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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030035
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】掃除部及び電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/04 20060101AFI20240229BHJP
   A47L 9/28 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A47L9/04 A
A47L9/28 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132578
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】品川 直子
【テーマコード(参考)】
3B057
3B061
【Fターム(参考)】
3B057DE00
3B061AA06
3B061AD05
3B061AD11
(57)【要約】
【課題】毛材を備える清掃部材への糸状ごみの絡み付きを抑制できる掃除部及び電気掃除機を提供する。
【解決手段】掃除部は、回転清掃体1と、回転清掃体1を回転させる駆動源と、を備える。回転清掃体1は、回転可能な基台部10と、毛材1110を備え基台部10に配置される清掃部材11と、基台部10において清掃部材11に対し回転方向の後側に配置された絡み付き抑制部材12と、を有する。絡み付き抑制部材12は、基台部10に支持される支持部120と、支持部120に対して径方向と交差する方向に延び、基台部10の回転に伴い被掃除部との間で清掃部材11に付着した塵埃を挟み込む挟み込み部121と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転清掃体と、
前記回転清掃体を回転させる駆動源と、を備え、
前記回転清掃体は、
回転可能な基台部と、
毛材を備え前記基台部に配置される清掃部材と、
前記基台部において前記清掃部材に対し回転方向の後側に配置された絡み付き抑制部材と、を有し、
前記絡み付き抑制部材は、
前記基台部に支持される支持部と、
前記支持部に対して径方向と交差する方向に延び、前記基台部の回転に伴い被掃除部との間で前記清掃部材に付着した塵埃を挟み込む挟み込み部と、を備える
ことを特徴とする掃除部。
【請求項2】
前記支持部は、前記基台部に対し回転方向に揺動可能である
ことを特徴とする請求項1記載の掃除部。
【請求項3】
前記挟み込み部は、負荷に対して変形可能である
ことを特徴とする請求項1記載の掃除部。
【請求項4】
前記絡み付き抑制部材は、軟質である
ことを特徴とする請求項1記載の掃除部。
【請求項5】
前記絡み付き抑制部材は、中空状に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の掃除部。
【請求項6】
前記清掃部材は、前記基台部に対し回転方向に等配され、
前記挟み込み部は、回転方向の前側に位置する前記清掃部材に対して回転方向の後側に離れた位置から回転方向の前後に位置する前記清掃部材間の中央部まで少なくとも延びている
ことを特徴とする請求項1記載の掃除部。
【請求項7】
前記挟み込み部は、被掃除部に対し接触可能である
ことを特徴とする請求項1記載の掃除部。
【請求項8】
前記回転清掃体は、前記挟み込み部に配置され被掃除部に対して接触可能な拭き取り部材を有する
ことを特徴とする請求項1記載の掃除部。
【請求項9】
回転清掃体と、
前記回転清掃体を回転させる駆動源と、を備え、
前記回転清掃体は、
回転可能な基台部と、
毛材を備え前記基台部に配置される清掃部材と、
前記清掃部材に対し回転方向の後側にて前記清掃部材に付着した塵埃を被掃除部との間で挟み込むことで前記基台部の回転に伴い前記清掃部材から引き剥がし可能な絡み付き抑制部材と、を有する
ことを特徴とする掃除部。
【請求項10】
請求項1ないし9いずれか一記載の掃除部を備える
ことを特徴とする電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、駆動源により回転される回転清掃体を有する掃除部及びこれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気掃除機の吸込口体に用いられる回転清掃体は、回転可能に支持された基台部の外周に径方向に突出する清掃部材が配置されている。そして、清掃部材を被掃除部に摺接させて塵埃を絡め取り、絡め取った塵埃を吸い上げることで、被掃除部から塵埃を除去する。
