(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029926
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】容器用蓋
(51)【国際特許分類】
B65D 47/06 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
B65D47/06 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132396
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154405
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 大吾
(74)【代理人】
【識別番号】100079005
【弁理士】
【氏名又は名称】宇高 克己
(72)【発明者】
【氏名】相馬 克彦
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 全克
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AA34
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB13
3E084FA02
3E084FC01
3E084GA06
3E084GB06
3E084KA06
(57)【要約】
【課題】開口動作の操作性を向上できる容器用蓋を提供する。
【解決手段】本願蓋は、蓋天面11と、蓋天面周縁に設けられ容器開口縁に嵌合される蓋側嵌合部14と、蓋天面周縁に設けられ、下唇が接する飲み口19と、飲み口と対応するように、蓋天面に設けられる開口部22と、開口部の内端部側に設けられた回動軸23と、回動軸を介して開口部を開閉可能とする開口弁24と、内容物側から非内容物側に突出するよう開口弁に設けられ、上唇が接する上唇当接部27と、を備える。上唇当接部27の幅は回動軸23の長さより広い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋天面と、
前記蓋天面周縁に設けられ容器開口縁に嵌合される蓋側嵌合部と、
前記蓋天面周縁に設けられ、下唇が接する飲み口と、
前記飲み口と対応するように、前記蓋天面に設けられる開口部と、
前記開口部の内端部側に設けられた回動軸と、
前記回動軸を介して前記開口部を開閉可能とする開口弁と、
内容物側から非内容物側に突出するよう前記開口弁に設けられ、上唇が接する上唇当接部と、
を備え、
前記上唇当接部の幅は前記回動軸の長さより広い
ることを特徴とする容器用蓋。
【請求項2】
前記回動軸の直交方向において、前記蓋天面の本体部から前記開口弁まで連続し、
前記回動軸の平行方向において、前記蓋天面の本体部と前記開口弁とを繋ぐ繋ぎ部と、前記繋ぎ部の両端に形成される切断部とを有する
ことを特徴とする請求項1記載の容器用蓋。
【請求項3】
前記上唇当接部の幅は前記回動軸の長さに対し2倍以上である
ことを特徴とする請求項1記載の容器用蓋。
【請求項4】
前記開口部は前記飲み口より-6~0mmの位置に設けられ、
前記上唇当接部の頂部が前記飲み口より-2~+6mmの位置となるように設けられる
ことを特徴とする請求項1記載の容器用蓋。
【請求項5】
前記開口部の左右端に沿って立設されるガイド壁と
を備えることを特徴とする請求項1記載の容器用蓋。
【請求項6】
前記開口弁の回動に伴って開閉する香窓部と
を備えることを特徴とする請求項1記載の容器用蓋。
【請求項7】
前記開口部の内端側に前記回動軸を挟んで連設される香窓部と、
前記回動軸を介して前記香窓部を開閉可能とする香窓弁と、
前記開口弁と前記香窓弁とに連続する柱と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の容器用蓋。
【請求項8】
前記開口弁の内端側に切り込むように設けられる香窓部と、
前蓋天面の本体部から前記回動軸を跨いで突出し、前記香窓部と対応するように設けられる固定弁と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の容器用蓋。
