(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030057
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】熱交換素子
(51)【国際特許分類】
F28F 3/00 20060101AFI20240229BHJP
F28F 21/06 20060101ALI20240229BHJP
F28F 3/08 20060101ALI20240229BHJP
F28D 9/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
F28F3/00 301Z
F28F21/06
F28F3/08 301Z
F28D9/00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132611
(22)【出願日】2022-08-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】500076974
【氏名又は名称】株式会社テクノフロンティア
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100217881
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 由美
(72)【発明者】
【氏名】河原 利和
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA01
3L103AA05
3L103AA37
3L103BB42
3L103CC02
3L103CC23
3L103DD15
3L103DD58
3L103DD92
3L103DD98
(57)【要約】
【課題】軽量で持ち運びに便利な熱交換素子を提供する。
【解決手段】正面視外形形状が矩形の第1流路形成部材と、第1流路形成部材と外形形状が略同一であって第1流路形成部材に張設された第1不織布と、第1流路形成部材と外形形状が略同一であって第1不織布に張設された第1フィルムと、から成る第1熱交換部材9Aと、プラスチック段ボール素材4に窓部が打抜き形成されかつ第1流路形成部材と外形形状が略同一の第2流路形成部材6Bと、第2流路形成部材6Bと外形形状が略同一であって第2流路形成部材6Bに張設された第2フィルム8Bと、第2流路形成部材6Bと外形形状が略同一であって第2フィルム8Bに張設された第2不織布と、から成る第2熱交換部材9Bとを、備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一壁面部(1)と、他壁面部(2)と、該一壁面部(1)と他壁面部(2)とを連結する多数の平行なリブ片(3)を有するプラスチック段ボール素材(4)に窓部(5)を打抜き形成した正面視外形形状が矩形の第1流路形成部材(6A)と、該第1流路形成部材(6A)と外形形状が略同一であって該第1流路形成部材(6A)に張設された第1不織布(7A)と、上記第1流路形成部材(6A)と外形形状が略同一であって上記第1不織布(7A)に張設された第1フィルム(8A)と、から成る第1熱交換部材(9A)と、
上記プラスチック段ボール素材(4)に窓部(10)が打抜き形成されかつ上記第1流路形成部材(6A)と外形形状が略同一の第2流路形成部材(6B)と、該第2流路形成部材(6B)と外形形状が略同一であって該第2流路形成部材(6B)に張設された第2フィルム(8B)と、上記第2流路形成部材(6B)と外形形状が略同一であって上記第2フィルム(8B)に張設された第2不織布(7B)と、から成る第2熱交換部材(9B)とを、備え、
上記第1不織布(7A)と、上記第2不織布(7B)とが、水が流れる流路(11)を形成するように所定小間隙(g1 )をもって向き合うとともに、上記第1フィルム(8A)と第2フィルム(8B)とが、気体が流れる流路(12)を形成するように所定小間隙(g2 )をもって向き合うように、かつ、上記第1流路形成部材(6A)のリブ方向(R1 )を上下方向として、上記第2流路形成部材(6B)のリブ方向(R2 )を左右方向として、上記第1熱交換部材(9A)と第2熱交換部材(9B)とを複数枚前後に交互に積層させて一体化し、気体と水の熱交換を行うように構成したことを特徴とする熱交換素子。
【請求項2】
上記第1流路形成部材(6A)は、複数本の左右方向の細帯部(13)を残して上記窓部(5)が打抜き形成され、上記第2流路形成部材(6B)は、上下方向の細帯部(14)を残して上記窓部(10)が打抜き形成されている請求項1記載の熱交換素子。
【請求項3】
上記第1不織布(7A)及び第2不織布(7B)の目付けを、10g/m2 以上 200g/m2 以下に設定した請求項1又は2記載の熱交換素子。
【請求項4】
上記第1フィルム(8A)及び第2フィルム(8B)の厚さ寸法(t8 )を、3μm以上 100μm以下に設定した請求項1又は2記載の熱交換素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷風機や空調機には、熱交換素子が内蔵されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の冷風機に用いられている熱交換素子は、熱交換素子がアルミニウム等から成り、持ち運ぶ際、重いという問題がある。そこで、本発明は、軽量で持ち運びに便利な熱交換素子を提供することを目的とする。
【0005】
また、熱交換素子がハニカム構造のアルミニウムから成る熱交換素子の場合、形状が複雑なので製造コストが高くなるとともに、防錆処理が必要なので、さらに高価になるという欠点があった。そこで、本発明は、容易に製造することができて安価な熱交換素子を提供することを目的とする。
【0006】
また、熱交換素子がハニカム構造のアルミニウムから成る熱交換素子の場合、熱交換が行われる(隣接する)気体の流路と水の流路との間に配設されるアルミニウムの厚さ寸法が約1mmもあり、熱交換率が低いという欠点があった。そこで、本発明は、熱交換率が高い熱交換素子を提供することを目的とする。
【0007】
また、アルミニウムから成る熱交換素子は、形状寸法を容易に変更することができないという問題もあった。そこで、本発明は、形状寸法を容易に変更することができる熱交換素子を提供することを目的とする。
【0008】