【0003】
清掃部材が毛材の束により構成される場合、被掃除部から絡め取った髪の毛等の糸状ごみが絡み付きやすい。絡み付いた糸状ごみは、回転清掃体をロックさせてしまう要因とも成り得るため、都度除去することが望ましく、また、毛材の根元に入り込んだ糸状ごみは容易に除去することができない等、メンテナンスが煩雑である。
【0004】
この点、清掃部材として、ゴム等の弾性体により構成されたブレード部材を用いることで糸状ごみの絡み付きを防止したものが知られている。しかしながら、この構成では、被掃除部の塵埃がブレード部材に付着しにくいため、被掃除部からの塵埃の掻き出し能力が毛材の束により構成される清掃部材よりも低下する。
【0005】
また、毛材の束により構成される清掃部材と弾性体により構成される清掃部材とを混在させることも考えられるものの、この構成でも毛材の束により構成される清掃部材への糸状ごみの絡み付き自体を効果的に抑制することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6-7272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、毛材を備える清掃部材への糸状ごみの絡み付きを抑制できる掃除部及びこれを備えた電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の掃除部は、回転清掃体と、回転清掃体を回転させる駆動源と、を備える。回転清掃体は、回転可能な基台部と、毛材を備え基台部に配置される清掃部材と、基台部において清掃部材に対し回転方向の後側に配置された絡み付き抑制部材と、を有する。絡み付き抑制部材は、基台部に支持される支持部と、支持部に対して径方向と交差する方向に延び、基台部の回転に伴い被掃除部との間で清掃部材に付着した塵埃を挟み込む挟み込み部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態の掃除部の回転清掃体を示す断面図である。
図2】同上回転清掃体の一部を示す斜視図である。
図3】同上掃除部を示す断面図である。
図4】同上掃除部を示す斜視図である。
図5】同上掃除部を備える電気掃除機を示す斜視図である。
図6】同上回転清掃体による被掃除部からの塵埃の除去動作を(a)ないし(d)の順に模式的に示す断面図である。
図7】第2の実施形態の掃除部の回転清掃体を示す断面図である。
図8】第3の実施形態の掃除部の回転清掃体を示す断面図である。
図9】第4の実施形態の掃除部を備える電気掃除機を模式的に示す下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1及び図2において、1は回転清掃体を示す。回転清掃体1は、回転ブラシとも呼ばれ、図4に示す駆動源2により回転されることで、被掃除部の塵埃を掻き取るものである。駆動源2としては、例えば電動機等のアクチュエータが好適に用いられるが、エアタービン等でもよい。以下、図中においては、駆動源2が回転清掃体1を回転させる方向すなわち回転清掃体1の回転方向を矢印Aで示す。
【0012】
図1及び図2に示すように、回転清掃体1は、基台部10を備える。基台部10は、軸状に形成されている。基台部10は、回転清掃体1の回転軸部を構成する。つまり、基台部10の中心軸周りに回転清掃体1が回転される。本実施形態において、基台部10は、軸方向に長尺の円柱状又は円筒状に形成されている。基台部10は、合成樹脂又は金属等により形成されている。
【0013】
基台部10には、清掃部材11と、絡み付き抑制部材12と、が取り付けられている。つまり、基台部10には、清掃部材11が取り付けられる第一取付部100と、絡み付き抑制部材12が取り付けられる第二取付部101と、が形成されている。
【0014】
第一取付部100及び第二取付部101は、それぞれ基台部10の外側面に形成されている。第一取付部100及び第二取付部101は、それぞれ基台部10の径方向に窪み、回転清掃体1の回転方向すなわち基台部10の周方向に拡大され、基台部10の軸方向に延びる凹部である。好ましくは、第一取付部100及び第二取付部101は、それぞれ基台部10の両端部間に亘り連なっている。すなわち、第一取付部100及び第二取付部101は、それぞれ基台部10の両端部の位置で基台部10の外部と連通して開口されている。本実施形態において、第一取付部100及び第二取付部101は、それぞれ一端部から他端部に亘り基台部10の周方向にねじれた螺旋状に形成されている。第一取付部100及び第二取付部101のねじれ角度はそれぞれ任意に設定してよいが、例えば180°等となっている。そして、基台部10の端部から、ねじれた螺旋状の第一取付部100及び第二取付部101に沿って清掃部材11及び絡み付き抑制部材12が挿入されて取り付けられる。
