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特開2024-29984車両用空調装置の内外気切替機構及び車両用空調装置
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  • 特開-車両用空調装置の内外気切替機構及び車両用空調装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029984
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】車両用空調装置の内外気切替機構及び車両用空調装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
B60H1/00 102G
B60H1/00 102E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132493
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】原 淳一郎
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA05
3L211BA51
3L211BA55
3L211DA04
(57)【要約】
【課題】バタフライ式の切替ドアにおいて、より多くの内気をケーシングの内部に導入することができる車両用空調装置の内外気切替機構及び車両用空調装置を提供する。
【解決手段】ケーシング11は、平面状の外側内気導入口14aを形成しているフレーム部11bと、フレーム部11bの側方においてフレーム部11bとの間で側面内気導入口14bを形成しているとともに、外側内気導入口14a及び側面内気導入口14bよりも内気の流れ方向の下流側に内側内気導入口14cを形成し、切替ドア12が内部に設置されている本体部11aと、を有し、切替ドア12は、本体部11aの内部からフレーム部11bと対向したときにフレーム部11bから離れる方向に曲がった曲げ部12aを有し、内側内気導入口14cは、曲げ部12aを有した切替ドア12の形状に対応した面状とされ、回転軸Xを中心に回動する切替ドア12によって閉塞される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内気及び外気が導入されるケーシングと、
回転軸を中心に回動する切替ドアと、
を備えている車両用空調装置の内外気切替機構であって、
前記ケーシングは、
平面状の外側内気導入口を形成しているフレーム部と、
該フレーム部の側方において前記フレーム部との間で側面内気導入口を形成しているとともに、前記外側内気導入口及び前記側面内気導入口よりも内気の流れ方向の下流側に内側内気導入口を形成し、前記切替ドアが内部に設置されている本体部と、
を有し、
前記切替ドアは、前記本体部の内部から前記フレーム部と対向したときに該フレーム部から離れる方向に曲がった曲げ部を有し、
前記内側内気導入口は、前記曲げ部を有した前記切替ドアの形状に対応した面状とされ、前記回転軸を中心に回動する前記切替ドアによって閉塞される、
車両用空調装置の内外気切替機構。
【請求項2】
前記フレーム部には、格子構造が設けられている、
請求項1に記載の車両用空調装置の内外気切替機構。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の内外気切替機構を備えている、
車両用空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用空調装置の内外気切替機構及び車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用空調装置(HVAC)の内外気の切替を行う切替ドアには、一般的にバタフライ式やロータリー式がある。
【0003】
ロータリー式の切替ドアを採用した場合(例えば特許文献1)、ケーシングの側面にも内気導入口としての開口を設けることができて、内気導入口としての開口面積を大きく確保することができる。そのため、バタフライ式の切替ドアと比較すると、開口から導入される風量を多くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-170727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ロータリー式の切替ドアを採用した場合、切替ドア自体のサイズが大きくなったりケーシングとの遮風部分が増えたりするので、バタフライ式の切替ドアと比較すると、コストの面では不利となる。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、バタフライ式の切替ドアにおいて、より多くの内気をケーシングの内部に導入することができる車両用空調装置の内外気切替機構及び車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の車両用空調装置の内外気切替機構及び車両用空調装置は、以下の手段を採用する。
