IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 西日本旅客鉄道株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社バカンの特許一覧

特開2024-29927トイレ管理システム、トイレ管理方法及びトイレ管理プログラム
<>
  • 特開-トイレ管理システム、トイレ管理方法及びトイレ管理プログラム 図1
  • 特開-トイレ管理システム、トイレ管理方法及びトイレ管理プログラム 図2
  • 特開-トイレ管理システム、トイレ管理方法及びトイレ管理プログラム 図3
  • 特開-トイレ管理システム、トイレ管理方法及びトイレ管理プログラム 図4
  • 特開-トイレ管理システム、トイレ管理方法及びトイレ管理プログラム 図5
  • 特開-トイレ管理システム、トイレ管理方法及びトイレ管理プログラム 図6
  • 特開-トイレ管理システム、トイレ管理方法及びトイレ管理プログラム 図7
  • 特開-トイレ管理システム、トイレ管理方法及びトイレ管理プログラム 図8
  • 特開-トイレ管理システム、トイレ管理方法及びトイレ管理プログラム 図9
  • 特開-トイレ管理システム、トイレ管理方法及びトイレ管理プログラム 図10
  • 特開-トイレ管理システム、トイレ管理方法及びトイレ管理プログラム 図11
  • 特開-トイレ管理システム、トイレ管理方法及びトイレ管理プログラム 図12
  • 特開-トイレ管理システム、トイレ管理方法及びトイレ管理プログラム 図13
  • 特開-トイレ管理システム、トイレ管理方法及びトイレ管理プログラム 図14
  • 特開-トイレ管理システム、トイレ管理方法及びトイレ管理プログラム 図15
  • 特開-トイレ管理システム、トイレ管理方法及びトイレ管理プログラム 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029927
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】トイレ管理システム、トイレ管理方法及びトイレ管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/163 20240101AFI20240229BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132400
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000196587
【氏名又は名称】西日本旅客鉄道株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】516329543
【氏名又は名称】株式会社バカン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】橋場 諭
(72)【発明者】
【氏名】小柴 真道
(72)【発明者】
【氏名】クリサノフ スタース
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC29
(57)【要約】
【課題】複数の事業者の夫々が簡便に利用可能なトイレ管理システムを提供する。
【解決手段】トイレ管理システム1は、トイレを示すトイレ情報と施設を示す施設情報と事業者2毎の管理区域を示す管理区域情報とを、施設情報を基準として互いに関連付けして記憶するトイレデータベース10と、複数の事業者2の夫々に属するユーザを示すユーザ情報とユーザが担当する管理区域を示す管理区域情報とを互いに関連付けして記憶するユーザデータベース20と、トイレ情報を閲覧する閲覧者を示す閲覧者情報を受け付ける閲覧者情報受付部30と、受け付けた閲覧者情報とユーザ情報とに基づいて、ユーザデータベース20から閲覧者に応じた管理区域情報を取得する管理区域情報取得部40と、取得された管理区域情報に基づいて、トイレデータベース10から管理区域情報に関連付けされた施設情報を取得して表示画面に一覧表示させる表示制御部50と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
夫々の事業領域内に独自に設定した異なる管理区域が重複する重複領域内の施設に位置するトイレを管理する複数の事業者が使用可能なトイレ管理システムであって、
前記トイレを示すトイレ情報と前記施設を示す施設情報と前記事業者毎の前記管理区域を示す管理区域情報とを、前記施設情報を基準として互いに関連付けして記憶するトイレデータベースと、
複数の前記事業者の夫々に属するユーザを示すユーザ情報と前記ユーザが担当する前記管理区域を示す前記管理区域情報とを互いに関連付けして記憶するユーザデータベースと、
前記トイレ情報を閲覧する閲覧者を示す閲覧者情報を受け付ける閲覧者情報受付部と、
受け付けた前記閲覧者情報と前記ユーザ情報とに基づいて、前記ユーザデータベースから前記閲覧者に応じた前記管理区域情報を取得する管理区域情報取得部と、
取得された前記管理区域情報に基づいて、前記トイレデータベースから前記管理区域情報に関連付けされた前記施設情報を取得して表示画面に一覧表示させる表示制御部と、
を備えるトイレ管理システム。
【請求項2】
前記表示制御部は、選択された前記施設情報に関連付けされた前記トイレ情報を前記表示画面に表示させる請求項1に記載のトイレ管理システム。
【請求項3】
複数の前記事業者は、互いに離間して複数の前記施設としての駅が設けられた路線を管理する鉄道事業者と、前記トイレの保守を行う保守事業者と、前記トイレの清掃を行う清掃事業者とを含んでいる請求項1又は2に記載のトイレ管理システム。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記施設としての鉄道駅に位置する前記トイレの個室ごとの時間帯別使用状況を前記表示画面に表示させる請求項3に記載のトイレ管理システム。
【請求項5】
夫々の事業領域内に独自に設定した異なる管理区域が重複する重複領域内の施設に位置するトイレを複数の事業者で管理するトイレ管理方法であって、
前記トイレを示すトイレ情報と前記施設を示す施設情報と前記事業者毎の前記管理区域を示す管理区域情報とを、前記施設情報を基準として互いに関連付けしてトイレデータベースに記憶するトイレデータベース記憶手順と、
複数の前記事業者の夫々に属するユーザを示すユーザ情報と前記ユーザが担当する前記管理区域を示す前記管理区域情報とを互いに関連付けしてユーザデータベースに記憶するユーザデータベース記憶手順と、
前記トイレ情報を閲覧する閲覧者を示す閲覧者情報を受け付ける閲覧者情報受付手順と、
受け付けた前記閲覧者情報と前記ユーザ情報とに基づいて、前記ユーザデータベースから前記閲覧者に応じた前記管理区域情報を取得する管理区域情報取得手順と、
取得された前記管理区域情報に基づいて、前記トイレデータベースから前記管理区域情報に関連付けされた前記施設情報を取得して表示画面に一覧表示させる表示制御手順と、
をコンピュータが実行するトイレ管理方法。
【請求項6】
夫々の事業領域内に独自に設定した異なる管理区域が重複する重複領域内の施設に位置するトイレを複数の事業者で管理する処理をコンピュータに実行させるためのトイレ管理プログラムであって、
前記トイレを示すトイレ情報と前記施設を示す施設情報と前記事業者毎の前記管理区域を示す管理区域情報とを、前記施設情報を基準として互いに関連付けしてトイレデータベースに記憶するトイレデータベース記憶処理と、
複数の前記事業者の夫々に属するユーザを示すユーザ情報と前記ユーザが担当する前記管理区域を示す前記管理区域情報とを互いに関連付けしてユーザデータベースに記憶するユーザデータベース記憶処理と、
前記トイレ情報を閲覧する閲覧者を示す閲覧者情報を受け付ける閲覧者情報受付処理と、
受け付けた前記閲覧者情報と前記ユーザ情報とに基づいて、前記ユーザデータベースから前記閲覧者に応じた前記管理区域情報を取得する管理区域情報取得処理と、
取得された前記管理区域情報に基づいて、前記トイレデータベースから前記管理区域情報に関連付けされた前記施設情報を取得して表示画面に一覧表示させる表示制御処理と、
