(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030070
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】磁気記憶装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 61/00 20230101AFI20240229BHJP
H10N 50/10 20230101ALI20240229BHJP
【FI】
H01L27/105 447
H01L43/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132628
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 太一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雄一
(72)【発明者】
【氏名】北川 英二
(72)【発明者】
【氏名】岩山 昌由
【テーマコード(参考)】
4M119
5F092
【Fターム(参考)】
4M119AA19
4M119BB01
4M119CC05
4M119DD09
4M119DD17
4M119DD24
4M119DD32
4M119DD37
4M119DD42
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4M119EE22
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4M119GG01
4M119JJ03
4M119JJ04
4M119JJ12
4M119JJ13
4M119JJ15
5F092AA11
5F092AB08
5F092AC12
5F092AD25
5F092BB10
5F092BB15
5F092BB23
5F092BB36
5F092BB43
5F092BB90
5F092BC04
5F092BC07
5F092CA26
(57)【要約】
【課題】磁気抵抗効果素子の加工難易度を低減する。
【解決手段】実施形態によれば、磁気記憶装置は、第1配線22と、第1配線に並んで配置された第2配線22と、第1配線の上に設けられた第1スイッチング素子24と、第2配線の上に設けられた第2スイッチング素子24と、第1スイッチング素子と同層に設けられ、第1スイッチング素子を囲む第1絶縁層23と、第2スイッチング素子と同層に設けられ、第2スイッチング素子を囲み、第1絶縁層と接していない第2絶縁層23と、第1スイッチング素子及び第1絶縁層の上に設けられた第1導電体25と、第2スイッチング素子及び第2絶縁層の上に設けられた第2導電体25と、第1導電体の上に設けられた第1磁気抵抗効果素子26と、第2導電体の上に設けられた第2磁気抵抗効果素子26と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延伸する第1配線と、
前記第1方向に延伸し、前記第1配線と前記第1方向と交差する第2方向に並んで配置された第2配線と、
前記第1配線の上に設けられた第1スイッチング素子と、
前記第2配線の上に設けられた第2スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子と同層に設けられ、前記第1スイッチング素子を囲む第1絶縁層と、
前記第2スイッチング素子と同層に設けられ、前記第2スイッチング素子を囲み、前記第1絶縁層と接していない第2絶縁層と、
前記第1スイッチング素子及び前記第1絶縁層の上に設けられた第1導電体と、
前記第2スイッチング素子及び前記第2絶縁層の上に設けられた第2導電体と、
前記第1導電体の上に設けられた第1磁気抵抗効果素子と、
前記第2導電体の上に設けられた第2磁気抵抗効果素子と、
を備える、
磁気記憶装置。
【請求項2】
前記第1スイッチング素子の前記第1導電体と向かい合う第1主面の面積は、前記第1導電体の前記第1スイッチング素子と向かい合う第2主面の面積よりも小さい、
請求項1に記載の磁気記憶装置。
【請求項3】
前記第1主面の長径は、前記第2主面の長径よりも短い、
請求項2に記載の磁気記憶装置。
【請求項4】
前記第1スイッチング素子はシリコン及びヒ素を含み、
前記第1絶縁層は、シリコンを含み、ヒ素を含まない、
請求項1に記載の磁気記憶装置。
