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特開2024-30033フレキシブル読取装置及びそれを用いた読取方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030033
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】フレキシブル読取装置及びそれを用いた読取方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20240229BHJP
   H01Q 1/40 20060101ALI20240229BHJP
   H01Q 9/44 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G06K7/10 224
G06K7/10 268
H01Q1/40
H01Q9/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132573
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】木吉 英典
(72)【発明者】
【氏名】土田 秀明
(72)【発明者】
【氏名】花野 元紀
(72)【発明者】
【氏名】竹田 宏孝
【テーマコード(参考)】
5J046
【Fターム(参考)】
5J046AA04
5J046AB15
5J046QA02
(57)【要約】
【課題】簡素な構成でありながら、対象物の数及び材質の影響を受けることなく、広範囲に存在する対象物を確実に検知することができ、検知性能が高く、汎用性に優れたフレキシブル読取装置及びそれを用いた読取方法を提供する。
【解決手段】ケーブル状に形成され可撓性を有しRFタグと交信するための電波を照射するアンテナ本体11を備えたフレキシブルアンテナ12と、アンテナ本体11に接続されるリーダライタ13とを有し、アンテナ本体11から照射される電波が届く電波照射範囲に存在する対象物に取付けられたRFタグからRFタグに記憶された情報を読み取るフレキシブル読取装置10を用いることにより、RFタグから読み取られた情報は、リーダライタ13から管理用端末に送信され、管理用端末の表示部に、情報が読み取られたRFタグが取付けられている対象物に関する有効情報が表示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFタグが取付けられた対象物の管理に用いられるフレキシブル読取装置であって、
ケーブル状に形成され可撓性を有し前記RFタグと交信するための電波を照射する1又は複数のアンテナ本体を備えたフレキシブルアンテナと、前記アンテナ本体に接続されるリーダライタとを有し、前記アンテナ本体から照射される電波が届く電波照射範囲に存在する又は前記電波照射範囲を通過する前記対象物に取付けられた前記RFタグから該RFタグに記憶された情報を読み取ることを特徴とするフレキシブル読取装置。
【請求項2】
請求項1記載のフレキシブル読取装置において、前記フレキシブルアンテナは、前記アンテナ本体が敷設されるフレキシブルシートを備えていることを特徴とするフレキシブル読取装置。
【請求項3】
請求項2記載のフレキシブル読取装置において、前記フレキシブルアンテナは、前記フレキシブルシートに敷設された前記アンテナ本体を覆うフレキシブルカバーを備えていることを特徴とするフレキシブル読取装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1記載のフレキシブル読取装置において、複数の前記アンテナ本体は放射状又は格子状に配置されていることを特徴とするフレキシブル読取装置。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1記載のフレキシブル読取装置において、前記フレキシブルアンテナが屈曲又は湾曲されて、該フレキシブルアンテナで囲まれた空間が形成されていることを特徴とするフレキシブル読取装置。
【請求項6】
請求項2又は3記載のフレキシブル読取装置において、前記フレキシブルアンテナが屈曲又は湾曲されて筒型に形成されていることを特徴とするフレキシブル読取装置。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか1記載のフレキシブル読取装置を用いた読取方法であって、
前記RFタグから読み取られた情報は、前記リーダライタから管理用端末に送信され、前記対象物に関する有効情報が前記管理用端末の表示部に表示されることを特徴とする読取方法。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか1記載のフレキシブル読取装置を用いた読取方法であって、
複数の前記アンテナ本体は放射状又は格子状に配置され、前記各アンテナ本体が前記RFタグから受信する電波の状況により、前記対象物の位置が推定されることを特徴とする読取方法。
【請求項9】
請求項1~3のいずれか1記載のフレキシブル読取装置を用いた読取方法であって、
前記フレキシブルアンテナが屈曲又は湾曲されて、該フレキシブルアンテナで囲まれた空間を通過する前記対象物が検知されることを特徴とするフレキシブル読取方法。
【請求項10】
請求項9記載のフレキシブル読取装置を用いた読取方法であって、
