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特開2024-30010スラスト軸受の分解方法、スラスト軸受、および吊具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030010
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】スラスト軸受の分解方法、スラスト軸受、および吊具
(51)【国際特許分類】
   F16C 35/02 20060101AFI20240229BHJP
   F16C 17/06 20060101ALI20240229BHJP
   F16C 23/04 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
F16C35/02 G
F16C17/06
F16C23/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132530
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】財前 昴平
【テーマコード(参考)】
3J011
3J012
3J117
【Fターム(参考)】
3J011AA20
3J011BA14
3J011DA02
3J011JA02
3J011KA02
3J011KA03
3J011LA06
3J011MA21
3J011NA02
3J011PA01
3J011RA03
3J012AB01
3J012BB02
3J012DB06
3J012FB01
3J012GB10
3J012HB01
3J117AA04
3J117BA01
3J117CA06
3J117HA01
(57)【要約】
【課題】スラスト軸受のスラストパッドの取り外しにおいて作業者に掛かる負担を小さくする。
【解決手段】スラスト軸受110の分解方法は、クレーン200(移動装置)によってシャフト11を上方に移動させてスラストランナ111とスラストパッド112との間隔を広げることと、スラストパッド112の取付部に吊具300を取り付けることと、を含む。スラスト軸受110の分解方法は、吊具300を介してスラストパッド112を支持するクレーン200によって、スラストパッド112を上方に移動させてスラストパッド112をパッド支持部113から離間させることと、クレーン200によって、スラストパッド112をシャフト11の径方向外側に移動させることと、を含む。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に延びるシャフトに対して前記シャフトの径方向外側で前記シャフトの周方向に間隔をあけて並べられた複数のスラストパッドと、
前記スラストパッドに対して前記鉛直方向の下方側に位置し前記複数のスラストパッドを支持したパッド支持部と、
前記スラストパッドに対して前記鉛直方向の上方側の位置で前記シャフトを囲み前記シャフトに固定されたスラストランナと、
を備えたスラスト軸受の分解方法であって、
移動装置によって前記シャフトを前記上方に移動させて前記スラストランナと前記スラストパッドとの間隔を広げることと、
前記スラストパッドの取付部に吊具を取り付けることと、
前記吊具を介して前記スラストパッドを支持するクレーンによって、前記スラストパッドを前記上方に移動させて前記スラストパッドを前記パッド支持部から離間させることと、
前記クレーンによって、前記スラストパッドを前記シャフトの径方向外側に移動させることと、
を含むスラスト軸受の分解方法。
【請求項2】
前記取付部は、前記スラストパッドの前記径方向の外側の側面に設けられた、
請求項1に記載のスラスト軸受の分解方法。
【請求項3】
前記取付部は、雌ネジ部を含み、
前記吊具は、前記雌ネジ部と結合する雄ネジ部材によって前記取付部に取り付けられる、
請求項1に記載のスラスト軸受の分解方法。
【請求項4】
鉛直方向に延びるシャフトに対して前記シャフトの径方向外側で前記シャフトの周方向に間隔をあけて並べられた複数のスラストパッドと、
前記スラストパッドに対して前記鉛直方向の下方側に位置し前記複数のスラストパッドを支持したパッド支持部と、
前記スラストパッドに対して前記鉛直方向の上方側の位置で前記シャフトを囲み前記シャフトに固定されたスラストランナと、
を備え、
前記スラストパッドは、クレーンに吊られる吊具を取り付け可能な取付部を有した、
スラスト軸受。
【請求項5】
クレーンに吊られる吊具であって、
スラスト軸受のスラストパッドの取付部に取り付け可能な吊具側取付部を有した、
