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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029965
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20240229BHJP
   H01L 31/0232 20140101ALN20240229BHJP
【FI】
G02B6/42
H01L31/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132465
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】黒川 宗高
(72)【発明者】
【氏名】原 弘
【テーマコード(参考)】
2H137
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
2H137AB05
2H137AB06
2H137AC02
2H137BA01
2H137BB02
2H137BB12
2H137BB14
2H137BC07
2H137BC12
2H137BC16
2H137BC31
2H137BC47
2H137BC50
2H137BC51
2H137BC53
2H137BC55
2H137BC58
2H137DA39
2H137DB12
2H137DB13
2H137HA01
5F149BA26
5F149JA13
5F149XB05
5F849BA26
5F849JA13
5F849XB05
(57)【要約】
【課題】迷光を抑制することができると共に調芯の作業を効率よく行うことができる光モジュールを提供する。
【解決手段】一実施形態に係る光モジュールは、第1面と、第1面に対向する第2面と、第1面と交差する第3面と、第3面に対向する第4面と、第1面、第2面、第3面及び第4面によって画成された領域の内部に形成された内部の面とを有するビームスプリッタと、ビームスプリッタの第4面に対向する位置に配置された受光部と、を備える。ビームスプリッタは、第1面から入射した第1入射光を、内部の面を透過し第2面から出射する第1分岐光と、内部の面において反射し第3面から出射する第2分岐光とに分岐する。光モジュールは、第4面に設けられた光吸収反射部を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面に対向する第2面と、前記第1面と交差する第3面と、前記第3面に対向する第4面と、前記第1面、前記第2面、前記第3面及び前記第4面によって画成された領域の内部に形成された内部の面とを有するビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタの前記第3面に対向する位置に配置された受光部と、
を備え、
前記ビームスプリッタは、前記第1面から入射した第1入射光を、前記内部の面を透過し前記第2面から出射する第1分岐光と、前記内部の面において反射し前記第3面から出射する第2分岐光とに分岐し、
前記第4面に設けられた光吸収反射部を備える、
光モジュール。
【請求項2】
前記光吸収反射部では、光吸収膜又は光反射膜が被膜されている、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
光変調素子を更に備え、
前記光変調素子は、入力ポートに連続光が入力され、変調信号光として出力ポートから前記第1入射光を出力する、
請求項1又は請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記光吸収反射部は、前記連続光を光吸収又は光反射する、
請求項3に記載の光モジュール。
【請求項5】
第5面と、前記第5面に対向する第6面と、前記第5面と交差する第7面と、前記第7面に対向する第8面と、前記第5面、前記第6面、前記第7面及び前記第8面によって画成された領域の内部に形成された内部の面とを有する別のビームスプリッタを更に備え、
前記別のビームスプリッタは、前記第8面で前記ビームスプリッタの前記第4面と前記光吸収反射部を介して接続し、前記第5面から入射した第2入射光を、前記内部の面を透過し前記第6面から出射する第3分岐光と、前記内部の面において反射し前記第7面から出射する第4分岐光とに分岐する、
請求項3に記載の光モジュール。
【請求項6】
連続光が入力される入力ポート、及び変調信号光を出力する出力ポートを有する光変調素子と、