また、熱交換素子にあっては、水を上から下に流す際、水が流れる速度が速いので、熱交換率が低いという欠点があった。そこで、本発明は、熱交換率が高い熱交換素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る熱交換素子は、一壁面部と、他壁面部と、該一壁面部と他壁面部とを連結する多数の平行なリブ片を有するプラスチック段ボール素材に窓部を打抜き形成した正面視外形形状が矩形の第1流路形成部材と、該第1流路形成部材と外形形状が略同一であって該第1流路形成部材に張設された第1不織布と、上記第1流路形成部材と外形形状が略同一であって上記第1不織布に張設された第1フィルムと、から成る第1熱交換部材と、上記プラスチック段ボール素材に窓部が打抜き形成されかつ上記第1流路形成部材と外形形状が略同一の第2流路形成部材と、該第2流路形成部材と外形形状が略同一であって該第2流路形成部材に張設された第2フィルムと、上記第2流路形成部材と外形形状が略同一であって上記第2フィルムに張設された第2不織布と、から成る第2熱交換部材とを、備え、上記第1不織布と、上記第2不織布とが、水が流れる流路を形成するように所定小間隙をもって向き合うとともに、上記第1フィルムと第2フィルムとが、気体が流れる流路を形成するように所定小間隙をもって向き合うように、かつ、上記第1流路形成部材のリブ方向を上下方向として、上記第2流路形成部材のリブ方向を左右方向として、上記第1熱交換部材と第2熱交換部材とを複数枚前後に交互に積層させて一体化し、気体と水の熱交換を行うように構成したものである。
【0010】
また、上記第1流路形成部材は、複数本の左右方向の細帯部を残して上記窓部が打抜き形成され、上記第2流路形成部材は、上下方向の細帯部を残して上記窓部が打抜き形成されているものである。
また、上記第1不織布及び第2不織布の目付けを、10g/m2 以上 200g/m2 以下に設定したものである。
また、上記第1フィルム及び第2フィルムの厚さ寸法を、3μm以上 100μm以下に設定したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の熱交換素子によれば、軽量で持ち運びに便利である。また、容易に製造することができて安価である。また、形状寸法を容易に変更することができる。また、熱交換効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】プラスチック段ボール素材を示す断面図である。
【
図7】
図5の断面拡大図であって、(A)は
図5のA-A断面拡大図であり、(B)はさらにその拡大図である。
【
図8】
図6の断面拡大図であって、(A)は
図6のB-B断面拡大図であり、(B)はさらにその拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図示の実施の形態に基づいて本発明を詳説する。
図1は、本発明に係る熱交換素子の実施の一形態を示す。この熱交換素子は、気化式冷風機や空調機等に内蔵される。上から下へ水を流下させるとともに、冷風機、空調機等に内蔵されたファンによって(左右方向に)気体を流して、気体と水の熱交換を行うものである。気体は、例えば、空気である。プラスチック段ボール素材4(
図2参照)と不織布7(
図3参照)とフィルム8(
図4参照)とが、用いられる。
【0014】
図2に示すように、プラスチック段ボール素材4は、一壁面部1と、他壁面部2と、一壁面部1と他壁面部2とを連結する多数の平行なリブ片3を有する。このプラスチック段ボール素材4は、例えば、ポリプロピレンから成る。
【0015】
不織布7は、湿式又は乾式のいずれでも良いが、湿式不織布にビスコース加工を施すと、水蒸気が移行しやすく熱交換率が高くなるので、好ましい。
【0016】
フィルム8は、例えば、ナイロン66、ナイロン6、アクリル、PET、PE、セロファンから成る。
【0017】
本発明に係る熱交換素子は、第1熱交換部材9A(
図5・
図7参照)と第2熱交換部材9B(
図6・
図8参照)とを、複数枚前後に交互に積層しかつ一体化して構成される。第1熱交換部材9Aは、プラスチック段ボール素材4に窓部5を打抜き形成されるとともに正面視外形形状が矩形の第1流路形成部材6A(
図9参照)と、第1流路形成部材6Aに張設された第1不織布7A(
図3参照)と、第1不織布7Aに張設された第1フィルム8A(
図4参照)と、から成る。本発明に於て、「矩形」とは、正方形、長方形を含み、さらに、多少の切欠きや突部を有する略正方形、略長方形をも含むものとする。また、本発明に於て、「張設」とは、接着、貼着、その他、平面状に張った状態で一体化する他の手段を含むものとする。不織布7とフィルム8とは、例えば、PUR接着により張設することができる。
【0018】
第1流路形成部材6Aは、複数本(好ましくは、2本以上5本以下)の左右方向の細帯部13を残して窓部5が打抜き形成されている。
【0019】
図3・
図5・
図7(A)に示すように、第1不織布7Aは、第1流路形成部材6Aと外形形状が略同一である。
図4・
図5・
図7(A)に示すように、第1フィルム8Aは、第1流路形成部材6Aと外形形状が略同一である。
【0020】
図6・
図8に示すように、第2熱交換部材9Bは、プラスチック段ボール素材4に窓部10が打抜き形成されるとともに第1流路形成部材6Aと外形形状が略同一の第2流路形成部材6B(
図10参照)と、第2流路形成部材6Bに張設された第2フィルム8B(
図4参照)と、第2フィルム8Bに張設された第2不織布7B(
図3参照)と、から成る。
【0021】
第2流路形成部材6Bは、上下方向の細帯部14を残して窓部10が打抜き形成されている。
【0022】
図3・
図6・
図8(A)に示すように、第2不織布7Bは、第2流路形成部材6Bと外形形状が略同一である。
図4・
図6・
図8(A)に示すように、第2フィルム8Bは、第2流路形成部材6Bと外形形状が略同一である。
【0023】
細帯部13,14(
図9・
図10参照)の幅寸法wを、3mm~30mmに設定する。なお、この幅寸法wを、第1流路形成部材6Aの一辺(短辺)の長さ寸法Lの3%以上10%以下に設定するのが望ましい。幅寸法wが長さ寸法Lの3%未満の場合、強度が不足する。幅寸法wが長さ寸法Lの10%を超える場合、熱交換率が低下する。
【0024】
図2に示すように、プラスチック段ボール素材4の一壁面部1と他壁面部2は、厚さ寸法tが同一である。一壁面部1と他壁面部2各々の厚さ寸法tを、0.05mm以上0.5 mm以下に設定する。厚さ寸法tが0.05mm未満の場合、強度と剛性が不足し、また、製造が困難である。厚さ寸法tが0.5 mmを超える場合、熱交換率が低くなる。
【0025】
図11は、熱交換素子の正面図を示す。
図12は、
図11のY-Y断面簡略拡大図である。
図12に示すように、第1不織布7Aと、第2不織布7Bとが、水が流れる流路11を形成するように所定小間隙g
1 をもって向き合うとともに、第1フィルム8Aと第2フィルム8Bとが、気体が流れる流路12を形成するように所定小間隙g
