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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029950
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】ダンパー装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16F 7/12 20060101AFI20240229BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20240229BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
F16F7/12
E04H9/02 311
F16F15/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132443
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】512041296
【氏名又は名称】株式会社名構設計
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】大谷 智▲徳▼
【テーマコード(参考)】
2E139
3J048
3J066
【Fターム(参考)】
2E139AA01
2E139AA05
2E139AB11
2E139AC19
2E139BA08
2E139BC04
2E139BD14
3J048AA06
3J048AC06
3J048BC09
3J048BE10
3J048EA38
3J066BA04
3J066BF01
3J066BG04
(57)【要約】
【課題】ブレース材を塑性変形させるまでに必要な構造物の歪みを小さくできるダンパー装置およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 一端側が構造物1の2点のうちの一方に連結されるブレース材20と、構造物1の2点のうちの他方に一端側が連結される連結部材40とを備え、ブレース材20が連結部材40よりも低い降伏点の材料から形成されることで、構造物1の2点間を結ぶ方向におけるブレース材20の寸法を構造物1の2点間の寸法よりも短くして、ブレース材20が塑性変形を開始するまでの弾性変形量を少なくできる。その結果、ブレース材20を塑性変形させるまでに必要な構造物1の歪み量を小さくできる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の2点間に配設されるダンパー装置において、
前記構造物の2点間を結ぶ軸方向に延設され、その延設された一端側が構造物の2点のうちの一方に連結されるブレース材と、そのブレース材の周囲を取り囲む中空形状に形成される拘束材と、前記構造物の2点のうちの他方に一端側が連結され、他端側が前記拘束材に直接または間接的に連結される連結部材と、を備え、
前記ブレース材は、前記連結部材よりも低い降伏点の材料から形成され、他端側が前記連結部材の他端側に直接または間接的に連結されることを特徴とするダンパー装置。
【請求項2】
前記ブレース材は、前記軸方向視における前記拘束材の内面形状よりも外形が小さく形成されることを特徴とする請求項1記載のダンパー装置。
【請求項3】
前記軸方向視において、前記ブレース材と前記拘束材の内面との間には所定の隙間が形成されることを特徴とする請求項2記載のダンパー装置。
【請求項4】
前記軸方向視において、前記ブレース材の側面に補強部材を備え、
前記ブレース材は、前記軸方向視における外形が十字型またはH型に形成されることを特徴とする請求項2又は3に記載のダンパー装置。
【請求項5】
前記軸方向において前記拘束材と前記連結部材との間に配設される中間材を備え、
前記拘束材と前記連結部材とは、中空形状に形成され、前記拘束材の他端側と前記連結部材の他端側とが前記中間材を介して連結されることを特徴とする請求項1記載のダンパー装置。
【請求項6】
前記拘束材と前記連結部材とは、前記軸方向視における外形および大きさが略同一に形成され、
前記軸方向視における前記ブレース材の他端側の外形は、前記拘束材の内面形状と略同一の形状に形成され、
前記ブレース材および前記拘束材の他端側は、前記拘束材の全周と前記ブレース材の全周とが連結された状態で、前記中間材に連結されることを特徴とする請求項5記載のダンパー装置。
【請求項7】
前記拘束材と前記連結部材とは、前記軸方向視における外形および大きさが略同一に形成され、
前記軸方向視における前記ブレース材の外形は、前記拘束材の内面形状と異なる形状に形成され、
前記ブレース材の他端側には、前記拘束材の内面に対し平行に配置される複数のプレート材が連結され、
前記ブレース材および前記拘束材の他端側は、前記拘束材の全周と前記ブレース材の一部および前記複数のプレート材とが連結された状態で、前記中間材に連結されることを特徴とする請求項5記載のダンパー装置。
【請求項8】
前記拘束材と前記連結部材とは、中空形状に形成され、前記拘束材の他端側と前記連結部材の他端側とが連結され、
前記ブレース材は、前記連結部材の内側に挿入される挿入部を他端側に備え、その挿入部が、前記連結部材の内面に連結されることを特徴とする請求項1記載のダンパー装置。
【請求項9】
前記ブレース材は、前記軸方向視における外形が十字型に形成され、前記軸方向視における4か所の端部側が前記連結部材の内面に連結されることを特徴とする請求項8記載のダンパー装置。
【請求項10】
前記拘束材と前記連結部材とは、同一の材料から形成されると共に、前記軸方向視において、略同一の形状および大きさに形成されることを特徴とする請求項8記載のダンパー装置。
【請求項11】
請求項8から10のいずれかに記載のダンパー装置の製造方法であって、
前記連結部材の内側に前記ブレース材の前記挿入部を挿入し、前記挿入部と前記連結部材とを連結する第1工程と、
前記ブレース材の一端側が挿入された前記拘束材を前記ブレース材の他端側に向けて変位させた後、前記拘束材および前記連結部材を連結する第2工程と、を備えることを特徴とするダンパー装置の製造方法。
【請求項12】
前記拘束材は、正方形または長方形に内面形状が形成され、
前記ブレース材は、前記軸方向視における外形が十字型に形成され、前記軸方向視における4か所の端部のそれぞれが、前記拘束材の内側の角部と対向する位置に配置されることを特徴とする請求項1記載のダンパー装置。
【請求項13】
前記軸方向視における前記ブレース材の4か所の端部側の両側面に規制部材を備えることを特徴とする請求項12記載のダンパー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンパー装置およびその製造方法に関し、特に、ブレース材を塑性変形させるまでに必要な構造物の歪みを小さくできるダンパー装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地震や風により構造物に作用するエネルギーを吸収するために、ダンパー装置を備えた構造物がある(特許文献1)。特許文献1に開示されるダンパー装置によれば、構造物の2点に両端が接続されるブレース材と、そのブレース材の周囲を取り囲む拘束材とを備え、構造物の2点を結ぶ方向へブレース材を塑性変形させることで構造物に作用するエネルギーを吸収できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-14100号公報(段落0016,0017,0036及び図1,4など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のダンパー装置では、ブレース材を塑性変形させるまでに必要な構造物の歪みが大きくなるという問題点があった。
