(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030041
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】ウェーハ支持板及びそれを備えた半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20240229BHJP
C23C 16/46 20060101ALI20240229BHJP
C23C 14/50 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H01L21/68 U
C23C16/46
C23C14/50 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132584
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】315002243
【氏名又は名称】ユナイテッド・セミコンダクター・ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100210480
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 学
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 聡
【テーマコード(参考)】
4K029
4K030
5F131
【Fターム(参考)】
4K029DA08
4K029JA01
4K030GA02
4K030KA23
4K030KA26
5F131BA03
5F131CA12
5F131CA35
5F131DA05
5F131DA22
5F131DA42
5F131EA03
5F131EA04
5F131EA24
5F131EB72
5F131EB81
5F131EB82
5F131GA05
5F131GA32
(57)【要約】
【課題】ウェーハ上に成膜後に同じチャンバ内で移動可能でかつ成膜後のウェーハの処理を可能とする構成を有するウェーハ支持体及びそれを備えた半導体製造装置を提供することである。
【解決手段】本発明のウェーハ支持板10は、ウェーハWを支持する平坦部1と、平坦部1の外周に周回状に配置し、ウェーハWよりも厚く形成された外周凸部2とを備え、平坦部1は、穴開き支持部1Aと、穴開き支持部1Aの外側に配置し、ウェーハWの外周端部Woを支持する環状支持部1Bとからなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハを支持する平坦部と、前記平坦部の外周に周回状に配置し、ウェーハよりも厚く形成された外周凸部とを備え、
前記平坦部は、穴開き支持部と、前記穴開き支持部の外側に配置し、ウェーハの外周端部を支持する環状支持部とからなる、ウェーハ支持板。
【請求項2】
前記外周凸部には上面から内周側壁に連通するガス導入管が形成されている、請求項1に記載のウェーハ支持板。
【請求項3】
前記穴開き支持部は線状の部分からなり、前記平坦部の中心に対して対称な線状パターンを有する、請求項1又は2に記載のウェーハ支持板。
【請求項4】
前記穴開き支持部は、前記平坦部の中心を円中心とするリング状部と、前記リング状部から前記環状支持部へと放射状に線状で延伸する放射線状部と、を有する、請求項3に記載のウェーハ支持板。
【請求項5】
前記穴開き支持部は、前記平坦部の中心から前記環状支持部へと放射状に線状で延伸する放射線状部からなる、請求項3に記載のウェーハ支持板。
【請求項6】
前記穴開き支持部は、前記平坦部の中心から前記環状支持部へと放射状に線状で延伸する放射線状部と、前記平坦部の中心を同心円の中心として同心円状に配置される複数のリング状部とを有する、請求項3に記載のウェーハ支持板。
【請求項7】
前記穴開き支持部は、前記平坦部の中心を円中心とするリング状部と、前記リング状部から前記環状支持部へと放射状に線状で延伸する放射線状部と、前記リング状部から前記環状支持部へと非放射状に線状で延伸する非放射線状部とを有する、請求項3に記載のウェーハ支持板。
【請求項8】
前記外周凸部は、前記上面に設けられたガス導入孔と、前記内周側壁に設けられたガス放出孔と、前記ガス導入孔と前記ガス放出孔を連通するガス流通経路とからなる前記ガス導入管を備える、請求項2に記載のウェーハ支持板。
【請求項9】
請求項1又は2に記載のウェーハ支持板と、
ウェーハが載置される載置面を有し、前記載置面に溝パターンが形成されているヒーター台と、
前記ウェーハ支持板を上下方向に移動させる移動機構と、
前記ウェーハ支持板及び前記ヒーター台を収容するチャンバと、
前記チャンバの外壁に設けられたガス供給管と、を備え、
前記ウェーハ支持板は、前記穴開き支持部の一部が前記溝パターン内に収容されている、半導体製造装置。
【請求項10】
前記外周凸部を支持する支持ピンを備え、
前記移動機構が前記支持ピンを上下移動させることによってウェーハ支持板を上下方向に移動させる、請求項9に記載の半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハ支持板及びそれを備えた半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数種の膜を成膜する成膜装置において、成膜材料や条件が異なる工程毎にチャンバを設置し、ウェーハをチャンバに搬送して成膜を行う成膜装置が知られている。
【0003】
ヒーター台を用いてウェーハを加熱し、例えば、スパッタリング法等の成膜法によって、金属膜を成膜することがある。成膜が完了したら、別の工程チャンバに、ウェーハ搬送して成膜を続ける、あるいは必要に応じて冷却工程により、ウェーハを冷却する。例えば、スパッタリング法によって複数種の膜を成長する際には、複数チャンバにウェーハを搬送して、各々成膜を実施する場合が多く、ウェーハ搬送チャンバも含め、工程チャンバは金属膜の酸化を防止するために高真空に維持されている。
【0004】
ウェーハを支持する構造は種々知られている(例えば、特許文献1~10)。例えば、特許文献1に開示されたウェーハ支持構造はウェーハの側面と外周裏面を支える構造に特徴があるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-182009号公報
【特許文献2】特開2000-286328号公報
【特許文献3】特開2017-228705号公報
【特許文献4】特開2016-207932号公報
【特許文献5】国際公開第2016/174860号
【特許文献6】特開2020-107857号公報
【特許文献7】特開2021-153122号公報
【特許文献8】特開平6-132231号公報
【特許文献9】特開平10-107126号公報
【特許文献10】特開2005-15820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高真空中では熱伝導度が低く、成膜後のウェーハは概ね成膜時の温度が維持される。このため、搬送に時間を要すると、その間、ウェーハ上に成膜された金属膜の熱履歴が長時間となり、低耐熱性の金属膜では膜形状が変化したり、あるいは膜質が劣化する。
【0007】
特許文献1に開示されたウェーハ支持構造はウェーハ裏面を支える構造を有さない。また、外周部に凸部が設けられているものの、周回状ではなく、その高さ(厚み)もウェーハよりも低いものとなっているため、そのウェーハ支持構造を用いて、チャンバ内壁との間に閉鎖空間を形成することはできない。また、このウェーハ支持構造の外周側を仮に独立したウェーハ支持構造として移動可能とした場合で何らかの方法でチャンバ内壁との間に閉鎖空間を設けることができたとしても、ウェーハの表面側と裏面側に差圧が生じる際に加わる力がウェーハの外周部に集中し、ウェーハ破損の確率が高まる。
【0008】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、ウェーハ上へのプロセス処理後に同じチャンバ内で移動可能でかつプロセス処理後のウェーハの温度調整処理を可能とする構成を有するウェーハ支持体及びそれを備えた半導体製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
【0010】
本発明の態様1は、ウェーハを支持する平坦部と、前記平坦部の外周に周回状に配置し、ウェーハよりも厚く形成された外周凸部とを備え、前記平坦部は、穴開き支持部と、前記穴開き支持部の外側に配置し、ウェーハの外周端部を支持する環状支持部とからなる、ウェーハ支持板である。
【0011】
本発明の態様2は、態様1のウェーハ支持板において、前記外周凸部には上面から内周側壁に連通するガス導入管が形成されている。
【0012】
本発明の態様3は、態様1又は態様2のウェーハ支持板において、前記穴開き支持部は線状の部分からなり、前記平坦部の中心に対して対称な線状パターンを有する。
