(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030032
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/24 20060101AFI20240229BHJP
B60R 11/04 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
E02F9/24 B
B60R11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132572
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 隼一
(72)【発明者】
【氏名】上田 将誉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 泰之
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 康平
【テーマコード(参考)】
2D015
3D020
【Fターム(参考)】
2D015GA03
3D020BA20
3D020BB07
3D020BC13
3D020BD01
3D020BD02
(57)【要約】
【課題】作業機械の外部情報を検出する検出器の損傷を抑制できる作業機械を提供する。
【解決手段】機械室外装9は機械室MRを覆う。検出器DTは油圧ショベル100の外部情報を検出する。機械室外装9は機械室外装9の上部にて前後方向に延びるカバー部材9cを有する。検出器DTは、カバー部材9cに対して機械室MR側に位置する部分を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械室を有する作業機械であって、
前記機械室を覆う機械室外装と、
前記作業機械の外部情報を検出する検出器と、を備え、
前記機械室外装は前記機械室外装の上部にて前後方向に延びるカバー部材を有し、
前記検出器は、前記カバー部材に対して前記機械室側に位置する部分を有する、作業機械。
【請求項2】
前記検出器は、レンズおよびカバーの少なくとも1つの構成部材を有する撮像装置を含み、
前記カバー部材は、第1傾斜部と、前記第1傾斜部に接続された第2傾斜部とを有し、
前記第1傾斜部は上から下に向かうにしたがって前記作業機械の外側へ突き出すように傾斜し、前記第2傾斜部は下から上に向かうにしたがって前記作業機械の外側へ突き出すように傾斜し、
前記撮像装置の前記少なくとも1つの構成部材は、前記第2傾斜部に設けられた貫通孔を通じて前記カバー部材の外部に露出している、請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記機械室外装は、前記カバー部材の下に位置するドアを有し、
前記カバー部材の最外端の位置は前記ドアの最外端の位置よりも左右方向の内側である、請求項1または請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記検出器はアンテナを含み、
前記カバー部材の上面は、前記アンテナを取り付ける取付領域を有し、
前記取付領域において前記カバー部材の前記上面は平坦である、請求項1に記載の作業機械。
【請求項5】
前記検出器を支持する支持具をさらに備え、
前記支持具は、前記カバー部材に対して前記機械室側に位置する、請求項1に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、油圧ショベルなどの作業機械において作業中などに周囲を視認できるようにカメラが設置されている。作業機械にカメラが設置された構成は、たとえば特開2008-150832号公報(特許文献1)、特開2017-89139号公報(特許文献2)などに開示されている。
【0003】
特開2008-150832号公報においては、後方監視カメラと、その後方監視カメラを支持するケーシングとがカウンタウエイト上に配置されている。特開2017-89139号公報においては、カメラが上部旋回体上に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-150832号公報
