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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030029
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】マクロファージ機能活性化剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/704 20060101AFI20240229BHJP
   A61K 31/122 20060101ALI20240229BHJP
   A61K 31/19 20060101ALI20240229BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240229BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240229BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240229BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240229BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240229BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240229BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20240229BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20240229BHJP
   A61K 8/63 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A61K31/704
A61K31/122
A61K31/19
A61P43/00 111
A61K9/08
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/14
A61K47/10
A61K8/35
A61Q11/00
A61K8/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132563
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】才木 脩平
(72)【発明者】
【氏名】山口 継乃
(72)【発明者】
【氏名】江頭 健二
(72)【発明者】
【氏名】山本 悠
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA29
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB23
4C076CC09
4C076DD38
4C083AC111
4C083AC122
4C083AC132
4C083AD531
4C083AD532
4C083AD551
4C083AD552
4C083CC41
4C083EE33
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA10
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA57
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA67
4C086ZC41
4C206AA01
4C206AA02
4C206CB21
4C206DA14
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA05
4C206MA37
4C206MA55
4C206MA57
4C206MA61
4C206MA77
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA67
4C206ZC41
(57)【要約】
【課題】本発明は、マクロファージ機能を活性化でき、細菌感染症等の疾患の予防改善に繋げることができるマクロファージ機能活性化剤の提供を目的とする。
【解決手段】本発明はヒノキチオール、グリチルリチン類及びグリチルレチン類からなる群より選ばれる1種以上を含む、マクロファージ機能活性化剤を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒノキチオール、グリチルリチン類及びグリチルレチン類からなる群より選ばれる1種以上を含む、マクロファージ機能活性化剤。
【請求項2】
多価アルコールをさらに含む請求項1に記載の剤。
【請求項3】
マクロファージの貪食機能活性剤である、請求項1又は2に記載の剤。
【請求項4】
対象が哺乳類である、請求項1又は2に記載の剤。
【請求項5】
歯周病予防剤又は治療剤である、請求項1又は2に記載の剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マクロファージ機能活性化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫細胞であるマクロファージは、貪食・死細胞除去作用によって、生体に侵入した病原菌等の異物、死細胞等の老廃物を貪食し、抗炎症及び組織修副作用を発揮して、炎症が寛解する。一方、免疫機能が低下していると、除去されない異物、死細胞等の老廃物の蓄積が更なる炎症の原因となるほか、マクロファージが死細胞除去による抗炎症型への形質変換を受けないため、炎症が寛解せず、慢性炎症を引き起こす(例えば、非特許文献1参照)。このような慢性炎症は、歯周病の原因の1つであり、その治療又は予防剤の開発が進められてきた。
【0003】
特許文献1には、ε-アミノカプロン酸、トラネキサム酸が、血液凝固を阻害するプラスミンに拮抗する作用を有し、口腔用組成物に配合されていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-20995号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Serhan CN,et al.Resolution of inflammation:state of the art,definitions and terms.FASEB J.2007;21:325-332.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、マクロファージの機能を活性化でき、口腔用剤などの製剤に添加できる生理活性成分は、これまでに報告されていない。