第1面と、前記第1面に対向する第2面と、前記第1面と交差する第3面と、前記第3面に対向する第4面と、前記第1面、前記第2面、前記第3面及び前記第4面によって画成された領域の内部に形成された内部の面とを有し、前記第1面から入射した前記変調信号光を、前記内部の面を透過し前記第2面から出射する第1分岐光と、前記内部の面において反射し前記第3面から出射する第2分岐光とに分岐するビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタの前記第3面に対向する位置に配置され、前記第2分岐光を受光する受光部と、
前記第4面に設けられ、前記連続光を光吸収又は光反射する光吸収反射部と、
を備える、
光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、双方向光モジュールが記載されている。双方向光モジュールは、発光素子と、光ファイバから出射した光を受光する受光素子と、光ファイバから出射した光を受光素子に導く合分岐素子とを備える。更に、双方向光モジュールは、合分岐素子と受光素子との間に配置された迷光遮蔽部材を備える。迷光遮蔽部材は、開口部を有する。迷光遮蔽部材は、開口部を通過しない迷光を遮蔽する。迷光遮蔽部材の開口部を通過した光は受光素子の受光面に結合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-51698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した迷光遮蔽部材では、迷光遮蔽部材の位置が適切でなければ確実に迷光を抑制できないということが起こりうる。よって、迷光を遮蔽し、且つ迷光でない光を透過させるためには迷光遮蔽部材の位置を高精度に調芯することが必要となりうる。従って、調芯の作業が困難で調芯の作業を効率よく行えないという現状がある。
【0005】
本開示は、迷光を抑制することができると共に調芯の作業を効率よく行うことができる光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る光モジュールは、第1面と、第1面に対向する第2面と、第1面と交差する第3面と、第3面に対向する第4面と、第1面、第2面、第3面及び第4面によって画成された領域の内部に形成された内部の面とを有するビームスプリッタと、ビームスプリッタの第3面に対向する位置に配置された受光部と、を備える。ビームスプリッタは、第1面から入射した第1入射光を、内部の面を透過し第2面から出射する第1分岐光と、内部の面において反射し第3面から出射する第2分岐光とに分岐する。光モジュールは、第4面に設けられた光吸収反射部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、迷光を抑制することができると共に調芯の作業を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る光モジュールの内部構造を示す斜視図である。
図2図2は、図1の光モジュールのビームスプリッタ及び受光部を拡大した平面図である。
図3図3は、図2のビームスプリッタの変形例を示す平面図である。
図4図4は、変形例に係る光モジュールの内部構造を示す斜視図である。
図5図5は、図4の光モジュールのビームスプリッタ及び受光部を拡大した平面図である。
図6図6は、図5のビームスプリッタの更なる変形例を示す図である。
図7図7は、図6のビームスプリッタの実装を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示に係る光モジュールの実施形態の内容を列記して説明する。実施形態に係る光モジュールは、(1)第1面と、第1面に対向する第2面と、第1面と交差する第3面と、第3面に対向する第4面と、第1面、第2面、第3面及び第4面によって画成された領域の内部に形成された内部の面とを有するビームスプリッタと、ビームスプリッタの第3面に対向する位置に配置された受光部と、を備える。ビームスプリッタは、第1面から入射した第1入射光を、内部の面を透過し第2面から出射する第1分岐光と、内部の面において反射し第3面から出射する第2分岐光とに分岐する。光モジュールは、第4面に設けられた光吸収反射部を備える。
【0010】
この光モジュールでは、ビームスプリッタが第1面、第2面、第3面、第4面、及び内部の面を備え、内部の面は、第1面、第2面、第3面、及び第4面に画成された領域の内部に形成されている。ビームスプリッタは、第1面から入射した第1入射光を第1分岐光と第2分岐光とに分岐する。第1分岐光は第2面から出射し、第2分岐光は第3面から出射する。光モジュールは、第3面に対向する位置に配置された受光部と、第4面に設けられた光吸収反射部とを備える。よって、たとえ迷光がビームスプリッタの第4面に到達しても、第4面に設けられた光吸収反射部によって当該迷光を吸収又は反射することができる。この光モジュールでは、ビームスプリッタの第4面に光吸収反射部を設ければよいので調芯の作業を効率よく行うことができる。