【0013】
本発明の態様4は、態様1から態様3のいずれか一つのウェーハ支持板において、前記穴開き支持部は、前記平坦部の中心を円中心とするリング状部と、前記リング状部から前記環状支持部へと放射状に線状で延伸する放射線状部と、を有する。
【0014】
本発明の態様5は、態様1から態様3のいずれか一つのウェーハ支持板において、前記穴開き支持部は、前記平坦部の中心から前記環状支持部へと放射状に線状で延伸する放射線状部からなる。
【0015】
本発明の態様6は、態様1から態様3のいずれか一つのウェーハ支持板において、前記穴開き支持部は、前記平坦部の中心から前記環状支持部へと放射状に線状で延伸する放射線状部と、前記平坦部の中心を同心円の中心として同心円状に配置される複数のリング状部とを有する。
【0016】
本発明の態様7は、態様1から態様3のいずれか一つのウェーハ支持板において、前記穴開き支持部は、前記平坦部の中心を円中心とするリング状部と、前記リング状部から前記環状支持部へと放射状に線状で延伸する放射線状部と、前記リング状部から前記環状支持部へと非放射状に線状で延伸する非放射線状部とを有する。
【0017】
本発明の態様8は、態様1から態様7のいずれか一つのウェーハ支持板において、前記穴開き支持部が3mm以上30mm以下の幅の線状部からなる。
【0018】
本発明の態様9は、態様1から態様8のいずれか一つのウェーハ支持板において、前記外周凸部は、前記上面に設けられたガス導入孔と、前記内周側壁に設けられたガス放出孔と、前記ガス導入孔と前記ガス放出孔を連通するガス流通経路とからなる前記ガス導入管を備える。
【0019】
本発明の態様10は、態様9のウェーハ支持板において、前記ガス流通経路は、前記外周凸部内を周回状に配置される。
【0020】
本発明の態様11は、態様9又は態様10のウェーハ支持板において、前記ガス導入管は、離間して配置する前記ガス放出孔を複数有する。
【0021】
本発明の態様12は、態様1から態様11のいずれか一つのウェーハ支持板において、 融点が500℃以上の耐熱材料からなる。
【0022】
本発明の態様13は、態様12のウェーハ支持板において、前記耐熱材料がSUS、Ti合金、Ni合金、Co合金、Ta合金又はMo合金のいずれかを含むものからなる、若しくはそれらの組み合わせを含むものからなる。
【0023】
本発明の態様14は、態様1から態様13のいずれか一つのウェーハ支持板と、ウェーハが載置される載置面を有し、前記載置面に溝パターンが形成されているヒーター台と、前記ウェーハ支持板を上下方向に移動させる移動機構と、前記ウェーハ支持板及び前記ヒーター台を収容するチャンバと、前記チャンバの外壁に設けられたガス供給管と、を備え、前記ウェーハ支持板は、前記穴開き支持部の一部が前記溝パターン内に収容されている、半導体製造装置である。
【0024】
本発明の態様15は、態様14の半導体製造装置において、前記ガス供給管はガス排出管を兼ねる。
【0025】
本発明の態様16は、態様14の半導体製造装置において、前記チャンバの外壁に設けられたガス排出管をさらに備える。
【0026】
本発明の態様17は、態様14の半導体製造装置において、前記外周凸部を支持する支持ピンを備え、前記移動機構が前記支持ピンを上下移動させることによってウェーハ支持板を上下方向に移動させる。
【0027】
本発明の態様18は、態様17の半導体製造装置において、前記支持ピンが前記外周凸部の下面から前記外周凸部を支持する。
【0028】
本発明の態様19は、態様17の半導体製造装置において、前記支持ピンが前記外周凸部の上面から前記外周凸部を支持する。
【0029】
本発明の態様20は、態様17の半導体製造装置において、前記支持ピンが前記外周凸部の外周側面から突出する第1部分と、前記第1部分に接続され、上方に延伸する第2部分とを有し、前記支持ピンが前記外周凸部を支持する。
【発明の効果】
【0030】
本発明のウェーハ支持体によれば、ウェーハ上へのプロセス処理後に同じチャンバ内で移動可能でかつプロセス処理後のウェーハの温度調整処理を可能とする構成を有するウェーハ支持体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】(a)は第1実施形態に係るウェーハ支持板の概略構成を示す平面模式図であり、(b)は(a)で示したウェーハ支持板についてX-X線で切った断面模式図である。
【
図2】(a)はウェーハ及びウェーハを載置する前のウェーハ支持板の平面模式図であり、(b)はウェーハを載置した状態のウェーハ支持板の平面模式図である。
【
図3】
図1に示したウェーハ支持板の変形例の概略構成を示す平面模式図である。
【
図4】
図1に示したウェーハ支持板の他の変形例の概略構成を示す平面模式図である。
【
図5】
図1に示したウェーハ支持板の他の変形例の概略構成を示す平面模式図である。
【
図6】(a)は第2実施形態に係るウェーハ支持板の概略構成を示す平面模式図であり、(b)は(a)で示したウェーハ支持板についてX-X線で切った断面模式図である。
【
図7】(a)は
図6に示したウェーハ支持板の変形例の概略構成を示す平面模式図であり、(b)は(a)とは異なる他の変形例の概略構成を示す平面模式図である。
【
図8】(a)は
図6に示したウェーハ支持板の他の変形例の概略構成を示す平面模式図であり、(b)は
図6に示したウェーハ支持板の他の変形例の概略構成を示す平面模式図であり、(c)は
図6に示したウェーハ支持板の他の変形例の概略構成を示す平面模式図である。
【
図9】第1実施形態に係る半導体製造装置の概略構成を示す断面模式図であり、(a)は成膜時の配置を示すものであり、(b)はウェーハWの冷却時の配置を示すものである。
【
図10】(a)はウェーハ支持体をヒーター台の上に載置する前のそれぞれの平面模式図であり、(b)はウェーハ支持体をヒーター台の上に載置した状態の平面模式図である。
【
図11】(a)は
図10に示したヒーター台の他の変形例の概略構成を示す平面模式図であり、(b)は(a)とは異なる他の変形例の概略構成を示す平面模式図であり、(c)は(a)とは異なるさらに他の変形例の概略構成を示す平面模式図である。
【
図12】第2実施形態に係る半導体製造装置の概略構成を示す断面模式図であり、(a)は成膜時の配置を示すものであり、(b)はウェーハWの冷却時の配置を示すものである。
【
図13】(a)はウェーハ支持体をヒーター台の上に載置する前のそれぞれの平面模式図であり、(b)はウェーハ支持体をヒーター台の上に載置した状態の平面模式図である。
【
図14】(a)は
図13に示したヒーター台の他の変形例の概略構成を示す平面模式図であり、(b)は(a)とは異なる他の変形例の概略構成を示す平面模式図であり、(c)は(a)とは異なるさらに他の変形例の概略構成を示す平面模式図である。
【
図15】第3実施形態に係る半導体製造装置の概略構成を示す断面模式図であり、(a)は成膜時の配置を示すものであり、(b)はウェーハWの冷却時の配置を示すものである。
【
図16】第3実施形態に係る半導体製造装置の他の例の概略構成を示す断面模式図であり、(a)は成膜時の配置を示すものであり、(b)はウェーハWの冷却時の配置を示すものである。
【
図17】(a)は
図15に示す半導体製造装置における支持ピン及びリフトピンとフォークとの配置関係を示す平面模式図であり、(b)
図16に示す半導体製造装置における支持ピン及びリフトピンとフォークとの配置関係を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
以下、特に説明しない場合でも、一つの実施形態で説明した構成を、他の実施形態に適用してもよい。
【0033】
〔ウェーハ支持板〕
(第1実施形態)
図1(a)に、第1実施形態に係るウェーハ支持板の概略構成を示す平面模式図を示し、(b)に、(a)で示したウェーハ支持板についてX-X線で切った断面模式図を示す。
図2(a)に、ウェーハ及びウェーハを載置する前のウェーハ支持板の平面模式図を示し、(b)に、ウェーハを載置した状態のウェーハ支持板の平面模式図を示す。
【0034】
図1に示すウェーハ支持板10は、ウェーハWを支持する平坦部1と、平坦部1の外周に周回状に配置し、ウェーハWよりも厚く形成された外周凸部2とを備え、平坦部1は、穴開き支持部1Aと、穴開き支持部1Aの外側に配置し、ウェーハWの外周端部Woを支持する環状支持部1Bとからなる。
【0035】
本発明に係るウェーハ支持板は、ウェーハを加熱するヒーター台を有する半導体製造装置内で用いる部材である。本発明に係るウェーハ支持板は、成膜時にウェーハをヒーター台上に載置後にヒーター台の載置面に形成された溝内にその一部が収容されて、ウェーハWから離間できるように構成されている。本発明に係るウェーハ支持板は、成膜後のウェーハWの冷却の際に、成膜時のチャンバの内壁とウェーハWとともに、冷却用ガスを内部に保持できる閉鎖空間を作れるように構成されている。