複数の前記フレキシブルアンテナは間隔を空けて配置され、前記各フレキシブルアンテナが前記RFタグから受信する電波の状況により、前記対象物の移動方向が推定されることを特徴とするフレキシブル読取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFタグが取付けられた対象物を確実に検知することが可能なフレキシブル読取装置及びそれを用いた読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工事及び整備等の現場における作業では、一度に様々な道具及び工具(以下、まとめて道工具という)が使用されており、作業者は使用した道工具の紛失(置き忘れ)を防止するために、作業の前後に全ての道工具が揃っているか確認を行う必要がある。しかし、道工具の種類及び数が増えると、確認に時間がかかるだけでなく、見落としが発生し易くなり、作業者の負担が増大する。
そこで、リーダライタのアンテナとRFタグとの間で電波(電磁波)を送受信することにより、両者の間で情報のやり取り(データの読み取りと書き込み)を行うRFID技術を利用して、道工具等の対象物を管理する方法が検討されている。その一般的な方法は、道工具等の対象物に予めRFタグを取付けておき、アンテナから電波を照射してRFタグから情報を読み取ることにより、対象物を検知するというものである。また、特許文献1には、アンテナが収容され、検知の対象となる物品より広い開口が上向きに形成されたシールド部を備え、シールド部で物品を囲み、シールド部が上向きに開口した状態で、物品に付されたRFタグから情報を読み取る読取装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6469758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような方法では、検知の対象物が著しく増えた場合、或いは対象物が金属製の場合には、検知性能が低下し、全ての対象物を検知することが困難になるという課題がある。
この課題を解決するために、アンテナの出力を上げたり、アンテナを複数配置したりする方法が考えられるが、装置が高額になったり、電波法の制約により届け出が必要になったりするため現実的ではない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、簡素な構成でありながら、対象物の数及び材質の影響を受けることなく、広範囲に存在する対象物を確実に検知することができ、検知性能が高く、汎用性に優れたフレキシブル読取装置及びそれを用いた読取方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う第1の発明に係るフレキシブル読取装置は、RFタグが取付けられた対象物の管理に用いられるフレキシブル読取装置であって、
ケーブル状に形成され可撓性を有し前記RFタグと交信するための電波を照射する1又は複数のアンテナ本体を備えたフレキシブルアンテナと、前記アンテナ本体に接続されるリーダライタとを有し、前記アンテナ本体から照射される電波が届く電波照射範囲に存在する又は前記電波照射範囲を通過する前記対象物に取付けられた前記RFタグから該RFタグに記憶された情報を読み取る。
【0006】
第1の発明に係るフレキシブル読取装置において、前記フレキシブルアンテナは、前記アンテナ本体が敷設されるフレキシブルシートを備えていることが好ましい。
【0007】
第1の発明に係るフレキシブル読取装置において、前記フレキシブルアンテナは、前記フレキシブルシートに敷設された前記アンテナ本体を覆うフレキシブルカバーを備えてもよい。
【0008】
第1の発明に係るフレキシブル読取装置において、複数の前記アンテナ本体は放射状又は格子状に配置されてもよい。
【0009】
第1の発明に係るフレキシブル読取装置において、前記フレキシブルアンテナが屈曲又は湾曲されて、該フレキシブルアンテナで囲まれた空間が形成されてもよい。
【0010】
第1の発明に係るフレキシブル読取装置において、前記フレキシブルアンテナが屈曲又は湾曲されて筒型に形成されてもよい。
【0011】
前記目的に沿う第2の発明に係る読取方法は、第1の発明に係るフレキシブル読取装置を用いた読取方法であって、
前記RFタグから読み取られた情報は、前記リーダライタから管理用端末に送信され、前記対象物に関する有効情報(以下、有効情報とは、RFタグから読み取られた情報だけでなく、RFタグが貼られた対象物の画像や特徴を表す内容を含み、対象物が道工具であれば、道工具の種類やサイズ、人であれば、所属、名前、顔写真といった対象物の特定に役立つ情報が目的に応じて選択されるものとする。なお、RFタグから読み取られた情報以外の有効情報は、例えばRFタグに記憶された情報と予め紐付けされて管理用端末に記憶されており、RFタグから読み取られた情報に基づいて呼び出される。)が前記管理用端末の表示部に表示される。
【0012】
前記目的に沿う第3の発明に係る読取方法は、第1の発明に係るフレキシブル読取装置を用いた読取方法であって、
複数の前記アンテナ本体は放射状又は格子状に配置され、前記各アンテナ本体が前記RFタグから受信する電波の状況により、前記対象物の位置が推定される。
【0013】
前記目的に沿う第4の発明に係る読取方法は、第1の発明に係るフレキシブル読取装置を用いた読取方法であって、