【請求項9】
蓋天面と、
前記蓋天面周辺から下方に延設される蓋側面と、
前記蓋側面の下部に設けられ容器開口縁に嵌合される蓋側嵌合部と、
前記蓋天面周縁に設けられ、下唇が接する飲み口と、
前記飲み口と対応するように、前記蓋天面に設けられる開口部と、
前記開口部の内端部側に設けられた回動軸と、
前記回動軸を介して前記開口部を開閉可能とする開口弁と、
内容物側から非内容物側に突出するよう前記開口弁に設けられ、上唇が接する上唇当接部と、
を備え、
前記上唇当接部の幅は前記回動軸の長さより広い
ることを特徴とする容器用蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体等が収容される容器に嵌合される蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
液状である飲料は毀れやすいため、容器に蓋をして提供されることが多い。例えば、飲食店等では持ち帰り用や配達用に、蓋付容器を用いる。
【0003】
容器は基本構成として、底部と、底部から立設される胴部と、胴部上端に形成されるフランジ部とを備える。蓋は基本構成として、容器開口部に対応する蓋天面と、容器フランジ部に対応する蓋側嵌合部とを備える。容器は紙製であることが多いが、特に材質は特定されない。蓋は樹脂製であることが多いが、特に材質は特定されない。
【0004】
近年、環境配慮の観点からストロー使用せずに直接飲料を飲むことができるようにした飲料容器用蓋が提案されている(例えば特許文献1)。
【0005】
従来型に多くみられる参考例において、蓋天面に開口部と回動自在に開口部を開閉する突起付小蓋と、開状態において反転した小蓋の突起を係合保持する係合溝が設けられている。
【0006】
従来型蓋には大別して、低蓋型(
図13A参照)と高蓋型(
図13B参照)がある。便宜的に、蓋側嵌合位置と同程度の高さまたはそれ以下に天面位置がある場合、低蓋型と分類し、蓋側嵌合位置から明確に高い位置に天面位置がある場合、高蓋型と分類する。
【0007】
低蓋型は、蓋天面11と、蓋天面周縁に設けられ容器開口縁に嵌合される蓋側嵌合部14と、蓋側嵌合部14から下方に延設される周状スカート部15とを備える。蓋天面周縁には開閉機構16が設けられている。開閉機構16を開状態とし、下唇を蓋側嵌合部14から周状スカート部15付近に当接させると、飲用可能となる。当該範囲を飲み口19とする。
【0008】
高蓋型は、蓋天面11と、蓋天面周縁から立設される周縁凸部12と、蓋天面周辺から下方に延設される蓋側面13と、蓋側面13の下部に設けられ容器開口縁に嵌合される蓋側嵌合部14と、蓋側嵌合部14から下方に延設される周状スカート部15とを備える。蓋天面周縁には開閉機構16が設けられている。開閉機構16を開状態とし、下唇を周縁凸部12から蓋側面13付近に当接させると、飲用可能となる。当該範囲を飲み口19とする。
【0009】
従来のストロー不要型では低蓋型も高蓋型もストロー挿入型と比べて長所と短所がある。
【0010】
ストロー不要となる点では環境負荷低減となる。一方で、樹脂製である場合、ストロー不要型はストロー挿入型と比べて樹脂使用量が多くなり、蓋自体では環境負荷となる。
【0011】
ストロー挿入型におけるストロー挿入動作に比べて、ストロー不要型における突起付小蓋のリフトアップ操作および係合保持動作には慣れやコツが必要である。子供やお年寄りや手先が不自由な弱者にとっては、操作性に課題がある。
【0012】
ストロー不要型では、容器を傾けて飲むため、蓋の各所において残液が発生する。ストロー不要型では、容器を傾けて飲むため、コールド飲料の場合、開口から氷が出てくることがある。
【0013】
ストロー不要型においてゴクゴク飲みたい場合は、開口を大きくする。その結果、小さな振動でも毀れ易くなる。氷もさらに出やすくなる。大きな開口から埃や虫が侵入する恐れがある。
【0014】
一方、大きな開口から香りを楽しむことができる。
【0015】
また、低蓋型と高蓋型とを比べても長所と短所がある。なお、コーヒーなどホット飲料には高蓋型が用いられることが多い。