【0036】
<平坦部>
平坦部1は、ウェーハWの内側部Wiが載置される穴開き支持部1Aと、内側部Wiの外周に配置する外周端部Woが載置される環状支持部1Bとからなる。平坦部1は平面視にてウェーハWと同様な形状を有しており、円状のウェーハWの場合は円状である。穴開き支持部1Aも円状であり、環状支持部1Bは円環状である。
平坦部1は、ウェーハWを支持する支持機能、成膜時にはヒーター台の載置面に形成された溝内に一部が収容される収容機能、及び、成膜後のウェーハWの処理(例えば、冷却、加熱など)に際してチャンバの内壁、外周凸部及びウェーハWとともに閉鎖空間を形成する閉鎖機能を有する。
平坦部1の支持機能は穴開き支持部1A及び環状支持部1Bが担い、収容機能は穴開き支持部1Aが担い、閉鎖機能は主に環状支持部1Bが担う。
成膜後のウェーハWの温度調整処理としては例えば、高温成膜後の冷却が挙げられる。これ以外にも、低温成膜後の加熱処理や極低温におけるプロセス処理後の常温復帰などを例示できる。したがって、ウェーハWの温度調整処理は、高温成膜後の冷却に限定されない。
以下では、成膜後のウェーハWの温度調整処理として、主に高温成膜後の冷却を例に挙げて説明する。
【0037】
平坦部1の厚みは例えば、3mm以上30mm以下とすることができる。
【0038】
穴開き支持部は穴が開いている部分を有する部材であり、ヒーター台のウェーハの載置面に形成された溝のパターン(溝パターン)の溝内に収容される部分を有する部材である。穴開き支持部1Aはヒーター台の載置面の溝パターンの溝内に収容される部分を有することによって上記収容機能を有する。従って、穴開き支持部1Aの溝内に収容される部分のパターンは、使用されるヒーター台のウェーハ載置面の溝パターンに応じて決定される。
【0039】
図1に示す穴開き支持部1Aは線状の部分だけからなる線状支持部である。上記の収容機能を満たす限りは、穴開き支持部1Aは線状の部分ではない部分(非線状部分)を有してもよい。穴開き支持部1Aが線状の部分だけからなる線状支持部である場合、平坦部の中心Oに対して対称な線状パターンを有することが好ましい。
以下では、穴開き支持部1Aが線状支持部である場合について図を用いて説明する。なお、本明細書において、線状の部分と線状の部分とが交わる部分(例えば、
図4の点状部21AA、
図5の点状部31AA)は非線状部分に含めない。従って、
図4に示す穴開き支持部21A、及び、
図5に示す穴開き支持部31Aは線状支持部である。
【0040】
穴開き支持部1Aは、平坦部1の中心Oを円中心とするリング状部1AAと、リング状部1AAから環状支持部1Bへと放射状に線状に延伸する8本の放射線状部1Aa、1Ab、1Ac、1Ad、1Ae、1Af、1Ag及び1Ahを有する構成である。
図1(a)に示す穴開き支持部1Aは放射線状部が8本の構成であるが、8本は例示であり、7本以下や9本以上であってもよい。
また、8本の放射線状部は、円中心Oに対して直径上に対称な位置に配置する2本の放射線状部の組が4組(放射線状部1Aa及び1Ae、放射線状部1Ab及び1Af、放射線状部1Ac及び1Ag、放射線状部1Ad及び1Ah)からなる構成である。穴開き支持部1Aでは放射線状部の配置が対称性を有するが、対称性を有する構成に限定されない。
ここで、本明細書において“放射線状”とは、1点を中心にして複数の線が周囲に直線状に伸びている様を意味し、それら複数の線がその中心を出発点として伸びている場合と、その中心から離間したそれぞれの箇所を出発点として伸びている場合のいずれも含む。8本の放射線状部1Aa、1Ab、1Ac、1Ad、1Ae、1Af、1Ag及び1Ahは平坦部1の中心Oを中心にして、中心Oから離間したリング状部1AA上のそれぞれの箇所を出発点として直線状に伸びている。8本の放射線状部はいずれも、平坦部1の中心Oから周囲に伸びた直線上に配置しており、“放射線状”に伸びている。
【0041】
穴開き支持部1Aの幅は例えば、3mm以上30mm以下とすることができる。
【0042】
環状支持部1Bは連続的に周回状に形成されている。「連続的に」とは、断続箇所あるいは間欠箇所を有さず、途切れずに続いていることを意味する。閉鎖機能を発揮するためである。
【0043】
環状支持部1Bの厚みは一定であることが好ましい。閉鎖機能を確実に発揮するためであり、厚みが一定ではない部分を有する場合よりも使用期間の長期化を図れるからである。
環状支持部1Bの幅は例えば、2mm以上100mm以下とすることができる。
【0044】
環状支持部1Bの幅w1は
図1(a)に示すように一定であることが好ましい。幅が一定ではない部分を有する場合よりも使用期間の長期化を図れるからである。
【0045】
環状支持部1Bの外径R1及び内径R2はウェーハWの直径Rwとの間で、R2<Rw<R1との関係を有するように設定される。チャンバの内壁、外周凸部及びウェーハWとともに閉鎖空間を形成するためには、ウェーハWが平坦部1に載置されたときにウェーハWと平坦部1とが重なる方向(Z方向)から視て穴開き支持部1Aが見えないようなサイズの関係であることが必要である。穴開き支持部1Aが見える場合は重なる方向から視て隙間を有することになり、閉鎖空間を形成できない。
【0046】
また、仮にウェーハWがずれたときにも隙間ができないために、環状支持部1Bの外径R1及び内径R2がウェーハWの直径Rwとの間で、下記式(1)の関係を有することが好ましい。
【0047】
【0048】
<外周凸部>
図1(b)では、ウェーハWがウェーハ支持板10上に載置された状態を示している。また、後述する半導体製造装置において、成膜後のウェーハWの冷却の際にウェーハ支持板10とチャンバ50の内壁50Aとで閉鎖空間Kを形成することを示すために、チャンバ50を点線で示してウェーハ支持板10とチャンバ50との配置構成を示した。
【0049】
外周凸部2は、ウェーハWの冷却に際してチャンバの内壁及びウェーハWとともに閉鎖空間を形成する閉鎖機能を有する。具体的には、外周凸部2は、ウェーハWの冷却に際してその上面2Aがチャンバ50の内壁50Aと接触する状態とすることによって、ウェーハWを内部に収容された状態で閉鎖空間Kを形成することができる。
この機能を発揮するため、外周凸部2は連続的に周回状に形成されている。
【0050】
また、外周凸部2は、ウェーハWの冷却に際してその上面2Aがチャンバ50の内壁50Aと接触する状態としたときに、ウェーハWがチャンバ50の内壁50Aに接触することがないように、ウェーハWを閉鎖空間K内に収容する収容空間確保機能を有する。そのために、その厚みt2がウェーハWの厚みtwよりも厚く形成されている。
ウェーハWの厚みtwは通常、0.8mm以下であるから、外周凸部2の厚みt2は2mm以上である。外周凸部2の厚みt2は、5~60mmであることが好ましい。
【0051】
外周凸部2の幅は例えば、5mm以上100mm以下とすることができる。
【0052】
外周凸部2の上面2Aに、チャンバ50の内壁50Aとの間の気密性を向上するために、例えば、溝を形成してOリング等の気密性を高める公知の部材を設置する構成としてもよい。
【0053】
後述するように、閉鎖空間Kに冷却用ガスを導入することによって閉鎖空間K内に配置するウェーハWを冷却することができる。また、閉鎖空間Kが形成された内壁50A近傍のチャンバ50の外壁50Bを冷媒(例えば、冷却水)で冷やす冷却部を設けることによって、冷却効率を高めることができる。また冷却だけに限らず、処理後のウェーハが低温である場合には、用途に応じて加熱体によって加熱する、あるいは常温に戻すといったことも必要な部材を採用することで対応することもできる。
【0054】
ウェーハ支持板10は、半導体製造装置内で金属膜の成膜時に使用可能とするために耐熱性を有することが好ましい。ウェーハ支持板10は例えば、融点が500℃以上の耐熱材料からなることが好ましい。かかる耐熱材料としてはSUS、Ti合金、Ni合金、Co合金、Ta合金及びMo合金からなる群から選択された材料を用いることができる。また、耐熱材料として例示した材料を組み合わせて用いることもできる。
【0055】
ウェーハ支持板10は、平坦部1と外周凸部2とが別体のもので公知の方法で接合されて構成されたものでもよいし、鋳造、鍛造あるいは切削加工等によって一体で成形されたものでもよい。
【0056】
(変形例1)
図3は、
図1に示したウェーハ支持板の変形例の概略構成を示す平面模式図である。
図3に示すウェーハ支持板は、平坦部の構成が
図1に示したウェーハ支持板と異なっている。
以下、
図1に示したウェーハ支持板と共通する構成要素については同じ符号を付してその説明を省略する。また、
図1に示したウェーハ支持板の平坦部と共通する特徴は説明を省略する。
【0057】
図3に示すウェーハ支持板10Aは、ウェーハWを支持する平坦部11と、平坦部11の外周に周回状に配置し、ウェーハWよりも厚く形成された外周凸部2とを備え、平坦部11は、穴開き支持部11Aと、穴開き支持部11Aの外側に配置し、ウェーハWの外周端部Woを支持する環状支持部1Bとからなる点は
