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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030039
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20240229BHJP
   F25D 21/04 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
F25D23/02 305A
F25D21/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132582
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博則
(72)【発明者】
【氏名】平木 大輔
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102KA06
3L102KB04
3L102KC03
3L102KC07
3L102KC10
3L102LE02
(57)【要約】
【課題】センターシールの意図しない変形に伴うシール不良を抑制する。
【解決手段】冷蔵庫10は、開口11Aを有する貯蔵庫本体11と、観音開き式に対をなす2つの扉15A、15Bと、を備える。扉15Bは、扉本体部30と、扉本体部30の貯蔵庫本体11側に設けられ、扉15Bの閉状態において、扉本体部30と、開口11Aの開口縁部11B、17との間をシールするドアパッキン20と、扉本体部30において、対をなす他の扉15A側に位置する側縁31Aに沿って長手状に設けられ、扉15Bの閉状態において、他の扉15Aとの間をシールするセンターシール40と、扉本体部30の貯蔵庫本体11側において、平面に視てドアパッキン20及びセンターシール40と重ならない位置に設けられ、扉15Bの閉状態において、扉本体部30と開口縁部11B、17との間に介在して、これらの間隔を規制するためのスペーサ70と、を備える。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する断熱箱体である貯蔵庫本体と、
前記開口を開閉し、観音開き式に対をなす2つの扉と、を備え、
前記扉は、
断熱材を含む扉本体部と、
前記扉本体部の前記貯蔵庫本体側に設けられ、前記扉の閉状態において、前記扉本体部と、前記貯蔵庫本体の前記開口の開口縁部との間をシールするドアパッキンと、
前記扉本体部において、対をなす他の前記扉側に位置する側縁に沿って長手状に設けられ、前記扉の閉状態において、他の前記扉との間をシールするセンターシールと、
前記扉本体部の前記貯蔵庫本体側において、平面に視て前記ドアパッキン及び前記センターシールと重ならない位置に設けられ、前記扉の閉状態において、前記扉本体部と前記開口縁部との間に介在して、これらの間隔を規制するためのスペーサと、を備える貯蔵庫。
【請求項2】
前記センターシールは、対をなす他の前記扉の前記センターシールに密着するシール本体部を有し、
前記シール本体部は、平面に視て前記ドアパッキンと重ならないように配置されると共に、前記扉の閉状態において、前記開口縁部の一部に密着する請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項3】
前記スペーサは、弾性部材である請求項1または請求項2に記載の貯蔵庫。
【請求項4】
前記スペーサは、磁石である請求項1または請求項2に記載の貯蔵庫。
【請求項5】
前記扉は、
前記センターシールの端部を覆う第1カバー部材と、
前記スペーサを取り付けるためのスペーサ取付部材と、を備え、
前記スペーサ、及び前記スペーサ取付部材は、前記第1カバー部材内に収容されている請求項1または請求項2に記載の貯蔵庫。
【請求項6】
前記扉は、前記センターシールの端部を覆う第1カバー部材を備え、
前記スペーサは、前記第1カバー部材に一体的に設けられている請求項1または請求項2に記載の貯蔵庫。
【請求項7】
前記扉は、
前記スペーサを取り付けるためのスペーサ取付部材と、
前記扉本体部の前記側縁に沿って設けられ、結露を防止するためのヒータと、
前記ヒータの一部を覆う第2カバー部材と、を備え、
前記スペーサ取付部材は、前記第2カバー部材に一体的に設けられている請求項1または請求項2に記載の貯蔵庫。
【請求項8】
前記扉は、
前記スペーサを取り付けるためのスペーサ取付部材と、
前記扉本体部の前記側縁に沿って設けられ、結露を防止するためのヒータと、を備え、
前記ヒータは、
前記側縁に沿って配索されるヒータ本体部と、
前記ヒータ本体部から前記側縁の両端部において折り返すように湾曲するヒータ湾曲部と、
前記ヒータ湾曲部から折り返されて、前記ヒータ本体部に並行するように前記側縁に沿って配索されるヒータ折り返し部と、
前記ヒータ折り返し部から延出し、前記側縁の延出方向についての中央位置に設けられた中央穴に挿通されるヒータ挿通部と、を有する請求項1または請求項2に記載の貯蔵庫。
【請求項9】
前記ヒータ本体部は、ヒータ線から構成され、
前記ヒータ湾曲部、前記ヒータ折り返し部、及び前記ヒータ挿通部は、電気配線から構成される請求項8に記載の貯蔵庫。
【請求項10】