【0016】
高蓋型では、液面までの距離が遠くなり、毀れ難くなる。当該距離によりホット飲料の熱さを確認しつつ飲用できる。高蓋型では、下唇当接位置が周状スカート部下端端面から離れることにより、端面による唇切断リスクを抑制できる。高蓋型では、高さの分、材料厚みを上げる必要があり、その結果、高剛性となり、開閉機構が適正に作動する(開けやすい)。
【0017】
低蓋型では、容器と飲み口の位置を近接出来る構造の為、比較的残液発生を抑制できる。低蓋型では、構成が簡素なため、薄肉にしやすく、環境負荷低減となる。低蓋型では、液面までの距離が近くなり、香りをさらに楽しむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従来型蓋は、リフトアップ操作および係合保持動作に慣れやコツが必要であり、操作性に課題がある。開口を閉じる動作も同様である。
【0020】
従来型蓋において香りを楽しむためには大きな開口が必要であり、開口を大きくしたことに伴う不具合が発生する。
【0021】
本発明は上記課題を解決するものであり、開口動作等の操作性を向上できる容器用蓋を提供することを目的とする。
【0022】
本発明は上記課題を解決するものであり、飲用時に香りを楽しむことのできる容器用蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するための本発明の容器用蓋は、蓋天面と、前記蓋天面周縁に設けられ容器開口縁に嵌合される蓋側嵌合部と、前記蓋天面周縁に設けられ、下唇が接する飲み口と、前記飲み口と対応するように、前記蓋天面に設けられる開口部と、前記開口部の内端部側に設けられた回動軸と、前記回動軸を介して前記開口部を開閉可能とする開口弁と、内容物側から非内容物側に突出するよう前記開口弁に設けられ、上唇が接する上唇当接部と、を備える。前記上唇当接部の幅は前記回動軸の長さより広い。
【0024】
上唇押圧動作により開口弁は回動し飲用可能となる。このとき上唇当接部の幅は回動軸の長さより広いことにより、僅かな上唇の動作で回動する。
【0025】
上記発明において好ましくは、前記回動軸の直交方向において、前記蓋天面の本体部から前記開口弁まで連続し、前記回動軸の平行方向において、前記蓋天面の本体部と前記開口弁とを繋ぐ繋ぎ部と、前記繋ぎ部の両端に形成される切断部とを有する。
【0026】
繋ぎ部の両端が切断されていることにより、回動軸の長さが短くなり、回動しやすい。繋ぎ部において本体部から開口弁まで連続することにより弾性が残る。これにより、上唇押圧動作解除により、開口弁は閉じる。
【0027】
上記発明において好ましくは、前記上唇当接部の幅は前記回動軸の長さに対し2倍以上である。
【0028】
これにより、回動しやすい。
【0029】
上記発明において好ましくは、前記開口部は前記飲み口より-6~0mmの位置に設けられ、前記上唇当接部の頂部が前記飲み口より-2~+6mmの位置となるように設けられる。
【0030】
これにより、飲用者の上唇が上唇当接部に当接する。
【0031】
上記発明において好ましくは、前記開口部の左右端に沿って立設されるガイド壁とを備える。
【0032】
ガイド壁は、飲用時の液だれが蓋天面11内に回ってしまうのを抑制するものであるが、結果的に開口部周りの剛性を高め、回動を滑らかにする。
【0033】
上記発明において好ましくは、前記開口弁の回動に伴って開閉する香窓部とを備える。
【0034】
これにより、飲用時に香りを楽しむことができる。
【0035】
上記発明において好ましくは、前記開口部の内端側に前記回動軸を挟んで連設される香窓部と、前記回動軸を介して前記香窓部を開閉可能とする香窓弁と、前記開口弁と前記香窓弁とに連続する柱と、を備える。
【0036】
これにより、開口弁の回動に伴って香窓部は開閉する。
【0037】
上記発明において好ましくは、前記開口弁の内端側に切り込むように設けられる香窓部と、前蓋天面の本体部から前記回動軸を跨いで突出し、前記香窓部と対応するように設けられる固定弁と、を備える。
【0038】
これにより、開口弁の回動に伴って香窓部は開閉する。
【0039】
