(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029956
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】改修後のエレベータ方式駐車装置および既設のエレベータ方式駐車装置の改修方法
(51)【国際特許分類】
E04H 6/18 20060101AFI20240229BHJP
E04H 6/42 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
E04H6/18 601C
E04H6/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132453
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】一木 渡
(57)【要約】
【課題】ハイルーフ車の収容台数を増やすことができ、かつ駐車中にハッチバックドアが開くことによる車両又は駐車装置の損傷を防ぎ又は最小限に止めることができる改修後のエレベータ方式駐車装置および既設のエレベータ方式駐車装置の改修方法を提供する。
【解決手段】既設のエレベータ方式駐車装置10の改修方法であって、既設のエレベータ方式駐車装置10の最上段の格納棚を排除し、その最上段の1つ下の格納棚をハイルーフ車用の格納棚とし、ハイルーフ車1Bと普通車1Aのそれぞれの制限高さに光30a,30b,31a,31bを投光する光電スイッチ30,31をケージ14の少なくとも四隅に取り付け、ハイルーフ車1Bの制限高さより上でパレット12の上面の全体を覆う安全ルーフ40を取り付け、光電スイッチ30,31が光30a,30b,31a,31bの遮断を検知したときに入出庫動作を停止させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設のエレベータ方式駐車装置から改修された改修後のエレベータ方式駐車装置であって、
車両を載せる複数のパレットと、前記パレットを昇降路に沿って昇降するケージと、前記昇降路に隣接しそれぞれ前記車両を格納する複数の格納棚と、を備えた既設のエレベータ方式駐車装置と、
前記ケージの少なくとも四隅に設けられハイルーフ車と普通車のそれぞれの制限高さに光を投射する投光器と該光を受光する受光器とを有する光電スイッチと、
前記ケージの四隅から上方へ延びる脚をもち前記ハイルーフ車の制限高さより上で前記パレットの上面の全体を覆う安全ルーフと、
前記光の遮断を検知した旨の検知信号を前記光電スイッチから入力したときに改修後の前記エレベータ方式駐車装置の動作を停止させる制御装置と、を備え、
前記既設のエレベータ方式駐車装置における最上段の前記格納棚は、取り外されており、
前記最上段の1つ下の前記格納棚は、ハイルーフ車用の格納棚である、改修後のエレベータ方式駐車装置。
【請求項2】
前記脚は、上方側が前記ケージの長手方向中央へ向けて傾斜する、請求項1に記載の改修後のエレベータ方式駐車装置。
【請求項3】
普通車用の前記光電スイッチは、前記ケージの四隅のみに設けられる、請求項1に記載の改修後のエレベータ方式駐車装置。
【請求項4】
普通車用の前記光電スイッチは、前記ケージの四隅から対角へ向けて投光する、請求項1に記載の改修後のエレベータ方式駐車装置。
【請求項5】
ハイルーフ車用の前記光電スイッチは、前記ケージの幅方向中央部を長手方向に投光する、請求項1に記載の改修後のエレベータ方式駐車装置。
【請求項6】
前記光電スイッチは、前記ケージの四隅から長手方向に投光する、請求項1に記載の改修後のエレベータ方式駐車装置。
【請求項7】
車両を載せる複数のパレットと、前記パレットを昇降路に沿って昇降するケージと、前記昇降路に隣接しそれぞれ車両を格納する複数の格納棚と、前記車両の入出庫動作を制御する制御装置と、を備えた既設のエレベータ方式駐車装置の改修方法であって、
(S1)既設のエレベータ方式駐車装置の最上段の格納棚を排除し該最上段の1つ下の格納棚をハイルーフ車用の格納棚とし、
(S2)ハイルーフ車と普通車のそれぞれの制限高さに光を投光する光電スイッチを前記ケージの少なくとも四隅に取り付け、
(S3)前記ハイルーフ車の制限高さより上で前記パレットの上面の全体を覆う安全ルーフを取り付け、
(S4)前記光電スイッチが前記光の遮断を検知したときに前記入出庫動作を停止させる、既設のエレベータ方式駐車装置の改修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイルーフ車の収容台数の増加と安全装置の追加を同時に実現する改修後のエレベータ方式駐車装置および既設のエレベータ方式駐車装置の改修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータ方式駐車装置は、車両を昇降路に沿って昇降させ、昇降路に隣接する格納棚に車両を格納する機械式駐車装置である。このようなエレベータ方式駐車装置は、例えば特許文献1に開示されている。
