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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029957
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】物品搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/84 20060101AFI20240229BHJP
   B65G 54/02 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B65G47/84 E
B65G54/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132454
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(72)【発明者】
【氏名】高島 和己
(72)【発明者】
【氏名】奥畑 峻
【テーマコード(参考)】
3F021
3F072
【Fターム(参考)】
3F021AA07
3F021BA02
3F021CA01
3F072AA07
3F072GG10
3F072KA06
(57)【要約】
【課題】一対のグリップ片の間隔が大きくなっても物品を常に安定した姿勢で把持することができる物品搬送装置を提供する。
【解決手段】レールには固定子が設けられる。第1の可動子24は、固定子との相互作用によってリニア駆動されることによりレールに沿って移動する。第2の可動子25は、第1の可動子24に隣接して設けられ、固定子との相互作用によってリニア駆動されることにより、第1の可動子24と同期してレールに沿って移動する。グリップ片32、33には、容器Bを把持するための保持面34、35が形成される。一方のグリップ片32の保持面34は容器Bを位置決めする位置決め部である。他方のグリップ片33の保持面35は容器Bにより押圧されて変形可能なベルト36により構成される。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿って延び、固定子が設けられたレールと、
前記固定子との相互作用によってリニア駆動されることにより、前記レールに沿って移動可能な第1の可動子と、
前記第1の可動子に隣接して設けられ、前記固定子との相互作用によってリニア駆動されることにより、前記第1の可動子と同期して前記レールに沿って移動する第2の可動子とを備え、
前記第1および第2の可動子はそれぞれ、物品を把持するための保持面が形成されたグリップ片を有し、
一方のグリップ片の保持面が前記物品を位置決めする位置決め部であり、
他方のグリップ片の保持面が前記物品により押圧されて変形可能な部材により構成され、
前記他方のグリップ片の保持面を変形させた状態で前記物品を把持することを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
物品に対して所定の処理を行う処理装置が前記搬送経路に配置され、前記物品が前記処理装置に停止した後に、前記他方のグリップ片の保持面を変形させた状態で一対のグリップ片の間隔が広げられることを特徴とする請求項1に記載の物品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアモータにより駆動されレールに沿って走行し、一対のグリップ片により物品を把持して搬送する物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来リニアモータを利用した物品搬送装置が知られている。このような物品搬送装置において、搬送経路が直線区間と曲線区間を有する場合、曲線区間の経路はクロソイド曲線が採用されることがあるが、一対のグリップ片の間の距離を一定に維持しながら曲線区間を搬送させることは難しく、搬送途中でグリップ片の間隔が広くなることがあった。また直線区間では、物品をプレート上で滑らせながら搬送させる装置の場合、物品に作用する摩擦抵抗等の影響により、一対のグリップ片の間隔を常に一定に維持することは難しい。
【0003】
