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特開2024-30034計算装置、リスク評価システム、リスク評価方法、およびリスク評価プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030034
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】計算装置、リスク評価システム、リスク評価方法、およびリスク評価プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240229BHJP
   B65F 1/14 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G06Q50/10
B65F1/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132577
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】510087564
【氏名又は名称】積水マテリアルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】伝田 直人
(72)【発明者】
【氏名】諸田 敦
【テーマコード(参考)】
3E023
5L049
【Fターム(参考)】
3E023AA14
3E023AA20
3E023LA10
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】放置された収容物が海洋流出するリスクを低減する。
【解決手段】計算装置(1)は、収容容器の外に収容物が放置される可能性の高さを示す放置リスク指数を取得する放置リスク指数取得部(102)と、放置された収容物が海洋に到達する可能性の高さを示す地理的リスク指数を取得する地理的リスク指数取得部(103)と、放置リスク指数と地理的リスク指数とに基づき海洋流出リスク指数を算出する海洋流出リスク指数算出部(104)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の収容物を収容する収容容器が満杯になって当該収容容器の外に前記収容物が放置される可能性の高さを示す放置リスク指数を取得する放置リスク指数取得部と、
前記収容容器が設置されている地点の位置情報に基づいて算出された、当該地点に放置された前記収容物が海洋に到達する可能性の高さを示す地理的リスク指数を取得する地理的リスク指数取得部と、
前記放置リスク指数と前記地理的リスク指数とに基づき、前記収容容器の外に前記収容物が放置されて海洋に流出する可能性の高さを示す海洋流出リスク指数を算出する海洋流出リスク指数算出部と、を備える計算装置。
【請求項2】
前記放置リスク指数取得部は、前記収容容器に取り付けられた、当該収容容器に収容されている前記収容物の量を検知する検知装置の検知結果に基づいて前記放置リスク指数を算出する、請求項1に記載の計算装置。
【請求項3】
前記海洋流出リスク指数に基づき、前記収容容器から前記収容物を回収する優先度を示す回収優先度情報を出力装置に出力させる出力制御部を備える、請求項1または2に記載の計算装置。
【請求項4】
前記出力装置は、表示装置であり、
前記出力制御部は、前記収容容器が設置されている地点を含む地図の画像を前記表示装置に表示させると共に、前記回収優先度情報を当該地図の前記地点に重畳表示させる、請求項3に記載の計算装置。
【請求項5】
前記出力制御部は、前記地図の画像上に、前記収容容器から前記収容物を回収する優先度に応じた表示態様で、前記地点に前記回収優先度情報を表示させる、請求項4に記載の計算装置。
【請求項6】
前記収容容器に取り付けられた、当該収容容器に収容されている前記収容物の量を検知する検知装置の検知結果に基づき、当該収容容器に収容されている前記収容物の量が、前記海洋流出リスク指数に応じた上限収容量に達したことを検出する上限到達検出部を備える、請求項1または2に記載の計算装置。
【請求項7】
前記収容物は、プラスチックごみである、請求項1または2に記載の計算装置。
【請求項8】
複数の前記収容容器のそれぞれについて算出された前記海洋流出リスク指数に基づいて、複数の当該収容容器から前記収容物を回収する回収ルートを生成するルート生成部を備える、請求項1または2に記載の計算装置。
【請求項9】
前記海洋流出リスク指数に基づき、前記収容容器に収容されている前記収容物の量を検知する検知装置を、当該収容容器または当該収容容器が設置されている地域の他の収容容器に取り付ける優先度を示す取付優先度情報を出力装置に出力させる出力制御部を備える、請求項1または2に記載の計算装置。
【請求項10】
前記海洋流出リスク指数に基づき、前記収容容器または当該収容容器が設置されている地域の他の収容容器をより収容容量の大きいものに交換する優先度を示す交換優先度情報を出力装置に出力させる出力制御部を備える、請求項1または2に記載の計算装置。
【請求項11】
複数の地点に設置されている複数の収容容器のそれぞれに設けられた、当該収容容器に収容されている収容物の量を検知する検知装置と、
前記検知装置の検知結果を用いて算出された、前記収容容器が満杯になって当該収容容器の外に前記収容物が放置される可能性の高さを示す放置リスク指数と、複数の前記地点に放置された前記収容物が海洋に到達する可能性の高さを示す地理的リスク指数とに基づき、複数の前記収容容器のそれぞれについて、当該収容容器の外に前記収容物が放置されて海洋に流出する可能性の高さを示す海洋流出リスク指数を算出する計算装置と、を含むリスク評価システム。
【請求項12】
1または複数のプロセッサが実行するリスク評価方法であって、
所定の収容物を収容する収容容器が満杯になって当該収容容器の外に前記収容物が放置される可能性の高さを示す放置リスク指数を取得する放置リスク指数取得ステップと、
前記収容容器が設置されている地点の位置情報に基づいて算出された、当該地点に放置された前記収容物が海洋に到達する可能性の高さを示す地理的リスク指数を取得する地理的リスク指数取得ステップと、