前記センターシールは、前記開口縁部と前記ドアパッキンとの間に延出するヒレ部を有し、
前記シール本体部は、磁石が収容される中空部と、前記中空部と前記ヒレ部とを接続する接続部と、を有し、
前記中空部を構成する壁部、及び前記接続部の厚さは、実質的に同一である請求項2に記載の貯蔵庫。
【請求項11】
前記壁部の前記扉本体部と反対側の面には、潤滑性に優れたコーティング層が設けられている請求項10に記載の貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯蔵庫本体の開口の中央に柱状部材(センターピラー)が配置されず、間口を広く利用できるワイドスルー式(センターピラーレス)の冷却貯蔵庫が知られており、その一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の冷却貯蔵庫は、開口を開閉するために観音開き式の一対の扉を備えており、各扉には、シール用部材として、貯蔵庫本体の開口縁部に密着する枠状のドアパッキンに加えて、長手状のセンターシールが設けられている。
【0003】
センターシールは、各扉において対をなす他の扉側に位置する側縁に沿って設けられている。扉が閉じられると、センターシール同士が密着して、対向する2つの扉の間がシールされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-180766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところでセンターシールは一般に、柔軟性に優れた軟質樹脂によって形成されており、変形しやすい。このため扉を閉じる際に、使用者が扉を庫内側に押し込み過ぎると、センターシールの一部が貯蔵庫本体の開口縁部によって変形し、ひいてはセンターシール全体が意図せず大きく変形してしまうことがある。その結果、扉の閉状態において隙間等が生じてしまい、シール不良が生じることがある。
【0006】
本技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、センターシールの意図しない変形に伴うシール不良を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術に関わる貯蔵庫は、開口を有する断熱箱体である貯蔵庫本体と、前記開口を開閉し、観音開き式に対をなす2つの扉と、を備え、前記扉は、断熱材を含む扉本体部と、前記扉本体部の前記貯蔵庫本体側に設けられ、前記扉の閉状態において、前記扉本体部と、前記貯蔵庫本体の前記開口の開口縁部との間をシールするドアパッキンと、前記扉本体部において、対をなす他の前記扉側に位置する側縁に沿って長手状に設けられ、前記扉の閉状態において、他の前記扉との間をシールするセンターシールと、前記扉本体部の前記貯蔵庫本体側において、平面に視て前記ドアパッキン及び前記センターシールと重ならない位置に設けられ、前記扉の閉状態において、前記扉本体部と前記開口縁部との間に介在して、これらの間隔を規制するためのスペーサと、を備える。
【0008】
上記構成によれば、スペーサを設けることで、扉本体部と開口縁部との間に所定の間隔が保たれるようになる。このため扉を閉じる際に、使用者が扉を庫内側に押し込もうとしても、扉本体部に設けられたスペーサが開口縁部に接触し、扉本体部が過度に押し込まれることがなくなる。その結果、センターシールが貯蔵庫本体の開口縁部に強く押されて、意図せず変形してしまう事態が抑制され、シール不良を抑制できる。
【0009】
また、前記センターシールは、対をなす他の前記扉の前記センターシールに密着するシール本体部を有し、前記シール本体部は、平面に視て前記ドアパッキンと重ならないように配置されると共に、前記扉の閉状態において、前記開口縁部の一部に密着してもよい。このようにすれば、シール本体部によって、2つの扉の間がシールされると共に、シールされた2つの扉の間が開口縁部にシールされるようになる。一方、このような構成にすると、使用者が扉を庫内側に強く押し込んだ際にシール本体部が開口縁部に押し付けられ、変形しやすくなってしまう。このような場合であっても、スペーサを備えることで、センターシールが意図せず変形してしまう事態を抑制できる。
【0010】
また、前記スペーサは、弾性部材であってもよい。このようにすれば、スペーサのクッション(緩衝)機能を向上でき、スペーサが貯蔵庫本体の開口縁部に接触した場合に衝撃を吸収できると共に、開口縁部に傷が付く事態を抑制できる。
【0011】
また、前記スペーサは、磁石であってもよい。このようにすれば、スペーサが貯蔵庫本体の開口縁部と磁気的に密着するようになり、冷気の外部への流出を抑制しやすくなる。また、外気の庫内への流入を抑制でき、庫内の着霜を抑制できる。
【0012】
また、前記扉は、前記センターシールの端部を覆う第1カバー部材と、前記スペーサを取り付けるためのスペーサ取付部材と、を備え、前記スペーサ、及び前記スペーサ取付部材は、前記第1カバー部材内に収容されていてもよい。このようにすれば、スペーサを容易に取り付けることができ、センターシールの端部を覆う第1カバー部材内に、スペーサ、スペーサ取付部材を収容することで、これらが外部から視認されないようにできる。
【0013】