【請求項5】
前記第1スイッチング素子の前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向の長さは、前記第1絶縁層の前記第3方向の長さよりも短い、
請求項1に記載の磁気記憶装置。
【請求項6】
前記第1導電体の前記第1絶縁層と向かい合う面の外形は、前記第1絶縁層の前記第1導電体と向かい合う面の外形と同じである、
請求項1に記載の磁気記憶装置。
【請求項7】
前記第1絶縁層の側面の傾斜角度は、前記第1磁気抵抗効果素子の側面の傾斜角度よりも小さい、
請求項1に記載の磁気記憶装置。
【請求項8】
前記第1磁気抵抗効果素子の上に設けられた第1ハードマスクと、
前記第2磁気抵抗効果素子の上に設けられた第2ハードマスクと、
前記第1ハードマスク及び前記第2ハードマスクの上に設けられ、前記第2方向に延伸する第3配線と
を更に備える、
請求項1に記載の磁気記憶装置。
【請求項9】
前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第2磁気抵抗効果素子の各々は、参照層と、記憶層と、前記参照層と前記記憶層との間に設けられたトンネルバリア層とを含む、
請求項1に記載の磁気記憶装置。
【請求項10】
第1配線と、
前記第1配線の上に設けられた磁気抵抗効果素子と、
前記磁気抵抗効果素子の上に設けられた導電体と、
前記導電体の上に設けられたスイッチング素子と、
前記スイッチング素子と同層に設けられ、前記スイッチング素子を囲む絶縁層と、
前記スイッチング素子と前記絶縁層の上に設けられたハードマスクと
を備え、
前記スイッチング素子の前記ハードマスクと向かい合う第1主面の面積は、前記ハードマスクの前記スイッチング素子と向かい合う第2主面の面積よりも小さい、
磁気記憶装置。
【請求項11】
前記第1主面の長径は、前記第2主面の長径よりも短い、
請求項10に記載の磁気記憶装置。
【請求項12】
前記スイッチング素子はシリコン及びヒ素を含み、
前記絶縁層は、シリコンを含み、ヒ素を含まない、
請求項10に記載の磁気記憶装置。
【請求項13】
前記磁気抵抗効果素子は、参照層と、記憶層と、前記参照層と前記記憶層との間に設けられたトンネルバリア層とを含む、
請求項10に記載の磁気記憶装置。
【請求項14】
第1絶縁層内に、第1方向に延伸する第1配線を形成する工程と、
前記第1絶縁層及び前記第1配線の上に第2絶縁層を成膜する工程と、
前記第2絶縁層の上に、前記第1配線の上に設けられるスイッチング素子に対応するレジストマスクを形成する工程と、
前記第2絶縁層の前記レジストマスクが形成されていない領域にヒ素を注入して、前記スイッチング素子を形成する工程と、
前記スイッチング素子及び前記第2絶縁層の上に、導電体及び磁気抵抗効果素子に対応する積層膜を成膜する工程と、
ハードマスクを形成する工程と、
前記ハードマスクをマスクとして、前記積層膜、前記導電体、及び前記第2絶縁層を連続して加工する工程と
を備える、
磁気記憶装置の製造方法。
【請求項15】
前記積層膜は、第1強磁性体、第2強磁性体、及び前記第1強磁性体と前記第2強磁性体との間に設けられた非磁性体を含む、
請求項14に記載の磁気記憶装置の製造方法。
【請求項16】
前記加工する工程において、IBE(Ion Beam Etching)により、前記積層膜、前記導電体、及び前記第2絶縁層が加工される、
請求項14に記載の磁気記憶装置の製造方法。
【請求項17】
前記ハードマスクの上に、前記第1方向に交差する第2方向に延伸する第2配線を形成する工程を更に備える、
請求項14に記載の磁気記憶装置の製造方法。
【請求項18】
第1絶縁層内に、第1方向に延伸する第1配線を形成する工程と、
前記第1絶縁層及び前記第1配線の上に磁気抵抗効果素子に対応する積層膜、導電体、及び第2絶縁層を成膜する工程と、
前記第2絶縁層の上にレジストマスクを形成する工程と、
前記レジストマスクの上にバリアメタルを成膜する工程と、
前記バリアメタルを介して、前記第2絶縁層にヒ素を注入して、スイッチング素子を形成する工程と、
ハードマスクを形成する工程と、
前記ハードマスクをマスクとして、前記第2絶縁層、前記導電体、及び前記積層膜を連続して加工する工程と
を備える、
磁気記憶装置の製造方法。
【請求項19】
前記積層膜は、第1強磁性体、第2強磁性体、及び前記第1強磁性体と前記第2強磁性体との間に設けられた非磁性体を含む、
