(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029934
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】空気清浄機および空気清浄機の設置構造
(51)【国際特許分類】
B01D 46/52 20060101AFI20240229BHJP
F24F 8/108 20210101ALI20240229BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20240229BHJP
F24F 13/28 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B01D46/52 B
F24F8/108 210
F24F8/80 115
F24F8/80 216
F24F8/80 120
F24F13/28
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132414
(22)【出願日】2022-08-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】591066465
【氏名又は名称】日本エアーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】田口 誠
(72)【発明者】
【氏名】平松 和也
(72)【発明者】
【氏名】平沢 紘介
(72)【発明者】
【氏名】磯部 好秀
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA14
4D058KC17
4D058KC19
4D058KC30
4D058KC54
4D058KC62
4D058KC72
4D058QA01
4D058QA03
4D058QA11
(57)【要約】
【課題】作業者の熟練度に左右されず、作業スペースが限られた空間でも容易に高性能フィルタを交換で、かつバイパスリークの発生を防止できる空気清浄機を提供する。
【解決手段】ケーシング11と、このケーシングの内部に挿入された高性能フィルタ12とを備え、ケーシング11は、高性能フィルタ12の下面外周部を支持する支持面20を有し、ケーシング11に挿入された高性能フィルタ12は、ケーシング11にフィルタ固定部25によって固定され、フィルタ固定部25は、フィルタ押え26を高性能フィルタ12に押圧した状態で、フィルタ押え26の他縁部をケーシング11に締め付け固定する締付け具30を備え、締付け具30によってフィルタ押え26を高性能フィルタ12に押圧して、気密保持部材21を押圧することによって、支持面20と高性能フィルタ12の下面外周部とが気密に密着する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、このケーシングの内部に挿入された高性能フィルタとを備えた空気清浄機であって、
前記ケーシングは、前記高性能フィルタの下面外周部を支持する支持面を有し、
前記ケーシングに挿入された前記高性能フィルタは、前記ケーシングにフィルタ固定部によって固定され、
前記フィルタ固定部は、
前記高性能フィルタの下面外周部および/または前記支持面に設けられて、前記支持面と前記高性能フィルタの下面外周部との間の気密を保持する気密保持部材と、
前記ケーシングの上部に、一縁部が回動部を介して取り付けられることで、前記回動部を軸として上下に回動可能に設けられたフィルタ押えと、
前記フィルタ押えを前記高性能フィルタに押圧した状態で、前記フィルタ押えの他縁部を前記ケーシングに締め付け固定する締付け具とを備え、
前記締付け具によって前記フィルタ押えを前記高性能フィルタに押圧して、前記気密保持部材を押圧することによって、前記支持面と前記高性能フィルタの下面外周部とが気密に密着することを特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
前記高性能フィルタの前記回動部側の一縁部および/または前記フィルタ押えの一縁部には、前記締付け具によって前記フィルタ押えの他縁部を前記ケーシングに締め付け固定することによって、前記高性能フィルタの一縁部を前記気密保持部材に向けて押圧する押圧部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記締付け具は、前記ケーシングの正面に設けられるとともに、前記ケーシングの正面に着脱可能に取り付けられた正面化粧カバーによって覆われていることを特徴とする請求項1または2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記ケーシングの両側面に側面化粧カバーが設けられ、
前記正面化粧カバーおよび前記側面化粧カバーの下部は、前記ケーシングの下面より下方に突出しており、
前記正面化粧カバーおよび前記側面化粧カバーの下部には、外部の空気を取り入れる吸気口が設けられ、