前記フレキシブルアンテナが屈曲又は湾曲されて、該フレキシブルアンテナで囲まれた空間を通過する前記対象物が検知される。
【0014】
第4の発明に係る読取方法において、複数の前記フレキシブルアンテナは間隔を空けて配置され、前記各フレキシブルアンテナが前記RFタグから受信する電波の状況により、前記対象物の移動方向が推定される。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明に係るフレキシブル読取装置は、ケーブル状に形成され可撓性を有する1又は複数のアンテナ本体を備えたフレキシブルアンテナにより、アンテナ本体の全長にわたってほぼ均等に電波を発信することができ、電波照射範囲が広く、多数の対象物をその材質に関わらず確実かつ同時に検知することができる。また、フレキシブルアンテナは狭い隙間等にも設置することができ、電波が回り込み難い(届き難い)場所にある対象物でも検知することができる。
【0016】
第1の発明に係るフレキシブル読取装置において、フレキシブルアンテナが、アンテナ本体が敷設されるフレキシブルシートを備えている場合、アンテナ本体をフレキシブルシートで保護することができると共に、フレキシブルアンテナを折り畳んだり丸めたりして持ち運ぶことが可能で、使用時にはその場で広げるだけで簡単に設置することができる。
【0017】
第1の発明に係るフレキシブル読取装置において、フレキシブルアンテナが、フレキシブルシートに敷設されたアンテナ本体を覆うフレキシブルカバーを備えている場合、アンテナ本体をフレキシブルシートとフレキシブルカバーで保護することができ、裏表を気にすることなく使用することができる。
【0018】
第1の発明に係るフレキシブル読取装置において、複数のアンテナ本体が放射状又は格子状に配置されている場合、電波照射範囲を広げて広範囲に存在する対象物を検知できるだけでなく、各アンテナ本体がRFタグから受信する電波の状況により、対象物の大まかな位置を推定することができ、対象物の品出し及び在庫管理等に利用することができる。
【0019】
第1の発明に係るフレキシブル読取装置において、フレキシブルアンテナが屈曲又は湾曲されて、フレキシブルアンテナで囲まれた空間が形成されている場合、フレキシブルアンテナで囲まれた空間が電波照射範囲となり、その空間を通過する対象物を検知することができ、対象物の生産、物流及び在庫等の管理に利用することができる。
【0020】
第1の発明に係るフレキシブル読取装置において、フレキシブルアンテナが屈曲又は湾曲されて筒型に形成されている場合、筒型のフレキシブルアンテナの内部が電波照射範囲となり、その内部に存在する又はその内部を通過する対象物を検知することができる。
【0021】
第2の発明に係る読取方法は、RFタグから読み取られた情報が、リーダライタから管理用端末に送信され、対象物に関する有効情報が管理用端末の表示部に表示されるので、管理者は、表示部に表示される有効情報を見るだけで、検知された対象物を簡単に確認することができる。
【0022】
第3の発明に係る読取方法は、複数のアンテナ本体が放射状又は格子状に配置され、各アンテナ本体がRFタグから受信する電波の状況により、対象物の位置が推定されるので、対象物の品出し及び在庫管理等に利用することができる。
【0023】
第4の発明に係る読取方法は、フレキシブルアンテナが屈曲又は湾曲されて、フレキシブルアンテナで囲まれた空間を通過する対象物が検知されるので、工場内を移動する対象物の追跡等に用いることができる。
【0024】
第4の発明に係る読取方法において、複数のフレキシブルアンテナが間隔を空けて配置され、各フレキシブルアンテナがRFタグから受信する電波の状況により、対象物の移動方向が推定される場合、特定箇所への対象物の出入りを監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】(A)は本発明の第1の実施の形態に係るフレキシブル読取装置を示す平面図であり、(B)は(A)のA-A線矢視断面図である。
図2】(A)は同フレキシブル読取装置のフレキシブルアンテナにおけるアンテナ本体を示す説明図であり、(B)は同アンテナ本体の構成を示す部分断面図である。
図3】同フレキシブル読取装置の第1の変形例を示す平面図である。
図4】同フレキシブル読取装置の第2の変形例を示す平面図である。
図5】同フレキシブル読取装置の第3の変形例を示す平面図である。
図6】同フレキシブル読取装置の第4の変形例を示す平面図である。
図7】同フレキシブル読取装置の第5の変形例を示す平面図である。
図8】(A)は本発明の第2の実施の形態に係るフレキシブル読取装置を示す平面図であり、(B)は同フレキシブル読取装置の変形例を示す平面図である。
図9】(A)は本発明の第3の実施の形態に係るフレキシブル読取装置を示す正面斜視図であり、(B)は同フレキシブル読取装置の変形例を示す正面斜視図である。
図10】本発明の第4の実施の形態に係るフレキシブル読取装置を示す正面斜視図である。
図11】(A)は本発明の第5の実施の形態に係るフレキシブル読取装置を示す斜視図であり、(B)は同フレキシブル読取装置の変形例を示す斜視図である。