エレベータ方式駐車装置の建設時には、設置高さを抑えつつ収容台数が最大限となるように計画される。そのため、建設時のエレベータ方式駐車装置では、ケージの昇降装置と格納棚との隙間を最小限に抑え、駐車車両には車高制限を設けることが一般的である。
【0003】
またエレベータ方式駐車装置には、ハイルーフ車用の格納棚と普通車用の格納棚の両方を備える混在型のものがある。混在型のエレベータ方式駐車装置は、例えば特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-172836号公報
【特許文献2】特開2017-025540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、新設のエレベータ方式駐車装置は、設置高さを出来るだけ抑え、かつ収容台数が最大限となるように、ケージの昇降装置と格納棚との隙間を最小限に抑えて建設される。例えばケージの昇降装置と最上段の格納棚の駐車スペースとの隙間がわずか50mmしかないエレベータ方式駐車装置もある。
したがって、ケージ上の装置と昇降装置との衝突を回避するために、ケージが昇降路の一番上である最上段の格納棚高さにあるときに昇降装置にぶつかってしまうほどの高さの装置をケージに設けることはできない。
そのため、新設のエレベータ方式駐車装置では、ケージには、車高高さの検知装置を設けることができないため、その代わりに入出庫口に車高高さの検知装置を設け、さらに車高制限を掲示することで、対応していた。
【0006】
一方、近年、スマートフォン等のモバイル端末にダウンロードしたアプリケーションや車両のリモートコントローラで、車両のエアコンを起動したりドアを開けたりといった遠隔操作をすることができる車両が販売されている。このような車両では、利用者が駐車装置の外でアプリケーションやリモートコントローラを誤操作し、駐車装置内に格納中の車両のハッチバックドアが開いてしまうことがあった。
しかし、新設のエレベータ方式駐車装置は、車高高さの検知装置がケージにないため、ケージ上や格納棚内でハッチバックドアが開いても、異常を検知できない。その結果、開いたハッチバックドアが制限高さより上へはみ出したまま入出庫動作が行われることにより、ハッチバックドアが周囲にぶつかり、車両や駐車装置を損傷させるおそれがあった。そのため、エレベータ方式駐車装置の利用者や管理会社からは、ハッチバックドアの開放による事故を未然に防ぐための安全装置を取り付ける改修工事が求められていた。
【0007】
一方、混在型のエレベータ方式駐車装置を新設する際にハイルーフ車用、ミドルルーフ車用、普通車用の格納棚の設置比率は、車の流行や利用者層を参考に建設計画時に決めている。しかし車の流行や利用者層は常に変化するため、駐車装置の稼働開始から何年も経てば、設置されているハイルーフ車用、ミドルルーフ車用、普通車用の格納棚の比率と、必要とされる格納棚の比率とが合致しなくなることが多い。
そのため近年、既設のエレベータ方式駐車装置の改修工事の際には、収容台数を減らしてでもハイルーフ車の収容台数を増やしたい、という要望も増加している。
【0008】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、ハイルーフ車の収容台数を増やすことができ、かつ駐車中にハッチバックドアが開くことによる車両又は駐車装置の損傷を防ぎ又は最小限に止めることができる改修後のエレベータ方式駐車装置および既設のエレベータ方式駐車装置の改修方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、既設のエレベータ方式駐車装置から改修後のエレベータ方式駐車装置であって、
車両を載せる複数のパレットと、前記パレットを昇降路に沿って昇降するケージと、前記昇降路に隣接しそれぞれ前記車両を格納する複数の格納棚と、を備えた既設のエレベータ方式駐車装置と、
前記ケージの少なくとも四隅に設けられハイルーフ車と普通車のそれぞれの制限高さに光を投射する投光器と該光を受光する受光器とを有する光電スイッチと、
前記ケージの四隅から上方へ延びる脚をもち前記ハイルーフ車の制限高さより上で前記パレットの上面の全体を覆う安全ルーフと、
前記光の遮断を検知した旨の検知信号を前記光電スイッチから入力したときに改修後の前記エレベータ方式駐車装置の動作を停止させる制御装置と、を備え、
前記既設のエレベータ方式駐車装置における最上段の前記格納棚は、取り外されており、
前記最上段の1つ下の格納棚は、ハイルーフ車用の格納棚である、改修後のエレベータ方式駐車装置が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、車両を載せる複数のパレットと、前記パレットを昇降路に沿って昇降するケージと、前記昇降路に隣接しそれぞれ車両を格納する複数の格納棚と、前記車両の入出庫動作を制御する制御装置と、を備えた既設のエレベータ方式駐車装置の改修方法であって、
(S1)既設のエレベータ方式駐車装置の最上段の格納棚を排除し該最上段の1つ下の格納棚をハイルーフ車用の格納棚とし、
(S2)ハイルーフ車と普通車のそれぞれの制限高さに光を投光する光電スイッチを前記ケージの少なくとも四隅に取り付け、