をコンピュータに実行させるトイレ管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレを管理する複数の事業者が使用可能なトイレ管理システム、トイレ管理方法及びトイレ管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人が生活する上で、排尿は必要不可欠な行為であることから、個人の住宅だけでなく、公共の施設においてもトイレが設けられている。公共の施設に設けられているトイレは、多くの人が利用することから、衛生上、適切な管理が望まれる。そこで、公共の施設に設けられているトイレを適切に管理する技術が検討されてきた(例えば特許文献1及び2)。
【0003】
特許文献1には、トイレ管理システムについて記載されている。このトイレ管理システムでは、便器装置の使用状況を管理する管理装置と、トイレ室(本願の「トイレ」に相当)が設置された施設を管理する主体の管理主体端末と、トイレ室の清掃を担当する主体の清掃主体端末と、便器装置やトイレ室に設置された設備や機器を製造した主体の製造主体端末と、便器装置やトイレ室に設置された設備や機器の保守を担当する主体の保守主体端末とがネットワークを介して接続されている。管理装置は、便器装置やトイレ室などにおける異常を検知し、検知した異常の内容に応じた主体に異常の発生を通知するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-141565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のトイレ管理システムでは、上述したように異常が検知された場合に、検知した異常の内容に応じた事業者(トイレ室が設置された施設を管理する管理業者や、トイレ室の清掃を担当する清掃業者や、設備や機器の保守を担当する保守業者)に異常の発生を通知するように構成されている。事業者によっては、担当者に複数のトイレ室を担当させている場合や、互いに離れた施設におけるトイレ室を担当させている場合もある。このような場合、事業者や担当者が業務を効率よく行う上で、異常が検知されたトイレ室だけでなく、自身が担当している他のトイレ室の状況も知りたいこともある。しかしながら、特許文献1に記載のトイレ管理システムでは、事業者や担当者が知りたい情報を見ることができるように構成されておらず、改善の余地がある。
【0006】
そこで、複数の事業者の夫々が簡便に利用可能なトイレ管理システム、トイレ管理方法及びトイレ管理プログラムが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るトイレ管理システムの特徴構成は、夫々の事業領域内に独自に設定した異なる管理区域が重複する重複領域内の施設に位置するトイレを管理する複数の事業者が使用可能なトイレ管理システムであって、前記トイレを示すトイレ情報と前記施設を示す施設情報と前記事業者毎の前記管理区域を示す管理区域情報とを、前記施設情報を基準として互いに関連付けして記憶するトイレデータベースと、複数の前記事業者の夫々に属するユーザを示すユーザ情報と前記ユーザが担当する前記管理区域を示す前記管理区域情報とを互いに関連付けして記憶するユーザデータベースと、前記トイレ情報を閲覧する閲覧者を示す閲覧者情報を受け付ける閲覧者情報受付部と、受け付けた前記閲覧者情報と前記ユーザ情報とに基づいて、前記ユーザデータベースから前記閲覧者に応じた前記管理区域情報を取得する管理区域情報取得部と、取得された前記管理区域情報に基づいて、前記トイレデータベースから前記管理区域情報に関連付けされた前記施設情報を取得して表示画面に一覧表示させる表示制御部と、を備えている点にある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】トイレ管理システムの構成を示す模式図である。
図2】事業者毎の管理区域を示す図である。
図3】各事業者の管理区域を積層表示した図である。
図4】トイレデータベースを構築するためのツリー図である。
図5】トイレデータベースに記憶されるデータの一例である。
図6】ユーザデータベースに記憶されるデータの一例である。
図7】端末に表示される駅リスト及びトイレリストの一例である。
図8】端末に表示される駅リスト及びトイレリストの一例である。
図9】端末に表示される駅リスト及びトイレリストの一例である。
図10】端末に表示されるトイレ情報の一例である。
図11】時間帯別使用状況の表示例である。
図12】トイレ管理システムにおける表示処理を示すフローチャートである。
図13】駅の設定画面の一例である。
図14】トイレ情報を変更する場合の画面の一例である。
図15】トイレマップの作成例を示す図である。
図16】アラート及び残量低減時の報知を設定する画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るトイレ管理システムは、複数の事業者が夫々の事業領域内に設けられたトイレを管理することができるように構成されている。以下、本実施形態のトイレ管理システム1について説明する。図1は、本実施形態のトイレ管理システム1の構成を示す模式図であり、図2は、本実施形態の複数の事業者2の夫々の事業領域100を示した図である。また、図3は、各事業者2の事業領域100を仮想的に積層表示した図である。図1に示されるように、本実施形態では、複数の事業者2には、鉄道事業者2Aと、保守事業者2Bと、清掃事業者2Cとが含まれる。
【0010】
鉄道事業者2Aは、互いに離間して複数の施設5(図2参照)が設けられた路線を管理する。施設5とは、鉄道駅(以下「駅5」とする)が相当する。路線とは、電車が走行する軌道、当該軌道に付して設けられた設備等(以下「軌道等」)が相当する。したがって、鉄道事業者2Aは、互いに離間して複数の駅5が設けられた軌道等を管理する。もちろん、鉄道事業者2Aは、駅5や、当該駅5に設けられたトイレ等の設備も管理する。
【0011】
保守事業者2Bは、トイレの保守を行う。トイレとは、改札の内外を問わず、駅5に設けられた1つ以上のトイレ個室や手洗い場を含むトイレ施設である。保守とは、整備や修繕、保守点検(以下「整備等」)が相当する。したがって、保守事業者2Bは、改札の内外を問わず、駅5に設けられたトイレの整備等を行う。ここで、保守事業者2Bが整備等を行うトイレには、便器だけでなく、例えば温水洗浄便座等を構成する便器装置や、上下水道設備や、壁や扉など建材設備も含まれる。
【0012】
清掃事業者2Cは、トイレの清掃を行う。清掃とは、汚れや不要な物質を除去して清浄な状態にすることをいう。清掃事業者2Cが清掃を行うトイレも、保守事業者2Bと同様に、改札の内外を問わず、駅5に設けられたトイレが対象となる。したがって、清掃事業者2Cは、改札の内外を問わず、駅5に設けられたトイレの汚れや不要な物質を除去してトイレを清浄な状態にする。ここで、清掃事業者2Cが行うトイレの清掃には、トイレに設けられている備品(例えばトイレットペーパーや、排泄器官や手等を洗浄する際に利用する洗浄液)の交換や補充も含まれる。
【0013】
鉄道事業者2A、保守事業者2B及び清掃事業者2Cは、夫々の事業領域100内に独自に管理区域101を設定している。事業領域100とは、夫々の事業者2が夫々の事業を行う領域、すなわち夫々の事業者2が営業活動を行う範囲(営業範囲)にあたる。図2では、鉄道事業者2Aの事業領域100が事業領域100Aとして示され、保守事業者2Bの事業領域100が事業領域100Bとして示され、清掃事業者2Cの事業領域100が事業領域100Cとして示されている。管理区域101とは、事業領域100を複数に区切って形成された区画が相当する。図2では、鉄道事業者2Aの管理区域101が管理区域101Aとして示され、保守事業者2Bの管理区域101が管理区域101Bとして示され、清掃事業者2Cの管理区域101が管理区域101Cとして示されている。
【0014】