図12】(A)は本発明の第6の実施の形態に係るフレキシブル読取装置を示す斜視図であり、(B)は同フレキシブル読取装置のフレキシブルアンテナの展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1(A)、(B)に示す本発明の第1の実施の形態に係るフレキシブル読取装置10は、RFタグ(図示せず)との間で電波(電磁波)を送受信する(通信を行う)ことにより、両者の間で情報のやり取り(データの読み取りと書き込み)を行うものであり、RFタグが取付けられた対象物の管理に用いられる。
【0027】
以下、フレキシブル読取装置10の詳細について説明する。
図1(A)、(B)に示すフレキシブル読取装置10は、ケーブル状に形成され可撓性を有しRFタグと交信するための電波を照射する1本のアンテナ本体11を備えた長方形のシート状のフレキシブルアンテナ12と、アンテナ本体11に接続されるリーダライタ13とを有している。
アンテナ本体11は、図2(A)、(B)に示すように、同軸ケーブル15を用いて形成される。なお、図1(A)、(B)と図2(A)、(B)では、説明の便宜上、アンテナ本体11の各部の寸法(太さ、長さ)及び比率が異なっている。同軸ケーブル15は従来公知のものであり、図2(B)に示すように、軟銅線で形成された内部導体(芯線)16、ポリエチレン等の絶縁部材で筒状に形成され内部導体16の外表面を覆う絶縁体17、銅線等の金属線で網状に形成され絶縁体17の外表面を覆う外部導体(編組線)18、及びビニル等の絶縁部材で形成され外部導体18の外表面を覆う外皮(保護被覆)19で構成される。この同軸ケーブル15の太さは、特に限定されるものではないが、例えば、2~20mm程度であり、湾曲させたり、屈曲させたりして使用することができる。なお、外部導体を形成する金属線は、銅線に限定されず、例えば、銅線の表面に錫めっきが施されたものでもよいし、アルミニウム製又は銀製でもよい。
【0028】
図2(A)、(B)に示すように、アンテナ本体11は、同軸ケーブル15の先側(ここでは左側)に形成された素子部20を有している。この素子部20の先側には、同軸ケーブル15から外皮19及び外部導体18が剥離され、又は同軸ケーブル15から内部導体16及び絶縁体17が引っ張り出されることにより、内部導体16の外表面が絶縁体17で覆われた先端部分21が形成されている。そして、素子部20の基側(先端部分21を除く部分)には、絶縁体17の外表面がチューブ等の筒状の絶縁材22で覆われ(被覆され)、さらに絶縁材22の外表面がバラン導体23で覆われ(被覆され)ることにより、バラン部分24が形成されている。
絶縁材22としては、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)又はモノマーキャストナイロン等の合成樹脂が好適に用いられるがこれらに限定されるものではなく、セラミックス等の誘電体が用いられてもよい。
本実施の形態では、絶縁材22の外表面に、バラン導体23として銅テープを巻付けた(貼付けた)が、バラン導体は、導電性を有する金属(例えば、アルミニウム又は銀等)で形成されていれば特に限定されず、テープではなく、絶縁材22に外挿される管体(筒体)でもよい。
【0029】
バラン導体23の基側の端部は導電材25を介して同軸ケーブル15の外部導体18と導通している。導電材25としては、はんだが好適に用いられるが、これに限定されるものではなく、バラン導体23と同軸ケーブル15の外部導体18を導通させるものであればよい。例えば、導電材として、リング状に形成された導電性フィルム又は導電性を有するリング状の金属板を用いて、その内周側及び外周側をそれぞれ外部導体18及びバラン導体23とはんだ付けしてもよいし、導電性接着剤等を用いてもよい。なお、素子部20の基側の端面、つまりバラン部分24(絶縁材22及びバラン導体23)の基側の端面と、同軸ケーブル15の外部導体18及び外皮19の先側の端面は、導電材を介して密着していることが好ましい。
このバラン部分24により、素子部20のアンテナ性能を向上させながら、同軸ケーブル15にアンテナ機能を付与することができ、アンテナ本体11の全長から電波を照射することができる。
素子部20の先端部分21の長さL1は、受信しようとする電波の波長をλとすると、λ/4とするのが一般的であるがこれに限定されるものではなく、適宜、選択される。また、バラン部分24の長さL2は、絶縁材22による波長短縮率及び素子部20のアンテナ性能等を考慮して、適宜、選択される。なお、バラン部分24の絶縁材22を省略して、絶縁体17の外表面をバラン導体23で直接、覆う(被覆する)こともできる。絶縁材22を省略した場合、同軸ケーブル15側への漏洩電流を減少させて、素子部20のアンテナ性能を向上させることができる。
【0030】
アンテナ本体11(同軸ケーブル15)の基側の端部は、図2(A)に示すように、同軸ケーブル製の給電線27を介してリーダライタ13に接続されている。なお、本実施の形態では、アンテナ本体11と給電線27の接続部にコネクタ28が取付けられており、アンテナ本体11が容易に取付け取外し可能な構造となっているが、アンテナ本体11とリーダライタ13を接続する構造は、適宜、選択される。また、アンテナ本体11(同軸ケーブル15)と給電線27との接続部近傍である給電線27の先端部には、同軸ケーブル15を流れる漏洩電流が給電線27へ流れることを阻止するためのフェライトコア29が取付けられている。なお、フェライトコア29は、アンテナ本体11と給電線27との接続部近傍に取付けられればよく、例えば、同軸ケーブル15の基端の端部に取付けられてもよいが、同軸ケーブル15を流れる漏洩電流の大きさによっては省略されてもよい。