吊具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、スラスト軸受の分解方法、スラスト軸受、および吊具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉛直方向に延びるシャフトを含む回転子と、スラストランナおよび複数のスラストパッドを有しシャフトの上端部を支持して回転子の自重を受けるスラスト軸受と、を備える立形回転電機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4-136516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の立形回転電機において、スラストパッドの点検等のためにスラスト軸受を分解する場合、スラストパッドの取り外しを作業者が手作業で行っていたため、作業者に掛かる負担が大きかった。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、スラスト軸受のスラストパッドの取り外しにおいて作業者に掛かる負担を小さくできるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るスラスト軸受の分解方法は、鉛直方向に延びるシャフトに対して前記シャフトの径方向外側で前記シャフトの周方向に間隔をあけて並べられた複数のスラストパッドと、前記スラストパッドに対して前記鉛直方向の下方側に位置し前記複数のスラストパッドを支持したパッド支持部と、前記スラストパッドに対して前記鉛直方向の上方側の位置で前記シャフトを囲み前記シャフトに固定されたスラストランナと、を備えたスラスト軸受の分解方法であって、移動装置によって前記シャフトを前記上方に移動させて前記スラストランナと前記スラストパッドとの間隔を広げることと、前記スラストパッドの取付部に吊具を取り付けることと、前記吊具を介して前記スラストパッドを支持するクレーンによって、前記スラストパッドを前記上方に移動させて前記スラストパッドを前記パッド支持部から離間させることと、前記クレーンによって、前記スラストパッドを前記シャフトの径方向外側に移動させることと、を含む。
【0007】
本発明の実施形態に係るスラスト軸受は、鉛直方向に延びるシャフトに対して前記シャフトの径方向外側で前記シャフトの周方向に間隔をあけて並べられた複数のスラストパッドと、前記スラストパッドに対して前記鉛直方向の下方側に位置し前記複数のスラストパッドを支持したパッド支持部と、前記スラストパッドに対して前記鉛直方向の上方側の位置で前記シャフトを囲み前記シャフトに固定されたスラストランナと、を備え、前記スラストパッドは、クレーンに吊られる吊具を取り付け可能な取付部を有する。
【0008】
本発明の実施形態に係る吊具は、クレーンに吊られる吊具であって、スラスト軸受のスラストパッドの取付部に取り付け可能な吊具側取付部を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、例えば、スラスト軸受のスラストパッドの取り外しにおいて作業者に掛かる負担を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る立形回転電機の構成を示す断面図である。
図2図2は、実施形態に係る立形回転電機の軸受構造体を示す斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る立形回転電機のスラスト軸受の一部を示す分解斜視図である。
図4図4は、実施形態に係る立形回転電機のスラスト軸受におけるスラストパッドを示す平面図である。
図5図5は、実施形態に係る立形回転電機のスラスト軸受におけるスラストパッドを示す側面図である。
図6図6は、図4のVI-VI断面図である。
図7図7は、実施形態に係る立形回転電機のスラスト軸受におけるスラストパッドを示す平面図である。
図8図8は、実施形態に係る立形回転電機のスラスト軸受におけるスラストパッドを示す側面図である。
図9図9は、実施形態に係るスラスト軸受の分解方法を示す図である。
図10図10は、実施形態に係るスラスト軸受の分解方法を示す図である。
図11図11は、実施形態に係るスラスト軸受の分解方法を示す図である。
図12図12は、実施形態に係る吊具を示す正面図である。
図13図13は、実施形態に係る吊具を示す側面図である。
図14図14は、実施形態に係る吊具を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、一つの実施形態について説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素および当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素およびその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0012】
図1は、実施形態に係る立形回転電機1の構成を示す断面図である。立形回転電機1は、回転子10、固定子、軸受構造体100、下部軸受部およびフレーム150を有する。図1等に示される矢印D1は、鉛直方向の上方を示す。以後、鉛直方向の上方および下方を単に上方および下方と称する場合がある。
【0013】
回転子10は、鉛直方向に延びたシャフト11と、シャフト11の径方向外側に設けられシャフト11と一体で回転する回転子鉄心とを有する。固定子は、回転子鉄心の径方向の外側に設けられ、固定子鉄心および固定子鉄心に形成された図示しないスロット中に布設された固定子コイルを有する。
【0014】