【0011】
(2)上記(1)において、光吸収反射部では、光吸収膜又は光反射膜が被膜されていてもよい。この場合、光吸収反射部を容易に作製することができる。
【0012】
(3)上記(1)又は(2)において、光モジュールは、光変調素子を更に備え、光変調素子は、入力ポートに連続光が入力され、変調信号光として出力ポートから第1入射光を出力してもよい。
【0013】
(4)上記(3)において、光吸収反射部は、連続光を光吸収又は光反射してもよい。
【0014】
(5)上記(3)又は(4)において、光モジュールは、第5面と、第5面に対向する第6面と、第5面と交差する第7面と、第7面に対向する第8面と、第5面、第6面、第7面及び第8面によって画成された領域の内部に形成された内部の面とを有する別のビームスプリッタを更に備えてもよい。別のビームスプリッタは、第8面でビームスプリッタの第4面と光吸収反射部を介して接続し、第5面から入射した第2入射光を、内部の面を透過し第6面から出射する第3分岐光と、内部の面において反射し第7面から出射する第4分岐光とに分岐してもよい。
【0015】
別の実施形態に係る光モジュールは、(6)連続光が入力される入力ポート、及び変調信号光を出力する出力ポートを有する光変調素子と、第1面と、第1面に対向する第2面と、第1面と交差する第3面と、第3面に対向する第4面と、第1面、第2面、第3面及び第4面によって画成された領域の内部に形成された内部の面とを有し、第1面から入射した変調信号光を、内部の面を透過し第2面から出射する第1分岐光と、内部の面において反射し第3面から出射する第2分岐光とに分岐するビームスプリッタと、ビームスプリッタの第3面に対向する位置に配置され、第2分岐光を受光する受光部と、第4面に設けられ、連続光を光吸収又は光反射する光吸収反射部と、を備える。
【0016】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る光モジュールの具体例を以下で図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示され、特許請求の範囲と均等の範囲における全ての変更が含まれることが意図される。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載したものに限定されない。
【0017】
図1は、一例としての光モジュール1を示す斜視図である。図1に示されるように、光モジュール1は、直方体状のパッケージ2と、パッケージ2から延び出す入力アセンブリ3及び出力アセンブリ4とを備える。入力アセンブリ3及び出力アセンブリ4のそれぞれは円柱状を呈する。パッケージ2は、第1方向D1に沿って延びる第1側壁2bと、第1方向D1に交差する第2方向D2に沿って延びる一対の第2側壁2cと、光モジュール1の各部品が搭載される底壁2dとを有する。第1方向D1は光モジュール1の長手方向であり、第2方向D2は光モジュール1の幅方向である。
【0018】
第1側壁2bは、第1方向D1及び第3方向D3の双方に延在している。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2の双方に交差する方向であり、光モジュール1の高さ方向に相当する。一対の第2側壁2cは第1方向D1に沿って並んでおり、各第2側壁2cは第2方向D2及び第3方向D3の双方に延在している。底壁2dは、第1側壁2b及び第2側壁2cの第3方向D3の一端において第1方向D1及び第2方向D2の双方に延在している。一対の第1側壁2b、及び一対の第2側壁2cは、第3方向D3から見たときに枠状を呈するパッケージ2の枠体2gを構成する。パッケージ2は底壁2eを有する。
【0019】
一対の第2側壁2cのうちの一方からは入力アセンブリ3及び出力アセンブリ4が第1方向D1に沿って延び出している。入力アセンブリ3及び出力アセンブリ4は、第2方向D2に沿って並んでいる。入力アセンブリ3は、光モジュール1の外部から光モジュール1の内部に入力光L1を入力する部位である。出力アセンブリ4は、光モジュール1の内部から光モジュール1の外部に出力光L2を出力する部位である。入力アセンブリ3は筒状のスリーブ3bを有し、出力アセンブリ4は筒状のスリーブ4bを有する。
【0020】
光モジュール1は、底壁2dに搭載された第1温調デバイス11と、第1温調デバイス11に搭載された波長可変光源用ベース12と、波長可変光源用ベース12に搭載された波長可変光源用キャリア13と、波長可変光源用キャリア13に搭載された波長可変光源素子14とを有する。更に、光モジュール1は、波長可変光源用ベース12に搭載された複数のレンズ15と、複数の波長制御用モニタ素子16と、サーミスタ17と、エタロンフィルタ18と、アイソレータ19とを有する。複数のレンズ15には波長可変光源素子14から出力された光L3が入力し、アイソレータ19には複数のレンズ15を透過した光L3が入力する。アイソレータ19は、光L3を波長可変光源素子14とは反対側に出射する。