【特許文献2】特開2017-89139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記2つの公報の各々においては、カメラなどの作業機械の外部情報を検出する検出器がカウンタウエイトまたは上部旋回体から突き出して配置されている。このため作業機械の作業中に検出器が障害物に干渉することで損傷するおそれがある。
【0006】
本開示の目的は、検出器の損傷を抑制できる作業機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の作業機械は、機械室を有する作業機械であって、機械室外装と、検出器とを備える。機械室外装は機械室を覆う。検出器は作業機械の外部情報を検出する。機械室外装は機械室外装の上部にて前後方向に延びるカバー部材を有する。検出器は、カバー部材に対して機械室側に位置する部分を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、検出器の損傷を抑制できる作業機械を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態における油圧ショベルの構成を示す側面図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿う概略断面図である。
【
図4】
図1の油圧ショベルにおいて撮像装置が配置された部分を油圧ショベルの外側から拡大して示す斜視図である。
【
図5】
図1の油圧ショベルにおいて撮像装置が配置された部分を油圧ショベルの内側から拡大して示す斜視図である。
【
図6】
図1の油圧ショベルにおいて撮像装置が配置された部分を示す断面図である。
【
図7】
図1の油圧ショベルにおいてアンテナが配置された部分を油圧ショベルの外側から拡大して示す斜視図である。
【
図8】
図1の油圧ショベルにおいてアンテナが配置された部分を油圧ショベルの内側から拡大して示す斜視図である。
【
図9】
図1の油圧ショベルにおいてアンテナが配置された部分を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
明細書および図面において、同一の構成要素または対応する構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さない。また図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。また実施の形態と各変形例との少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。
【0011】
本開示は、油圧ショベル以外に、ホイールローダ、ブルドーザ、モータグレーダなどの他の作業機械にも適用可能である。以下の説明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」とは、
図1に示すキャブ4内の運転席4Sに着座したオペレータを基準とした方向である。
【0012】
<作業機械の構成>
まず本実施形態の作業機械の一例として油圧ショベルの構成について
図1を用いて説明する。
【0013】
図1は、本開示の一実施形態における油圧ショベルの構成を概略的に示す側面図である。
図1に示されるように、油圧ショベル100は、本体1と、油圧により作動する作業機2とを有している。本体1は、旋回体3と、走行体5とを有している。走行体5は、履帯5Crと、走行モータ5Mとを有している。油圧ショベル100は、履帯5Crの回転により走行可能である。走行モータ5Mは、走行体5の駆動源として設けられている。走行モータ5Mは、油圧により作動する油圧モータである。なお、走行体5が車輪(タイヤ)を有していてもよい。
【0014】
旋回体3は、走行体5の上に配置され、かつ走行体5により支持されている。旋回体3は、旋回軸RXを中心として走行体5に対して旋回可能である。旋回体3は、キャブ4(運転室)を有している。キャブ4内には、オペレータが着座する運転席4Sが設けられている。オペレータ(乗員)は、キャブ4に搭乗して、作業機2の操作が可能であり、走行体5に対する旋回体3の旋回操作が可能であり、また走行体5による油圧ショベル100の走行操作が可能である。
【0015】
旋回体3は、機械室外装9と、旋回体3の後部に設けられるカウンタウエイトCWとを有している。機械室外装9は、機械室を覆っている。機械室には、エンジンユニット(エンジン、排気処理構造体など)またはバッテリユニット(バッテリ、モータ、インバータなど)が配置されている。機械室にバッテリユニットが配置される場合、カウンタウエイトCWは省略されてもよい。この場合、バッテリユニットがカウンタウエイトの役割をなす。
