がクリックすると、
図6に示すように、該当用件の待ち呼詳細画面700が管理者端末200に表示される。用件の待ち呼詳細画面700は、例えば、
図6に示すように、優先対応呼を設定するために管理者がクリックするボタンを示す優先対応呼設定ボタン701と、着信呼の用件内容(用件内容情報から取得可能)を示す用件欄702と、対象のACDグループに用意された応答待ちキュー105での接続順番(応答待ちキュー105への積み込まれ順)を示す接続順番欄703と、発信者の電話番号を示す発信者番号欄704と、発信者の氏名を示す氏名欄705と、呼制御処理部103に着信した時刻を示す着信時刻欄706と、着信した時点から経過した時間を示す待ち経過時間欄707と、顧客の重要度の情報を示す付加情報欄708と、管理者の設定によって、該当用件の待ち呼を優先対応する否かを、チェックボックスへのチェックの有無で示す優先対応欄709を含む。
【0043】
優先対応呼設定ボタン701は、優先対応呼設定ボタン402(
図4)と同じである。
用件欄702は、待ち呼管理画面400(
図4)の用件欄404に対応している。発信者番号欄704は、顧客情報データ(
図3)の発信者番号801に対応している。氏名欄705は、顧客情報データ(
図3)の氏名802に対応している。着信時刻欄706は、着信履歴データ(
図2)の着信時刻601に対応している。付加情報欄708は、顧客情報データ(
図3)の付加情報803に対応している。
【0044】
例えば、
図6に示すように、接続順番欄703の接続順番が「5」の待ち呼について、管理者が当該待ち呼の緊急性に鑑みて、当該待ち呼を優先対応呼に選択した(チェックボックスにチェックが入った)とする。この場合、優先対応呼設定部205は、接続順番が「5」の待ち呼を優先対応呼に設定し、当該設定をコールセンターサーバ100に要求する。
【0045】
<処理>
次に、第2実施形態の処理について説明する。
図7は、管理者による個別待ち呼の優先対応呼設定フローの一例である。説明の便宜上、
図5のフローのステップ501~S508の処理がなされたとする。
【0046】
次に、操作入力部202を介して入力された管理者の操作指示により、待ち呼管理画面400の用件欄404に示されたリンクが選択的にクリックされると、管理者端末200は、待ち呼情報表示部204にて、選択された用件の待ち呼詳細画面700を、表示出力部203を介して画面に表示する(ステップS901)。
【0047】
次に、管理者端末200は、優先対応呼設定部205において、操作入力部202を介して入力された管理者の操作指示(用件の待ち呼詳細画面700の優先対応呼設定ボタン701をクリックする)を優先対応呼設定要求として受け付ける(ステップS902)。次に、管理者端末200は、操作指示に従って、優先対応呼リストを生成する(ステップS903)。優先対応呼リストは、管理者の操作より選択された1又は複数の優先対応呼について、当該優先対応呼が分配されるACDグループ(グループ欄403から判定可能)、管理者が選択した用件、及び選択した用件に該当する待ち呼群における接続順番(接続順番欄703から判定可能)、を含む。優先対応呼リストは、優先対応呼設定対象から着信呼を個別に絞り込んだものに相当する。次に、管理者端末200は、優先対応呼設定部205において、優先対応呼設定要求及び優先対応呼リストをコールセンターサーバ100に送信する(ステップS904)。
【0048】
次に、コールセンターサーバ100は、管理者端末200から優先対応呼設定要求を受信すると、キュー制御部104を介して、対象ACDグループの応答待ちキュー105にアクセスし、優先対応呼リストに該当する待ち呼を優先対応キュー106に移動する(ステップS905)。具体的には、優先対応欄709(
図6)にてチェックが入った待ち呼を、接続順番の小さい順から優先対応キュー106に移動する。その後、
図5のステップS513,S514と同様、優先対応キュー106から取り出した待ち呼の分配、応答待ちキュー105から取り出した待ち呼の分配が行われる。
【0049】
<効果>
第2実施形態によれば、管理者端末200の、用件の待ち呼詳細画面700において、待ち呼の発信者情報(顧客情報データ)を表示し、管理者が発信者情報を確認した上で、優先対応呼を設定することができる。よって、該当待ち呼はコールセンターサーバ100の応答待ちキュー105から優先対応キュー106に移動され、優先的にオペレータ端末300に接続させることができる。これにより、オペレータの判断に依存せず、緊急対応が必要な顧客の着信呼を迅速に(優先的に)対応することができる。
【0050】
[特許請求の範囲との関係]
キュー制御部104は、特許請求の範囲の「第1処理部」、「第2処理部」、「第3処理部」の具体例である。
待ち呼情報は、特許請求の範囲の「第1情報」の具体例である。
着信履歴データは、特許請求の範囲の「第2情報」の具体例である。
着呼数推移データは、特許請求の範囲の「第3情報」の具体例である。
優先対応呼設定要求は、特許請求の範囲の「第4情報」の具体例である。
優先対応呼設定対象は、特許請求の範囲の「第5情報」の具体例である。
付加情報は、特許請求の範囲の「第6情報」の具体例である。
【0051】
[変形例]
(a):第1実施形態では、自動音声応答(Interactive Voice Response)システムによって、着信呼が用件内容毎に分類され、管理者端末200の待ち呼管理画面400では、用件(内容)毎に待ち呼数が表示されていた。しかし、自動音声応答(Interactive Voice Response)システムがないコールセンターシステム(コンタクトセンターシステム)であって、着信呼が用件内容ごとに分類されなかったとしても、管理者端末200の待ち呼管理画面400で待ち呼数を表示してもよい。つまり、ACDグループ毎の待ち呼数を表示してもよい。特に、第1実施形態では、用件(内容)毎に待ち呼数を表示する場合において、優先対応呼として、設定対象用件と一致する待ち呼を先頭から、優先対応個数分を優先対応キュー106に移動するようにした。しかし、着信呼が用件内容ごとに分類されなかったとしても、待ち呼を先頭から、優先対応個数分を優先対応キュー106に移動するようにしてもよい。また、優先対応呼として、設定対象用件と一致する待ち呼を先頭からでなく、例えばランダムに選択した優先対応個数分を優先対応キュー106に移動するようにしてもよい。このとき、着信呼の用件内容ごとの分類の有無を問わない。
(b)第2実施形態では、自動音声応答(Interactive Voice Response)システムによって、用件内容毎に分類された着信呼からさらに着信呼を個別に選択して優先対応呼としていた。しかし、個別の優先対応呼の設定は、自動音声応答(Interactive Voice Response)システムによる用件内容の分類なしで行ってもよい。
【0052】
(c):上記した発明特定事項は、適宜組み合わせ可能である。
(d):ソフトウェアで実現可能な手段をハードウェアで実現することができ、ハードウェアで実現可能な手段をソフトウェアで実現することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 顧客電話機
2 公衆網
3 GW
4 通信網
10 コールセンターシステム
100 コールセンターサーバ
101 通信処理部
102 IVR処理部
103 呼制御処理部
104 キュー制御部
105 応答待ちキュー
106 優先対応キュー
107 着呼数推移データ生成部
108 着信履歴データ格納部
109 顧客情報データ格納部
200 管理者端末
201 通信処理部
202 操作入力部
203 表示出力部
204 待ち呼情報表示部
205 優先対応呼設定部
300 オペレータ端末