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  • 特開-車両用シート 図1
  • 特開-車両用シート 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029985
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20240229BHJP
   B60N 2/06 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132494
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】矢ノ下 克尚
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA02
3B087BB02
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】第一装置及び第二装置を備える車両用シートにおいて、第一装置及び第二装置に接続された各ハーネスの暴れを抑制しつつコストアップを避ける。
【解決手段】車両用シート10は、シート本体12,14,16と、バックル装置(第一装置)に接続されたバックルハーネス30と、SAB装置(第二装置)に接続されたSABハーネス40と、を備える。バックルハーネス30は、シート本体12,14,16に固定されている。また、SABハーネス40は、バックルハーネス30に巻き付けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッション及びシートバックを含むシート本体と、
第一装置に接続され、前記シート本体に固定された第一ハーネスと、
第二装置に接続され、前記第一ハーネスに巻き付けられた第二ハーネスと、
を備える車両用シート。
【請求項2】
前記第二装置は、前記第一装置よりも限定された車種の車両用シートに設けられている装置である、
請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記シートクッションの下側に配置されるアンダートレイを支持するための収納レールを更に備え、
前記第二ハーネスのうち前記第一ハーネスに巻き付けられている部分は、前記収納レールの近傍を通っている、
請求項1又は請求項2に記載の車両用シート。
【請求項4】
前記第一ハーネスに接続された第一コネクタと、
前記第二ハーネスに接続された第二コネクタと、を更に備え、
前記第二コネクタは、前記第一コネクタの近傍に配置されている、
請求項1又は請求項2に記載の車両用シート。
【請求項5】
車体に固定される車体側部材を更に備え、
前記シート本体は、前記車体側部材に対して移動可能に構成され、
前記第一コネクタ及び前記第二コネクタは、前記車体側部材に取り付けられており、
前記第一ハーネスは、前記第一コネクタに最も近い第一固定部において前記車体側部材に固定されると共に、前記第一コネクタに2番目に近い第二固定部において前記シート本体に固定されており、
前記第二ハーネスは、前記第一ハーネスにおける前記第一固定部から前記第二固定部までの部分に1回以上巻き付けられている、
請求項4に記載の車両用シート。
【請求項6】
前記シートクッションは、当該シートクッションのシートパッドをシート下方から支持するクッション下部材を含み、
前記クッション下部材に前記第一ハーネスが固定されており、
前記第二ハーネスは、前記クッション下部材に固定されていない、
請求項1又は請求項2に記載の車両用シート。
【請求項7】
前記第一装置は、シートベルト装置であり、
前記第二装置は、エアバッグ装置である、
請求項1又は請求項2に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用シートにおけるハーネス配策構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-146939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両用シートには、サイドエアバッグ装置(以下「SAB装置」という。)を備えるものと備えないものとがある。そのため、SAB装置を備える車両用シートでは、SAB装置を備えない車両用シートと異なり、SAB装置に接続されたワイヤハーネス(以下、単に「ハーネス」という。)を固定するため構造が必要になる。また、SAB装置を備える車両用シートにのみSAB装置に接続されたハーネスを固定するための構造を設けることは、部品の共通化を妨げ、コストアップに繋がる。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、第一装置及び第二装置を備える車両用シートにおいて、第一装置及び第二装置に接続された各ハーネスの暴れを抑制しつつコストアップを避けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の車両用シートは、シートクッション及びシートバックを含むシート本体と、第一装置に接続され、前記シート本体に固定された第一ハーネスと、第二装置に接続され、前記第一ハーネスに巻き付けられた第二ハーネスと、を備える。