【0016】
作業機2は、旋回体3に支持されている。作業機2は、ブーム6と、アーム7と、バケット8とを有している。作業機2は、ブームシリンダ10と、アームシリンダ11と、バケットシリンダ12とをさらに有している。
【0017】
ブーム6は、本体1(走行体5および旋回体3)に回動可能に接続されている。具体的にはブーム6の基端部は、ブームフートピン(図示せず)を支点として旋回体3に回動可能に接続されている。
【0018】
アーム7は、ブーム6に回動可能に接続されている。具体的にはアーム7の基端部は、ブームトップピン14を支点としてブーム6の先端部に回動可能に接続されている。バケット8は、アーム7に回転可能に接続されている。具体的にはバケット8の基端部は、アームトップピン15を支点としてアーム7の先端部に回動可能に接続されている。
【0019】
ブームシリンダ10の一端は旋回体3に接続され、他端はブーム6に接続されている。ブーム6は、ブームシリンダ10により本体1に対して駆動可能である。この駆動により、ブーム6は、ブームフートピンを支点として旋回体3に対して上下方向に回動可能である。
【0020】
アームシリンダ11の一端はブーム6に接続され、他端はアーム7に接続されている。アーム7は、アームシリンダ11によりブーム6に対して駆動可能である。この駆動により、アーム7は、ブームトップピン14を支点としてブーム6に対して上下方向または前後方向に回動可能である。
【0021】
バケットシリンダ12の一端はアーム7に接続され、他端はバケットリンク17に接続されている。バケット8は、バケットシリンダ12によりアーム7に対して駆動可能である。この駆動により、バケット8は、アームトップピン15を支点としてアーム7に対して上下方向に回動可能である。
【0022】
機械室外装9は、側板部9Sと、カバー部材9cと、フード部9dとを有している。側板部9Sは、旋回体3の側面に配置されている。側板部9Sは、機械室外装9の側面を構成しており、機械室の側方を覆っている。側板部9Sは、ドア9aと、側板9bとを有している。
【0023】
ドア9aは、旋回体3の側面に配置されている。ドア9aは、たとえばカウンタウエイトCWの隣に配置されている。ドア9aは機械室を開閉可能である。ドア9aには、複数の吸排気孔VEが設けられている。複数の吸排気孔VEの各々は、機械室と油圧ショベル100の外部とを繋ぐ。
【0024】
側板9bは、旋回体3の側面であってドア9aとキャブ4との間に配置されている。側板9bは、ドア9aと前後方向に並んで配置されている。側板9bは、ドア9aの前方に配置されている。フード部9dは、機械室外装9の天板を構成している。フード部9dは機械室の上方を覆っている。フード部9dの上面は全体においてフラットであってもよく、また一部においてフラットな部分を有していてもよい。
【0025】
カバー部材9cは、機械室外装9の側板部9Sとフード部9dとの間の角部に配置されている。カバー部材9cは、機械室外装9の左右方向の端部に配置されている。カバー部材9cは、機械室外装9の上部にて前後方向に延びるように配置されている。カバー部材9cは、ドア9aおよび側板9bの双方の上に配置されている。カバー部材9cは、キャブ4とカウンタウエイトCWとの間に配置されている。カバー部材9cは、キャブ4の後端からカウンタウエイトCWの前端まで前後方向に延びている。
【0026】
カバー部材9cは、ハンドレール座を兼用してもよい。つまりハンドレール(図示せず)がカバー部材9cに取り付けられてもよい。ハンドレールは、機械室外装9の上面に立って作業する作業者が把持するための部分である。カバー部材9cにシート(図示せず)が取り付けられ、そのシートにハンドレールが取り付けられてもよい。
【0027】
油圧ショベル100は、検出器DTを有している。検出器DTは、油圧ショベル100の外部情報を検出する。検出器DTは、たとえば撮像装置21またはアンテナ31である。検出器DTは、レーダー、LiDAR(Light Detection And Ranging)、超音波センサーなどであってもよい。検出器DTは、撮像装置21、アンテナ31、レーダー、LiDAR、超音波センサーのそれぞれ単独からなっていてもよく、またそれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。油圧ショベル100の外部情報は、油圧ショベル100の外部にある対象の像、対象までの距離、対象の性質などであってもよく、また油圧ショベル100の外部から発信される信号などであってもよい。