上記目的を達成するための本発明の容器用蓋は、蓋天面と、前記蓋天面周辺から下方に延設される蓋側面と、前記蓋側面の下部に設けられ容器開口縁に嵌合される蓋側嵌合部と、前記蓋天面周縁に設けられ、下唇が接する飲み口と、前記飲み口と対応するように、前記蓋天面に設けられる開口部と、前記開口部の内端部側に設けられた回動軸と、前記回動軸を介して前記開口部を開閉可能とする開口弁と、内容物側から非内容物側に突出するよう前記開口弁に設けられ、上唇が接する上唇当接部と、を備える。前記上唇当接部の幅は前記回動軸の長さより広い。
【0040】
本願発明は低蓋型にも適用できるが、高蓋型にも適用できる。
【発明の効果】
【0041】
本発明の容器用蓋は、煩雑な操作を要せず開口でき、飲用時以外は開口を閉じることができる。
【0042】
本発明の容器用蓋は、飲用時に香りを楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【発明を実施するための形態】
【0044】
~第1実施形態構成~
図1は第1実施形態の全体構成斜視図であり、
図2は全体構成断面図である。蓋は、蓋天面11と、蓋側嵌合部14と、周状スカート部15とを備える。
【0045】
蓋天面11は略すり鉢状であり中央に向かって曲面を形成しながら低くなる。中央が低いと容器を傾けた時に天面が鼻に当たりにくくなる。また、略環状の突起を有する。複数の蓋が積層されたとき、略環状の突起は蓋同士が過度に密着することを抑制する。蓋天面11は中央に位置する本体部と周縁に位置する周縁部とからなる。
【0046】
蓋側嵌合部14は、蓋天面周縁から立設される。蓋側嵌合部14において、内壁部と天部と外壁部とが門型形状を構成し、門型形状内部空間に容器フランジ(容器開口縁)が挿入され、嵌合状態となる。
【0047】
蓋天面11は原則として蓋側嵌合部14天部より低い位置にあり、低蓋型に分類される。
【0048】
周状スカート部15は蓋側嵌合部14の外壁部から下方に延設される。
【0049】
蓋側嵌合部14の天部から外壁部にかけて(場合によっては周状スカート部15を一部含む)、飲用者の下唇が接する飲み口19とする(
図5参照)。
【0050】
蓋天面11には飲み口19と対応するように開閉機構17が設けられている。
【0051】
図3は第1実施形態の要部平面図であり、
図4は要部断面図である。開閉機構17は本実施形態における要部である。
【0052】
蓋天面11の本体部には一段高い位置に開口部形成面21が形成され、開口部形成面21に開口部22が形成される。開口部22は、蓋内(内容物側)と蓋外(非内容物側)を連通可能とする。開口部形成面21は蓋側嵌合部14の天部から-6~0mmの位置に設けられる。
【0053】
なお、開口端面により唇が切れることを抑制するため、一般的な低蓋型の開口は蓋側嵌合部天部から4mm(安全長相当)以上低い位置に設けられるが、本実施形態では上唇が上唇当接部27(後述)により支持され、開口端面により唇が切れるおそれが少ないため、特に安全長を確保する必要はない。
【0054】
開口部22の内端部側(中央に近い側)に回動軸23が設けられる。開口弁24は開口部22に対応して設けられ、回動軸23を介して開口部22を開閉可能とする。
【0055】
回動軸23の直交方向において、開口部形成面21の開口外領域から開口弁24まで連続している。繋ぎ部25は開口部形成面21の開口外領域と開口弁24を繋ぐ。したがって繋ぎ部25は開口部形成面21における弾性を残す。
【0056】
回動軸23の平行方向において、繋ぎ部25と、繋ぎ部25の両端に形成される切断部26,26とを有する。
【0057】
すなわち、開口部形成面21の開口外領域と開口弁24とは繋ぎ部25により連続し、繋ぎ部25以外では切断されて、これにより開口部22が形成される。
【0058】
また、繋ぎ部25は天面14から低い位置に設けられることで、他の領域に比べ繋ぎ部25厚を薄くなる。例えば、他の領域の厚みを0.2mm以上とし、繋ぎ部25厚を0.2mm未満とする。好ましくは0.1mm(基本厚の半分)程度とする。これにより回動機能を担保できる。
【0059】
回動軸23はヒンジ機構としてもよい。繋ぎ部25幅を広げる場合はミシン目状としてもよい。これにより回動機能を担保できる。