図2の(A)には、鉄道事業者2Aにより設定された管理区域101Aの例が示される。本実施形態では、図2の(A)に示されるように、鉄道事業者2Aの事業領域100A内には、「甲線区」と「甲線区」から分岐する「乙線区」とが含まれる。「甲線区」には、主要駅として「A駅」と「B駅」と「C駅」とが設けられ、主要駅以外に「ア駅」と「イ駅」と「ウ駅」と「エ駅」と「オ駅」とが設けられている。また、「乙線区」には、主要駅として「D駅」が設けられ、主要駅以外に「カ駅」と「キ駅」とが設けられている。鉄道事業者2Aでは、管理区域101Aとして、駅5と軌道とを含む「A管区」と「B管区」と「C管区」と「D管区」と「E管区」とが設定されている。
【0015】
図2の(B)には、保守事業者2Bにより設定された管理区域101Bの例が示される。本実施形態では、図2の(B)に示されるように、保守事業者2Bの事業領域100B内には、管理区域101Bとして、「A支社区」と「B支社区」と「C支社区」とが設定されている。
【0016】
図2の(C)には、清掃事業者2Cにより設定された管理区域101Cの例が示される。本実施形態では、図2の(C)に示されるように、清掃事業者2Cの事業領域100C内には、管理区域101Cとして、「A営業所区」と「B営業所区」と「C営業所区」と「D営業所区」と「E営業所区」とが設定されている。
【0017】
図2では、鉄道事業者2A、保守事業者2B、及び清掃事業者2Cの夫々の事業領域100(すなわち、事業領域100A、事業領域100B、及び事業領域100C)が互いに同じであるように示しているが、夫々の事業領域100は互いに異なっていてもよい。ここで、鉄道事業者2A、保守事業者2B、及び清掃事業者2Cは、夫々、独自に管理区域101(すなわち、管理区域101A、管理区域101B、及び管理区域101C)を設定しているので、鉄道事業者2Aの管理区域101Aと、保守事業者2Bの管理区域101Bと、清掃事業者2Cの管理区域101Cとは、互いに異なる範囲に亘って(異なる大きさで)設定される。したがって、図3に示されるように、鉄道事業者2Aの管理区域101Aと、保守事業者2Bの管理区域101Bと、清掃事業者2Cの管理区域101Cとを仮想的に積層すると、互いの管理区域101が重複する重複領域を有するように構成される。
【0018】
図3の例では、事業領域100内における鉄道事業者2Aの管理区域101Aと、保守事業者2Bの管理区域101Bと、清掃事業者2Cの管理区域101Cとは、路線上において全て、互いに重複するように構成されているが、例えば鉄道事業者2A、保守事業者2B、及び清掃事業者2Cのうちの2つの事業者が、互いに同じ領域に管理区域101を設定していない場合には、鉄道事業者2Aの管理区域101Aと、保守事業者2Bの管理区域101Bと、清掃事業者2Cの管理区域101Cとを図3のように仮想的に積層しても、互いの管理区域101が重複していない領域が存在する。この場合には、この領域は重複領域に含まれない。一方、本実施形態では、少なくとも駅5が重複領域に含まれる。
【0019】
トイレ管理システム1は、このような複数の事業者2の夫々の事業領域100内において互いに異なる管理区域101が重複する重複領域内の駅5に位置するトイレを管理する鉄道事業者2A、保守事業者2B及び清掃事業者2Cが使用可能に構成される。以下、鉄道事業者2Aにおける管理者及び担当者が使用する端末3A、保守事業者2Bにおける管理者及び担当者が使用する端末3B、清掃事業者2Cにおける管理者及び担当者が使用する端末3Cを総称して、端末3と呼ぶ。
【0020】
トイレ管理システム1は、各事業者2が利用する端末3にトイレに関する情報を提供する管理サーバ(情報処理装置)である。トイレ管理システム1は、他の事業者2が利用する端末3とネットワークなどを介して通信可能に接続されている。ここでネットワークは例えば、インターネット、公衆回線網、専用回線網等である。トイレ管理システム1は、端末3からのリクエストに応じて後述するトイレ情報や施設情報を端末3に配信する。端末3は、トイレに関する情報を表示することで、各事業者によるトイレ情報の閲覧を実現する。なお、端末3は例えば、使用者によって携帯されるスマートフォン、タブレット等の携帯端末であってもよいし、デスクトップPC(パーソナルコンピュータ)、ノートPC等の端末であってもよい。また、端末3には、ウェブサイト等を閲覧するためのウェブブラウザがインストールされており、トイレ管理システム1から受信したトイレ情報が当該ウェブブラウザによって表示されるものとする。
【0021】
トイレ管理システム1は、汎用のサーバ向けのコンピュータやパーソナルコンピュータ等を利用することが可能である。また、複数のコンピュータを用いてトイレ管理システム1を構成することも可能である。トイレ管理システム1は、物理的には、プロセッサである一以上のCPU(Central Processing Unit)と、メモリとストレージとネットワークと通信を行うための通信インタフェース等の通信部とを有する。トイレ管理システム1のハードウェアの各構成要素は、バスを介して相互に接続されている。
【0022】
CPUは、ストレージに予め格納されている後述のプログラムを実行することにより、CPUの制御のもとで各ハードウェアが動作し、図1に示されるトイレ管理システム1の各機能が実現される。メモリは、ストレージからロードしたプログラムを一時的に記憶し、CPUに対して作業領域を提供する。メモリには、CPUがプログラムを実行している間に生成される各種データも一時的に保存される。メモリは例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを含む。ストレージは、各種のプログラムを記憶する。ストレージは例えば、HDD(Hard Disk Drive)である。通信部は、ネットワークを介して外部の情報処理装置と各種データの送受信を行う。
【0023】
図1に示されるように、トイレ管理システム1は、トイレデータベース10と、ユーザデータベース20と、閲覧者情報受付部30と、管理区域情報取得部40と、表示制御部50とを備えている。これらの各機能部は、トイレの管理に係る処理を行うために、CPUを中核部材としてハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築されている。
【0024】
トイレデータベース10は、トイレに関する情報を示すトイレ情報と、駅5に関する情報を示す施設情報と、事業者毎の所属する管理区域101を示す管理区域情報とを、施設情報を基準として互いに関連付けして記憶する。トイレデータベース10を構築する際、トイレ情報を基準とした場合、トイレ位置の変更やトイレの増設をするたびにトイレデータベース10を変更する必要があり、また、同じ駅5のトイレでも清掃事業者2Cの異なる管理区域101Cが跨ることがある(図2(C)のA駅参照)ため、煩雑である。また、トイレデータベース10を構築する際、鉄道事業者2Aの管理区域101Aを基準とした場合、図3に示すように、同じ管理区域101Aであっても保守事業者2Bの管理区域101Bや清掃事業者2Cの管理区域101Cが乱立しているため、階層構造が複雑となる。そこで、本実施形態におけるトイレデータベース10は、施設情報を基準として構築することとしている。これにより、駅5内でトイレの増設や変更があっても、駅5自体の属性は変わらないため、駅5にトイレの追加や削除を行えば済む。また、駅5が新たに設置された場合でも、新設された駅5を、夫々の事業者2の管理区域101に振り分ければ済む。このように、トイレ管理システム1において、施設情報を基準としてトイレデータベース10を構築することにより、利便性を高めることができる。
【0025】