【0028】
撮像装置21は、油圧ショベル100の外部を撮像する。撮像装置21は、たとえばカメラである。撮像装置21は、たとえば旋回体3の側面に配置されている。撮像装置21は、旋回体3の後面、前面または上面に配置されていてもよい。
【0029】
アンテナ31は、油圧ショベル100の外部からの情報を無線で受信する。アンテナ31は、たとえばGNSS(Global Navigation Satellite System)アンテナである。アンテナ31は、たとえば旋回体3の上面に配置されている。アンテナ31は、旋回体3の後面、前面または側面に配置されていてもよい。
【0030】
油圧ショベル100は、照明装置などの電装品を有していてもよい。照明装置は、油圧ショベル100の側方、前方、後方などを照明する。照明装置は、LED(Light-Emitting Diode)、蛍光灯および白熱電球の少なくともいずれかを有している。
【0031】
検出器DTおよび電装品の各々は、油圧ショベル100の本体1に取り付けられている。検出器DTおよび電装品の各々は、たとえば旋回体3に取り付けられている。検出器DTおよび電装品の各々は、機械室外装9で覆われた部分を有している。
【0032】
<検出器DTの配置>
次に、本実施形態における油圧ショベル100の検出機DTの配置について
図2および
図3を用いて説明する。
【0033】
図2は、
図1の油圧ショベルの一部の上面図である。
図3は、
図2のIII-III線に沿う概略断面図である。
【0034】
図2に示されるように、複数の検出器DTが旋回体3に配置されていてもよい。複数の検出器DTは、複数の撮像装置21と、複数のアンテナ31とを含んでいてもよい。複数の撮像装置21は、旋回体3の一方側面に配置された撮像装置21と、旋回体3の他方側面に配置された撮像装置21とを含んでいてもよい。2つの撮像装置21は、油圧ショベル100の左右方向の中心MCL(2点鎖線)に対して互いに反対側に配置されている。つまり一の撮像装置21は中心MCLに対して一方側面側に配置され、他の撮像装置21は中心MCLに対して一の撮像装置21とは反対側の他方側面側に配置されている。
【0035】
上面視において一方側面側に配置された撮像装置21と他方側面側に配置された撮像装置21とは中心MCLに対して線対称では無い位置に配置されているが、中心MCLに対して線対称となる位置に配置されていてもよい。
【0036】
複数のアンテナ31は、旋回体3の一方側面側に配置されたアンテナ31と、旋回体3の他方側面側に配置されたアンテナ31とを含んでいてもよい。2つのアンテナ31は、油圧ショベル100の左右方向の中心MCLに対して互いに反対側に配置されている。つまり一のアンテナ31は中心MCLに対して一方側面側に配置され、他のアンテナ31は中心MCLに対して一のアンテナ31とは反対側の他方側面側に配置されている。
【0037】
上面視において一方側面側に配置されたアンテナ31と他方側面側に配置されたアンテナ31とは中心MCLに対して線対称では無い位置に配置されているが、線対称となる位置に配置されていてもよい。
【0038】
上面視とは、機械室外装9におけるフード部9dのフラットな部分に対して垂直な方向に沿って上から下を見る視点を意味する。
【0039】
図3に示されるように、機械室外装9は、機械室MRの左右の側方と上方とを覆っている。機械室外装9は、機械室MRの前方および後方を覆っていてもよい。機械室外装9に覆われた空間が機械室MRとなる。機械室MRには、駆動ユニットDU、クーリングユニット42などが配置されている。
【0040】
駆動ユニットDUは、エンジンユニット(エンジン、排気処理構造体など)であってもよく、またバッテリユニット(バッテリなど)であってもよい。クーリングユニット42は、オイルクーラ、ラジエータなどの熱交換器42aと、ファン42bとを有している。
【0041】
図2および