【0031】
フレキシブルアンテナ12は、図1(B)に示すように、アンテナ本体11が敷設されるフレキシブルシート30と、フレキシブルシート30に敷設されたアンテナ本体11を覆うフレキシブルカバー31を備えている。
フレキシブルシート30及びフレキシブルカバー31の材質としては、基本的に柔軟性を有する合成樹脂が用いられるが、本実施の形態では、対象物として油汚れが付着する金属製の道工具を想定して、耐衝撃性及び耐油性を有する軟質の塩化ビニルを用いた。なお、フレキシブルシート30及びフレキシブルカバー31は、アンテナ本体11を設置環境(使用環境)から守るためのものであり、対象物の種類及び使用場所等に応じて、耐候性、耐酸性、耐熱性等の様々な性質を有する材質が適宜、選択される。このとき、フレキシブルシート30及びフレキシブルカバー31の材質は同一でも異なっていてもよい。また、フレキシブルカバー31は、フレキシブルシート30全体を覆うものでも、アンテナ本体11のみを覆うものでもよいし、省略されてもよい。さらに、環境的に問題がなければ、フレキシブルシート30及びフレキシブルカバー31の双方を省略してもよい。
【0032】
フレキシブルアンテナ12は全体としてシート状で柔軟性を有するので、使用時以外はスペーサを挟む等してアンテナ本体が損傷しない程度に折り畳んだり、丸めたりして持ち運ぶことや保管することができる。
本実施の形態では、アンテナ本体11がフレキシブルシート30の端から端まで蛇行して敷設されているが、アンテナ本体11の配置パターンはこれに限定されず、適宜、選択される。また、本実施の形態では、アンテナ本体11の全長は3m程度としたが、対象物の大きさ、数とその配置、及びアンテナ本体の出力により、対象物の全てが検知可能なようにアンテナの技術適合の取得範囲内で長さを決めればよく、これに限定されるものではない。
なお、リーダライタ13は従来公知であり、このリーダライタ13からアンテナ本体11に高周波電流が伝送されることにより、アンテナ本体11の周囲に電波(電磁波)が照射される。
【0033】
以下、フレキシブル読取装置10の使用方法に基づいて、フレキシブル読取装置を用いた読取方法について説明する。
使用者は、フレキシブル読取装置10を使用する際には、図1(A)に示すように、フレキシブルアンテナ12を床又はテーブル等の上(接地面)に広げ、その上に管理の対象となる対象物(図示せず)を置く。
対象物には予めRFタグが取付けられており、アンテナ本体11から照射される電波をRFタグが受信することで、予めRFタグに記憶された対象物等に関する情報が電波として返信される。この返信された電波がアンテナ本体11で受信されることにより、RFタグに記憶されていた情報がリーダライタ13で読み取られる。
RFタグは、対象物の適宜の位置にテープ等で貼り付けられ、表面が保護シート等で覆われていることが好ましい。特に対象物が、機械油等で汚れる道工具の場合、灯油で洗ってもRFタグが脱落しないように密封されることが好ましい。また、RFタグとしては、パッシブタイプが好適に用いられるが、対象物の種類によっては、セミパッシブタイプ又はアクティブタイプが用いられる。
【0034】
アンテナ本体11から照射される電波が届く電波照射範囲は、フレキシブルアンテナ12(フレキシブルシート30)の面積よりも広いので、フレキシブルアンテナ12の上に載置された(並べられた)対象物は電波照射範囲に存在することになり、各対象物のRFタグとリーダライタ13の間で確実に電波が送受信される。
フレキシブルアンテナ12(フレキシブルシート30)の寸法及び形状は、適宜、選択されるが、例えば縦(幅)が500~700mm、横(長さ)が1500~2000mmの長方形状とした場合、50個程度の金属製の道工具(例えばハンマー、スパナ、レンチ、ドライバー等)を検知することができる。
なお、フレキシブルアンテナ12には裏表はなく、どちらの面に対象物を置いてもよい。
【0035】
リーダライタ13には有線又は無線で管理用端末(図示せず)が接続され、管理用端末からの指示でフレキシブル読取装置10を操作することができる。管理用端末としては、ノートパソコン又はスマートフォン等が好適に用いられるが、これらに限定されるものではない。管理用端末に所定のプログラム(ソフトウェア又はアプリ)がインストールされて実行されることにより、そのプログラムに基づいて、様々な動作(処理)が行われる。RFタグに記憶され、RFタグから読み取られた情報(データ)は、リーダライタ13から管理用端末に送信され、保存される。管理用端末では受信したデータを用いて、対象物の数を集計すること及び予め記憶されたデータベースと比較して対象物の不足を確認すること等が可能である。また、フレキシブル読取装置10で検知された対象物の画像(対象物に関する有効情報の一例)が管理用端末の表示部に表示されるようにすれば、作業者は、検知された対象物を目視で簡単に確認することができ、不足している対象物を直ちに把握することができる。例えば、対象物が道工具の場合、作業者は、その道工具を使用した場所及びその道工具を置き忘れた可能性が高い場所等を探して、道工具の紛失及び置き忘れを防止することができる。また、リーダライタ13の動作状況等が管理用端末に送信され保存されることにより、そのデータから、動作不良等の不具合が発生していないか確認したり、不具合の発生原因を調べたりすることもできる。