請求項18に記載の磁気記憶装置の製造方法。
【請求項20】
前記加工する工程において、IBE(Ion Beam Etching)により、前記第2絶縁層、前記導電体、及び前記積層膜が加工される、
請求項18に記載の磁気記憶装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気記憶装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気抵抗効果素子を記憶素子として用いた磁気記憶装置(MRAM:Magnetoresistive Random Access Memory)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁気抵抗効果素子の加工難易度を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る磁気記憶装置は、第1方向に延伸する第1配線と、第1方向に延伸し、第1配線と第1方向と交差する第2方向に並んで配置された第2配線と、第1配線の上に設けられた第1スイッチング素子と、第2配線の上に設けられた第2スイッチング素子と、第1スイッチング素子と同層に設けられ、第1スイッチング素子を囲む第1絶縁層と、第2スイッチング素子と同層に設けられ、第2スイッチング素子を囲み、第1絶縁層と接していない第2絶縁層と、第1スイッチング素子及び第1絶縁層の上に設けられた第1導電体と、第2スイッチング素子及び第2絶縁層の上に設けられた第2導電体と、第1導電体の上に設けられた第1磁気抵抗効果素子と、第2導電体の上に設けられた第2磁気抵抗効果素子と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る磁気記憶装置のブロック図。
【
図2】第1実施形態に係る磁気記憶装置の備えるメモリセルアレイの回路図。
【
図3】第1実施形態に係る磁気記憶装置の備えるメモリセルアレイの断面図。
【
図4】第1実施形態に係る磁気記憶装置の備えるメモリセルアレイにおける中間電極の平面図。
【
図5】第1実施形態に係る磁気記憶装置の備える磁気抵抗効果素子の断面図。
【
図6】第1実施形態に係る磁気記憶装置の備えるメモリセルアレイの製造工程を示すフローチャート。
【
図7】第1実施形態に係る磁気記憶装置の備えるメモリセルアレイの製造工程を示す断面図。
【
図8】第1実施形態に係る磁気記憶装置の備えるメモリセルアレイの製造工程を示す断面図。
【
図9】第1実施形態に係る磁気記憶装置の備えるメモリセルアレイの製造工程を示す断面図。
【
図10】第1実施形態に係る磁気記憶装置の備えるメモリセルアレイの製造工程を示す断面図。
【
図11】第1実施形態に係る磁気記憶装置の備えるメモリセルアレイの製造工程を示す断面図。
【
図12】第1実施形態に係る磁気記憶装置の備えるメモリセルアレイの製造工程を示す断面図。
【
図13】第2実施形態に係る磁気記憶装置の備えるメモリセルアレイの断面図。
【
図14】第3実施形態に係る磁気記憶装置の備えるメモリセルアレイの断面図。
【
図15】第3実施形態に係る磁気記憶装置の備えるメモリセルアレイの製造工程を示すフローチャート。
【
図16】第3実施形態に係る磁気記憶装置の備えるメモリセルアレイの製造工程を示す断面図。
【
図17】第3実施形態に係る磁気記憶装置の備えるメモリセルアレイの製造工程を示す断面図。
【
図18】第3実施形態に係る磁気記憶装置の備えるメモリセルアレイの製造工程を示す断面図。
【
図19】第3実施形態に係る磁気記憶装置の備えるメモリセルアレイの製造工程を示す断面図。
【
図20】第3実施形態に係る磁気記憶装置の備えるメモリセルアレイの製造工程を示す断面図。
【
図21】第3実施形態に係る磁気記憶装置の備えるメモリセルアレイの製造工程を示す断面図。
【
図22】第3実施形態に係る磁気記憶装置の備えるメモリセルアレイの製造工程を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する構成要素については、共通する参照符号を付す。また、共通する参照符号を有する複数の構成要素を区別する場合、当該共通する参照符号に添え字を付して区別する。なお、複数の構成要素について特に区別を要さない場合、当該複数の構成要素には、共通する参照符号のみが付され、添え字は付さない。ここで、添え字は、下付き文字や上付き文字に限らず、例えば、参照符号の末尾に添加される小文字のアルファベット、及び配列を意味するインデックス等を含む。