図3に示されるように、複数の検出器DTの各々は、カバー部材9cに対して機械室MR側に配置されている。カバー部材9cに対して機械室MR側とは、検出器DTが機械室MR内に配置されること、または機械室MR外ではあるがカバー部材9cよりも機械室MRの近くに配置されることを意味する。
【0042】
複数の検出器DTの各々は、カバー部材9cに設けられた貫通孔OP1、OP2(
図4、
図8)を通じてカバー部材9cの外部に露出している。カバー部材9cの外部とは、カバー部材9cに対して機械室MR側とは反対側の空間を意味する。カバー部材9cの外部は、機械室MRの外側の空間である。またカバー部材9cの外部は、油圧ショベル100の外部の空間である。
【0043】
複数の検出器DTの各々は、カバー部材9cの外部に露出することにより、油圧ショベル100の外部情報を検出することができる。検出器DTが撮像装置21である場合、撮像装置21はカバー部材9cの外部に露出することにより油圧ショベル100の外部の対象を撮像することができる。検出器DTがアンテナ31である場合、アンテナ31はカバー部材9cの外部に露出することにより油圧ショベル100の外部から発信された信号を受信することができる。検出器DTがレーダー、LiDAR、超音波センサーなどである場合、検出器DTはカバー部材9cの外部に露出することにより油圧ショベル100の外部の対象の像、対象までの距離、対象の性質などを検出することができる。
【0044】
図3に示されるように、断面視において検出器DTは、カバー部材9cに対して機械室MR側に配置された部分を有している。検出器DTのうちカバー部材9cに対して機械室MR側に配置された部分とは、検出器DTのケース部を意味する。
【0045】
検出器DTがたとえば撮像装置21である場合、光学系、撮像素子などを収容するケース部の少なくとも一部が、カバー部材9cに対して機械室MR側に配置されている。検出器DTがたとえばアンテナ31である場合、アンテナ受信部、回路基板などを収容するケース部の少なくとも一部が、カバー部材9cに対して機械室MR側に配置されている。検出器DTがたとえばレーダー、LiDAR、超音波センサーである場合、照射部(電波、光、超音波などの照射部)、測定部(電波、光、超音波などの散乱の測定部)などを収容するケース部の少なくとも一部が、カバー部材9cに対して機械室MR側に配置されている。
【0046】
仮に検出器DTが機械室MRに配置された部分を有さず、機械室MRと仕切られた空間に配置された部分を有する場合、検出器DTはカバー部材9cよりも機械室MRの近くに位置する部分を有している。検出器DTが撮像装置21であり、機械室MRと仕切られた空間に配置された部分を有する場合、撮像装置21のケース部の少なくとも一部がカバー部材9cよりも機械室MRの近くに位置している。また検出器DTがアンテナ31であり、機械室MRと仕切られた空間に配置された部分を有する場合、アンテナ31のケース部の少なくとも一部がカバー部材9cよりも機械室MRの近くに位置している。また検出器DTがたとえばレーダー、LiDAR、超音波センサーであり、機械室MRと仕切られた空間に配置された部分を有する場合、撮像装置21のケース部の少なくとも一部がカバー部材9cよりも機械室MRの近くに位置している。
【0047】
撮像装置21のケース部と配線WR1との接続部、およびアンテナ31のケース部と配線WR2との接続部の各々は、カバー部材9cに対して機械室MR側に配置されている。撮像装置21のケース部と配線WR1との接続部、およびアンテナ31のケース部と配線WR2との接続部の各々は、機械室外装9に囲まれた空間内(機械室MR内または機械室MRと仕切られた空間内)に位置している。
【0048】
また配線WR1、WR2も、カバー部材9cに対して機械室MR側に配置されている。配線WR1、WR2は、機械室外装9に囲まれた空間内(機械室MR内または機械室MRと仕切られた空間内)に位置している。
【0049】
また照明装置などの電装品が配置される場合、この電装品がカバー部材9cに対して機械室MR側に配置されていてもよい。この電装品は、機械室外装9に囲まれた空間内(機械室MR内または機械室MRと仕切られた空間内)に位置していてもよい。
【0050】
<撮像装置21の具体的構成および配置>
次に、本実施形態における撮像装置21の具体的構成および配置について
図4~
図6を用いて説明する。
【0051】
図4は、
図1の油圧ショベルにおいて撮像装置が配置された部分を油圧ショベルの外側から拡大して示す斜視図である。