また、前記扉は、前記センターシールの端部を覆う第1カバー部材を備え、前記スペーサは、前記第1カバー部材に一体的に設けられていてもよい。このようにすれば、コストの増加を抑えつつ、スペーサを容易に設けることができる。
【0014】
また、前記扉は、前記スペーサを取り付けるためのスペーサ取付部材と、前記扉本体部の前記側縁に沿って設けられ、結露を防止するためのヒータと、前記ヒータの一部を覆う第2カバー部材と、を備え、前記スペーサ取付部材は、前記第2カバー部材に一体的に設けられていてもよい。このようにすれば、コストの増加を抑えつつ、スペーサを容易に設けることができる。
【0015】
また、前記扉は、前記スペーサを取り付けるためのスペーサ取付部材と、前記扉本体部の前記側縁に沿って設けられ、結露を防止するためのヒータと、を備え、前記ヒータは、前記側縁に沿って配索されるヒータ本体部と、前記ヒータ本体部から前記側縁の両端部において折り返すように湾曲するヒータ湾曲部と、前記ヒータ湾曲部から折り返されて、前記ヒータ本体部に並行するように前記側縁に沿って配索されるヒータ折り返し部と、前記ヒータ折り返し部から延出し、前記側縁の延出方向についての中央位置に設けられた中央穴に挿通されるヒータ挿通部と、を有していてもよい。このようにヒータ折り返し部を形成することで、ヒータ全体の長さを伸ばし、ヒータに流す電力を低減できる。その結果、高温になりやすいヒータ湾曲部が過度に温度上昇し、ヒータ湾曲部近傍のセンターシールが高温によって意図せず変形してしまう事態を抑制できる。
【0016】
また、前記ヒータ本体部は、ヒータ線から構成され、前記ヒータ湾曲部、前記ヒータ折り返し部、及び前記ヒータ挿通部は、電気配線から構成されてもよい。ヒータ湾曲部を電気配線(リード線)で構成することで、ヒータ湾曲部が過度に温度上昇する事態を解消できる。その結果、ヒータ湾曲部近傍に配置されるセンターシールの意図しない変形を抑制できる。
【0017】
また、前記センターシールは、前記開口縁部と前記ドアパッキンとの間に延出するヒレ部を有し、前記シール本体部は、磁石が収容される中空部と、前記中空部と前記ヒレ部とを接続する接続部と、を有し、前記中空部を構成する壁部、及び前記接続部の厚さは、実質的に同一であってもよい。このようにすれば、ヒレ部によって庫内側から外部へ冷気が流れることを抑制できる。そして、シール本体部の中空部及び接続部の厚さを均一にすることで、厚さの相違によってこの部分のセンターシールが変形しやすくなる事態を抑制できる。
【0018】
また、前記壁部の前記扉本体部と反対側の面には、潤滑性に優れたコーティング層が設けられていてもよい。中空部の壁部の扉本体部とは反対側の表面は、扉を閉める際に、対をなす他の扉と接触する。この接触時の摩擦をコーティング層によって低減することで、摩擦によってセンターシールが変形してしまう事態を抑制できる。
【発明の効果】
【0019】
本技術によれば、センターシールの意図しない変形に伴うシール不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態1に係る冷蔵庫の正面図
図2】扉を外した状態における冷蔵庫の正面図
図3】扉の後方斜視図
図4】扉の後面図
図5】扉の上面図
図6図4のA-A線断面図
図7図6のセンターシールの断面図
図8図5に、対をなす他の扉の断面を追加した断面図
図9図3の一角部付近拡大を拡大した斜視図
図10図9からストッパを取り外した斜視図
図11図10の上面図
図12】スペーサ、及びスペーサ取付部材の分解斜視図
図13】扉が閉じられる様子を示す上面図(ストッパを外した状態)
図14】比較例1に係る扉の意図しない変形を示す上面図(ストッパを外した状態)
図15】比較例1に係る扉が閉じられる様子を示す上面図(ストッパを外した状態)
図16】比較例1に係る扉の閉状態を示す上面図(ストッパを外した状態)
図17】ヒータを露出させた状態における扉の側面図
図18図13の上部を拡大した側面図
図19図13の中央穴付近を拡大した側面図
図20】ヒータの斜視図
図21】実施形態2に係るストッパの斜視図
図22】実施形態3に係るスペーサ、及びスペーサ取付部材の分解斜視図
図23】実施形態4に係るキャップエンドの斜視図
図24】実施形態5に係るヒータの斜視図
図25】他の実施形態に係るストッパの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態1>
実施形態1に係るワイドスルー式(センターピラーレス)の冷蔵庫10(貯蔵庫の一例)について図1から図20を参照して説明する。各図に示した符号F,B,L,R,U,Dはそれぞれ、冷蔵庫10の前後方向における前、後、正面から見たときの幅方向(左右方向)における左、右、鉛直方向(上下方向)の上、下を示している。
【0022】
冷蔵庫10は、図1に示すように、全体として縦長の略直方体状をなす4ドア式の冷蔵庫である。冷蔵庫10は、おおまかには、貯蔵庫本体11と、複数(具体的には4つ)の断熱性の扉15と、貯蔵庫本体11の上方に配された機械室12と、を備える。
【0023】
貯蔵庫本体11は、図2に示すように、前面に2つの開口11Aが形成された断熱箱体である。貯蔵庫本体11の内部は、食材等を貯蔵する貯蔵室14とされる。開口11Aは、貯蔵庫本体11に形成された一つの開口を横長状のフロントフレーム17によって上下に仕切ることで2つ形成されている。一方、貯蔵庫本体11には開口11Aを左右に仕切る縦長状の柱状部材(いわゆるセンターピラー)は設けられていない。従って、貯蔵庫本体11の開口11Aの開口縁部11B、17は、2つの開口11Aを取り囲む貯蔵庫本体11の矩形状の前面枠11B、及びフロントフレーム17によって構成されている。