前記放置リスク指数と前記地理的リスク指数とに基づき、前記収容容器の外に前記収容物が放置されて海洋に流出する可能性の高さを示す海洋流出リスク指数を算出する海洋流出リスク指数算出ステップと、を含むリスク評価方法。
【請求項13】
請求項1に記載の計算装置としてコンピュータを機能させるためのリスク評価プログラムであって、前記放置リスク指数取得部、前記地理的リスク指数取得部、および前記海洋流出リスク指数算出部としてコンピュータを機能させるためのリスク評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容物を収容する収容容器の管理あるいは監視を行うシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ごみ箱に収容されているごみの量を自動で検知するごみ箱の監視システムが従来技術として知られている。例えば、下記の特許文献1には、ごみが所定の高さまで蓄積されたことを検知するごみ検知センサと、ごみ検知センサによる検知情報を取得してごみの蓄積状態を監視する監視装置と、監視装置が送信する信号に基づいてごみの蓄積状態を通報する通報装置とを備えるごみ箱監視システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-206333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、プラスチックをはじめとした各種投棄物による海洋汚染が社会的課題として広く認知されつつある。しかしながら、上記従来の技術では、投棄物の海洋流出について何ら考慮されておらず、この点において改良の余地がある。
【0005】
本発明の一態様は、ごみ箱やリサイクルボックス等の各種収容容器の周囲に放置された収容物が海洋流出するリスクを低減することを可能にする計算装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る計算装置は、所定の収容物を収容する収容容器が満杯になって当該収容容器の外に前記収容物が放置される可能性の高さを示す放置リスク指数を取得する放置リスク指数取得部と、前記収容容器が設置されている地点の位置情報に基づいて算出された、当該地点に放置された前記収容物が海洋に到達する可能性の高さを示す地理的リスク指数を取得する地理的リスク指数取得部と、前記放置リスク指数と前記地理的リスク指数とに基づき、前記収容容器の外に前記収容物が放置されて海洋に流出する可能性の高さを示す海洋流出リスク指数を算出する海洋流出リスク指数算出部と、を備える。
【0007】
また、本発明の一態様に係るリスク評価システムは、上記の課題を解決するために、複数の地点に設置されている複数の収容容器のそれぞれに設けられた、当該収容容器に収容されている収容物の量を検知する検知装置と、前記検知装置の検知結果を用いて算出された、前記収容容器が満杯になって当該収容容器の外に前記収容物が放置される可能性の高さを示す放置リスク指数と、複数の前記地点に放置された前記収容物が海洋に到達する可能性の高さを示す地理的リスク指数とに基づき、複数の前記収容容器のそれぞれについて、当該収容容器の外に前記収容物が放置されて海洋に流出する可能性の高さを示す海洋流出リスク指数を算出する計算装置と、を含む。
【0008】
また、本発明の一態様に係るリスク評価方法は、上記の課題を解決するために、1または複数のプロセッサが実行するリスク評価方法であって、所定の収容物を収容する収容容器が満杯になって当該収容容器の外に前記収容物が放置される可能性の高さを示す放置リスク指数を取得する放置リスク指数取得ステップと、前記収容容器が設置されている地点の位置情報に基づいて算出された、当該地点に放置された前記収容物が海洋に到達する可能性の高さを示す地理的リスク指数を取得する地理的リスク指数取得ステップと、前記放置リスク指数と前記地理的リスク指数とに基づき、前記収容容器の外に前記収容物が放置されて海洋に流出する可能性の高さを示す海洋流出リスク指数を算出する海洋流出リスク指数算出ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、収容容器の周囲に放置された収容物が海洋流出するリスクを低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る計算装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
図2】上記計算装置を含むリスク評価システムの構成例を示す図である。
図3】ペットボトルが放置され、海洋に到達するまでの経緯を示す図である。
図4】地図上に回収優先度情報を表示させた例を示す図である。
図5】上記計算装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図6】地図上に取付優先度情報を表示させた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
(システム構成)
本実施形態に係るリスク評価システム9の構成を図2に基づいて説明する。図2は、リスク評価システム9の構成例を示す図である。図示のように、リスク評価システム9は、計算装置1、検知装置2、中継器3、情報処理装置4、ディスプレイ5、および端末装置6を含む。また、図2には、所定の収容物を収容する収容容器B1~B3についても示している。なお、収容容器B1~B3はそれぞれ離れた地点に設置されている。以下では、収容容器B1~B3のそれぞれを区別する必要がないときには単に「収容容器B」と表記する。
【0012】
リスク評価システム9は、収容容器Bの外に収容物が放置されて海洋に流出する可能性の高さを示す海洋流出リスク指数を算出する機能を有している。収容容器Bの収容物は、海洋流出させたくないものとすればよい。例えば、収容容器Bの収容物は、海洋汚染の原因となる各種の廃棄物であってもよい。当該廃棄物の具体例としては、例えば、ペットボトル等のプラスチックごみや、アルミ缶等の金属ごみが挙げられる。収容容器Bは、上記のような収容物を収容するものであればよく、例えばごみ箱と呼ばれるものであってもよいし、リサイクル回収ボックスと呼ばれるものであってもよい。
【0013】