2 をもって向き合うように、かつ、第1流路形成部材6Aのリブ方向R
1 (
図5参照)を上下方向として、第2流路形成部材6Bのリブ方向R
2 (
図6参照)を左右方向として、第1熱交換部材9Aと第2熱交換部材9Bとが、複数枚前後 (
図12の左右方向)に交互に積層される。
【0026】
第1不織布7A及び第2不織布7Bの目付けを、10g/m2 以上 200g/m2 以下に設定する。目付けが10g/m2 未満の場合、水の流れを遅くする効果が低くなる。目付けが 200g/m2 を超える場合、熱交換率が低くなる。
【0027】
第1フィルム8A及び第2フィルム8Bの厚さ寸法t8 を、3μm以上 100μm以下に設定する。厚さ寸法t8 が、3μm未満の場合、強度が不足する。厚さ寸法t8 が、 100μmを超える場合、熱交換率が低くなる。
【0028】
次に、熱交換が行われる方法について説明する。水を第1熱交換部材9Aの上から下へ流すとともに、気体を第2熱交換部材9Bの左右方向の一方から他方へ流す。
図13に示すように、一対の(向き合った)第1不織布7Aと第2不織布7Bが、水が流れる流路11を形成するので、水の流れが第1不織布7Aと第2不織布7Bによって遅くなり、熱交換率が高くなる。また、
図14に示すように、第1流路形成部材6Aの細帯部13への入口部分によっても、水が抵抗を受け、水の流れが遅くなり、熱交換率が高くなる。
【0029】
なお、
図2及び
図12~
図14等に於て、プラスチック段ボール素材4のリブ片3を、一壁面部1及び他壁面部2と垂直に描いているが、このリブ片3は、傾斜状であったり、弯曲状であることも望ましい。
【0030】
本発明は、設計変更可能であって、例えば、第1流路形成部材6Aと第2流路形成部材6Bの厚みを相違させるも良い。例えば、水量が小さい場合、第1流路形成部材6Aの厚みを大きくして水量を増すことができる。また、風量が小さい場合、第2流路形成部材6Bの厚みを大きくして風量を増すことができる。また、第1流路形成部材6Aの左右方向の細帯部13に加えて、または、左右方向の細帯部13に代えて、上下方向の細帯部を残して窓部5を打抜き形成するも良い。例えば、左右方向の2本の細帯部13,13の間を上下方向の細帯部が連結する形状に各細帯部を残して、窓部5を打抜き形成するも良い。また、第2流路形成部材6Bの上下方向の細帯部14に加えて、または、上下方向の細帯部14に代えて、左右方向の細帯部を残して窓部10を打抜き形成するも良い。また、(
図5・
図6の正面図において、)細帯部13,14をジグザグ折れ線形状や波型等とするも好ましい。また、第1不織布7A及び第2不織布7Bに、機能性材料を使っても良い。例えば、防カビ剤を用いるも好ましい。
【0031】
以上のように、本発明は、一壁面部1と、他壁面部2と、該一壁面部1と他壁面部2とを連結する多数の平行なリブ片3を有するプラスチック段ボール素材4に窓部5を打抜き形成した正面視外形形状が矩形の第1流路形成部材6Aと、該第1流路形成部材6Aと外形形状が略同一であって該第1流路形成部材6Aに張設された第1不織布7Aと、上記第1流路形成部材6Aと外形形状が略同一であって上記第1不織布7Aに張設された第1フィルム8Aと、から成る第1熱交換部材9Aと、上記プラスチック段ボール素材4に窓部10が打抜き形成されかつ上記第1流路形成部材6Aと外形形状が略同一の第2流路形成部材6Bと、該第2流路形成部材6Bと外形形状が略同一であって該第2流路形成部材6Bに張設された第2フィルム8Bと、上記第2流路形成部材6Bと外形形状が略同一であって上記第2フィルム8Bに張設された第2不織布7Bと、から成る第2熱交換部材9Bとを、備え、上記第1不織布7Aと、上記第2不織布7Bとが、水が流れる流路11を形成するように所定小間隙g1 をもって向き合うとともに、上記第1フィルム8Aと第2フィルム8Bとが、気体が流れる流路12を形成するように所定小間隙g2 をもって向き合うように、かつ、上記第1流路形成部材6Aのリブ方向R1 を上下方向として、上記第2流路形成部材6Bのリブ方向R2 を左右方向として、上記第1熱交換部材9Aと第2熱交換部材9Bとを複数枚前後に交互に積層させて一体化し、気体と水の熱交換を行うように構成したので、水の降下速度がゆっくりとなり、気体との熱交換率が高い。しかも、熱交換素子を軽く形成できるので、これを内蔵した気化式冷風機等の軽量化が図られて、持ち運びに便利である。また、疎水性があるプラスチック段ボール素材4を用いながらも、熱交換率が高い。さらに、熱交換素子を容易に製造することができて安価である。また、熱交換素子全体の形状寸法を容易に変更することができる。
【0032】
また、上記第1流路形成部材6Aは、複数本の左右方向の細帯部13を残して上記窓部5が打抜き形成され、上記第2流路形成部材6Bは、上下方向の細帯部14を残して上記窓部10が打抜き形成されているので、強度が優れる。また、熱交換率が高い。
また、上記第1不織布7A及び第2不織布7Bの目付けを、10g/m2 以上 200g/m2 以下に設定したので、適切に水の流れが遅くなり熱交換率が高くなる。
また、上記第1フィルム8A及び第2フィルム8Bの厚さ寸法t8 を、3μm以上 100μm以下に設定したので、熱交換率が高い。
【符号の説明】
【0033】
1 一壁面部
2 他壁面部
3 リブ片
4 プラスチック段ボール素材
5 窓部
6A 第1流路形成部材
6B 第2流路形成部材
7A 第1不織布
7B 第2不織布
8A 第1フィルム
8B 第2フィルム
9A 第1熱交換部材
9B 第2熱交換部材
10 窓部
11 水が流れる流路
12 気体が流れる流路
13 細帯部
14 細帯部
g1 所定小間隙
g2 所定小間隙
R1 リブ方向
R2 リブ方向
t8 厚さ寸法
【手続補正書】
【提出日】2022-09-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一壁面部(1)と、他壁面部(2)と、該一壁面部(1)と他壁面部(2)とを連結する多数の平行なリブ片(3)を有するプラスチック段ボール素材(4)に窓部(5)を打抜き形成した正面視外形形状が矩形の第1流路形成部材(6A)と、該第1流路形成部材(6A)と外形形状が略同一であって該第1流路形成部材(6A)に張設された第1不織布(7A)と、上記第1流路形成部材(6A)と外形形状が略同一であって上記第1不織布(7A)に張設された第1フィルム(8A)と、から成る第1熱交換部材(9A)と、
上記プラスチック段ボール素材(4)に窓部(10)が打抜き形成されかつ上記第1流路形成部材(6A)と外形形状が略同一の第2流路形成部材(6B)と、該第2流路形成部材(6B)と外形形状が略同一であって該第2流路形成部材(6B)に張設された第2フィルム(8B)と、上記第2流路形成部材(6B)と外形形状が略同一であって上記第2フィルム(8B)に張設された第2不織布(7B)と、から成る第2熱交換部材(9B)とを、備え、