前記ケーシングの下面に、前記吸気口から取り入れた空気を前記ケーシングの内部に流入させる流入口が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の空気清浄機。
【請求項5】
請求項4に記載の空気清浄機を列車の荷物棚に設置した空気清浄機の設置構造であって、
前記空気清浄機は、当該空気清浄機の正面化粧カバーを前記荷物棚の出し入れ口側に向けて、前記荷物棚に設置され、
前記荷物棚に設置された前記空気清浄機の上面と、前記荷物棚の天井面との間には空気が流通可能な隙間が設けられていることを特徴とする空気清浄機の設置構造。
【請求項6】
前記空気清浄機の前記側面化粧カバーの上縁部と後縁部との交差部は、前記ケーシングの背面より後ろ側に突出しており、
前記交差部の形状は、前記荷物棚の天井面と奥側面との交差部の形状とほぼ等しいことを特徴とする請求項5に記載の空気清浄機の設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内等の空気を吸引したうえで、当該空気に含まれている塵埃等を除去して、清浄空気として吹出す空気清浄用の空気清浄機および空気清浄機の設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
空気清浄機は、空気を取り入れる吸気口を有し、吸気口から取り入れた空気を内部に設けられたHEPAフィルタ等の高性能フィルタでろ過することで清浄された空気を機体外へと排出するようになっている。
このような空気清浄機の一例として特許文献1に記載のものが知られている。この空気清浄機は、空気清浄機本体と、この空気清浄機本体に開閉可能に取り付けられるとともに空気を吸い込む吸気口が形成されたパネルと、このパネルに設けられ、前記吸気口から吸い込まれた塵埃をろ過するプレフィルタと、前記空気清浄機本体に設けられ、前記プレフィルタを通過した塵埃をろ過する高性能フィルタとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、空気清浄機では、メンテナンスを簡便とするため、
図11に示すようにケンドン構造の溝に高性能フィルタをはめ込む形としている。このような、フィルタの取付構造では、高性能フィルタを通過しないバイパスリーク気流が5~20%程度発生し、空気清浄機の塵埃捕集効率はフィルタの単体捕集効率と比較すると低下してしまうという課題がある。
このため、バイパスリークを許容できない産業用空気清浄機ではLアングルとパッキンを使用して高性能フィルタを固定することで隙間が生じないように気密化する。
このようなフィルタの取付構造では、
図12に示すように、Lアングル1を固定するナット2を(1)~(4)の順番で繰り返して徐々にかつ均等に締め付けていくことで、高性能フィルタ3をパッキン4に密着させる必要があり、作業者の熟練技術が必要であること、また工具を使用する作業スペースが必要となることといった課題がある。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、作業者の熟練度に左右されず、作業スペースが限られた空間でも容易に高性能フィルタを交換で、かつバイパスリークの発生を防止できる空気清浄機および空気清浄機の設置構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明に係る空気清浄機は、ケーシングと、このケーシングの内部に挿入された高性能フィルタとを備えた空気清浄機であって、
前記ケーシングは、前記高性能フィルタの下面外周部を支持する支持面を有し、
前記ケーシングに挿入された前記高性能フィルタは、前記ケーシングにフィルタ固定部によって固定され、
前記フィルタ固定部は、
前記高性能フィルタの下面外周部および/または前記支持面に設けられて、前記支持面と前記高性能フィルタの下面外周部との間の気密を保持する気密保持部材と、
前記ケーシングの上部に、一縁部が回動部を介して取り付けられることで、前記回動部を軸として上下に回動可能に設けられたフィルタ押えと、
前記フィルタ押えを前記高性能フィルタに押圧した状態で、前記フィルタ押えの他縁部を前記ケーシングに締め付け固定する締付け具とを備え、
前記締付け具によって前記フィルタ押えを前記高性能フィルタに押圧して、前記気密保持部材を押圧することによって、前記支持面と前記高性能フィルタの下面外周部との間の気密が保持されることを特徴とする。
【0007】
ここで、「気密保持部材を、前記高性能フィルタの下面外周部および/または前記支持面に設ける」とは、高性能フィルタの下面外周部および支持面の双方にそれぞれ気密保持部材を設ける場合、高性能フィルタの下面外周部のみに気密保持部材を設ける場合、支持面のみに気密保持部材を設ける場合を含むことを意味する。
【0008】
本発明においては、締付け具によってフィルタ押えを高性能フィルタに押圧して、気密保持部材を押圧することによって、支持面と高性能フィルタの下面外周部とが気密に密着するので、支持面と高性能フィルタの下面外周部との間の気密を保持することができ、よって、バイパスリークの発生を防止できる。