ここで、近時、マイクロプラスチックによる海洋汚染が問題となっている。このため、収容容器Bの収容物はプラスチックごみであってもよい。収容容器Bの収容物がプラスチックごみである場合、リスク評価システム9(特に計算装置1)によれば、マイクロプラスチックによる海洋汚染問題の解決に寄与することができる。これは、マイクロプラスチックによる海洋汚染の原因となるプラスチックごみの海洋流出リスクを的確に表した海洋流出リスク指数を算出することにより、算出された値に応じた適切な措置を講じてプラスチックごみの海洋流出リスクを低減することが可能になるためである。
【0014】
検知装置2は、複数の地点に設置されている収容容器B1~B3のそれぞれに設けられている。そして、検知装置2は、収容容器B1~B3に収容されている収容物の量を検知する。検知装置2は、収容物の量を検知できるものであればよい。例えば、検知装置2は、光センサ(典型的には赤外線センサであるが他の波長の光を用いるものであってもよい)、超音波センサ、重量センサ、およびイメージセンサの何れかであってもよい。また、検知装置2は、複数のセンサを備えたセンサユニットであってもよい。この場合、各センサの検知方式を異なるものとすることにより、あるセンサの検知結果の信頼性が低い場合に、他のセンサの検知結果を利用する等が可能になり、収容物の量を正確に、また安定して検知することが可能になる。
【0015】
なお、図2には、検知装置2が収容容器Bの内側上面に取り付けられている様子を示しているが、取り付け位置は収容物の量を検知できるような位置であればよい。例えば、収容容器Bの内側側面や、蓋付きの収容容器であればその蓋の内面等に検知装置2を取り付けてもよい。
【0016】
中継器3は、検知装置2と計算装置1との間における通信を中継する装置である。図示のように、1つの中継器3により、複数の検知装置2と計算装置1との間における通信を中継することができる。
【0017】
なお、中継器3を設けることなく、検知装置2と計算装置1とが直接通信する構成とすることも可能である。ただし、中継器3を設けることにより、検知装置2の通信距離を短くして検知装置2の消費電力を抑えることができるという利点があるため、検知装置2の消費電力を抑えたい場合には中継器3を設けることが好ましい。
【0018】
計算装置1は、中継器3を介して検知装置2の検知結果を取得し、当該検知結果を用いて算出された、収容容器B1~B3が満杯になって収容容器B1~B3の外に収容物が放置される可能性の高さを示す放置リスク指数と、各地点に放置された収容物が海洋に到達する可能性の高さを示す地理的リスク指数とに基づき、収容容器B1~B3のそれぞれについて、収容容器B1~B3の外に収容物が放置されて海洋に流出する可能性の高さを示す海洋流出リスク指数を算出する。
【0019】
情報処理装置4およびディスプレイ5と、端末装置6は、何れもリスク評価システム9のユーザが使用する装置である。より詳細には、情報処理装置4は例えばパーソナルコンピュータであり、端末装置6は例えばスマートフォンである。これらの装置は、収容容器Bに収容されている収容物の量や海洋流出リスク指数等の各種情報の確認に用いられる。無論、各種情報の確認に使用する装置は任意であり、図示の例に限られない。
【0020】
以上のように、リスク評価システム9は、複数の地点に設置されている収容容器B1~B3のそれぞれに設けられた、収容容器B1~B3に収容されている収容物の量を検知する検知装置2と、検知装置2の検知結果を用いて算出された、収容容器B1~B3が満杯になって収容容器B1~B3の外に収容物が放置される可能性の高さを示す放置リスク指数と、各地点に放置された収容物が海洋に到達する可能性の高さを示す地理的リスク指数とに基づき、収容容器B1~B3のそれぞれについて、収容容器B1~B3の外に収容物が放置されて海洋に流出する可能性の高さを示す海洋流出リスク指数を算出する計算装置1と、を含む。
【0021】
頻繁に収容物が投入され、その周囲に収容物が放置される可能性が高い収容容器Bであっても、その設置地点が河川や海から離れていれば、その収容容器B周辺からの収容物の海洋流出リスクは低いと考えられる。また、設置地点が河川や海から近い収容容器Bであっても、周囲に収容物が放置される可能性が低ければ、海洋流出リスクは低いと考えられる。このように、周囲に収容物が放置される可能性のみ、あるいは設置地点の河川や海からの距離のみからは、海洋流出リスクを適切に評価することは難しい。
【0022】
そこで、上記の構成によれば、収容容器Bが満杯になって当該収容容器Bの外に収容物が放置される可能性の高さを示す放置リスク指数と、当該収容容器Bが設置されている地点に放置された収容物が海洋に到達する可能性の高さを示す地理的リスク指数とを算出する。そして、放置リスク指数と地理的リスク指数の両方に基づいて海洋流出リスク指数を算出する。これにより、収容容器Bから収容物が海洋流出するリスクを的確に表した海洋流出リスク指数を算出することができる。
【0023】
そして、収容容器Bから収容物が海洋流出するリスクを的確に表した海洋流出リスク指数を算出することにより、リスクに応じた適切な措置を講じて収容容器Bから収容物が海洋流出するリスクを低減することが可能になる。
【0024】
このような効果は、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標14「海洋と海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」等の達成にも貢献するものである。
【0025】
(装置構成)
図1に基づいて計算装置1の構成を説明する。図1は、計算装置1の要部構成の一例を示すブロック図である。図示のように、計算装置1は、計算装置1の各部を統括して制御する制御部10と、計算装置1が使用する各種データを記憶する記憶部11を備えている。また、計算装置1は、計算装置1が他の装置と通信するための通信部12、計算装置1に対する各種データの入力を受け付ける入力部13、および計算装置1が各種データを出力するための出力部14を備えている。
【0026】
また、制御部10には、検知結果取得部101、放置リスク指数取得部102、地理的リスク指数取得部103、海洋流出リスク指数算出部104、出力制御部105、ルート生成部106、および上限到達検出部107が含まれている。なお、放置リスク指数取得部102、地理的リスク指数取得部103、および海洋流出リスク指数算出部104以外は必須の構成ではない。