すなわち、本開示の一態様に係る車両用空調装置の内外気切替機構は、内気及び外気が導入されるケーシングと、回転軸を中心に回動する切替ドアと、を備えている車両用空調装置の内外気切替機構であって、前記ケーシングは、平面状の外側内気導入口を形成しているフレーム部と、該フレーム部の側方において前記フレーム部との間で側面内気導入口を形成しているとともに、前記外側内気導入口及び前記側面内気導入口よりも内気の流れ方向の下流側に内側内気導入口を形成し、前記切替ドアが内部に設置されている本体部と、を有し、前記切替ドアは、前記本体部の内部から前記フレーム部と対向したときに該フレーム部から離れる方向に曲がった曲げ部を有し、前記内側内気導入口は、前記曲げ部を有した前記切替ドアの形状に対応した面状とされ、前記回転軸を中心に回動する前記切替ドアによって閉塞される。
【0008】
また、本開示の一態様に係る車両用空調装置は、上記の内外気切替機構を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、バタフライ式の切替ドアにおいて、より多くの内気をケーシングの内部に導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係る車両用空調装置の斜視図である。
図2図1に示す切断線II-IIにおける断面図である(外気導入時)。
図3図1に示す切断線II-IIにおける断面図である(内気導入時)。
図4】本開示の一実施形態に係る内外気切替機構の斜視図である(外気導入時)。
図5】本開示の一実施形態に係る内外気切替機構の斜視図である(内気導入時)。
図6】本開示の一実施形態に係る内外気切替機構の外側内気導入口を示す斜視図である。
図7】本開示の一実施形態に係る内外気切替機構の側面内気導入口を示す斜視図である。
図8】本開示の一実施形態に係る内外気切替機構の内側内気導入口を示す斜視図である。
図9】格子構造が設けられた内外気切替機構の斜視図である。
図10】本開示の一実施形態の変形例に係る内外気切替機構の斜視図である(外気導入時)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態に係る車両用空調装置の内外気切替機構及び車両用空調装置について、図面を参照して説明する。
【0012】
[車両用空調装置の概要]
図1に示すように、車両用空調装置1は、ブロワ30に取り込まれる空気について、内気と外気とを切り替える内外気切替機構10を備えている。
【0013】
図1から図3に示すように、内外気切替機構10は、内気及び外気が取り込まれる部分であり、ケーシング11及び切替ドア12を有している。
内外気切替機構10の詳細な構成については後述する。
【0014】
内外気切替機構10の下方には、ブロワ30が設けられている。
ブロワ30は、ケーシング11の下部と連通したブロワケーシング31、ブロワケーシング31に収容されたファン32及びファン32を回転駆動する電動モータ33を有している。
【0015】
ブロワ30は、電動モータ33によってブロワケーシング31の内部でファン32が回転駆動されることで、内外気切替機構10及びブロワケーシング31の内部に空気が引き込まれる方向の流れを生成する。
内外気切替機構10に取り込まれた空気は、例えば、フィルタ41を介してブロワ30に導かれ、ブロワ30の下流側に設けられた熱交換器(図示せず)と熱交換された後に車内に供給される。
【0016】
[内外気切替機構]
以下、内外気切替機構10の詳細な構成について説明する。
図2から図5に示すように、内外気切替機構10は、いわゆるバタフライ式の開閉ダンパであり、上述の通り、ケーシング11及び切替ドア12を有している。
【0017】
図4及び図5に示すように、ケーシング11は、本体部11a及びフレーム部11bを有している。
【0018】
本体部11aは、箱状の部分であり、内部に切替ドア12が設けられている。
本体部11aの奥行方向Ddにおける正面側には、内側内気導入口14cが開口している。内側内気導入口14cは、切替ドア12の正面の形状に対応している。詳細については後述する。
本体部11aの奥行方向Ddにおける背面側には、外気導入口14dが開口している。外気導入口14dは、切替ドア12の背面の形状に対応している。詳細については後述する。
【0019】