【0007】
本発明は、マクロファージ機能を活性化でき、細菌感染症等の疾患の予防改善に繋げることができるマクロファージ機能活性化剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の〔1〕~〔5〕を提供する。
〔1〕ヒノキチオール、グリチルリチン類及びグリチルレチン類からなる群より選ばれる1種以上を含む、マクロファージ機能活性化剤。
〔2〕多価アルコールをさらに含む〔1〕に記載の剤。
〔3〕マクロファージの貪食機能活性剤である、〔1〕又は〔2〕に記載の剤。
〔4〕対象が哺乳類である、〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の剤。
〔5〕歯周病予防剤又は治療剤である、〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、マクロファージに直接作用し、細菌等の異物、死細胞等の老廃物の除去、貪食機能等のマクロファージ機能を活性化できる剤が提供される。本発明の剤は、細菌感染症等の疾患の予防、治療に利用できる。例えば、口腔用剤として、歯周病等の口腔内の疾患の予防改善に繋げることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔1.有効成分〕
本発明において、剤の有効成分は、ヒノキチオール、グリチルリチン類及びグリチルレチン類からなる群より選ばれる1種以上を含む。
【0011】
-ヒノキチオール-
ヒノキチオールは、化学式C1012で表される芳香族化合物である。ヒノキチオールは、シダ、ヒバ等の植物に由来してもよいし、化学合成品でもよい。ヒノキチオールの製造方法としては、例えば、タイワンヒノキ、青森ヒバ等の植物(例えば、木部、根部)を蒸留して得られる油分から得る方法が挙げられるが、これに限定されない。ヒノキチオールは1種単独で用いてもよく、異なる原料、又は異なる製造方法による2種以上を用いてもよい。
【0012】
-グリチルリチン類-
グリチルリチン類としては、例えば、グリチルリチン、グリチルリチン酸、その加水分解物、それらの誘導体、及びこれらを含む植物、植物抽出物が挙げられる。これらのうち、グリチルリチン酸が好ましい。グリチルリチン酸は、塩の形態でもよい。塩としては、例えば、アルカリ金属塩(例えば、カリウム、ナトリウム)、アンモニウム塩等の無機塩基塩が挙げられる。グリチルリチン酸塩としては、例えば、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウムが挙げられ、グリチルリチン酸ジカリウムが好ましい。グリチルリチン酸は、医薬品添加物規格に適合したものを用いてもよい。グリチルリチン類を含む化合物としては、甘草(例えば、ウラルカンゾウ、チョウカカンゾウ、ヨウカンゾウ、これらの近縁種)、及びその抽出物が挙げられる。甘草抽出物は、第9版食品添加物公定書「カンゾウ」に適合したものを用いてもよい。グリチルリチン類は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0013】
-グリチルレチン類-
グリチルレチン類としては、例えば、グリチルリチン酸の酸分解物であるグリチルレチン酸、グリチルレチン酸誘導体、甘草(例えば、根)、甘草抽出物が挙げられる。これらのうち、グリチルレチン酸とその誘導体(例えば、グリチルレチン酸エステル、脂肪酸グリチルレチンエステル)が好ましく、βグリチルレチン酸、グリチルレチン酸グリセリル、グリチルレチン酸グリセリン、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルレチン酸ピリドキシン、ステアリン酸グリチルレチニルがより好ましい。グリチルレチン類は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0014】
本発明の剤は、ヒノキチオール、グリチルリチン類及びグリチルレチン類からなる群のうち少なくとも1つ以上含んでいればよく、ヒノキチオール及び/又はグリチルリチン類を少なくとも含むことが好ましい。
【0015】
〔2.追加の有効成分〕
有効成分は、さらに、多価アルコールを含むことが好ましい。多価アルコールは、水酸基を2個以上有する化合物(好ましくは2~5、より好ましくは2~4、さらに好ましくは2~3)を意味し、例えば、糖アルコール、糖アルコール以外の多価アルコールが挙げられる。糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール(ソルビット)、エリスリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、パラチノース、マンニトール、マルトテトラオース、イソマルト、還元パラチノース、還元水飴、粉末還元麦芽糖水飴が挙げられる。糖アルコール以外の多価アルコールとしては、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)等のグリコール;還元でんぷん糖化物が挙げられる。これらのうち、プロピレングリコール、ソルビット及びグリセリンからなる群より選ばれる1種以上が好ましい。多価アルコールは、ヒノキチオール、グリチルリチン類又はグリチルレチン類と組み合わせることでこれらの有効成分のマクロファージ機能活性効果を高めることができる。
【0016】
〔3. 有効量〕
剤の1日当たりの有効量(ヒノキチオール、グリチルリチン、及びグリチルレチン類のうち2以上を含む場合、それらの合計量)は、例えば、成人の場合、通常は、0.0001~0.03g、好ましくは0.0002~0.02gである。剤が追加の有効成分を含む場合、有効成分と追加の有効成分の合計の有効量は、例えば、成人の場合、通常は、0.015~7g、好ましくは0.03~5gである。投与量は、医薬品、医薬部外品、化粧料及び食品のいずれとするか、投与方法等の投与条件に応じて適宜決定すればよい。
【0017】
-有効成分の量の、追加の有効成分の量に対する比率-
剤が追加の有効成分を含む場合、有効成分の、追加の有効成分の含有量に対する質量比は、通常、0.000015~0.4、好ましくは0.0001~0.22、より好ましくは0.001~0.1である。