【0015】
さらに、図示される例では、第一取付部100及び第二取付部101は、それぞれ基台部10の周方向に等配又は略等配されている。また、第一取付部100と第二取付部101とは、回転清掃体1の回転方向に交互に配置されている。つまり、回転清掃体1の回転方向において、第一取付部100の前側及び後側に第二取付部101が位置し、第二取付部101の前側及び後側に第一取付部100が位置する。
【0016】
なお、第一取付部100と第二取付部101とは、形状、基台部10の軸心からの距離、及び、深さ等が同一又は略同一でもよいし、清掃部材11及び絡み付き抑制部材12の形状や長さ、材質等に応じて、形状、基台部10の軸心からの距離、及び、深さ等が異なっていてもよい。
【0017】
清掃部材11は、第一取付部100に支持される基部110に毛部111の基端部側が保持されて壁状に形成されている。清掃部材11は、基台部10の軸方向に壁状に連なるように配置される。本実施形態において、清掃部材11は、第一取付部100の形状に沿って、回転清掃体1の回転方向にねじれた壁状となっている。
【0018】
基部110は、例えばエラストマ等の柔軟性を有する部材により形成されている。基部110は、例えばインサート成形又はダブルモールド等により、複数の毛部111の基端部と一体的に成形される。本実施形態において、基部110は、回転清掃体1の径方向に対して交差又は直交する方向に幅を有して第一取付部100内に位置し、第一取付部100に対し回転清掃体1の径方向に抜け止めされている。
【0019】
毛部111は、基部110に基端部が保持されている複数本の毛材1110が束状に配置された毛束である。毛部111は、密に多数配置された毛材1110により壁状をなしている。毛部111は、第一取付部100に支持された基部110から、第一取付部100の外側つまり基台部10の外側に径方向に放射状に突出している。毛材1110としては、綿糸等の自然糸又は合成樹脂繊維糸が用いられる。個々の毛材1110は、弾性を有する細い繊維状に形成されている。本実施形態において、各毛材1110は、それぞれ一定又は略一定の長さとなっている。毛材1110は、複数本の素材が撚り合わせられて構成されていてもよい。なお、図示される例では、基台10に配置される各清掃部材11は、それぞれ互いに等しい又は略等しい毛部111の長さを有しているが、これに限らず、各清掃部材11のうちの少なくともいずれかの毛部111の長さは、残りの他の清掃部材11の毛部111の長さと異なっていてもよい。
【0020】
絡み付き抑制部材12は、毛材1110を備える清掃部材11への髪の毛等の糸状ごみの絡み付きを抑制するものである。絡み付き抑制部材12は、清掃部材11のそれぞれに対応して配置されている。つまり、絡み付き抑制部材12は、清掃部材11と同数配置されている。絡み付き抑制部材12は、回転清掃体1の回転方向において、清掃部材11の後側に位置する。本実施形態の場合、第一取付部100と第二取付部101とが回転清掃体1の回転方向に等配又は略等配されていることにより、清掃部材11,11の間にそれぞれ絡み付き抑制部材12が位置する。
【0021】
絡み付き抑制部材12は、第二取付部101に支持される支持部120に挟み込み部121が一体的に形成されて壁状となっている。絡み付き抑制部材12は、基台部10の軸方向に壁状に連なるように配置される。本実施形態では、絡み付き抑制部材12は、第二取付部101の形状に沿って、回転清掃体1の回転方向にねじれて配置される。
【0022】
支持部120は、挟み込み部121を基台部10の外側面から回転清掃体1の径方向に離れた位置に支持する。支持部120は、基端部に、基台部10の第二取付部101に支持される基部1200を有するとともに、基部1200から延びる部分である壁状の支持本体部1201が基台部10の外側面から外方に突出している。
【0023】
基部1200は、回転清掃体1の径方向に対して交差又は直交する方向に幅を有して第二取付部101内に位置し、第二取付部101に対し回転清掃体1の径方向に抜け止めされている。
【0024】