図4には、トイレデータベース10を構築するためのツリー図が示されている。同図に示すように、鉄道事業者2Aの管理区域101Aに設定される複数の管区、保守事業者2Bの管理区域101Bに設定される複数の支社区、清掃事業者2Cの管理区域101Cに設定される複数の営業所区がある。駅5とトイレとは1対Nの関係(すなわち、1個の駅5にN個のトイレが設けられている関係)を有し、駅5と営業所区とは1対1又は1対Nの関係(すなわち、1個の営業所区に1個の駅5が含まれる関係、又は、1個の営業所区にN個の駅5が含まれる関係)を有し、駅5と管区及び支社区とはN対1の関係(すなわち、1個の管区及び支社区にN個の駅5が含まれる関係)を有している。つまり、駅5を基準とすれば、例えばトイレが増設された場合には駅5の下位層にトイレを追加すればよく、トイレの個室が増設された場合には駅5に属するトイレの下位層に個室を追加すればよい。また、駅5が増設された場合には、増設された駅5の上位層に管区及び支社区を関連付け、駅5の同一層に営業区を追加すればよく、駅5の下位層にトイレを新規に追加すればよい。この駅5には、線区情報が含まれており、どの線区に駅5が属するかもトイレデータベース10にて管理できる。このように、施設情報としての駅5を基準にトイレデータベース10を構築することにより、容易に編集することが可能となる。
【0026】
図5には、トイレデータベース10に記憶されているデータの一例が示される。本実施形態では、トイレ情報には、トイレを識別可能な「ID」と、トイレの「名称」と、使用可能な使用者を示す「属性」(性別)と、トイレの「位置」を示す情報とが含まれる。施設情報は、トイレが設けられている駅5を示す情報(「駅名」)である。また、トイレ情報には、1つ以上の空き情報とトイレットペーパー残量情報も記憶されている。空き情報は、夫々のトイレに設けられる個室毎に、所定時間毎に取得された、使用中か否かを示す情報(混雑率を示す情報)である。また、トイレットペーパー残量情報は、トイレに設置された個室ごとのトイレットペーパーの残量を示す情報である。なお、空き情報は、トイレの個室にセンサを設けておき、当該センサから伝達される検出結果に基づいて、トイレの個室が利用中であるか否かを判定し、順次、記憶されている空き情報を更新するとよい。このような空き情報の更新は、公知であるのでここでの説明は省略する。管理区域情報は、そのトイレが属する、夫々の事業者2において設定された管理区域101が含まれる。具体的には、IDが「001」のトイレは、トイレ情報として、名称が「1F北トイレ(女性)」、属性が「女性」、位置が「北口改札内」として記憶される。また、施設情報は「A駅」であって、管理区域情報として、鉄道事業者2Aでは「B管区」として設定され、保守事業者2Bでは「B支社区」として設定され、清掃事業者2Cでは「A営業所区」として設定されている。このようなトイレ情報、施設情報、及び管理区域情報は、トイレ管理システム1が管理する全てのトイレについて、トイレ毎に予めトイレデータベース10に記憶されている。各データは、例えばトイレデータベース10の管理者が入力して行ってもよいし、各データを記載したカードを読み込ませて行ってもよい。
【0027】
図1に戻り、ユーザデータベース20は、複数の事業者2の夫々に属するユーザを示すユーザ情報とユーザが担当する管理区域101を示す管理区域情報とを互いに関連付けして記憶する。図6には、ユーザデータベース20に記憶されているデータの一例が示される。本実施形態では、ユーザ情報には、ユーザを識別可能な「ユーザID」と、「ユーザ名」と、トイレ管理システム1の使用時に用いる「パスワード」と、そのユーザが所属する事業者2(「所属事業者」)を示す情報が含まれる。管理区域情報は、そのユーザが担当する管理区域101が記憶される。この管理区域101は、夫々が属する事業者2によって設定されたユーザの「担当管理区域」に相当する。ユーザ情報として登録される管理区域101は、鉄道事業者2Aの管理区域101A、保守事業者2Bの管理区域101B、清掃事業者2Cの管理区域101Cのうちいずれか1つが対応づけられている。例えば、ユーザに対して、管理区域101Aと管理区域101Bの両方が登録されていることはない。
【0028】
具体的には、ユーザIDが「001」のユーザ「一山一夫」のパスワードは「ABC」であって、所属事業者が「鉄道事業者」として記憶される。また、このユーザは、「A管区」を担当している。このようなユーザ情報、及び管理区域情報は、トイレ管理システム1を利用する全てのユーザについて、ユーザ毎に予めユーザデータベース20に記憶されている。各データは、例えばユーザデータベース20の管理者が入力して行ってもよいし、各データを記載したカードを読み込ませて行ってもよい。
【0029】
図1に戻り、閲覧者情報受付部30は、各事業者が使用する端末3からトイレ情報を閲覧する閲覧者を示す閲覧者情報を受け付ける。閲覧者とは、トイレ情報の閲覧を希望するユーザであって、鉄道事業者2Aにおける管理者及び担当者、保守事業者2Bにおける管理者及び担当者、及び清掃事業者2Cにおける管理者及び担当者が含まれる。また、トイレ管理システム1の管理者も含まれる。閲覧者情報とは、これらの管理者や担当者を識別可能な情報であって、夫々がトイレ管理システム1から提供される情報を閲覧する際に(すなわち、トイレ管理システム1にログインする際に)、端末3に入力するユーザID及びパスワードにあたる。閲覧者情報受付部30は、鉄道事業者2Aにおける管理者及び担当者が使用する端末3A、保守事業者2Bにおける管理者及び担当者が使用する端末3B、清掃事業者2Cにおける管理者及び担当者が使用する端末3C、及びトイレ管理システム1の管理者が使用する端末(図示せず)の夫々から、閲覧者情報としてユーザID及びパスワードを受け付ける。閲覧者情報受付部30が受け付けた閲覧者情報は後述する管理区域情報取得部40に伝達される。
【0030】
管理区域情報取得部40は、受け付けた閲覧者情報とユーザ情報とに基づいて、ユーザデータベース20から閲覧者に応じた管理区域情報を取得する。受け付けた閲覧者情報とは、閲覧者情報受付部30が受け付け、当該閲覧者情報受付部30から伝達された閲覧者情報である。ユーザ情報とは、管理区域情報と関連付けしてユーザデータベース20に記憶されている情報である。管理区域情報取得部40は、ユーザデータベース20に記憶されているユーザ情報から、閲覧者情報受付部30から伝達された閲覧者情報に含まれるユーザIDと一致するユーザIDを含むユーザ情報があるか否かを検索する。閲覧者情報に含まれるユーザIDと一致するユーザIDがある場合には、閲覧者情報受付部30から伝達されたパスワードを、閲覧者情報に含まれるユーザIDと一致するユーザIDに係るパスワードと照合する。パスワードが一致する場合には、管理区域情報取得部40は、当該ユーザIDを含むユーザ情報と共に当該ユーザ情報に関連付けしてユーザデータベース20に記憶されている管理区域情報を閲覧者が所属する管理区域情報として取得する。
【0031】
例えば、図6の例において、管理区域情報取得部40は、閲覧者情報受付部30から伝達された閲覧者情報に含まれるユーザIDが「005」である場合には、ユーザデータベース20から「005」のユーザIDがあるか否かを検索し、ユーザID「005」と共に閲覧者情報受付部30から伝達されてきたパスワードを、ユーザデータベース20において「005」のユーザIDと関連付けて記憶されているパスワードと照合する。これらのパスワードが互いに一致する場合には、「005」のユーザIDを含むユーザ情報(図6の例では「三山三夫」に関するユーザ情報)と、当該ユーザ情報に関連付けされた、「A営業所区」からなる管理区域情報とを取得する。管理区域情報取得部40により取得された管理区域情報は、後述する表示制御部50に閲覧者が所属する管理区域情報として伝達される。
【0032】
なお、管理区域情報取得部40は、ユーザデータベース20に記憶されているユーザ情報から、閲覧者情報受付部30から伝達された閲覧者情報に含まれるユーザIDと一致するユーザIDを含むユーザ情報があるか否かを検索した際に、閲覧者情報に含まれるユーザIDと一致するユーザIDがない場合には、閲覧者情報に含まれるユーザIDと一致するユーザIDがユーザデータベース20に記憶されていないことを示す情報を、表示制御部50に伝達するとよい。
【0033】