(S3)前記ハイルーフ車の制限高さより上で前記パレットの上面の全体を覆う安全ルーフを取り付け、
(S4)前記光電スイッチが前記光の遮断を検知したときに前記入出庫動作を停止させる、既設のエレベータ方式駐車装置の改修方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
上述した本発明によれば、既設のエレベータ方式駐車装置の最上段の格納棚を排除してその1つ下の格納棚をハイルーフ車用の格納棚として使用するので、ハイルーフ車の収容台数を増やすことができる。その上、最上段の格納棚を排除したことで、ハイルーフ車の制限高さより高さが高い安全装置をケージに搭載できるので、ケージに安全装置として安全ルーフを取り付けることができる。
【0012】
さらに本発明の安全ルーフは、ケージに載せたパレットの上面の全体を覆う。これにより既に格納棚に格納されている車両のハッチバックドアが庫外からのリモートコントローラ等の誤操作により開いたことによる昇降路の落下物から、入出庫口に居る利用者、メンテナンス員、作業員、又は車両を物理的に保護することができる。
【0013】
また、最上段の格納棚を排除したことで、ハイルーフ車の制限高さより高い安全装置をケージに搭載できるので、ケージのハイルーフ車の制限高さより高い位置に光電スイッチを安全装置として設けることができる。これにより、ケージ上や格納棚での格納中にハッチバックドアが開いたとしても、車両がケージと格納棚の間で移動する前に異常を検知することができる。したがって、ケージ上や格納棚で生じた異常を検知でき、検知した時点で車両の移動を停めることができるので、駐車装置のあちらこちらにハッチバックドアをぶつけながら車両を入出庫口へ移動する事態を防ぐことができる。これにより、車両と駐車装置の損傷を防ぐことができ、又は最小限に止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】改修する前の既設のエレベータ方式駐車装置の全体構成図である。
【
図2】本発明による改修後のケージの側面図と正面図である。
【
図3】本発明による改修後のケージの平面図である。
【
図4】
図2(A)のA-A矢視図とB-B矢視図である。
【
図5】本発明による改修方法で改修した改修後のエレベータ方式駐車装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0016】
図1は、改修する前の既設のエレベータ方式駐車装置10の全体構成図である。
この図において、既設のエレベータ方式駐車装置10(以下、駐車装置10)は、パレット12、ケージ14、及び格納棚16を備える。
図1に示した駐車装置10は、54基の車種別格納棚16A(普通車1A用)と16基の車種別格納棚16B(ハイルーフ車1B用)を有する。従って、収容台数は、普通車1Aが54台、ハイルーフ車1Bが16台、合計70台である。
【0017】
この例において、車両1は、車高の異なる2種の車種(普通車1Aとハイルーフ車1B)である。普通車1Aは、例えば車高が1550mm以下の普通乗用車であり、ハイルーフ車1Bは、例えば車高が2050mm以下の乗用車である。
車両1は、この例に限定されず、車高が1800mm以下のミドルルーフ車を含む3種の車種であってもよく、それ以外の2種以上の車種であってもよい。
以下、この例において、特に区別しない限り、車両1とは、普通車1Aとハイルーフ車1Bの両方を意味する。
【0018】
パレット12は、車両1をその上に載せ、ケージ14により昇降路3に沿って昇降する。
パレット12は、各車種(普通車1Aとハイルーフ車1B)に対応した共通パレットである。
【0019】
ケージ14は、パレット12に車両1を載せて鉛直な昇降路3を昇降する。ケージ14は、上方から吊り下げられ、ケージ昇降装置15(例えばケージ吊上げ装置)により昇降する。
【0020】
格納棚16は、昇降路3に隣接し上下方向に間隔を隔てて複数が配置されている。
格納棚16は、この例では、昇降路3の両側に、車両1の幅方向に設けられているが、片側のみであってもよい。以下、「幅方向」とは、特に明記しない限り車両1の幅方向を意味する。
【0021】
この例において、格納棚16は、車種毎に設けられた2種の車種別格納棚16A,16Bである。なお、車種別格納棚は、3種以上であってもよい。
以下、この例において、特に区別しない限り、格納棚16とは、車種別格納棚16A,16Bの両方を意味する。
【0022】
上述したように既設の駐車装置10では、設置高さを抑えかつ収容台数が最大限とするべく、最上段の格納棚16とケージ昇降装置15との間の隙間が最小限に設定され、かつ各格納棚16が可能な限り詰めて設けられている。そのため既設の駐車装置10は、ケージ14が既設の駐車装置10の最上段の格納棚16の横まで上昇すると、ケージ14に搭載した普通車1Aのルーフのすぐ上にケージ昇降装置15が位置するほどに、車両1とケージ昇降装置15が近接する構成となっている。
【0023】