【0060】
開口弁24のやや外端部側(中央から遠い側)には上唇当接部27が設けられる。上唇当接部27の略中心位置が蓋側嵌合部14天部から中央方向に3~20mm程度であると、上唇が接しやすい。上唇当接部27は内容物側から非内容物側に突出している。
【0061】
上唇当接部27には飲用者の上唇が接する。そのため上唇当接部27の幅(回動軸平行方向)は適度に広い方が、上唇が接しやすい。例えば、上唇当接部25の幅は繋ぎ部25の長さに対し1.5倍以上であることと好ましく、2倍以上あるとより好ましい。試作例では、繋ぎ部25の長さ5mmに対し上唇当接部25幅は20mmである。
【0062】
また、上唇当接部27は適度な高さを有する方が、上唇が接しやすい。例えば、上唇当接部27の頂部が蓋側嵌合部14の天部より-2~+6mmの位置となる。
【0063】
試作例では、開口部形成面21は蓋側嵌合部14の天部から-4mmの位置に設けられ、上唇当接部27の頂部が蓋側嵌合部14の天部より+2mmの位置となる。すなわち、上唇当接部27の高さは6mmである。上唇当接部27の高さは4~10mm程度が好ましい。
【0064】
上唇当接部27頂部前後において、回動軸直交方向に対し、緩やかに高くなり、頂部を経て、緩やかに低くなる。これにより、上唇押圧程度に対応して、上唇当接位置を微調整できる。
【0065】
開口部形成面21、開口部22、回動軸23、開口弁24を含む開閉機構17は、少なくとも開口部22の左右端に沿って立設されるガイド壁29,29により囲まれている。本実施形態では、開口部22内端部側にもガイド壁29が立設される。左右のガイド壁29,29は蓋側嵌合部14に連続している。開口部22から左右への液漏れを抑制し、液体を飲み口19に導く。
【0066】
ガイド壁29,29は結果的に開口部形成面21の剛性を高め、共回りを抑制し、開口弁24の開閉を滑らかにする。
【0067】
~第1実施形態動作~
図5は第1実施形態の動作説明図である。上記構成により、飲用者の下唇を飲み口19に当てながら容器を傾けると、飲用者の上唇が上唇当接部27に当たる。
【0068】
また、上記構成により、僅かな上唇の動作で回動軸23を中心とする開口弁24の回動動作が生じる。
【0069】
上唇の押圧動作により更に回動させるに従い、開口部22の開口度合は増え、飲料は流出可能となる。
【0070】
上唇の押圧動作を解除すると、繋ぎ部25の弾性により開口弁24は逆方向に回動し、開口部22の開口度合は減り、飲料は流出不可となる。
【0071】
このように、上唇動作により開口部22は開閉する。少しずつ飲みたい場合は開閉動作を繰り返しながら飲用する。
【0072】
ゴクゴク飲みたい場合や氷を食べたい際には、指で開口弁24を180度押し込み、繋ぎ部25を塑性変形させ、開口部22の開状態を維持することもできる。
【0073】
~第1実施形態効果~
第1実施形態の効果について説明する。第1実施形態は特徴的な開閉機構17を有する。
【0074】
上唇の押圧動作のみにより、半自動的に開口部22は開状態となる。従来型のような煩雑な開封動作や係合保持動作は不要であり、操作性に優れている。
【0075】
従来型の突起付小蓋用係合溝も不要であり、従来型に比べて構成が簡素なため薄肉にしやすく、環境負荷低減となる。
【0076】
飲用時以外は開口部22は閉状態となるため、振動による液毀れを抑制できる。また、埃や虫の侵入を抑制できる。
【0077】
上唇当接部27を介して開口弁24を内容物側に例えば10~15mm押し込んだとき、試作モデルでは、開口部22の平面視開口幅は5mm程度である。コールド飲料で用いる氷サイズは5mm以上のものが多くあり、開口部22から氷が出てくることを抑制できる。
【0078】
第1実施形態は、低蓋型に特徴的な開閉機構17を適用したものである。
【0079】
ところで、液毀れ抑制や熱さ確認の観点から、コーヒーなどホット飲料には一般に高蓋型が用いられることが多い。これに対し、第1実施形態では、液毀れ抑制でき、流量抑制により熱さ確認もできる。したがって、低蓋型を用いることもできる。また、低蓋型であってもリフトアップ操作性に係る課題はない。
【0080】