【0005】
即ち、特許文献1のダンパー装置では、構造物の2点に両端が接続されるブレース材の一部に他の部分よりも断面積を小さくした降伏部を形成し、構造物にエネルギーが作用する場合に降伏部を塑性変形させることで、構造物に作用するエネルギーを吸収できる。
【0006】
しかしながら、特許文献1のダンパー装置のように、ブレース材の両端のそれぞれを構造物の2点に連結するものでは、ブレース材の他の部分も降伏部と同じ材料から形成されるため、ブレース材の降伏部以外の部分も弾性変形しやすい。そのため、降伏部が塑性変形域となるまでに必要なブレース材の弾性変形量が多くなりやすく、ブレース材を塑性変形させて構造物のエネルギーを吸収するまでに必要な構造物の歪みが大きくなるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明のダンパー装置は、構造物の2点間に配設されるものであり、構造物の2点間を結ぶ軸方向に延設され、その延設された一端側が構造物の2点のうちの一方に連結されるブレース材と、そのブレース材の周囲を取り囲む中空形状に形成される拘束材と、構造物の2点のうちの他方に一端側が連結され、他端側が拘束材に直接または間接的に連結される連結部材と、を備え、ブレース材は、連結部材よりも低い降伏点の材料から形成され、他端側が連結部材の他端側に直接または間接的に連結される。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載のダンパー装置によれば、構造物の2点間を結ぶ軸方向に延設され、その延設された一端側が構造物の2点のうちの一方に連結されるブレース材と、そのブレース材の周囲を取り囲む中空形状に形成される拘束材と、構造物の2点のうちの他方に一端側が連結され、他端側が拘束材に直接または間接的に連結される連結部材と、を備え、ブレース材は、連結部材よりも低い降伏点の材料から形成され、他端側が前記連結部材の他端側に直接または間接的に連結されるので、塑性変形してエネルギーを吸収するブレース材の両端を構造物の2点のそれぞれに連結しなくても良い。そのため、軸方向におけるブレース材の寸法を構造物の2点間の距離よりも小さくできる。従って、ブレース材が塑性変形するまでに必要なブレース材の弾性変形量を少なくできる。
【0009】
また、ブレース材が連結部材よりも低い降伏点の材料から形成されることで、ブレース材以外の部材が弾性変形しやすくなることを抑制できる。その結果、ブレース材を塑性変形させるまでに必要な構造物の歪み量を小さくできる。
【0010】
請求項2記載のダンパー装置によれば、請求項1記載のダンパー装置の奏する効果に加え、ブレース材は、軸方向視における拘束材の内面形状よりも外形が小さく形成されるので、ブレース材を配設する際に、ブレース材を拘束材の内側に挿入しやすくできる。その結果、ブレース材を拘束材に配設しやすくできる。
【0011】
請求項3記載のダンパー装置によれば、請求項2記載のダンパー装置の奏する効果に加え、軸方向視において、ブレース材と拘束材の内面との間には所定の隙間が形成されるので、ダンパー装置に力が加えられた際に軸方向と直交する方向にブレース材が変形する場合には、ブレース材を拘束材に当接させて、ブレース材の変形量を、ブレース材と拘束材の内面との間の隙間分に抑えることができる。その結果、ダンパー装置に力が加えられた際に、軸方向と直交する方向にブレース材が座屈することを抑制できる。
【0012】
請求項4記載のダンパー装置によれば、請求項2又は3に記載のダンパー装置の奏する効果に加え、軸方向視において、ブレース材の側面に補強部材を備え、ブレース材は、軸方向視における外形が十字型またはH型に形成されるので、ブレース材の設計の自由度を向上しつつ、ブレース材の座屈剛性を高めることができる。
【0013】
請求項5のダンパー装置よれば、請求項1記載のダンパー装置の奏する効果に加え、軸方向において拘束材と連結部材との間に配設される中間材を備え、拘束材と連結部材とは、中空形状に形成され、拘束材の他端側と連結部材の他端側とが中間材を介して連結されるので、拘束材と連結部材とを連結しやすくできる。
【0014】
即ち、拘束材と連結部材とを中空形状にした場合には、拘束材と連結部材との外形が異なると、拘束材の他端側と連結部材の他端側とを突き合わせることができず、それらの連結が困難になる。それら拘束材の他端側と連結部材の他端側とを中間材を介して連結できるので、拘束材と連結部材とを連結しやすくできる。
【0015】
請求項6記載のダンパー装置によれば、請求項5記載のダンパー装置の奏する効果に加え、拘束材と連結部材とは、軸方向視における外形および大きさが略同一に形成され、軸方向視におけるブレース材の他端側の外形は、拘束材の内面形状と略同一の形状に形成され、ブレース材および拘束材の他端側は、拘束材の全周とブレース材の全周とが連結された状態で、中間材に連結されるので、連結部材からブレース材に力を伝達した際に、ブレース材の周方向の一部に力が集中することを抑制できる。その結果、ダンパー装置に力が加えられた際に、連結部材またはブレース材が局部座屈することを抑制できる。
【0016】
請求項7記載のダンパー装置によれば、請求項5記載のダンパー装置の奏する効果に加え、拘束材と連結部材とは、軸方向視における外形および大きさが略同一に形成され、軸方向視におけるブレース材の外形は、拘束材の内面形状と異なる形状に形成され、ブレース材の他端側には、拘束材の内面に対し平行に配置される複数のプレート材が連結され、ブレース材および拘束材の他端側は、拘束材の全周とブレース材の一部および複数のプレート材とが連結された状態で、中間材に連結されるので、ブレース材の外形が拘束材の内面形状と異なる場合であっても、連結部材からブレース材に力を伝達した際に、ブレース材の周方向の一部に力が集中することを抑制できる。その結果、ダンパー装置に力が加えられた際に、連結部材またはブレース材が局部座屈することを抑制できる。
【0017】
請求項8記載のダンパー装置によれば、請求項1記載のダンパー装置の奏する効果に加え、拘束材と連結部材とは、中空形状に形成され、拘束材の他端側と連結部材の他端側とが連結され、ブレース材は、連結部材の内側に挿入される挿入部を他端側に備え、その挿入部が連結部材の内面に連結されるので、拘束材と連結部材との連結部の内側にブレース材を配置できる。そのため、ダンパー装置に力が加えられた際に、軸方向と直交する方向に拘束材と連結部材との連結部が座屈することを抑制できる。
【0018】
また、拘束材と連結部材との間にそれら拘束材と連結部材とを連結するための中間材を不要にできるので、ダンパー装置の製造コストを低減できる。
【0019】
請求項9記載のダンパー装置によれば、請求項8記載のダンパー装置の奏する効果に加え、ブレース材は、軸方向視における外形が十字型に形成され、軸方向視における4か所の端部側が連結部材の内面に連結されるので、ブレース材の挿入部を連結部材の内面に溶接する場合において、ブレース材の挿入部と連結部材の内面との連結量を確保できる。
【0020】
即ち、軸方向視における外形を十字型に形成することで、軸方向視における4か所の端部側の両側面と連結部材の内面とで、連結部材とブレース材とを溶接できる。その結果、ブレース材の挿入部と連結部材の内面との連結量を確保できる。
【0021】
また、軸方向視において十字型に形成されたブレース材の空間により、連結部材と挿入部とを溶接するために必要な作業空間を確保できる。その結果、連結部材の内面側に挿入部を簡易に溶接できる。