図示しない横行旋回装置が、ケージ上に設置され、ケージ14と格納棚16との間でパレット12を水平に横行させる。以下、「横行」とは、パレット12を幅方向に水平移動させることをいう。
【0024】
また、図示しない旋回装置が、昇降路3の最下端のピット内に設置され、横行旋回装置とパレット12の両方をその上に載せ、その両方を水平に旋回させる。なお、旋回装置は、ケージ上に設置してもよい。
【0025】
図1に示す既設のエレベータ方式駐車装置10は、入出庫口4が昇降路3の最下端に設けられた下部乗入れ方式である。この例では、入出庫口4のパレット12に車両1が直接入庫し、かつこのパレット12から外部に出庫するようになっている。
なお、本発明で使用する既設の駐車装置10は、下部乗入れ方式のエレベータ方式駐車装置に限定されず、中間乗入れ方式、又は、上部乗入れ方式であってもよい。
【0026】
パレット12は、この例では、その長手方向両端部に、それぞれ1対(合計4つ)の車輪を有する。格納棚16は、車輪を支持する1対の棚レール17を有し、その上にパレット12を支持して収容する。1対の棚レール17は、互いに間隔を隔てて平行に位置する。
【0027】
制御装置20は、駐車装置10の入出庫動作などの通常の運転を制御する制御装置である。
【0028】
次に、既設の駐車装置10の改修方法で使用する器具について説明する。
図2は、本発明による改修後のケージ14の(A)側面図と(B)正面図である。
【0029】
始めに、ケージ14の既設の設備について説明する。この図には、パレット12が入出庫口4で90°水平旋回し、ケージ14の側方から車両1がパレット上に乗降するタイプ(90度乗込み型エレベータ方式駐車装置)のケージ14を例示している。
【0030】
この図に例示したケージ14は、横行レール14a、横行旋回装置14b、昇降床14e、ワイヤーロープ11を有する。
【0031】
横行レール14aは、ケージ14の長手方向両端部で幅方向に延び、車両1を載せるパレット12の横行を案内する。この横行レール14aは、パレット12の長手方向両端部に設けられた車輪13aに嵌合する。
パレット12の車輪13aは、両鍔を有する鍔付車輪であり、横行レール14aと棚レール17からの脱輪を防ぎ、横行レール14aと棚レール17に沿って車輪13aで支持されたパレット12の横行を案内するようになっている。
【0032】
パレット12は、その幅方向端部に、パレット12の長手方向に延びる係合溝13bを有する。係合溝13bは、下方が開いたコの字形部材である。
横行旋回装置14bは、パレット12を載せたまま昇降できるとともに、鉛直な回転軸を中心に水平旋回も可能な支持回転部材14cを有する。この図の例の横行旋回装置14bは、パレット12を約300mm昇降することができる。支持回転部材14cの先端には上向きに延びパレット12の係合溝13bに係合する係合ローラ14dが取り付けられている。
【0033】
係合ローラ14dがパレット12の係合溝13bと係合した状態で、係合ローラ14dを水平に旋回駆動することで、パレット12の車輪13aを横行レール14aと棚レール17で案内し、昇降路3に隣接する格納棚16との間でパレット12を水平に横行させることができる。
つまり、パレット12の車輪13aと横行レール14aが嵌合した状態で支持回転部材14cを水平旋回することにより、横行レール14aに沿ってパレット12を横行させることができる。
【0034】
一方、横行旋回装置14bが、パレット12の車輪13aと横行レール14aとの嵌合が外れるまでパレット12を持ち上げた状態で、支持回転部材14cを、鉛直軸を中心に旋回させることにより、パレット12を水平旋回することができる。
【0035】
ケージ14の昇降床14eは、入出庫口4でパレット12が90°水平旋回したときにパレット12の上面高さまで上昇する。
またケージ14は、そのフレーム14fの四隅に連結されたワイヤーロープ11によって吊り下げられている。ケージ昇降装置15がワイヤーロープ11を巻き上げ、巻き下ろすことによってケージ14が昇降する。
【0036】
次に、本発明の改修方法で既設の駐車装置10に追加する光電スイッチ30,31と安全ルーフ40について説明する。
安全ルーフ40は、ケージ14の四隅から上方へ延びる脚40aと、ケージ14に載せたパレット12の上面の全体を覆う天板40bを有する。これによりハッチバックドア2A,2Bがケージ上で制限高さより上にはみ出すのを物理的に防ぐことができので、最上段の格納棚16の横までケージ14を上昇させたとしても、ケージ昇降装置15にハッチバックドア2A,2Bが衝突することを未然に防ぐことができる。
【0037】
安全ルーフ40の脚40aはケージ14のフレーム14fの四隅に固定可能に設けられている。固定方法は、ボルトとナットなどの連結具によるものでもよく、溶接によるものであってもよい。安全ルーフ40の脚40aが直接ケージ14のフレーム14fに固定されることにより、配線するだけで、光30a,30b,31a,31bの検知信号を制御装置20に取り込むことが可能となり、より簡単な構成で光電スイッチ30,31と安全ルーフ40を追加することができる。