上記第1不織布(7A)と、上記第2不織布(7B)とが、水が流れる流路(11)を形成するように所定小間隙(g1 )をもって向き合うとともに、上記第1フィルム(8A)と第2フィルム(8B)とが、気体が流れる流路(12)を形成するように所定小間隙(g2 )をもって向き合うように、かつ、上記第1流路形成部材(6A)のリブ方向(R1 )を上下方向として、上記第2流路形成部材(6B)のリブ方向(R2 )を左右方向として、上記第1熱交換部材(9A)と第2熱交換部材(9B)とを複数枚前後に交互に積層させて一体化し、気体と水の熱交換を行うように構成したことを特徴とする熱交換素子。
【請求項2】
上記第1流路形成部材(6A)は、複数本の左右方向の細帯部(13)を残して上記窓部(5)が打抜き形成され、上記第2流路形成部材(6B)は、上下方向の細帯部(14)を残して上記窓部(10)が打抜き形成されている請求項1記載の熱交換素子。
【請求項3】
上記第1不織布(7A)及び第2不織布(7B)の目付けを、10g/m2 以上 200g/m2 以下に設定した請求項1又は2記載の熱交換素子。
【請求項4】
上記第1フィルム(8A)及び第2フィルム(8B)の厚さ寸法(t8 )を、3μm以上 100μm以下に設定した請求項1又は2記載の熱交換素子。
【請求項5】
フィルム(8)に不織布(7)を張設したことを特徴とする熱交換用膜状体。
【請求項6】
上記フィルム(8)の厚さ寸法(t
8
)を、3μm以上 100μm以下に設定した請求項5記載の熱交換用膜状体。
【請求項7】
上記不織布(7)の目付けを、10g/m
2
以上 200g/m
2
以下に設定した請求項5記載の熱交換用膜状体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換素子及び熱交換用膜状体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷風機や空調機には、熱交換素子が内蔵されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の冷風機に用いられている熱交換素子は、熱交換素子がアルミニウム等から成り、持ち運ぶ際、重いという問題がある。そこで、本発明は、軽量で持ち運びに便利な熱交換素子を提供することを目的とする。
【0005】
また、熱交換素子がハニカム構造のアルミニウムから成る熱交換素子の場合、形状が複雑なので製造コストが高くなるとともに、防錆処理が必要なので、さらに高価になるという欠点があった。そこで、本発明は、容易に製造することができて安価な熱交換素子を提供することを目的とする。
【0006】
また、熱交換素子がハニカム構造のアルミニウムから成る熱交換素子の場合、熱交換が行われる(隣接する)気体の流路と水の流路との間に配設されるアルミニウムの厚さ寸法が約1mmもあり、熱交換率が低いという欠点があった。そこで、本発明は、熱交換率が高い熱交換素子を提供することを目的とする。
【0007】
また、アルミニウムから成る熱交換素子は、形状寸法を容易に変更することができないという問題もあった。そこで、本発明は、形状寸法を容易に変更することができる熱交換素子を提供することを目的とする。
【0008】
また、熱交換素子にあっては、水を上から下に流す際、水が流れる速度が速いので、熱交換率が低いという欠点があった。そこで、本発明は、熱交換率が高い熱交換素子及び熱交換用膜状体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る熱交換素子は、一壁面部と、他壁面部と、該一壁面部と他壁面部とを連結する多数の平行なリブ片を有するプラスチック段ボール素材に窓部を打抜き形成した正面視外形形状が矩形の第1流路形成部材と、該第1流路形成部材と外形形状が略同一であって該第1流路形成部材に張設された第1不織布と、上記第1流路形成部材と外形形状が略同一であって上記第1不織布に張設された第1フィルムと、から成る第1熱交換部材と、上記プラスチック段ボール素材に窓部が打抜き形成されかつ上記第1流路形成部材と外形形状が略同一の第2流路形成部材と、該第2流路形成部材と外形形状が略同一であって該第2流路形成部材に張設された第2フィルムと、上記第2流路形成部材と外形形状が略同一であって上記第2フィルムに張設された第2不織布と、から成る第2熱交換部材とを、備え、上記第1不織布と、上記第2不織布とが、水が流れる流路を形成するように所定小間隙をもって向き合うとともに、上記第1フィルムと第2フィルムとが、気体が流れる流路を形成するように所定小間隙をもって向き合うように、かつ、上記第1流路形成部材のリブ方向を上下方向として、上記第2流路形成部材のリブ方向を左右方向として、上記第1熱交換部材と第2熱交換部材とを複数枚前後に交互に積層させて一体化し、気体と水の熱交換を行うように構成したものである。
【0010】
また、上記第1流路形成部材は、複数本の左右方向の細帯部を残して上記窓部が打抜き形成され、上記第2流路形成部材は、上下方向の細帯部を残して上記窓部が打抜き形成されているものである。
また、上記第1不織布及び第2不織布の目付けを、10g/m2 以上 200g/m2 以下に設定したものである。
また、上記第1フィルム及び第2フィルムの厚さ寸法を、3μm以上 100μm以下に設定したものである。
【0011】
また、本発明に係る熱交換用膜状体は、フィルムに不織布を張設したものである。
また、上記フィルムの厚さ寸法を、3μm以上 100μm以下に設定したものである。
また、上記不織布の目付けを、10g/m
2
以上 200g/m
2
以下に設定したものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の熱交換素子及び熱交換用膜状体によれば、軽量で持ち運びに便利である。また、容易に製造することができて安価である。また、形状寸法を容易に変更することができる。また、熱交換効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】プラスチック段ボール素材を示す断面図である。
【
図7】
図5の断面拡大図であって、(A)は
図5のA-A断面拡大図であり、(B)はさらにその拡大図である。
【
図8】
図6の断面拡大図であって、(A)は
図6のB-B断面拡大図であり、(B)はさらにその拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図示の実施の形態に基づいて本発明を詳説する。