【0022】
請求項10記載のダンパー装置によれば、請求項8記載のダンパー装置の奏する効果に加え、拘束材と連結部材とは、同一の材料から形成されると共に、軸方向視において、略同一の形状および大きさに形成されるので、拘束材と連結部材とを同一の鋼材から形成できる。その結果、ダンパー装置の製造コストを低減できる。
【0023】
また、請求項10記載のダンパー装置によれば、軸方向視におけるブレース材の外形が連結部材の内面に溶接可能な大きさに形成されるので、軸方向視におけるブレース材と拘束材との間の隙間を小さくしやすくできる。その結果、ダンパー装置に力が加えられた際に、軸方向と直交する方向にブレース材が変形することを抑制しやすくできる。
【0024】
請求項11記載のダンパー装置の製造方法は、請求項8から10のいずれかに記載のダンパー装置の製造方法であり、連結部材の内側にブレース材の挿入部を挿入し、挿入部と連結部材とを連結する第1工程と、ブレース材の一端側が挿入された拘束材をブレース材の他端側に向けて変位させた後、拘束材および連結部材を連結する第2工程と、を備えるので、ブレース材の周囲に拘束材が配設される構造においても、連結部材の内側に挿入されるブレース材の挿入部と連結部材との連結を容易にできる。
【0025】
請求項12記載のダンパー装置によれば、請求項1記載のダンパー装置の奏する効果に加え、拘束材は、正方形または長方形に内面形状が形成され、ブレース材は、軸方向視における外形が十字型に形成され、軸方向視における4か所の端部のそれぞれが、拘束材の内側の角部と対向する位置に配置されるので、軸方向と直交する方向において、ブレース材の厚みを厚くしなくてもブレース材の横断面の断面積を確保できる。その結果、ブレース材のコストを低減できる。
【0026】
また、軸方向視における4か所の端部のそれぞれが、拘束材の内側の角部と対向する位置に配置されるので、軸方向と直交する方向にブレース材が変形しようとする場合には、ブレース材を拘束材の内面に当接させやすくできる。その結果、ダンパー装置に力が加えられた際に軸方向と直交する方向にブレース材が変形することを抑制しやすくできる。
【0027】
請求項13記載のダンパー装置によれば、請求項12記載のダンパー装置の奏する効果に加え、軸方向視におけるブレース材の4か所の端部側の両側面に規制部材を備えるので、ダンパー装置に力が加えられた際に軸方向と直交する方向にブレース材が変形することを、規制部材により抑制できる。
【0028】
また、規制部材は、軸方向視における外形が十字型に形成されるブレース材の側面のうち、軸方向視におけるブレース材の4か所の端部側に配設され、軸方向視における4か所の端部のそれぞれが、拘束材の内側の角部と対向する位置に配置されるので、規制部材の外形を大きくしなくても、規制部材を拘束材の内面に近づけることができる。その結果、ダンパー装置の製造コストが高くなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1実施形態におけるダンパー装置の構造物に対する組み込み態様を示す側面図である。
図2】(a)は、ダンパー装置の側面図であり、(b)は、図2(a)のIIb-IIb線におけるダンパー装置の断面図であり、(c)は、図2(a)のIIc-IIc線におけるダンパー装置の断面図である。
図3】(a)は、図2(a)のIIIa-IIIa線におけるダンパー装置の断面図であり、(b)は、図3(a)のIIIb-IIIb線におけるダンパー装置の断面図である。
図4】(a)は、第2実施形態におけるダンパー装置の側面図であり、(b)は、図4(a)のIVb-IVb線におけるダンパー装置の断面図であり、(c)は、図4(a)のIVc-IVc線におけるダンパー装置の断面図である。
図5】(a)は、図4(a)のVa-Va線におけるダンパー装置の断面図であり、(b)は、図5(a)のVb-Vb線におけるダンパー装置の断面図である。
図6】(a)は、第3実施形態におけるダンパー装置の側面図であり、(b)は、図6(a)のVIb-VIb線におけるダンパー装置の断面図であり、(c)は、図6(a)のVIc-VIc線におけるダンパー装置の断面図である。
図7】(a)は、図6(a)のVIIa-VIIa線におけるダンパー装置の断面図であり、(b)は、図7(a)のVIIb-VIIb線におけるダンパー装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態におけるダンパー装置10の構造物1に対する組み込み態様について説明する。図1は、第1実施形態におけるダンパー装置10の構造物1に対する組み込み態様を示す側面図である。
【0031】
図1に示すように、柱2及び梁3により構成される構造物1(柱2及び梁3で構成される建物)には、一対の柱2及び一対の梁3で囲まれる矩形の空間において対向する位置の角部に一対のガセットプレート4が配設される。ダンパー装置10は、それら一対のガセットプレート4の間(構造物1の2点間)に組み込まれる。
【0032】
地震等により柱2及び梁3が変位される場合には、その変位により生じる力をダンパー装置10の軸方向(図2における左右方向(矢印L-R方向))に作用させる(ダンパー装置10に力が加えられる)。これにより、柱2及び梁3が許容量を超えて変位することを抑制できる。よって、構造物1が崩壊することを抑制できる。
【0033】
なお、ダンパー装置10は、後述する連結部材40の一端およびブレース材20の一端が、一対のガセットプレート4のそれぞれにスプライスプレートを介してボルト(図示せず)により締結される。
【0034】
次いで、図2及び図3を参照して、第1実施形態におけるダンパー装置10について説明する。図2(a)は、ダンパー装置10の側面図であり、図2(b)は、図2(a)のIIb-IIb線におけるダンパー装置10の断面図であり、図2(c)は、図2(a)のIIc-IIc線におけるダンパー装置10の断面図である。図3(a)は、図2(a)のIIIa-IIIa線におけるダンパー装置10の断面図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIb-IIIb線におけるダンパー装置10の断面図である。
【0035】
なお、図2(b)、図3(a)、及び、図3(b)におけるダンパー装置10の断面図では、後述するブレース材20及びプレート材21を連結する溶接がY1の符号を付して図示される。また、図3(a)及び図3(b)におけるダンパー装置10の断面図では、後述する連結部材40及び中間材50を連結する溶接がY2の符号を付して図示され、後出する拘束材30及び中間材50を連結する溶接がY3の符号を付して図示される。一方で、図2(c)におけるダンパー装置10の断面図では、溶接Y1が省略して図示される。また、図2(b)、図3(a)、及び、図3(b)に示すそれぞれの溶接Y1~Y3は裏当金が配置されて溶接されるが、溶接Y1~Y3の裏当金については、省略して図示される。
【0036】
また、以下の説明では、図2(a)に示す状態のダンパー装置10に対して、紙面奥側を後方側(矢印B方向側)として、紙面手前側を前方側(矢印F方向側)として、紙面上側を上方側(矢印U方向側)として、紙面下側を下方側(矢印D方向側)として、紙面右側を右方側(矢印R方向側)として、紙面左側を左方側(矢印L方向側)としてそれぞれ説明する。なお、構造物1(図1参照)に対しては、一対の柱2及び一対の梁3で囲まれる矩形の平面に対して、上下方向(矢印U-D方向)を直交させた向きでダンパー装置10が配置される。
【0037】