【0007】
この態様では、車両用シートは、シート本体と、第一装置に接続された第一ハーネスと、第二装置に接続された第二ハーネスと、を備える。
【0008】
ここで、第一ハーネスは、シート本体に固定されている。このため、シート本体に対する第一ハーネスの暴れを抑制することができる。また、第二ハーネスは、第一ハーネスに巻き付けられている。このため、第二ハーネスをシート本体に固定しなくても又はその固定箇所が少なくても、第二ハーネスの暴れを適切に抑制することができる。
よって、この態様によれば、第二ハーネスを固定するための構造を省略又は減らすことができ、その結果、第一ハーネス及び第二ハーネスの暴れを抑制しつつコストアップを避けることができる。
【0009】
第2の態様の車両用シートは、第1の態様において、前記第二装置は、前記第一装置よりも限定された車種の車両用シートに設けられている装置である。
【0010】
この態様では、第二装置は、第一装置よりも限定された車種の車両用シートに設けられている装置である。つまり、第二装置よりも比較的多くの車種の車両用シートに設けられている装置に接続されたハーネスがシート本体に固定されている。このため、第一装置及び第二装置のうち第一装置のみを備える車両用シートにおける、シート本体に対する第一ハーネスの固定構造を流用しやすい。
【0011】
第2の態様の車両用シートは、第1の態様において、前記シートクッションの下側に配置されるアンダートレイを支持するための収納レールを更に備え、前記第二ハーネスのうち前記第一ハーネスに巻き付けられている部分は、前記収納レールの近傍を通っている。
【0012】
この態様では、第二ハーネスのうち第一ハーネスに巻き付けられている部分は、収納レールの近傍を通っている。なお、ここでいう「近傍」とは、収納レールと第二ハーネスとの最短距離が3cm以下であることを意味する。
このため、収納レールの近傍に配策経路が設定されるので、シートクッションの下側の空間を効率的に使って配策することができる。また、SABハーネスの暴れが抑制されているので、SABハーネスが収納レールの近傍を通っていても、ハーネスが収納レールに引っ掛かること等を抑制することができる。
【0013】
第3の態様の車両用シートは、第1又は第2の態様において、前記第一ハーネスに接続された第一コネクタと、前記第二ハーネスに接続された第二コネクタと、を更に備え、前記第二コネクタは、前記第一コネクタの近傍に配置されている。
【0014】
この態様では、第二コネクタは、第一コネクタの近傍に配置されている。なお、ここでいう「近傍」とは、第二コネクタと第一コネクタとの間の最短距離が3cm以下であることを意味する。
このため、第二コネクタが第一コネクタの近傍に配置されていない態様と比較して、効果的に第二ハーネスを第一ハーネスに巻き付けて第二ハーネスの暴れを抑制することができる。
【0015】
第4の態様の車両用シートは、第3の態様において、車体に固定される車体側部材を更に備え、前記シート本体は、前記車体側部材に対して移動可能に構成され、前記第一コネクタ及び前記第二コネクタは、前記車体側部材に取り付けられており、前記第一ハーネスは、前記第一コネクタに最も近い第一固定部において前記車体側部材に固定されると共に、前記第一コネクタに2番目に近い第二固定部において前記シート本体に固定されており、前記第二ハーネスは、前記第一ハーネスにおける前記第一固定部から前記第二固定部までの部分に1回以上巻き付けられている。
【0016】
この態様では、第一コネクタ及び第二コネクタは、車体側部材に取り付けられている。このため、第一ハーネス及び第二ハーネスのうちそれぞれのコネクタに近い部分がシート本体の移動により暴れやすい構造となっている。
ここで、第一ハーネスは、第一コネクタに最も近い第一固定部において車体側部材に固定されると共に、第一コネクタに2番目に近い第二固定部においてシート本体に固定されている。そして、第二ハーネスは、第一ハーネスにおける第一固定部から第二固定部までの部分に1回以上巻き付けられている。
このため、第一ハーネス及び第二ハーネスのうちそれぞれのコネクタに近い部分の暴れを効果的に抑制することができる。
【0017】
第5の態様の車両用シートは、第1~第4の何れかの態様において、前記シートクッションは、当該シートクッションのシートパッドをシート下方から支持するクッション下部材を含み、前記クッション下部材に前記第一ハーネスが固定されており、前記第二ハーネスは、前記クッション下部材に固定されていない。