【0027】
検知結果取得部101は、検知装置2の検知結果を取得する。ここで検知結果とは、収容容器Bに収容されている収容物の量を示す情報である。例えば、検知装置2が超音波センサや赤外線センサである場合、検知結果はそれらのセンサの時系列の検出値であってもよい。検知結果取得部101は、検知装置2から検知結果を取得してもよいし、他の装置を介して当該検知結果を取得してもよい。また、例えば、計算装置1のユーザが入力部13を介して検知装置2の検知結果を入力してもよく、この場合、検知結果取得部101は、入力された検知結果を取得すればよい。
【0028】
放置リスク指数取得部102は、収容容器Bが満杯になって当該収容容器Bの外に収容物が放置される可能性の高さを示す放置リスク指数を取得する。詳細は後述するが、放置リスク指数取得部102は、放置リスク指数を算出してもよい。また、放置リスク指数取得部102は、他の装置で算出された放置リスク指数を当該他の装置から取得してもよいし、ユーザが入力する放置リスク指数を取得してもよい。
【0029】
地理的リスク指数取得部103は、収容容器Bが設置されている地点の位置情報に基づいて算出された、当該地点に放置された収容物が海洋に到達する可能性の高さを示す地理的リスク指数を取得する。詳細は後述するが、地理的リスク指数取得部103は、地理的リスク指数を算出してもよい。また、地理的リスク指数取得部103は、他の装置で算出された地理的リスク指数を当該他の装置から取得してもよいし、ユーザが入力する地理的リスク指数を取得してもよい。
【0030】
海洋流出リスク指数算出部104は、放置リスク指数取得部102が取得する放置リスク指数と地理的リスク指数取得部103が取得する地理的リスク指数とに基づき、収容容器Bの外に収容物が放置されて海洋に流出する可能性の高さを示す海洋流出リスク指数を算出する。
【0031】
出力制御部105は、海洋流出リスク指数算出部104が算出する海洋流出リスク指数に基づき、収容容器Bから収容物を回収する優先度を示す回収優先度情報を出力装置に出力させる。これにより、回収優先度情報をユーザに認識させ、海洋流出のリスクが高い収容容器から優先的に収容物を回収させて、収容物が海洋流出するリスクを低減することができる。
【0032】
回収優先度情報は、回収優先度をユーザが認識できるようなものであればよく、例えば数値であってもよいし、画像であってもよいし、文章等の文字情報であってもよい。海洋流出リスク指数が高い収容容器Bほど、当該収容容器Bからの回収の優先度は高いといえるから、出力制御部105は、海洋流出リスク指数をそのまま回収優先度情報として出力装置に出力させてもよい。また、出力制御部105は、海洋流出リスク指数を用いて回収優先度情報を生成し、生成した回収優先度情報を出力装置に出力させてもよい。例えば、出力制御部105は、海洋流出リスク指数に応じて3段階の回収優先度情報(優先度高、中、低)を生成して出力装置に出力させてもよい。
【0033】
なお、出力装置は、計算装置1が備えているものであってもよいし、計算装置1の外部の装置であってもよい。例えば、出力制御部105は、出力部14に回収優先度情報を出力させてもよい。また、出力の態様は出力された情報をユーザが認識できるようなものであればよく、例えば表示出力であっても、印字出力であっても、音声出力であってもよい。
【0034】
ルート生成部106は、複数の収容容器Bのそれぞれについて算出された海洋流出リスク指数に基づいて、複数の当該収容容器Bから収容物を回収する回収ルートを生成する。これにより、収容物が海洋流出するリスクを最小化するような回収ルートを生成して、収容物が海洋流出するリスクを低減することが可能になる。
【0035】
回収ルートの生成方法は特に限定されない。例えば、ルート生成部106は、海洋流出リスク指数が高い順に回収が行われるように回収ルートを生成してもよい。また、例えば、ルート生成部106は、回収ルートの評価関数(海洋流出リスク指数が高い収容容器Bの回収が先に行われているほど評価値が高くなり、また、ルートの全長が短くなるほど評価値が高くなるように設計された関数)を用いて回収ルートを生成してもよい。
【0036】
上限到達検出部107は、収容容器Bに取り付けられた、当該収容容器Bに収容されている収容物の量を検知する検知装置2の検知結果に基づき、当該収容容器Bに収容されている収容物の量が、海洋流出リスク指数に応じた上限収容量に達したことを検出する。これにより、収容物の量が上限収容量に達したことを検出するので、この検出をトリガとして収容物を回収することにより、収容容器Bが満杯になる前に収容物を回収することが可能になる。また、上限収容量は、算出された海洋流出リスク指数に応じたものであるから、収容物が海洋流出するリスクを考慮した適切なタイミングで収容物を回収することが可能になる。
【0037】
例えば、上限到達検出部107は、海洋流出リスク指数の数値範囲に応じて予め定められた3種類の上限収容量の何れかを適用して上記の検出を行ってもよい。具体例を挙げれば、上限到達検出部107は、海洋流出リスク指数が第1の閾値を超えている場合には最大収容量の70%を上限収容量とし、海洋流出リスク指数が第1の閾値未満、第2の閾値(第1の閾値>第2の閾値)以上であれば最大収容量の80%を上限収容量とし、海洋流出リスク指数が第2の閾値未満であれば最大収容量の90%を上限収容量としてもよい。
【0038】
以上のように、計算装置1は、所定の収容物を収容する収容容器Bが満杯になって当該収容容器Bの外に収容物が放置される可能性の高さを示す放置リスク指数を取得する放置リスク指数取得部102と、収容容器Bが設置されている地点の位置情報に基づいて算出された、当該地点に放置された収容物が海洋に到達する可能性の高さを示す地理的リスク指数を取得する地理的リスク指数取得部103と、放置リスク指数と地理的リスク指数とに基づき、収容容器Bの外に収容物が放置されて海洋に流出する可能性の高さを示す海洋流出リスク指数を算出する海洋流出リスク指数算出部104と、を備えている。よって、収容容器Bの周囲に放置された収容物が海洋流出するリスクを低減することが可能になる。