【0024】
機械室12は、図1および図2に示すように、貯蔵庫本体11の上方に設けられている。機械室12には、冷却サイクルを構成する冷却装置(図示せず)が収容されている。冷却装置は、蒸発器や循環ファン等を備えて構成されている。冷却装置が稼働すると、蒸発器によって空気が冷却される。冷却された空気(冷気)は、循環ファンによって貯蔵室14内に循環供給され、これにより貯蔵室14内が冷却される。
【0025】
扉15は、図1に示すように、貯蔵庫本体11の前面に、上下に1対ずつ設けられている。一対の扉15は、観音開き式に左右に対をなす2つの扉15A、15Bからなる。それぞれの扉15A、15Bは、開口11Aを前方から開閉するように、貯蔵庫本体11に取り付けられている。左側の扉15Aは、ヒンジ16Aによって左側縁が、右側の扉15Bは、ヒンジ16Bによって右側縁が、貯蔵庫本体11に取り付けられている。これにより、左側の扉15Aは左側縁に沿った回動軸周りに、右側の扉15Bは右側縁に沿った回動軸周りに、それぞれ回動可能に軸支される。
【0026】
対をなす2つの扉15A、15Bは左右対称な形状をなしているものの、それ以外は同じ構成とされる。以降の説明では、主に右側の扉15Bの構成について説明する。また、扉15Bと対をなす左側の扉15Aを、他の扉15Aと称することがある。
【0027】
扉15Bは、おおまかには、図3から図6に示すように、扉本体部30と、ドアパッキン20と、第1マグネット29と、センターシール40と、第2マグネット49と、支持部材50と、ストッパ60(第1カバー部材)と、キャップエンド65(第2カバー部材)と、スペーサ70と、スペーサ取付部材75と、結露防止用のヒータ80と、を備える。以下、各部について詳しく説明する。
【0028】
[扉本体部30]
扉本体部30は、扉15Bの大部分を占めており、対向する外装板31と内装板32との間の内部空間に発泡樹脂(発泡ウレタンフォーム等)製の断熱材が充填された構造を有する。外装板31は、例えばステンレス鋼板等の金属で形成される。外装板31は、扉15Bの前面(庫外側の面)、及び他の扉15Aと対向する対向側縁31Aを構成している。内装板32は、例えば合成樹脂によって形成される。内装板32は、扉15Bの後面32A(庫内側の面)を構成している。
【0029】
扉15Bの後面32Aには、図3に示すように、その外周縁部に沿って矩形枠状のリブ32Bが形成されている。リブ32Bは庫内側に突出しており、扉15Bが閉じられると開口11A内に挿入される。リブ32Bは、庫内の冷気が内装板32と貯蔵庫本体11の開口縁部11B、17との間から庫外に漏れることを抑制するために設けられている。また後面32Aには、図6に示すように、ドアパッキン20が装着されるパッキン装着溝32Cが形成されている。
【0030】
[ドアパッキン20]
ドアパッキン20は、図3から図6に示すように、扉本体部30のパッキン装着溝32Cに取り付けられている。ドアパッキン20は、平面視において、扉本体部30のリブ32Bを取り囲むように、リブ32Bよりひと回り大きい矩形枠状をなしている。ドアパッキン20は、軟質樹脂等の弾性部材によって形成されている。ドアパッキン20は、パッキン本体21と、取付脚22と、を有する。
【0031】
取付脚22は、図6に示すように、内装板32のパッキン装着溝32Cに装着される。これにより、ドアパッキン20は、扉本体部30の後面32Aから突出した状態で、扉本体部30に取り付けられる。
【0032】
パッキン本体21は、扉15Bの閉状態において、貯蔵庫本体11の開口縁部11B、17に密着して、扉15Bと貯蔵庫本体11との間をシールする。ただし、パッキン本体21のうち、センターシール40に庫内側から覆われている部分は、開口縁部11B、17には直接密着せず、ヒレ部42を介して開口縁部11B、17に当てつけられる。
【0033】
パッキン本体21は、図6に示すように、マグネット保持部21Aと、弾性変形部21Bと、を有する。マグネット保持部21Aは角形の筒状をなす中空部であり、その内部空間に、角柱状の第1マグネット29が保持されている。第1マグネット29は、扉15Bが閉じられた際に貯蔵庫本体11の開口縁部11B、17に磁気的に吸着される。第1マグネット29は、開口縁部11B、17を構成する金属板、またはこれらに配設されたマグネットに吸引されるようになっている。
【0034】
パッキン本体21の弾性変形部21Bは、マグネット保持部21Aと取付脚22との間に位置して、マグネット保持部21Aを支持する。弾性変形部21Bは、内部に空洞を有する略筒状をなし、第1マグネット29を変位可能に支持する。弾性変形部21Bが、第1マグネット29の吸引力に応じて弾性変形し、貯蔵庫本体11の開口縁部11B、17に密着することで、扉15Bの扉本体部30と、開口縁部11B、17との間がシールされる。
【0035】
[支持部材50]