フレーム部11bは、本体部11aによって画定された内側内気導入口14cを覆うようにして本体部11aに設けられた枠状(あるいは梁状)の部分である。
フレーム部11bは、奥行方向Ddで内側内気導入口14cよりも前方、かつ、高さ方向Dhで内側内気導入口14cよりも上方において、平面状の外側内気導入口14aを画定している。
また、フレーム部11bは、幅方向Dwにおける少なくとも1つの側方において、本体部11aの側壁との間で側面内気導入口14bを画定している。すなわち、側面内気導入口14bは、本体部11aの側壁とフレーム部11bとによって画定されている。
【0020】
以上をまとめると、ケーシング11は、内気を導入するための3種類の開口(外側内気導入口14a、側面内気導入口14b、内側内気導入口14c)及び外気を導入するための1種類の開口(外気導入口14d)を有していることになる。
【0021】
なお、外側内気導入口14aは図6においてドットで塗られた部分であり、側面内気導入口14bは図7においてドットで塗られた部分であり、内側内気導入口14cは図8においてドットで塗られた部分である。
【0022】
図2から図5に示すように、切替ドア12は、ケーシング11の本体部11aの内部に収容されている。
切替ドア12は、駆動部13(図1参照)によって、幅方向Dwに沿った回転軸Xの周りに回動可能に構成されている。
【0023】
切替ドア12は、ケーシング11のフレーム部11bに対向したときにフレーム部11bから離間する方向(奥行方向Ddの後側)に、言い換えれば、外側内気導入口14aに対向したときに外側内気導入口14aから離間する方向(奥行方向Ddの後側)に折れ曲がっており、幅方向Dwに沿って延在した曲げ部12aを有している。
例えば図2及び図4に示した例の場合、切替ドア12は、曲げ部12aを境界とした二面から構成されている。すなわち、切替ドア12は、曲げ部12aを境界とした屈曲面を形成していることになる。
【0024】
一方で、切替ドア12の正面と対向する内側内気導入口14c(すなわち、内側内気導入口14cを画定する本体部11aの部分)の形状は、曲げ部12aを有した切替ドア12の形状に対応しており、フレーム部11bから離間する方向に折れ曲がった面状とされている。
【0025】
つまり、駆動された切替ドア12が内側内気導入口14cを画定する本体部11aの部分に押し付けられたとき、内側内気導入口14cは、ケーシング11の内側から切替ドア12の正面によって閉塞されるように構成されている。
【0026】
このとき、本体部11aと接触する切替ドア12の正面の周縁及び/又は切替ドア12の正面と接触する本体部11aの部分には、遮風部が形成されている。遮風部には、例えば遮風材が設けられている。
【0027】
なお、内側内気導入口14cは、幅方向Dwと直交する面における断面形状が幅方向Dwに沿って同一である。
【0028】
以上のように構成された内側内気導入口14cは、外側内気導入口14a及び側面内気導入口14bと連通している。
このとき、内側内気導入口14cは、外側内気導入口14a及び側面内気導入口14bよりも空気の流れ方向の下流側に位置している。すなわち、外側内気導入口14aから取り込まれた空気に加えて、側面内気導入口14bから取り込まれた空気も内側内気導入口14cからケーシング11の内部に導入されることになる。これによって、ケーシング11の内部に導入される空気の流量を増大させることができる。
【0029】
切替ドア12の背面と対向する外気導入口14d(すなわち、外気導入口14dを画定する本体部11aの部分)の形状は、曲げ部12aを有した切替ドア12の形状に対応しており、同じように折れ曲がった形状とされている。
【0030】
つまり、駆動された切替ドア12が外気導入口14dを画定する本体部11aの部分に押し付けられたとき、外気導入口14dは、ケーシング11の内側から切替ドア12の背面によって閉塞されるように構成されている。
【0031】
このとき、本体部11aと接触する切替ドア12の背面の周縁及び/又は切替ドア12の背面と接触する本体部11aの部分には、遮風部が形成されている。遮風部には、例えば遮風材が設けられている。
【0032】
なお、外気導入口14dは、幅方向Dwと直交する面における断面形状が幅方向Dwに沿って同一である。
【0033】
図9に示すように、ケーシング11のフレーム部11bに格子構造15を設けてもよい。
【0034】
格子構造15は、外部から外側内気導入口14aを介して異物が侵入することを防止するための構成である。
格子構造15は、例えば、20mm×20mm~40mm×40mm程度の多数の格子を形成する剛な枠体や構造体である。