また、一般に、高蓋型では、下唇当接位置が周状スカート部下端端面から離れることにより、低蓋型に比べ端面による唇切断リスクを抑制できる。これに対し、第1実施形態では、上唇押圧動作に伴い、下唇も周状スカート部下端端面から離れることにより、低蓋型であっても端面による唇切断リスクは少ない。したがって、低蓋型を用いることもできる。
【0081】
低蓋型は高蓋型に比べて、容器と飲み口の位置を近接出来る構造の為、比較的残液発生を抑制できる。また薄肉にしやすく、環境負荷低減となる。
【0082】
~第2実施形態~
図6は第2実施形態の全体構成斜視図である。第1実施形態は特徴的な開閉機構17を有するのに対し、第2実施形態は特徴的な開閉機構18を有する。蓋天面11、蓋側嵌合部14、周状スカート部15等の基本構成は、第1実施形態、第2実施形態とも類似する。
【0083】
図7は第2実施形態の要部平面図であり、
図8は要部拡大図である。開閉機構18は本実施形態における要部である。
【0084】
第2実施形態の開閉機構18は第1実施形態の開閉機構17に香窓機構を追加したものである。開口部形成面21、開口部22、回動軸23、開口弁24、繋ぎ部25、切断部26、上唇当接部27、ガイド壁29等の構成は第1実施形態、第2実施形態とも類似する。
【0085】
開口部形成面21において、香窓部32に相当する開口が開口部22の内端側に回動軸23を挟んで連設されている。開口32は、蓋内(内容物側)と蓋外(非内容物側)を連通可能とする。
【0086】
香窓弁34は開口32に対応して設けられ、回動軸23を介して開口32を開閉可能とする。開口32は開き状態になると香窓部32が形成される。
【0087】
開口弁24と香窓弁34とは繋ぎ部25および柱35を介して連続する。柱35は、開口弁24の回動動作を香窓弁34に伝達する。試作例では非内容物側に突出するように柱35が設けられているが、動作伝達ができれば、内容物側に突出するように柱35が設けられていてもよい。
【0088】
ここで開口32を形成する切断線は切断部26と連続せず、回動軸直交方向に繋ぎ部を有する。言い換えると、繋ぎ部25は中央に向かって拡大している。これにより、開口弁24の回動動作は確実に香窓弁34に伝達される。
【0089】
左右のガイド壁29,29は、香窓部32の左右を囲むように設けられている。結果的に開口部形成面21の剛性を高め、共回りを抑制し、香窓部32の開閉を滑らかにする。
【0090】
図9および
図10は第2実施形態の動作説明図である。
図9は断面図であり、
図10は斜視図である。上記構成により、飲用者の下唇を飲み口19に当てながら容器を傾けると、飲用者の上唇が上唇当接部27に当たる。さらに、僅かな上唇の押圧動作で回動軸23を中心とする開口弁24の回動動作が生じる。開口部22の開口度合は増え、飲料は流出可能となる。
【0091】
開口弁24の回動動作は柱35を介して香窓弁34に伝達される。開口部22の開口度合が増えると香窓部32の開口度合も増える。
【0092】
香窓部32は飲用者の鼻近くに位置する。したがって香窓部32の開口が小さくても、充分に香りを楽しむことができる。また、香窓部32を大きくしても良い。また、香りを楽しむために開口部22を大きくする必要はない。
【0093】
上唇の押圧動作を解除すると、繋ぎ部25の弾性により開口弁24は逆方向に回動し、開口部22の開口度合は減り、飲料は流出不可となる。開口弁24の回動動作は柱35を介して香窓弁34に伝達される。開口部22の開口度合が減ると香窓部32の開口度合も減る。
【0094】
すなわち、香窓部32は開口弁24の回動に伴って開閉する。
【0095】
第2実施形態の効果について説明する。第2実施形態の構成は第1実施形態の構成に類似する。したがって、第2実施形態の効果は第1実施形態の効果に類似する。
【0096】
第2実施形態の開閉機構18は第1実施形態の開閉機構17に香窓機構を追加したものである。
【0097】
従来型においては開口を大きくすることにより香りを楽しむことができる。これに対し、第2実施形態は、より小さな開口でも香りを楽しむことができる。
【0098】
開口部22を小さくできる結果、振動による液毀れ抑制効果、埃や虫の侵入抑制効果、氷の流出抑制効果等が向上する。