【0008】
1.第1実施形態
第1実施形態に係る磁気記憶装置について説明する。第1実施形態に係る磁気記憶装置は、例えば、磁気トンネル接合(MTJ:Magnetic Tunnel Junction)によって磁気抵抗効果(Magnetoresistive effect)を有する素子(MTJ素子とも称する。)を抵抗変化素子として用いた、垂直磁化方式による磁気記憶装置である。
【0009】
以下の説明では、MTJ素子を抵抗変化素子として適用した場合について説明するとともに、表記上、磁気抵抗効果素子MTJとして説明を行う。
【0010】
1.1 構成
1.1.1 磁気記憶装置の構成
まず、
図1を参照して、磁気記憶装置1の全体構成の一例に説明する。
図1は、第1実施形態に係る磁気記憶装置1の全体構成の一例を示すブロック図である。なお、
図1の例では、各構成要素間の接続の一部を矢印線により示しているが、各構成要素間の接続はこれに限定されない。
【0011】
図1に示すように、磁気記憶装置1は、メモリセルアレイ10、ロウ選択回路11、カラム選択回路12、デコード回路13、書き込み回路14、読み出し回路15、電圧生成回路16、入出力回路17、及び制御回路18を含む。
【0012】
メモリセルアレイ10は、複数のメモリセルMCを含む。各メモリセルMCは、行(row)、及び列(column)の組に対応付けられている。具体的には、同一行にあるメモリセルMCは、同一のワード線WLに接続される。そして、同一列にあるメモリセルMCは、同一のビット線BLに接続される。
【0013】
ロウ選択回路11は、ワード線WLを介して、メモリセルアレイ10と接続される。ロウ選択回路11は、デコード回路13から、アドレスADDのデコード結果(ロウアドレス)を受信する。ロウ選択回路11は、ロウアドレスに対応するワード線WLを選択状態に設定する。
【0014】
カラム選択回路12は、ビット線BLを介して、メモリセルアレイ10と接続される。カラム選択回路12は、デコード回路13から、アドレスADDのデコード結果(カラムアドレス)を受信する。カラム選択回路12は、カラムアドレスに対応するビット線BLを選択状態に設定する。
【0015】
デコード回路13は、入出力回路17から受信したアドレスADDをデコードする。アドレスADDは、カラムアドレス及びロウアドレスを含む。デコード回路13は、アドレスADDのデコード結果を、ロウ選択回路11及びカラム選択回路12に供給する。
【0016】
書き込み回路14は、メモリセルMCへのデータの書き込みを行う。書き込み回路14は、例えば、書き込みドライバ(図示せず)を含む。
【0017】
読み出し回路15は、メモリセルMCからのデータの読み出しを行う。読み出し回路15は、例えば、センスアンプ(図示せず)を含む。
【0018】
電圧生成回路16は、磁気記憶装置1の外部(図示せず)から提供された電源電圧を用いて、メモリセルアレイ10の各種動作のための電圧を生成する。例えば、電圧生成回路16は、書き込み動作に用いられる電圧を生成し、生成した電圧を書き込み回路14に出力する。また、例えば、電圧生成回路16は、読み出し動作に用いられる電圧を生成し、生成した電圧を読み出し回路15に出力する。
【0019】
入出力回路17は、磁気記憶装置1の外部から受信したアドレスADDを、デコード回路13に転送する。入出力回路17は、磁気記憶装置1の外部から受信したコマンドCMDを、制御回路18に転送する。入出力回路17は、種々の制御信号CNTを、磁気記憶装置1の外部と、制御回路18との間で送受信する。入出力回路17は、磁気記憶装置1の外部から受信したデータDATを書き込み回路14に転送し、読み出し回路15から転送されたデータDATを磁気記憶装置1の外部に出力する。
【0020】
制御回路18は、制御信号CNT及びコマンドCMDに基づいて、磁気記憶装置1内のロウ選択回路11、カラム選択回路12、デコード回路13、書き込み回路14、読み出し回路15、電圧生成回路16、及び入出力回路17の動作を制御する。
【0021】
1.1.2 メモリセルアレイの回路構成
次に、
図2を参照して、メモリセルアレイ10の構成の一例について説明する。
図2は、メモリセルアレイ10の構成を示す回路図である。