【0021】
光モジュール1は、第2温調デバイス21と、第2温調デバイス21に搭載された光変調素子用ベース22と、光変調素子用ベース22に搭載された光変調素子用キャリア23と、光変調素子用キャリア23に搭載された光変調素子24とを有する。例えば、光変調素子24は、インジウムリン(InP)及びケイ素(Si)のいずれかによって構成されている。更に、光モジュール1は、光変調素子用ベース22に搭載されたフィルタブロック25、偏波合波フィルタ26、モニタタップフィルタ27(ビームスプリッタ)、サーミスタ28、変調出力光強度モニタ用受光素子(受光部)29、及び複数のレンズ30を有する。
【0022】
光モジュール1は、光変調素子24から見てレンズ30とは反対側の位置に設けられたヒートシンク34と、ヒートシンク34に搭載されたドライバIC35と、ドライバIC35から見て光変調素子24とは反対側に延び出すFPC(Flexible Printed Circuit)36とを有する。ドライバIC35は、光変調素子24及びFPC36のそれぞれと電気的に接続されている。
【0023】
光変調素子24は、複数のレンズ30に対向する辺の部分に入力ポート、第1出力ポート及び第2出力ポートを有する。複数のレンズ30は、光変調素子24の入力ポートに対向する第1レンズ31と、光変調素子24の第1出力ポートに対向する第2レンズ32と、光変調素子24の第2出力ポートに対向する第3レンズ33とを含む。光変調素子24の第1出力ポートから出射した変調信号光である光L4は、第2レンズ32を透過する。
【0024】
第2レンズ32を透過した光L4は、偏波合波フィルタ26において第2方向D2に反射する。光変調素子24の第2出力ポートから出射した変調信号光である光L5は、第3レンズ33を透過して偏波合波フィルタ26に入力する。偏波合波フィルタ26は、第2方向D2に反射した光L4を第1方向D1に反射すると共に、光L5を第1方向D1に透過する。すなわち、偏波合波フィルタ26は、光L4及び光L5を出力光L2として第1方向D1に出力する。モニタタップフィルタ27は、出力光L2の一部を出力アセンブリ4に出力すると共に、出力光L2の残部(第2分岐光L22)を第2方向D2に反射する。モニタタップフィルタ27において反射した第2分岐光L22は、変調出力光強度モニタ用受光素子29が受光する。モニタタップフィルタ27については後に詳述する。
【0025】
図2は、光モジュール1の内部におけるフィルタブロック25の周辺を拡大した平面図である。図1及び図2に示されるように、フィルタブロック25は、アイソレータ19を透過した光L3を透過及び反射する。フィルタブロック25は、フィルタブロック25の内部に形成された第1反射透過面25b、第2反射透過面25c及び第3反射透過面25dを有する。第1反射透過面25b、第2反射透過面25c及び第3反射透過面25dは、この順で第2方向D2に沿って並んでいる。第1反射透過面25bの向き、及び第2反射透過面25cの向きは、互いに異なっており、例えば、互いに直交している。第2反射透過面25cの向き、及び第3反射透過面25dの向きは、例えば、互いに同一(平行)である。
【0026】
更に、フィルタブロック25は、アイソレータ19に対向する第1面25f、偏波合波フィルタ26に対向する第2面25g、モニタタップフィルタ27とは反対側を向く第3面25h、及びモニタタップフィルタ27側を向く第4面25jを有する。第1面25f、第2面25g、第3面25h及び第4面25jによって画成された領域の内部に第1反射透過面25b、第2反射透過面25c及び第3反射透過面25dが形成されている。
【0027】
フィルタブロック25は、第1反射透過面25bにおいて光L3の一部を透過して第1レンズ31に入力する。第1レンズ31は、光L3を光変調素子24の入力ポートに入力する。光L3は連続光である。フィルタブロック25は、第1反射透過面25bにおいて光L3の残部を第2方向D2に反射する。第1反射透過面25bにおいて第2方向D2に反射した光L3は第2反射透過面25cに入射する。
【0028】
第2反射透過面25cは、光L3の一部を第1方向D1に反射してエタロンフィルタ18及び波長制御用モニタ素子16に導くと共に、光L3の残部を第2方向D2に透過する。第2反射透過面25cを透過した光L3は第3反射透過面25dに入射する。第3反射透過面25dは、光L3の一部を第1方向D1に反射して波長制御用モニタ素子16に導くと共に、光L3の残部を第2方向D2に透過する。
【0029】