【0018】
この態様では、シートクッションのシートパッドをシート下方から支持するクッション下部材に第一ハーネスが固定されており、第二ハーネスは、クッション下部材に固定されていない。
このため、クッション下部材に、第二ハーネスを固定するための構造(例えば固定孔)を設ける必要がない。したがって、第一装置及び第二装置のうち何れか一方しかを備えない車両用シートが備えるクッション下部材と同一構造のクッション下部材を用いることができる。
【0019】
第5の態様に係る車両用シートは、第1~第4の何れかの態様において、前記第一装置は、シートベルト装置であり、前記第二装置は、エアバッグ装置である。
【0020】
この態様では、エアバッグ装置(サイドエアバッグ装置に限らない。)を備える車両用シートにおいて、エアバッグ装置に接続されたハーネスの暴れを抑制しつつコストアップを避けることができる。なお、本開示においてシートベルト装置とはシートベルトに関する装置を広く意味し、バックル装置はシートベルト装置に含まれる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明に係る車両用シートでは、第二ハーネスの暴れを抑制しつつコストアップを避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態の車両用シートをシート斜め下方から示す斜視図である。
図2図1における一部を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1図2を参照して、本発明の実施形態に係る車両用シート10について説明する。
なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印RHは、シート前方、シート上方、シート右方をそれぞれ示している。以下、単に前後、左右、上下の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両用シートの前後、左右方向(幅方向)、上下を示すものとする。
【0024】
図1は、本実施形態に係る車両用シート10を示す。
【0025】
車両用シート10は、シート本体12,14,16を備える。シート本体12,14,16は、シートクッション12と、シートバック14と、ヘッドレスト16と、を備える。
また、車両用シート10は、車体(不図示)に対しシート本体12,14,16をシート前後方向にスライド移動可能にする左右一対のスライドレール20と、複数の脚部材22と、を備える。各スライドレール20は、ロアレール20Lと、シートクッション12に固定されたアッパレール20Uと、を備える。各ロアレール20Lは、前側の脚部材22及び後側の脚部材22を介して車体に固定される。これにより、複数の脚部材22及び左右一対のロアレール20Lは、車体に対して固定されることとなり、「車体側部材」に相当する。
【0026】
また、車両用シート10は、シートベルト装着確認機能を有するバックル装置(不図示、本発明の「第一装置」に相当)と、バックル装置に接続されたバックルハーネス30(「第一ハーネス」)と、バックルハーネス30の端末に固定されたバックルコネクタ32(「第一コネクタ」)と、を備える。バックル装置は、シートクッション12に対してシート幅方向外側(本実施形態では右側)に配置されており、図1ではシートクッション12に隠れている。バックルコネクタ32は、バックルハーネス30と車体側のハーネスとを接続するためのコネクタである。
【0027】
また、車両用シート10は、図示しないサイドエアバッグ装置(以下、SAB装置という。本発明の「第二装置」に相当)と、SAB装置に接続されたSABハーネス40(「第二ハーネス」)と、SABハーネス40の端末に固定されたSABコネクタ42(「第二コネクタ」)と、を備える。SAB装置は、シートバック14の左右一対のサイド部14Sのうち何れか一方又は両方の内部に設けられる。SABコネクタ42は、SABハーネス40と車体側のハーネスとを接続するためのコネクタである。
なお、本実施形態のシートベルト装着確認機能を有するバックル装置は「共通装置」に該当し、SAB装置は「特別装置」に該当するといえる。ここでいう共通装置とは、特別装置よりも比較的多くの車種の車両用シートに共通して設けられている装置を意味し、特別装置とは、共通装置よりも限定された車種の車両用シートに特別に設けられている装置を意味する。
【0028】
図2に示すように、バックルコネクタ32及びSABコネクタ42は、右側かつ前側の脚部材22に溶接等により固定されたブラケット24に取り付けられている。このため、各コネクタ32,42は、車体に対する位置が変化しないようになっている。SABコネクタ42は、バックルコネクタ32よりも下側に配置されている。
【0029】