図1に示したウェーハ支持板10と共通する。また、穴開き支持部11Aが平坦部11の中心Oを円中心とするリング状部11AAと、リング状部11AAから環状支持部1Bへと放射状に線状に延伸する放射線状部を有する点も
図1に示したウェーハ支持板10と共通する。
一方、穴開き支持部11Aがリング状部11AAから環状支持部1Bへと非放射状に線状に延伸する非放射線状部を有する点が、
図1に示したウェーハ支持板10と異なる。すなわち、8本の放射線状部11Aab、11Ab、11Acb、11Ad、11Aeb、11Af、11Agb及び11Ahは、平坦部11の中心Oを中心にして放射状に伸びた線上に配置するのに対して、8本の非放射線状部11Aaa、11Aac、11Aca、11Acc、11Aea、11Aec、11Aga及び11Agcは、平坦部11の中心Oを中心にして放射状に伸びた線上に配置していない。非放射線状部11Aaa及び11Aacは放射線状部11Aabに平行に延伸し、非放射線状部11Aca及び11Accは放射線状部11Acbに平行に延伸し、非放射線状部11Aea及び11Aecは放射線状部11Aebに平行に延伸し、非放射線状部11Aga及び11Agcは放射線状部11Agbに平行に延伸する。
8本の放射線状部は、円中心Oに対して直径上に対称な位置に配置する2本の放射線状部の組が4組(放射線状部11Aab及び11Aeb、放射線状部11Ab及び11Af、放射線状部11Acb及び11Agb、放射線状部11Ad及び11Ah)からなる構成である。これに対して、8本の非放射線状部は、円中心Oを通らない直線上に配置する2本の放射線状部の組が4組(非放射線状部11Aaa及び11Aec、非放射線状部11Aac及び11Aea、非放射線状部11Aca及び11Agc、非放射線状部11Acc及び11Aga)からなる構成である。
【0058】
図3に示す穴開き支持部11Aは放射線状部及び非放射線状部がいずれも8本の構成であるが、8本は例示であり、7本以下や9本以上であってもよく、また、放射線状部及び非放射線状部の数が異なっていてもよい。
【0059】
(変形例2)
図4は、
図1に示したウェーハ支持板の他の変形例の概略構成を示す平面模式図である。
図4に示すウェーハ支持板は、平坦部の構成が
図1に示したウェーハ支持板と異なっている。
以下、
図1に示したウェーハ支持板と共通する構成要素については同じ符号を付してその説明を省略する。また、
図1に示したウェーハ支持板の平坦部と共通する特徴は説明を省略する。
【0060】
図4に示すウェーハ支持板10Bは、ウェーハWを支持する平坦部21と、平坦部21の外周に周回状に配置し、ウェーハWよりも厚く形成された外周凸部2とを備え、平坦部21は、穴開き支持部21Aと、穴開き支持部21Aの外側に配置し、ウェーハWの外周端部Woを支持する環状支持部1Bとからなる点は
図1に示したウェーハ支持板10と共通する。
一方、穴開き支持部21Aはリング状部を有さず、その代わりに平坦部21の中心Oに点状部21AAと、点状部21AAから環状支持部1Bへと放射状に線状に延伸する放射線状部を有する。すなわち、放射線状部21Aa、21Ab、21Ac、21Ad、21Ae、21Af、21Ag及び21Ahは、平坦部21の中心Oを中心にして放射状に伸びた線上に配置する。8本の放射線状部は、円中心Oに対して直径上に対称な位置に配置する2本の放射線状部の組が4組(放射線状部21Aa及び21Ae、放射線状部21Ab及び21Af、放射線状部21Ac及び21Ag、放射線状部21Ad及び21Ah)からなる構成である。
【0061】
図4に示す穴開き支持部21Aは放射線状部が8本の構成であるが、8本は例示であり、7本以下や9本以上であってもよい。
【0062】
(変形例3)
図5は、
図1に示したウェーハ支持板の変形例の概略構成を示す平面模式図である。
図5に示すウェーハ支持板は、平坦部の構成が
図1に示したウェーハ支持板と異なっている。
以下、
図1に示したウェーハ支持板と共通する構成要素については同じ符号を付してその説明を省略する。また、
図1に示したウェーハ支持板の平坦部と共通する特徴は説明を省略する。
【0063】
図5に示すウェーハ支持板10Cは、ウェーハWを支持する平坦部31と、平坦部31の外周に周回状に配置し、ウェーハWよりも厚く形成された外周凸部2とを備え、平坦部31は、穴開き支持部31Aと、穴開き支持部31Aの外側に配置し、ウェーハWの外周端部Woを支持する環状支持部1Bとからなる点は
図1に示したウェーハ支持板10と共通する。
一方、穴開き支持部31Aは平坦部31の中心Oに点状部31AAと、中心Oを同心円の中心として同心円状に配置するリング状部31AB、31ACと、点状部31AAから環状支持部1Bへと放射状に線状に延伸する放射線状部とを有する。
放射線状部31Aa、31Ab、31Ac、31Ad、31Ae、31Af、31Ag及び31Ahは、平坦部31の中心Oを中心にして放射状に伸びた線上に配置する。8本の放射線状部は、円中心Oに対して直径上に対称な位置に配置する2本の放射線状部の組が4組(放射線状部31Aa及び31Ae、放射線状部31Ab及び31Af、放射線状部31Ac及び31Ag、放射線状部31Ad及び31Ah)からなる構成である。
【0064】
図5に示す穴開き支持部31Aは放射線状部が8本の構成であるが、8本は例示であり、7本以下や9本以上であってもよい。
また、
図5に示す穴開き支持部31Aはリング状部が2本の構成であるが、2本は例示であり、1本や3本以上の複数本であってもよい。
【0065】
(第2実施形態)
図6(a)は、第2実施形態に係るウェーハ支持板の概略構成を示す平面模式図であり、(b)は、(a)で示したウェーハ支持板についてX-X線で切った断面模式図である。
【0066】
第2実施形態に係るウェーハ支持板は、外周凸部がガス導入管を備える点が、第1実施形態に係るウェーハ支持板との主な差異である。
以下、第1実施形態に係るウェーハ支持板と共通する構成要素については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0067】
第2実施形態に係るウェーハ支持板は、外周凸部がガス導入管を備える構成であるため、チャンバの内壁、ウェーハWとともに閉鎖空間を形成した後に、チャンバの外壁に設けられたガス供給管から外周凸部のガス導入管を介して冷却用ガスを閉鎖空間内に導入してウェーハWを冷却できる。
【0068】
図6に示すウェーハ支持板20は、ウェーハWを支持する平坦部1と、平坦部1の外周に周回状に配置し、ウェーハWよりも厚く形成された外周凸部12とを備え、平坦部1は、穴開き支持部1Aと、穴開き支持部1Aの外側に配置し、ウェーハWの外側部Woを支持する環状支持部1Bとからなり、外周凸部12は、上面12Aに設けられたガス導入孔12aaと内周側壁12Bに設けられたガス放出孔12abと、ガス導入孔12aaとガス放出孔12abを連通するガス流通経路12acとからなるガス導入管12aとを有する。
ガス流通経路は
図6(b)に示すように外周凸部を周回せずにガス導入孔とガス放出孔とを繋ぐ構成でもよいし、
図7(a)、(b)に示すように外周凸部を周回してからガス導入孔とガス放出孔とを繋ぐ構成でもよい。
【0069】
図6に示したウェーハ支持板20は、平坦部については
図1に示したウェーハ支持板10と同様の構成を備えているが、
図3~
図5のいずれかに示した平坦部を備える構成であってもよい。
【0070】
(変形例1、2)
図7(a)、(b)は、
図6に示したウェーハ支持板の変形例の概略構成を示す平面模式図である。
図7(a)、(b)に示す変形例は、
図6に示したウェーハ支持板20に対して、ガス導入管の構成、具体的には、ガス流通経路の長さ及びガス放出孔の数が異なっている。
以下、
図6に示したウェーハ支持板と共通する構成要素については同じ符号を付してその説明を省略する。また、
図6に示したウェーハ支持板の平坦部と共通する特徴は説明を省略する。
【0071】
図7(a)に示す変形例1としてのウェーハ支持板20Aは、ウェーハWを支持する平坦部1と、平坦部1の外周に周回状に配置し、ウェーハWよりも厚く形成された外周凸部22とを備え、平坦部1は、穴開き支持部1Aと、穴開き支持部1Aの外側に配置し、ウェーハWの外周端部Woを支持する環状支持部1Bとからなり、外周凸部22は、上面22Aに設けられたガス導入孔22aaと内周側壁に設けられた4個のガス放出孔22ab1、22ab2、22ab3、22ab4と、ガス導入孔22aaとガス放出孔22ab1、22ab2、22ab3、22ab4を連通するガス流通経路22acとからなるガス導入管22aを有する。
なお、図においては、外周凸部22の内部に配置するガス流通経路22acは実際には見えないが、配置構成を示すために点線にて図示している。
【0072】