図2及び図3に示すように、ダンパー装置10は、左右方向(矢印L-R方向)に延設され、その延設された一端側(矢印R方向側)が構造物1(図1参照)の2点(一対のガセットプレート4(図1参照))のうちの一方に連結されるブレース材20と、そのブレース材20の周囲を取り囲む中空形状に形成される拘束材30と、構造物1の2点のうちの他方に一端側(矢印L方向側)が連結される連結部材40と、左右方向において拘束材30及び連結部材40の間に配設され、拘束材30の他端側(矢印L方向側)および連結部材40の他端側(矢印R方向側)が連結される中間材50とを主に備えて形成される。
【0038】
ブレース材20は、所定の板厚を有する鉄板を溶接により組み合わせて、又は、折り曲げて所定の断面形状に形成され、左右方向(矢印L-R方向)に延設される。第1実施形態におけるブレース材20は、3枚の鉄板を組み合わせて断面(左右方向視における外形)がH型に形成される。なお、ブレース材20の断面形状は、H型に限られるものではなく、口型や、十字型に形成されるものであっても良い。
【0039】
また、ブレース材20は、後述する連結部材40よりも低降伏点の材料(例えば、LY材、SN材)から形成され、構造物1(図1参照)に地震や風のエネルギーが作用してダンパー装置10に軸方向(左右方向(矢印L-R方向)の力が加えられる(加力される)場合に、連結部材40よりも先に塑性変形可能とされる。このブレース材20の塑性変形により構造物1に作用するエネルギーを吸収して、構造物1の揺れを抑えることができる。
【0040】
ブレース材20の側面には、他端側(矢印L方向側)の端部にプレート材21が配設され、そのプレート材21よりも一端側(矢印R方向側)に左右方向(矢印L-R方向)に所定の間隔で補強部材22が配設される。
【0041】
プレート材21は、ブレース材20の他端側(矢印L方向側)に枠状を形成するための鉄板であり、ブレース材と同一の材料から形成される。左右方向視における外形がH型に形成される第1実施形態のブレース材20では、ブレース材20の前後方向(矢印F-B方向)の両側の開放部分を塞ぐ位置にプレート材21が配設され、溶接Y1によりプレート材21がブレース材20に連結される。これにより、ブレース材20の他端側には、ブレース材20及び2枚のプレート材21により枠状が形成される。ブレース材20及びプレート材21によりブレース材20の他端側(矢印L方向側)に形成される枠状は、後述する拘束材30及び連結部材40の内面に沿う状態で配置される。
【0042】
なお、プレート材21の前後方向(矢印F-B方向)における厚みは、ブレース材20の板厚と略同一に設定される。これにより、連結部材40からブレース材20及びプレート材21に力が伝達される際に、ブレース材20又はプレート材21のどちらかに偏って力が伝達されることを抑制できる。
【0043】
補強部材22は、左右方向(矢印L-R方向)と直交する方向にブレース材20が変形(座屈)することを抑制する鉄板であり、左右方向視においてH型の外形に形成されるブレース材20の一対のフランジの間を繋ぐように配置される。また、補強部材22は、左右方向視においてH型の外形に形成されるブレース材20のウェブを挟んで一対配設され、その一対からなる一組が左右方向に所定の間隔で配設される。
【0044】
拘束材30は、前後方向(矢印F-B方向)、及び、上下方向(U-D方向)へのブレース材20の所定以上の変形(座屈)を規制しつつ、左右方向(矢印L-R方向)へのブレース材の変形(伸縮)を許容する部材であり、ブレース材20を挿入可能な大きさの空間を有する中空形状に形成される。第1実施形態における拘束材30は、1枚の鉄板を加工して形成される正方形状の角型鋼管から形成される。なお、拘束材30は、ブレース材20を内側に挿入可能であれば良く、4枚の鉄板を組み合わせることで断面が口型に形成されるものや、丸型鋼管から形成されるものであっても良い。
【0045】
また、前後方向(矢印F-B方向)における拘束材30の内面には、H型の断面に形成されるブレース材20の一部が第1の隙間H1(図2(c)参照)を隔てる位置まで近接され、上下方向(矢印U-D方向)における拘束材30の内面には、H型の断面に形成されるブレース材20の一部が第2の隙間H2(図2(c)参照)を隔てる位置まで近接される。従って、ブレース材20が前後方向または上下方向に変形しようとする場合には、ブレース材20の側面を拘束材30の内面に当接させることで、ブレース材20の前後方向または上下方向の変形を第1の隙間H1の距離、又は、第2の隙間H2の距離に収めることができる。その結果、ダンパー装置10に力が加えられた際に、前後方向または上下方向にブレース材20が座屈することを抑制できる。
【0046】
即ち、第1の隙間H1と第2の隙間H2とは、ブレース材20が前後方向(矢印F-B方向)又は上下方向(矢印U-D方向)に変形する場合に、ブレース材20が座屈しない範囲内の距離に設定されており、ブレース材20の剛性や、拘束材30の内面形状によって適宜変更される。
【0047】
なお、ブレース材20の側面を拘束材30の内面に当接させる場合には、前後方向(矢印F-B方向)及び上下方向(矢印U―D方向)におけるブレース材20の全面を拘束材30の内面に当接させる必要がない。即ち、ブレース材20は、少なくとも一部の外形が第1の隙間H1及び第2の隙間H2に維持されるようにすれば良い。従って、ブレース材20の外形の自由度を向上できる。その結果、ブレース材20の強度設計を簡易にできる。
【0048】
連結部材40は、構造物1(図1参照)の2点(一対のガセットプレート4(図1参照))のうちの一方に連結されるブレース材20を、構造物1の2点のうちの他方に連結するための部材であり、左右方向視(矢印L-R方向視)において拘束材30と略同一の外形および大きさに形成され、左右方向に延設される。
【0049】
なお、第1実施形態におけるダンパー装置10では、拘束材30及び連結部材40が、左右方向視(矢印L-R方向視)において同一の形状、及び、大きさに形成されると共に、同一の材料(例えば、SS材、SN材、SM材、SUS材などの一般鋼材)から形成される。即ち、拘束材30及び連結部材40は、同じ鋼材(第1実施形態では角型鋼管)から形成される。これにより、ダンパー装置10の製造コストを低減できる。
【0050】
中間材50は、拘束材30及び連結部材40を連結するための鉄板であり、所定の厚みで形成され、板厚方向を左右方向(矢印L-R方向)に向けた状態で配設される。また、中間材50は、左右方向視における外形が拘束材30及び連結部材40の外形よりも大きく形成される。これにより、拘束材30及び連結部材40と、中間材50との溶接領域を確保できる。
【0051】
また、中間材50に拘束材30及び連結部材40を連結することで、拘束材30の他端側および連結部材40の他端側の強度を向上できる。そのため、拘束材30及び連結部材40を中空形状に形成しても、それら拘束材30及び連結部材40の連結部分の強度を高めることができる。その結果、拘束材30及び連結部材40を中空形状に形成したとしても、それら拘束材30及び連結部材40の連結部分が座屈することを抑制できる。
【0052】
さらに、中間材50に拘束材30及び連結部材40を連結することで、それら拘束材30及び連結部材40の連結を簡易にできる。即ち、拘束材30及び連結部材40を直接連結するものでは、拘束材30及び連結部材40を互いに突き合わせて連結する必要があるため、拘束材30及び連結部材40の大きさが異なるとそれらの連結が困難になる。第1実施形態では、中間材50に拘束材30及び連結部材40を連結するだけで良いので、拘束材30及び連結部材40の大きさに関わらず、拘束材30と連結部材40とを連結しやすくできる。