図1及び図2に示されるように、光モジュール1は、第1光路調整フィルタ41と、ミラー42と、第2光路調整用フィルタ43と、偏波分離フィルタ44と、第1レンズ部45b、第2レンズ部45c及び第3レンズ部45dを有するレンズ45と、復調素子用キャリア46とを有する。第1光路調整フィルタ41、ミラー42、第2光路調整用フィルタ43、偏波分離フィルタ44、レンズ45及び復調素子用キャリア46は、パッケージ2の底壁2eに搭載されている。
【0030】
光モジュール1は、ヒートシンク34に搭載されたTIA(Trans Impedance Amplifier)47と、復調素子用キャリア46に搭載された復調素子48とを有する。復調素子48には、レンズ45の第1レンズ部45b、第2レンズ部45c及び第3レンズ部45dのそれぞれに入射した光が入力される。入力アセンブリ3から光モジュール1の内部に入力した入力光L1は、第1光路調整フィルタ41を透過して偏波分離フィルタ44に入射する。
【0031】
偏波分離フィルタ44に入射した入力光L1の一部は、偏波分離フィルタ44を透過してレンズ45の第1レンズ部45bに入射する。偏波分離フィルタ44に入射した入力光L1の残部は、偏波分離フィルタ44において2回反射してレンズ45の第3レンズ部45dに入射する。第2光路調整用フィルタ43及びミラー42には、フィルタブロック25(第3反射透過面25d)を第2方向D2に透過した光L3が入射する。光L3は、ミラー42において第1方向D1に反射してレンズ45の第2レンズ部45cに入射する。
【0032】
次に、モニタタップフィルタ27の詳細構造について説明する。モニタタップフィルタ27は、出力光L2を分岐するビームスプリッタである。モニタタップフィルタ27は、第1面27bと、第1面27bに対向する第2面27cと、第1面27bと交差する第3面27dと、第3面27dに対向する第4面27fとを有する。更に、モニタタップフィルタ27は、第1面27b、第2面27c、第3面27d及び第4面27fによって画成された領域の内部に形成された内部の面27gを有する。
【0033】
第1面27bは偏波合波フィルタ26に対向し、第2面27cは第1面27bとは反対側を向いている。第3面27dは変調出力光強度モニタ用受光素子29に対向し、第4面27fはフィルタブロック25側(第3面27dとは反対側)を向いている。モニタタップフィルタ27は、第1面27bから入射した第1入射光である出力光L2を、内部の面27gを透過し第2面27cから出力する第1分岐光L21と、内部の面27gにおいて反射し第3面27dから出射する第2分岐光L22に分岐する。第1分岐光L21は出力アセンブリ4に出力され、第2分岐光L22は変調出力光強度モニタ用受光素子29に出力される。
【0034】
変調出力光強度モニタ用受光素子29は、モニタタップフィルタ27の第3面27dに対向する位置に配置されている。光モジュール1は、第4面27fに設けられた光吸収反射部51を備える。光吸収反射部51では、光吸収膜又は光反射膜が被膜されている。例えば、光吸収反射部51における光(P偏波、S偏波)の透過率は0.1%未満である。例えば、光吸収反射部51における光(P偏波、S偏波)の反射率は2%未満である。光吸収反射部51では、誘電体多層膜又は金属膜(Crコート)が被膜されていてもよい。更に、光モジュール1は、フィルタブロック25の第1面25fに光吸収反射部52を備える。光吸収反射部52の構成は、例えば、光吸収反射部51の構成と同様である。
【0035】
次に、本実施形態に係る光モジュール1から得られる作用効果について説明する。光モジュール1では、モニタタップフィルタ27が第1面27b、第2面27c、第3面27d、第4面27f、及び内部の面27gを備え、内部の面27gは、第1面27b、第2面27c、第3面27d、及び第4面27fに画成された領域の内部に形成されている。モニタタップフィルタ27は、第1面27bから入射した出力光L2を第1分岐光L21と第2分岐光L22とに分岐する。第1分岐光L21は第2面27cから出射し、第2分岐光L22は第3面27dから出射する。光モジュール1は、第3面27dに対向する位置に配置された変調出力光強度モニタ用受光素子29と、第4面27fに設けられた光吸収反射部51とを備える。
【0036】
よって、たとえ迷光がモニタタップフィルタ27の第4面27fに到達しても、第4面27fに設けられた光吸収反射部51によって当該迷光を吸収又は反射することができる。光モジュール1において生じうる迷光としては、フィルタブロック25及びモニタタップフィルタ27のいずれかの面に到達して当該面を透過又は反射する光が考えられる。光モジュール1では、モニタタップフィルタ27の第4面27fに光吸収反射部51を設ければよいので調芯の作業を効率よく行うことができる。更に、光モジュール1は、フィルタブロック25の第4面25jに光吸収反射部52を備えるので、変調出力光強度モニタ用受光素子29への迷光の到達をより確実に抑制できる。