図2の例では、メモリセルMC、ワード線WL、及びビット線BLがインデックス(“<>”)を含む添え字によって分類されて示されている。
【0022】
図2に示すように、複数のメモリセルMCは、メモリセルアレイ10内でマトリクス状に配置される。各メモリセルMCは、複数のビット線BL(BL<0>、BL<1>、…、BL<N>)のうちの1本と、複数のワード線WL(WL<0>、WL<1>、…、WL<M>)のうちの1本と、の組に対応付けられる(M及びNは、任意の整数)。すなわち、メモリセルMC<i、j>(0≦i≦M、0≦j≦N)は、ワード線WL<i>とビット線BL<j>との間に接続される。
【0023】
メモリセルMC<i、j>は、セレクタSEL<i、j>及び磁気抵抗効果素子MTJ<i、j>を含む。セレクタSEL<i、j>と磁気抵抗効果素子MTJ<i、j>とは、直列に接続される。例えば、セレクタSEL<i、j>の一端は、1本のワード線WL<i>と接続され、他端は、磁気抵抗効果素子MTJ<i、j>の一端と接続される。磁気抵抗効果素子MTJ<i、j>の他端は、1本のビット線BL<j>と接続される。
【0024】
セレクタSEL(以下、「スイッチング素子」とも表記する)は、対応する磁気抵抗効果素子MTJへの書き込み動作及び読み出し動作時において、磁気抵抗効果素子MTJへの電流の供給を制御するスイッチとして機能する。より具体的には、例えば、メモリセルMC内のセレクタSELは、当該メモリセルMCに印加される電圧が予め設定された閾値電圧未満の場合、抵抗値の大きい絶縁体として電流を遮断する(オフ状態となる)。他方で、セレクタSELは、当該メモリセルMCに印加される電圧が閾値電圧以上の場合、抵抗値の小さい導電体として電流を流す(オン状態となる)。すなわち、セレクタSELは、流れる電流の方向によらず、メモリセルMCに印加される電圧の大きさに応じて、電流を流すか遮断するかを切り替える機能を有する。
【0025】
セレクタSELは、例えば2端子型のスイッチング素子であってもよい。2端子間に印加する電圧が閾値電圧未満の場合、セレクタSELは、ほとんど電気を流さない高抵抗状態、あるいは非導通状態にある。2端子間に印加する電圧が閾値電圧以上の場合、セレクタSELは、低抵抗状態、すなわち、電気的に導通状態にある。スイッチング素子は、電圧がどちらの極性でもこの機能を有し得る。
【0026】
磁気抵抗効果素子MTJは、データを不揮発に記憶する記憶素子として機能する。磁気抵抗効果素子MTJは、セレクタSELによって供給を制御された電流により、低抵抗状態または高抵抗状態に切り替わることができる。磁気抵抗効果素子MTJは、その抵抗状態の変化によってデータを書き込み可能である。
【0027】
1.1.3 メモリセルアレイの構造
次に、
図3及び
図4を参照して、メモリセルアレイ10の構造の一例について説明する。以下の説明では、半導体基板20の表面と平行な面をXY平面とし、XY平面に垂直な方向をZ方向とする。また、XY平面内において、ワード線WLに沿う方向をX方向とし、ビット線BLに沿う方向をY方向とする。また、各構成要素において、Z方向の半導体基板20を向く面を下面とし、対向する面を上面とする。
図3は、Y方向に沿ったメモリセルアレイ10の断面図である。
図4は、XY平面における導電体25(中間電極ME)の平面図を示している。
【0028】
図3に示すように、磁気記憶装置1は、半導体基板20、絶縁層21、23、及び29、配線層22及び30、素子24及び26、導電体25、ハードマスク27、並びに絶縁体28を含む。Z方向に積層された素子24、導電体25、素子26、及びハードマスク27の組み合わせが、1つのメモリセルMCとして機能する。
【0029】
絶縁層21は、半導体基板20の上面上に設けられる。絶縁層21の上面を含む上部領域には、複数の配線層22が設けられる。複数の配線層22は、X方向に延伸し、Y方向に並んで配置される。配線層22は、ワード線WLとして機能する。配線層22は、導電材料により構成される。なお、配線層22は、絶縁層を介して半導体基板20上に設けられてもよい。また、半導体基板20と配線層22との間には、図示せぬ回路(トランジスタ素子及び配線層等)が設けられてもよい。
【0030】
絶縁層23は、絶縁層21の上面上に設けられている。本実施形態の絶縁層23は、メモリセルMC間において分離されている。絶縁層23は、素子24と同層に設けられる。絶縁層23は、例えば、素子24を囲む円錐台の形状を有する。すなわち、絶縁層23の側面は、テーパー形状を有し得る。絶縁層23には、例えば、酸化シリコン(SiO)を含む絶縁材料が用いられる。