【0018】
〔4. 作用〕
上記有効成分、及び、上記有効成分と追加の有効成分との組み合わせは、マクロファージの機能を活性化できる。マクロファージの機能としては、細菌等の異物、死細胞(例えば、他の貪食細胞)等の老廃物除去能、老廃物貪食能、異物貪食機能、他の免疫細胞(例えば、好中球、好酸球、樹状細胞等の貪食細胞)の活性化、これによる炎症治癒機能、免疫応答消散機能、免疫応答による症状の寛解機能、抗炎症機能、組織修復機能が挙げられる。機能の活性化としては、例えば、機能の向上、正常化、促進が挙げられる。そのため、上記有効成分、及び、上記有効成分と追加の有効成分との組み合わせを含む剤は、老廃物の蓄積抑制、口腔疾患予防、改善又は治療剤として有用である。また、口腔用剤として、口腔疾患予防、改善又は治療効果を発揮できる。
【0019】
マクロファージ機能改善により予防、改善又は治療が期待できる口腔疾患としては、歯周病が挙げられる。西原達次、日本歯周病学会誌2018年60巻4号167~172頁には、歯周病はある種の歯周病原細菌による混合感染により発症すること、マクロファージはそれら細菌を貪食により除去することで生体防御機能を果たしていることが記載されている。また、Kourtzelis I.et al(2019)Nat Immunol 20(1):40-49には、死細胞除去に必要な因子Del-1を欠損し、正常な死細胞除去機能を失っているマウスでは、正常な死細胞除去ができる健常マウスと比較して、歯周病誘導時の炎症が長期化し、歯槽骨吸収及び炎症が悪化することが示されており、死細胞除去が歯周病の予防及び進行抑制に働くことが示唆されている。本発明者らは、死細胞が免疫担当細胞、歯周組織構成細胞に対して炎症を惹起すること実際に確認した。各有効成分が、細菌除去、死細胞除去等のマクロファージ機能を活性化することは、後段の実施例からも明らかであり、さらに上記の知見にかんがみると、歯周病の予防、治療、緩和効果を発揮できることも明らかである。
【0020】
〔5. 投与方法〕
-投与対象-
投与対象は、哺乳類等の動物であり、ヒトが好ましい。投与対象は健常者でもよいが、炎症を伴う疾患(例えば、歯周病、肺炎、肝炎、癌、自己免疫疾患、糖尿病、感染症)の患者が好ましく、慢性炎症を発症している患者がより好ましい。ヒト以外の哺乳類としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ブタ、サルが挙げられる。
【0021】
-投与方法-
剤の投与方法としては、例えば、経口投与(例えば、口腔内投与、舌下投与)、非経口投与(例えば、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、経皮投与、経鼻投与、経肺投与)が挙げられ、これらの中でも侵襲性の少ない投与形態が好ましく、経口投与がより好ましい。本明細書において経口投与は、口腔内に適用後に排出する形態(例えば、歯磨剤、洗口剤)、口腔内へ塗布する形態(例えば、口腔内外用剤)を含む。
【0022】
-剤形-
剤形としては、例えば、錠剤(錠剤、タブレット)、液状(液剤)、シロップ状(シロップ剤)、カプセル状(カプセル剤)、粉末状(顆粒、細粒)、ソフトカプセル状(ゼラチン基剤等のソフトカプセル剤)、ハードカプセル状(ハードカプセル剤)、液状(液剤)、シロップ状(シロップ剤)、固形状、半液体状、クリーム状、ペースト状が挙げられ、投与形態に応じて適宜選択すればよい。
【0023】
-製剤-
本発明の剤は、医薬、医薬部外品、機能性食品、化粧料として利用できる。製剤としては例えば、口腔用剤、外用剤が挙げられる。
【0024】
口腔用剤としては、例えば、練歯磨、ジェル状歯磨、潤製歯磨、液体歯磨等の歯磨剤、洗口剤、口中剤、ゲル剤、軟膏剤、口中清涼剤、うがい用錠剤、口腔用パスタ、ガムとして利用できる。
【0025】
内服剤としては、例えば、内服液、シロップ、クリーム、ゼリー、ペースト、錠剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤(例、ソフトカプセル、ハードカプセル)が挙げられる。
【0026】
外用剤としては、粘膜用剤、皮膚用剤、毛髪用剤が挙げられる。
【0027】
皮膚用剤型(皮膚外用剤)としては、例えば、ジェル剤、軟膏、クリーム、外用液、ローション、スプレー、パックが挙げられる。
【0028】
化粧料としては、例えば、クリーム剤、乳液、パック剤、ジェル剤、エアゾール、シート剤等の剤形で利用できる。具体的には例えば、化粧水、美容液、美白剤、保湿剤、フェイスマスク、乳液、ファンデーション、アイシャドウ、マスカラ、眉墨、アイライン、チークパウダー、口紅、リップクリーム、パック、石鹸等の皮膚用化粧料;ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアローション、ヘアトニック、ヘアパック、ヘアクリーム、コンディショニングムース、ヘアムース、ヘアスプレー、シャンプー、リーブオントリートメント、染毛料、整髪料等の毛髪用化粧料が挙げられる。
【0029】
食品(食品組成物)としては例えば、健康食品、機能性食品、健康食品、健康補助食品(サプリメント)、栄養補助食品、特定保健用食品、栄養機能食品、医療用食品、病者用食品、乳児用食品、介護用食品、高齢者用食品等の用途を付した食品組成物が挙げられる。
【0030】
〔6. 任意成分〕
本発明の剤が他の任意成分を含むいわゆる組成物の形態である場合、他の成分としては、例えば、薬効成分、緩衝剤、溶解補助剤、等張化剤、安定化剤、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、油性成分、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、着色剤、発色剤、矯味剤(例、酸味剤、香料、甘味剤)、酸化防止剤、強化剤、膨張剤、増粘剤、界面活性剤、研磨剤、湿潤剤、保湿剤、清涼剤、研磨剤、粘結剤、収斂剤、植物抽出エキス、紫外線吸収剤、水性溶媒、防腐剤、調味料、食品原料(食品添加物を含む)等の、上記有効成分以外の成分が挙げられる。任意成分の種類、含有量は、医薬品、医薬部外品、食品組成物、化粧料の各用途、及び/又は剤形、投与方法等に応じて選択すればよく、1種でもよいし2種以上の組み合わせでもよい。
【0031】
-薬効成分-