また、フィルタ押えを、回動部を軸として下方に回動させて、高性能フィルタに押圧して、気密保持部材を押圧し、支持面と高性能フィルタの下面外周部との間の気密を保持するので、作業者の熟練度に左右されずに、バイパスリークの発生を防止できる。
また、高性能フィルタを押圧しているフィルタ押えを、回動部を軸として上方に回動させることで、フィルタ押えを高性能フィルタから離間させることができるので、作業スペースが限られた空間でも容易に高性能フィルタを交換できる。
【0009】
また、本発明の前記構成において、前記高性能フィルタの前記回動部側の一縁部および/または前記フィルタ押えの一縁部には、前記締付け具によって前記フィルタ押えの他縁部を前記ケーシングに締め付け固定することによって、前記高性能フィルタの一縁部を前記気密保持部材に向けて押圧する押圧部材が設けられていてもよい。
【0010】
ここで、「押圧部材を、前記高性能フィルタの前記回動部側の一縁部および/または前記フィルタ押えの一縁部に設ける」とは、高性能フィルタの一縁部およびフィルタ押えの一縁部にそれぞれ押圧部材を設ける場合、高性能フィルタの一縁部のみに押圧部材を設ける場合、フィルタ押えの一縁部のみに押圧部材を設ける場合を含むことを意味する。
【0011】
フィルタ押えの回動部側では、フィルタ押えによる押圧力が不足する可能性があるが、上記構成によれば、締付け具によってフィルタ押えの他縁部をケーシングに締め付け固定することによって、高性能フィルタの一縁部を気密保持部材に向けて押圧する押圧部材が設けられているので、回動部側においても、確実に支持面と高性能フィルタの下面外周部との間の気密を保持することができる。
【0012】
また、本発明の前記構成において、前記締付け具は、前記ケーシングの正面に設けられるとともに、前記ケーシングの正面に着脱可能に取り付けられた正面化粧カバーによって覆われていてもよい。
【0013】
このような構成によれば、締付け具によって、高性能フィルタの取付け作業および取外し作業をケーシングの正面側から容易に行うことができ、また、締付け具を正面化粧カバーによって覆って隠すことができるので、意匠性が優れたものとなる。
【0014】
また、本発明の前記構成において、前記ケーシングの両側面に側面化粧カバーが設けられ、
前記正面化粧カバーおよび前記側面化粧カバーの下部は、前記ケーシングの下面より下方に突出しており、
前記正面化粧カバーおよび前記側面化粧カバーの下部には、外部の空気を取り入れる吸気口が設けられ、
前記ケーシングの下面に、前記吸気口から取り入れた空気を前記ケーシングの内部に流入させる流入口が設けられていてもよい。
【0015】
このような構成によれば、正面化粧カバーおよび側面化粧カバーの下部が、ケーシングの下面より下方に突出しているので、空気清浄機を床、台、棚等の設置面に設置すると、ケーシング下面は設置面から離間する。このケーシング下面に流入口が設けられているので、吸気口から取り入れた空気を、流入口を通してケーシングの内部に確実に流入させることができる。
【0016】
また、本発明に係る空気清浄機の設置構造は、前記空気清浄機を列車の荷物棚に設置した空気清浄機の設置構造であって、
前記空気清浄機は、当該空気清浄機の正面化粧カバーを前記荷物棚の出し入れ口側に向けて、前記荷物棚に設置され、
前記荷物棚に設置された前記空気清浄機の上面と、前記荷物棚の天井面との間には空気が流通可能な隙間が設けられていてもよい。
【0017】
このような構成によれば、空気清浄機を、正面化粧カバーを前記荷物棚の出し入れ口側に向けて荷物棚に設置することによって、列車内の空気を空気清浄機の吸気口から取り入れたうえで、流入口からケーシングの内部に流入させることができる。そして、ケーシングの内部に挿入された高性能フィルタによって前記空気に含まれている塵埃等を除去して、清浄空気として吹出すが、荷物棚に設置された空気清浄機の上面と、荷物棚の天井面との間には空気が流通可能な隙間が設けられているので、清浄空気はこの隙間を通って列車内に行き渡るので、列車内の空気を確実に清浄することができる。
【0018】
また、本発明の前記構成において、前記空気清浄機の前記側面化粧カバーの上縁部と後縁部との交差部は、前記ケーシングの背面より後ろ側に突出しており、
前記交差部の形状は、前記荷物棚の天井面と奥側面との交差部の形状とほぼ等しくてもよい。
【0019】
ここで、「前記交差部の形状は、前記荷物棚の天井面と奥側面との交差部の形状とほぼ等しく」とは、例えば、側面化粧カバーの上縁部と後縁部との交差部k1が円弧状の場合、荷物棚の天井面と奥側面との交差部k2の形状が円弧状で、かつ、交差部k1,k2の円弧半径が等しいかまたは円弧半径の差が±30mm以内であることを意味する。
【0020】
このような構成によれば、ケーシングの背面より後ろ側に突出している、側面化粧カバーの上縁部と後縁部との交差部の形状が、荷物棚の天井面と奥側面との交差部の形状とほぼ等しくなっているので、空気清浄機を荷物棚に、空気清浄機の交差部を荷物棚の交差部に、近接させて配置することができる。このため、空気清浄機の荷物棚への納まりがよくなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、作業者の熟練度に左右されず、作業スペースが限られた空間でも容易に高性能フィルタを交換でき、かつバイパスリークの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る空気清浄機を示すもので、要部を示す側断面図である。