一方特許文献1に開示された物品搬送装置では、被搬送物の側面に凹部を形成するとともに、グリップ片に、被搬送物の側面と面接触する押圧部と、凹部に係合可能な爪部とを設け、曲線区間では、爪部が凹部に係合することによって被搬送物を保持している。このような構成によれば、一対のグリップ片の間隔が若干広がっても被搬送物を保持することは可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-160910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし特許文献1の物品搬送装置は物品を被搬送物に収容して搬送するものであり、物品を直接グリップ片によって把持する構成を有していない。これに対して、例えば液体を容器に充填する充填システムでは、容器を直接グリップ片によって把持する搬送装置を備えており、例えば充填工程とキャッピング工程の間に曲線区間を通過するとき、グリップ片が容器から離間すると容器の姿勢が不安定になり、容器の内容物が口部からこぼれるおそれが生じる。
【0006】
本発明は、上述のような問題点に鑑みてなされたもので、一対のグリップ片の間隔が大きくなっても物品を常に安定した姿勢で把持することができる物品搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る物品搬送装置は、搬送経路に沿って延び、固定子が設けられたレールと、固定子との相互作用によってリニア駆動されることにより、レールに沿って移動可能な第1の可動子と、第1の可動子に隣接して設けられ、固定子との相互作用によってリニア駆動されることにより、第1の可動子と同期してレールに沿って移動する第2の可動子とを備え、第1および第2の可動子はそれぞれ、物品を把持するための保持面が形成されたグリップ片を有し、一方のグリップ片の保持面が物品を位置決めする位置決め部であり、他方のグリップ片の保持面が物品により押圧されて変形可能な部材により構成され、他方のグリップ片の保持面を変形させた状態で物品を把持することを特徴としている。
【0008】
物品に対して所定の処理を行う処理装置が搬送経路に配置された場合、物品が処理装置に停止した後に、他方のグリップ片の保持面を変形させた状態で一対のグリップ片の間隔が広げられることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、一対のグリップ片の間隔が大きくなっても物品を常に安定した姿勢で把持することができる物品搬送装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態である物品搬送装置を備えた充填システムの構成を概略的に示す平面図である。
図2】搬送時および停止時における一対のグリップ片の状態を示す平面図である。
図3】キャッパにおいて停止している第1実施形態の物品搬送装置を示す側面図である。
図4】第2実施形態のグリップ片を示す平面図である。
図5】第3実施形態のグリップ片を示す平面図である。
図6】第4実施形態のグリップ片を示す平面図である。
図7】第5実施形態のグリップ片を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図示実施形態に沿って本発明を説明する。図1は本発明の第1実施形態である物品搬送装置を備えた充填システムの構成を概略的に示す平面図である。物品搬送装置は、供給コンベヤ11と排出コンベヤ12の間に設けられ、無端状の搬送経路であるプレート13を有する。本実施形態において搬送経路は、相対的に長い2つの直線区間P1と、相対的に短い2つの直線区間P2と、これらの間を接続する4つの曲線区間Qとからなる。空の容器(物品)Bは供給コンベヤ11によって搬送され、供給装置14によりプレート13上に受け渡される。容器Bはプレート13上を滑りながら、図において反時計回りに搬送され、フィラ15によって液体を充填され、キャッパ16によって口部にキャップが取付けられ、排出装置17により排出コンベヤ12に受け渡されて次工程へ排出される。
【0012】
レール21、22は上下に配置され(図3参照)、プレート13の内側に沿って無端状に延びる。レール21、22の間には、内部に電磁コイルが所定間隔毎に配置されて成る固定子である電磁コイルユニット23(図3参照)が、搬送経路に沿って所定間隔毎に設けられ、またレール21、22には、固定子との相互作用によりリニア駆動される一対の可動子24、25が移動可能に支持される。一対の可動子24、25は隣接しており、本明細書では便宜上、上流側に位置するものを第1の可動子24と呼び、下流側に位置するものを第2の可動子25と呼ぶ。
【0013】