【0039】
(各指数の算出方法)
図3に基づいて上述した各指数、すなわち放置リスク指数、地理的リスク指数、および海洋流出リスク指数の算出方法について説明する。図3は、ペットボトルが放置され、海洋に到達するまでの経緯を示す図である。
【0040】
≪放置リスク指数≫
ペットボトルの放置は、特に収容容器Bが満杯のときに行われやすい。また、多量のペットボトルが投入される収容容器ほど、その周囲に放置されるペットボトルの量は増えると考えられる。このため、収容容器Bが満杯になる確率をPF、所定期間に収容容器Bにペットボトルが投入される量をVT、および収容容器Bが満杯のときにペットボトルが収容容器Bの周囲に放置される確率KTを用いて、図3に示す式(1)により放置リスク指数を表すことができる。
【0041】
式(1)におけるPFは、例えば、所定期間において検知装置2の検知結果が満杯であることを示している期間が占める割合などから算出してもよい。例えば、放置リスク指数取得部102は、1日間のうち満杯と検知されていた期間が6時間であった場合、PF=(6時間/24時間)=0.25と算出してもよい。
【0042】
また、式(1)におけるVTは、例えば、下記の式で算出してもよい。
VT={所定期間における収容容器Bの収容物の平均増加量(%)}×{収容容器Bの容量(l)}×{投入された投入物におけるペットボトルの割合}×{単位容積(l)あたりのペットボトルの重量(g)}
例えば、上記の所定期間を1日とした場合、放置リスク指数取得部102は、検知装置2の検知結果から1日あたりの収容容器Bの収容物の平均増加量を算出する。そして、放置リスク指数取得部102は、算出した平均増加量に、収容容器Bの容量と、投入された投入物におけるペットボトルの割合と、単位容積あたりのペットボトルの重量とを乗じることにより上記VTを算出することができる。
【0043】
このように、放置リスク指数取得部102は、収容容器Bに取り付けられた検知装置2の検知結果に基づいて放置リスク指数を算出してもよい。これにより、収容容器Bの実際の使用態様に即した妥当な放置リスク指数を自動的に算出することができる。ただし、当該構成は必須ではなく、例えばVTをユーザが入力部13を介して入力する構成としてもよいし、他の装置で算出されたVTを、通信部12を介して取得する構成としてもよい。
【0044】
なお、投入物におけるペットボトルの割合は、収容容器Bの収容物の内訳を調べる等して予め特定しておけばよい。また、単位容積あたりのペットボトルの重量としては、例えば、一般的なペットボトルの重量を一般的なペットボトルの容積で除した値などを用いればよい。
【0045】
また、式(1)におけるKTは、例えば、アンケート等に基づいて予め定めておけばよい。例えば、収容容器が満杯の時にどのような行動をとるかについてアンケートを行い、そのアンケート結果において収容容器の周囲に置くという回答の割合を上記KTの値として採用してもよい。
【0046】
無論、放置リスク指数を算出する方法は任意であり、式(1)を用いる方法はその一例にすぎない。例えば、放置リスク指数取得部102は、上述のPF、VT、KTの何れか1つまたは何れか2つを用いて放置リスク指数を算出してもよい。また、放置リスク指数取得部102は、PF、VT、KTの少なくとも何れかに重み付けを行った上で算出した積あるいは和を放置リスク指数として算出してもよい。
【0047】
≪地理的リスク指数≫
放置されたペットボトルの全てが海洋に到達するわけではなく、海洋に到達するのはその一部のみである。そして、海洋に到達するリスクの高低は、ペットボトルが放置された地点の地理的な条件によって異なるものとなる。
【0048】
放置されたペットボトルが海洋に到達する主要なルートとしては、当該ペットボトルが陸上を移動して河川に到達し、河川を流されて海洋に到達する、というルートが挙げられる。
【0049】
このため、地理的リスク指数は、放置されたペットボトルが河川に到達する確率PRと、河川内のペットボトルが海洋に到達する確率POとを用いて、図3に示す式(2)で表すことができる。
【0050】
地理的リスク指数取得部103は、例えば下記の式(2-1)を用いて、対象の収容容器Bの位置情報から上記のPRを算出してもよい。なお、収容容器Bの位置情報は、ユーザが入力すればよい。また、収容容器BにGPS(Global Positioning System)受信機を取り付けておけば、当該受信機から収容容器Bの位置情報を取得することもできる。
【0051】
【数1】
【0052】
上記式(2-1)において、vは地図上に設定された複数のセルのうちセルiから隣のセルに移動する確率、sはセルiの土地勾配(%)、εはセルの土地勾配の増加に伴う確率の増加を決定する係数、τは土地勾配がゼロの領域における確率PR、nは起点から最も近い川セル(河川を含むセル)までのセル数、DLandは河川までの距離(km)である。地理的リスク指数取得部103は、収容容器Bの位置情報から収容容器Bが設置された地点が属するセルsと上記nを特定することができると共に、上記DLandを算出することができる。なお、セルについては図4に基づいて後述する。
【0053】
また、例えば、収容容器Bの設置地点が都市部である場合等には、土地勾配sは概ねゼロとみなすことができる。また、セルの設定の仕方にもよるが日本国内においては、収容容器Bの設置地点から川セルまでの間に複数のセルが存在することは少ないから、n=1とみなすことができる。そして、vおよびτは文献等に基づいて設定することが可能であり、例えばv=0.6、τ=0.4としてもよい。以上のことから、PRはDLandを用いて下記の式(2-1)’のように表すことができる。
【0054】
【数2】
【0055】
よって、地理的リスク指数取得部103は、予め求められた、収容容器Bの設置地点から河川までの距離DLandを用いて上記の式(2-1)’によりPRを算出することもできる。
【0056】
また、上記のPOについては、地理的リスク指数取得部103は、例えば下記の式(2-2)を用いて算出してもよい。
【0057】
【数3】
【0058】