【0053】
また、連結部材40には、開先が他端側(矢印R方向側)に形成される。連結部材40と中間材50とを連結する際には、連結部材40の他端側に形成された開先を埋めるように溶接Y2が溶接されることで、連結部材40と中間材50とが連結される。
【0054】
さらに、拘束材30には、中間材50と連結する際の開先が他端側(矢印L方向側)に形成され、ブレース材20及びプレート材21には、中間材50側(矢印L方向側)の端部に開先が形成される。拘束材30と中間材50とを連結する際には、拘束材30の他端側に形成された開先と共に、ブレース材20及びプレート材21に形成された開先を埋めるように溶接Y3が溶接されることで、拘束材30と中間材50とが連結されるだけでなく、拘束材30とブレース材20及びプレート材21とが連結されると共に、ブレース材20及びプレート材21と中間材50とが連結される。その結果、ダンパー装置10の製造工程を簡易にできる。
【0055】
次いで、第1実施形態におけるダンパー装置10の製造工程について説明する。第1の工程では、ブレース材20の他端側(矢印L方向側)の端部にプレート材21を溶接する。この場合、プレート材21は、左右方向(矢印L-R方向)における寸法が、上下方向(矢印U-D方向)における寸法と略同一の寸法に設定される。これにより、プレート材21をブレース材20に配設する際に、その配設方向を合わせる必要がなくなる。その結果、ブレース材20へのプレート材21の配設作業性を向上できる。
【0056】
なお、中間材50にブレース材20及びプレート材21を溶接するための開先は、第1の工程の後に形成されることが好ましい。第1の工程よりも先にプレート材21に開先を形成してしまうと、プレート材21にブレース材20に配設する際に、その配設方向を合わせる必要が生じ、配設作業性が低下するからである。
【0057】
第2の工程では、ブレース材20及びプレート材21を拘束材30の内側に挿入した後、拘束材30の他端側に中間材50を配設し、溶接Y3により、ブレース材20及びプレート材21により形成される枠状と拘束材30の全周とを連結しつつ、ブレース材20とプレート材21と拘束材30とを中間材50に連結する。
【0058】
この場合、左右方向視(矢印L-R方向視)におけるブレース材20及びプレート材21の外形は、拘束材30の内面形状よりも小さく形成されるので、ブレース材20及びプレート材21を拘束材30の内側に挿入しやすくできる。その結果、ブレース材20及びプレート材21を拘束材30に配設しやすくできる。
【0059】
最後に、第3の工程では、溶接Y2により連結部材40の全周を溶接して、連結部材40と中間材50とを連結する。これら第1~第3の工程により、ダンパー装置10が製造される。
【0060】
なお、拘束材30と中間材50との溶接Y3(第2の工程)は、連結部材40と中間材50との溶接Y2(第3の工程)よりも後の工程にしても良いが、拘束材30と中間材50との溶接Y3を先にすることが好ましい。これによれば、拘束材30と中間材50との溶接Y3により、ブレース材20及びプレート材21と、拘束材30と、中間材50とを連結した構造体を先に形成しておき、その構造体に後から、構造物1の2点間(一対のガセットプレート4(図1参照)の対向間)の寸法によって左右方向(矢印L-R方向)の寸法を調整した連結部材40を中間材50に溶接Y2により連結することで、所定のエネルギー吸収量を有したダンパー装置10の左右方向における寸法を簡易に変更できるからである。
【0061】
以上のように形成されるダンパー装置10によれば、連結部材40を介してブレース材20の他端側(矢印L方向側)を構造物1(図1参照)の2点のうちの他方に連結できるので、ブレース材20の両端を構造物1の2点のそれぞれに連結しなくても良い。そのため、左右方向(矢印L-R方向)におけるブレース材20の寸法を構造物1の2点間の距離よりも短くできる。よって、ブレース材20が塑性変形するまでに必要なブレース材20の弾性変形量を少なくできると共に、ブレース材20の剛性を高くすることができる。
【0062】
詳しく説明すると、例えば、ブレース材20の左右方向における全長を『A』とした場合に、そのブレース材20を塑性変形させるまでに必要な弾性変形量を『a』とすると、ブレース材20の左右方向における全長を『Aの半分』とすることで、ブレース材20を塑性変形させるまでに必要な弾性変形量を『aの半分』にできる。そのため、構造物1(図1参照)の2点間(一対のガセットプレート4(図1参照)の対向間)よりもブレース材20の全長を短くできるダンパー装置10では、構造物1の2点のそれぞれにブレース材の両端が連結されるダンパー装置に比べて、ブレース材20が塑性変形するまでに必要なブレース材20の弾性変形量を少なくできる。
【0063】
なお、ブレース材が塑性変形するまでに必要な弾性変形量を少なくするために、ブレース材の全長を『A』としたまま、ブレース材の一部の横断面の断面積を小さくする(ブレース材の一部を細くする)ことも考えられる。しかしながら、この場合であっても、ブレース材の一部以外もブレース材の一部と同じ材料から形成されるため、ブレース材の一部以外も弾性変形しやすくなる。そのため、ブレース材の一部が塑性変形域となるまでに必要なブレース材の弾性変形量が多くなりやすく、ブレース材を塑性変形させるまでに必要な構造物の歪み量が大きくなりやすい。
【0064】
これに対し、第1実施形態におけるブレース材20は、一端側が構造物(図1参照)の2点間(一対のガセットプレート4)のうちの一方に配設され、他端側が中間材50を介してブレース材20の他端側に連結される連結部材40よりも低い降伏点の材料から形成される。従って、連結部材40が弾性変形しやすくなることを抑制できる。その結果、ブレース材20を塑性変形させるまでに必要な構造物1の歪み量を小さくできる。
【0065】
また、上記したように、ブレース材の全長を『A』としたまま、ブレース材の一部の横断面の断面積を小さくした場合には、その分、ブレース材の剛性が低下する。また、ブレース材の剛性を確保しようとして、ブレース材の一部以外の領域の横断面の断面積を大きくして、ブレース材の一部の横断面の断面積を一部以外に比べて小さくした場合には、ダンパー装置自体が大きくなる。従って、ブレース材の一部の横断面の断面積を小さくするものでは、ブレース材(ダンパー装置)の強度設計が難しくなる。
【0066】
これに対し、ダンパー装置10では、ブレース材20の左右方向における全長を『A』よりも短くして、ブレース材20の弾性変形量を少なくできるので、ブレース材20の横断面の断面積を維持できる。そのため、ブレース材20の剛性を確保することができる。その結果、ブレース材20(ダンパー装置10)の強度設計を容易にできる。
【0067】
さらに、第1実施形態におけるダンパー装置10は、拘束材30と連結部材40との軸方向視における外形および大きさが略同一に形成され、ブレース材20及び拘束材30の他端側(矢印L方向側)が、ブレース材20及びプレート材21により形成される枠状と拘束材30の全周とが溶接Y3により連結された状態で中間材50に溶接されるので、連結部材40からブレース材20に力が伝達される際に、ブレース材20の周方向の一部に力が集中することを抑制できる。その結果、ダンパー装置10に力が加えられた際に、連結部材40又はブレース材20が局部座屈することを抑制できる。
【0068】
次いで、図4及び図5を参照して、第2実施形態におけるダンパー装置210について説明する。上記第1実施形態では、ブレース材20の断面がH型に形成される場合について説明したが、第2実施形態におけるダンパー装置210では、ブレース材220の断面が十字型に形成される場合について説明する。なお、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0069】