薬効成分としては、例えば、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リテックエンザイム等の酵素;フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズ等のフッ化物;トラネキサム酸、ジヒドロコレステロール、イプシロンアミノカプロン酸、アラントイン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、アズレン、1,4-ジメチル-7-イソプロピルアズレン等の抗炎症剤;亜鉛塩、銅塩、スズ塩等の金属塩;縮合リン酸塩、エタンヒドロキシジホスフォネート等の歯石予防剤;ビタミンE(例えば、酢酸トコフェロール)等の血流促進剤;硝酸カリウム、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム等の知覚過敏抑制剤;ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド等のコーティング剤;グルコン酸銅等の水溶性銅化合物;歯石予防剤;アラニン、グリシン、プロリン、L-アスパラギン酸カリウム、L-アスパラギン酸マグネシウム、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム等のアミノ酸類;タイム、オウゴン、チョウジ、ハマメリス等の植物エキス;カロペプタイド;ポリビニルピロリドンを挙げることができる。他の例としては、充血除去剤、消炎剤、収斂剤、抗ヒスタミン剤、ビタミン類、殺菌剤、局所麻酔剤、上記本発明における有効成分以外のマクロファージ機能促進作用を有する成分、これらから選ばれる2以上の組み合わせも挙げられる。充血除去剤としては、例えば、塩酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸フェニレフリン、エピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、dl-塩酸メチルエフェドリン、硝酸テトラヒドロゾリン、硝酸ナファゾリンが挙げられる。消炎、収斂剤としては、例えば、メチル硫酸ネオスチグミン、ビタミンC(例えば、アスコルビン酸またはその塩)、塩化ナトリウム、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、ブロメライン、カミツレ、クロモグリク酸ナトリウム、塩化リゾチーム、アズレンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。抗ヒスタミン剤としては、例えば、塩酸イプロヘプチン、塩酸ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン、塩酸イソチペンジル、マレイン酸クロルフェニラミンが挙げられる。ビタミン類としては、例えば、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、塩酸ピリドキシン、ビタミンA類(例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール)、ビタミンE類(酢酸トコフェロール(例えば、酢酸d-α-トコフェロール))が挙げられる。殺菌剤としては、例えば、塩化セチルピリジニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化デカリニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトリウム、ヨウ素、ヨウ化カリウム、スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルフイソキサゾール、スルフイソミジンナトリウム、イソプロピルメチルフェノール、塩化リゾチームが挙げられる。局所麻酔剤としては、例えば、リドカイン、塩酸リドカイン、塩酸ジブカイン、クロロブタノールが挙げられる。それぞれの薬効成分は、1つ又は2以上を組み合わせて用いてもよい。薬効成分の含有量は、常法に従って有効量を適宜設定できる。
【0032】
-界面活性剤-
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤を含有し得る。
【0033】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、アシルアミノ酸塩、アシルタウリン塩、α-オレフィンスルホン酸塩、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸塩、ラウリルスルホ酢酸塩が挙げられる。アルキル基、アシル基は直鎖及び分岐鎖のいずれでもよく、飽和及び不飽和のいずれでもよく、その炭素原子数は通常10~20であり、好ましくは12~18であり、より好ましくは12~14である。塩は、薬理学的に許容される塩から選択され得る。薬理学的に許容される塩としては、例えば、塩基付加塩及びアミノ酸塩が挙げられる。その具体例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等の無機塩基塩;トリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ジイソプロピルアンモニウム塩等の有機塩基塩;アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩が挙げられる。中でも、無機塩基塩が好ましく、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)又はアンモニウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。
【0034】
アルキル硫酸塩としては、例えば、ラウリル硫酸塩(ラウリル硫酸ナトリウム)、ミリスチル硫酸塩が挙げられる。アシルアミノ酸塩としては、例えば、ラウロイルグルタミン酸塩、ミリストイルグルタミン酸塩、パルミトイルグルタミン酸塩等のアシルグルタミン酸塩;N-ラウロイル-N-メチルグリシン塩、ココイルグリシン塩等のアシルグリシン塩;N-ラウロイル-β-アラニン塩、N-ミリスチル-β-アラニン塩、N-ココイル-β-アラニン塩、N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニン塩、N-ミリストイル-N-メチル-β-アラニン塩、N-メチル-N-アシルアラニン塩等のアシルアラニン塩;ラウロイルアスパラギン酸塩等のアシルアスパラギン酸塩が挙げられる。アシルタウリン塩としては、例えば、ラウロイルメチルタウリン塩、N-メチル-N-アシルタウリン塩、N-ココイルメチルタウリン塩が挙げられる。α-オレフィンスルホン酸塩としては、例えば、テトラデセンスルホン酸塩等の炭素原子数12~18のα-オレフィンスルホン酸塩が挙げられる。アニオン性界面活性剤の他の例としては、例えば、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウムが挙げられる。