上記式(2-2)において、θはセルiのストラーの河川次数(Strahler stream order)に関連する確率係数、SOιはストラーの河川次数、ιはストラーの河川次数が最も低い河川における確率PO、Qはセルiの河川流量(m/s)、κは河川流量増加の確率係数、μは河川流量が下限値であるときの確率PO、DRiverは、河川到達点から河口までの距離(km)である。
【0059】
例えば、θ=0.0001、ι=0.999、κ=5.0E-8、μ=0.99であるとする。また、対象となる河川の河川次数が6、河川流量が4500であるとする。この場合、POはDLandを用いて下記の式(2-2)’のように表すことができる。なお、K=0.990である。
【0060】
【数4】
【0061】
よって、地理的リスク指数取得部103は、予め求められた、河川到達点から河口までの距離DRiverを用いて上記の式(2-2)’によりPRを算出することができる。無論、地理的リスク指数取得部103は、式(2-2)によりPOを算出してもよい。
【0062】
≪海洋流出リスク指数≫
ペットボトルが海洋流出するリスクは、ペットボトルが収容容器Bの外部に放置される確率に比例して高くなり、また、放置されたペットボトルが河川を流れて河口に到達する確率に比例して高くなると考えられる。
【0063】
よって、海洋流出リスク指数算出部104は、例えば図3に示す式(3)により海洋流出リスク指数を算出してもよい。
【0064】
なお、海洋流出リスク指数算出部104は、放置リスク指数と地理的リスク指数の両方に基づいて海洋流出リスク指数を算出すればよく、算出方法は上記の例に限られない。例えば、海洋流出リスク指数算出部104は、上記式(3)において、放置リスク指数と地理的リスク指数の少なくとも何れかに重み付けを行った上で海洋流出リスク指数を算出してもよい。これにより、放置リスク指数と地理的リスク指数の何れかをより重視した海洋流出リスク指数を算出することができる。また、例えば、海洋流出リスク指数算出部104は、放置リスク指数と地理的リスク指数の和あるいは重み付き和を海洋流出リスク指数として算出してもよい。
【0065】
(表示画面例)
出力制御部105は、回収優先度情報を表示装置に表示させてもよい。また、この場合、出力制御部105は、収容容器Bが設置されている地点を含む地図の画像を表示装置に表示させると共に、回収優先度情報を当該地図の上記地点に重畳表示させてもよい。これについて図4に基づいて説明する。図4は、地図上に回収優先度情報を表示させた例を示す図である。
【0066】
図4に示す地図M1は、海洋に面した地域の地図であり、この地域には当該海洋に注ぐ河川が存在している。このような地図の画像は予め用意しておけばよい。なお、用意しておくべき画像は、対象となる収容容器Bが配置されている各地点が地図上に表示できるような範囲の地図画像である。
【0067】
また、地図M1上には、上述のセルを示すグリッド線を示している。図4に示されるセルは、C1~C7の7つである。このように、セルとは対象となる地域をグリッド線により格子状に区切ることにより規定された区画であり、上述のように地理的リスク指数の算出に用いられる。なお、回収優先度情報を表示させる際には、グリッド線を表示させてもよいし、表示させなくてもよい。
【0068】
図M1上には、収容容器Bが設置されている各地点に円形のオブジェクトOB1~OB7が表示されている。オブジェクトOB1~OB7は、収容容器Bが設置されている位置を示す情報であると共に、回収優先度情報でもある。つまり、地図M1においては、オブジェクトOB1~OB7の塗りつぶしパターンが回収優先度を示している。具体的には、オブジェクトOB1~OB7には、右上がり斜線、グレーに白ドット、および左上がり斜線の3つの塗りつぶしパターンの何れかが適用されている。より詳細には、回収優先度が最も高い類型に属する収容容器Bの設置地点には右上がり斜線のパターンのオブジェクト(OB4、OB5、OB7)が表示されている。また、回収優先度が中程度の類型に属する収容容器Bの設置地点にはグレーに白ドットのパターンのオブジェクト(OB1、OB3)が表示され、回収優先度が最も低い類型に属する収容容器Bの設置地点には左上がり斜線のパターンのオブジェクト(OB2、OB6)が表示されている。
【0069】
例えば、出力制御部105は、海洋流出リスク指数が第1の閾値を超えている収容容器Bを回収優先度が最も高い類型に分類し、海洋流出リスク指数が第1の閾値未満、第2の閾値(第1の閾値>第2の閾値)以上の収容容器Bを回収優先度が中程度の類型に分類し、海洋流出リスク指数が第2の閾値未満の収容容器Bを回収優先度が最も低い類型に分類してもよい。そして、出力制御部105は、各収容容器Bの設置地点に、上記の分類に応じた所定のパターンで塗りつぶしたオブジェクトを表示させてもよい。
【0070】
なお、回収優先度に応じた表示の態様は、各態様を視覚的に識別できるようなものであればよく、上述のような塗りつぶしパターンに限られない。例えば、出力制御部105は、各収容容器Bの設置地点にその収容容器Bからの回収優先度に応じた色や輝度、あるいは階調のオブジェクト(上述のような円形のオブジェクトであってもよいし他の形状のオブジェクトであってもよい)を表示させてもよい。
【0071】
このように、出力制御部105は、地図の画像上に、収容容器Bから収容物を回収する優先度に応じた表示態様で、当該収容容器Bの設置地点に回収優先度情報を表示させてもよい。これにより、収容容器の回収優先度を直感的に認識しやすい態様でユーザに提示することができる。
【0072】
また、以上のように、出力制御部105が情報を出力させる出力装置が表示装置である場合、出力制御部105は、収容容器Bが設置されている地点を含む地図の画像を表示装置に表示させると共に、回収優先度情報を当該地図の上記地点に重畳表示させてもよい。これにより、どのような地理的位置の収容容器Bの回収優先度がどの程度であるかをユーザに容易に認識させることができる。
【0073】
(処理の流れ)
計算装置1が実行する処理(リスク評価方法)の流れを図5に基づいて説明する。図5は、計算装置1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0074】
S1では、検知結果取得部101が、所定期間における検知装置2の検知結果を取得する。例えば、検知結果取得部101は、所定周期で検知装置2から検知結果を受信して記憶部11に蓄積しておいてもよく、この場合、検知結果取得部101は、記憶部11に蓄積された検知結果のうち、直近の所定期間における検知装置2の検知結果を取得すればよい。