図7(a)に示すウェーハ支持板20Aにおいては、ガス流通経路22acは外周凸部22の1周にわたり周回状に形成されており、等間隔で配置する4個のガス放出孔22ab1、22ab2、22ab3、22ab4からガスを導入することができる。
【0073】
図7(a)に示すウェーハ支持板20Aにおいては、ガス放出孔を4個備えるが、4個は例示であり、3個以下や5個以上の複数個であってもよい。ガス放出孔をガス流通経路22acの任意の箇所に任意の数を等間隔又は非等間隔で配置してもよい。
【0074】
図7(b)に示す変形例2としてのウェーハ支持板20Bは、ウェーハWを支持する平坦部1と、平坦部1の外周に周回状に配置し、ウェーハWよりも厚く形成された外周凸部32とを備え、平坦部1は、穴開き支持部1Aと、穴開き支持部1Aの外側に配置し、ウェーハWの外周端部Woを支持する環状支持部1Bとからなり、外周凸部32は、上面32Aに設けられたガス導入孔32aaと内周側壁に設けられた3個のガス放出孔32ab1、32ab2、32ab3と、ガス導入孔32aaとガス放出孔32ab1、32ab2、32ab3を連通するガス流通経路32acとからなるガス導入管32aとを有する。
なお、外周凸部32の内部に配置するガス流通経路32acは実際には見えないが、図においては配置構成を示すために点線にて図示している。
【0075】
図7(b)に示すウェーハ支持板20Bにおいては、ガス流通経路32acは外周凸部32の約3/4周に周回状に形成されており、3個のガス放出孔32ab1、32ab2、32ab3からガスを導入することができる。
ガス流通経路32acの延伸する長さは3/4周は例示であり、1周未満の任意の長さに形成することができる。
【0076】
図7(b)に示すウェーハ支持板20Bにおいては、ガス放出孔はガス流通経路32acの先端部と終端部とその間の3箇所に備える(3個備える)が、3個は例示であり、2個以下や4個以上の複数個であってもよい。また、ガス放出孔をガス流通経路32acの任意の箇所に任意の数を等間隔又は非等間隔で配置してもよい。
【0077】
(変形例3~5)
図8(a)~(c)は、
図6に示したウェーハ支持板の他の変形例の概略構成を示す平面模式図である。
図8(a)~(c)に示す変形例は、
図6に示したウェーハ支持板20に対して、平坦部の構成が異なっている。また、各変形例はさらに、ガス導入管の構成が異なっていてもよい。
以下、
図6に示したウェーハ支持板と共通する構成要素については同じ符号を付してその説明を省略する。また、
図6に示したウェーハ支持板の平坦部と共通する特徴は説明を省略する。
【0078】
図8(a)に示す変形例3のウェーハ支持板20Cは、ウェーハWを支持する平坦部11と、平坦部11の外周に周回状に配置し、ウェーハWよりも厚く形成された外周凸部42とを備え、平坦部11は、穴開き支持部11Aと、穴開き支持部11Aの外側に配置し、ウェーハWの外周端部Woを支持する環状支持部1Bとからなる。穴開き支持部11Aは、平坦部11の中心Oを円中心とするリング状部11AAと、リング状部11AAから環状支持部1Bへと放射状に線状に延伸する放射線状部11Aab、11Ab、11Acb、11Ad、11Aeb、11Af、11Agb及び11Ahと、リング状部11AAから環状支持部1Bへと非放射状に線状に延伸する非放射線状部11Aaa、11Aac、11Aca、11Acc、11Aea、11Aec、11Aga及び11Agcを有する。
【0079】
図8(a)に示す穴開き支持部11Aは放射線状部及び非放射線状部がいずれも8本の構成であるが、8本は例示であり、7本以下や9本以上であってもよく、また、放射線状部及び非放射線状部の数が異なっていてもよい。
【0080】
外周凸部42は、上面42Aに設けられたガス導入孔42aaと内周側壁に設けられたガス放出孔(不図示)と、ガス導入孔42aaとガス放出孔(不図示)を連通するガス流通経路(不図示)とからなるガス導入管42aとを有する。ガス流通経路は
図6(b)に示すように外周凸部を周回せずにガス導入孔とガス放出孔とを繋ぐ構成でもよいし、
図7(a)、(b)に示すように外周凸部を周回してからガス導入孔とガス放出孔とを繋ぐ構成でもよい。
ガス導入管42aは、外周凸部42の1周にわたり周回状に形成され、等間隔又は非等間隔で配置するガス放出孔からガスを導入する構成であってもよい(
図7a参照)。
ガス導入管42aは、外周凸部42の1周未満の任意の長さにわたり周回状に形成され、等間隔又は非等間隔で配置するガス放出孔からガスを導入する構成であってもよい(
図7b参照)。
【0081】
図8(b)に示す変形例4のウェーハ支持板20Dは、ウェーハWを支持する平坦部21と、平坦部21の外周に周回状に配置し、ウェーハWよりも厚く形成された外周凸部52とを備え、平坦部21は、穴開き支持部21Aと、穴開き支持部21Aの外側に配置し、ウェーハWの外周端部Woを支持する環状支持部1Bとからなる。穴開き支持部21Aはリング状部を有さず、その代わりに平坦部21の中心Oに点状部21AAと、点状部21AAから環状支持部1Bへと放射状に線状に延伸する放射線状部21Aa、21Ab、21Ac、21Ad、21Ae、21Af、21Ag及び21Ahを有する。
【0082】
図8(b)に示す穴開き支持部21Aは放射線状部が8本の構成であるが、8本は例示であり、7本以下や9本以上であってもよい。
【0083】
外周凸部52は、上面52Aに設けられたガス導入孔52aaと内周側壁に設けられたガス放出孔(不図示)と、ガス導入孔52aaとガス放出孔(不図示)を連通するガス流通経路(不図示)とからなるガス導入管52aとを有する。ガス流通経路は
図6(b)に示すように外周凸部を周回せずにガス導入孔とガス放出孔とを繋ぐ構成でもよいし、
図7(a)、(b)に示すように外周凸部を周回してからガス導入孔とガス放出孔とを繋ぐ構成でもよい。
ガス導入管52aは、外周凸部52の1周にわたり周回状に形成され、等間隔又は非等間隔で配置するガス放出孔からガスを導入する構成であってもよい(
図7a参照)。
ガス導入管52aは、外周凸部52の1周未満の任意の長さにわたり周回状に形成され、等間隔又は非等間隔で配置するガス放出孔からガスを導入する構成であってもよい(
図7b参照)。
【0084】
図8(c)に示す変形例5のウェーハ支持板20Eは、ウェーハWを支持する平坦部31と、平坦部31の外周に周回状に配置し、ウェーハWよりも厚く形成された外周凸部62とを備え、平坦部31は、穴開き支持部31Aと、穴開き支持部31Aの外側に配置し、ウェーハWの外周端部Woを支持する環状支持部1Bとからなる。穴開き支持部31Aは平坦部31の中心Oに点状部31AAと、中心Oを同心円の中心として同心円状に配置するリング状部31AB、31ACと、点状部31AAから環状支持部1Bへと放射状に線状に延伸する放射線状部31Aa、31Ab、31Ac、31Ad、31Ae、31Af、31Ag及び31Ahとを有する。
【0085】
図8(c)に示す穴開き支持部31Aは放射線状部が8本の構成であるが、8本は例示であり、7本以下や9本以上であってもよい。
また、
図8(c)に示す穴開き支持部31Aはリング状部が2本の構成であるが、2本は例示であり、1本や3本以上の複数本であってもよい。
【0086】
外周凸部62は、上面62Aに設けられたガス導入孔62aaと内周側壁に設けられたガス放出孔(不図示)と、ガス導入孔62aaとガス放出孔(不図示)を連通するガス流通経路(不図示)とからなるガス導入管62aとを有する。ガス流通経路は
図6(b)に示すように外周凸部を周回せずにガス導入孔とガス放出孔とを繋ぐ構成でもよいし、
図7(a)、(b)に示すように外周凸部を周回してからガス導入孔とガス放出孔とを繋ぐ構成でもよい。
ガス導入管62aは、外周凸部62の1周にわたり周回状に形成され、等間隔又は非等間隔で配置するガス放出孔からガスを導入する構成であってもよい(
図7a参照)。
ガス導入管62aは、外周凸部62の1周未満の任意の長さにわたり周回状に形成され、等間隔又は非等間隔で配置するガス放出孔からガスを導入する構成であってもよい(
図7b参照)。
【0087】
〔半導体製造装置〕
(第1実施形態)
図9は、第1実施形態に係る半導体製造装置の概略構成を示す断面模式図であり、(a)は成膜時の配置を示すものであり、(b)はウェーハWの冷却時の配置を示すものである。
図10は、本発明に係るウェーハ支持体の構成とヒーター台の構成との関係を説明するための図であり、(a)はウェーハ支持体をヒーター台の上に載置する前のそれぞれの平面模式図であり、(b)はウェーハ支持体をヒーター台の上に載置した状態の平面模式図である。
【0088】
図9に示す半導体製造装置100は、
図1に示したウェーハ支持板10と、ウェーハWが載置される載置面40Aを有し、載置面40Aに溝パターン40G(
図10(a)参照)が形成されているヒーター台40と、ウェーハ支持板10を上下方向に移動させる移動機構と、ウェーハ支持板10及びヒーター台40を収容するチャンバ50と、チャンバ50の外壁に設けられたガス供給管51と、を備え、ウェーハ支持板10は、穴開き支持部1Aの一部が溝パターン40G内に収容されている。