表示制御部50は、閲覧者が所属する管理区域101を示す取得された管理区域情報に基づいて、トイレデータベース10から管理区域情報に関連付けされた施設情報を取得して表示画面に一覧表示させる。取得された管理区域情報とは、管理区域情報取得部40により取得され、管理区域情報取得部40から伝達された管理区域情報である。表示制御部50は、トイレデータベース10に記憶されている管理区域情報から、管理区域情報取得部40から伝達された管理区域情報を検索し、当該管理区域情報に関連付けしてトイレデータベース10に記憶されている施設情報を取得する。このとき、閲覧者に対応する管理区域情報がいずれかの管区を示す場合には、トイレデータベース10のうち鉄道事業者向けの管区群に基づいて施設群を抽出し、管理区域情報がいずれかの支社区を示す場合には、トイレデータベース10のうち保守事業者向けの支社区に基づいて施設群を抽出し、管理区域情報がいずれかの営業所区を示す場合には、トイレデータベース10のうち清掃事業者向けの営業所に基づいて施設群を抽出する。更に、表示制御部50は、取得した施設情報を閲覧者情報の発信元である端末3の表示画面に表示する。
【0034】
例えば、図5の例において、表示制御部50は、管理区域情報取得部40から伝達された閲覧者の管理区域情報が「A営業所区」である場合には、トイレデータベース10から「A営業所区」の管理区域情報を検索し、「A営業所区」を含む管理区域情報と関連付けされた、「A駅」からなる施設情報と、「オ駅」からなる施設情報とを取得する。表示制御部50は、このように取得した施設情報(「A駅」及び「オ駅」を含む情報)を、閲覧者情報の発信元である端末3(上記の例では、「三山三夫」が使用している端末3C)に伝達し、表示画面に表示させる。この施設情報を表示画面に表示させることは、施設情報を基準としてトイレデータベース10を構築していることを意味する。つまり、施設情報を基準としてトイレ情報および管理区域情報が階層となって整理されていることを意味する。
【0035】
図7には、閲覧者情報の発信元である端末3(上記の例では、清掃事業者2Cに属する「三山三夫」が使用している端末3C)の表示画面に表示される施設情報が示される。この画面は、トイレ管理システム1では「駅リスト」として扱われ、本実施形態では「A駅」及び「オ駅」が一覧表示される。
【0036】
なお、表示制御部50は、トイレデータベース10に記憶されている管理区域情報から、閲覧者の管理区域情報を検索した際に、管理区域情報を見つけることができない場合には、閲覧者が閲覧可能な管理区域情報がトイレデータベース10に記憶されていないことを示す情報を、取得した施設情報を閲覧者情報の発信元である端末3に伝達し、表示画面に表示させるとよい。
【0037】
ここで、閲覧者が利用している端末3に表示された施設情報のうちいずれか1つを、閲覧者が選択できるように構成すると好適である。この場合には、表示制御部50は、選択された施設情報に関連付けされたトイレ情報を表示画面に表示させるとよい。選択された施設情報とは、閲覧者が利用している端末3に表示された施設情報のうち、閲覧者が選択した施設情報である。施設情報に関連付けされたトイレ情報とは、トイレデータベース10において、施設情報と関連付けして記憶されているトイレ情報である。ここで、本実施形態ではトイレ情報には、上述したように「ID」、「名称」、「属性」、及び「位置」、「空き情報」、「トイレットペーパー残量情報」を示す情報が含まれるが、閲覧者が把握できるのであれば、トイレ情報として少なくとも「名称」、及び「位置」を含んでいればよい。表示制御部50は、閲覧者が利用している端末3に表示された施設情報のうち、閲覧者が選択した施設情報に関連付けされたトイレ情報として、少なくとも「名称」、及び「位置」を閲覧者が利用している端末3の表示画面に表示する。
【0038】
図7の(B)には、閲覧者情報の発信元である端末3(上記の例では、「三山三夫」が使用している端末3C)の表示画面に表示される「トイレリスト」の一例が示される。例えば、図7の(A)に示される「駅リスト」において、閲覧者が「A駅」を選択すると、表示制御部50は、当該「A駅」に関連付けされたトイレ情報として、ID「001」に係る「1F北トイレ(女性)」のトイレ情報と、ID「002」に係る「1F北トイレ(男性)」のトイレ情報とを、表示画面に表示させる。また、このとき、他の営業所区(「B営業所区」)ではあるが、同じ駅(「A駅」)にあるID「003」に係る「1F北共用トイレ」のトイレ情報と、ID「004」に係る「1F南トイレ(女性)」のトイレ情報と、ID「005」に係る「1F南トイレ(男性)」のトイレ情報とを、表示画面に表示させるとよい。また、夫々のトイレ情報として、上述した「ペーパー残量情報」と共に、水石鹸の残量を示す「水情報」や、異常を報知する「アラート」を表示するとよい。
【0039】
また、図示はしないが、例えば、図7の(A)に示される「駅リスト」において、閲覧者が「オ駅」を選択すると、表示制御部50は、当該「オ駅」に関連付けされたトイレ情報として、ID「022」に係る「トイレ(女性)」のトイレ情報と、ID「023」に係る「トイレ(男性)」のトイレ情報とを、表示画面に表示させ、上述した「ペーパー残量情報」、「水情報」、及び「アラート」を表示するとよい。
【0040】
例えば、図7の(B)に示される「トイレリスト」において、閲覧者によって所定のトイレが選択されると、選択されたトイレに関する更に詳細な情報を表示するように構成してもよい。また、図7の(B)に示される「トイレリスト」において表示されるトイレにおける使用状況(例えば使用回数や使用率など)を示す情報を表示するように構成してもよい。図示しないが、清掃事業者2Cに関して、図2(C)に示すようにA駅にA営業所区とB営業所区とが跨っている場合、A営業所区に属するユーザの端末3CとB営業所区に属するユーザの端末3Cとには、A駅全体のトイレ情報を表示することが好ましい。これにより、A営業所区に所属するユーザが、B営業所区が管理するトイレを清掃するといった柔軟な対応が可能となる。
【0041】
図8には、図6のユーザID「017」である鉄道事業者2Aに属する「九山九夫」が端末3Aから「ウ駅」のトイレの状況を確認する際の一連の様子が示される。まず、ユーザID「017」である「九山九夫」による操作に応じて、閲覧者情報受付部30が「九山九夫」を示す閲覧者情報としてユーザID「017」を受け付ける。これによって、管理区域情報取得部40が、ユーザデータベース20において「九山九夫」のユーザ情報(ユーザID「017」)に関連付けされた管理区域情報として「E管区」を取得する。表示制御部50は、トイレデータベース10において「E管区」に関連付けされている施設情報(「C駅」、「ウ駅」、及び「エ駅」)を取得し、図8の(A)に示されるように、「九山九夫」が操作している端末3Aの表示画面に、駅リストとして、「C駅」、「ウ駅」、及び「エ駅」を一覧表示する。この状態で、「九山九夫」が「ウ駅」を選択すると、表示制御部50は、図8の(B)に示されるように、端末3Aの表示画面に「ウ駅」に設けられているID「018」の「トイレ(女性)」のトイレ情報と、ID「019」の「トイレ(男性)」のトイレ情報とを表示する。これにより、「九山九夫」が「ウ駅」のトイレの状況を確認することが可能となる。
【0042】
図9には、図6のユーザID「004」である保守事業者2Bに属する「二川二子」が端末3Bから「D駅」のトイレの状況を確認する際の一連の様子が示される。まず、ユーザID「004」である「二川二子」による操作に応じて、閲覧者情報受付部30が「二川二子」を示す閲覧者情報としてユーザID「004」を受け付ける。これによって、管理区域情報取得部40が、ユーザデータベース20において「二川二子」のユーザ情報(ユーザID「004」)に関連付けされた管理区域情報として「B支社区」を取得する。表示制御部50は、トイレデータベース10において「B支社区」に関連付けされている施設情報(「A駅」、「B駅」、「D駅」、「ア駅」、「イ駅」、「カ駅」、及び「キ駅」)を取得し、図9の(A)に示されるように、「二川二子」が操作している端末3Bの表示画面に、駅リストとして、「A駅」、「B駅」、「D駅」、「ア駅」、「イ駅」、「カ駅」、及び「キ駅」を一覧表示する。この状態で、「二川二子」が「D駅」を選択すると、表示制御部50は、図9の(B)に示されるように、端末3Bの表示画面に「D駅」に設けられているID「012」の「1F北トイレ(女性)」のトイレ情報と、ID「013」の「1F北トイレ(男性)」のトイレ情報とを表示する。これにより、「二川二子」が「D駅」のトイレの状況を確認することが可能となる。