支持本体部1201は、基部1200に対して交差する方向に延出され、先端部に挟み込み部121が形成されている。本実施形態では、支持本体部1201は、無負荷状態で回転清掃体1の径方向に沿って平面状に延びている。そのため、支持本体部1201は、回転清掃体1の回転方向において、前後に位置する清掃部材11の毛部111の中央部に位置する。
【0025】
挟み込み部121は、支持本体部1201の先端部から回転清掃体1の径方向に対して交差する方向に延びている。挟み込み部121は、回転清掃体1の回転方向の前側に位置する清掃部材11に対して回転方向の後側に離れた位置から回転方向の前後に位置する清掃部材11間の中央部まで少なくとも延びている。すなわち、挟み込み部121は、回転清掃体1の回転方向の前側に位置する清掃部材11に対して近接した位置にある。好ましくは、挟み込み部121は、回転方向の前後に位置する清掃部材11間の中央部を含み、その中央部に対して回転方向の前側と後側とにそれぞれ延びている。本実施形態では、挟み込み部121は、支持本体部1201の先端部から、回転清掃体1の回転方向の前側と後側とのそれぞれに延びている。つまり、絡み付き抑制部材12は、断面略T字状となっている。図示される例では、本実施形態において、挟み込み部121は、断面の両端部が回転清掃体1の回転方向の前側及び後側に位置する清掃部材11の毛部111に対してそれぞれ所定距離離れた位置にある。
【0026】
挟み込み部121は、基台部10の外側面からの距離L1が基台部10の外側面から清掃部材11の毛部111の先端部までの距離L2よりも短く設定されている。すなわち、挟み込み部121は、基台部10の中心軸すなわち回転清掃体1の回転軸芯を中心として清掃部材11の毛部111の先端部を含む仮想円Cの内側にある。本実施形態では、距離L1は、距離L2の半分以上に設定されている。
【0027】
本実施形態において、挟み込み部121は、面状に形成された面部である。この挟み込み部121は、平面状でも曲面状でもよいが、図示される例では、弧状面となっている。つまり、本実施形態の挟み込み部121は、回転清掃体1の回転方向に沿って湾曲して形成されている。これに限らず、挟み込み部121は、表面に微細な凹凸を有していたり、リブを有していたりするものも含む。つまり、挟み込み部121は、被掃除部CLとの間で塵埃を挟む機能を有していれば、面状に限定されず、凹凸状、リブ状等でもよい。
【0028】
好ましくは、絡み付き抑制部材12は、軟質である。絡み付き抑制部材12は、ゴム、あるいはエラストマ等の弾性を有する軟質部材により一体的に形成されている。そのため、支持部120は、負荷によって、基台部10に対し回転清掃体1の回転方向に揺動可能である。すなわち、支持部120は、基部1200を基点として、支持本体部1201が回転清掃体1の回転方向の前側及び後側に揺動可能となっており、無負荷状態では元の位置及び元の形状に復帰変形するようになっている。また、挟み込み部121は、負荷に対して変形可能である。すなわち、挟み込み部121は、回転清掃体1の径方向及び/又は回転方向に与えられる負荷に対し、径方向及び/又は回転方向に弾性的に変形可能となっている。
【0029】
そして、回転清掃体1及び駆動源2は、図3及び図4に示す掃除部3に用いられる。本実施形態において、掃除部3は、清掃具又は掃除ヘッドである。好ましくは、掃除部3は、負圧によって塵埃を空気とともに吸い込んで掃除する吸引掃除用の吸込口体である。本実施形態では、回転清掃体1と駆動源2とは別体で設けられ、掃除部3に別個に配置されているものを例に挙げるが、これに限らず、回転清掃体1の基台部10等に駆動源2を内蔵すること等により回転清掃体1と駆動源2とを一体的に配置したものも含むものとする。なお、掃除部3の上下、左右、前後の方向については、掃除部3を水平な被掃除部CL上に載置した状態で使用者から見た方向を基準として説明する。図中では、上方向を矢印U、下方向を矢印D、前方向を矢印FR、後方向を矢印RR、左方向を矢印L、右方向を矢印Rとして示す。
【0030】
掃除部3は、回転清掃体1を回転可能に保持するケース体30を有する。ケース体30は、左右方向である幅方向に長い、つまり横長に形成されている。ケース体30には、回転清掃体1の基台部10の軸方向の両端部が回転可能に支持される。ケース体30の幅方向に回転清掃体1の軸方向が沿うように回転清掃体1がケース体30に配置される。回転清掃体1は、ケース体30において少なくとも被掃除部CLに対向する下部に配置される。そのため、回転清掃体1は、清掃部材11の毛部111が回転清掃体1の回転によって少なくとも基台部10の下部にある位置で被掃除部CLに接触するようにケース体30に保持されている。すなわち、毛部111は、毛材1110からなり被掃除部CLに接触可能な接触部である。また、回転清掃体1は、絡み付き抑制部材12の挟み込み部121が回転清掃体1の回転によって少なくとも基台部10の下部にある位置で被掃除部CLに対し近接又は接触するようにケース体30に保持されている。例えば、本実施形態において、絡み付き抑制部材12は、被掃除部CLが木床等の掃除部3の底面に沿う平坦なものである場合(図3中の二点鎖線に示す)、挟み込み部121が被掃除部CLに近接又は接触し、被掃除部CLが絨毯等の掃除部3の底面よりも立ち上がる部分を有するものである場合、少なくとも挟み込み部121が被掃除部CLに接触する。