図1は、本発明に係る熱交換素子の実施の一形態を示す。この熱交換素子は、気化式冷風機や空調機等に内蔵される。上から下へ水を流下させるとともに、冷風機、空調機等に内蔵されたファンによって(左右方向に)気体を流して、気体と水の熱交換を行うものである。気体は、例えば、空気である。プラスチック段ボール素材4(
図2参照)と不織布7(
図3参照)とフィルム8(
図4参照)とが、用いられる。
【0015】
図2に示すように、プラスチック段ボール素材4は、一壁面部1と、他壁面部2と、一壁面部1と他壁面部2とを連結する多数の平行なリブ片3を有する。このプラスチック段ボール素材4は、例えば、ポリプロピレンから成る。
【0016】
不織布7は、湿式又は乾式のいずれでも良いが、湿式不織布にビスコース加工を施すと、水蒸気が移行しやすく熱交換率が高くなるので、好ましい。
【0017】
フィルム8は、例えば、ナイロン66、ナイロン6、アクリル、PET、PE、セロファンから成る。
【0018】
本発明に係る熱交換素子は、第1熱交換部材9A(
図5・
図7参照)と第2熱交換部材9B(
図6・
図8参照)とを、複数枚前後に交互に積層しかつ一体化して構成される。第1熱交換部材9Aは、プラスチック段ボール素材4に窓部5を打抜き形成されるとともに正面視外形形状が矩形の第1流路形成部材6A(
図9参照)と、第1流路形成部材6Aに張設された第1不織布7A(
図3参照)と、第1不織布7Aに張設された第1フィルム8A(
図4参照)と、から成る。本発明に於て、「矩形」とは、正方形、長方形を含み、さらに、多少の切欠きや突部を有する略正方形、略長方形をも含むものとする。また、本発明に於て、「張設」とは、接着、貼着、その他、平面状に張った状態で一体化する他の手段を含むものとする。不織布7とフィルム8とは、例えば、PUR接着により張設することができる。
【0019】
第1流路形成部材6Aは、複数本(好ましくは、2本以上5本以下)の左右方向の細帯部13を残して窓部5が打抜き形成されている。
【0020】
図3・
図5・
図7(A)に示すように、第1不織布7Aは、第1流路形成部材6Aと外形形状が略同一である。
図4・
図5・
図7(A)に示すように、第1フィルム8Aは、第1流路形成部材6Aと外形形状が略同一である。
【0021】
図6・
図8に示すように、第2熱交換部材9Bは、プラスチック段ボール素材4に窓部10が打抜き形成されるとともに第1流路形成部材6Aと外形形状が略同一の第2流路形成部材6B(
図10参照)と、第2流路形成部材6Bに張設された第2フィルム8B(
図4参照)と、第2フィルム8Bに張設された第2不織布7B(
図3参照)と、から成る。
【0022】
第2流路形成部材6Bは、上下方向の細帯部14を残して窓部10が打抜き形成されている。
【0023】
図3・
図6・
図8(A)に示すように、第2不織布7Bは、第2流路形成部材6Bと外形形状が略同一である。
図4・
図6・
図8(A)に示すように、第2フィルム8Bは、第2流路形成部材6Bと外形形状が略同一である。
【0024】
細帯部13,14(
図9・
図10参照)の幅寸法wを、3mm~30mmに設定する。なお、この幅寸法wを、第1流路形成部材6Aの一辺(短辺)の長さ寸法Lの3%以上10%以下に設定するのが望ましい。幅寸法wが長さ寸法Lの3%未満の場合、強度が不足する。幅寸法wが長さ寸法Lの10%を超える場合、熱交換率が低下する。
【0025】
図2に示すように、プラスチック段ボール素材4の一壁面部1と他壁面部2は、厚さ寸法tが同一である。一壁面部1と他壁面部2各々の厚さ寸法tを、0.05mm以上0.5 mm以下に設定する。厚さ寸法tが0.05mm未満の場合、強度と剛性が不足し、また、製造が困難である。厚さ寸法tが0.5 mmを超える場合、熱交換率が低くなる。
【0026】
図11は、熱交換素子の正面図を示す。
図12は、
図11のY-Y断面簡略拡大図である。
図12に示すように、第1不織布7Aと、第2不織布7Bとが、水が流れる流路11を形成するように所定小間隙g
1 をもって向き合うとともに、第1フィルム8Aと第2フィルム8Bとが、気体が流れる流路12を形成するように所定小間隙g
2 をもって向き合うように、かつ、第1流路形成部材6Aのリブ方向R
1 (
図5参照)を上下方向として、第2流路形成部材6Bのリブ方向R
2 (
図6参照)を左右方向として、第1熱交換部材9Aと第2熱交換部材9Bとが、複数枚前後 (
図12の左右方向)に交互に積層される。
【0027】
第1不織布7A及び第2不織布7Bの目付けを、10g/m2 以上 200g/m2 以下に設定する。目付けが10g/m2 未満の場合、水の流れを遅くする効果が低くなる。目付けが 200g/m2 を超える場合、熱交換率が低くなる。
【0028】
第1フィルム8A及び第2フィルム8Bの厚さ寸法t8 を、3μm以上 100μm以下に設定する。厚さ寸法t8 が、3μm未満の場合、強度が不足する。厚さ寸法t8 が、 100μmを超える場合、熱交換率が低くなる。
【0029】
次に、熱交換が行われる方法について説明する。水を第1熱交換部材9Aの上から下へ流すとともに、気体を第2熱交換部材9Bの左右方向の一方から他方へ流す。
図13に示すように、一対の(向き合った)第1不織布7Aと第2不織布7Bが、水が流れる流路11を形成するので、水の流れが第1不織布7Aと第2不織布7Bによって遅くなり、熱交換率が高くなる。また、
図14に示すように、第1流路形成部材6Aの細帯部13への入口部分によっても、水が抵抗を受け、水の流れが遅くなり、熱交換率が高くなる。
【0030】
なお、
図2及び
図12~
図14等に於て、プラスチック段ボール素材4のリブ片3を、一壁面部1及び他壁面部2と垂直に描いているが、このリブ片3は、傾斜状であったり、弯曲状であることも望ましい。
【0031】
本発明は、設計変更可能であって、例えば、第1流路形成部材6Aと第2流路形成部材6Bの厚みを相違させるも良い。例えば、水量が小さい場合、第1流路形成部材6Aの厚みを大きくして水量を増すことができる。また、風量が小さい場合、第2流路形成部材6Bの厚みを大きくして風量を増すことができる。また、第1流路形成部材6Aの左右方向の細帯部13に加えて、または、左右方向の細帯部13に代えて、上下方向の細帯部を残して窓部5を打抜き形成するも良い。例えば、左右方向の2本の細帯部13,13の間を上下方向の細帯部が連結する形状に各細帯部を残して、窓部5を打抜き形成するも良い。また、第2流路形成部材6Bの上下方向の細帯部14に加えて、または、上下方向の細帯部14に代えて、左右方向の細帯部を残して窓部10を打抜き形成するも良い。また、(
図5・
図6の正面図において、)細帯部13,14をジグザグ折れ線形状や波型等とするも好ましい。また、第1不織布7A及び第2不織布7Bに、機能性材料を使っても良い。例えば、防カビ剤を用いるも好ましい。