【0035】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート)、アルキロールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル(例、マルトース脂肪酸エステル)、糖アルコール脂肪酸エステル(例、マルチトール脂肪酸エステル、ラクチトール脂肪酸エステル)、脂肪酸ジエタノールアミド(例、ラウリル酸モノ又はジエタノールアミド)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステルが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルのアルキル鎖の炭素原子数は、通常、14~18であり、エチレンオキサイド平均付加モル数は、通常、5~30モルである。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のエチレンオキサイド平均付加モル数は、通常20~100モル、好ましくは20~60モルである。ソルビタン脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素原子数は、通常12~18である。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素原子数は、通常16~18であり、エチレンオキサイド平均付加モル数は、通常10~40モルである。アルキロールアミドのアルキル鎖の炭素原子数は、通常12~14である。
【0036】
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン(例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(例えば、コカミドプロピルベタイン)等のベタイン型両性界面活性剤;N-脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩(例えば、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン)、ヤシ油脂肪酸イミダゾリニウムベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン型両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタインが挙げられる。
【0037】
界面活性剤を含む場合、アニオン性、ノニオン性、両性界面活性剤それぞれの含有量は、通常、剤全体の0.01~10質量%、好ましくは0.1~5質量%、より好ましくは0.2~3質量%である。
【0038】
-研磨剤-
研磨剤としては、例えば、無機研磨剤及び有機研磨剤のいずれでもよい。無機研磨剤としては、例えば、沈降性シリカ、アルミノシリケート、ジルコノシリケート、結晶性ジルコニウムシリケート、チタン結合性シリカ等の研磨性シリカ;第2リン酸カルシウム・2水和塩又は無水和物、第1リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム等のリン酸カルシウム系化合物;炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム系研磨剤;水酸化カルシウム、硫酸カルシウム等の、炭酸/リン酸以外のカルシウム系研磨剤;酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナ等のアルミニウム系材料;無水ケイ酸、ゼオライト、ケイ酸ジルコニウム等のケイ酸系材料;炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム等のマグネシウム系材料;ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、カルシウム欠損アパタイト等のアパタイト系材料;二酸化チタン、雲母チタン、酸化チタン等のチタン系材料;ベントナイト等の鉱物が挙げられる。有機研磨剤としては、例えば、ポリメチルメタアクリレート、合成樹脂系研磨剤が挙げられる。これらのうち、研磨性シリカ、リン酸カルシウム系化合物が好ましく、無水ケイ酸がより好ましい。研磨剤の量は、剤全体に対し、50質量%以下が好ましく、8~50質量%がより好ましい。
【0039】
-湿潤剤-
湿潤剤としては、エタノール、変性エタノール等のアルコールが挙げられる。湿潤剤の含有量は、剤全体に対し、通常、40質量%以下であり、好ましくは1~30質量%である。
【0040】
-粘結剤-
粘結剤としては、従来公知の任意好適な有機粘結剤、例えば、多糖類、セルロース系粘結剤(例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カチオン化セルロース)、その他の多糖系増粘剤(例、キサンタンガム、グアガム、ジェランガム、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム)、合成水溶性高分子(例、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸プロピレングリコール)が挙げられる。さらには増粘性シリカ、ケイ酸アルミニウム等の無機粘結剤を含有させることもできる。有機粘結剤の含有量は、剤全体に対し、0~3質量%が好ましく、0.1~2質量%がより好ましい。無機粘結剤の含有量は、0~10質量%が好ましく、1~8質量%がより好ましい。
【0041】
-緩衝剤-