フレーム150は、シャフト11の一部、回転子鉄心、および固定子を収納する。回転子10は、フレーム150の上部に設けられた軸受構造体100と、フレーム150の下部に設けられた下部軸受部とにより回転可能に支持される。
【0015】
軸受構造体100は、回転子の自重を支持するスラスト軸受110、ジャーナル軸受120、およびスラスト軸受110とジャーナル軸受120との潤滑および冷却のための潤滑油を収納する油槽130を有する。また、軸受構造体100は、リングキー160、飛散防止カバー161、冷却装置162、および温度センサ163,164を有する。
【0016】
油槽130は、ベース118と、カバー125と、を有する。ベース118は、有底の円筒状で上方に開放されている。ベース118は、シャフト11の径方向外側にシャフト11と間隙を空けて設けられている。カバー125は、ベース118の上端部に取り付けられている。
【0017】
油槽130には、潤滑油が貯留されている。スラスト軸受110およびジャーナル軸受120は、それぞれ、一部を除いて油槽130中に浸漬している。
【0018】
図2は、実施形態に係る立形回転電機1の軸受構造体100を示す斜視図である。図3は、実施形態に係る立形回転電機のスラスト軸受110の一部を示す分解斜視図である。
【0019】
図1図3に示されるように、スラスト軸受110は、スラストランナ111、複数のスラストパッド112、パッド支持部113、および台板114、を有する。すなわち、スラスト軸受110は、パッド型(ティルティングパッド型)のスラスト軸受である。
【0020】
スラストランナ111は、シャフト11の外面に取り付けられている。スラストランナ111は、張り出し部111m、ランナ円筒部111n、および下端部111pを有する。張り出し部111mは、シャフト11に固定された部分であり、ベース118の上端のレベルよりも高い位置でシャフト11への固定部から、平面的に見てベース118の径方向外側より径方向に張り出している。スラストランナ111は、スラストカラーとも称される。
【0021】
ランナ円筒部111nは、張り出し部111mの下側に連続して下方に筒状に延びた部分であり、ベース118の半径方向外側に設けられている。下端部111pは、ランナ円筒部111nの下側に接続した部分であり、下面が平面状に形成されている。下端部111pは、スラスト軸受110のスラストパッド112の上面112aに対向し、スラストパッド112の上面112aに搭載される。
【0022】
台板114は、シャフト11を囲む環状の円板状に形成されている。台板114は、ベース118の底部に固定されている。
【0023】
パッド支持部113は、台板114の上に取り付けられている。パッド支持部113は、複数の支持部材113aを有する。複数の支持部材113aは、シャフト11の周方向に間隔をあけて並べられている。支持部材113aは、例えばボルトであり、台板114に対する高さを調整可能である。なお、台板114およびパッド支持部113は、このような形状には限定されない。
【0024】
複数のスラストパッド112は、パッド支持部113上に、環状に互いに周方向に間隔をあけて搭載されている。換言すると、パッド支持部113は、スラストパッド112に対して鉛直方向の下方側に位置し複数のスラストパッド112を支持している。複数のスラストパッド112は、シャフト11に対してシャフト11の径方向外側でシャフト11の周方向に間隔をあけて並べられている。一つの支持部材113aに一つのスラストパッド112が支持されている。複数のスラストパッド112は、温度センサ164が設けられていないスラストパッド112Aと、温度センサ164が設けられているスラストパッド112Bを含む。スラストパッド112の重量は、例えば35kgであるが、これに限定されない。
【0025】
図4は、実施形態に係る立形回転電機1のスラスト軸受110におけるスラストパッド112,112Aを示す平面図である。図5は、実施形態に係る立形回転電機1のスラスト軸受110におけるスラストパッド112,112Aを示す側面図である。図6は、図4のVI-VI断面図である。図7は、実施形態に係る立形回転電機のスラスト軸受110におけるスラストパッド112,112Bを示す平面図である。図8は、実施形態に係る立形回転電機のスラスト軸受110におけるスラストパッド112,112Bを示す側面図である。
【0026】
図4図8に示されるように、各スラストパッド112は、上面112aと、下面112bと、側面112cと、側面112dと、二つの端面112eと、を有する。側面112cは、スラストパッド112における径方向の外側の面である。側面112dは、スラストパッド112における径方向の内側の面である。側面112c,112dはシャフト11回りの円弧状(湾曲状)に形成されている。二つの端面112eは、周方向の端面である。
【0027】
側面112dには、複数(一例として二つ)の筒状の雌ネジ部112fが設けられている。雌ネジ部112fの筒内には開口部112gが設けられている。二つの雌ネジ部112fは、周方向に間隔をあけて設けられている。側面112dおよび二つの雌ネジ部112fは、取付部112mを構成している。取付部112mは、後述のクレーン200(図10)に吊られる吊具300(図10)を取り付け可能である。