【0037】
前述したように、光吸収反射部51では、光吸収膜又は光反射膜が被膜されていてもよい。この場合、光吸収反射部51を容易に作製することができる。光吸収反射部52についても同様である。
【0038】
前述したように、光モジュール1は、光変調素子24を更に備えてもよい。光変調素子24は、入力ポートに連続光(光L3)が入力され、変調信号光(光L4,L5)として出力ポートから第1入射光を出力し、当該第1入射光が出力光L2として第1面27bに入射してもよい。光吸収反射部51は、当該連続光を光吸収又は光反射してもよい。
【0039】
次に、変形例に係る光モジュール1Aについて図3を参照しながら説明する。光モジュール1Aの一部の構成は、前述した光モジュール1の一部の構成と同様である。よって、以下では光モジュール1の説明と重複する説明を同一の符号を付して適宜省略する。光モジュール1は、光吸収反射部52に代えて、フィルタブロック25の第4面25jに貼り合わされる成膜部品53を備える。成膜部品53には、前述した光吸収反射部51と同様、光吸収膜又は光反射膜が被膜されている。成膜部品53がフィルタブロック25の第4面25jに貼り合わされることによって、変調出力光強度モニタ用受光素子29への迷光対策を容易に施すことができる。
【0040】
続いて、更なる変形例に係る光モジュール1Bについて図4を参照しながら説明する。図4に示されるように、光モジュール1Bは、フィルタブロック25、偏波合波フィルタ26及びモニタタップフィルタ27に代えて、複合フィルタブロック60を有する。複合フィルタブロック60は、光変調素子24からの光L4及び光L5が入射する第1外面61と、出力光L2が出力する第2外面62と、変調出力光強度モニタ用受光素子29に対向する第3外面63と、第2光路調整用フィルタ43に対向する第4外面64とを有する。
【0041】
図5は、図4の複合フィルタブロック60を拡大した平面図である。図5に示されるように、複合フィルタブロック60は、第1外面61、第2外面62、第3外面63及び第4外面64によって画成された領域の内部に複数の内部の面65を有する。複数の内部の面65は、例えば、前述した第1反射透過面25b、第2反射透過面25c及び第3反射透過面25dを含む。更に、複数の内部の面65は、光L4を第2方向D2に反射する反射面65bと、光L4を反射すると共に光L5を透過する第4反射透過面65cとを有する。反射面65bには、光反射膜又は光吸収膜が貼り付けられていてもよい。また、第3外面63は粗研磨加工されていてもよい。この場合、変調出力光強度モニタ用受光素子29への迷光の到達をより確実に抑制できる。
【0042】
複合フィルタブロック60は、変調出力光強度モニタ用受光素子29に第2方向D2に対向するモニタタップフィルタ部66と、モニタタップフィルタ部66から見て変調出力光強度モニタ用受光素子29とは反対側に位置するパワースプリットフィルタ部67とを有する。
【0043】
パワースプリットフィルタ部67は、前述した第1反射透過面25b、第2反射透過面25c及び第3反射透過面25dを有する複合フィルタブロック60の一部である。パワースプリットフィルタ部67は、モニタタップフィルタ部66(ビームスプリッタ)とは異なる別のビームスプリッタである。パワースプリットフィルタ部67は、光L3が入力する第5面67bと、第5面67bに対向する第6面67cと、第5面67bと交差する第7面67dと、第7面67dに対向する第8面67fとを有する。前述した内部の面65は、第5面67b、第6面67c、第7面67d及び第8面67fによって画成された領域の内部に形成されている。
【0044】
モニタタップフィルタ部66は、光変調素子24側を向く第1面66bと、出力アセンブリ4側を向く第2面66cと、変調出力光強度モニタ用受光素子29に対向する第3面66dと、第3面66dとは反対側を向く第4面66fとを有する。複合フィルタブロック60は、第4面66fに貼り付けられた光吸収反射部51を有する。光吸収反射部51は、モニタタップフィルタ部66とパワースプリットフィルタ部67との間に設けられる。すなわち、パワースプリットフィルタ部67は、第8面67fでモニタタップフィルタ部66の第4面66fと光吸収反射部51を介して接続する。パワースプリットフィルタ部67は、第5面67bから入射した第2入射光である光L3を、内部の面65を透過し第6面67cから出射する第3分岐光L6と、内部の面65において反射し第7面67dから出射する第4分岐光L7とに分岐する。
【0045】