【0031】
複数の素子24は、配線層22の上面上に設けられる。1つの素子24が1つのメモリセルMCのセレクタSELとして機能する。例えば、複数の素子24は、XY平面において、X方向及びY方向に沿ってマトリクス状に配置される。そして、X方向に配置された複数の素子24が1つの配線層22の上面上に設けられる。なお、配線層22と素子24との間には、配線層22と素子24とを電気的に接続する電極が設けられてもよい。素子24は、絶縁体からなる材料で形成されており、イオン注入により導入されたドーパントを含有する。絶縁体は、例えば、酸化物を含む。より具体的には、例えば、絶縁体は、SiOあるいはSiOから実質的に構成された材料を含む。ドーパントは、例えば、ヒ素(As)またはゲルマニウム(Ge)を含む。例えば、これらの材料は、SiO中で凝集しやすい特性を有する。以下では、ドーパントがAsである場合について説明する。
【0032】
素子24は、絶縁層23にドーパントを注入することにより形成される。素子24の上面は、ドーパントのイオン注入の際に、ドーパントによる物理ダメージを受ける。このため、Z方向における素子24の上面の位置は、絶縁層23の上面の位置よりも低くなる。例えば、絶縁層23のZ方向の長さ(膜厚)をh1とし、素子24のZ方向の長さ(膜厚)をh2とすると、h1>h2の関係にある。
【0033】
素子24は、例えば略円柱形状を有する。略円柱形状は、上面及び下面が真円あるいは真円と概略等しい形状である場合を含む。なお、素子24の形状は、円柱形状に限定されない。素子24の形状は、例えば、ドーパントのプロファイルに依存する。このため、例えば、素子24は円錐台であってもよい。更には、素子24の上面が矩形形状であってもよい。以下では、説明を簡略化するため、素子24が円柱形状である場合について説明する。また、
図3の例では、配線層22と素子24のY方向における長さが同じ場合を示しているが、これに限定されない。配線層22のY方向の長さ(すなわち、ワード線WLの配線幅)と、素子24のY方向の長さ(すなわち、円形のセレクタSELの直径)とは異なっていてもよい。
【0034】
素子24は、絶縁層23にドーパントを注入することにより形成される。すなわち、素子24は、ドライエッチング等による加工を用いずに形成される。このため、絶縁層23と素子24との界面は、例えば、TEM(Transmission Electron Microscope)では観察できない。但し、素子24は、例えば、TEMのEELS(Electron Energy-Loss spectroscopy)またはEDX(Energy Dispersive X-ray spectroscopy)等の分析を用いてドーパントの分布を測定することによって確認できる。
【0035】
導電体25は、絶縁層23及び素子24の上面上に設けられる。導電体25は、セレクタSEL(素子24)と磁気抵抗効果素子MTJ(素子26)との中間電極ME(Middle Electrode)として機能する。導電体25は、略円錐台形状を有し得る。すなわち、導電体25の側面は、テーパー形状を有し得る。導電体25は、導電材料により構成され、例えば、窒化チタン(TiN)を含む。
【0036】
素子26は、導電体25の上面上に設けられる。素子26は、磁気抵抗効果素子MTJとして機能する。素子26は、略円錐台を有し得る。すなわち、素子26の側面は、テーパー形状を有し得る。素子26の構成の詳細については、後述する。
【0037】
ハードマスク27は、素子26の上面上に設けられている。ハードマスク27は、素子26、導電体25、及び絶縁層23を加工する際のハードマスクとして機能する。ハードマスク27は、略円錐台を有し得る。すなわち、ハードマスク27の側面は、テーパー形状を有し得る。ハードマスク27は、主として導電材料により構成され、例えば、TiNやタングステン(W)を含むが、絶縁材料を使用してもよい。
【0038】