緩衝剤としては、例えば、クエン酸又はその塩(例えば、クエン酸ナトリウム)、リン酸又はその塩(例えば、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二水素カリウム)、酒石酸又はその塩(例えば、酒石酸ナトリウム)、グルコン酸又はその塩(例えば、グルコン酸ナトリウム)、酢酸又はその塩(例えば、酢酸ナトリウム)、炭酸又はその塩(例えば、炭酸水素ナトリウム)、トロメタモール、アミノ酸類(例えば、アスパラギン酸カリウム、アミノエチルスルホン酸、グルタミン酸、グルタミン酸ナトリウム)、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。溶解補助剤としては、例えば、ポリオキシエチレン(例えば、p=60)硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(例えば、p=20)ソルビタンモノオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。安定化剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、シクロデキストリン、亜硫酸塩、クエン酸又はその塩、ジブチルヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。キレート剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、これらの組み合わせが挙げられる。pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類、フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、フェノール、アクリノール等のアルコール誘導体、ソルビン酸及びその塩(ソルビン酸カリウム等)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム、アルキルポリアミノエチルグリシン、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。
【0042】
-保湿剤-
保湿剤としては、例えば、多価アルコール以外の既知の保湿剤が挙げられる。
【0043】
-矯味剤-
矯味剤としては、例えば、甘味剤(例、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビア、ステビオサイド、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ペリラルチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル、ソーマチン、アセスルファムカリウム、スクラロースなどの人工甘味料)、香料(例、アニス油、カシア油、ウィンターグリーン油、マスチック油、ネロリ油(オレンジフラワー油)、レモングラス油、ジャスミン油、ローズ油、イリス油、クローブ油、セージ油、カルダモン油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、バジル油、マジョラム油、レモン油、オレンジ油、ライム油、柚子油、ナツメグ油、ラベンダー油、パラクレス油、バニラ油、桂皮油、ピメント油、桂葉油、シソ油、冬緑油、ハッカ油、ライチ油等の天然精油);メントール、カルボン、シンナミックアルデヒド、アネトール、メチルサリシレート、オイゲノール、リナロール、リモネン、メントン、メンチルアセテート、シトラール、デカナール、カンファー、ボルネオール、ピネン、スピラントール、n-デシルアルコール、シトロネロール、α-テルピネオール、シトロネリルアセテート、エチルリナロール、ワニリン等の上記天然精油中に含まれる香料成分;エチルアセテート、エチルブチレート、イソアミルアセテート、ヘキサナール、ヘキセナール、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、ベンズアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、フラネオール、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド、メンチルラクテート、エチレングリコール-l-メンチルカーボネート等の香料成分;及びいくつかの香料成分や天然精油を組み合わせてなるミント系、フルーツ系、ハーブ系等の各種調合フレーバー(例えば、ペパーミントミクロンX-8277-T、ドライコート抹茶#421)、酸味料(例、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸)、緑茶末が挙げられる。
【0044】
-油性成分-
油性成分としては、例えば、脂肪酸エステル(例えば、グリセリン脂肪酸エステル)、炭化水素(例えば、パラフィン、流動パラフィン、セレシン、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス)、高級脂肪酸(例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の炭素原子数8~22の脂肪酸)、高級アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の炭素原子数8~22のアルコール)、植物油脂(例えば、オリーブ油、ひまし油、やし油等の植物油;ミリスチン酸イソプロピル等の脂肪酸エステル)、蜜蝋、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。
【0045】
-防腐剤-
防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル(例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル)、安息香酸ナトリウム、及びこれらの2以上の組み合わせが挙げられる。
【0046】
-着色剤-
着色剤としては例えば、ベニバナ赤色素、クチナシ黄色素、クチナシ青色素、シソ色素、紅麹色素、赤キャベツ色素、ニンジン色素、ハイビスカス色素、カカオ色素、スピルリナ青色素、タマリンド色素等の天然色素や、赤色2号、赤色3号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色227号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等の法定色素、リボフラビン、銅クロロフィリンナトリウム、二酸化チタン等が挙げられる。着色剤を含む場合、その含有量は、剤全体に対し0.00001~3質量%とすることが好ましい。
【0047】
-pH調整剤-