【0038】
図2(A)に示すように、脚40aは、上方側がケージ14の長手方向中央へ向けて傾斜するように立設することが好ましい。
一般に車両1は前後方向に均等荷重になっていない。また、パレット12のどの位置に車両1を停めるかによって、ケージ上の重量に偏りが生じる。その上、高層のエレベータ方式駐車装置では、ワイヤーロープ11の長さが100mを超えるものもあり、ワイヤーロープ11が長ければ長いほどワイヤーロープ11の伸び率にばらつきが生じる。その結果、ケージ14が前後に傾いたり、ケージ14の四隅の1ヶ所だけが沈み込んだりすることがある。ケージ14の幅より長手方向の長さの方が長いため、この現象は、ケージ14の長手方向の傾きに顕著に表れる。安全ルーフ40を取り付けることによってケージ14が搭載する設備の最大高さが改修前よりも高くなるため、脚40aが鉛直に延びる場合、改修後のケージ14の搭載物(安全ルーフ40)が、改修前の搭載物より昇降路3の内壁に接触しやすくなる。
【0039】
したがって、本発明の安全ルーフ40は、脚40aの上方側がケージ14の長手方向中央へ向かうように傾き、天板40bの長手方向両端部がケージ14の長手方向両端部よりも内側に位置することによって、ケージ14の搭載物が昇降路3の内壁に干渉するのを未然に防ぐことができる。
なお、当然、安全ルーフ40の脚40aは、傾斜せずに、真っ直ぐ鉛直に設けられていてもよい。
【0040】
上述したようにこの図のケージ14は、入出庫口4でパレット12を横行旋回装置14bで持ち上げ、90°水平旋回する。したがって、安全ルーフ40は、ハイルーフ車1Bを搭載したパレット12を横行旋回装置14bで持ち上げても車両1のルーフが天板40bに当たらない高さに設けられている。例えば安全ルーフ40の高さは、ケージ14に搭載したパレット12の上面から上方へ2500mmの高さに天板40bの下面が位置するように設けてもよい。
【0041】
光電スイッチ30,31は、光30a,30b,31a,31bを投射する投光器とその光30a,30b,31a,31bを受光する受光器とを有し、受光器が受光している光30a,30b,31a,31bが遮断されたときに検知信号を制御装置20へ出力する。
光電スイッチ30,31には、普通車1Aのハッチバックドア2Aの開放を検知する普通車用光電スイッチ30と、ハイルーフ車1Bのハッチバックドア2Bの開放を検知するハイルーフ車用光電スイッチ31とが存在する。
【0042】
普通車用光電スイッチ30とハイルーフ車用光電スイッチ31は、普通車1Aとハイルーフ車1Bのそれぞれの制限高さに沿って光30a,30b,31a,31bを投射するように設けられている。
図2では、普通車用光電スイッチ30が投射する光30a,30bを一点鎖線で記載し、ハイルーフ車用光電スイッチ31が投射する光31a,31bを二点鎖線で記載している。
例えばハイルーフ車1Bのハッチバックドア2Bが開放すると、ハイルーフ車1Bの制限高さより上にはみ出したハッチバックドア2Bが光31a,31bを遮断する。この光31a,31bの遮断を受光器が検知したことによって、ハイルーフ車用光電スイッチ31が検知信号を制御装置20へ出力するようになっている。なお、
図2(A)でハイルーフ車1Bのハッチバックドア2Bが水平になるまで全開していないのは、昇降路3でハッチバックドア2Bが開いた場合、全開する前に昇降路3の壁にハッチバックドア2Bの後端が当たるので、それ以上開けないからである。
【0043】
本発明の安全ルーフ40と光電スイッチ30,31は、一体に構成されていることが好ましい。例えば安全ルーフ40の脚40aに光電スイッチ30,31が取り付けられていることが好ましい。これによりの改修工事の現場でケージ14に安全ルーフ40を取り付け、配線を繋げるだけで、光電スイッチ30,31をもまとめて取り付けることができ、作業を効率的に進めることができる。
【0044】
図3は、本発明による改修後のケージ14の平面図である。
安全ルーフ40は、例えば井桁に組まれた梁の上に、パレット12の上面の全体を覆う平板が固定されたものであってもよい。しかしパレット12の上面の全体を覆う形状であれば、安全ルーフ40の形状はこれに限らない。例えば安全ルーフ40は、波型の凹凸がある金属板であってもよい。もしくは天板40bには、ケージ14の長手方向中央の高さが長手方向端部よりも高くなるような湾曲又は傾斜が設けられていてもよい。
【0045】
また、駐車装置10の庫外でアプリケーションやリモートコントローラを誤操作したことにより、既に格納棚16に格納されている車両1のハッチバックドアが開き、昇降路3に物が落ちる可能性も考えられる。このような場合であっても、安全ルーフ40がパレット12の上面の全体を覆っているので、格納されている車両1からの落下物によって入出庫中の利用者やメンテナンス員や作業員が怪我をするのを防ぐことができる。また、昇降路3を昇降中の車両1や入出庫口4にある車両1に落下物が当たって損傷するのを防ぐことができる。
【0046】