【0031】
駆動源2は、基台部10の内部等、任意の位置に配置されていてよいが、例えばケース体30にて回転清掃体1の後方に配置されている。この場合、駆動源2は、回転清掃体1に対してベルトやプーリ等の伝達手段を介して連結され、回転力を回転清掃体1に伝達して回転清掃体1を回転させるように構成されている。
【0032】
駆動源2の動作は、制御部により制御される。制御部は、駆動源2の動作のオンオフ、回転方向、及び、回転速度等を制御する信号を生成し出力する。制御部としては、マイコン等の処理装置を有する制御基板等が好適に用いられる。
【0033】
また、本実施形態では、ケース体30には、回転清掃体1が回転可能に配置される回転清掃体室300と、塵埃を吸い込む吸込室301と、が別個に形成されている。図示される例では、回転清掃体室300がケース体30の前端部に位置し、吸込室301が回転清掃体室300の後部に隔壁302を介して隣接している。回転清掃体室300と吸込室301とは、隔壁302の下部の連通部3020を介して互いに連通している。回転清掃体室300と吸込室301とは、互いに連通する空間部として構成される。吸込室301の下部が吸込口3010として開口されている。吸込口3010は、ケース体30の幅方向に長手状に開口されている。これに限らず、ケース体30が、回転清掃体室を吸込室とは別個に備えておらず、回転清掃体1が吸込室301又は吸込口3010に回転可能に配置されていてもよい。
【0034】
吸込室301には、接続部33が連通して接続されている。したがって、吸込室301を介して回転清掃体室300が接続部33と連通する。接続部33は、ケース体30から突出している。本実施形態では、接続部33は、管体又は接続管である。好ましくは、接続部33は、ケース体30に対して回動可能に接続されている。
【0035】
掃除部3は、図5に示す電気掃除機4に用いられる。電気掃除機4は、負圧を生じさせる電動送風機等の吸引源40と、塵埃を集積する集塵部41と、を有する吸引掃除機である。電気掃除機4は、任意の構成としてよいが、本実施形態では、スティック型の電気掃除機を例に挙げて説明する。
【0036】
電気掃除機4は、吸引源40を収容する掃除機本体42を有する。また、電気掃除機4は、ユーザが把持して掃除操作する把持部43を有する。本実施形態では、把持部43は、掃除機本体42に配置されている。把持部43には、吸引源40の動作、及び、回転清掃体1又は駆動源2の動作を設定する設定手段44が配置されている。設定手段44は、例えばボタンやスイッチ等であり、把持部43を把持したユーザが、その把持部43を把持した手で操作可能となっている。
【0037】
設定手段44の操作による設定に応じた信号が、本体制御部45に入力される。本体制御部45は、入力された信号に応じて、吸引源40の動作のオンオフ及び強弱等を制御する信号を生成し出力するとともに、制御部へと駆動源2の制御用の信号を出力する。本体制御部45としては、マイコン等の処理装置を有する制御基板等が好適に用いられる。本体制御部45は、掃除機本体42に配置されている。本体制御部45は、駆動源2の制御用の制御部と電気的に接続される。又は、本体制御部45に、制御部が一体的に構成される。本体制御部45及び吸引源40は、電源部46から給電される。本実施形態では、電源部46により駆動源2及び制御部にも給電される。図示される例では、電源部46として二次電池等の電池が用いられるコードレス式の電気掃除機4を示しているが、これに限らず、商用電源から電源を取るための電源コードを巻回したコードリール装置を電源部46として用いてもよい。
【0038】
集塵部41は、塵埃を遠心分離する集塵装置等でもよいし、集塵袋やフィルタ等でもよい。
【0039】