以上、変形例に係る光モジュール1Bは、複合フィルタブロック60がモニタタップフィルタ部66及びパワースプリットフィルタ部67の間に設けられた光吸収反射部51を備え、光吸収反射部51はモニタタップフィルタ部66の第4面66fに貼り付けられている。従って、パワースプリットフィルタ部67からモニタタップフィルタ部66への迷光が生じても、当該迷光は光吸収反射部51によって吸収又は反射されるので、変調出力光強度モニタ用受光素子29への当該迷光の到達を抑制できる。よって、前述した光モジュール1と同様の作用効果が得られる。
【0046】
図6を参照しながら光モジュール1Bの更なる変形例に係る光モジュールについて説明する。図6に示される光モジュールは、光吸収反射部51に代えて、成膜部品70を備える点が光モジュール1Bとは異なっている。成膜部品70は、例えば、前述した成膜部品53と同一である。成膜部品70はモニタタップフィルタ部66とパワースプリットフィルタ部67との間に貼り付けられている。
【0047】
図7は成膜部品70の貼り付けについて説明するための図である。図6及び図7に示されるように、例えば、成膜部品70のモニタタップフィルタ部66側の面、及び成膜部品70のパワースプリットフィルタ部67側の面のいずれかに光吸収膜又は光反射膜が成膜される。この成膜のときに、成膜部品70に反りが生じ、モニタタップフィルタ部66側が第3方向D3に傾く可能性がある。そこで、実装面Sから一定距離Xだけモニタタップフィルタ部66を離隔させた状態で成膜部品70が樹脂によってモニタタップフィルタ部66及びパワースプリットフィルタ部67に固定される場合、モニタタップフィルタ部66が傾いても実装面Sへのモニタタップフィルタ部66の接触を回避できる。一定距離Xは、例えば、20μmである。以上、図7に示される光モジュールにおいても、迷光は成膜部品70によって吸収又は反射されるので、変調出力光強度モニタ用受光素子29への迷光の到達を抑制できる。
【0048】
以上、本開示に係る光モジュールの実施形態及び種々の変形例について説明した。しかしながら、本発明は、前述した実施形態又は変形例に限定されない。すなわち、本発明が特許請求の範囲に記載された要旨を変更しない範囲において種々の変形および変更が可能であることは、当業者によって容易に認識される。例えば、光モジュールの各部品の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、前述した内容に限られず適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0049】
1,1A,1B…光モジュール
2…パッケージ
2b…第1側壁
2c…第2側壁
2d…底壁
2e…底壁
2g…枠体
3…入力アセンブリ
3b…スリーブ
4…出力アセンブリ
4b…スリーブ
11…第1温調デバイス
12…波長可変光源用ベース
13…波長可変光源用キャリア
14…波長可変光源素子
15…レンズ
16…波長制御用モニタ素子
17…サーミスタ
18…エタロンフィルタ
19…アイソレータ
21…第2温調デバイス
22…光変調素子用ベース
23…光変調素子用キャリア
24…光変調素子
25…フィルタブロック
25b…第1反射透過面
25c…第2反射透過面
25d…第3反射透過面
25f…第1面
25g…第2面
25h…第3面
25j…第4面
26…偏波合波フィルタ
27…モニタタップフィルタ(ビームスプリッタ)
27b…第1面
27c…第2面
27d…第3面
27f…第4面
27g…内部の面
28…サーミスタ
29…変調出力光強度モニタ用受光素子(受光部)
30…レンズ
31…第1レンズ
32…第2レンズ
33…第3レンズ
34…ヒートシンク
35…ドライバIC
36…FPC
41…第1光路調整フィルタ
42…ミラー
43…第2光路調整用フィルタ
44…偏波分離フィルタ
45…レンズ
45b…第1レンズ部
45c…第2レンズ部
45d…第3レンズ部
46…復調素子用キャリア
47…TIA
48…復調素子
51,52…光吸収反射部
53…成膜部品
60…複合フィルタブロック
61…第1外面
62…第2外面
63…第3外面
64…第4外面
65…内部の面
65b…反射面
65c…第4反射透過面
66…モニタタップフィルタ部(ビームスプリッタ)
66b…第1面
66c…第2面
66d…第3面
66f…第4面
67…パワースプリットフィルタ部(別のビームスプリッタ)
67b…第5面
67c…第6面
67d…第7面
67f…第8面
70…成膜部品
D1…第1方向
D2…第2方向
D3…第3方向
L1…入力光
L2…出力光
L3…光(連続光、第2入射光)
L4,L5…光(第1入力光、変調信号光)
L6…第3分岐光
L7…第4分岐光
L21…第1分岐光
L22…第2分岐光
S…実装面
X…一定距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7