【0032】
以上のように、本発明は、一壁面部1と、他壁面部2と、該一壁面部1と他壁面部2とを連結する多数の平行なリブ片3を有するプラスチック段ボール素材4に窓部5を打抜き形成した正面視外形形状が矩形の第1流路形成部材6Aと、該第1流路形成部材6Aと外形形状が略同一であって該第1流路形成部材6Aに張設された第1不織布7Aと、上記第1流路形成部材6Aと外形形状が略同一であって上記第1不織布7Aに張設された第1フィルム8Aと、から成る第1熱交換部材9Aと、上記プラスチック段ボール素材4に窓部10が打抜き形成されかつ上記第1流路形成部材6Aと外形形状が略同一の第2流路形成部材6Bと、該第2流路形成部材6Bと外形形状が略同一であって該第2流路形成部材6Bに張設された第2フィルム8Bと、上記第2流路形成部材6Bと外形形状が略同一であって上記第2フィルム8Bに張設された第2不織布7Bと、から成る第2熱交換部材9Bとを、備え、上記第1不織布7Aと、上記第2不織布7Bとが、水が流れる流路11を形成するように所定小間隙g1 をもって向き合うとともに、上記第1フィルム8Aと第2フィルム8Bとが、気体が流れる流路12を形成するように所定小間隙g2 をもって向き合うように、かつ、上記第1流路形成部材6Aのリブ方向R1 を上下方向として、上記第2流路形成部材6Bのリブ方向R2 を左右方向として、上記第1熱交換部材9Aと第2熱交換部材9Bとを複数枚前後に交互に積層させて一体化し、気体と水の熱交換を行うように構成したので、水の降下速度がゆっくりとなり、気体との熱交換率が高い。しかも、熱交換素子を軽く形成できるので、これを内蔵した気化式冷風機等の軽量化が図られて、持ち運びに便利である。また、疎水性があるプラスチック段ボール素材4を用いながらも、熱交換率が高い。さらに、熱交換素子を容易に製造することができて安価である。また、熱交換素子全体の形状寸法を容易に変更することができる。
【0033】
また、上記第1流路形成部材6Aは、複数本の左右方向の細帯部13を残して上記窓部5が打抜き形成され、上記第2流路形成部材6Bは、上下方向の細帯部14を残して上記窓部10が打抜き形成されているので、強度が優れる。また、熱交換率が高い。
また、上記第1不織布7A及び第2不織布7Bの目付けを、10g/m2 以上 200g/m2 以下に設定したので、適切に水の流れが遅くなり熱交換率が高くなる。
また、上記第1フィルム8A及び第2フィルム8Bの厚さ寸法t8 を、3μm以上 100μm以下に設定したので、熱交換率が高い。
【0034】
また、フィルム8に不織布7を張設したので、水の降下速度がゆっくりとなり、気体との熱交換率が高い。
また、上記フィルム8の厚さ寸法t
8
を、3μm以上 100μm以下に設定したので、熱交換率が高い。
また、上記不織布7の目付けを、10g/m
2
以上 200g/m
2
以下に設定したので、適切に水の流れが遅くなり熱交換率が高くなる。
【符号の説明】
【0035】
1 一壁面部
2 他壁面部
3 リブ片
4 プラスチック段ボール素材
5 窓部
6A 第1流路形成部材
6B 第2流路形成部材
7A 第1不織布
7B 第2不織布
8A 第1フィルム
8B 第2フィルム
9A 第1熱交換部材
9B 第2熱交換部材
10 窓部
11 水が流れる流路
12 気体が流れる流路
13 細帯部
14 細帯部
g1 所定小間隙
g2 所定小間隙
R1 リブ方向
R2 リブ方向
t8 厚さ寸法
【手続補正書】
【提出日】2023-12-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一壁面部(1)と、他壁面部(2)と、該一壁面部(1)と他壁面部(2)とを連結する多数の平行なリブ片(3)を有するプラスチック段ボール素材(4)に窓部(5)を打抜き形成した正面視外形形状が矩形の第1流路形成部材(6A)と、該第1流路形成部材(6A)と外形形状が略同一であって該第1流路形成部材(6A)に張設された第1不織布(7A)と、上記第1流路形成部材(6A)と外形形状が略同一であって上記第1不織布(7A)に張設された第1フィルム(8A)と、から成る第1熱交換部材(9A)と、
上記プラスチック段ボール素材(4)に窓部(10)が打抜き形成されかつ上記第1流路形成部材(6A)と外形形状が略同一の第2流路形成部材(6B)と、該第2流路形成部材(6B)と外形形状が略同一であって該第2流路形成部材(6B)に張設された第2フィルム(8B)と、上記第2流路形成部材(6B)と外形形状が略同一であって上記第2フィルム(8B)に張設された第2不織布(7B)と、から成る第2熱交換部材(9B)とを、備え、
上記第1不織布(7A)と、上記第2不織布(7B)とが、水が流れる流路(11)を形成するように所定小間隙(g1 )をもって向き合うとともに、上記第1フィルム(8A)と第2フィルム(8B)とが、気体が流れる流路(12)を形成するように所定小間隙(g2 )をもって向き合うように、かつ、上記第1流路形成部材(6A)のリブ方向(R1 )を上下方向として、上記第2流路形成部材(6B)のリブ方向(R2 )を左右方向として、上記第1熱交換部材(9A)と第2熱交換部材(9B)とを複数枚前後に交互に積層させて一体化し、気体と水の熱交換を行うように構成したことを特徴とする熱交換素子。
【請求項2】
上記第1流路形成部材(6A)は、複数本の左右方向の細帯部(13)を残して上記窓部(5)が打抜き形成され、上記第2流路形成部材(6B)は、上下方向の細帯部(14)を残して上記窓部(10)が打抜き形成されている請求項1記載の熱交換素子。
【請求項3】
上記第1不織布(7A)及び第2不織布(7B)の目付けを、10g/m2 以上 200g/m2 以下に設定した請求項1又は2記載の熱交換素子。
【請求項4】
上記第1フィルム(8A)及び第2フィルム(8B)の厚さ寸法(t8 )を、3μm以上 100μm以下に設定した請求項1又は2記載の熱交換素子。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換素子
【背景技術】
【0002】
従来、冷風機や空調機には、熱交換素子が内蔵されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の冷風機に用いられている熱交換素子は、熱交換素子がアルミニウム等から成り、持ち運ぶ際、重いという問題がある。そこで、本発明は、軽量で持ち運びに便利な熱交換素子を提供することを目的とする。
【0005】
また、熱交換素子がハニカム構造のアルミニウムから成る熱交換素子の場合、形状が複雑なので製造コストが高くなるとともに、防錆処理が必要なので、さらに高価になるという欠点があった。そこで、本発明は、容易に製造することができて安価な熱交換素子を提供することを目的とする。