【
図3】同、正面化粧カバーを外した状態の空気清浄機の斜視図である。
【
図4】同、高機能フィルタを取り外している状態を示す空気清浄機の斜視図である。
【
図5】同、正面化粧カバーを外した状態の空気清浄機の正面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る空気清浄機の設置構造を示すもので、断面図である。
【
図10】実験例における列車の塵埃濃度の推移を示すグラフである。
【
図11】従来の高性能フィルタの取付構造を示す断面図である。
【
図12】従来の高性能フィルタの取付方法を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係る空気清浄機の要部を示す側断面図、
図2は空気清浄機の斜視図、
図3は正面化粧カバーを外した状態の空気清浄機の斜視図、
図4は高機能フィルタを取り外している状態を示す空気清浄機の斜視図、
図5は正面化粧カバーを外した状態の空気清浄機の正面図、
図6は空気清浄機の側面図、
図7は空気清浄機の背面図である。
【0024】
図1~
図7に示すように、本実施形態に係る空気清浄機10は、ケーシング11と、このケーシング11の内部に着脱可能に挿入されたHEPAフィルタ等の高性能フィルタ12と、ケーシング11の内部に高性能フィルタ12より下側に設けられたファン13と、ケーシング11の正面、および左右両側面にそれぞれ取り付けられた正面化粧カバー15および側面化粧カバー17,17とを備えている。この正面化粧カバー15の表面および側面化粧カバー17,17の表面には、それぞれ木目調のシートが貼り付けられている。
【0025】
ケーシング11は、高性能フィルタ12の下面外周部を支持する支持面20を有している。この支持面20は矩形環状に形成されており、ほぼ水平に配置されている。支持面20は、矩形環状に形成されているので、内側は上下に貫通する矩形状の孔20aとなっており、この孔20aに高性能フィルタ12の下面が面している。また、ケーシング11の背面は、支持面20より上方に突出しており、立壁11bとなっている。
支持面20と立壁11bの上部との間の距離は、高性能フィルタ12の厚さより若干長くなっている。したがって、高性能フィルタ12をケーシング11の内部に挿入し、支持面20に載置することによって、高性能フィルタ12は、ケーシング11の内部にほぼ水平に納まっている。
【0026】
高性能フィルタ12は、ろ過材となる矩形板状のフィルタ本体12aと、このフィルタ本体12aの外周部に固定された矩形枠状の枠体12bと、この枠体12bの下面に固定された気密保持部材21とを備えている。気密保持部材21は弾性部材によって形成された板状のパッキン材であり、矩形環状に形成され、その上面が枠体12bの下面に接着されている。
高性能フィルタ12は、その気密保持部材21を支持面20に載置することによって、当該支持面20によって下方から支持されている。
【0027】
ケーシング11の内部に挿入された高性能フィルタ12はフィルタ固定部25によって固定されている。
フィルタ固定部25は、前記気密保持部材21と、フィルタ押え26と、締付け具30とを備えている。
気密保持部材21は、高性能フィルタ12の枠体12bの下面に接着されているが、これに代えて、枠体12bに対向する前記支持面20の上面に接着してもよいし、気密保持部材21を2枚で構成し、一方の気密保持部材21を枠体12bの下面に接着し、他方の気密保持部材21を支持面20の上面に接着してもよい。
【0028】
フィルタ押え26は、ケーシング11の立壁11bの上部に、一縁部(
図1において右縁部)を蝶番等の回動部28を介して取り付けられることで、回動部28を軸として上下に回動可能に設けられたものであり、他縁部(
図1において左縁部)には、フック29,29が固定されている。
フィルタ押え26は、
図2~
図4に示すように、矩形枠状に形成されており、前部および左右両側部はそれぞれ横断面L字形に形成されている。そして、L字形の一片を構成する上壁部26aによって高性能フィルタ12の上面縁部を上方から押え、L字形の他片を構成側壁部26bによって高性能フィルタ12の側面上部を保持するようになっている。フィルタ押え26は矩形枠状に形成され、その内側は矩形状に開口し、この開口が高性能フィルタ12の上面に対向し、当該上面を外部に露出している。
また、前記フック29は、フィルタ押え29の前縁部の側壁部26bに左右に離間して2つ固定されている。
【0029】
締付け具30は、フィルタ押え26を高性能フィルタ12に押圧した状態で、フィルタ押え26の他縁部(
図1において左縁部)を、ケーシング11に締付け固定するものであり、以下のように構成されている。