【0043】
図10には、端末3に表示されるトイレ情報の一例が示されている。図10は、図7の(B)に示される端末3Cのトイレリストにおいて、「1F北トイレ(男性)」が選択された場合に表示される例である。図10の例では、端末3Cの表示画面における上方にトイレリストにおいて選択されたトイレ(「1F北トイレ(男性)」)の概要を示すマップが表示され、下方に異常個所が明示するリストが表示される。具体的には、「No.2」の個室トイレに、トイレットペーパーの残量が少ないことを示す「少」が付されて明示され、「No.1」の手洗い場に、汚れていることを示す「汚」が付されて明示される。また、リストにおける該当箇所を例えばマーキングや点滅表示等をして明示するとよい。これにより、清掃事業者2Cの担当者(例えば「三山三夫」)が、自身が担当するトイレの状況を、トイレに向かうことなく、視覚的に把握し易くできる。なお、リストは適宜、スクロール表示することで、当該トイレにおける他の状況を表示することが可能である。また、上述したように、駅5に設けられているトイレのうち、他の営業所区のトイレがトイレリストに表示されている場合には、自身が担当していないトイレ(他の営業所区のトイレ)であっても、同じ駅に設けられているトイレの状況を確認することができるので、例えば早急に清掃や部品の補充を行わなければならない場合には代理で行うことが可能となる。
【0044】
なお、管理区域情報取得部40及び表示制御部50における一連の処理は、具体的には以下のように行われる。管理区域情報取得部40は、ユーザデータベース20に記憶されているユーザ情報から、閲覧者情報受付部30から伝達された閲覧者情報に含まれるユーザIDと一致するユーザIDを含むユーザ情報があるか否かを検索する。閲覧者情報に含まれるユーザIDと一致するユーザIDがある場合には、閲覧者情報受付部30から伝達されたパスワードを、閲覧者情報に含まれるユーザIDと一致するユーザIDに係るパスワードと照合する。閲覧者情報受付部30から伝達されたパスワードが、閲覧者情報に含まれるユーザIDと一致するユーザIDに係るパスワードと一致する場合には、当該ユーザIDを有するユーザが、鉄道事業者2Aに属するスタッフであるか否かを判定する。鉄道事業者2Aに属するスタッフである場合には、トイレデータベース10から当該スタッフが所属する管区(例えば「A管区」)に含まれる施設情報(「駅名」)を取得して閲覧者が利用している端末3Aの表示画面に表示する。
【0045】
閲覧者情報受付部30から伝達されたパスワードが、閲覧者情報に含まれるユーザIDと一致するユーザIDに係るパスワードと一致する場合において、当該ユーザIDを有するユーザが、鉄道事業者2Aに属するスタッフでない場合には、当該ユーザIDを有するユーザが、保守事業者2Bに属するスタッフであるか否かを判定する。保守事業者2Bに属するスタッフである場合には、トイレデータベース10から当該スタッフが所属する営業所区(例えば「A営業所区」)に含まれる施設情報(「駅名」)を取得して閲覧者が利用している端末3Bの表示画面に表示する。
【0046】
閲覧者情報受付部30から伝達されたパスワードが、閲覧者情報に含まれるユーザIDと一致するユーザIDに係るパスワードと一致する場合において、当該ユーザIDを有するユーザが、鉄道事業者2Aに属するスタッフでなく、且つ、保守事業者2Bに属するスタッフでない場合には、当該ユーザIDを有するユーザが、清掃事業者2Cに属するスタッフであるか否かを判定する。清掃事業者2Cに属するスタッフである場合には、トイレデータベース10から当該スタッフが所属する支社区(例えば「A支社区」)に含まれる施設情報(「駅名」)を取得して閲覧者が利用している端末3Cの表示画面に表示する。
【0047】
なお、閲覧者情報受付部30から伝達されたパスワードが、閲覧者情報に含まれるユーザIDと一致するユーザIDに係るパスワードと一致する場合において、当該ユーザIDを有するユーザが、鉄道事業者2Aに属するスタッフでなく、保守事業者2Bに属するスタッフでなく、且つ、清掃事業者2Cに属するスタッフでない場合には、閲覧者情報の受け付けに戻るか、処理を終了するとよい。
【0048】
また、表示制御部50は、駅5に位置するトイレの個室ごとの時間帯別使用状況を表示画面に表示させることも可能である。駅5に位置するトイレとは、トイレ管理システム1により管理されているトイレであって、トイレデータベース10に施設情報(「駅名」)と関連付けしてトイレ情報が記憶されているトイレである。時間帯別使用状況とは、所定時間毎(例えば1時間毎)のトイレの使用回数や使用率等により規定されるトイレの状況である。表示制御部50は、端末3を操作する閲覧者から、上記時間帯別使用状況の表示要求があった場合に、当該端末3から要求されたトイレの状況を当該端末3の表示画面に表示させる。
【0049】
図11は、例えば「C駅」のトイレの時間帯別使用状況の表示例である。このような「C駅」のトイレの時間帯別使用状況は、図8の(A)で示した駅リストから「C駅」を選択し、更に「時間帯別使用状況」の表示アイコン(図示せず)を押下することで表示させることが可能である。
【0050】
図11の例では、「C駅」に設けられるID「008」の「2F南トイレ(女性)」、ID「009」の「2F南トイレ(男性)」、ID「010」の「1F東トイレ(女性)」、及びID「011」の「1F東トイレ(男性)」の1時間毎の使用回数と、1時間毎の使用率とが示される。このような時間帯別使用状況を用いてトイレの使用状況を解析することで、トイレの清掃頻度やトイレの増設を検討したり、トイレに設けられる機器や設備の故障を予測したりすることが可能となる。また、例えば複数のトイレの使用状況を取得している場合において、所定のトイレの使用状況が、他のトイレの使用状況と比べて著しく異なっている場合には、そのトイレに何らかの異変が生じている可能性がある。そこで、このように時間帯別使用状況を利用することで、異変を検知することも可能となる。
【0051】
次に、トイレ管理システム1による表示画面への表示処理について説明する。図12には、当該表示処理に係るフローチャートが示される。なお、フローチャートでは省略されているが、本実施形態ではトイレデータベース10にはトイレ情報と施設情報と管理区域情報とが互いに関連付けされた状態で予め記憶されており、ユーザデータベース20にはユーザ情報と管理区域情報とが互いに関連付けされた状態で記憶されている。
【0052】
閲覧者情報受付部30が、ネットワークに接続された所定の端末3から閲覧者情報を受け付けると(ステップ#1:Yes)、管理区域情報取得部40が、閲覧者情報で示されるユーザIDと一致するユーザIDを含むユーザ情報がユーザデータベース20に記憶されているか否かを確認する(ステップ#2)。閲覧者情報で示されるユーザIDと一致するユーザIDを含むユーザ情報がユーザデータベース20に記憶されている場合には(ステップ#2:Yes)、管理区域情報取得部40は、ユーザデータベース20から当該ユーザ情報に関連付けされた管理区域情報を検索する(ステップ#3)。
【0053】
管理区域情報取得部40がステップ#3において検索した管理区域情報を取得すると(ステップ#4:Yes)、表示制御部50がトイレデータベース10から当該管理区域情報に関連付けされた施設情報を検索する(ステップ#5)。表示制御部50は、ステップ#5において検索した施設情報を取得すると(ステップ#6:Yes)、上述した閲覧者情報を伝達してきた端末3の表示画面に、取得した施設情報を表示させる(ステップ#7)。
【0054】
端末3に表示画面に表示された施設情報が、閲覧者によって選択されると(ステップ#8:Yes)、表示制御部50は、トイレデータベース10において施設情報に関連付けされたトイレ情報を、端末3の表示画面に表示させる(ステップ#9)。
【0055】
ステップ#2において、閲覧者情報で示されるユーザIDと一致するユーザIDを含むユーザ情報がユーザデータベース20に記憶されていない場合には(ステップ#2:No)、表示制御部50は、上述した閲覧者情報を伝達してきた端末3の表示画面に、施設情報が閲覧できないこと示す情報を表示する(ステップ#10)。