【0036】
次に、第1の実施の形態に係るフレキシブル読取装置の変形例について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図3に示す第1の変形例のフレキシブル読取装置10Aがフレキシブル読取装置10と異なる点は、フレキシブルアンテナ12Aがフレキシブルアンテナ12よりも細く(例えば縦寸法(幅)が半分程度に)形成され、アンテナ本体11が一度だけ折り返されて略U字状に配置されている点である。
図4に示す第2の変形例のフレキシブル読取装置10Bがフレキシブル読取装置10Aと異なる点は、フレキシブルアンテナ12Bがフレキシブルアンテナ12Aよりも更に細く長尺(例えば縦寸法(幅)が1/10~1/2程度で横寸法(長さ)が2倍程度)に形成され、アンテナ本体11が一文字状に配置されている点である。
図5に示す第3の変形例のフレキシブル読取装置10Cがフレキシブル読取装置10Bと異なる点は、フレキシブルアンテナ12Cがフレキシブルアンテナ12Bよりも更に長尺(例えば横寸法(長さ)が2倍程度)に形成されており、中央部に配置されたリーダライタ13から左右に1本ずつ計2本のアンテナ本体11が一直線状に配置されている点である。
図6に示す第4の変形例のフレキシブル読取装置10Dがフレキシブル読取装置10Cと異なる点は、2つの長尺のフレキシブルアンテナ12Cが、リーダライタ13を挟んで向かい合わせに(並列に)配置されている点である。
図7に示す第5の変形例のフレキシブル読取装置10Eがフレキシブル読取装置10Bと異なる点は、1つのリーダライタ13に8つのフレキシブルアンテナ12Bが取付けられている点である。なお、各フレキシブルアンテナ12Bの横寸法(長さ)、フレキシブルアンテナ12Bの数及び配置は適宜、選択される。また、フレキシブルアンテナ12Bの代わりに、フレキシブルアンテナ12Aを用いてもよい。
フレキシブル読取装置10~10Eは、対象物の形状、大きさ及び数等に応じて、適宜、選択されて使用される。
【0037】
次に、図8(A)に示す本発明の第2の実施の形態に係るフレキシブル読取装置33について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
フレキシブル読取装置33がフレキシブル読取装置10と異なる点は、フレキシブルアンテナ34を構成する複数(ここでは4本)のアンテナ本体11a~11dが、リーダライタ13を中心に放射状(ここでは十字状)に配置されている点である。このフレキシブル読取装置33を用いた読取方法では、各アンテナ本体11a~11dが対象物(ここでは金槌)35に取付けられたRFタグ36から受信する電波の状況により、対象物35の位置が推定される。図8(A)では、4本のアンテナ本体11a~11dの中から順次1本を選択して時間差を設けて電波を照射すると、アンテナ本体11a及びアンテナ本体11bがRFタグ36から受信する電波が強く、アンテナ本体11c及びアンテナ本体11dでは電波を受信しないか又は受信する電波が弱い。従って、対象物35がアンテナ本体11aとアンテナ本体11bで挟まれた領域に存在することが推定される。
【0038】
フレキシブルアンテナ34としてケーブル状のアンテナ本体11a~11dを直接、床やテーブル等の接地面上に載置する代わりに、仮想線で示したように1枚のフレキシブルシート30上に敷設して使用してもよい。このとき、アンテナ本体11a~11dは、フレキシブルシート30に固定されてもよいし、固定されなくてもよい。また、フレキシブル読取装置10のフレキシブルアンテナ12と同様に、アンテナ本体11a~11dがフレキシブルシート30とフレキシブルカバー31で挟まれた構造としてもよい。さらに、複数のアンテナ本体11a~11dで構成されるフレキシブルアンテナ34の代わりに、複数のフレキシブルアンテナ12A又はフレキシブルアンテナ12Bを放射状に配置し、それぞれのアンテナ本体11をリーダライタ13に接続してもよい。
なお、アンテナ本体が放射状に配置される場合、アンテナ本体の数及び配置は適宜、選択され、アンテナ本体の数が増えるにつれ、対象物の存在する領域が狭い範囲で正確に特定される。例えば、図8(B)に示す変形例のフレキシブル読取装置33Aでは、フレキシブルアンテナ34Aを構成する8本のアンテナ本体11a~11hが放射状に配置されることにより、対象物35が存在すると推定される領域(アンテナ本体11dとアンテナ本体11hで挟まれた領域)の面積は、フレキシブル読取装置33の半分以下になる。
【0039】
次に、図9(A)に示す本発明の第3の実施の形態に係るフレキシブル読取装置38について説明する。なお、第1、第2の実施の形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
フレキシブル読取装置38がフレキシブル読取装置10と異なる点は、フレキシブルアンテナ39が、床やテーブル等の接地面上に載置される代わりに、対象物が収容される棚40の裏側に配置されている点である。本実施の形態では、フレキシブルアンテナ39は2本のアンテナ本体11で構成されており、収容部41が2列4段に並んだ棚40の各列に対応してアンテナ本体11が1本ずつ棚40の高さ方向に沿って配置されている。この場合、各収容部41に収容される対象物の位置を個別に検知することはできないが、各列の4段の収容部41に収容される対象物をまとめて検知することができる。これにより、各収容部41に収容される対象物の数を列単位で集計することができる。