すなわち、
図3および
図5に示すように、ケーシング11の前面(正面)には、取付金具31,31が左右に離間して固定されている。取付金具31には、レバー32が軸32aを軸として上下に回動可能に取り付けられている。このレバー32には、締付けロッド33が回転支持部材34を軸として回動可能に取り付けられている。締付けロッド33の先端部には、前記フック29に係止可能な三角形リング状の係止部35が軸35aを軸として回動可能に取り付けられている。締付けロッド33は回転支持部材34にねじ込まれており、ねじ込み長さを調整することによって、締付けロッド33の締付け力を調整可能となっている。
また、回転支持部材34は、レバー32の軸32aより、レバー32の先端側(
図3および
図5において下端側)に配置されているので、レバー32を、軸32aを軸として上方に回動させると、締付けロッド33が上方に移動し、レバー32を、軸32aを軸として下方に回動させると、締付けロッド33が下方に移動する(引っ張られる)ようになっている。
【0030】
このような締付け具30では、レバー32を上方に回動させて、係止部35をフィルタ押え26に固定されたフック29に引っ掛けて係止したうえで、レバー32を下方に回動させて、締付けロッド33を下方に引っ張ることによって、係止部35が係止しているフック29が下方に引き付けられ、これによって、フィルタ押え26を高性能フィルタ12に押圧して、気密保持部材21を押圧することによって、支持面20と高性能フィルタ12の下面外周部とが気密に密着する。
【0031】
また、
図1に示すように、高性能フィルタ12の枠体12bの回動部28側の一縁部(
図1において右縁部)には、押圧部材40が接着によって設けられている。押圧部材40は、帯板状の弾性部材によって形成されたパッキン材であり、その下面が枠体12bの上面に接着されている。
押圧部材40は、高性能フィルタ21の枠体12bの上面に接着されているが、これに代えて、枠体12bに対向するフィルタ押え26の下面に接着してもよいし、押圧部材40を2枚で構成し、一方の押圧部材40を枠体12bの上面に接着し、他方の押圧部材40をフィルタ押え26の下面に接着してもよい。
このような押圧部材40は、前記締付け具30によってフィルタ押え26の他縁部をケーシング11に締め付け固定することによって、高性能フィルタ12の一縁部を気密保持部材21に向けて押圧するようになっている。
【0032】
また、ケーシング11の内部の底面には、
図5および
図6に示すように、ファン(送風機)13が固定されている。ファン13は、回転することによって、下方から空気を吸い込み、外周側から吹き出すようになっており、吹き出された塵埃を含む空気は高性能フィルタ12によってろ過されて、つまり塵埃が除去されて、高性能フィルタ12の上面から外部に向けて吹き出されるようになっている。
【0033】
また、ケーシング11の底壁は、ファン13が設置されている部位において開口しており、この開口11aにファン13の下面に設けられている吸気口13aが面している。ケーシング11の下面には、プレフィルタ18が前記開口11aに面して設けられている。プレフィルタ18は比較的大きな塵埃を除去するものであり、断面コ字形の支持部材19,19によって左右側縁部が支持されている。プレフィルタ18は、支持部材19,19によって左右側縁部が支持さることで、ケーシング11の正面と直交する方向にスライド可能となっており、手前に引き出してスライドさせることで、ケーシング11から取り外すことができ、取り外した状態でプレフィルタ18を支持部材19,19間に挿入して奥側にスライドさせることで、ケーシング11に挿入することができる。つまり、プレフィルタ18はケーシング11に着脱可能に設けられている。このため、プレフィルタ18の交換が容易となる。
【0034】
上述したように、締付け具30は、
図2および
図3に示すように、ケーシング11の正面(前面)に設けられており、ケーシング11の正面に着脱可能に取り付けられた正面化粧カバー15によって覆われている。
正面化粧カバー15は、ケーシング11に以下のようにして着脱可能に取り付けられている。すなわち、正面化粧カバー15は、左右側縁部および上縁部が後方(
図2において側面化粧カバー17の上縁部に沿う方向、
図6において右方)に向けて折曲されており、折曲片15a,15a,15bとなっている。折曲片15a,15aは、左右の側面化粧カバー17,17の表面縁部に重ねられ、折曲片15bはケーシング11の上面縁部に重ねられている。また、折曲片15aの上部には、L字形の孔15cが形成されており、この孔15cは折曲片15aの縦縁に開口している。孔15cにはネジsが挿通されたうえで、側面化粧カバー17にねじ込まれている。また、折曲片15aの下端部にはネジsが挿通されたうえで、側面化粧カバー17にねじ込まれている。また、折曲片15bの左右両端部には、それぞれネジsが挿通されたうえで、ケーシング11にねじ込まれている。このようにして、ケーシング11に正面化粧カバー15が取り付けられている。
【0035】