また、高層のエレベータ方式駐車装置の中には、昇降路3が100mを超えるものもある。入出庫口4は昇降路3の下端にあるため、安全ルーフ40が無い状態で入出庫中に利用者が上を見上げると、頭上に延びる昇降路3と格納棚16を最上段まで見通せてしまう。人によっては、頭上の遥か彼方まで見通せる積み重なった格納棚16を見て、不安を覚える利用者がいる可能性がある。
しかし、本発明によって改修したエレベータ方式駐車装置100は、安全ルーフ40によって利用者からは昇降路3や格納棚16が見えなくなるので、利用者が感じる不安を軽減することができる。
【0047】
図4(A)は、
図2(A)のA-A矢視図であり、
図4(B)は、
図2(A)のB-B矢視図である。この図でも、普通車用光電スイッチ30が投射する光30a,30bを一点鎖線で記載し、ハイルーフ車用光電スイッチ31が投射する光31a,31bを二点鎖線で記載している。
普通車用光電スイッチ30とハイルーフ車用光電スイッチ31は、いずれも、ケージ14の四隅から長手方向に光30a,31aを投射するものであってもよい。これにより、格納棚16に格納中に車両1のハッチバックドア2A,2Bが開いたとしても、出庫の際、ケージ14に搭載する前にいち早くハッチバックドア2A,2Bの開放を検知することができる。それによって車両1とエレベータ方式駐車装置100の損傷を、最小限に抑えることができる。
また、ケージ14の四隅から長手方向に投光する光電スイッチ30,31があることにより、ケージ14から格納棚16へ移動する前に、制限高さからのはみ出し部位が無いことを、車両1の全長にわたって確認することができる。
【0048】
また
図4(A)に示すように普通車用光電スイッチ30は、ケージ14の四隅に設けられており、光30bを対角へ向けて投射する。これにより、ケージ14の長手方向端部から乗降する180度乗込み型のエレベータ方式駐車装置にも、ケージ14の幅方向端部から乗降するエレベータ方式駐車装置と同様に安全ルーフ40を取り付けることができる。つまり、普通車用光電スイッチ30がケージ14の幅方向中央部に無いため、普通車用光電スイッチ30にぶつかる心配も無くハイルーフ車1Bを入出庫させることができる。
【0049】
なお、格納棚16が昇降路3の幅方向の一方側にしか設けられていない場合には、対角へ延びる光30bは1本だけでよい。例えば
図4(A)のケージ14の上側にだけ格納棚16を備える駐車装置100で、常に車両1の前方を図の左側のウェイト側に向けて格納する場合、図の左下から右上へ延びる光30bがあればよい。パレット12がケージ上に停止している段階で対角へ延びる2本の光30bがハッチバックドア2Aのはみ出しを検知できていない場合、パレット12が図の上側にしか横行しないので、図の左上から右下へ対角に延びる光30bは機能しないからである。
【0050】
図4(B)に示すようにハイルーフ車用光電スイッチ31は、ケージ14の四隅とケージ14の長手方向端部の幅方向中央部にも設けられている。ケージ14の長手方向端部の幅方向中央部に設けられたハイルーフ車用光電スイッチ31は、
図2(A)のように安全ルーフ40の天板40bに取り付けられていてもよく、脚40aに取り付けられていてもよい。
ケージ14の長手方向端部の幅方向中央部に設けられたハイルーフ車用光電スイッチ31は、光31bを長手方向へ向けて投射する。これにより、ケージ上のハイルーフ車1Bのハッチバックドア2Bの開放を、いち早く検知することができる。
【0051】
つまりハイルーフ車1Bの車幅は、ケージ14の四隅に配置されたハイルーフ車用光電スイッチ31の幅方向の距離より必ず短いので、平面視で見たときに、ケージ14の長手方向端部に近いほど車両1Bに光が接しにくくなる。例えば開放したハッチバックドア2Bが、光を遮断することなく交わった2本の光の間から制限高さより上に突出する事態も生じ得る。その結果、ハイルーフ車1Bのハッチバックドア2Bは、ハイルーフ車用光電スイッチ31が反応していないのにもかかわらず天板40bや昇降路3の内壁に当接してしまいかねない。
【0052】
普通車1Aであれば、天板40bまでの距離の余裕が大きく、前後方向にもパレット12の余裕があるため、ハッチバックドア2Aが開いても天板40bや昇降路3の内壁にハッチバックドア2Aがぶつかる心配はそれほどない。パレット12の横行が始まっても普通車1Aが格納棚16Aに着く前に対角線上へ延びる光30bで検知できるので、上段の格納棚16にハッチバックドア2Aがぶつかる前に駐車装置10を止めることができる。したがって、駐車装置10と普通車1Aの干渉を避けることができるため、普通車1Aの場合には、ケージ14の幅方向中央部で長手方向に延びる光が無くても問題がない。
【0053】
それに対し、ハイルーフ車1Bの場合には、車両の全長が長い分、ハッチバックドア2Bがより後方にあるため、より、対角線上に延びる光で検知できない可能性が高まる。ハッチバックドア2Bがケージ14の長手方向端部近くにある分、対角線上に延びる光で検知できてからハッチバックドア2Bが上段のパレット12に当たるまでの時間的猶予が少ない。