本実施の形態では、アンテナ本体11を棚40の各列に対応させて配置したが、各段に対応させて配置してもよい。なお、フレキシブルアンテナ39は、アンテナ本体11が敷設されるフレキシブルシートを備えていてもよいし、それに加えてアンテナ本体11を覆うフレキシブルカバーを備えていてもよい。このとき、フレキシブルシート及びフレキシブルカバーは、2本のアンテナ本体11に共通していてもよいし、アンテナ本体11毎に独立していてもよい。また、複数のアンテナ本体11で構成されるフレキシブルアンテナ39の代わりに、複数のフレキシブルアンテナ12B又はフレキシブルアンテナ12Cを棚40の各列又は各段に対応させて配置し、それぞれのアンテナ本体11をリーダライタ13に接続してもよい。
【0040】
次に、第3の実施の形態に係るフレキシブル読取装置の変形例について説明する。
図9(B)に示す変形例のフレキシブル読取装置38Aがフレキシブル読取装置38と異なる点は、フレキシブルアンテナ39Aを構成する複数のアンテナ本体11が、棚40Aの各列(ここでは4列)及び各段(ここでは5段)に対応して格子状(縦横)に配置されている点である。このフレキシブル読取装置39Aを用いた読取方法では、各列に対応するアンテナ本体11で受信する電波の状況と、各段に対応するアンテナ本体11で受信する電波の状況との組合せから、各収容部41に収容されている対象物を特定すること(対象物がどの収容部41に収容されているか特定すること)ができる。なお、棚の列及び段の数は特に限定されるものではなく、適宜、選択され、それに対応して、アンテナ本体も配置される。
【0041】
次に、図10に示す本発明の第4の実施の形態に係るフレキシブル読取装置43について説明する。なお、第1~第3の実施の形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
フレキシブル読取装置43がフレキシブル読取装置10と異なる点は、フレキシブルアンテナ44が屈曲されて、フレキシブルアンテナ44で囲まれた空間45が形成されている点である。
フレキシブル読取装置43では、フレキシブルアンテナ44で囲まれた空間45が電波照射範囲となり、このフレキシブル読取装置43を用いた読取方法では、フレキシブルアンテナ44で囲まれた空間45(=電波照射範囲)を通過する対象物を検知することができる。
従って、例えば仮想線で示したように、ベルトコンベアのベルト46がフレキシブルアンテナ44で囲まれた空間45を通過するように配置されていれば、ベルト46上に載置されて搬送される対象物(図示せず)の数を計数することや各対象物がベルトコンベアで搬送されたか否かを確認することができ、工場での生産管理及び出荷管理等に利用することができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、フレキシブルアンテナ44が2本のアンテナ本体11で構成されており、2本のアンテナ本体11がそれぞれU字状に屈曲されて、その開口部同士が向き合うように対向して配置されることにより正面視して四角形状の空間45が形成されているが、アンテナ本体の長さ及び対象物の大きさによっては、1本のアンテナ本体のみで構成されるフレキシブルアンテナが屈曲又は湾曲されてフレキシブルアンテナで囲まれた空間が形成されてもよい。また、フレキシブルアンテナで囲まれる空間は対象物が通過することができればよく、その形状は適宜、選択される。例えばフレキシブルアンテナが湾曲されることにより、正面視して半円形状又は円形状の空間が形成されてもよい。
また、フレキシブルアンテナ44の代わりに、フレキシブルアンテナ12B又はフレキシブルアンテナ12Cが用いられてもよい。
【0043】
次に、図11(A)に示す本発明の第5の実施の形態に係るフレキシブル読取装置48について説明する。なお、第1~第4の実施の形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
フレキシブル読取装置48がフレキシブル読取装置43と異なる点は、それぞれ屈曲されて環状に形成された2つのフレキシブルアンテナ49a、49bが間隔を空けて配置されている点である。このとき、フレキシブルアンテナ49aとフレキシブルアンテナ49bとの間隔は、互いの電波が干渉しない十分に離れた距離となっている。
これにより、各フレキシブルアンテナ49a、49bで囲まれた空間50a、50bが形成され、それぞれの空間50a、50bを通過する対象物が検知される。
従って、フレキシブル読取装置48を用いた読取方法では、各フレキシブルアンテナ49a、49bがRFタグから受信する電波の状況により、対象物の移動方向が推定される。つまり、フレキシブルアンテナ49a、49bのどちらが先に対象物を検知したのかにより、対象物が空間50a側から空間50b側に移動したのか、空間50b側から空間50a側に移動したのかを知ることができる。
例えば、仮想線で示すような通路51の内周面に沿うようにフレキシブルアンテナ49a、49bを屈曲させて配置することにより、通路51を通過する人又は物品等を対象物として、その出入りを監視することができる。また、フレキシブルアンテナの数を増やして対象物の移動経路に沿って所定間隔で配置し、対象物の移動状況を追跡することもできる。