バックルハーネス30は、バックルコネクタ32に近い部分において、クリップ50A(「第一固定部」)によってブラケット24に固定されている。また、SABハーネス40も、SABコネクタ42に近い部分において、クリップ50Aによってブラケット24に固定されている。これにより、バックルハーネス30とバックルコネクタ32との接続部分に強い力が加わることが防止されていると共に、SABハーネス40とSABコネクタ42との接続部分に強い力が加わることが防止されている。
【0030】
シートクッション12は、シートパッド(不図示)の下面を支持するクッションパン52(「クッション下部材」)を備える。クッションパン52は、金属又は樹脂等で形成された板状の部材である。クッションパン52には、バックルハーネス30を固定するためのクリップ50B,50Cが取り付けられる。クリップ50B,50Cは、クッションパン52に形成された固定孔(不図示)を用いてクッションパン52に取り付けられる。これにより、シートクッション12の下方におけるバックルハーネス30の配策経路が定められている。
【0031】
図1に示すように、クッションパン52のうち2つ(複数)のクリップ50B,50Cが固定された位置は、クッションパン52のシート幅方向外側端(本実施形態では右端)に沿った位置である。これにより、バックルハーネス30の配策経路は、シートクッション12の下側におけるシート幅方向外側(図の例ではバックル装置と同じ右側)の領域をシート前後方向に延びる経路である。
【0032】
一方、SABハーネス40は、クリップ等によるクッションパン52への固定がされていない。そのため、クッションパン52には、SABハーネス40を固定するためのクリップを取り付けるための固定孔が形成されていない。しかし、SABハーネス40は、上記配策経路においてバックルハーネス30に複数回巻き付けられていることで、その暴れが抑制されている。
【0033】
以上のように構成されることで、第一固定部(クリップ50A)では、バックルハーネス30は車体側部材であるブラケット24に固定されており、第二固定部(クリップ50B)では、バックルハーネス30はシート本体であるクッションパン52に固定されている。なお、バックルハーネス30のうちバックルコネクタ32に最も近い固定部を第一固定部と呼び、その次に近い固定部が第二固定部と呼ぶ。
そして、バックルハーネス30のうち第一固定部50Aと第二固定部50Bとの間の部分には、SABハーネス40が1回以上(本実施形態では2回)巻き付けられている。これにより、SABハーネス40のうちSABコネクタ42に近い部分の暴れを効果的に抑制することができる。
また、バックルハーネス30の第二固定部50Bと第三固定部50Cとの間の部分にも、SABハーネス40が1回以上巻き付けられている。
【0034】
また、車両用シート10は、シートクッション12の下側に収納レール60を備える。収納レール60は、シートクッション12の下側に配置されるアンダートレイ(不図示)をシート前後方向にスライド可能に支持するレールである。収納レール60は、棒状の部材を折り曲げること等により形成されている。収納レール60は、シート幅方向内側に張り出した張出部62を左右一対有する。一対の張出部62がアンダートレイを下方から支持するように機能する。
【0035】
バックルハーネス30の第一固定部50Aと第二固定部50Bとの間の部分、及び、SABハーネス40のうち当該部分に巻き付けられた部分は、収納レール60の近傍であって、収納レール60に対してシート幅方向外側を通るように配策されている。
【0036】
<作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0037】
本実施形態では、車両用シート10は、シート本体12,14,16と、バックル装置に接続されたバックルハーネス30と、SAB装置に接続されたSABハーネス40と、を備える。
【0038】
ここで、バックルハーネス30は、シート本体12,14,16に固定されている。このため、シート本体12,14,16に対するバックルハーネス30の暴れを抑制することができる。また、SABハーネス40は、バックルハーネス30に巻き付けられている。このため、SABハーネス40をシート本体12,14,16に固定しなくても又はその固定箇所が少なくても、SABハーネス40の暴れを適切に抑制することができる。
よって、本実施形態によれば、SABハーネス40を固定するための構造を省略又は減らすことができ、その結果、SABハーネス40の暴れを抑制しつつコストアップを避けることができる。
【0039】
また、本実施形態では、SABハーネス40のうちバックルハーネス30に巻き付けられている部分は、収納レール60の近傍を通っている。なお、ここでいう「近傍」とは、収納レールとSABハーネス(第二ハーネス)との最短距離が3cm以下であることを意味する。