【0035】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
外側内気導入口14a及び側面内気導入口14bから内気をケーシング11の内部に導入することができる。そのため、側面内気導入口14bを設けた分、内気導入口としての開口面積を増大させることができるので、より多くの内気をケーシング11の内部に導入することができる。
【0036】
また、外側内気導入口14aを形成しているフレーム部11bによってケーシング11の強度や剛性を向上させることができる。そのため、切替ドア12の回動に伴う振動等を低減することができる。
【0037】
また、格子構造15によって、外部から外側内気導入口14aを介してケーシング11の内部に異物が侵入する可能性を低減することができる。
【0038】
また、格子構造15によってフレーム部11bを強化することができる。そのため、ケーシング11の強度や剛性を更に向上させることができる。
【0039】
[変形例]
図10に示すように、切替ドア12を、ケーシング11のフレーム部11bに対向したときにフレーム部11bから離間する方向に滑らかに折れ曲がった構成としてもよい。すなわち、曲げ部12aが全面に及んでおり、切替ドア12が湾曲面を形成していることになる。
【0040】
以上の通り説明した一実施形態に係る車両用空調装置の内外気切替機構及び車両用空調装置は、例えば、以下のように把握される。
すなわち、本開示の第1態様に係る車両用空調装置(1)の内外気切替機構(10)は、内気及び外気が導入されるケーシング(11)と、回転軸(X)を中心に回動する切替ドア(12)と、を備えている車両用空調装置の内外気切替機構であって、前記ケーシングは、平面状の外側内気導入口(14a)を形成しているフレーム部(11b)と、該フレーム部の側方において前記フレーム部との間で側面内気導入口(14b)を形成しているとともに、前記外側内気導入口及び前記側面内気導入口よりも内気の流れ方向の下流側に内側内気導入口(14c)を形成し、前記切替ドアが内部に設置されている本体部(11a)と、を有し、前記切替ドアは、前記本体部の内部から前記フレーム部と対向したときに該フレーム部から離れる方向に曲がった曲げ部(12a)を有し、前記内側内気導入口は、前記曲げ部を有した前記切替ドアの形状に対応した面状とされ、前記回転軸を中心に回動する前記切替ドアによって閉塞される。
【0041】
本態様に係る車両用空調装置の内外気切替機構によれば、ケーシングは、平面状の外側内気導入口を形成しているフレーム部と、フレーム部の側方においてフレーム部との間で側面内気導入口を形成しているとともに、内気導入口及び側面内気導入口よりも内気の流れ方向の下流側に内側内気導入口を形成し、切替ドアが内部に設置されている本体部と、を有し、切替ドアは、本体部の内部からフレーム部と対向したときにフレーム部から離れる方向に曲がった曲げ部を有し、内側内気導入口は、曲げ部を有した切替ドアの形状に対応した面状とされ、回転軸を中心に回動する切替ドアによって閉塞されるので、切替ドアによって閉塞される内側内気導入口に連通する外側内気導入口及び側面内気導入口から内気をケーシングの内部に導入することができる。そのため、側面内気導入口を設けた分、内気導入口としての開口面積を増大させることができるので、より多くの内気をケーシングの内部に導入することができる。
【0042】
また、外側内気導入口を形成しているフレーム部によってケーシングの強度や剛性を向上させることができる。そのため、切替ドアの回動に伴う振動等を低減することができる。
【0043】
また、本開示の第2態様に係る車両用空調装置の内外気切替機構は、第1態様において、前記フレーム部には、格子構造(15)が設けられている。
【0044】
本態様に係る車両用空調装置によれば、格子構造が設けられているので、格子構造によって、外部から外側内気導入口を介してケーシングの内部に異物が侵入する可能性を低減することができる。
【0045】
また、格子構造によってフレーム部を強化することができる。そのため、ケーシングの強度や剛性を更に向上させることができる。
【0046】
また、本開示の第3態様に係る車両用空調装置は、第1態様又は第2態様の内外気切替機構を備えている。
【符号の説明】
【0047】
1 車両用空調装置
10 内外気切替機構
11 ケーシング
11a 本体部
11b フレーム部
12 切替ドア
12a 曲げ部
13 駆動部
14a 外側内気導入口
14b 側面内気導入口
14c 内側内気導入口
14d 外気導入口
15 格子構造
30 ブロワ
31 ブロワケーシング
32 ファン
33 電動モータ
41 フィルタ
X 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10