【0006】
また、熱交換素子がハニカム構造のアルミニウムから成る熱交換素子の場合、熱交換が行われる(隣接する)気体の流路と水の流路との間に配設されるアルミニウムの厚さ寸法が約1mmもあり、熱交換率が低いという欠点があった。そこで、本発明は、熱交換率が高い熱交換素子を提供することを目的とする。
【0007】
また、アルミニウムから成る熱交換素子は、形状寸法を容易に変更することができないという問題もあった。そこで、本発明は、形状寸法を容易に変更することができる熱交換素子を提供することを目的とする。
【0008】
また、熱交換素子にあっては、水を上から下に流す際、水が流れる速度が速いので、熱交換率が低いという欠点があった。そこで、本発明は、熱交換率が高い熱交換素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る熱交換素子は、一壁面部と、他壁面部と、該一壁面部と他壁面部とを連結する多数の平行なリブ片を有するプラスチック段ボール素材に窓部を打抜き形成した正面視外形形状が矩形の第1流路形成部材と、該第1流路形成部材と外形形状が略同一であって該第1流路形成部材に張設された第1不織布と、上記第1流路形成部材と外形形状が略同一であって上記第1不織布に張設された第1フィルムと、から成る第1熱交換部材と、上記プラスチック段ボール素材に窓部が打抜き形成されかつ上記第1流路形成部材と外形形状が略同一の第2流路形成部材と、該第2流路形成部材と外形形状が略同一であって該第2流路形成部材に張設された第2フィルムと、上記第2流路形成部材と外形形状が略同一であって上記第2フィルムに張設された第2不織布と、から成る第2熱交換部材とを、備え、上記第1不織布と、上記第2不織布とが、水が流れる流路を形成するように所定小間隙をもって向き合うとともに、上記第1フィルムと第2フィルムとが、気体が流れる流路を形成するように所定小間隙をもって向き合うように、かつ、上記第1流路形成部材のリブ方向を上下方向として、上記第2流路形成部材のリブ方向を左右方向として、上記第1熱交換部材と第2熱交換部材とを複数枚前後に交互に積層させて一体化し、気体と水の熱交換を行うように構成したものである。
【0010】
また、上記第1流路形成部材は、複数本の左右方向の細帯部を残して上記窓部が打抜き形成され、上記第2流路形成部材は、上下方向の細帯部を残して上記窓部が打抜き形成されているものである。
また、上記第1不織布及び第2不織布の目付けを、10g/m2 以上 200g/m2 以下に設定したものである。
また、上記第1フィルム及び第2フィルムの厚さ寸法を、3μm以上 100μm以下に設定したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の熱交換素子によれば、軽量で持ち運びに便利である。また、容易に製造することができて安価である。また、形状寸法を容易に変更することができる。また、熱交換効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】プラスチック段ボール素材を示す断面図である。
【
図7】
図5の断面拡大図であって、(A)は
図5のA-A断面拡大図であり、(B)はさらにその拡大図である。
【
図8】
図6の断面拡大図であって、(A)は
図6のB-B断面拡大図であり、(B)はさらにその拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図示の実施の形態に基づいて本発明を詳説する。
図1は、本発明に係る熱交換素子の実施の一形態を示す。この熱交換素子は、気化式冷風機や空調機等に内蔵される。上から下へ水を流下させるとともに、冷風機、空調機等に内蔵されたファンによって(左右方向に)気体を流して、気体と水の熱交換を行うものである。気体は、例えば、空気である。プラスチック段ボール素材4(
図2参照)と不織布7(
図3参照)とフィルム8(
図4参照)とが、用いられる。
【0014】
図2に示すように、プラスチック段ボール素材4は、一壁面部1と、他壁面部2と、一壁面部1と他壁面部2とを連結する多数の平行なリブ片3を有する。このプラスチック段ボール素材4は、例えば、ポリプロピレンから成る。
【0015】
不織布7は、湿式又は乾式のいずれでも良いが、湿式不織布にビスコース加工を施すと、水蒸気が移行しやすく熱交換率が高くなるので、好ましい。
【0016】
フィルム8は、例えば、ナイロン66、ナイロン6、アクリル、PET、PE、セロファンから成る。
【0017】
本発明に係る熱交換素子は、第1熱交換部材9A(
図5・
図7参照)と第2熱交換部材9B(
図6・
図8参照)とを、複数枚前後に交互に積層しかつ一体化して構成される。第1熱交換部材9Aは、プラスチック段ボール素材4に窓部5を打抜き形成されるとともに正面視外形形状が矩形の第1流路形成部材6A(
図9参照)と、第1流路形成部材6Aに張設された第1不織布7A(
図3参照)と、第1不織布7Aに張設された第1フィルム8A(
図4参照)と、から成る。本発明に於て、「矩形」とは、正方形、長方形を含み、さらに、多少の切欠きや突部を有する略正方形、略長方形をも含むものとする。また、本発明に於て、「張設」とは、接着、貼着、その他、平面状に張った状態で一体化する他の手段を含むものとする。不織布7とフィルム8とは、例えば、PUR接着により張設することができる。
【0018】
第1流路形成部材6Aは、複数本(好ましくは、2本以上5本以下)の左右方向の細帯部13を残して窓部5が打抜き形成されている。
【0019】
図3・
図5・
図7(A)に示すように、第1不織布7Aは、第1流路形成部材6Aと外形形状が略同一である。
図4・
図5・
図7(A)に示すように、第1フィルム8Aは、第1流路形成部材6Aと外形形状が略同一である。
【0020】
図6・
図8に示すように、第2熱交換部材9Bは、プラスチック段ボール素材4に窓部10が打抜き形成されるとともに第1流路形成部材6Aと外形形状が略同一の第2流路形成部材6B(
図10参照)と、第2流路形成部材6Bに張設された第2フィルム8B(
図4参照)と、第2フィルム8Bに張設された第2不織布7B(
図3参照)と、から成る。
【0021】
第2流路形成部材6Bは、上下方向の細帯部14を残して窓部10が打抜き形成されている。
【0022】
図3・
図6・
図8(A)に示すように、第2不織布7Bは、第2流路形成部材6Bと外形形状が略同一である。
図4・
図6・
図8(A)に示すように、第2フィルム8Bは、第2流路形成部材6Bと外形形状が略同一である。
【0023】
細帯部13,14(
図9・