第1および第2の可動子24、25は電磁コイルユニット23に対向する位置に永久磁石31(図3参照)を有し、相互に同期してレール21、22に沿って移動する。これらの可動子24、25の移動は制御装置(CPU)26によって制御され、レール21、22に案内されて所定速度で移動するとともに、所定位置において停止する。また停止位置では、可動子24、25の間隔が制御装置26によって微調整される。
【0014】
第1および第2の可動子24、25はそれぞれグリップ片32、33を有し、これら一対のグリップ片32、33には、容器Bを把持するための保持面34、35が形成される。すなわち容器Bは、第1の可動子24のグリップ片32により搬送方向の後側の面を支持され、第2の可動子25のグリップ片33により前側の面を支持され、底面がプレート13に支持された状態で、搬送経路に沿って搬送される。
【0015】
図2を参照してグリップ片32、33の構成を説明する。符号(a)は搬送時の状態を示している。符号(b)はキャッピング等の停止時の状態を示し、グリップ片33は、内部構造を説明するためにカバーを取り外した状態を示している。一方のグリップ片32は超高分子量ポリエチレン等の樹脂材から成形され、他方のグリップ片33に対向する保持面34は容器Bの外形に対応した凹面形状を有し、容器Bを位置決めする位置決め部として作用する。他方のグリップ片33において、グリップ片32に対向する保持面35は容器Bに押圧されることにより変形可能な部材により構成され、この変形可能な部材は本実施形態ではベルト36である。
【0016】
ベルト36の一端部は留め具41によってグリップ片33に直接固定され、他端部は留め具44によって揺動レバー43に固定される。揺動レバー43は回転軸42によりグリップ片33に揺動自在に支持される。ベルト36は留め具41、44の間において、グリップ片33の先端に設けられたピン45と、揺動レバー43の保持面35側の先端部43aとに係合する。また揺動レバー43の先端部43aとは反対側の基端部43bにはスプリング37が接続され、揺動レバー43はスプリング37によって先端部43aがピン45から離間する方向に付勢され、ベルト36に張力が付与される。またグリップ片33において、ベルト36の背面側は、グリップ片32の保持面34と同様に容器Bの外形に対応した凹面形状を有する。したがって一対のグリップ片32、33により容器Bを把持するとき、グリップ片32、33が閉じ方向に変位すると、ベルト36はスプリング37のバネ力に抗して、グリップ片33に近接する方向に変形可能である。
【0017】
図3はキャッパ16において停止している物品搬送装置を示している。第2の可動子25は上側のレール21に形成された溝に係合する上側ローラ25aと、下側のレール22の側面に当接する下側ローラ25bとを有する。上側ローラ25aと下側ローラ25bの間には電磁コイルユニット23に対応した高さ位置に永久磁石31が設けられる。キャッパ16において、容器Bはキャッピングヘッド16aの直下を搬送され、一対のシリンダ装置16b、16bのセンタリンググリッパ16c、16cによって把持される。センタリンググリッパ16c、16cには図示しないが容器Bを把持する把持面に平面視でV字状の位置決め部が形成されており、容器Bを位置決め部で把持することによって位置決めするように構成されている。センタリンググリッパ16c、16cによって容器Bを位置決めした状態でキャッピングヘッド16aが下降して容器Bの口部にキャップCが装着される。
【0018】
次に本実施形態の作用を説明する。
容器Bは起立した状態で供給コンベヤ11により搬送されて供給装置14に供給される。供給装置14では図示しないロボットが容器Bを把持し、プレート13上に待機している一対のグリップ片32、33の間に受け渡す。グリップ片32、33はその間隔を狭め、これによりグリップ片33のベルト36が撓み、容器Bはグリップ片32、33により押圧されて保持される。容器Bは3本を一組として搬送され、フィラ15では、3本の容器Bがそれぞれ充填ノズル(図示せず)の直下に位置決めされ、充填ノズルから吐出される充填液が同時に充填される。
【0019】