ケーシング11から正面化粧カバー15を取り外す場合、折曲片15bの左右両端部のネジsを取り外すとともに、折曲片15aの下端部のネジsを取り外し、さらに、折曲片15aの上部のネジsを緩める。次に、正面化粧カバー15を少しだけ上方に引き上げて、折曲片15aの孔15cの開口をネジsの位置に合わせたうえで、正面化粧カバー15を手前に引くことによって、ネジsが孔15cから外れて、正面化粧カバー15を取り外すことができる。
【0036】
また、正面化粧カバー15の下部には、外部の空気を取り入れる複数の吸気口15aが設けられている。吸気口15aは正方形状に形成されており、縦横に所定間隔で複数配置されている。吸気口15aの形状は、正方形状以外の形状、例えば長方形、円形等であってもよい。
また、正面化粧カバー15の正面視における左側角部は縦長の矩形状に切り欠かれており、この切欠き部に運転表示灯45および異常表示灯46が露出している。
【0037】
側面化粧カバー17の下部には、外部の空気を取り入れる複数の吸気口17aが設けられている。吸気口17aは正方形状に形成されており、縦横に所定間隔で複数配置されている。吸気口17aの形状は、正方形状以外の形状、例えば長方形、円形等であってもよい。
また、
図4に示すように、側面化粧カバー17,17の下縁部間には、底板50がケーシング11の底壁と平行に設けられており、当該底板50の左右縁部は側面化粧カバー17,17の下縁部に一体的に接続されている。したがって、左右一対の側面化粧カバー17,17と底板50とは断面凹形に形成された外殻51を構成し、当該外殻51の略上半分に前記ケーシング11が挿入固定されている。
また、外殻51の前面側の下左角部には、上方に立設する取付板52が外殻51と一体的に形成され、当該取付板52には、前記運転表示灯45および異常表示灯46が取り付けられている。
【0038】
また、ケーシング11の下面には、前記吸気口15a,17aから取り入れた空気をケーシング11の内部に流入させる流入口11aが設けられている。つまり、上述したように、ケーシング11の底壁は、ファン13が設置されている部位において開口しており、この開口11aが流入口11aとなっている。
【0039】
また、
図7に示すように、空気清浄機10の背面側には、横長の矩形板状の補強板53が設けられ、当該補強板53の左右縁部は、左右一対の側面化粧板17,17に接続されている。これによって、前記外殻51が補強されている。また、補強板53の表面には木目調のシートが貼り付けられている。
なお、
図5において、符号55は運転スイッチ、符号56は風量調整ボリューム、符号57は端子台を示す。
【0040】
上記のような構成の空気清浄機10は、例えば
図8に示すように、列車80の荷物棚81に設置される。
この場合、空気清浄機10は、当該空気清浄機10の正面化粧カバー15を荷物棚81の出し入れ口側に向けて、荷物棚81に設置され、荷物棚81に設置された空気清浄機10の上面と、荷物棚81の天井面81aとの間には空気が流通可能な隙間gが設けられている。
また、空気清浄機10の側面化粧カバー17の上縁部と後縁部との交差部k1は、ケーシング11の背面より後ろ側に突出しており、交差部k1の形状は、荷物棚81の天井面と奥側面との交差部k2の形状とほぼ等しくなっている。
【0041】
また、
図9に示すように、列車80の客室の平面視において、荷物棚81,81は、列車80の前後(
図9において左右)に延在し、かつ座席上に設けられており、列車80の幅方向において対向離間して配置されている。
荷物棚81には、複数(
図9では片側3個、合計6個)の空気清浄機10が列車80の前後方向に所定間隔で配置されている。また、一方の荷物棚81に設置されている空気清浄機10と、他方の荷物棚81に設置されている空気清浄機10とは、列車80の幅方向において対向して配置されている。
上述したように、空気清浄機10の上面から吹出された清浄空気は、空気清浄機10の上面と、荷物棚81の天井面81aとの間に、空気が流通可能な隙間gが設けられているので、荷物棚81からその下方の客席側に向けて流れるとともに、荷物棚81の延在方向(列車80の長手方向)にも流れたうえで、下方の客席側に向けて流れる。
【0042】
荷物棚81に空気清浄機10を設置固定する場合、
図2~
図7に示すように、空気洗浄機10の下側の4つの角部にそれぞれ、固定金具58を取り付けておき、これら固定金具58を荷物棚81にねじ止めすることによって、行われている。
【0043】
以上のように本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
締付け具30によってフィルタ押え26を高性能フィルタ12に押圧して、気密保持部材21を押圧することによって、支持面20と高性能フィルタ12の下面外周部とが気密に密着するので、支持面20と高性能フィルタ12の下面外周部との間の気密を保持することができ、よって、バイパスリークの発生を防止できる。
また、フィルタ押え26を、回動部28を軸として下方に回動させて、高性能フィルタ12に押圧して、気密保持部材21を押圧し、支持面20と高性能フィルタ12の下面外周部との間の気密を保持するので、作業者の熟練度に左右されずに、バイパスリークの発生を防止できる。
