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特開2024-30045部品寿命検出装置及び部品寿命検出方法
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  • 特開-部品寿命検出装置及び部品寿命検出方法 図1
  • 特開-部品寿命検出装置及び部品寿命検出方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030045
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】部品寿命検出装置及び部品寿命検出方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/09 20060101AFI20240229BHJP
   G05B 19/4065 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B23Q17/09 B
G05B19/4065
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132588
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】303024138
【氏名又は名称】株式会社ニイガタマシンテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】渋井 聡
(72)【発明者】
【氏名】印南 高明
【テーマコード(参考)】
3C029
3C269
【Fターム(参考)】
3C029DD01
3C029DD12
3C269AB01
3C269BB11
3C269MN29
3C269PP02
(57)【要約】
【課題】切削を行う部品の寿命をより精度よく検出する。
【解決手段】部品寿命検出装置は、電力情報取得部と、状態情報取得部と、判断部と、検出部とを備える。電力情報取得部は、切削を行う部品が取り付けられた主軸を回転させるために消費された電力又は電力量を示す電力情報を取得する。状態情報取得部は、主軸の状態及び部品により切削される対象の位置を移動させる位置調整部の状態を示す状態情報を取得する。判断部は、状態情報に基づいて、主軸が旋回中であり、かつ、位置調整部が移動を行っていると判断した場合に、部品を用いた切削中であると判断する。検出部は、判断部が切削中と判断した場合の電力情報に基づく積算電力量としきい値との比較により部品が寿命であることを検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削を行う部品が取り付けられた主軸を回転させるために消費された電力又は電力量を示す電力情報を取得する電力情報取得部と、
前記主軸の状態及び前記部品により切削される対象の位置を移動させる位置調整部の状態を示す状態情報を取得する状態情報取得部と、
前記状態情報に基づいて、前記主軸が旋回中であり、かつ、前記位置調整部が移動を行っていると判断した場合に前記部品を用いた切削中であると判断する判断部と、
前記判断部が切削中と判断した場合の前記電力情報に基づく積算電力量としきい値との比較により前記部品が寿命であることを検出する検出部と、
を備える部品寿命検出装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記部品が寿命であると判断した場合に通知を出力する、
請求項1に記載の部品寿命検出装置。
【請求項3】
切削を行う部品が取り付けら得た主軸を回転させるために消費された電力又は電力量を示す電力情報を取得する電力情報取得ステップと、
前記主軸の状態及び前記部品により切削される対象の位置を移動させる位置調整部の状態を示す状態情報を取得する状態情報取得ステップと、
前記状態情報に基づいて、前記主軸が旋回中であり、かつ、前記位置調整部が移動を行っていると判断した場合に前記部品を用いた切削中であると判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおいて切削中と判断された場合の前記電力情報に基づく積算電力量としきい値との比較により前記部品が寿命であることを検出する検出ステップと、
を有する部品寿命検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品寿命検出装置及び部品寿命検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