また出庫時にケージ上でハッチバックドア2Bが開いた場合には、ハイルーフ車1Bがケージ上にある間は異常を検知できないことになる。そうすると、入出庫口4でパレット12を90°水平旋回する際に、ハッチバックドア2Bが天板40bやケージ14に当たったままパレット12を持ち上げて回転させることとなり、車両1Bと駐車装置10の損傷箇所が増えてしまう。
【0054】
したがって、本発明の改修方法では、ハイルーフ車用光電スイッチ31がケージ14の幅方向中央部で長手方向に延びる光31bを投射することにより、より早くより正確にハイルーフ車1Bのハッチバックドア2Bの開放を検知することができる。それにより、本発明の改修後のエレベータ方式駐車装置100は、車両1Bと駐車装置100の損傷を最小限に抑えることができる。
【0055】
また、光電スイッチ30,31が検知信号を出力してから駐車装置100が制動するまでにはタイムラグがあるため、ケージ14の四隅から長手方向に光30a,31aを投射する光電スイッチ30,31だけでは、ケージ14から格納棚16にパレット12を移動させる際に上段のパレット12とハッチバックドア2A,2Bの干渉は避けられない。しかし、ケージ14の四隅から対角線上へ光30bを投射する普通車用光電スイッチ30やケージ14の幅方向中央部で長手方向に延びる光31bを投射するハイルーフ車用光電スイッチ31があれば、パレット12が横行を始める前または始めた直後にハッチバックドア2A,2Bの開放を検知できる。したがって改修後のエレベータ方式駐車装置100は、これらの光電スイッチ30,31を備えることにより、ケージ14から格納棚16への移動時にハッチバックドア2A,2Bが上段のパレット12にぶつかり、損傷することを未然に防ぐことができる。
【0056】
なお、ケージ14の四隅から対角線上へ光30bを投射する普通車用光電スイッチ30やケージ14の幅方向中央部で長手方向に延びる光31bを投射するハイルーフ車用光電スイッチ31を備えていれば、ケージ14の四隅から長手方向に投光する光電スイッチ30,31を備えていなくてもよい。
【0057】
次に、本発明の既設の駐車装置10の改修方法について説明する。
まず
図1で説明した既設のエレベータ方式駐車装置10を改修するにあたり、上述した安全ルーフ40と光電スイッチ30,31を用意する。
【0058】
次いで、既設の駐車装置10の最上段の格納棚16Cの棚レール17を排除し、最上段の1つ下の格納棚16D(上から2段目の格納棚16D)をハイルーフ車用の格納棚16Bとして制御装置20に登録する。
【0059】
また、ケージ14には、上述した安全ルーフ40と光電スイッチ30,31を取り付ける。
普通車用光電スイッチ30とハイルーフ車用光電スイッチ31は、安全ルーフ40をケージ14に取り付けたときに普通車1Aとハイルーフ車1Bの制限高さとなる位置の安全ルーフ40の脚40aに、予め各光電スイッチ30,31を取り付けておくことが好ましい。これにより安全ルーフ40の脚40aをケージ14の四隅に固定するだけで自動的にケージ14の四隅等の必要な場所に光電スイッチ30,31を取り付けることができる。それにより、安全ルーフ40と光電スイッチ30,31の取り付け作業を一括して行うことができるので、その分、現場での作業を簡易化でき、工事期間を短縮することができる。
しかしこれに限らず、改修時に現場で安全ルーフ40と光電スイッチ30,31を別々に取り付けてもよい。
【0060】
さらに、光電スイッチ30,31から検知信号を入力したときに改修後のエレベータ方式駐車装置100の動作を停止させるように、制御装置20のシステムを構築する。これにより、ハッチバックドア2A,2Bの開放を検知したときにはエレベータ方式駐車装置100の動作を停止して損傷の発生を防ぎまたは損傷を最小限にとどめられるように、既設のエレベータ方式駐車装置10を改修することができる。したがって、既設のエレベータ方式駐車装置10を本発明の改修方法で回収することによって、改修後のエレベータ方式駐車装置100の安全対策をより強化することができる。
なお、この改修の際に、最上段に限らず別の普通車用の格納棚16Aを1つ置きに排除することによって、ハイルーフ車1Bの収容台数を増やす改修を行えることは、勿論である。
【0061】
図5は、本発明による改修方法で改修した改修後のエレベータ方式駐車装置100を示す図である。
上述した改修方法により、改修後のエレベータ方式駐車装置100は、その最上段(既設のエレベータ方式駐車装置10であったときの上から2段目)の格納棚16Dが、ハイルーフ車用の格納棚16Bとなっている。
【0062】
改修後のケージ14は、その四隅における普通車1Aとハイルーフ車1Bのそれぞれの制限高さに、光30a,30b,31a,31bを投射する投光器とその光30a,30b,31a,31bを受光する受光器とを有する光電スイッチ30,31を搭載している。この光電スイッチ30,31のうちの普通車用光電スイッチ30の光には、ケージ14の四隅から長手方向に延びる光30aと、対角線上に延びる光30bの2種類がある。
【0063】
ハイルーフ車用光電スイッチ31の光には、ケージ14の幅方向端部で長手方向に延びる光31aと、幅方向中央部で長手方向に延びる光31bがある。
【0064】