本明細書において“穴開き支持部の一部が溝内に収容されている”あるいは“穴開き支持部の一部が溝パターン内に収容されている”とは、穴開き支持部の上面がヒーター台の載置面よりも下方に位置するように、穴開き支持部の一部が溝内に収まっていること意味する。このように、溝パターン40Gの深さDと穴開き支持部1Aの厚みt
1とがD>t
1を満たすように、ウェーハ支持板及びヒーター台が形成されている。従って、ウェーハがヒーター台の載置面に載置されたときに穴開き支持部はウェーハに接触しない状態となる。
【0089】
半導体製造装置100としては、ウェーハWを加熱して成膜する手段を備える構成のものであれば公知のタイプの半導体製造装置例えば、スパッタリング法、化学気相堆積(Chemical Vapor Deposition:以下CVDと略記する)法、蒸着法、など成膜するものを用いることができ、特に制限はない。或いは、ウェーハWを過冷却して処理する手段を備える構成の物であれば公知のタイプの半導体製造装置例えば、プラズマエッチング法などウェーハ上の材料を除去するものを用いることができ、特に制限はない。以下、成膜するものとしてスパッタリング法を例として加熱されたウェーハを成膜後に冷却することについて説明を行うが、過冷却されたウェーハをエッチング処理後に常温に戻す(加熱する方向)ことも適宜部材を変更する等で半導体製造装置として構成することが可能であることは容易に理解されよう。
図9に示す半導体製造装置100は、一例としてスパッタリング法によって金属膜を成膜できる半導体製造装置である。符号101はスパッタリングターゲットである。半導体製造装置100は、スパッタリングターゲット101を冷却するためにチャンバ50の外壁50Bのスパッタリングターゲット101の近傍に冷却水CWを流している。
【0090】
チャンバ50としては例えば、アルミニウム製あるいはSUS製などの金属製で略円筒体のものを用いることができるが、これに限定されない。
【0091】
ヒーター台40は、ウェーハを載置してウェーハを加熱するタイプのものを用いることができる。典型的なものとしては、抵抗加熱型のもの、誘導加熱型のものを挙げることができる。
ヒーター台40はヒーターからの熱を効率よくウェーハに伝えるとともに、成膜用ガス、エッチング用ガス等に対して耐食性があることが要求されるため、ヒーター台40の基材としては、絶縁性を維持するためにセラミック材料を用いる場合が多いが、これに限定されない。
【0092】
ヒーター台40の載置面40Aには溝パターン40Gが設けられている。
図10(a)に示すヒーター台40では、溝パターン40Gは、溝40Aa、40Ab、40Ac、40Ad、40Ae、40Af、40Ag、40Ah、40Abb、40Add、40Aff、40Ahh及び40AAからなる。載置面40AはZ方向からの平面視にて円形であり、溝パターン40Gはその円の中心HOに対して対称に形成されている。すなわち、溝パターン40Gは、溝パターン40Gの中心HOを円中心とするリング状溝40AAと、リング状溝部40AAから放射状に線状に延伸する8本の放射線状溝40Aa、40Ab、40Ac、40Ad、40Ae、40Af、40Ag及び40Ahと、放射線状溝40Abと40Afとを接続する直線状溝40Abb及び40Affと、放射線状溝40Adと40Ahとを接続する直線状溝40Add及び40Ahhとからなる。放射線状溝40Ab及び40Afと直線状溝40Abb及び40Affとは中心HOを通り、直線状に連通する溝である。また、放射線状溝40Ad及び40Ahと直線状溝40Add及び40Ahhとは中心HOを通り、直線状に連通する溝である。
【0093】
ウェーハ支持体10の穴開き支持部1Aは、ヒーター台40の載置面40Aの溝パターン40Gの溝内に収容可能に形成されている。
穴開き支持部1Aを構成するリング状部1AAは溝40AA内に収容され、穴開き支持部1Aを構成する8本の放射線状部1Aa、1Ab、1Ac、1Ad、1Ae、1Af、1Ag及び1Ahはそれぞれ、溝40Aa、40Ab、40Ac、40Ad、40Ae、40Af、40Ag、40Ahの各溝内に収容される。また、
図9(a)に示すように、穴開き支持部1Aは、その厚みt
1が溝パターン40Gの深さDよりも薄く形成されている。この構成によって、ウェーハ支持体10をヒーター台40の載置面40Aに載置したときに、穴開き支持部1Aが溝パターン40Gの溝内に収容された状態になる。
ウェーハWがウェーハ支持体10に載置されたヒーター台の載置面に載置されたときに線状部はウェーハに接触しない状態となる。
【0094】
ヒーター台40の載置面40Aの溝パターン40Gは、ウェーハWをヒーター台40に配置して加熱する際にAr等の不活性ガスを流す溝として用いられるものでもよい。この場合、溝は、ウェーハWから離してウェーハ支持板10を収容しておくための溝であり、かつ、Ar等の不活性ガスを流すための溝として共用されるものとなる。
【0095】
図9(a)に示す半導体製造装置100はさらに、ウェーハ支持板10の外周凸部2の下面を支持する支持ピン111、112を備え、移動機構(不図示)が支持ピン111、112を上下移動させることによってウェーハ支持板10を上下方向に移動させることができる。
図9(a)に示す半導体製造装置100では、支持ピン111、112がウェーハ支持板10の外周凸部2の下面2Cから外周凸部2を支持する構成であるが、これに限定されず、チャンバの上方からウェーハ支持板10を吊り上げる吊り上げ機構を有する構成でもよい。吊り上げ機構については後で詳述する。
【0096】
図9(a)に示す半導体製造装置100はさらに、ウェーハWの裏面から支持するリフトピン101A、101B、101Cを有する。リフトピン101A、101B、101Cはヒーター台40の貫通孔に挿通されており、その下端部を昇降シャフト(不図示)に支持されている。昇降シャフトを昇降することによって、リフトピン101A、101B、101Cが昇降し、その上端部でウェーハWの昇降を行うことができる。
図9(a)に示す半導体製造装置100では、リフトピンを3本備えるが、3本は例示であり、4本以上であってもよい。また、リフトピンの配置箇所も例示であり、他の箇所に配置してもよい。
【0097】
図9に示す半導体製造装置100において、ウェーハWへの成膜から成膜後のウェーハWの冷却の流れの一例を説明する。
【0098】
まず、ウェーハWを載せたウェーハ支持体10をヒーター台40に載置する(
図9(a)参照)。この際、ウェーハ支持体10の穴開き支持部1Aがヒーター台40の載置面40Aの溝パターン40Gの溝内に収容されるように、ウェーハ支持体10をヒーター台40に載置する。ウェーハ支持体10の穴開き支持部1Aがヒーター台40の溝パターン40Gの溝内に収容されると、穴開き支持部1Aの上端が載置面40Aより深い位置に埋没して配置することになる。この際、ウェーハWは載置面40Aに載置され、ウェーハWの裏面は載置面40Aと面一に位置するので、ウェーハ支持体10はウェーハWから離間することになる。
【0099】
次に、ウェーハWをヒーター台40で加熱しながら、例えば、金属膜をウェーハWに成膜する。
【0100】
次に、リフトピン101A、101B、101CによってウェーハWをヒーター台40の載置面40Aから離間させ、支持ピン111、112によってウェーハ支持体10の外周凸部2を押し上げてウェーハWをウェーハ支持体10の穴開き支持部1Aに載せ、ウェーハ支持体10を上昇させる。この際、リフトピン101A、101B、101Cを用いなくても、ウェーハ支持体10が上昇するとウェーハWがウェーハ支持体10の穴開き支持部1Aに載り、ウェーハ支持体10と共にウェーハWが上方に移動できるので、支持ピン111、112だけでウェーハ支持体10及びウェーハWの上昇移動を行ってもよい。
【0101】
ウェーハ支持体10及びウェーハWの上昇移動によって、ウェーハ支持体10の外周凸部2の上面2Aをチャンバ50の内壁50Aに接触させる(
図9(b)参照)。このとき、チャンバ50の内壁50A、ウェーハ支持体10の外周凸部2、及び、ウェーハWによって閉鎖空間Kが形成される。
【0102】
次に、この閉鎖空間Kに、ガス供給管51から冷却用ガス(例えば、Arガス)を導入する。閉鎖空間K内に導入された冷却用ガスはチャンバ50の外壁50Bに流れる冷却水によって外壁50Bが冷やされることで、内壁50Aから外壁50Bへと熱伝導が行われて冷やされる。閉鎖空間K内は冷却用ガスで充満するので、冷却水によって冷却されたスパッタリングターゲット101とウェーハWとの間でもガスを介した熱伝導が高まり、ウェーハWの冷却効率が高まる。
スパッタリングターゲット101を有さない半導体製造装置を用いた場合は、冷却水によって冷却されたチャンバ50の内壁50AとウェーハWとの間の熱伝導によってウェーハWを冷却する。
【0103】