支持部材50は、センターシール40、及びヒータ80を支持する部材である。支持部材50は、長手状をなし、扉本体部30の対向側縁31Aの全長にわたって取り付けられている。支持部材50は、センターシール40よりも剛性の高い樹脂(例えば、硬質ポリ塩化ビニル樹脂)によって形成することが好ましい。支持部材50は、図6に示すように、ベース50Aと、スライド蓋50Bと、を有する。
【0036】
ベース50Aは、図6に示すように、扉本体部30の対向側縁31Aに固定される。ベース50Aの後端側部分(庫内側部分)は、対向側縁31Aより後方(庫内側)に突出している。ベース50Aは、略C型断面をなす第1係止部51と、2つの凸状の掛止部52、53と、ヒータ保持溝54と、を有する。第1係止部51は、ベース50Aのうち、後方に突出する部分に設けられている。第1係止部51には、後述するセンターシール40の第1被係止部43の延出端43Bが嵌入される。ヒータ保持溝54には、ヒータ80が保持される。
【0037】
スライド蓋50Bは、図6に示すように、対向側縁31Aに取り付けられたベース50Aの左側(他の扉15A側)に装着される。スライド蓋50Bは、ベース50Aに対して上方または下方からスライド挿入されることで、ベース50Aに嵌合される。スライド蓋50Bは、第2係止部56と、2つの掛止溝57、58と、を有する。2つの掛止溝57、58は、ベース50Aの掛止部52、53とそれぞれ嵌合する。第2係止部56には、後述するセンターシール40の第2被係止部44の延出端44Bが嵌入される。
【0038】
[センターシール40]
センターシール40は、長手状をなし、支持部材50に嵌入され支持されることで、扉本体部30の対向側縁31Aの全長にわたって取り付けられている。センターシール40は、図7に示すように、シール本体部41と、ヒレ部42と、第1被係止部43と、第2被係止部44と、リップ部45と、を有する。センターシール40は、第1被係止部43の延出端43B、及び第2被係止部44の延出端44Bが支持部材50に係止されることで、図6に示すように、ドアパッキン20との間に隙間G1を空けた状態で取り付けられる。センターシール40は、例えばオレフィン系エラストマー等の軟質樹脂により形成される。
【0039】
シール本体部41は、図8に示すように、他の扉15Aのセンターシール40に密着して、一対の扉15A、15Bの間をシールする。また、シール本体部41は、貯蔵庫本体11の開口縁部11B、17の一部に密着して、一対の扉15A、15Bの間と、開口縁部11B、17とをシールする。シール本体部41は、角形の筒状をなす中空部41Aと、平板状の接続部41Bと、を有する。
【0040】
中空部41Aの内部空間には、図6に示すように、扁平な角柱状をなす第2マグネット49が挿入されている。扉15A、15Bが閉じられると、両扉15A、15Bの第2マグネット49同士が互いに吸引し合い、中空部41A同士が密着して、扉15A、15Bの間がシールされる。また、扉15A、15Bが閉じられると、両扉15A、15Bの第2マグネット49は、貯蔵庫本体11の開口縁部11B、17にも磁気的に吸引され、中空部41Aの後面は開口縁部11B、17に密着する。
【0041】
接続部41Bは、中空部41Aと、ヒレ部42とを接続する部分である。接続部41Bの厚さL41Bは、図7に示すように、同一直線上に位置する中空部41Aの壁部の厚さL41Aと実質的に同一に形成されている。仮に、これらの厚さに相違があると、第2マグネット49が磁気的に吸引される際に、厚さの相違によって接続部41Bと、中空部41Aの壁部との伸縮具合が異なってしまう。その結果、シール本体部41に意図しない変形が生じ、一対の扉15A、15Bの間を貯蔵庫本体11の開口縁部11B、17に適切にシールすることができず、隙間等が発生してしまう懸念がある。その点、本実施形態では、接続部41Bと、同一直線上に位置する中空部41Aの壁部との厚さが実質的に同一であり、このような懸念を軽減できるようになっている。
【0042】
ヒレ部42は、図6及び図7に示すように、シール本体部41の接続部41Bの右端を基端部として、さらに右方(貯蔵庫本体11の開口縁部11B、17と、ドアパッキン20との間)に延出している。ヒレ部42は、肉薄に形成されており、ドアパッキン20のマグネット保持部21Aを後方(庫内側)から覆っている。またヒレ部42は、マグネット保持部21Aと、支持部材50の第1係止部51との間の隙間G1を覆っている。これにより、庫内の冷気が隙間G1を通って外部に流れることを抑制できる。
【0043】
リップ部45は、図7及び図8に示すように、シール本体部41とヒレ部42との間を基端部として後方に突出した部分である。リップ部45の上下方向の全長は、図3図4及び図9に示すように、シール本体部41及びヒレ部42に比べて小さく、これらの両端部(上端部及び下端部)とは重ならないように形成されている。リップ部45は、断面略傘状をなしている。リップ部45の突出端は、肉薄に形成されており、前方(庫外側)に僅かに傾斜しつつ、左方及び右方にそれぞれ延出している。リップ部45のうち左方に延出する部分は、シール本体部41を後方から覆っており、庫内側からシール本体部41に向かって流れる冷気を遮蔽する。リップ部45のうち右方に延出する部分は、ヒレ部42を後方から覆っており、庫内側からヒレ部42に向かって流れる冷気を遮蔽する。
【0044】