図5は、
図1の油圧ショベルにおいて撮像装置が配置された部分を油圧ショベルの内側から拡大して示す斜視図である。
図6は、
図1の油圧ショベルにおいて撮像装置が配置された部分を示す断面図である。
【0052】
図4に示されるように、カバー部材9cには貫通孔OP1が設けられている。貫通孔OP1内には撮像装置21の一部が挿入されている。具体的には、撮像装置21のケース部21bの一部が貫通孔OP1内に挿入されている。
【0053】
撮像装置21は、撮像素子と、光学系と、ケース部21bとを有している。撮像素子および光学系の各々は、ケース部21bの内部に収容されている。撮像素子は、光の明暗を電化の量に光電変換する。撮像素子は、たとえばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー、CCD(Charge Coupled Device)センサーなどのイメージセンサーである。光学系は、レンズ、ミラーなどを有し、撮像素子上に被写体の像を結像させる。光学系は、ケース部21bの外部に露出したレンズ21aを含んでいる。撮像装置21は、カバーをさらに有していてもよい。撮像装置21のカバーは、たとえばレンズ21aを保護するためのレンズ保護用カバーであって、透明な部材よりなっている。
【0054】
図5に示されるように、撮像装置21のケース部21bは、支持具22を介在してフレーム41に取り付けられている。支持具22は、ケース部21bに固定されている。支持具22は、固定部材23によりフレーム41に取り付けられている。固定部材23は、たとえばボルトなどである。
【0055】
ケース部21bの一部と支持具22とは、カバー部材9cに対して機械室MR側に配置されている。カバー部材9cは、フレーム41にボルトなどにより取り付けられていてもよい。
【0056】
図6に示されるように、カバー部材9cは、第1傾斜部USと、第2傾斜部LSとを有している。第1傾斜部USは、上から下に向かうにしたがって油圧ショベル100の外側(たとえば側方)へ突き出すように傾斜している。第2傾斜部LSは、第1傾斜部USの下に位置している。第2傾斜部LSは、下から上に向かうにしたがって油圧ショベル100の外側(たとえば側方)へ突き出すように傾斜している。第1傾斜部USの下端と第2傾斜部LSの上端とは互いに接続されている。第1傾斜部USと第2傾斜部LSとの接続部は、機械室MRから突き出すような凸状の角部を構成している。
【0057】
カバー部材9cの貫通孔OP1は、第2傾斜部LSに設けられている。貫通孔OP1は、第2傾斜部LSの上端から第2傾斜部LSの下端より少し上まで延びている。撮像装置21のケース部21bは、貫通孔OP1を貫通して、カバー部材9cに対して機械室MR側とその反対側との双方に位置している。撮像装置21のレンズ21aは、カバー部材9cに対して機械室MR側とは反対側に位置している。レンズ21aは、第2傾斜部LSよりも油圧ショベル100の外側(側方)へ突き出している。撮像装置21の光軸OAは、レンズ21aからたとえば斜め下向きに延びている。レンズ21aは、貫通孔OP1を通じてカバー部材9cの外部に露出している。また撮像装置21が上記カバーを有する場合には、レンズ21aおよびカバーの少なくとも1つの構成部材が、貫通孔OP1を通じてカバー部材9cの外部に露出していればよい。たとえば撮像素子、光学系およびカバーの順でケース部21bに支持されている場合、カバーのみが貫通孔OP1を通じてカバー部材9cの外部に露出していればよい。
【0058】
カバー部材9cの左右方向における最外端の位置P1は、ドア9aの左右方向における最外端の位置P2よりも左右方向において本体1(旋回体3)の内側である。つまりカバー部材9cの最外端の位置P1は、ドア9aの最外端の位置P2よりも機械室MRの近くに位置している。
【0059】
なお位置P2を表す一点鎖線は、
図6で示された部分よりも下方においてドア9aの左右方向の最外端に接している。
【0060】
<アンテナ31の構成および配置>
次に、本実施形態におけるアンテナ31の具体的構成および配置について
図7~
図9を用いて説明する。
【0061】
図7は、
図1の油圧ショベルにおいてアンテナが配置された部分を油圧ショベルの外側から拡大して示す斜視図である。
図8は、
図1の油圧ショベルにおいてアンテナが配置された部分を油圧ショベルの内側から拡大して示す斜視図である。