図4(a)は、第2実施形態におけるダンパー装置210の側面図であり、図4(b)は、図4(a)のIVb-IVb線におけるダンパー装置210の断面図であり、図4(c)は、図4(a)のIVc-IVc線におけるダンパー装置210の断面図である。図5(a)は、図4(a)のVa-Va線におけるダンパー装置210の断面図であり、図5(b)は、図5(a)のVb-Vb線におけるダンパー装置210の断面図である。
【0070】
図4(b)、図5(a)、及び、図5(b)におけるダンパー装置210の断面図では、第1実施形態におけるダンパー装置10と同様に、後述するブレース材220及びプレート材221を連結する溶接がY1の符号を付して図示される。また、図5(a)及び図5(b)におけるダンパー装置210の断面図では、連結部材40及び中間材50を連結する溶接がY2の符号を付して図示され、拘束材30及び中間材50を連結する溶接がY3の符号を付して図示される。一方で、図4(c)におけるダンパー装置210の断面図では、溶接Y1が省略して図示される。また、図4(b)、図5(a)、及び、図5(b)に示すそれぞれの溶接Y1~Y3は裏当金が配置されて溶接されるが、溶接Y1~Y3の裏当金については、省略して図示される。
【0071】
図4及び図5に示すように、第2実施形態におけるダンパー装置210は、左右方向(矢印L-R方向)に延設され、その延設された一端側(矢印L方向側)が構造物1(図1参照)の2点(一対のガセットプレート4(図1参照))のうちの一方に連結されるブレース材220と、拘束材30と、連結部材40と、中間材50とを主に備えて形成される。
【0072】
ブレース材220は、所定の板厚を有する3枚の鉄板を溶接により組み合わせて十字型の断面に形成され、左右方向(矢印L-R方向)に延設される。また、ブレース材220は、第1実施形態におけるブレース材20と同様に、連結部材40よりも低降伏点の材料(例えば、LY材、SN材)から形成され、構造物1(図1参照)に地震や風のエネルギーが作用してダンパー装置10に軸方向(左右方向(矢印L-R方向)の力が加えられる場合に、連結部材40よりも先に塑性変形可能とされる。
【0073】
また、ブレース材220は、左右方向視(矢印L-R方向視)において、十字型に形成された外縁側の4か所の外側端部220a(図4(b)及び図4(c)参照)のそれぞれが、角型鋼管から形成される拘束材30の内側の角部30a(図4(b)及び図4(c)参照)と対向する位置に配設される。
【0074】
即ち、ブレース材220は、左右方向視(矢印L―R方向視)において十字型に延設される2方向が、拘束材30の対角方向に沿って配置される。これにより、左右方向視(矢印L―R方向視)において十字型に延設される2方向へのブレース材220の寸法を最大にできる。
【0075】
従って、3枚の鉄板を組み合わせて形成されるブレース材220のそれぞれの鉄板の板厚を厚くしなくても、ブレース材220の横断面(左右方向と直交する平面で切断した断面)の断面積を確保できる。そのため、ブレース材220を形成するそれぞれの鉄板の板厚を薄くできる分、ブレース材220の製造コストを低減できる。
【0076】
また、ブレース材220は、左右方向視(矢印L-R方向視)において、十字型に形成された外縁側の4か所の外側端部220aのそれぞれが、角型鋼管から形成される拘束材30の内側の角部30aと対向する位置に配設されるので、外側端部220a側のブレース材220の両側面と拘束材30の内面との間の距離を近づけやすくできる。従って、ブレース材220の外側端部220a側がどちらかの側面側に向かって変形する場合に、外側端部220a側のブレース材220の側面を拘束材30の内面に当接させやすくできる。その結果、ダンパー装置210に力が加えられた際に、左右方向と直交する方向にブレース材220が変形することを抑えやすくできる。
【0077】
また、第2実施形態におけるブレース材220の他端側(矢印L方向側)の端部には、左右方向視(矢印L-R方向)において、十字型に形成された外縁側の4か所の外側端部220a側のそれぞれの側面を連結するように4枚のプレート材221が配設され、そのプレート材221が溶接Y1により連結される。これにより、ブレース材220の他端側には、4枚のプレート材221により枠状が形成される。
【0078】
4枚のプレート材221によりブレース材220の他端側(矢印L方向側)に形成される枠状は、拘束材30及び連結部材40の内面形状に沿う状態で配置される。なお、第2実施形態では、連結部材40からプレート材221に力が伝達されるように形成されるので、ブレース材220の板厚よりもプレート材221の厚みを小さくできる。これにより、ダンパー装置210の製造コストを低減できる。
【0079】
第2実施形態におけるダンパー装置210では、左右方向視(矢印L-R方向視)におけるブレース材220の外形が十字型に形成され、連結部材40及び拘束材30が正方形状の角型鋼管から形成される。従って、左右方向視において、前後方向(矢印F-B方向)におけるダンパー装置210の形状と、上下方向(矢印U-D方向)におけるダンパー装置210の形状とを同一にできる。そのため、ダンパー装置210を構造物1(図1参照)に配設する際に、前後方向と上下方向との配設方向を合わせる必要がなくなる。その結果、構造物1へのダンパー装置210の配設作業を簡易にできる。
【0080】
左右方向視(矢印L-R方向視)におけるブレース材220の側面には、左右方向に所定の間隔で補強部材222が配設される。補強部材222は、左右方向視において三角形状に形成されており、左右方向視において十字型の外形に形成されるブレース材220の中央部に向けて三角形状の1の頂点が配置され、その1の頂点から延びる2辺がブレース材220の側面に沿って延設される。なお、補強部材222は、ブレース材220の側面に沿って延設される2辺がブレース材220に溶接される。
【0081】
また、補強部材222は、左右方向視(矢印L-R方向視)において十字型の外形に形成されるブレース材220の上下方向(矢印U-D方向)及び前後方向(矢印F-B方向)の4か所に形成される空間に配設される。これにより、ブレース材220の設計の自由度を向上しつつ、ブレース材220の座屈剛性を高められる。
【0082】
さらに、上記したように左右方向視(矢印L-R方向視)におけるブレース材220の外形を十字型にすることで、ブレース材220の板厚を薄くしようとする場合には、3枚の鉄板を溶接してブレース材220を形成する際の熱でブレース材220が部分的に歪む恐れがあるところ、補強部材222を設けることで、ブレース材220を形成する際の熱でブレース材220が歪むことを抑制できる。その結果、ダンパー装置210の設計上のエネルギー吸収量を確保できる。
【0083】
次いで、図6及び図7を参照して、第3実施形態におけるダンパー装置310について説明する。上記第1実施形態では、拘束材30と連結部材40とを中間材50を介して連結する場合について説明したが、第3実施形態におけるダンパー装置310では、拘束材30と連結部材40とが直接連結される場合について説明する。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0084】
図6(a)は、第3実施形態におけるダンパー装置310の側面図であり、図6(b)は、図6(a)のVIb-VIb線におけるダンパー装置310の断面図であり、図6(c)は、図6(a)のVIc-VIc線におけるダンパー装置310の断面図である。図7(a)は、図6(a)のVIIa-VIIa線におけるダンパー装置310の断面図であり、図7(b)は、図7(a)のVIIb-VIIb線におけるダンパー装置310の断面図である。