【0028】
図7および図8に示されるように、スラストパッド111Bには、温度センサ163が入れられる孔112iが設けられている。
【0029】
それぞれのスラストパッド112は、上面112aが平面であり、径方向および周方向のいずれにも移動しないように拘束されている。それぞれのスラストパッド112の下面112bのほぼ中央には凹部112hが形成されている。凹部112hにパッド支持部113の支持部材113aの上端部が入れられている。スラストパッド112の上でスラストランナ111の下端部111pが周方向に移動すると、スラストパッド112は、周方向に向かって水平方向に対して傾くように形成されており、スラストランナ111の下端部111pの下面と、スラストパッド112の上面112aとの間の隙間に潤滑油が導かれることになる。すなわち、スラストランナ111の下端部111pの下面と、スラストパッド112の上面112aとの間に油膜が形成される。
【0030】
この結果、スラストパッド112上にスラストランナ111が搭載されてシャフト11の回転とともに回転した時に、スラストパッド112の上面112aは、スラストランナ111の下端部111pの下面とは密着せず、水平方向に対して傾くようになる。そのため、スラストパッド112の上面112aとスラストランナ111の下端部111pの下面との間の空間に潤滑油が導かれることになる。
【0031】
スラストパッド112の上面112aとスラストランナ111の下端部111pの下面との間においては、スラストランナ111の回転による遠心力により、潤滑油は、径方向内側から径方向外側に向かう流れとなる。
【0032】
スラストランナ111の下端部111pは、ジャーナル軸受120に支持されている。ジャーナル軸受120は、スラストランナ111ひいてはシャフト11の径方向への変位を制限する。ジャーナル軸受120には、温度センサ163が取り付けられている。
【0033】
飛散防止カバー161は、油槽130内に収容されて、張り出し部111mを径方向外側から囲んでいる。飛散防止カバー161は、上方へ油が飛散するのを防止する。
【0034】
冷却装置162は、油槽130内に収容されて、油に浸されている。冷却装置162は、例えばオイルクーラーであり、油を冷却する。
【0035】
次に、スラスト軸受110の分解方法について説明する。図9図11は、実施形態に係るスラスト軸受110の分解方法を示す図である。
【0036】
図9に示されるように、まずは、作業者は、ジャーナル軸受120、カバー125、飛散防止カバー161、および冷却装置162を取り外す。作業者は、これらの取り外しを、クレーン200(図10)を用いて行うことができる。また、作業者は、温度センサ163,164をスラストパッド112Bおよびジャーナル軸受120から取り外す。
【0037】
次に、図10に示されるように、作業者は、クレーン200によってシャフト11(回転子10)を上方に移動させてスラストランナ111とスラストパッド112との間隔を広げる。このとき、クレーン200は、ケーブル201によってシャフト11を吊り上げる。
【0038】
また、図10に示されるように、作業者は、吊具300をクレーン200のケーブル202に吊具300を取り付ける。また、作業者は、スラストパッド112の取付部112mに吊具300を取り付ける。これにより、クレーン200が吊具300を介してスラストパッド112を支持する。吊具300の詳細は後述する。そして、作業者は、クレーン200を操作し、クレーン200によって、スラストパッド112を上方に移動させてスラストパッド112をパッド支持部113から離間させる。詳細には、クレーン200によってスラストパッド112を支持部材113aから外す。
【0039】
次に、作業者は、クレーン200を操作し、クレーン200によって、スラストパッド112をシャフト11の径方向外側(図10図11の矢印D2の方向側)に移動させて、その後、スラストパッド112を上方(矢印D1の方向)に移動させる(図11)。すなわち、スラストパッド112を、支持部材113aとスラストランナ111との間から抜き出す。次に、作業者は、クレーン200を操作し、クレーン200によって、スラストパッド112を油槽130のベース118の外側の所定の位置に移動させる。作業者は、各スラストパッド112について上記の取り外し作業を行う。なお、上記の作業の際、作業者は、クレーン200に吊り下げられるスラストパッド112が揺れないようにスラストパッド112を押さえてもよい。
【0040】
次に、吊具300について詳しく説明する。図12は、実施形態に係る吊具300を示す正面図である。図13は、実施形態に係る吊具300を示す側面図である。図14は、実施形態に係る吊具300を示す底面図である。
【0041】
図12図14に示されるように、吊具300は、棒状部301と、下側取付部302と、上側取付部303と、を有する。棒状部301は、鉛直方向に延びる。
【0042】