【0099】
従来型においても香りを楽しむことができるが、時間経過とともに飲用者の嗅覚が香りに慣れて、徐々に香りを楽しむことができなくなる。これに対し、第2実施形態では、飲用時以外は香窓部32は閉状態となる。飲用時のみ香窓部32は開状態となり、その都度、飲用者の嗅覚は香りを認識し、繰り返し香りを楽しむことができる。
【0100】
香窓部32は蒸気孔としても機能する為、別途蒸気孔を設けなくても良い。
【0101】
ところで、液毀れ抑制や熱さ確認の観点から、コーヒーなどホット飲料には一般に高蓋型が用いられることが多い。これに対し、第1実施形態および第2実施形態は、従来型低蓋に係る課題を解消しており、第1実施形態および第2実施形態は低蓋型を用いることもできる。
【0102】
低蓋型は高蓋型に比べて、液面までの距離が近く、より香りを楽しむことができる。
【0103】
~第2実施形態変形例~
図11は第2実施形態変形例の要部斜視図である。開閉機構18の香窓機構に係る変形例である。
【0104】
開口弁24において内端側に切り込みが形成され、当該切り込みが香窓部36に相当する。
【0105】
開口部形成面21において、回動軸23を跨いで開口部側に突出し、当該突出が固定弁38に相当する。固定弁38は香窓部36に対応する。
【0106】
固定弁38は開口部形成面21の一部であるが、開口弁24の回動に伴い香窓部32を開閉する弁として機能する。
【0107】
固定弁38は開口部形成面21の一部として不動であり、柱35がなくとも固定弁38は機能するが、柱35を設けて固定弁38の剛性を高めることで共回りを抑制し、開口弁24の開閉を滑らかにする。
【0108】
上唇の押圧動作により開口弁24の回動動作が生じ、香窓部36も開く。上唇の押圧動作を解除すると、繋ぎ部25の弾性により開口弁24は逆方向に回動し、香窓部36も閉じる。すなわち、開口弁24の回動に伴って香窓部36は開閉する。
【0109】
変形例に係る香窓機構の効果は第2実施形態の効果と類似する。
【0110】
図12は第2実施形態の別の変形例の斜視図である。第1実施形態および第2実施形態では本発明を低蓋型へ適用したが、高蓋型へ適用してもよい。
【0111】
液毀れ抑制や熱さ確認等の観点から、コーヒーなどホット飲料には一般に高蓋型が用いられることが多い。本変形例では開閉機構18を高蓋型に適用する。
【0112】
また、従来型高蓋(
図13参照)では、上唇が開口外側端面により切断されるリスクを低減するため、天面の蓋剛性を高めてリフトアップ操作を滑らかにするため、飲用時の液毀れリスクを低減するため、といった観点から、蓋天面周縁から立設される周縁凸部12が設けられている。
【0113】
これに対し、変形例では、上唇は上唇当接部27に常時当接しており、上唇が開口部22外側端面により切断されるリスクは少ない。変形例では、上唇押圧動作により飲用可能となり、リフトアップ操作は不要である。変形例では、上唇を開口内に押し込むため飲用時の液毀れリスクが低い。その結果、変形例では、従来型高蓋の周縁凸部12を設ける必要性が少ない。
【0114】
図示のように周縁凸部12を省くことで、従来型高蓋に比べて構成が簡素となり、比較的残液発生を抑制でき、環境負荷低減となる。周縁凸部12があってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本願発明の蓋は、低蓋型でもよいし、高蓋型でもよい。形状は平面視円形であることが好ましいが、平面視矩形や平面視多角形でもよい。蓋は樹脂製であることが好ましいが、紙製等他の材質でもよい。内容物は、コールド飲料でもよいし、ホット飲料でもよい。液体に限定されず、流動体や粉状体や粒状体でもよい。
【符号の説明】
【0116】
11 蓋天面
12 周縁凸部
13 蓋側面
14 蓋側嵌合部
15 周状スカート部
16 開閉機構(従来型)
17 開閉機構(第1実施形態)
18 開閉機構(第2実施形態)
19 飲み口
21 開口部形成面
22 開口部
23 回動軸
24 開口弁
25 繋ぎ部
26 切断部
27 上唇当接部
29 ガイド壁
32 香窓部
34 香窓弁
35 柱
36 香窓部
38 固定弁