第1被係止部43は、図6に示すように、シール本体部41とドアパッキン20との間において、支持部材50を構成するベース50Aに係止される。第1被係止部43は、シール本体部41とヒレ部42との間を基端部として、支持部材50に向けて前方に延出している。また第1被係止部43の延出端43Bは、それ以外の部分よりも肉厚に形成されており、第1係止部51内に嵌入される。
【0045】
第1被係止部43の延出端43B以外の部分は、肉薄で、延出端43Bを第1係止部51内に嵌入させたときに、若干の余裕が残る延出長を有するように形成されている。これにより、第1被係止部43の延出端43Bを第1係止部51内に嵌入させ易くなっている。また、第2マグネット49の磁気的な吸引力に応じて、センターシール40が他の扉15A側に可動したり、復元したりするように、センターシール40に柔軟性を持たせることができる。
【0046】
第2被係止部44は、図6に示すように、支持部材50のスライド蓋50Bに係止される部分である。第2被係止部44は、シール本体部41の中空部41Aの下端部からスライド蓋50Bに向けて、前方に延出している。また第2被係止部44の延出端44Bは、それ以外の部分よりも肉厚に形成されており、第2係止部56内に嵌入される。第2被係止部44の延出端44B以外の部分は、肉薄に形成されている。
【0047】
また第2被係止部44の延出端44B以外の左面(扉本体部30と反対側の面)、及び中空部41Aの壁部の左面及び後面(扉本体部30と反対側の面)には、図7に示すように、潤滑性に優れたコーティング層47が形成されている。コーティング層47は、これらの表面に潤滑剤を塗布することで形成されている。コーティング層47が形成された当該表面は、それ以外の表面より潤滑性(摺動性)が高い。
【0048】
ところで、一の扉15Bが閉じられた後に、他の扉15Aが閉められる際には、図13に示すように、他の扉15Aのセンターシール40の中空部41Aの角部は、閉状態の扉15Bのセンターシール40の第2被係止部44に接触することとなる。この接触時の摩擦抵抗が大きいと、中空部41Aの角部は第2被係止部44に引っ掛かって干渉し、第2被係止部44の変形を生じる懸念がある。そこで本実施形態ではコーティング層47を設けることで、接触時の摩擦抵抗が低減され、他の扉15Aを摺動性良く閉じることができるようになっている。これにより、摩擦によってセンターシール40の第2被係止部44が意図せず変形してしまう事態を抑制できる。なお、図7及び図13以外の図面においては、他の部材を明示するため、コーティング層47は省略されている。
【0049】
[ストッパ60(第1カバー部材)]
ストッパ60は、図3図4及び図9に示すように、扉本体部30の対向側縁31Aの上端部、及び下端部に1つずつ設けられている。ストッパ60は、軟質樹脂製の浅いトレー状の蓋体であり、後述するキャップエンド65(図10)に係合することで取り付け固定されている。ストッパ60は、センターシール40の上端部又は下端部、センターシール40とドアパッキン20との隙間G1、キャップエンド65、スペーサ70、スペーサ取付部材75、及びこれらの取り付けに用いられるネジ等を覆う大きさを有する。これらの各種部品は、図9及び図10の比較によって示されるように、ストッパ60によって覆い隠され、外部から視認されないようになっている。また当該隙間G1は、ストッパ60によって上下方向から覆われており、これにより隙間G1内への周辺空気の流入が抑制され、結露の発生が低減されるようになっている。
【0050】
[キャップエンド65(第2カバー部材)]
キャップエンド65は、図10及び図11に示すように、扉本体部30の対向側縁31Aの上端部および下端部に1つずつ設けられている。キャップエンド65は、扉本体部30の上面、又は下面の対向側縁31A側にネジ止め固定されている。キャップエンド65は、略L字状をなし、扉本体部30の上面、又は下面から対向側縁31Aに沿う方向に屈曲している。キャップエンド65は、支持部材50のベース50Aの上端部又は下端部、並びにヒータ80の上端部又は下端部(より詳しくは後述するヒータ湾曲部82)を、上方又は下方から覆う大きさを有する。
【0051】
[スペーサ70]
本実施形態に係るスペーサ70は、直方体状の弾性部材であり、例えばゴム製とされる。スペーサ70は、図10から図12に示すように、扉本体部30の後面の上端部、又は下端部に設けられている。より詳しくは、スペーサ70は、扉本体部30の後面において、ドアパッキン20の上部より上側、又は下部より下側において、センターシール40よりヒンジ16B側(対向側縁31Aと反対側)に設けられている。スペーサ70は、平面に視てドアパッキン20及びセンターシール40と重ならないように配置されている。またスペーサ70の突出面70A(後面、庫内側の面)は、ドアパッキン20のマグネット保持部21Aの後面と同程度に後方に突出している。
【0052】
このようにすれば、スペーサ70は、扉15Bの閉状態において、扉本体部30と開口縁部11B、17との間に介在し、これらの間隔を規制できる。扉15Bが閉じられる際には、スペーサ70の突出面70Aが開口縁部11B、17に接触することで、扉15Bが過度に押し込まれる事態を防止できる。その結果、センターシール40に意図しない変形が生じてしまう事態を抑制でき、ひいてはシール不良を抑制できる。またスペーサ70は、平面に視てドアパッキン20及びセンターシール40と重ならないように配置されると共に、突出面70Aの位置(突出長L70A)は、ドアパッキン20及びセンターシール40が開口縁部11B、17に密着できるように調整されている。従ってスペーサ70によれば、ドアパッキン20及びセンターシール40の開口縁部11B、17に対するシール性を確保しつつ、扉本体部30と開口縁部11B、17との間隔を規制し、扉15Bが過度に押し込まれる事態を防止できる。