閉鎖空間K以外は高真空雰囲気を維持することができるので、ヒーター台40からウェーハWへの熱伝導やチャンバ雰囲気への熱伝導を遮断して、ヒーター台40の温度変化を抑制することができる。
ウェーハWの冷却中において、冷却用ガスを導入した閉鎖空間Kの圧力を例えば、1~10Torr(133Pa~1333Pa)、閉鎖空間K以外のチャンバ内の圧力は例えば、10mTorr(1.33Pa)程度とすることができる。
【0104】
以上のように、本発明に係る半導体製造装置においては、ヒーター台によりウェーハを加熱しながら金属膜を成膜し、成膜が完了したら、同一チャンバ内で、ヒーター台上からウェーハを離間させる移動・支持機構を用いてウェーハWをスパッタリングターゲット近傍に移動させて、ウェーハを冷却することができる。
成膜を行ったチャンバと別のチャンバに搬送することなく、ウェーハを冷却できるため、成膜後から冷却開始までの時間を短縮することができ、金属膜の熱履歴を改善することが可能となる。ヒーター台からウェーハを離間させるため、ヒーター台の温度変化を最小化でき、続くウェーハWの成膜への影響を最小とすることが可能となる。
【0105】
(変形例1~3)
図11(a)~(c)は、
図10に示したヒーター台の他の変形例の概略構成を示す平面模式図である。
図11(a)~(c)に示すヒーター台はそれぞれ、
図4、
図5、
図6に示したウェーハ支持板10A、ウェーハ支持板10B、ウェーハ支持板10Cのそれぞれに対応するヒーター台である。ウェーハ支持板に対応するヒーター台とは、ウェーハ支持板の穴開き支持部がヒーター台の載置面の溝パターンの溝内に収容されるヒーター台であることを意味する。換言すると、ウェーハがヒーター台の載置面に載置されたときに、ウェーハ支持板の穴開き支持部がウェーハに接触しない状態でヒーター台に載置されることを意味する。
【0106】
図11(a)~(c)においては、ウェーハ支持板10A、ウェーハ支持板10B、ウェーハ支持板10Cをそれぞれ、ヒーター台40A、40B、40Cの上に載置した状態の平面模式図である。
【0107】
(第2実施形態)
図12は、第2実施形態に係る半導体製造装置の概略構成を示す断面模式図であり、(a)は成膜時の配置を示すものであり、(b)はウェーハWの冷却時の配置を示すものである。
図13は、本発明に係るウェーハ支持体の構成とヒーター台の構成との関係を説明するための図であり、(a)はウェーハ支持体をヒーター台の上に載置する前のそれぞれの平面模式図であり、(b)はウェーハ支持体をヒーター台の上に載置した状態の平面模式図である。
【0108】
第2実施形態に係る半導体製造装置は、ウェーハ支持板の外周凸部がガス導入管を備える点が、第1実施形態に係る半導体製造装置との主な差異である。
以下、第1実施形態に係る半導体製造装置と共通する構成要素については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0109】
図12に示す半導体製造装置200は、
図6に示したウェーハ支持板20と、ウェーハWが載置される載置面40Aを有し、載置面40Aに溝パターン40G(
図10(a)参照)が形成されているヒーター台40と、ウェーハ支持板20を上下方向に移動させる移動機構と、ウェーハ支持板20及びヒーター台40を収容するチャンバ60と、チャンバ60の外壁に設けられたガス供給管61と、を備え、ウェーハ支持板20は、線状部1Aが溝パターン40G内に収容されている。
ガス供給管61はガス排出管を兼ねていてもよい。また、ガス排出管は、ガス供給管61とは別にチャンバの外壁に設けられてもよい。
【0110】
図12に示す半導体製造装置200においては、ウェーハWの冷却に際してウェーハ支持板20を上昇移動し、ウェーハ支持体20の外周凸部12の上面12Aをチャンバ60の内壁61Aに接触させる際、外周凸部12の上面12Aに有するガス導入孔12aaをチャンバ60の外壁に設けられたガス供給管61に連通する。
図12に示す半導体製造装置200は、ウェーハ支持体20の外周凸部12の上面12Aに有するガス導入孔12aaを備えることによって、チャンバ60の外壁に設けられたガス供給管61からの冷却用ガスを外周凸部12の上面12Aから取り入れることができるので、
図9に示した半導体製造装置100に比べて、ウェーハ支持体20の径を小さくできる。その結果、チャンバ自体の径も
図9に示した半導体製造装置100に比べて小さくできる。
【0111】
図13(a)に示すヒーター台40は、
図10(a)に示したヒーター台40と同様の構成を有するものである。
一方、
図13(a)に示すウェーハ支持板20は、
図10(a)に示したウェーハ支持板10と、ウェーハ支持板の外周凸部にガス導入管12aを備える点が異なる。
【0112】
(変形例1~3)
図14(a)~(c)は、
図13に示したヒーター台の他の変形例の概略構成を示す平面模式図である。
図14(a)~(c)に示すヒーター台40A、40B、40Cはそれぞれ、
図8(a)~(c)に示したウェーハ支持板20C、ウェーハ支持板20D、ウェーハ支持板20Eのそれぞれに対応するヒーター台である。
図14(a)~(c)は、ウェーハ支持板20C、ウェーハ支持板20D、ウェーハ支持板20Eをそれぞれ、ヒーター台40A、40B、40Cの上に載置した状態の平面模式図である。
【0113】
図14(a)に示すウェーハ支持板20Cは、上面42Aに設けられたガス導入孔42aaと内周側壁に設けられたガス放出孔(不図示)と、ガス導入孔42aaとガス放出孔(不図示)を連通するガス流通経路(不図示)とからなるガス導入管42aとを有する。ガス流通経路は
図6(b)に示すように外周凸部を周回せずにガス導入孔とガス放出孔とを繋ぐ構成でもよいし、
図7(a)、(b)に示すように外周凸部を周回してからガス導入孔とガス放出孔とを繋ぐ構成でもよい。
図14(a)に示すヒーター台40Aは、ウェーハ支持板20Cの穴開き支持部を収容可能な溝パターンを載置面に備える。
【0114】
図14(b)に示すウェーハ支持板20Dは、上面52Aに設けられたガス導入孔52aaと内周側壁に設けられたガス放出孔(不図示)と、ガス導入孔52aaとガス放出孔(不図示)を連通するガス流通経路(不図示)とからなるガス導入管52aとを有する。ガス流通経路は
図6(b)に示すように外周凸部を周回せずにガス導入孔とガス放出孔とを繋ぐ構成でもよいし、
図7(a)、(b)に示すように外周凸部を周回してからガス導入孔とガス放出孔とを繋ぐ構成でもよい。
図14(b)に示すヒーター台40Bは、ウェーハ支持板20Dの穴開き支持部を収容可能な溝パターンを載置面に備える。
【0115】
図14(c)に示すウェーハ支持板20Eは、上面62Aに設けられたガス導入孔62aaと内周側壁に設けられたガス放出孔(不図示)と、ガス導入孔62aaとガス放出孔(不図示)を連通するガス流通経路(不図示)とからなるガス導入管62aとを有する。ガス流通経路は
図6(b)に示すように外周凸部を周回せずにガス導入孔とガス放出孔とを繋ぐ構成でもよいし、
図7(a)、(b)に示すように外周凸部を周回してからガス導入孔とガス放出孔とを繋ぐ構成でもよい。
図14(c)に示すヒーター台40Cは、ウェーハ支持板20Eの穴開き支持部を収容可能な溝パターンを載置面に備える。
【0116】
(第3実施形態)
図15は、第3実施形態に係る半導体製造装置の概略構成を示す断面模式図であり、(a)は成膜時の配置を示すものであり、(b)はウェーハWの冷却時の配置を示すものである。
第3実施形態に係る半導体製造装置は、支持ピンがウェーハ支持板の外周凸部を上面から支持する構成(吊り上げ機構)である点が、第2実施形態に係る半導体製造装置との主な差異である。
図15に示す例は、第2実施形態に係る半導体製造装置において、支持ピンがウェーハ支持板の外周凸部の下面を支持する構成を、支持ピンがウェーハ支持板の外周凸部の上面から支持する構成(吊り上げ機構)に置き換えた例であるが、第1実施形態に係る半導体製造装置において、支持ピンがウェーハ支持板の外周凸部の下面を支持する構成を、支持ピンがウェーハ支持板の外周凸部の上面から支持する構成(吊り上げ機構)に置き換えてもよい。
以下、第2実施形態に係る半導体製造装置と共通する構成要素については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0117】
図15(a)に示す半導体製造装置200Aは、
図6に示したウェーハ支持板20と、ウェーハWが載置される載置面40Aを有し、載置面40Aに溝パターン40G(
図10(a)参照)が形成されているヒーター台40と、ウェーハ支持板20を上下方向に移動させる移動機構と、ウェーハ支持板20及びヒーター台40を収容するチャンバ60と、チャンバ60の外壁に設けられたガス供給管61と、を備え、ウェーハ支持板20は、線状部1Aが溝パターン40G内に収容されている。
【0118】