【0056】
ステップ#4において、管理区域情報取得部40が管理区域情報を取得しない場合(ステップ#4:No)、表示制御部50は、上述した閲覧者情報を伝達してきた端末3の表示画面に、管理区域情報がないこと示す情報を表示する(ステップ#11)。
【0057】
ステップ#6において、表示制御部50が施設情報を取得しない場合(ステップ#6:No)、表示制御部50は、上述した閲覧者情報を伝達してきた端末3の表示画面に、施設情報がないこと示す情報を表示する(ステップ#12)。
【0058】
ステップ#8において、端末3に表示画面に表示された施設情報が、閲覧者によって選択されない場合において(ステップ#8:No)、閲覧者が処理の終了を希望する場合には(ステップ#13:Yes)、処理を終了し、閲覧者が処理の終了を希望しない場合には(ステップ#13:No)、ステップ#8に戻り、処理を継続する。
【0059】
以上の通り、本実施形態においては、複数の事業者2が事業領域100に対してそれぞれ独自に管理区域101を設定し、各事業者2はその事業者2に対応する管理区域101のいずれかを担当する場合に、ユーザ情報として所属する管理区域101を登録し、事業領域100内に設けられたトイレに対しては、複数の管理区域101ごとにいずれかの区域を登録しておく。ユーザが使用する端末3にトイレ情報を提供する際は、トイレ管理システム1は、必ずユーザが所属する管理区域101を参照して、表示させる施設群を検索する。これにより、事業者2ごとに異なる管理区域101を設定している場合であっても、ユーザが閲覧すべきトイレ群のみを表示させることができる。すなわち、閲覧者にとって不要なトイレのトイレ情報を表示画面に表示しないようにできる。このように、複数の事業者2の夫々が簡便に利用可能なトイレ管理システム1を実現できる。
【0060】
次に、トイレ管理システム1において駅5を追加する場合の例について説明する。駅5の追加は、例えばトイレ管理システム1の管理者や、鉄道事業者2Aの管理者が行うことが可能である。図13には、トイレ管理システム1において駅5の追加や、駅5の情報(施設情報)の変更(編集)を行う際の設定画面の一例が示される。
【0061】
例えば、駅5を追加する場合には、入力ボックス71に駅名を入力し、この追加する駅5が属する管区を入力ボックス72に入力する。また、この追加する駅5が属する線区を入力ボックス73に入力し、この追加する駅5が属する営業所区を入力ボックス74に入力する。駅5のトイレを清掃する清掃事業者2Cが複数いる場合には、一旦、上記のように入力した情報を保存した後、改めて入力ボックス71~73に入力し、更に入力ボックス74に先に入力した営業所区とは異なる営業所区を入力するとよい。また、入力ボックス74の追加ボタンを設けてもよい。もちろん、施設情報に、これら以外の情報を含ませる場合には、このような設定画面において登録できるように構成することが可能である。
【0062】
また、トイレ管理システム1において既に登録されている駅5の施設情報を変更する場合には、入力ボックス71において、既に登録されている駅5の駅名を入力することで、当該入力された駅名の駅5に関して既に記憶されている情報(管区、線区、営業所区)を、入力ボックス71~74の夫々に自動的に表示するとよい。このように自動的に表示された情報を変更することで、既に登録されている駅5の施設情報を変更することが可能である。
【0063】
上記のように駅5を追加した場合において、当該駅5にトイレが設けられているときはトイレ情報も追加する必要がある。また、既に登録されているトイレ情報を変更したい場合もある。トイレ情報の登録や、トイレ情報の編集は、「トイレ登録・編集」画面により行うことが可能である。図14には、トイレ情報の編集を行う場合の例が示される。
【0064】
図14の(A)には、既に登録されている、「D駅」に設けられているIDが「012」の「1F北トイレ(女性)」のトイレ情報が示される。具体的には、用途が「女性」用であって、トイレが設けられ位置が「在来線改札内」であることが示されている。例えばこのトイレを多目的トイレに改修した場合、図14の(B)に示されるように、トイレ情報における用途も「多目的」用に変更するとよい。
【0065】
図示はしないが、新たにトイレを設けた場合には、トイレが設けられる駅5である所属駅、名称、用途(性別)、及び位置を示す情報を入力するとよい。このように本トイレ管理システム1では、簡便に駅5を追加したり、トイレを追加したりすることが可能である。また、図5ではトイレの位置を示すトイレ情報として「改札内(又は、例えば「北口改札内」)」や「改札外」のように示したが、図14のように、「改札内」を「在来線改札内」や「新幹線改札内」として示すことも可能である。
【0066】
トイレを改修した場合には、トイレ情報だけでなく、トイレのレイアウトも変更することがある。また、トイレを新設する場合には、そのトイレのレイアウトを示す情報がトイレ管理システム1に登録される。図15には、このようなトイレのレイアウトの変更や新規登録を行う場合に利用される「トイレマップ登録・編集」画面が示される。トイレのレイアウトの変更を行う場合には、既に登録されているトイレのレイアウトを表示し、新規に登録する場合にはトイレ全体の形状を示す枠体80を作成して表示する。この枠体80の外には、手洗い場を示す手洗い場アイコン91と、個室トイレを示す個室トイレアイコン92と、小便器を示す小便器アイコン93とが表示される。これらのアイコンは、センサの設置が完了した数だけ表示されればよい。これらのアイコンを、枠体80内の所期の位置にドラッグ&ドロップすることでトイレのレイアウトを作成することが可能である。図15の例では、個室トイレアイコン92をドラッグし、枠体80における位置94にドロップする例が示される。
【0067】
図16には、アラート及び残量低減時の報知を設定する画面の一例が示される。図16の例では、「A駅」の設定を行っている場合の例である。例えば、管区として「B管区」が選択された場合、端末3の画面の下方に、「B管区」に含まれる駅として「A駅」と「ア駅」とが表示されると共に、「A駅」のトイレを清掃する清掃事業者2Cの営業所区を示す「A営業所区」と「B営業所区」とが表示される。また、「ア駅」のトイレを清掃する清掃事業者2Cの営業所区を示す「B営業所区」が表示される。
【0068】
例えば、図16の(A)において、「A駅」が選択されると(図16の(A)ではマウス操作によって選択されている)、図16の(B)に示されるように、「A駅」のトイレに関する設定画面が表示される。図16の(B)の例では、入力ボックス81により「長期滞在である」と判定する閾値となる時間が設定可能である。入力ボックス82により「長期に亘って使用されていない」(長期不使用)と判定する閾値となる時間が設定可能である。また、トイレに設けられているセンサが駆動状態にあるか否かを判定する閾値となる時間が入力ボックス83により設定可能である。更に、入力ボックス84では、トイレットペーパーの盗難の可能性を判定する閾値となる個数が設定可能であり、入力ボックス85では、水石鹸の盗難の可能性を判定する閾値となる量が設定可能である。これらの閾値は、プルダウンメニューを利用して適宜、変更可能である。なお、図16の例では、A駅における閾値を一括で変更できるように示したが、A駅のトイレ毎に閾値を変更できるように構成することも可能である。
【0069】
以上のように、トイレ管理システム1によれば、例えば新しい駅5や、トイレや、各種情報の登録や変更(編集)を容易に行うことが可能である。なお、トイレ管理システム1では、駅5やトイレは夫々を識別可能なIDが付されているが、新たに駅5やトイレを追加した場合には、トイレ管理システム1の内部処理では既にデータベースに登録されている順番にしたがって連番で付与したIDにより処理し、各端末3の表示画面では、別のIDを付与するとよい。すなわち、トイレ管理システム1の内部処理上のIDと、表示上のIDとを別個に付与すると好適である。表示上のIDは、例えば路線の始発駅から終着駅までの駅順に沿って表示上のIDを付与するとよい。これにより、IDを見ただけで、駅5のおおよその位置を把握し易くできる。また、トイレデータベース10が施設情報(駅情報)を基準として構築されているため、駅内にトイレ位置の変更や増設がなされたり、新駅が増設されたりした場合においても、既設のシステムにトイレ情報や施設情報を追加し、施設情報を各事業者に振り分ければ済むため、利便性が高い。