【0053】
仮に、スペーサ70が設けられていない扉915A、915Bの場合(以下、この場合を比較例1とする)、扉915Bが過度に押し込まれると、センターシール40の第2被係止部44は、図14に示すように扉本体部30と反対側(ヒンジ16Bと反対側)に突出するように撓み、意図しない変形が生じることとなる。この状態で、他の扉915Aが閉められると、図15に示すように、他の扉15Aのセンターシール40の中空部41Aの角部が、扉15Bのセンターシール40の撓んだ第2被係止部44に接触して、引っ掛かってしまう。そして、この状態で他の扉15Aが強引に閉じられると、図16に示すように、センターシール40と開口縁部11B、17との間には、隙間G2が生じ、シール不良が生じてしまう。
【0054】
これに対して、本実施形態ではスペーサ70を設けることで、上記したシール不良を抑制できる。また、スペーサ70を弾性部材によって構成することで、クッション(緩衝)機能を向上できる。スペーサ70が開口縁部11B、17に接触した場合に、衝撃を吸収できると共に、開口縁部11B、17に傷が付く事態を抑制できる。
【0055】
[スペーサ取付部材75]
スペーサ取付部材75は、スペーサ70を取り付けるための部材である。スペーサ取付部材75は、図10から図12に示すように、所定の形状に切断、折り曲げ加工された板金部品(ブラケット)である。スペーサ取付部材75の一端部は、扉本体部30の上面、又は下面とキャップエンド65との間に挿入されて、キャップエンド65と共にネジ止め固定されている。スペーサ取付部材75の他端部75Aは、庫内側に突出し、スペーサ70を保持している。スペーサ70は、ネジ及び接着剤によって当該他端部75Aに取り付け固定されている。スペーサ取付部材75を設けることで、スペーサ70を扉本体部30に容易に取り付けることができる。
【0056】
[ヒータ80]
ヒータ80は、図17から図20に示すように、コード状をなし、扉本体部30の対向側縁31Aに沿って設けられている。ヒータ80は、ヒータ本体部81と、ヒータ湾曲部82と、ヒータ折り返し部83と、ヒータ挿通部84と、モールド部85と、を有する。なお、図17から図19は、ヒータ80を明示するために、扉15Bからセンターシール40、スライド蓋50B、ストッパ60、キャップエンド65、スペーサ70、スペーサ取付部材75を取り外した状態を示している。
【0057】
ヒータ本体部81は、対向側縁31Aに沿って配索される発熱部である。ヒータ湾曲部82は、ヒータ本体部81から対向側縁31Aの両端部(上端部、及び下端部)において折り返すように湾曲する部分である。ヒータ折り返し部83は、ヒータ湾曲部82から折り返されて、ヒータ本体部81と並行するように対向側縁31Aに沿って配索される部分である。
【0058】
本実施形態では、ヒータ本体部81、ヒータ湾曲部82、及びヒータ折り返し部83は全てヒータ線から構成されており、一体化されている。ヒータ線は、例えばガラス製の芯材にニクロム線等が巻き付けられ、これらをシリコンゴムによって被覆した構成とされる。ヒータ挿通部84は、対向側縁31Aの上下方向(延出方向)についての中央位置に設けられた中央穴31A1に挿通される部分である。なお、対向側縁31Aに取り付けられたベース50Aには、中央穴31A1と平面に視て重なる挿通穴が形成されているものとされる。ヒータ挿通部84は、例えば銅線が被覆された電気配線であるリード線から構成されている。モールド部85は、ヒータ線とリード線との接続具であり、本実施形態ではヒータ折り返し部83と、ヒータ挿通部84とを接続している。なお、ヒータ挿通部84(リード線)のモールド部85と反対側の端部は、図3に示すように、扉本体部30の内部を通って、ヒンジ16Bを取り付けるための穴から外部に延出している。
【0059】
ヒータ本体部81は、図6及び図18に示すように、対向側縁31Aに取り付けられたベース50Aのヒータ保持溝54に収容される。ヒータ挿通部84及びモールド部85は、ベース50Aとスライド蓋50Bとの間の内部空間に収容される。ヒータ湾曲部82は、図18に示すように、ベース50Aの上端部、又は下端部よりも僅かに上方、又は下方に突出している。当該突出部分は、既述したようにキャップエンド65に覆われている。
【0060】
ところで、ヒータ湾曲部82は、その形状等からヒータ80の他の部分よりも高温になりやすい。このため、ヒータ湾曲部82近傍のセンターシール40は、熱によって意図しない変形が生じる懸念がある。本実施形態では、モールド部85の位置を中央穴31A1近傍に近づけることで、ヒータ折り返し部83の長さを大きくしている。これにより、ヒータ線に印加する電力を低減(例えば、6.5Wから3Wに半減)した場合であっても、結露防止に十分な発熱量を確保しつつ、ヒータ湾曲部82が過度に高温になる事態を抑制できる。その結果、センターシール40の熱による意図しない変形を抑制し、ひいてはシール不良を抑制できる。