また、高性能フィルタ12を押圧しているフィルタ押え26を、回動部28を軸として上方に回動させることで、フィルタ押え26を高性能フィルタ12から離間させることができるので、作業スペースが限られた空間でも容易に高性能フィルタ12を交換できる。
【0044】
また、フィルタ押え26の回動部28側では、フィルタ押え26による押圧力が不足する可能性があるが、締付け具30によってフィルタ押え26の他縁部をケーシング11に締め付け固定することによって、高性能フィルタ12の一縁部を気密保持部材21に向けて押圧する押圧部材40が設けられているので、回動部28側においても、確実に支持面20と高性能フィルタ12の下面外周部との間の気密を保持することができる。
【0045】
さらに、締付け具30は、ケーシング11の正面に設けられるとともに、ケーシング11の正面に着脱可能に取り付けられた正面化粧カバー15によって覆われているので、高性能フィルタ12の取付け作業および取外し作業をケーシング11の正面側から容易に行うことができ、また、締付け具30を正面化粧カバー15によって覆って隠すことができるので、意匠性が優れたものとなる。
加えて、正面化粧カバー15および側面化粧カバー17の下部が、ケーシング11の下面より下方に突出しているので、空気清浄機10を床、台、棚等の設置面に設置すると、ケーシング下面は設置面から離間する。このケーシング下面に流入口11aが設けられているので、吸気口15a,17aから取り入れた空気を、流入口11aを通してケーシング11の内部に確実に流入されることができる。
また、ケーシング11の下面に、プレフィルタ18が流入口11aに面して設けられているので、プレフィルタ18によって、比較的大きな塵埃を除去することができる。さらに、プレフィルタ18はケーシング11に着脱可能に設けられているので、プレフィルタ18の交換を容易に行える。
【0046】
また、空気清浄機10は、当該空気清浄機10の正面化粧カバー15を荷物棚81の出し入れ口側に向けて、荷物棚81に設置され、荷物棚81に設置された空気清浄機10の上面と、荷物棚81の天井面との間には空気が流通可能な隙間gが設けられているので、、列車内の空気を空気清浄機10の吸気口15a,17aから取り入れたうえで、流入口11aからケーシング11の内部に流入させることができる。そして、ケーシング11の内部に挿入された高性能フィルタ12によって空気に含まれている塵埃等を除去して、清浄空気として吹出すが、清浄空気は前記隙間gを通って列車内に行き渡るので、列車内の空気を確実に清浄することができる。
また、ケーシング11の背面より後ろ側に突出している、側面化粧カバー17の上縁部と後縁部との交差部k1の形状が、荷物棚81の天井面と奥側面との交差部k2の形状とほぼ等しくなっているので、空気清浄機10を荷物棚81に、空気清浄機10の交差部k1を荷物棚の交差部k2に、近接させて配置することができる。このため、空気清浄機10の荷物棚81への納まりがよくなる。
【0047】
なお、本実施形態では、本発明に係る空気清浄機10を列車80の荷物棚81に設置する場合を例にとって説明したが、空気清浄機10は、列車80の荷物棚81以外の場所に設置してもよい。
【0048】
次に、本発明に係る空気清浄機の設置構造の実験例について説明する。
[列車内気流可視化実験]
(実験方法)
(1)
図9に示すようなレイアウトにて、空気清浄機10を荷物棚81へ設置する(停止状態)。
(2)列車の空調を運転する。
(3)クリーンビューワー(ミスト発生機構を利用した可搬型気流可視化装置)を用い、空調吹出部からの気流を走査する。
(4)クリーンビューワーを用い、空調循環部への気流を調査する。
(5)空気清浄機10を運転し、室内への拡散状況を確認する。
【0049】
(実験結果)
(1)列車の空調機の空調吹出部から下方向へ約0.86m/sの流れを確認した。
本気流は空気清浄機10を運転してもほとんど変わらなかった。
(2)荷物棚の照明カバーの裏側に循環部と推定される吸い込み箇所を確認した。
(3)空気清浄機10からの清浄気流は荷物棚の天井部に衝突後荷物棚に沿って流れ、空調吹出部からの空調気流に乗って車内へ拡散した。
【0050】
(実験考察)
(1)実験結果(1)、(2)から列車内の気流形態は
図8に示す状態であると推定される。
(2)実験結果(1)、(3)から、懸念が提示されていた空気清浄機10の風による乗客の不快感は軽微であると考えられる。
【0051】
[空調の処理風量調査]
(実験方法)
(1)列車の空調を運転する。
(2)空調吹出部直下の風速を測定する。空調吹出部は、スリット幅35mmでかつ、列車の長手方向に延在するスリット状に形成され、測定ピッチは、スリットの長手方向に1000mmピッチとした。
(3)列車の右列、左列の各測定点の平均値を算出し、吹出面積を乗ずることで各列の風量を算出する。
(4)列車の右列と左列の風量を加算し、車両の空調処理風量を算出する。
【0052】
(実験結果)