【0085】
図6(b)、図7(a)、及び、図7(b)におけるダンパー装置310の断面図では、後述するブレース材320及び連結部材40を連結する溶接がY4の符号を付して図示される。また、図7(a)及び図7(b)におけるダンパー装置310の断面図では、連結部材40及び拘束材30を連結する溶接がY5の符号を付して図示される。一方で、図6(c)におけるダンパー装置310の断面図では、溶接Y4が省略して図示される。また、図7(a)及び図7(b)に示す溶接Y5は裏当金が配置されて溶接されるが、溶接Y5の裏当金については、省略して図示される。
【0086】
図6及び図7に示すように、第3実施形態におけるダンパー装置310は、ブレース材320と、拘束材30と、連結部材40とを主に備えて形成され、ブレース材320が連結部材40に連結されると共に、拘束材30及び連結部材40が連結される。
【0087】
ブレース材320は、第2実施形態におけるブレース材220と同様に、所定の板厚を有する3枚の鉄板を溶接により組み合わせて十字型の断面に形成され、左右方向(矢印L-R方向)に延設される。また、第3実施形態におけるブレース材320は、他端側(矢印L方向側)に連結部材40の他端側(矢印R方向側)に挿入可能な挿入部320bを備える。
【0088】
挿入部320bは、連結部材40の内面に連結される部分であり、拘束材30の他端側(矢印L方向側)の端部を超えて連結部材40側(矢印L方向側)に所定の長さ突出して形成される。なお、挿入部320bは、左右方向視(矢印L-R方向視)において、拘束材30の内側に挿通されるブレース材320と同様の外形、及び、大きさに形成される。
【0089】
また、挿入部320bは、左右方向視(矢印L-R方向視)において十字型の外形に形成された外縁側の4か所の外側端部320b1(図6(b)参照)が、角型鋼管から形成される連結部材40の内側の角部40a(図6(b)参照)と対向する位置に配置される。
【0090】
挿入部320bと連結部材40とは、左右方向視(矢印L-R方向視)における外側端部320b1側の側面が連結部材40の内側に溶接Y4により溶接されることで連結される。これにより、溶接Y4による挿入部320bと連結部材40との連結箇所を最大で8か所にできる。従って、ブレース材320の挿入部320bが連結部材40の内側に挿入される場合であっても、連結部材40とブレース材320との連結量を確保できる。
【0091】
なお、左右方向視(矢印L-R方向視)において十字型の外形にブレース材320が形成されるので、ブレース材320の間の空間により、挿入部320bと連結部材40とを溶接するために必要な作業空間を確保できる。その結果、連結部材40の内面側に挿入部320bを簡易に溶接できる。
【0092】
また、第3実施形態におけるブレース材320には、左右方向視(矢印L-R方向視)における側面に規制部材323と、補強部材222とが左右方向に所定の間隔で配設される。規制部材323は、左右方向と直交する方向にブレース材320が変形することを抑制する部材であり、左右方向視において外側端部220a側の両側面に配設される。
【0093】
規制部材323は、ブレース材320に配設された状態において、拘束材30の内面と対向する側面が拘束材30の内面と平行に形成されると共に、拘束材30の内面と対向する側面が拘束材30の内面と所定の間隔を隔てる大きさに形成される。
【0094】
よって、ダンパー装置310に力が加えられた際に、左右方向(矢印L-R方向)と直交する方向にブレース材320が変形しようとする場合には、拘束材30の内面に規制部材323を当接させることができる。この拘束材30の内面と規制部材323との当接により、左右方向と直交する方向にブレース材320が変形することを抑制できる。
【0095】
なお、規制部材323は、拘束材30の内側の角部30aと対向する外側端部220a側に配設されるので、規制部材323の外形を大きくしなくても規制部材323を拘束材30の内面に近づけて配置しやすくできる。その結果、規制部材323の大型化を抑制して、規制部材323の製造コストを抑えることができる。
【0096】
拘束材30と連結部材40とは、左右方向視(矢印L-R方向視)において同一の形状、及び、同一の大きさに形成され、拘束材30の他端側(矢印L方向側)の端部と連結部材の他端側(矢印R方向側)の端部とが当接された状態で溶接される。なお、第3実施形態におけるダンパー装置310では、拘束材30の他端側(矢印L方向側)の端部に開先が形成され、その開先を埋めるように溶接Y5が溶接されることで、拘束材30と連結部材40とが連結される。
【0097】
次いで、第3実施形態におけるダンパー装置310の製造方法について説明する。第1の工程では、補強部材222及び規制部材323が配設されたブレース材320の挿入部320bが連結部材40の他端側(矢印R方向側)の端部に挿入され、連結部材40と挿入部320bとが溶接Y4により連結される。
【0098】
第2の工程では、ブレース材320の一端側(矢印R方向側)を内側に受け入れた拘束材30がブレース材320の一端側から他端側(矢印L方向側)に向かって移動され、拘束材30と連結部材40とが左右方向(矢印L-R方向)に隣り合う位置で溶接Y5により連結される。
【0099】
これら第1の工程および第2の工程により、第3実施形態におけるダンパー装置310が製造される。以上のように製造されるダンパー装置310では、ブレース材320の周囲に拘束材30が配設される構造においても、連結部材40の内側に挿入される挿入部320bと連結部材40の内面との連結作業を簡易にできる。
【0100】
また、拘束材30と連結部材40とが左右方向視(矢印L-R方向視)において、同一の形状、及び、同一の大きさの部材から形成されるので、ブレース材320における挿入部320bの外形を変更しなくても、拘束材30とブレース材320との間に形成される隙間を小さくできる。
【0101】
即ち、ブレース材320の挿入部320bは、連結部材40の内面に溶接可能な大きさに形成されるので、左右方向視(矢印L-R方向視)におけるブレース材320と拘束材30の内面との間の隙間を、ブレース材320と拘束材30の内面とを溶接可能な程度の隙間にできる。その結果、左右方向と直交する方向におけるブレース材320の変形を拘束材30により抑制しやすくできる。
【0102】
さらに、拘束材30と連結部材40との実質的な連結量を挿入部320bと連結部材40との連結部分で確保できる。その結果、ダンパー装置10に力が加えられた際に、左右方向(矢印L-R方向)と直交する方向に拘束材30と連結部材40との連結部分が座屈することを抑制できる。また、第1実施形態におけるダンパー装置10のように中間材50を不要にできるので、ダンパー装置310の製造コストを低減できる。
【0103】
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0104】
上記第1~第3実施形態では、連結部材40が中空形状に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、連結部材40が中実状の柱状体から形成されるものであっても良い。
【0105】
上記第1~第3実施形態では、拘束材30及び連結部材40が中空状に形成される場合について説明したが、拘束材30及び連結部材40の内側にコンクリートやモルタルといった素材を注入しても良い。なお、コンクリートやモルタルは、拘束材30又は連結部材40の一方の内側に注入されるものであっても良い。