pH調整剤としては、例えば、フタル酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、リンゴ酸、及び乳酸等の有機酸又はそれらの塩(クエン酸ナトリウム)、リン酸(オルトリン酸)等の無機酸又はそれらの塩(例えば、カリウム塩、ナトリウム塩及びアンモニウム塩)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物が挙げられる。無機酸塩としては、例えば、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムが挙げられる。pH調整剤の含有量は、通常、添加後の剤のpHが5~9、好ましくは6~8.5となる量とすることができる。本明細書において、pH値は、通常、測定開始から25℃、3分後の値をいう。pH値は、例えば、東亜電波工業社製のpHメーター(型番Hm-30S)を用いて測定することができる。
【0048】
-溶媒-
溶媒としては、例えば、水(精製水)、エタノールが挙げられ、水が好ましい。溶媒は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
-賦形剤-
賦形剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、結晶セルロース、エチルセルロース、メチルエチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース及びその薬理学的に許容される誘導体;ポリビニルピロリドン、部分けん化ポリビニルアルコール等の合成高分子;ゼラチン、アラビアゴム末、プルラン、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、キタンサンガム等の多糖類;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ等のスターチおよびその薬理学的に許容される誘導体;乳糖、乳糖造粒物、果糖、ブドウ糖、白糖、グラニュウ糖、含水ブドウ糖、トレハロース、;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、二酸化ケイ素(別名:無水ケイ酸、微粒二酸化ケイ素)、酸化チタン、水酸化アルミニウムゲル等の無機賦形剤;これらの2以上の組み合わせが挙げられる。
【0050】
<崩壊剤>
崩壊剤としては、例えば、クロスポビドン、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスリンクドインソルブルポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルスターチ、部分α化デンプン、トウモロコシデンプン、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。
【0051】
-結合剤-
結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、デキストリン、デンプン、アルファー化デンプン、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。
【0052】
-滑沢剤-
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、軽質無水ケイ酸、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、ステアリン酸、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。
【0053】
-他の任意成分-
上記以外の任意成分の例としては、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ウレタン、シリコン、天然ゴムが挙げられる。これら他の任意成分の含有量は、本発明の効果を妨げない範囲で適宜設定できる。
【0054】
〔7. 口腔用剤における有効成分の含有量〕
口腔用剤の場合の、有効成分の含有量は、以下のとおりである。
【0055】
ヒノキチオールの含有量は、通常、0.001%以上であり、0.01%以上が好ましく、0.05%以上がさらに好ましい。上限は、通常、0.2%以下である。したがって、ヒノキチオールの含有量は、通常、0.001~0.2%であり、0.01~0.2%が好ましく、0.05~0.2%がさらに好ましい。
【0056】
口腔用剤におけるグリチルリチン酸及び又はその塩の含有量は、通常、0.005%以上であり、0.01%以上が好ましく、0.05%以上がさらに好ましい。上限は、通常、0.3%以下であり、0.22%以下が好ましい。したがって、口腔用剤におけるグリチルリチン酸及び又はその塩の含有量は、通常、0.005~0.3%であり、0.01~0.22%が好ましく、0.05~0.22%がさらに好ましい。
【0057】
口腔用剤におけるグリチルレチン酸及び又はその塩の含有量は、通常、0.005%以上であり、0.0063%以上が好ましく、0.04%以上がさらに好ましい。上限は、通常、0.25%以下であり、0.2%以下が好ましい。したがって、口腔用剤におけるグリチルレチン酸及び又はその塩の含有量は、通常、0.005~0.25%であり、0.0063~0.2%が好ましく、0.04~0.2%がさらに好ましい。
【0058】
ヒノキチオール、グリチルリチン類及びグリチルレチン類の各化合物の口腔用剤における含有量を上述の数値範囲内とすることで、本発明の剤の効果を効率よく発揮することができる。
【0059】
本発明の剤が追加の有効成分を含む場合、口腔用剤におけるその含有量は、0.5~70%であり、1~60%が好ましく、5~50%がさらに好ましい。
【0060】
本発明の剤がプロピレングリコールを含む場合、口腔用剤におけるその含有量は、通常、0.5%以上であり、1%以上が好ましく、5%以上がさらに好ましい。上限は、通常、70%以下であり、60%以下が好ましく、50%以下がさらに好ましい。したがって、口腔用剤におけるプロピレングリコールの含有量は、通常、0.5~70%であり、1~60%が好ましく、5~50%がさらに好ましい。
【0061】
本発明の剤がソルビットを含む場合、口腔用剤におけるその含有量は、通常、0.5%以上であり、1%以上が好ましく、5%以上がさらに好ましい。通常、70%以下であり、60%以下が好ましく、50%以下がさらに好ましい。したがって、口腔用剤におけるソルビットの含有量は、通常、0.5~70%であり、1~60%が好ましく、5~50%がさらに好ましい。
【0062】