【0075】
S2(放置リスク指数取得ステップ)では、放置リスク指数取得部102が、収容容器Bが満杯になって収容物が放置される可能性の高さを示す放置リスク指数を取得する。例えば、放置リスク指数取得部102は、S1で取得された検知結果に基づいて放置リスク指数を算出してもよい。具体的な算出方法については上述したとおりであるから説明を繰り返さない。
【0076】
S3(地理的リスク指数取得ステップ)では、地理的リスク指数取得部103が、収容容器Bが設置されている地点の位置情報に基づいて算出された、当該地点に放置された収容物が海洋に到達する可能性の高さを示す地理的リスク指数を取得する。例えば、地理的リスク指数取得部103は、予め計算装置1に入力された位置情報に基づいて放置リスク指数を算出してもよい。具体的な算出方法については上述したとおりであるから説明を繰り返さない。
【0077】
S4(海洋流出リスク指数算出ステップ)では、海洋流出リスク指数算出部104が、S2で取得された放置リスク指数と、S3で取得された地理的リスク指数とに基づき、収容容器Bの外に収容物が放置されて海洋に流出する可能性の高さを示す海洋流出リスク指数を算出する。
【0078】
S5では、出力制御部105が、S4で算出された海洋流出リスク指数に基づいて回収優先度情報を出力させる。回収優先度情報は、海洋流出リスク指数が高い収容容器Bについて回収優先度が高いことを示すものであればよい。例えば、出力制御部105は、図4のような画像を表示装置に表示させてもよい。なお、この場合、複数の収容容器BのそれぞれについてS1~S4の処理を行えばよい。
【0079】
以上により図5の処理は終了する。なお、ルート生成部106は、S4で算出された海洋流出リスク指数に基づいて回収ルートを生成してもよい。この場合、S5では、出力制御部105は、生成された回収ルートを示す情報を回収優先度情報として表示してもよい。
【0080】
また、上限到達検出部107は、海洋流出リスク指数が算出された後、当該海洋流出リスク指数に応じた上限収容量を決定してもよい。そして、上限到達検出部107は、決定した上限収容量に基づいた収容容器Bの監視を開始してもよい。つまり、上限到達検出部107は、検知結果取得部101が検知装置2から検知結果を受信し、当該検知結果から算出される収容物の量が上限収容量に達したか否かを判定する、という一連の処理を、上限収容量に達したと判定されるまで繰り返してもよい。また、上限到達検出部107が上限収容量に達したと判定したときには、出力制御部105はその旨の通知を任意の出力装置に出力させてもよい。
【0081】
以上のように、本実施形態に係るリスク評価方法は、収容容器Bが満杯になって収容物が放置される可能性の高さを示す放置リスク指数を取得する放置リスク指数取得ステップ(S2)と、収容容器Bが設置されている地点の位置情報に基づいて算出された、当該地点に放置された収容物が海洋に到達する可能性の高さを示す地理的リスク指数を取得する地理的リスク指数取得ステップ(S3)と、放置リスク指数と地理的リスク指数とに基づき、収容容器Bの外に収容物が放置されて海洋に流出する可能性の高さを示す海洋流出リスク指数を算出する海洋流出リスク指数算出ステップ(S4)と、を含む。よって、収容容器Bの周囲に放置された収容物が海洋流出するリスクを低減することが可能になる。
【0082】
〔実施形態2〕
本実施形態では、計算装置1の出力制御部105が、海洋流出リスク指数に基づいて取付優先度情報を出力装置に出力させる例を説明する。なお、取付優先度情報とは、検知装置2を収容容器Bに取り付ける優先度を示す情報である。
【0083】
これにより、取付優先度情報をユーザに認識させ、海洋流出のリスクが高い収容容器に優先的に検知装置2を取り付けて収容物の量を監視させることができる。また、上記の構成によれば、収容容器Bの総数に対して、用意できる検知装置2の数が少ない場合に、収容物が海洋流出するリスクを低減するという観点から妥当な取付先を決定することもできる。
【0084】
海洋流出リスク指数が高い収容容器Bほど、当該収容容器Bに検知装置2を取り付ける優先度は高いといえるから、出力制御部105は、海洋流出リスク指数をそのまま取付優先度情報として出力装置に出力させてもよい。また、出力制御部105は、海洋流出リスク指数を用いて取付優先度情報を生成し、生成した取付優先度情報を出力装置に出力させてもよい。例えば、出力制御部105は、海洋流出リスク指数に応じて複数段階の取付優先度情報(例えば3段階であれば、優先度が高いことを示す情報、優先度が中程度であることを示す情報、および優先度が低いことを示す情報の何れか)を生成して出力装置に出力させてもよい。
【0085】
ここで、上記実施形態では、放置リスク指数の算出に検知装置2の検知結果を用いてもよいことを説明した。検知装置2の検知結果を用いる場合、ある収容容器Bの取付優先度情報を生成するために、その収容容器Bに試験的に取り付けた検知装置2の検知結果を用いてもよい。つまり、計算装置1は、検知装置2を所定期間だけ収容容器Bに試験的に取り付けて収集した検知結果を用いて取付優先度情報を生成してもよい。これにより、計算装置1のユーザは、生成された取付優先度情報に基づいて、その後も当該収容容器Bに検知装置2を取り付けたままにしておくか、当該収容容器Bから検知装置2を取り外し、より取付優先度の高い他の収容容器Bに付け替えるかを判断することができる。
【0086】
また、設置地点が近い収容容器Bは、海洋流出リスク指数も近い値になる可能性が高い。このため、計算装置1は、ある収容容器Bに取り付けられた検知装置2の検知結果を用いて、当該収容容器Bが設置されている地域の他の収容容器Bの取付優先度情報を生成してもよい。
【0087】
取付優先度情報は、取付優先度をユーザが認識できるようなものであればよく、例えば数値であってもよいし、画像であってもよいし、文章等の文字情報であってもよい。また、出力の態様は出力された情報をユーザが認識できるようなものであればよく、例えば表示出力であっても、印字出力であっても、音声出力であってもよい。
【0088】