【0044】
なお、本実施の形態では、それぞれが1本のアンテナ本体11で構成されたフレキシブルアンテナ49a、49bを用いたが、フレキシブル読取装置43と同様の2本のアンテナ本体11で構成されたフレキシブルアンテナ44を用いてもよいし、フレキシブルアンテナ12B又はフレキシブルアンテナ12Cを屈曲させて用いてもよい。
また、図11(B)に示す変形例のフレキシブル読取装置48Aのように、それぞれが2本のアンテナ本体11で構成されたフレキシブルアンテナ53a、53bを用いれば、フレキシブルアンテナ49a、49bよりも大きな空間54a、54bを囲むことができ、例えば工場等の建物55の中を移動するリフトカー等の大型の対象物にも対応できる。なお、フレキシブルアンテナ53a、53bの代わりに、フレキシブルアンテナ12Cを屈曲させて用いてもよい。また、フレキシブル読取装置48Aの代わりにフレキシブル読取装置10Dを用いても同様の作用、効果が得られる。
【0045】
次に、図12(A)、(B)に示す本発明の第6の実施の形態に係るフレキシブル読取装置58について説明する。なお、第1~第5の実施の形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
フレキシブル読取装置58がフレキシブル読取装置10と異なる点は、初期状態でシート状に形成されたフレキシブルアンテナ59が湾曲されて断面円形の筒型に形成されている点である。
これにより、筒型のフレキシブルアンテナ59の内部が電波照射範囲となり、その内部に存在する又はその内部を通過する対象物を検知することができる。
本実施の形態では、筒型のフレキシブルシート30の外周に、2本のアンテナ本体11が螺旋状に配置されてフレキシブルアンテナ59が構成されているが、アンテナ本体の数、長さ及び配置は、適宜、選択される。例えば、筒型のフレキシブルアンテナの全長が短ければアンテナ本体は1本でもよいし、アンテナ本体を螺旋状に配置する代わりに筒型のフレキシブルシートの長手方向に沿って複数のアンテナ本体を平行に配置してもよい。
また、本実施の形態では、フレキシブルアンテナが湾曲されて断面円形の筒型に形成されているが、断面形状は特に限定されるものではなく、フレキシブルアンテナが屈曲されて断面四角形の筒型に形成されてもよい。また、本実施の形態では、フレキシブルカバーが省略されているが、フレキシブルアンテナ12と同様に、アンテナ本体がフレキシブルシートとフレキシブルカバーで挟まれていてもよい。
【0046】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
例えば、フレキシブル読取装置(フレキシブルアンテナ)とRFタグとの通信にはUHF帯(特に920MHz)が好適に用いられるが、これに限定されるものではなく、従来公知の周波数帯を用いることができ、RFタグの仕様等に応じて、適宜、選択される。
フレキシブルシート及びフレキシブルカバーの材質としては、フレキシブル読取装置の通信感度に影響を与えないものが適宜、選択され、フレキシブル読取装置の使用環境及び対象物の種類等に応じて、例えば塩化ビニル以外のポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)等の合成樹脂が用いられてもよいが、これらに限定されるものではない。
また、フレキシブル読取装置の使用時に、アルミニウム等で形成された反射材(遮蔽材)を設置して特定の方向の電波の照射範囲を制限したり、特定の範囲に電波を集中させたりしてもよい。例えば、シート状のフレキシブルアンテナの裏面側(対象物が存在しない側)にシート状の反射材を重ねて、フレキシブルアンテナの裏面側から逃げる電波を減らし、対象物に集中的に電波が照射されるようにしてもよい。また、シート状のフレキシブルアンテナの上に対象物を載置した後、反射材で形成されたカバー又は内面に反射材が貼着されたカバーを上から被せてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10、10A~10E:フレキシブル読取装置、11、11a~11h:アンテナ本体、12、12A、12B、12C:フレキシブルアンテナ、13:リーダライタ、15:同軸ケーブル、16:内部導体、17:絶縁体、18:外部導体、19:外皮、20:素子部、21:先端部分、22:絶縁材、23:バラン導体、24:バラン部分、25:導電材、27:給電線、28:コネクタ、29:フェライトコア、30:フレキシブルシート、31:フレキシブルカバー、33、33A:フレキシブル読取装置、34、34A:フレキシブルアンテナ、35:対象物、36:RFタグ、38、38A:フレキシブル読取装置、39、39A:フレキシブルアンテナ、40、40A:棚、41:収容部、43:フレキシブル読取装置、44:フレキシブルアンテナ、45:空間、46:ベルト、48、48A:フレキシブル読取装置、49a、49b:フレキシブルアンテナ、50a、50b:空間、51:通路、53a、53b:フレキシブルアンテナ、54a、54b:空間、55:建物、58:フレキシブル読取装置、59:フレキシブルアンテナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12