また、本実施形態では、掃除機本体42に集塵部41が配置され、集塵部41に吸引源40の吸引側が連通する。また、集塵部41と連通して掃除機本体42に本体吸込口420が形成されている。本体吸込口420には、吸引源40により生じさせた負圧が集塵部41を介して作用する。本体吸込口420には、風路管47の一端部が接続されている。風路管47の他端部が、掃除部3の接続部33と接続される被接続部となっている。風路管47と掃除部3とにより、含塵空気を集塵部41へと運ぶ風路体が形成されている。そのため、風路管47及び接続部33を介して、図3に示す回転清掃体室300に吸引力が作用する。すなわち、掃除部3において、回転清掃体1は、図5に示す吸引源40の吸引力が作用する空間部にある。これに限らず、本体吸込口420が被接続部として用いられてもよい。図示される例では、風路管47は、硬質のパイプ又は直管部等の延長管であるが、延長管及び可撓性を有するホース体等からなる風路管でもよい。
【0040】
また、掃除機本体42には、集塵部41により塵埃が集積された空気が排出される本体排気口421が形成されている。
【0041】
なお、電気掃除機4は、掃除機本体42を床面上で走行させつつ掃除をする床走行型又はキャニスタ型の電気掃除機等でもよい。
【0042】
そして、掃除機用ブラシ1を取り付けた回転清掃体1を有する掃除部3を風路管47の先端部等の被接続部に接続すると、本実施形態では、風路管47の内部に配置された配線を介して、掃除部3の駆動源2及び制御部が本体制御部45及び電源部46等と電気的に接続される。
【0043】
ユーザが把持部43を把持して設定手段44を操作すると、電気掃除機4は、設定手段44の操作に応じて本体制御部45により生成された信号によって吸引源40が動作して負圧を生じさせるとともに、本体制御部45からの信号を受けた制御部により生成された信号によって駆動源2が動作して回転清掃体1を回転させる。
【0044】
吸引源40の吸引力は、集塵部41を介して本体吸込口420から風路管47及び掃除部3に作用し、掃除部3の吸込口3010から被掃除部CLの塵埃を空気とともに吸い込む。
【0045】
掃除部3では、回転清掃体1が回転することで、図6(a)に示すように、基台部10の下部まで回転した位置で清掃部材11の毛部111が被掃除部CLに接触してその先端部が回転方向の後側へと撓みつつ、髪の毛等の糸状ごみDUを含む塵埃を被掃除部CLから絡め取り、塵埃を効果的に掻き集める。
【0046】
糸状ごみDUが絡み付いた清掃部材11は、図6(b)に示すように、撓んだ毛部111の先端部が回転方向の後側の絡み付き抑制部材12へ近接する。このとき、清掃部材11の毛部111に絡み付いた糸状ごみDUは、回転清掃体1の回転に伴い、その一端部が清掃部材11の毛部111に絡み付いたままで、他端部側はその清掃部材11の回転方向の後側に位置する絡み付き抑制部材12下方へと位置した状態となる。この状態から、図6(c)に示すように、回転清掃体1がさらに回転すると、絡み付き抑制部材12が基台部10の真下に移動してくるまでの間に、糸状ごみDUの他端部側が絡み付き抑制部材12の挟み込み部121と被掃除部CLとの間に挟み込まれる状態となる。その状態で回転清掃体1がさらに回転すると、図6(d)に示すように、糸状ごみDUが絡み付き抑制部材12の挟み込み部121と被掃除部CLとの間に挟み込まれた状態のまま、その回転方向の前側に位置する清掃部材11が被掃除部CLから完全に離れることで、瞬間的に元の立設形状へと復帰変形する。そのため、絡み付き抑制部材12の挟み込み部121と被掃除部CLとの間に他端部側が挟み込まれたままの糸状ごみDUが、清掃部材11に対して相対的に回転方向の後側に引っ張られることとなり、清掃部材11から引き剥がされる。この瞬間、糸状ごみDUは、清掃部材11の毛部111に絡み付いておらずに被掃除部CLから浮いた状態であるため、回転清掃体1がさらに回転して絡み付き抑制部材30が被掃除部CLから離れて押さえがなくなると、吸引力により他の塵埃とともに吸い上げられていく。
【0047】
吸い上げられた塵埃は、集塵部41に吸い込まれ、空気から分離されて集塵部41に集積される。塵埃が分離された空気は、本体排気口421から排出される。
【0048】
このように、本実施形態では、回転清掃体1の基台部10にて清掃部材11の回転方向の後側に配置した絡み付き抑制部材12が、基台部に支持される支持部120と、支持部120に対して径方向と交差する方向に延びる挟み込み部121と、を備え、挟み込み部121が基台部10の回転に伴い被掃除部CLとの間で清掃部材11に付着した塵埃を挟み込むように構成したことで、基台部10の回転に伴い、被掃除部CLと接触した清掃部材11が、その接触が解除されたときに元の位置及び形状に復帰して絡み付き抑制部材12に対して離れることを利用して、清掃部材11から糸状ごみDUを引き剥がし可能となっている。そのため、毛材1110を備える清掃部材11への糸状ごみDUの絡み付きを抑制できる。