図9は、
図1の油圧ショベルにおいてアンテナが配置された部分を示す断面図である。
【0062】
図7および
図8に示されるように、アンテナ31は、上ケース31aと、下ケース31bとを有している。下ケース31bは、上ケース31aの下に取り付けられている。上ケース31aと下ケース31bとによりアンテナ31のケース部が構成されている。上ケース31aと下ケース31bとにより囲まれた内部空間には、アンテナ受信部、回路基板などが配置されている。
【0063】
図7に示されるように、アンテナ31の上ケース31aは、機械室MRの外部に配置されている。具体的には、上ケース31aは、カバー部材9cの天板部9cuよりも上に位置している。
【0064】
図8に示されるように、カバー部材9cには、貫通孔OP2が設けられている。貫通孔OP2は、カバー部材9cの天板部9cuに設けられている。アンテナ31の下ケース31bは、貫通孔OP2に挿入され、カバー部材9cよりも機械室MR側に突き出している。下ケース31bは、貫通孔OP2を通じて機械室MRに突き出していてもよく、また機械室MRとは仕切られた空間に突き出していてもよい。
【0065】
下ケース31bには、固定部31cと、端子部31dとが設けられている。固定部31cは、雌ネジ部を有している。固定部31cは、天板部9cuの底面に固定された支持部9cfにボルトなどの固定部材33により固定されている。
【0066】
端子部31dは、アンテナ31のアンテナ受信部に電気的に接続されている。端子部31dは、配線WR2(
図3)などを電気的に接続するための部分である。端子部31dに配線WR2が接続されることにより、配線WR2を通じてアンテナ受信部が受信した信号をアンテナ31から取り出すことができる。
【0067】
下ケース31b、固定部31cおよび端子部31dの各々は、カバー部材9cに対して機械室MR側に位置している。下ケース31b、固定部31cおよび端子部31dの各々は、機械室MRに配置されていてもよく、また機械室MRとは仕切られた空間に配置されていてもよい。
【0068】
図9に示されるように、カバー部材9cの天板部9cuは、アンテナ31を取り付けられる取付領域RAを有している。取付領域RAは、アンテナ31の上ケース31aと上面視において重畳する領域である。取付領域RAにおいて天板部9cuの上面は平坦である。
【0069】
<効果>
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0070】
本実施形態においては
図3に示されるように、検出器DTは、カバー部材9cに対して機械室MR側に位置する部分を有している。これにより検出器DTが機械室外装9から突き出すサイズを小さくすることができる。このため検出器DTが障害物に干渉して損傷することを抑制できる。
【0071】
また検出器DTがカバー部材9cに対して機械室MR側に配置される構成は、同じカバー部材9cを用いて油圧ショベル100の他の機種(たとえば上位機種)へ適用することが容易である。
【0072】
また本実施形態においては
図6に示されるように、撮像装置21のレンズ21aおよびカバーの少なくとも1つの構成部材は、第2傾斜部LSに設けられた貫通孔OP1を通じてカバー部材9cの外部に露出している。そして第2傾斜部LSは、下から上に向かうにしたがって油圧ショベル100の外側へ突き出すように傾斜している。このため雨などによりカバー部材9cの外表面を伝った水分が貫通孔OP1を通じてカバー部材9cの内側(機械室MR側)に入りにくくなり、撮像装置21が水に濡れにくくなる。
【0073】
また第2傾斜部LSは、下から上に向かうにしたがって油圧ショベル100の外側へ突き出すように傾斜している。このため撮像装置21の光軸OAがレンズ21aまたはカバーから斜め下向きに延びている場合に、第2傾斜部LSが撮像装置21の撮像範囲を邪魔することが抑制される。
【0074】
またカバー部材9cの第1傾斜部USと第2傾斜部LSとの接続部が撮像装置21の上方において油圧ショベル100の外側に向かって突き出すことにより庇のような役割をなす。このためカバー部材9cから貫通孔OP1を通じて外方へ突き出した撮像装置21の部分が雨などにより濡れにくい。
【0075】
また撮像装置21の光軸OAは、レンズ21aまたはカバーから斜め下向きに延びている。このためレンズ21aまたはカバーは雨などにより濡れにくい。