図10参照)の幅寸法wを、3mm~30mmに設定する。なお、この幅寸法wを、第1流路形成部材6Aの一辺(短辺)の長さ寸法Lの3%以上10%以下に設定するのが望ましい。幅寸法wが長さ寸法Lの3%未満の場合、強度が不足する。幅寸法wが長さ寸法Lの10%を超える場合、熱交換率が低下する。
【0024】
図2に示すように、プラスチック段ボール素材4の一壁面部1と他壁面部2は、厚さ寸法tが同一である。一壁面部1と他壁面部2各々の厚さ寸法tを、0.05mm以上0.5 mm以下に設定する。厚さ寸法tが0.05mm未満の場合、強度と剛性が不足し、また、製造が困難である。厚さ寸法tが0.5 mmを超える場合、熱交換率が低くなる。
【0025】
図11は、熱交換素子の正面図を示す。
図12は、
図11のY-Y断面簡略拡大図である。
図12に示すように、第1不織布7Aと、第2不織布7Bとが、水が流れる流路11を形成するように所定小間隙g
1 をもって向き合うとともに、第1フィルム8Aと第2フィルム8Bとが、気体が流れる流路12を形成するように所定小間隙g
2 をもって向き合うように、かつ、第1流路形成部材6Aのリブ方向R
1 (
図5参照)を上下方向として、第2流路形成部材6Bのリブ方向R
2 (
図6参照)を左右方向として、第1熱交換部材9Aと第2熱交換部材9Bとが、複数枚前後 (
図12の左右方向)に交互に積層される。
【0026】
第1不織布7A及び第2不織布7Bの目付けを、10g/m2 以上 200g/m2 以下に設定する。目付けが10g/m2 未満の場合、水の流れを遅くする効果が低くなる。目付けが
200g/m2 を超える場合、熱交換率が低くなる。
【0027】
第1フィルム8A及び第2フィルム8Bの厚さ寸法t8 を、3μm以上 100μm以下に設定する。厚さ寸法t8 が、3μm未満の場合、強度が不足する。厚さ寸法t8 が、 100μmを超える場合、熱交換率が低くなる。
【0028】
次に、熱交換が行われる方法について説明する。水を第1熱交換部材9Aの上から下へ流すとともに、気体を第2熱交換部材9Bの左右方向の一方から他方へ流す。
図13に示すように、一対の(向き合った)第1不織布7Aと第2不織布7Bが、水が流れる流路11を形成するので、水の流れが第1不織布7Aと第2不織布7Bによって遅くなり、熱交換率が高くなる。また、
図14に示すように、第1流路形成部材6Aの細帯部13への入口部分によっても、水が抵抗を受け、水の流れが遅くなり、熱交換率が高くなる。
【0029】
なお、
図2及び
図12~
図14等に於て、プラスチック段ボール素材4のリブ片3を、一壁面部1及び他壁面部2と垂直に描いているが、このリブ片3は、傾斜状であったり、弯曲状であることも望ましい。
【0030】
本発明は、設計変更可能であって、例えば、第1流路形成部材6Aと第2流路形成部材6Bの厚みを相違させるも良い。例えば、水量が小さい場合、第1流路形成部材6Aの厚みを大きくして水量を増すことができる。また、風量が小さい場合、第2流路形成部材6Bの厚みを大きくして風量を増すことができる。また、第1流路形成部材6Aの左右方向の細帯部13に加えて、または、左右方向の細帯部13に代えて、上下方向の細帯部を残して窓部5を打抜き形成するも良い。例えば、左右方向の2本の細帯部13,13の間を上下方向の細帯部が連結する形状に各細帯部を残して、窓部5を打抜き形成するも良い。また、第2流路形成部材6Bの上下方向の細帯部14に加えて、または、上下方向の細帯部14に代えて、左右方向の細帯部を残して窓部10を打抜き形成するも良い。また、(
図5・
図6の正面図において、)細帯部13,14をジグザグ折れ線形状や波型等とするも好ましい。また、第1不織布7A及び第2不織布7Bに、機能性材料を使っても良い。例えば、防カビ剤を用いるも好ましい。
【0031】
以上のように、本発明は、一壁面部1と、他壁面部2と、該一壁面部1と他壁面部2とを連結する多数の平行なリブ片3を有するプラスチック段ボール素材4に窓部5を打抜き形成した正面視外形形状が矩形の第1流路形成部材6Aと、該第1流路形成部材6Aと外形形状が略同一であって該第1流路形成部材6Aに張設された第1不織布7Aと、上記第1流路形成部材6Aと外形形状が略同一であって上記第1不織布7Aに張設された第1フィルム8Aと、から成る第1熱交換部材9Aと、上記プラスチック段ボール素材4に窓部10が打抜き形成されかつ上記第1流路形成部材6Aと外形形状が略同一の第2流路形成部材6Bと、該第2流路形成部材6Bと外形形状が略同一であって該第2流路形成部材6Bに張設された第2フィルム8Bと、上記第2流路形成部材6Bと外形形状が略同一であって上記第2フィルム8Bに張設された第2不織布7Bと、から成る第2熱交換部材9Bとを、備え、上記第1不織布7Aと、上記第2不織布7Bとが、水が流れる流路11を形成するように所定小間隙g1 をもって向き合うとともに、上記第1フィルム8Aと第2フィルム8Bとが、気体が流れる流路12を形成するように所定小間隙g2 をもって向き合うように、かつ、上記第1流路形成部材6Aのリブ方向R1 を上下方向として、上記第2流路形成部材6Bのリブ方向R2 を左右方向として、上記第1熱交換部材9Aと第2熱交換部材9Bとを複数枚前後に交互に積層させて一体化し、気体と水の熱交換を行うように構成したので、水の降下速度がゆっくりとなり、気体との熱交換率が高い。しかも、熱交換素子を軽く形成できるので、これを内蔵した気化式冷風機等の軽量化が図られて、持ち運びに便利である。また、疎水性があるプラスチック段ボール素材4を用いながらも、熱交換率が高い。さらに、熱交換素子を容易に製造することができて安価である。また、熱交換素子全体の形状寸法を容易に変更することができる。
【0032】
また、上記第1流路形成部材6Aは、複数本の左右方向の細帯部13を残して上記窓部5が打抜き形成され、上記第2流路形成部材6Bは、上下方向の細帯部14を残して上記窓部10が打抜き形成されているので、強度が優れる。また、熱交換率が高い。
また、上記第1不織布7A及び第2不織布7Bの目付けを、10g/m2 以上 200g/m2 以下に設定したので、適切に水の流れが遅くなり熱交換率が高くなる。
また、上記第1フィルム8A及び第2フィルム8Bの厚さ寸法t8 を、3μm以上 100μm以下に設定したので、熱交換率が高い。
【符号の説明】
【0033】
1 一壁面部
2 他壁面部
3 リブ片
4 プラスチック段ボール素材
5 窓部
6A 第1流路形成部材
6B 第2流路形成部材
7A 第1不織布
7B 第2不織布
8A 第1フィルム
8B 第2フィルム
9A 第1熱交換部材
9B 第2熱交換部材
10 窓部
11 水が流れる流路
12 気体が流れる流路
13 細帯部
14 細帯部
g1 所定小間隙
g2 所定小間隙
R1 リブ方向
R2 リブ方向
t8 厚さ寸法