図15(a)に示す半導体製造装置200Aはさらに、ウェーハ支持板20の外周凸部12の上面12Aを支持する支持ピン111A、112Aを備え、移動機構(不図示)が支持ピン111A、112Aを上下移動させることによってウェーハ支持板20を上下方向に移動させることができる。支持ピン111A、112Aはチャンバ60の上方の内壁60Aから外壁60Bを貫通するが、これに限られない。例えば、支持ピン11A、112Aを退避させる空間をチャンバ60内に設けていても構わない。
【0119】
図15(b)に示すように、半導体製造装置200Aにおいて、ウェーハWの冷却に際して、ウェーハ支持板20を上昇移動し、ウェーハ支持体20の外周凸部12の上面12Aをチャンバ60の内壁60Aに接触させる際、外周凸部12の上面12Aに有するガス導入孔12aaをチャンバ60の外壁に設けられたガス供給管61に連通する。
【0120】
吊り上げ機構を採用するメリットとして、冷却位置に、ウェーハ支持板20を移動するときに、チャンバ60の内壁60Aに支持ピン111A、112A用のガイドホールを形成できるため、ウェーハ支持板20の外周凸部20とチャンバ60の内壁60Aとの接触位置合わせを高精度化しやすい点がある。これによって、ガス供給管61と外周凸部20の上面12Aの孔との位置合わせの精度が向上される。すなわち、閉鎖空間Kにガスを流出入させる点で、位置ずれによる流出入を阻害する要因が減らせる。
また、ヒーター台40の溝とウェーハ支持板20の線状部との位置合わせは、成膜時に裏面ガスを流す点から、ヒーター台40の溝の幅を線状部の幅よりも、やや大きくしているため、ガス供給管61の位置合わせに対して、余裕度、所謂クリアランスが大きいので、ガス供給管61側の位置合わせを優先しても問題が生じにくい。
【0121】
図16は、
図15に示した半導体製造装置200Aの変形例であり、(a)は成膜時の配置を示すものであり、(b)はウェーハWの冷却時の配置を示すものである。
図16示す半導体製造装置200Bは、支持ピンの構成が
図15に示した半導体製造装置200Aが備える構成と異なっている。
図16示す半導体製造装置200Bが備える支持ピン111B、112Bは、ウェーハ支持体20の外周凸部12の外周側面12Dから突出する第1部分111Ba、112Baと、第1部分111Ba、112Baに接続され、上方に延伸する第2部分111Bb、112Bbとを有する。なお、
図16において、第1部分は水平方向に突出し、第2部分は垂直方向に延伸するものを例示しているが、突出方向と延伸方向はこれに限られない。例えば、第1部分が外周側面12Dから斜上方向に延伸し、第1部分が接続され、第1部分の斜上方向の角度とは異なる角度で別の斜上方向に延伸しつつ、途中から垂直方向に延伸する第2部分となっていても構わない。或いは例えば、第1部分が外周側面12Dから1/4円状の円弧状に水平方向から垂直方向へと方向が変化するように突出し、第1部分が接続され、垂直方向に延伸する第2部分となっていても構わない。外周側面12Dから突出する第1部分と、上方に延伸する第2部分とは、上記に例示した様な他の形状も含んでいる。
【0122】
図15及び
図16においては、外周凸部にガス導入管を有するウェーハ支持板を用いる場合を例に示したが、外周凸部にガス導入管を有さないウェーハ支持板を用いる場合に適用してもよい。
【0123】
図17(a)、(b)にそれぞれ、
図15、
図16における支持ピンの位置の例を示す。支持ピンの位置はウェーハの搬送時に支障のないような位置に設ける必要がある。
【0124】
図17(a)に示すように、ウェーハWを搬送させるためのフォークFの形状の板をリフトピン101A、101B、101Cで持ち上がったウェーハWの裏面とヒーター台40との間に挿入し、ウェーハWの裏面とフォークFをリフトピン101A、101B、101Cを下げるか、フォークFを上げるかによって接触させてウェーハWをフォークFの上に載置し、ウェーハWを搬出入する。ここで、フォークFの大きさと挿入の位置関係の一例は図示したようになる。フォークFが、リフトピン101A、101B、101Cにも吊り上げ機構の支持ピン111A、112A、113A、114A、115A、116Aにも当たらないような配置関係とする必要がある。
【0125】
同様に、
図17(b)に示すように、フォークFが、リフトピン101A、101B、101Cにも吊り上げ機構の支持ピン111Ba、111Bb、112Ba、112Bb、113Ba、113Bb、114Ba、114Bb、115Ba、115Bb、116Ba、116Bbにも当たらないような配置関係とする必要がある。
【0126】
以上説明した実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
ウェーハを支持する平坦部と、前記平坦部の外周に周回状に配置し、ウェーハよりも厚く形成された外周凸部とを備え、前記平坦部は、穴開き支持部と、前記穴開き支持部の外側に配置し、ウェーハの外周端部を支持する環状支持部とからなる、ウェーハ支持板。
(付記2)
前記外周凸部には上面から内周側壁に連通するガス導入管が形成されている、付記1に記載のウェーハ支持板。
(付記3)
前記穴開き支持部は線状の部分からなり、前記平坦部の中心に対して対称な線状パターンを有する、付記1又は付記2に記載のウェーハ支持板。
(付記4)
前記穴開き支持部は、前記平坦部の中心を円中心とするリング状部と、前記リング状部から前記環状支持部へと放射状に線状で延伸する放射線状部と、を有する、付記3に記載のウェーハ支持板。
(付記5)
前記穴開き支持部は、前記平坦部の中心から前記環状支持部へと放射状に線状で延伸する放射線状部からなる、付記3に記載のウェーハ支持板。
(付記6)
前記穴開き支持部は、前記平坦部の中心から前記環状支持部へと放射状に線状で延伸する放射線状部と、前記平坦部の中心を同心円の中心として同心円状に配置される複数のリング状部とを有する、付記3に記載のウェーハ支持板。
(付記7)
前記穴開き支持部は、前記平坦部の中心を円中心とするリング状部と、前記リング状部から前記環状支持部へと放射状に線状で延伸する放射線状部と、前記リング状部から前記環状支持部へと非放射状に線状で延伸する非放射線状部とを有する、付記3に記載のウェーハ支持板。
(付記8)
前記穴開き支持部が3mm以上30mm以下の幅の線状部からなる、付記1から付記7のいずれか一つに記載のウェーハ支持板。
(付記9)
前記外周凸部は、前記上面に設けられたガス導入孔と、前記内周側壁に設けられたガス放出孔と、前記ガス導入孔と前記ガス放出孔を連通するガス流通経路とからなる前記ガス導入管を備える、付記2に記載のウェーハ支持板。
(付記10)
前記ガス流通経路は、前記外周凸部内を周回状に配置される、付記9に記載のウェーハ支持板。
(付記11)
前記ガス導入管は、離間して配置する前記ガス放出孔を複数有する、付記9又は付記10に記載のウェーハ支持板。
(付記12)
融点が500℃以上の耐熱材料からなる、付記1から付記11のいずれか一つに記載のウェーハ支持板。
(付記13)
前記耐熱材料がSUS、Ti合金、Ni合金、Co合金、Ta合金又はMo合金のいずれかを含むものからなる、若しくはそれらの組み合わせを含むものからなる、付記12に記載のウェーハ支持板。
(付記14)
付記1から付記13のいずれか一つに記載のウェーハ支持板と、
ウェーハが載置される載置面を有し、前記載置面に溝パターンが形成されているヒーター台と、
前記ウェーハ支持板を上下方向に移動させる移動機構と、
前記ウェーハ支持板及び前記ヒーター台を収容するチャンバと、
前記チャンバの外壁に設けられたガス供給管と、を備え、
前記ウェーハ支持板は、前記穴開き支持部の一部が前記溝パターン内に収容されている、半導体製造装置。
(付記15)
前記ガス供給管はガス排出管を兼ねる、付記14に記載の半導体製造装置。
(付記16)
前記チャンバの外壁に設けられたガス排出管をさらに備える、付記14に記載の半導体製造装置。
(付記17)
前記外周凸部を支持する支持ピンを備え、
前記移動機構が前記支持ピンを上下移動させることによってウェーハ支持板を上下方向に移動させる、付記14から付記16のいずれかに記載の半導体製造装置。
(付記18)
前記支持ピンが前記外周凸部の下面から前記外周凸部を支持する、付記17に記載の半導体製造装置。
(付記19)
前記支持ピンが前記外周凸部の上面から前記外周凸部を支持する、付記17に記載の半導体製造装置。
(付記20)
前記支持ピンが前記外周凸部の外周側面から突出する第1部分と、前記第1部分に接続され、上方に延伸する第2部分とを有し、前記支持ピンが前記外周凸部を支持する、付記17に記載の半導体製造装置。
【符号の説明】
【0127】
1、11、21、31 平坦部
1A、11A、21A、31A 穴開き支持部
1B 環状支持部
2、12 外周凸部
12a、22a、32a ガス導入管
10、10A、10B、10C、20A、20B、20C、20D、20E ウェーハ支持板
40、40A、40B、40C ヒーター台
50、60 チャンバ
51、61 ガス供給管
100、200 半導体製造装置