主軸の先端にチップを取り付けた切削工具により、鋼材を切削する工作機械がある。チップは切削により摩耗するため、交換が必要である。従来は、切削工具の寿命を、切削工具の1加工当たりの累積消費電力と、予め記憶していた基準消費電力量とを比較して判定していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-22052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術では、切削工具の空転によって消費される電力量相当分を除いた累積消費電力と、基準消費電力量とを比較して切削工具の寿命を判定していた。しかしながら、切削工具の空転をどのように判断するかの具体的な方法は記載されていない。切削を行っていることを正確に判断できないと、切削工具の部品であるチップの寿命検出の精度が低下する。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、切削を行う部品の寿命をより精度よく検出可能な部品寿命検出装置及び部品寿命検出方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、切削を行う部品が取り付けられた主軸を回転させるために消費された電力又は電力量を示す電力情報を取得する電力情報取得部と、前記主軸の状態及び前記部品により切削される対象の位置を移動させる位置調整部の状態を示す状態情報を取得する状態情報取得部と、前記状態情報に基づいて、前記主軸が旋回中であり、かつ、前記位置調整部が移動を行っていると判断した場合に前記部品を用いた切削中であると判断する判断部と、前記判断部が切削中と判断した場合の前記電力情報に基づく積算電力量としきい値との比較により前記部品が寿命であることを検出する検出部と、を備える部品寿命検出装置である。
【0007】
本発明の一態様は、上述の部品寿命検出装置であって、前記検出部は、前記部品が寿命であると判断した場合に通知を出力する。
【0008】
本発明の一態様は、切削を行う部品が取り付けら得た主軸を回転させるために消費された電力又は電力量を示す電力情報を取得する電力情報取得ステップと、前記主軸の状態及び前記部品により切削される対象の位置を移動させる位置調整部の状態を示す状態情報を取得する状態情報取得ステップと、前記状態情報に基づいて、前記主軸が旋回中であり、かつ、前記位置調整部が移動を行っていると判断した場合に前記部品を用いた切削中であると判断する判断ステップと、前記判断ステップにおいて切削中と判断された場合の前記電力情報に基づく積算電力量としきい値との比較により前記部品が寿命であることを検出する検出ステップと、を有する部品寿命検出方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、切削を行う部品の寿命をより精度よく検出可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による運転制御装置の構成を示すブロック図である。
図2】同実施形態による運転制御装置の部品寿命検出処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。工作機械に取り付けられている切削工具用チップは、摩耗した場合に交換が必要である。工作機械に物理的なチップ摩耗検出が実装されていない場合、従来は、使用時間又は使用回数のようなデータ上の仮想値や経験値をカウントとし、そのカウントが上限に達した場合に通知を出力することによって工作機械のオペレータを支援していた。
【0012】
しかし、同じ特性のチップを用いても、軽切削であるか、重切削であるかによって寿命のばらつきは否めないことから、使用時間や使用回数のカウントでは現実に即さないケースが発生する。具体的には、軽切削の場合はチップの摩耗が少ないため長寿命であり、重切削の場合はチップの摩耗が大きいため短寿命である。この軽切削であるか重切削であるかは、チップを取り付けた主軸を回転させる主軸モータの負荷電流の違いとなる。すなわち、「軽切削=低消費電力=チップの摩耗小=長寿命」及び「重切削=高消費電力=チップの摩耗大=短寿命」のような関係がある。そこで、本実施形態の部品寿命検出装置は、チップの寿命の判断に、切削を行っている際の積算電力量を用いる。
【0013】
図1は、工作機械1を制御する運転制御装置2の構成を示す機能ブロック図である。図1では、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。
【0014】
工作機械1は、主軸モータ11と、主軸12と、1以上の送り軸14とを備える。主軸モータ11は、チップ13が先端に取り付けられた主軸12を回転させることにより、主軸に対する位置のテーブル(図示せず)にセットされた剛体などのワークを切削する。チップ13が取り付けられた主軸12は、切削工具であり、チップ13は、切削工具の部品である。送り軸14は、ワークがセットされたテーブル(図示せず)の位置を移動させる。例えば、各送り軸14は、テーブル(図示せず)をそれぞれ、x軸方向、y軸方向、z軸方向に移動させる。送り軸14は、切削を行う部品により切削される対象であるワークの位置を移動させる位置調整部の一例である。