充填工程が完了した3本の容器Bはキャッパ16まで搬送され、それぞれキャッピングヘッド16aの直下に定められる。キャッピング工程における容器Bの位置決め動作を、図2を参照して説明する。搬送時は符号(a)に示されるように、一対のグリップ片32、33の間隔は相対的に狭く、ベルト36は相対的に大きく撓んでいる。すなわち容器Bがグリップ片32、33から受ける押圧力は相対的に大きく、容器Bは比較的強固に保持されている。容器Bがキャッピングヘッド16aの下方に定められると、符号(b)に示されるように、第1の可動子24を搬送方向上流側、第2の可動子25を搬送方向下流側にそれぞれ同じ距離だけ移動させることにより、一対のグリップ片32、33の間隔が若干広げられる。これにより容器Bはベルト36によって第1の可動子24のグリップ片32の保持面34に押し付けられながらグリップ片32とともに移動する。この状態でセンタリンググリッパ16c、16c(図3)が前進して容器Bを把持すると、容器Bに対するグリップ片32、33の押圧力が低下しているため、容器Bの位置がセンタリンググリッパ16cに形成されている位置決め部に倣って移動され、容器Bの口部の中心がキャッピングヘッド16a(図3)の軸心に合わせられる。
【0020】
このようにグリップ片32、33の間隔を広げても容器Bに対する押圧力はゼロにはならない。これは、押圧力をゼロにすると、停止時の慣性によって容器Bが回転変位し、その姿勢が乱れる可能性があるからである。
【0021】
また容器Bが曲線区間Qを搬送されるとき、一対のグリップ片32、33の間隔が広くなることがあっても、グリップ片33の保持面35がベルト36による押圧力を発揮しつつ変形可能であるので、容器Bを常時押圧しつつ搬送することができる。したがって容器Bは常に安定した姿勢で搬送される。
【0022】
なお、容器Bを搬送する一対のグリップ片32、33が停止時に間隔を広げる動作は、排出装置17に設けられたロボットによって容器Bが把持されるときにおいても実行される。
【0023】
以上のように本実施形態によれば、グリップ片33の保持面35を、容器Bから受ける押圧力によって変形可能なベルト36により構成したので、一対のグリップ片32、33の間隔が大きくなっても容器Bを常に安定した姿勢で把持することができる。
【0024】
図4は第2実施形態のグリップ片50を示している。グリップ片50は、一対の回転軸51にそれぞれ枢支されたL型アーム52を有する。グリップ片50には、把持される容器Bの形状に対応した凹面53が形成され、各L型アーム52の保持面54は凹面53に合致した凹面状態(符号(a))と、相互に一直線上に整列した平面状態(符号(b))との間において変形可能である。すなわち一対のL型アーム52の基端部同士はスプリング55によって相互に近づく方向に付勢されており、保持面54は、アーム52に外力が作用しない状態では平面状態にあり、容器Bを把持するとき、容器Bにより押圧されて変位する。
【0025】
図5は第3実施形態のグリップ片60を示している。グリップ片60には一対のプーリ61が設けられ、各プーリ61にはOリング62が巻回される。グリップ片60は第2実施形態と同様に凹面63を有し、Oリング62の保持面64は外力が作用しない状態では平面状態であるが、容器Bを把持するとき、容器Bにより押圧されて凹面63側へ変形する。
【0026】
図6は第4実施形態のグリップ片70を示している。グリップ片70は、その外形に沿って延びる板バネ71を有し、板バネ71の両端部は円弧状に成形されている。板バネ71の外周側にはベルト72が設けられ、ベルト71の両端部と板バネ71はピン73によってグリップ片70に固定される。グリップ片70は第2実施形態と同様に凹面74を有し、ベルト72の保持面75は外力が作用しない状態では平面状態であるが、容器Bを把持するときは、容器Bに押圧されて板バネ71の両端部を撓ませつつ凹面73側へ変形する。
【0027】
図7は第5実施形態のグリップ片80を示している。グリップ片80の第4実施形態との違いは、板バネ81がグリップ片80に形成された溝82に挿入されて固定される点と、ベルト83が無端状である点であり、その他の構成は第4実施形態と同様である。すなわちグリップ片80は第2実施形態と同様に凹面84を有し、ベルト83の保持面85は外力が作用しない状態では平面状態であるが、容器Bを把持するときは、容器Bに押圧されて板バネの両端部を撓ませつつ凹面84側へ変形する。
【0028】
第2~第5実施形態によっても第1実施形態と同様な効果が得られる。
【符号の説明】
【0029】
13 プレート(搬送経路)
21、22 レール
23 電磁コイルユニット(固定子)
24 第1の可動子
25 第2の可動子
32、33、50、60、70、80 グリップ片
35、54、64、75、85 保持面
36、72、83 ベルト(変形可能な部材)
52 L型アーム(変形可能な部材)
B 容器(物品)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7