【0049】
支持部120が基台部10に対し回転方向に揺動可能であるため、支持部120の揺動によって、挟み込み部121が清掃部材11に近接するとともに、挟み込み部121と被掃除部CLとの間に、より長い時間に亘り糸状ごみDUを挟み込んで押さえつけておくことが可能となる。そのため、清掃部材11への糸状ごみDUの絡み付きをより効果的に抑制できる。しかも、挟み込み部121を介して被掃除部CL側から加わる負荷を支持部120の揺動によって逃がすことができるため、回転清掃体1の回転負荷を低減できる。
【0050】
同様に、挟み込み部121が、負荷に対して変形可能であるため、挟み込み部121と被掃除部CLとの間に、より長い時間に亘り糸状ごみDUを挟み込んで押さえつけておくことが可能となるため、清掃部材11への糸状ごみDUの絡み付きをより効果的に抑制できる。また、被掃除部CLの凹凸等により挟み込み部121を介して被掃除部CL側から加わる負荷を挟み込み部121の変形によって逃がすことができるため、回転清掃体1の回転負荷を低減できる。
【0051】
そこで、駆動源2としてモータ等のアクチュエータを用いる場合、回転清掃体1の回転負荷に起因する負荷電流値の上昇を抑制でき、省電力化が可能になる。
【0052】
絡み付き抑制部材12が軟質であるため、支持部120を揺動可能としたり、挟み込み部121を変形可能としたりする構成を容易に実現できる。
【0053】
清掃部材11が基台部10に対し回転方向に等配され、絡み付き抑制部材12の挟み込み部121が、回転方向の前側に位置する清掃部材11に対して回転方向の後側に離れた位置から回転方向の前後に位置する清掃部材11間の中央部まで少なくとも延びているため、回転方向の前側に位置する清掃部材11に付着した糸状ごみDUを、挟み込み部121によって最も効果的に被掃除部CLとの間に挟み込むことができる。また、回転清掃体1の径方向と交差する方向における挟み込み部121の端部を回転方向の前側に位置する清掃部材11に近接させるほど、挟み込み部121と被掃除部CLとの間に糸状ごみDUを挟み込んで押さえつけておく時間が長くなるため、糸状ごみDUを回転方向の前側に位置する清掃部材11から、より効果的に引き剥がすことができる。
【0054】
さらに、挟み込み部121が、回転方向の前後に位置する清掃部材11に近接する位置まで延びているため、清掃部材11に対し回転方向の前後に位置する絡み付き抑制部材12の挟み込み部121の端部間を結ぶ仮想直線IL(図1に示す)と清掃部材11とが交差する位置よりも清掃部材11の基端部側すなわち基台部10寄りへと糸状ごみDUが入り込みにくくなる。すなわち、挟み込み部121により一端部側を被掃除部CLに押さえつけた糸状ごみDUの他端部側は、その挟み込み部121とその回転方向の後側に位置する挟み込み部121との位置、つまり仮想直線IL(図1に示す)の位置によって規制されるから、回転清掃体1の径方向に対し交差する方向又は回転方向の挟み込み部121の長さに応じて、糸状ごみDUの清掃部材11の基端部側への入り込み深さを設定できる。そのため、挟み込み部121を回転清掃体1の径方向と交差する方向に長くするほど、つまり挟み込み部121の端部を前後の清掃部材11に近づけるように設定するほど、糸状ごみDUが清掃部材11の基端部側に入り込みにくくなる。
【0055】
挟み込み部121が被掃除部CLに対し接触可能である場合、挟み込み部121と被掃除部CLとの間に糸状ごみDUを効果的に挟み込んで、糸状ごみDUを引き剥がすことができる。
【0056】
他方、挟み込み部121が被掃除部CLに対し近接可能であるものの非接触である場合、挟み込み部121と被掃除部CLとの間に糸状ごみDUを挟み込んで糸状ごみDUを引き剥がすことを可能としつつ、回転清掃体1の回転負荷を低減できる。
【0057】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について図7を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0058】
本実施形態の絡み付き抑制部材12は、挟み込み部121の外側面に配置された拭き取り部材122を有する。拭き取り部材122は、回転清掃体1の回転によって少なくとも絡み付き抑制部材12が基台部10の下部にある位置で被掃除部に接触可能であり、被掃除部の塵埃又は汚れを拭き取るものである。拭き取り部材122は、例えば不織布等のシート状のものが用いられ、挟み込み部121の外側面に沿って貼り付けられて固定されている。なお、拭き取り部材122は、挟み込み部121に対して着脱可能として、適宜交換できるようにしてもよい。