【0015】
運転制御装置2は、部品寿命検出装置の一例である。運転制御装置2は、例えば、CNC(computer numerical control)装置である。運転制御装置2は、監視制御部21と、寿命検出部22と、入力部23と、出力部24とを備える。各部は、例えば、バスで接続される。
【0016】
監視制御部21は、コンピュータがNC(Numerical control)プログラムを読み込んで実行することにより、工作機械1の主軸モータ11の回転制御、及び、送り軸14の駆動制御などを行う。また、監視制御部21は、工作機械1の各部の消費電力や、稼働の状態等を監視する。
【0017】
寿命検出部22は、PLC(programmable logic controller)内でラダー回路を構成することにより実現される。PLCは、NCフライス盤に実装される。寿命検出部22は、主軸12の先端に取り付けられたチップ13が寿命であること検出する。寿命検出部22は、電力情報取得部221と、状態情報取得部222と、判断部223と、電力情報記憶部224と、しきい値記憶部225と、検出部226とを備える。
【0018】
電力情報取得部221は、監視制御部21から随時、工作機械1の電力情報を取得する。電力情報は、主軸モータ11が主軸12を回転させるために消費した電力又は電力量を示す。状態情報取得部222は、監視制御部21から工作機械1の状態情報を取得する。状態情報は、主軸12の状態と、送り軸14の状態を示す。主軸12の状態は、主軸モータ11の稼働の状態として表されてもよい。送り軸14の状態は、送り軸14を稼働させる図示しない部品の状態で表されてもよい。判断部223は、状態情報に基づいて工作機械1がチップ13によりワークを切削中であると判断した場合に、電力情報取得部221が取得した電力情報を電力情報記憶部224に記録する。判断部223は、主軸12が旋回中であり、かつ、送り軸14がテーブルを移動中であることが状態情報から得られる場合に、切削中であると判断する。
【0019】
しきい値記憶部225は、積算電力量のしきい値を記憶する。しきい値は、チップ13が寿命であると判定するために用いられる。検出部226は、電力情報記憶部224に記憶された電力情報に基づいて算出した積算電力量が、しきい値記憶部225に記憶されているしきい値を超えている場合に、チップ13が寿命であることを検出する。検出部226は、チップ13が寿命であることを検出した場合に、出力部24から通知を出力する。
【0020】
入力部23は、ユーザが入力した情報を受信する。入力部23は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、ボタンやキーなどである。あるいは、入力部23は、ネットワークを介して接続される他のコンピュータ装置から情報を受信したり、コンピュータ読み取り可能な記録媒体から情報を読み出したりしてもよい。
【0021】
出力部24は、情報を出力する。出力部24は、例えば、文字や画像を表示するディスプレイでもよく、ランプでもよく、音声を出力するスピーカーでもよい。また、運転制御装置2は、異なる種類の出力部24を複数有してもよい。
【0022】
図2は、運転制御装置2の部品寿命検出処理を示すフロー図である。電力情報取得部221は、例えば定期的に監視制御部21に工作機械1の電力情報を要求する。監視制御部21は、工作機械1の主軸モータ11の消費電力又は消費電力量を検出し、検出した電力又は消費電力量を示す電力情報を寿命検出部22に出力する。電力情報取得部221は、監視制御部21から電力情報を取得する(ステップS1)。なお、監視制御部21は、電力情報取得部221からの問い合わせを受けることなく、定期的に電力情報を電力情報取得部221に通知してもよい。監視制御部21は、主軸モータ11が電力を消費していない状態から電力を消費している状態になったことを検出した場合に、定期的な電力情報の通知を開始し、主軸モータ11が電力を消費している状態から電力を消費していない状態になった場合に通知を停止してもよい。
【0023】