【0061】
<実施形態2>
実施形態2に係るスペーサ170、及びストッパ160について、図21を参照して説明する。スペーサ170は、ストッパ160に一体的に設けられている点が実施形態1と異なる。実施形態1と同様の構成、及び作用効果についての重複説明は省略する。
【0062】
スペーサ170は、ストッパ160の内部において、貯蔵庫本体11の開口縁部11B、17と接触する位置に設けられている。スペーサ170は、軟質樹脂製のストッパ160に一体形成されている。このようにすれば、スペーサ170を設けるにあたって追加部品(実施形態1に係るスペーサ取付部材75等)、及びその取付作業が不要となる。低コスト化できると共に、取付作業を効率化できる。
【0063】
<実施形態3>
実施形態3に係るスペーサ270、スペーサ取付部材175について、図22を参照して説明する。スペーサ270は、磁石である点が実施形態1と異なる。実施形態1及び実施形態2と同様の構成、及び作用効果についての重複説明は省略する。
【0064】
スペーサ270は磁石であり、スペーサ取付部材175は、スペーサ270を上方から収容できる収容部175Bを有する。このようにすれば、仮に貯蔵庫本体11の開口縁部11B、17が撓んでしまった場合であっても、スペーサ270が開口縁部11B、17に磁気的に吸着され、冷気漏れや庫内の着霜の原因となる隙間の発生を抑制できる。特に開口縁部17であるフロントフレーム17は、庫内側の面が庫内冷気により収縮する一方、庫外側の面はヒータの発熱によって膨張するため、左右方向における中央部が前方(庫外側)に突出するように撓みやすい。このような撓みが生じた場合であっても、スペーサ270が開口縁部11B、17に吸着することで、当該隙間を効果的に抑制できる。また、スペーサ270はスペーサ取付部材175の収容部175Bに容易に出し入れできるため、着脱作業が容易になり、スペーサ270の大きさによって磁力調整も可能となる。
【0065】
<実施形態4>
実施形態4に係るキャップエンド165について、図23を参照して説明する。スペーサ270は、キャップエンド165に収容される点が実施形態1と異なる。実施形態1から実施形態3と同様の構成、及び作用効果についての重複説明は省略する。
【0066】
キャップエンド165は、実施形態1に係るキャップエンド65と形状が異なる。キャップエンド165は、磁石であるスペーサ270を上方から収容できる収容部165Aを有する。すなわち、キャップエンド165は、スペーサ取付部材としての役割も担っている。このようにすれば、スペーサ270を設けるにあたって追加部品が不要となり、低コスト化できる。また、スペーサ270の着脱作業が容易になり、スペーサ270の大きさによって磁力調整も可能となる。
【0067】
<実施形態5>
実施形態5に係るヒータ180について、図24を参照して説明する。ヒータ180は、ヒータ湾曲部182、及びヒータ折り返し部183がヒータ線ではなく、電気配線(リード線)から構成されている点が実施形態1と異なる。実施形態1から実施形態4と同様の構成、及び作用効果についての重複説明は省略する。
【0068】
本実施形態では、ヒータ湾曲部182、ヒータ折り返し部183、及びヒータ挿通部84はリード線から構成されており、一体化されている。モールド部85は、本実施形態ではヒータ本体部81と、ヒータ湾曲部182とを接続している。このようにすれば、ヒータ湾曲部182はヒータ線でないため高温にならず、ヒータ湾曲部182近傍のセンターシール40が、熱によって意図せず変形してしまう事態を抑制できる。
【0069】
<他の実施形態>
本技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本技術の技術的範囲に含まれる。
【0070】
(1)貯蔵庫本体11の構成は図示に限られない。開口11Aの数、及び一対の扉15の数は、適宜変更可能である。また開口11Aは、貯蔵庫本体11の構成によっては前面開口でなく、天面開口であっても構わない。
【0071】
(2)スペーサ70、170、270の形状は図示に限られない。例えば、ストッパ160に一体的に設けられるスペーサ170は、図25に示すように、中空部を有する形状であっても構わない。
【符号の説明】
【0072】
10:冷蔵庫(貯蔵庫)、11:貯蔵庫本体、11A:開口、11B:前面枠(開口縁部)、15、15A、15B:扉、17:フロントフレーム(開口縁部)、20:ドアパッキン、30:扉本体部、31A:対向側縁(側縁)、31A1:中央穴、40:センターシール、41:シール本体部、41A:中空部、41B:接続部、42:ヒレ部、47:コーティング層、60、160:ストッパ(第1カバー部材)、65、165:キャップエンド(第2カバー部材)、70、170、270:スペーサ、75、175:スペーサ取付部材、80、180:ヒータ、81:ヒータ本体部、82、182:ヒータ湾曲部、83、183:ヒータ折り返し部、84:ヒータ挿通部
図1
図2
図3
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図10
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