下側取付部302は、棒状部301の下端部に固定されている。下側取付部302は、スラストパッド112の取付部112mが取り付け可能である。下側取付部302は、側面支持部302aと、下面支持部302bと、補強部302cと、を有する。下側取付部302は、吊具側取付部の一例である。
【0043】
側面支持部302aは、スラストパッド112の側面112cを支持可能である。側面支持部302aは、スラストパッド112の側面112cが重ねられる支持面302aaを有する。支持面302aa(側面支持部302a)は、スラストパッド112の側面112cに沿って湾曲している。側面支持部302aには、雄ネジ部材400(図7図11)が挿入される孔302abが設けられている。孔302abは、複数(一例として二つ)設けられている。下面支持部302bは、スラストパッド112の下面112bを支持可能である。下面支持部302bの上面に、スラストパッド112の下面112bが重ねられる。補強部302cは、下面支持部302bの下面に設けられている。
【0044】
上側取付部303は、棒状部301の上端部に固定されている。上側取付部303には、クレーン200のケーブル202の先端部に設けられた引掛部が入れられる複数の303aが設けられている。
【0045】
作業者は、吊具300の側面支持部302aの支持面302aaにスラストパッド112の側面112cを重ねるとともに、下面支持部302bの上面をスラストパッド112の下面112bと重ねる。そして、作業者は、雄ネジ部材400を側面支持部302aの孔302abに通して雄ネジ部材400をスラストパッド112の雌ネジ部112fと結合させる。これにより、スラストパッド112の取付部112mに吊具300の下側取付部302が取り付けられる。また、作業者は、上側取付部303の孔303aにクレーン200のケーブル202の先端部に設けられた引掛部を入れて上側取付部303に引掛部を引っ掛ける。なお、一例として、孔303aは、ケーブル202の数と同じであるが、孔303aの数がケーブル202の数よりも多くてもよい。この場合、分解作業場所やクレーン200の仕様等によって、使用する孔303aが適宜選ばれる。
【0046】
以上のように、本実施形態では、スラスト軸受110は、複数のスラストパッド112と、パッド支持部113と、スラストランナ111と、を備える。複数のスラストパッド112は、鉛直方向に延びるシャフト11に対してシャフト11の径方向外側でシャフト11の周方向に間隔をあけて並べられている。パッド支持部113は、スラストパッド112に対して鉛直方向の下方側に位置し複数のスラストパッド112を支持している。スラストランナ111は、スラストパッド112に対して鉛直方向の上方側の位置でシャフト11を囲みシャフト11に固定されている。スラスト軸受110の分解方法は、クレーン200(移動装置)によってシャフト11を上方に移動させてスラストランナ111とスラストパッド112との間隔を広げることと、スラストパッド112の取付部112mに吊具300を取り付けることと、を含む。また、スラスト軸受110の分解方法は、吊具300を介してスラストパッド112を支持するクレーン200によって、スラストパッド112を上方に移動させてスラストパッド112をパッド支持部113から離間させることと、クレーン200によって、スラストパッド112をシャフト11の径方向外側に移動させることと、を含む。
【0047】
このような構成によれば、スラストパッド112の取り外しにおいてスラストパッド112の移動がクレーン200によって行われるので、作業者が人力でスラストパッド112を移動させる場合に比べて、作業者に掛かる負担を小さくできる。また、スラストパッド112の取り外しにおいてスラストパッド112の移動がクレーン200によって行われるので、手作業の場合には比べて、スラストパッド112が他の部材にぶつかるのを抑制することができる。よって、スラストパッド112の品質低下を抑制することができる。
【0048】
また、取付部112mは、スラストパッド112の径方向の外側の側面112cに設けられている。
【0049】
このような構成によれば、取付部112mへの吊具300の取り付けがし易い。
【0050】
また、取付部112mは、雌ネジ部112fを含み、吊具300は、雌ネジ部112fと結合する雄ネジ部材400によって取付部112mに取り付けられる。
【0051】
このような構成によれば、比較的容易に吊具300をスラストパッド112の取付部112mに取り付けることができる。
【0052】
なお、上記実施形態では、移動装置がクレーン200の例が示されたが、これに限定されない。例えば、移動装置は、ジャッキ装置であってもよい。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
11…シャフト、110…スラスト軸受、111…スラストランナ、112,112A,112B…スラストパッド、112c…側面、112f…雌ネジ部、112m…取付部、113…パッド支持部、200…クレーン(移動装置)、300…吊具、302…下側取付部(吊具側取付部)、400…雄ネジ部材。
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