本発明の剤がグリセリンを含む場合、口腔用剤におけるその含有量は、通常、0.5%以上であり、1%以上が好ましく、5%以上がさらに好ましい。上限は、通常、70%以下であり、60%以下が好ましく、50%がさらに好ましい。したがって、口腔用剤におけるグリセリンの含有量は、通常、0.5~70%であり、1~60%が好ましく、5~50%がさらに好ましい。
【0063】
プロピレングリコール、ソルビット及びグリセリンの各化合物の口腔用剤における含有量を上述の数値範囲内とすることで、本発明の剤の効果を効率よく促進することができる。
【0064】
-口腔用剤における有効成分の含有量の、追加の有効成分の含有量に対する比率-
剤が追加の有効成分を含む場合、口腔用剤における、追加の有効成分の含有量に対する、有効成分の質量比は、好ましくは0.001以上であり、より好ましくは0.002以上であり、さらに好ましくは0.004以上である。上限は、好ましくは0.4以下であり、より好ましくは0.1以下であり、さらに好ましくは0.04以下である。好ましくは0.001~0.4であり、より好ましくは0.002~0.1であり、さらに好ましくは0.004~0.4である。したがって、追加の有効成分の含有量に対する、有効成分の質量比は、好ましくは0.001~0.4であり、より好ましくは0.002~0.1であり、さらに好ましくは0.004~0.04である。
【実施例0065】
以下、本発明を実施例により説明する。以下の実施例は、本発明を限定するものではない。
【0066】
〔マクロファージ培養細胞(RAW264.7)の異物除去評価試験〕
実験例1〔マクロファージの細菌に対する貪食能評価〕
マクロファージ培養細胞(RAW264.7)は、RPMI1640培地(10%牛胎児血清(FBS))で培養し、37℃、5%、COの下でインキュベートを行った。RAW264.7細胞を96ウェルプレートに50,000cells/wellで用意し、そこに表3及び4に記載の各種濃度に設定した化合物を100μL/wellとなるように添加し、16時間インキュベートした。なお、各化合物の各種濃度への調整は、DMSO又はPBSで1000倍溶液を作成後、培地(RPMI1640)で希釈することによった。その後、蛍光色素でラベルされたE.coli BioParticles(pHrodoTM Green E.coli BioParticlesTM Conjugate for Phagocytosis)を1mg/mlに調整し、5分間sonicationした後に、100μL/wellで細胞の入った全ウェルに添加し、37℃で1時間インキュベートした。インキュベートの後、貪食活性をプレートリーダーにて測定した(Ex/Em:509/533nm)。細胞を加えていないウェルの蛍光値を引いたものを各ウェルのシグナル値とし、シーズ非処置のctrl群の平均蛍光値を1として比較した(表3及び4)。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
表3及び4の結果より、ヒノキチオール、グリチルレチン類又はグリチルリチン類を添加した群は、コントロール群と比較してマクロファージの細菌貪食能が高かった。また、ヒノキチオール、グリチルレチン類又はグリチルリチン類にプロピレングリコール、ソルビット又はグリセリンを組み合わせて添加した群は、ヒノキチオール、グリチルレチン類又はグリチルリチン類を単独で添加した群、及び、ヒノキチオール、グリチルレチン類又はグリチルリチン類に多糖類以外の化合物を組み合わせた群よりも細菌貪食能が高かった。
【0072】
実験例2〔マクロファージの死細胞に対する貪食能評価〕
マクロファージ培養細胞(RAW264.7)を100,000cells/mlで用意し、CellTrace Violet Cell Proliferation Kit(invitrogen)を用いて20分間暗室でラベルした。なお、この色素は細胞内に侵入し、タンパク質に結合することにより、RAW264.7細胞を標識することができる。反応後、RPMI1640培地で2回遠心洗浄を行った。標識したRAW264.7細胞を10,000cells/wellで用意し、そこに、実験例1と同様の方法で表5~7に記載の各種濃度に設定した化合物を100μL/wellとなるように添加し、16時間インキュベートした。
【0073】
RPMI1640培地でRAW264.7細胞同様に培養した、Jurkat細胞(ヒトリンパ球)を100,000cells/mlになるように調整し、10μMのcamptothecinで16時間処理することで、アポトーシスを誘導した。アポトーシスを誘導したJurkat細胞をPBSでwashした後、1000,000cells/mLになるように調整し、IncuCyte pHrodo Red cell Labeling Dye(sartorius)を用い、1時間暗室でラベルした。なお、この色素は細胞膜と結合することにより、Jurkat細胞を標識することができる。
【0074】
反応後、RPMI培地で2回遠心洗浄を行い、新鮮なRPMI1640培地で500,000cells/mlになるように調整した。その100μLずつを、上記に用意したシーズ添加済みのRAW264.7細胞の入ったウェルに加え、アポトーシスを誘導したJurkat細胞と一緒に3時間インキュベートさせた。作用後、貪食されていないJurkat細胞を取り除くために、各ウェルを滅菌PBSで3回洗浄した。その後、接着しているマクロファージ様細胞を剥がすため、Trypsin処理液(PBS-0.5mM EDTA+0.05% Trypsin)を0.1mL加えてはがした。Trypsinの作用をとめるために、新鮮なRPMI1640培地を0.1mL加えた。その後、PBSで1回洗浄した後、0.25mLのPBSを加え懸濁し、フローサイトメトリを用いて解析した。シーズ非処置のctrl群における貪食率の平均値を1として比較した(表5~7)。
【0075】
【表5】
【0076】
【表6】
【0077】
【表7】
【0078】
ヒノキチオール、グリチルレチン類又はグリチルリチン類を添加した群(表5)は、コントロール群と比較してマクロファージの死細胞貪食能が高かった。また、ヒノキチオール、グリチルレチン類又はグリチルリチン類にプロピレングリコール、ソルビット又はグリセリン等の多価アルコールを組み合わせて添加した群(表6)は、ヒノキチオール、グリチルレチン類又はグリチルリチン類に多価アルコール以外の化合物を添加した群(表7)よりも死細胞貪食能が高かった。
【0079】
以上の結果は、本発明の剤が、細菌及び死細胞貪食機能等のマクロファージ機能を活性化し、促進し、正常化することができることを示している。