【0076】
また本実施形態においては
図6に示されるように、カバー部材9cの最外端の位置P1はカバー部材9cの下に位置するドア9aの最外端の位置P2よりも左右方向の内側である。このため油圧ショベル100の外部の障害物に対してカバー部材9cは干渉しにくくなる。
【0077】
また本実施形態においては
図9に示されるように、アンテナ31を取り付ける取付領域RAにおいてカバー部材9cの天板部9cuにおける上面は平坦である。このためアンテナ31の底面を取付領域RAにおいて天板部9cuの上面に密着して取り付けることが容易となる。このためアンテナ31を挿入するカバー部材9cの貫通孔OP2を通じて水分、塵埃などが機械室外装9の外部から内部へ侵入することが抑制される。
【0078】
また本実施形態においては
図5および
図6に示されるように、検出器DTを支持する支持具22はカバー部材9cに対して機械室MR側に位置する。これにより支持具22がカバー部材9cの外側に突き出すこともないため、支持具22が油圧ショベル100の外部の障害物と干渉することも防止される。
【0079】
<付記>
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
【0080】
(付記1)
機械室を有する作業機械であって、
前記機械室を覆う機械室外装と、
前記作業機械の外部情報を検出する検出器と、を備え、
前記機械室外装は前記機械室外装の上部にて前後方向に延びるカバー部材を有し、
前記検出器は、前記カバー部材に対して前記機械室側に位置する部分を有する、作業機械。
【0081】
(付記2)
前記検出器は、レンズおよびカバーの少なくとも1つの構成部材を有する撮像装置を含み、
前記カバー部材は、第1傾斜部と、前記第1傾斜部に接続された第2傾斜部とを有し、
前記第1傾斜部は上から下に向かうにしたがって前記作業機械の外側へ突き出すように傾斜し、前記第2傾斜部は下から上に向かうにしたがって前記作業機械の外側へ突き出すように傾斜し、
前記撮像装置の前記少なくとも1つの構成部材は、前記第2傾斜部に設けられた貫通孔を通じて前記カバー部材の外部に露出している、付記1に記載の作業機械。
【0082】
なお検出器は撮像装置単独からなっていてもよく、また撮像装置以外の他の装置(アンテナ、レーダー、LiDAR、超音波センサー)を含んでいてもよい。
【0083】
(付記3)
前記機械室外装は、前記カバー部材の下に位置するドアを有し、
前記カバー部材の最外端の位置は前記ドアの最外端の位置よりも左右方向の内側である、付記1または付記2に記載の作業機械。
【0084】
(付記4)
前記検出器はアンテナを含み、
前記カバー部材の上面は、前記アンテナを取り付ける取付領域を有し、
前記取付領域において前記カバー部材の前記上面は平坦である、付記1から付記3のいずれか1つに記載の作業機械。
【0085】
なお検出器はアンテナ単独からなっていてもよく、またアンテナ以外の他の装置(撮像装置、レーダー、LiDAR、超音波センサー)を含んでいてもよい。
【0086】
(付記5)
前記検出器を支持する支持具をさらに備え、
前記支持具は、前記カバー部材に対して前記機械室側に位置する、付記1から付記4のいずれか1つに記載の作業機械。
【0087】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0088】
1 本体、2 作業機、3 旋回体、4 キャブ、4S 運転席、5 走行体、5Cr 履帯、5M 走行モータ、6 ブーム、7 アーム、8 バケット、9 機械室外装、9S 側板部、9a ドア、9b 側板、9c カバー部材、9cf 支持部、9cu 天板部、9d フード部、10 ブームシリンダ、11 アームシリンダ、12 バケットシリンダ、14 ブームトップピン、15 アームトップピン、17 バケットリンク、21 撮像装置、21a レンズ、21b ケース部、22 支持具、23,33 固定部材、31 アンテナ、31a 上ケース、31b 下ケース、31c 固定部、31d 端子部、41 フレーム、42 クーリングユニット、42a 熱交換器、42b ファン、100 油圧ショベル、CW カウンタウエイト、DT 検出器、DU 駆動ユニット、LS 第2傾斜部、MR 機械室、OA 光軸、OP1,OP2 貫通孔、P1,P2 位置、RA 取付領域、US 第1傾斜部、VE 吸排気孔、WR1,WR2 配線。