また改修後のケージ14は、安全ルーフ40をも搭載する。安全ルーフ40の脚40aは、ケージ14の四隅に固定される。安全ルーフ40の脚40aが固定される場所は、ケージ14の幅方向におけるワイヤーロープ11より外側に固定されることが好ましい。これにより、既設のエレベータ方式駐車装置10が入出庫時にケージ14の長手方向端部から乗降するタイプであっても、改修時に追加した安全ルーフ40や光電スイッチ30,31が車両1の入出庫を妨げるのを防ぐことができる。
【0065】
また安全ルーフ40は、天板40bがパレット12の上面の全体を覆うので、昇降路3の落下物がパレット12やパレット上の車両1や人に衝突するのを防ぐことができる。また入出庫口4に居る利用者からその上方に延びる昇降路3や格納棚16を安全ルーフ40の天板40bで目隠しすることができるので、落下物に対する利用者の不安を解消することができる。
【0066】
さらに既設のエレベータ方式駐車装置10であったときの上から2段目の格納棚16をハイルーフ車用の格納棚16Bとして制御装置20に登録するので、既設のエレベータ方式駐車装置10の最上段があった空間をデッドスペースにせずに、有効活用することができる。つまり、ケージ14に安全ルーフ40や光電スイッチ30,31を取り付けてもそれらが下からケージ昇降装置15に衝突しないようにするには、既設のエレベータ方式駐車装置10の最上段を使えない状態にする必要がある。勿論、最上段をただ単に使わないように制御装置20を設定するだけでもよいが、そうすると最上段の格納棚16がデッドスペースになってしまう。
一方、上述したように、近年の改修時の要望には、ハッチバックドア2A,2Bの開放対策以外にも、収容台数を減らしてでもハイルーフ車1Bの収容台数を増やしたいという要望が多い。したがって、本発明の改修方法ではこの2つの要望を同時に叶えることができるだけでなく、既設のエレベータ方式駐車装置10の最上段であった空間のデッドスペース化をも防ぐことができる。
【0067】
上述した本発明によれば、既設のエレベータ方式駐車装置10の最上段の格納棚16Cを排除してその1つ下の格納棚16Dをハイルーフ車用の格納棚16Bとして使用するので、ハイルーフ車1Bの収容台数を増やすことができる。その上、最上段の格納棚16Cを排除したことで、ハイルーフ車1Bの制限高さより高さが高い安全装置をケージ14に搭載できるので、ケージ14に安全装置として安全ルーフ40を取り付けることができる。
【0068】
さらに本発明の安全ルーフ40は、ケージ14に載せたパレット12の上面の全体を覆う。これにより既に格納棚16に格納されている車両1のハッチバックドアが庫外からのリモートコントローラ等の誤操作により開いたことによる昇降路3の落下物から、入出庫口4に居る利用者、メンテナンス員、作業員、又は車両1を物理的に保護することができる。
【0069】
また、最上段の格納棚16Cを排除したことで、ハイルーフ車1Bの制限高さより高い安全装置をケージ14に搭載できるので、ケージ14のハイルーフ車1Bの制限高さより高い位置に光電スイッチ31を安全装置として設けることができる。これにより、ケージ上や格納棚16での格納中にハッチバックドア2A,2Bが開いたとしても、車両1がケージ14と格納棚16の間で移動する前に異常を検知することができる。したがって、ケージ上や格納棚16で生じた異常を検知でき、検知した時点で車両1の移動を停めることができるので、駐車装置100のあちらこちらにハッチバックドア2A,2Bをぶつけながら車両1を入出庫口4へ移動する事態を防ぐことができる。これにより、車両1と駐車装置100の損傷を防ぐことができ、又は最小限に止めることができる。
【0070】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0071】
1 車両、
1A 普通車、
1B ハイルーフ車、
2A 普通車のハッチバックドア、
2B ハイルーフ車のハッチバックドア、
3 昇降路、
4 入出庫口、
10 既設のエレベータ方式駐車装置、
11 ワイヤーロープ、
12 パレット、
13a 車輪、
13b 係合溝、
14 ケージ、
14a 横行レール、
14b 横行旋回装置、
14c 支持回転部材、
14d 係合ローラ、
14e 昇降床、
14f フレーム、
15 ケージ昇降装置、
16 格納棚、
16A 普通車用格納棚、
16B ハイルーフ車用格納棚、
16C 既設のエレベータ方式駐車装置における最上段の格納棚、
16D 既設のエレベータ方式駐車装置における上から2段目の格納棚、
17 棚レール、
20 制御装置、
30 普通車用光電スイッチ、
30a ケージの四隅から長手方向に延びる普通車用光電スイッチの光、
30b ケージの四隅から対角へ延びる普通車用光電スイッチの光、
31 ハイルーフ車用光電スイッチ、
31a ケージの四隅から長手方向に延びるハイルーフ車用光電スイッチの光、
31b ケージの幅方向中央部を長手方向に延びるハイルーフ車用光電スイッチの光、
40 安全ルーフ、
40a 脚、
40b 天板、
100 改修後のエレベータ方式駐車装置