【0106】
この場合、内側にブレース材20,220,320が配設される拘束材30に、コンクリートやモルタルを注入して固めることで、左右方向(矢印L-R方向)と直交する方向にブレース材20,220,320が座屈することを抑制できる。そのため、左右方向と直交する方向へのブレース材20,220,320の座屈を抑制するためにブレース材20,220,320の側面に配設される補強部材22,222や規制部材323の一部または全部を省略できる。
【0107】
また、連結部材40にコンクリートやモルタルを注入して固めることで、左右方向(矢印L-R方向)と直交する方向に連結部材40が座屈することを抑制できる。よって、連結部材40の横断面の断面積を小さくできる。
【0108】
上記第1~第3実施形態では、ブレース材20,220,320が所定の板厚を有する鉄板を組み合わせて、又は、折り曲げて形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ブレース材20,220,320が1枚の鉄板、又は、中実鋼材から形成されるものであっても良い。
【0109】
上記第1~第3実施形態では、左右方向視(矢印L-R方向視)において、ブレース材20,220,320と拘束材30の内面との間に所定の隙間が形成される場合について説明したが、ブレース材20,220,320が拘束材30の内面に当接する大きさに形成されるものであっても、ブレース材20,220,320の一部が拘束材の内面に当接する状態で配設されても良い。
【0110】
上記第1~第3実施形態では、左右方向視における拘束材30及び連結部材40の外形が正方形状に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、左右方向視における拘束材30及び連結部材40の外形が長方形状に形成されるものであっても良い。
【0111】
上記第1及び第2実施形態では、左右方向視(矢印L-R方向視)において、拘束材30と連結部材40とが同一の形状に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、拘束材30又は連結部材40の一方の厚みが他方の厚みよりも薄く形成されるものであっても良く、また、拘束材30又は連結部材40の一方が左右方向視において他方よりも一回り大きい外形に形成されるものあっても良い。
【0112】
上記第1及び第2実施形態では、ブレース材20,220の他端側にプレート材21,221が配設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、プレート材21,221を備えないもの、又は、プレート材21,221がブレース材の他端から一端に亘って配設されるものであっても良い。
【0113】
上記第1及び第2実施形態では、拘束材30の他端側(矢印L方向側)とブレース材20,220の他端側(矢印L方向側)とが溶接Y3により連結される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、拘束材30の他端側とブレース材20,220の他端側とが直接的には非連結とされるものであっても良い。なお、この場合には、溶接Y3とは別の溶接により、ブレース材20,220を中間材50に連結することで、ブレース材20,220を中間材50に連結できる。
【0114】
上記第1及び第2実施形態では、左右方向視(矢印L-R方向視)におけるブレース材20,220の外形が、拘束材30の内面形状とは異なる外形に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、左右方向視のおけるブレース材20,220の外形を拘束材30の内面形状と同一の形状に形成しても良い。
【0115】
この場合には、プレート材21,221をブレース材20,220に配設することなく、ブレース材20,220の他端側(矢印L方向側)に枠状を形成できる。
【0116】
従って、溶接Y3により、拘束材30と中間材50とを連結する際には、ブレース材20の他端側(矢印L方向側)に形成される枠状と、拘束材30の全周とを連結しつつ、ブレース材20と拘束材30とを中間材50に連結できる。
【0117】
なお、ブレース材20の他端側(矢印L方向側)に形成される枠状と、拘束材30の全周とを連結しつつ、ブレース材20と拘束材30とを中間材50に連結する場合には、拘束材30と連結部材40との軸方向視における外形および大きさを略同一にすることで、連結部材40からブレース材20に力が伝達される際に、ブレース材20の周方向の一部に力が集中することを抑制できる。その結果、ダンパー装置10に力が加えられた際に、連結部材40及びブレース材20が局部座屈することを抑制できる。
【0118】
また、第1及び第2実施形態におけるダンパー装置10,210のように、プレート材21,221をブレース材20,220に配設する必要がない。従って、プレート材21,221を配設する必要がない分、ダンパー装置10,210の製造工程を簡易にできる。
【0119】
上記第1及び第2実施形態では、ブレース材20,220に補強部材22,222が配設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、補強部材222が配設されないものであっても良い。
【0120】
上記第2及び第3実施形態では、左右方向視(矢印L-R方向視)において十字型に形成された2方向が、拘束材30の対角方向に沿って配設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、左右方向視において十字型に形成される2方向が、拘束材30の内面に沿って配設されるものであっても良い。
【0121】
上記第3実施形態では、ブレース材320に補強部材222及び規制部材323が配設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものでなく、ブレース材320に補強部材222又は規制部材323のどちらか一方が配設されるものであっても良いし、ブレース材320に補強部材222及び規制部材323が配設されないものであっても良い。
【0122】
上記第3実施形態では、左右方向視(矢印L-R方向視)における挿入部320bの外形を、拘束材30の内側に挿通されるブレース材320と同一の外形に形成される場合に付いて説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、挿入部320bの外形を、拘束材30の内側に挿通されるブレース材320の外形よりも大きくして、挿入部320bの外側端部320b1が連結部材40の内側の角部40aと当接させても良い。
【0123】
上記第3実施形態では、規制部材323が左右方向(矢印L-R方向)に所定の間隔で配設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、規制部材323がブレース材320に沿って左右方向(矢印L-R方向)に延設されるものであっても良い。
【符号の説明】
【0124】
1 構造物
10,210,310 ダンパー装置
20,220,320 ブレース材
220a 外側端部
320b 挿入部
21,221 プレート材
22,222 補強部材
323 規制部材
30 拘束材
30a 角部
40 連結部材
50 中間材
L-R方向 左右方向(軸方向)
F-B方向 前後方向(第1の方向)
U-D方向 上下方向(第2の方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7