このため、収納レール60の近傍に配策経路が設定されるので、シートクッション12の下側の空間を効率的に使って配策することができる。また、SABハーネス40の暴れが抑制されているので、SABハーネス40が収納レール60の近傍を通っていても、ハーネス30,40が収納レールに引っ掛かること等を抑制することができる。
【0040】
また、本実施形態では、SABコネクタ42は、バックルコネクタ32の近傍に配置されている。なお、ここでいう「近傍」とは、SABコネクタ42とバックルコネクタ32との間の最短距離が3cm以下であることを意味する。
このため、SABコネクタ42がバックルコネクタ32の近傍に配置されていない態様と比較して、効果的にSABハーネス40をバックルハーネス30に巻き付けてSABハーネス40の暴れを抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態では、バックルコネクタ32及びSABコネクタ42は、車体側部材であるブラケット24に取り付けられている。このため、バックルハーネス30及びSABハーネス40のうちそれぞれのコネクタ32,42に近い部分がシート本体12,14,16の移動により暴れやすい構造となっている。
ここで、バックルハーネス30は、バックルコネクタ32に最も近い第一固定部50Aにおいて車体側部材であるブラケット24に固定されると共に、バックルコネクタ32に2番目に近い第二固定部50Bにおいてシート本体12,14,16であるクッションパン52に固定されている。そして、SABハーネス40は、バックルハーネス30における第一固定部50Aから第二固定部50Bまでの部分に1回以上巻き付けられている。
このため、バックルハーネス30及びSABハーネス40のうちそれぞれのコネクタ32,42に近い部分の暴れを効果的に抑制することができる。
【0042】
また、本実施形態では、クッションパン52にバックルハーネス30が固定されており、SABハーネス40は、クッションパン52に固定されていない。
このため、クッションパン52に、SABハーネス40を固定するための構造(例えばクッションパン52に形成される固定孔)を設ける必要がない。したがって、SAB装置を備えない車両用シートが備えるクッションパンと同一構造のクッションパン52を用いることができる。また、SABハーネス40を固定するためのクリップを省略することができ、この点においてもコストアップを抑制することができる。
【0043】
〔補足説明〕
なお、上記実施形態では、第一コネクタ及び第二コネクタとしてのバックルコネクタ32及びSABコネクタ42が、車体側部材(ブラケット24)に取り付けられている例を説明した。しかし、本開示の第一コネクタ及び第二コネクタは、これに限定されず、シート本体に取り付けられていてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、第二ハーネスとしてのSABハーネス40のうちSABコネクタ42近傍の部分が固定されている例を説明した。しかし、本開示の第二ハーネスは、これに限定されず、第二コネクタ近傍の部分で固定されていなくてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、「クッション下部材」がクッションパンである例を説明した。しかし、本開示の「クッション下部材」は、これに限定されず、例えば矩形状の枠部材と当該枠部材に取り付けられたスプリングとから成る部材であってもよい。そして、この部材における枠部材又はスプリングに第一ハーネスが(クリップ等の樹脂部材を介して)固定されてもよい。
更に、上記実施形態では、第一ハーネスとしてのバックルハーネス30が、クッション下部材としてのクッションパン52に固定されている例を説明した。しかし、本開示の第一ハーネスが固定される部材は、クッション下部材に限定されず、シート本体のうち他の部材であってもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、「第一装置」が共通装置であり、「第二装置」が特別装置である例を説明した。しかし、本開示の第一装置及び第二装置はこれに限定されない。例えば、第一装置が特別装置であり、第二装置が共通装置であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
10 車両用シート
12,14,16 シート本体
12 シートクッション
14 シートバック
20 スライドレール
20L ロアレール(車体側部材)
20U アッパレール
22 脚部材(車体側部材)
24 ブラケット(車体側部材)
30 バックルハーネス(第一ハーネス)
32 バックルコネクタ(第一コネクタ)
40 SABハーネス(第二ハーネス)
42 SABコネクタ(第二コネクタ)
50A クリップ(第一固定部)
50B クリップ(第二固定部)
50C クリップ(第三固定部)
52 クッションパン(シート本体)
60 収納レール
図1
図2