取付優先度情報の表示例を図6に基づいて説明する。図6は、地図上に取付優先度情報を表示させた例を示す図である。図6に示す地図M2は、図4に示した地図M1と同じ地域の地図である。地図M2には、当該地域における収容容器Bの設置地点を示すオブジェクトOB1~OB7が表示されている。このうち、オブジェクトOB5で示される地点に設置された収容容器B(以下、収容容器B5と呼ぶ)には検知装置2が取り付けられているとする。
【0089】
この場合、検知結果取得部101は、収容容器B5の検知結果を取得し、放置リスク指数取得部102は、当該検知結果に基づいて収容容器B5における放置リスク指数を算出する。また、地理的リスク指数取得部103は、収容容器B5の設置地点の位置情報に基づいて地理的リスク指数を算出し、海洋流出リスク指数算出部104は、算出された放置リスク指数と地理的リスク指数から収容容器B5の海洋流出リスク指数を算出する。
【0090】
図6の例では、出力制御部105は、算出された海洋流出リスク指数に基づき、収容容器B5の取付優先度が高いことを示す右上がり斜線のパターンでオブジェクトOB5を表示させている。また、出力制御部105は、収容容器B5の設置地点から所定範囲内(図6において破線円A1で示す範囲内)に設置されている収容容器B(オブジェクトOB4で示される地点に設置された収容容器B4)を検出する。そして、出力制御部105は、収容容器B4は海洋流出リスクが高い地域に設置されていること、および、検知装置2の取り付けが推奨されることを示す文字情報を表示させている。このように取付優先度情報は、文字情報であってもよい。
【0091】
図6のような態様で取付優先度情報を表示させることにより、ユーザは、何れの収容容器Bに検知装置2が取り付けられているか、その収容容器Bの取付優先度は高いか、そして、検知装置2が取り付けられていない収容容器Bのうち何れに検知装置2を取り付けるべきかを容易に認識することができる。
【0092】
(交換優先度情報の表示)
また、出力制御部105は、海洋流出リスク指数に基づいて、収容容器Bまたは収容容器Bが設置されている地域の他の収容容器Bをより収容容量の大きいものに交換する優先度を示す交換優先度情報を出力装置に出力させてもよい。これにより、何れの収容容器Bの交換優先度が高いかをユーザに認識させ、海洋流出のリスクが高い収容容器Bから優先的に収容容量の大きいものに交換して、収容物が海洋流出するリスクを低減することができる。
【0093】
交換優先度情報は、交換優先度をユーザが認識できるようなものであればよく、例えば数値であってもよいし、画像であってもよいし、文章等の文字情報であってもよい。また、出力の態様は出力された情報をユーザが認識できるようなものであればよく、例えば表示出力であっても、印字出力であっても、音声出力であってもよい。例えば、出力制御部105は、図6の例と同様に地図上に交換優先度情報を表示してもよい。
【0094】
海洋流出リスク指数が高い収容容器Bほど、当該収容容器Bをより収容容量の大きいものに交換する優先度は高いといえるから、出力制御部105は、海洋流出リスク指数をそのまま交換優先度情報として出力装置に出力させてもよい。また、出力制御部105は、海洋流出リスク指数を用いて交換優先度情報を生成し、生成した交換優先度情報を出力装置に出力させてもよい。例えば、出力制御部105は、海洋流出リスク指数に応じて複数段階の交換優先度情報を生成して出力装置に出力させてもよい。
【0095】
また、出力制御部105は、収容容器Bをどのような収容容量のものに交換することが好ましいかについても特定し、その特定結果を出力装置に出力させてもよい。例えば、図3に示した式(1)におけるVTの算出に収容容器Bの容量を用いる場合、放置リスク指数とこれを用いて算出される海洋流出リスク指数は、収容容器Bの容量に応じて変化する。よってこの場合、出力制御部105は、海洋流出リスク指数あるいは放置リスク指数を所定の閾値以下とすることができるような収容容器Bの容量を算出し、これを出力装置に出力させることができる。
【0096】
〔変形例〕
上述の各実施形態で説明した各処理の実行主体は任意であり、上述の例に限られない。つまり、上述の各実施形態で説明した各処理を実行可能であれば、リスク評価システム9を構成する装置は適宜変更することができる。例えば、計算装置1の実行する処理を、情報処理装置4または端末装置6に実行させてもよいし、収容容器Bに情報処理ユニットを取り付けて当該情報処理ユニットに実行させてもよい。この情報処理ユニットには検知装置2が含まれていてもよい。また、これら以外の他の装置(例えばエッジコンピュータ等)に計算装置1の実行する処理の一部または全部を実行させることもできる。
【0097】
また、図5に示したリスク評価方法の各ステップの実行主体も任意である。つまり、当該リスク評価方法は、1つの計算装置1が備える1つのプロセッサにより実行することもできる、複数の装置がそれぞれ備える複数のプロセッサにより実行することもできる。
【0098】
〔ソフトウェアによる実現例〕
計算装置1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部10に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラム(リスク評価プログラム)により実現することができる。
【0099】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0100】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0101】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0102】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0103】
1 計算装置
102 放置リスク指数取得部
103 地理的リスク指数取得部
104 海洋流出リスク指数算出部
105 出力制御部
106 ルート生成部
107 上限到達検出部
2 検知装置
9 リスク評価システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6