【0070】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、複数の事業者2には、鉄道事業者2Aと、保守事業者2Bと、清掃事業者2Cとが含まれ、トイレが設けられる施設5が駅5である場合の例を挙げて説明した。複数の事業者2が、高速道路等の有料道路を管理する道路事業者と、保守事業者2Bと、清掃事業者2Cとが含まれるように構成することも可能である。このような場合には、トイレ管理システム1は、例えば有料道路のサービスエリアやパーキングエリア等に設けられたトイレを管理することが可能である。また、鉄道事業者2Aに代えて、空港を管理する空港会社であってもよい。この場合には、トイレ管理システム1は、空港に設けられたトイレを管理することが可能である。
【0071】
上記実施形態では、鉄道事業者2Aは、互いに離間して複数の駅5が設けられた軌道等を管理する事業者であるとして説明した。例えば駅5に隣接して商業施設等が入った建物(所謂、駅ビル)が設けられている場合において、当該駅ビルを管理するビル管理会社を、鉄道事業者2Aに含めることも可能である。この場合、トイレ管理システム1によって、駅5に設けられているトイレと同様に、駅ビルに設けられているトイレも保守事業者2Bや清掃事業者2Cと共に管理することが可能となる。駅ビルに設けられているトイレに係る「位置」を示す情報は、駅5を基準とした「改札外」とするとよい。
【0072】
上記実施形態では、閲覧者情報受付部30が、閲覧者情報を受け付け、ユーザデータベース20に記憶されているユーザ情報(ユーザID、パスワード)と照合して、閲覧可能か否かを判定(閲覧権限の判定)するとして説明した。しかしながら、このような閲覧のタイミングの都度(ログインの都度)、閲覧可能か否かを判定するのではなく、ユーザデータベース20へのユーザ情報の登録時など事前に、ユーザ情報に係るユーザが各駅5の情報に対して閲覧可能か否かを判定しておき、駅5ごとの閲覧可否を記載した権限リストを作成しておいてもよい。ここで、権限リストとは、各駅5に対して、閲覧できるか否かを保持するリストであって、ユーザ毎に保持するとよい。なお、この場合には、ユーザ情報の登録時における処理が増大するが、入力されたユーザ情報に基づいて、各駅5の情報を閲覧可能か否かについて判定し、判定結果を保存しておくとよい。また、この場合の判定は、トイレ毎ではなく、駅5毎の判定で可能である。また、この場合、表示制御部50が表示を行う場合には、閲覧者情報とユーザ情報との照合後、当該閲覧者の権限リストを取得し、権限リストから表示する駅5のトイレ情報を取得し、表示するとよい。
【0073】
上記実施形態では、閲覧者の操作に応じて、閲覧者が操作する端末3の表示画面に駅リストが表示されるとして説明した。この駅リストを表示する際、閲覧者(ユーザ)に応じて表示される駅5の順番を変更することも可能である。この場合には、例えば、ユーザ情報に関連付けされた管理区域情報に応じて、表示される駅5をソートするとよい。具体的には、例えば管理区域情報として「〇管区」を有するユーザであれば、当該「〇管区」に含まれる路線(線区)毎に表示し、更に路線の始発駅から順番に表示するとよい。また、管理区域情報として「〇営業所区」を有するユーザであれば、例えば路線毎に距離が近い順に表示するとよい。更に、管理区域情報として「〇支社区」を有するユーザであれば、例えば、自動車での移動が想定されることから、路線にかかわらず、現在地から駅5までの道路に沿った距離が近い順に表示するとよい。もちろん、この場合にも、路線毎に距離が近い順に表示することも可能である。
【0074】
上記実施形態では、表示制御部50は、選択された施設情報に関連付けされたトイレ情報を表示画面に表示させるとして説明した。しかしながら、表示制御部50は、施設情報に関連付けされたトイレ情報を表示画面に表示させないように構成することも可能である。この場合には、例えば施設情報を表示画面に表示する際に、自動的にトイレ情報を表示画面に表示するように構成することが可能である。
【0075】
上記実施形態では、トイレ管理システム1について説明したが、上記実施形態における各機能部が行う処理を、コンピュータが実行するトイレ管理方法として構成することも可能である。係る場合、トイレ管理方法は、夫々の事業領域内に独自に設定した異なる管理区域101が重複する重複領域内の施設5に位置するトイレを複数の事業者2で管理するトイレ管理方法であって、トイレを示すトイレ情報と施設5を示す施設情報と事業者毎の管理区域101を示す管理区域情報とを、施設情報を基準として互いに関連付けしてトイレデータベース10に記憶するトイレデータベース記憶手順(図1のトイレデータバース10)と、複数の事業者2の夫々に属するユーザを示すユーザ情報とユーザが担当する管理区域101を示す管理区域情報とを互いに関連付けしてユーザデータベース20に記憶するユーザデータベース記憶手順(図1のユーザデータベース20)と、トイレ情報を閲覧する閲覧者を示す閲覧者情報を受け付ける閲覧者情報受付手順(図12の♯1)と、受け付けた閲覧者情報とユーザ情報とに基づいて、ユーザデータベース20から閲覧者に応じた管理区域情報を取得する管理区域情報取得手順(図12の♯4)と、取得された管理区域情報に基づいて、トイレデータベース10から管理区域情報に関連付けされた施設情報を取得して表示画面に一覧表示させる表示制御手順(図12の♯7)と、をコンピュータが実行する。
【0076】
更に、上記実施形態における各機能部が行う処理を、コンピュータが実行するトイレ管理プログラムとして構成することも可能である。係る場合、トイレ管理プログラムは、夫々の事業領域内に独自に設定した異なる管理区域101が重複する重複領域内の施設5に位置するトイレを複数の事業者2で管理する処理をコンピュータに実行させるためのトイレ管理プログラムであって、トイレを示すトイレ情報と施設5を示す施設情報と事業者毎の管理区域101を示す管理区域情報とを、施設情報を基準として互いに関連付けしてトイレデータベース10に記憶するトイレデータベース記憶処理(図1のトイレデータバース10)と、複数の事業者2の夫々に属するユーザを示すユーザ情報とユーザが担当する管理区域101を示す管理区域情報とを互いに関連付けしてユーザデータベース20に記憶するユーザデータベース記憶処理(図1のユーザデータベース20)と、トイレ情報を閲覧する閲覧者を示す閲覧者情報を受け付ける閲覧者情報受付処理(図12の♯1)と、受け付けた閲覧者情報とユーザ情報とに基づいて、ユーザデータベース20から閲覧者に応じた管理区域情報を取得する管理区域情報取得処理(図12の♯4)と、取得された管理区域情報に基づいて、トイレデータベース10から管理区域情報に関連付けされた施設情報を取得して表示画面に一覧表示させる表示制御処理(図12の♯7)と、をコンピュータに実行させる。
【0077】
このようなトイレ管理方法やトイレ管理プログラムも、上述したトイレ管理システム1と同様の効果を奏することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、トイレを管理する複数の事業者が使用可能なトイレ管理システム、トイレ管理方法及びトイレ管理プログラムに用いることが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1:トイレ管理システム
2:事業者
2A:鉄道事業者
2B:保守事業者
2C:清掃事業者
5:施設
10:トイレデータベース
20:ユーザデータベース
30:閲覧者情報受付部
40:管理区域情報取得部
50:表示制御部
100:事業領域
101:管理区域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16