図9に示す列車の測定結果から算出した平均吹出風速と風量の値を表1に示す。測定の結果得られた空調の処理風量は、54.8m
3/minとなり、事前に情報を得ていた外気導入風量80m
3/minに対し、少ない結果となった。(設定温度により風量が変化する為)
【0053】
【0054】
(実験考察)
外気導入風量と車内循環風量の合計が空調の処理風量となる為、本実験結果から空調の処理風量に関して下記と推定する。
(1)80m3/minは外気導入量ではなく、空調の処理風量である。
(2)測定値が80m3/minを下回ることから、80m3/minは空調の最大処理風量である。
(3)今回の測定時の処理風量はオートモードにより風量が調整されていた。
【0055】
[清浄度確認実験]
(実験方法)
(1)列車では
図9に示すように、3か所にパーティクルカウンターPを設置する。
(2)列車客室の扉を閉じる。
(3)列車の空調を運転/停止する。
(4)1分毎に塵埃濃度を測定し、塵埃濃度が安定していることを確認する。
(5)空気清浄機10を運転する。
(6)1分毎に塵埃濃度を測定し、塵埃濃度が安定するまで測定を継続する。
(7)3か所の測定結果を平均し、0.3μm以上粒子数を対象としてまとめる。
【0056】
(実験結果)
列車の塵埃濃度の推移を
図10に示す。また、初期塵埃濃度からの減少率を表2に示す。測定により、下記2項が得られた。
(1)空調運転時の空気清浄機10による塵埃濃度低減率は、77.6%となった。
(2)空調停止時の空気清浄機10による塵埃濃度低減率は、約90%となった。
【0057】
【0058】
(実験考察)
(1)実験結果(1)より空調運転時の塵埃減少率は、空調停止時の塵埃減少率は76%である。
(2)項実験結果(2)より空調機が停止し、空気清浄機単独での塵埃濃度減少率は約90%となった。
図9から予想した列車容積95m
3と空気清浄機10の風量18m
3/minから循環回数を求めると約11回/hとなる為、比較的良好な結果であると考えられる。
【符号の説明】
【0059】
10 空気清浄機
11 ケーシング
11a 流入口
12 高性能フィルタ
13 ファン
15 正面化粧カバー
15a 吸気口
17 側面化粧カバー
17a 吸気口
18 プレフィルタ
20 支持面
21 気密保持部材
25 フィルタ固定部
26 フィルタ押え
28 回動部
30 締付け具
40 押圧部材
80 列車
81 荷物棚
k1,k2 交差部
g 隙間
【手続補正書】
【提出日】2023-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、このケーシングの内部に挿入されたHEPAフィルタとを備えた空気清浄機であって、
前記ケーシングは、前記HEPAフィルタの下面外周部を支持する支持面を有し、
前記ケーシングに挿入された前記HEPAフィルタは、前記ケーシングにフィルタ固定部によって固定され、
前記フィルタ固定部は、
前記HEPAフィルタの下面外周部および/または前記支持面に設けられて、前記支持面と前記HEPAフィルタの下面外周部との間の気密を保持する気密保持部材と、
前記ケーシングの上部に、一縁部が回動部を介して取り付けられることで、前記回動部を軸として上下に回動可能に設けられたフィルタ押えと、
前記フィルタ押えを前記HEPAフィルタに押圧した状態で、前記フィルタ押えの他縁部を前記ケーシングに締め付け固定する締付け具とを備え、
前記締付け具によって前記フィルタ押えを前記HEPAフィルタに押圧して、前記気密保持部材を押圧することによって、前記支持面と前記HEPAフィルタの下面外周部とが気密に密着し、
前記締付け具は、前記ケーシングの正面に設けられるとともに、前記ケーシングの正面に着脱可能に取り付けられた正面化粧カバーによって覆われ、
前記ケーシングの両側面に側面化粧カバーが設けられ、
前記正面化粧カバーおよび前記側面化粧カバーの下部は、前記ケーシングの下面より下方に突出しており、
前記正面化粧カバーおよび前記側面化粧カバーの下部には、外部の空気を取り入れる吸気口が設けられ、
前記ケーシングの下面に、前記吸気口から取り入れた空気を前記ケーシングの内部に流入させる流入口が設けられていること特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
前記HEPAフィルタの前記回動部側の一縁部および/または前記フィルタ押えの一縁部には、前記締付け具によって前記フィルタ押えの他縁部を前記ケーシングに締め付け固定することによって、前記HEPAフィルタの一縁部を前記気密保持部材に向けて押圧する押圧部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の空気清浄機を列車の荷物棚に設置した空気清浄機の設置構造であって、
前記空気清浄機は、当該空気清浄機の正面化粧カバーを前記荷物棚の出し入れ口側に向けて、前記荷物棚に設置され、
前記荷物棚に設置された前記空気清浄機の上面と、前記荷物棚の天井面との間には空気が流通可能な隙間が設けられていることを特徴とする空気清浄機の設置構造。