続いて、状態情報取得部222は、監視制御部21に工作機械1の状態情報を要求する。監視制御部21は、工作機械1の状態を検出し、検出した状態を示す状態情報を寿命検出部22に出力する。なお、監視制御部21は、状態情報取得部222からの問い合わせを受けることなく、例えば、電力情報を出力した場合に、あるいは、定期的に、状態情報を状態情報取得部222に通知してもよい。また、主軸12の状態を示す状態情報と、送り軸14の状態を示す状態情報とは、別々に状態情報取得部222に出力されてもよい。状態情報取得部222は、監視制御部21から受信した状態情報を判断部223に出力する。判断部223は、状態情報に基づいて、主軸12が旋回中であるか否かを判定する(ステップS2)。判断部223が、主軸12は旋回中ではないと判断した場合(ステップS2:NO)、運転制御装置2は、ステップS1からの処理を繰り返す。
【0024】
一方、判断部223は、主軸12が旋回中であると判断した場合(ステップS2:YES)、状態情報に基づいて、送り軸14が移動中であるか否かを判定する(ステップS3)。判断部223が、移動中ではないと判断した場合(ステップS3:NO)、運転制御装置2は、ステップS1からの処理を繰り返す。判断部223は、移動中であると判断した場合(ステップS3:YES)、電力情報を電力情報記憶部224に書き込む(ステップS4)。
【0025】
検出部226は、電力情報記憶部224に記憶された電力情報が示す電力又は電力量に基づいて積算電力量[kWh]を算出する。例えば、検出部226は、オペレータが入力部23によりチップの交換を入力した以降に取得された電力情報に基づいて積算電力量を算出する。検出部226は、積算電力量がしきい値記憶部225に記憶されているしきい値に到達したか否かを判断する(ステップS5)。検出部226が、積算電力量はしきい値に到達していないと判断した場合(ステップS5:NO)、運転制御装置2は、ステップS1からの処理を繰り返す。あるいは、運転制御装置2は、ステップS5からの処理を繰り返してもよい。
【0026】
一方、検出部226は、積算電力量がしきい値に到達したと判断した場合(ステップS5:YES)、チップ13が寿命であることを検出し、出力部24により通知を出力する(ステップS6)。例えば、検出部226は、チップが寿命である旨をディスプレイに表示してもよく、チップの寿命を表すランプを点灯してもよく、チップが寿命であることを音声で出力してもよい。
【0027】
本実施形態の運転制御装置2によれば、仮想的な回数カウント、時間カウントと同等のコストで、物理摩耗検知に近い機能を提供可能である。
【0028】
なお、しきい値記憶部225は、入力部23により入力されたしきい値を記憶してもよい。例えば、予めわかっているしきい値を入力部23より入力し、しきい値記憶部225に設定してもよい。あるいは、運転制御装置2が最初に図2に示す処理を行う際に、しきい値記憶部225にしきい値を記憶させずに、あるいは、任意の初期値のしきい値を記憶させてもよい。オペレータは、チップ13を実際に見て摩耗していると判断した時点で入力部23によりしきい値設定指示を入力する。寿命検出部22は、指示が入力されたときに電力情報記憶部224に記憶されている電力情報に基づいて積算電力量を算出し、算出した積算電力量をしきい値としてしきい値記憶部225に書き込む。
【0029】
上述した実施形態では、電力情報取得部221は、監視制御部21から工作機械1の電力情報を取得しているが、工作機械1から直接電力情報を取得してもよい。また、状態情報取得部222は、監視制御部21から工作機械1の状態情報を取得しているが、工作機械1から直接状態情報を取得してもよい。
【0030】
また、運転制御装置2が寿命検出部22を備えず、運転制御装置2と接続される部品寿命検出装置が寿命検出部22を備えてもよい。この場合、運転制御装置2と接続される部品寿命検出装置は、出力部24と、入力部23とをさらに備えてもよい。また、部品寿命検出装置は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行することによって寿命検出部22を備える装置として機能してもよい。なお、運転制御装置2又は部品寿命検出装置が備える寿命検出部22の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。寿命検出部22のプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。寿命検出部22のプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0031】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0032】
1…工作機械、2…運転制御装置、11…主軸モータ、12…主軸、13…チップ、14…送り軸、21…監視制御部、22…寿命検出部、23…入力部、24…出力部、221…電力情報取得部、222…状態情報取得部、223…判断部、224…電力情報記憶部、225…しきい値記憶部、226…検出部
図1
図2