【0059】
そして、回転清掃体1の回転に伴い、拭き取り部材122が被掃除部に接触することによって、被掃除部の拭き掃除効果を得ることができ、被掃除部をよりきれいに掃除できるとともに、挟み込み部121と被掃除部との間に、糸状ごみをより強固に挟み込むことができ、清掃部材11からの糸状ごみの引き剥がしの性能が向上する。
【0060】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について図8を参照して説明する。なお、各実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0061】
本実施形態の絡み付き抑制部材12は、支持部120の支持本体部1201が挟み込み部121の幅の両端に連結されているものである。つまり、支持部120は、基部1200から支持本体部1201がV字状に一対分岐され、分岐された支持本体部1201の先端部が回転清掃体1の回転方向における挟み込み部121の前側の端部と後側の端部とに連なっている。そのため、絡み付き抑制部材12は、断面扇形状となっている。好ましくは、絡み付き抑制部材12は、支持部120,120及び挟み込み部121により囲まれる部分に中空部123を有する中空状に形成されている。
【0062】
この挟み込み部121の外側面に、第2の実施形態の拭き取り部材122が配置されていてもよい。
【0063】
そして、回転清掃体1の基台部10にて清掃部材11の回転方向の後側に配置した絡み付き抑制部材12が、基台部に支持される支持部120と、支持部120に対して径方向と交差する方向に延びる挟み込み部121と、を備える構成とする等、各実施形態と同様の構成を有することで、絡み付き抑制部材12の挟み込み部121が、清掃部材11に対し回転方向の後側にて清掃部材11に付着した糸状ごみを被掃除部との間で挟み込むことにより基台部10の回転に伴い清掃部材11から糸状ごみを引き剥がし可能となり、毛材1110を備える清掃部材11への糸状ごみの絡み付きを抑制できる等、各実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0064】
また、絡み付き抑制部材12を、中空部123を有する中空状としたことで、支持部120を揺動可能としたり、挟み込み部121を変形可能としたりすることができ、清掃部材11への糸状ごみの絡み付きをより効果的に抑制できるとともに、回転清掃体1の回転負荷を低減できる。
【0065】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について図9を参照して説明する。なお、各実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0066】
本実施形態の掃除部3は、自律走行式の電気掃除機4に搭載されているものである。
【0067】
自律走行式の電気掃除機4は、掃除ロボット等とも呼ばれる。電気掃除機4は、掃除機本体42が駆動輪等の走行部48により走行可能に構成されている。走行部48は、モータ等のアクチュエータにより駆動される。好ましくは、掃除機本体42には、障害物や段差等の走行障害を検出するセンサが配置されている。また、走行部48の動作は、本体制御部45に搭載されたプログラム等に応じて制御される。本体制御部45は、センサによる走行障害の検出情報、及び/又は、記憶されている掃除領域のマップ等の情報に応じて、走行部48の動作を制御する。
【0068】
掃除部3は、掃除機本体42に一体的に組み込まれている。本実施形態では、掃除機本体42の下部等に開口された本体吸込口420に回転清掃体1が回転可能に配置され、回転清掃体1が、駆動源2により駆動される。
【0069】
このように、自律走行式の電気掃除機4に掃除部3を用いた場合でも、毛材1110を備える清掃部材111への糸状ごみの絡み付きを抑制できる等、上記の各実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲をこれらの実施形態に限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1 回転清掃体
2 駆動源
3 掃除部
4 電気掃除機
10 基台部
11 清掃部材
12 絡み付き抑制部材
120 支持部
121 挟み込み部
122 拭き取り部材
1110 毛材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9