絶縁層23、素子24、導電体25、素子26、及びハードマスク27からなる積層体は、略円錐台形状を有し得る。積層体は、ハードマスク27をマスクとして一括して加工される。このため、ハードマスク27の下面の外周形状は、素子26の上面の外周形状と概略同じである。素子26の下面の外周形状は、導電体25の上面の外周形状と概略同じである。また、導電体25の下面の外周形状は、絶縁層23の上面の外周形状と概略同じである。概略同じとは、例えば、材料の違いによるエッチングレートの違い等、製造工程上の誤差を含み得る。例えば、積層体の側面は、上面側から下面側に向かって、テーパー角度(すなわち、側面の傾斜角度)が小さくなり得る。例えば、素子26のテーパー角度をθ1とし、導電体25のテーパー角度をθ2とし、絶縁層23のテーパー角度をθ3とすると、θ1>θ2>θ3の関係を有する。なお、積層体の形状は、円錐台形状に限定されない。積層体の側面は、積層体を加工する際のエッチング特性に依存する。例えば、積層体は円柱形状であってもよい。更には、積層体の上面(ハードマスク27)は、矩形形状であってもよい。以下では、説明を簡略化するため、積層体が円錐台形状である場合について説明する。
【0039】
絶縁体28は、導電体25、素子26、及びハードマスク27の側面に設けられる。絶縁体28は、絶縁層29を成膜する際に素子26を保護するための保護膜、すなわちサイドウォールSWとして機能する。なお、絶縁体28の上端の高さは、任意である。絶縁体28の上端の高さは、素子26の上端よりも高くてもよいし、低くてもよい。更には、絶縁体28は、省略されてもよい。例えば、絶縁体28は、絶縁層23を加工した際の再付着物である。このため、絶縁体28の構成元素は、絶縁層23の構成元素と同じであり得る。絶縁体28は、例えば、SiOを含む。
【0040】
絶縁層29は、積層体の同層に設けられる。絶縁層29には、例えば窒化シリコン(SiN)が用いられる。
【0041】
複数の配線層30は、ハードマスク27及び絶縁層29の上面上に設けられる。配線層30は、ビット線BLとして機能する。配線層30は、Y方向に延伸し、X方向に並んで配置される。ハードマスク27の上面は、複数の配線層30のいずれかの下面に接続される。より具体的には、Y方向に沿って配置された複数のハードマスク27(すなわち素子26)が1つの配線層30に接続される。配線層30は、導電材料により構成され、例えば、タングステン(W)を含む。なお、ハードマスク27と配線層30との間に、ハードマスク27と配線層30とを電気的に接続する電極が設けられてもよい。
【0042】
図3及び
図4に示すように、本実施形態では、例えば、素子24の上面が略円形である場合、最も長い直径(以下、「長径」と表記する)をd1とする。また、導電体25の下面、すなわち、素子24及び絶縁層23と向かい合う面が略円形である場合、その長径をd2とする。すると、長径d1と長径d2とはd1<d2の関係にある。換言すれば、本実施形態では、素子24の上面(導電体25と向かい合う面)の面積は、導電体25の下面(素子24及び絶縁層23と向かい合う面)の面積よりも小さい。従って、隣り合う素子24の上面間の距離をd3とし、隣り合う導電体25の下面間の距離をd4とする。すると、距離d3と距離d4とは、d3>d4の関係にある。なお、素子24の上面の形状と、これに接する導電体25の下面の形状とは同じでなくてもよい。例えば、素子24の上面または導電体25の下面のいずれかが円形であり、他方が矩形であってもよい。
【0043】
本実施形態では、ワード線WLの上方に磁気抵抗効果素子MTJ及びビット線BLを配置する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ビット線BLの上方に磁気抵抗効果素子MTJ及びワード線WLを配置してもよい。この場合、配線層22がビット線BLとして機能し、配線層30がワード線WLとして機能する。
【0044】
1.1.4 磁気抵抗効果素子の構成
次に、
図5を参照して、磁気抵抗効果素子MTJの構成の一例について説明する。
図5は、素子26、すなわち磁気抵抗効果素子MTJの構成を示す断面図である。
【0045】
図5に示すように、例えば、磁気抵抗効果素子MTJ(素子26)は、非磁性体31、強磁性体32、非磁性体33、強磁性体34、非磁性体35、強磁性体36、非磁性体37、及び非磁性体38を含む。非磁性体31は、下地層UL(Under layer)として機能する。強磁性体32は、シフトキャンセル層SCL(Shift cancelling layer)として機能する。非磁性体33は、スペーサ層SP(Spacer layer)として機能する。強磁性体34は、参照層RL(Reference layer)として機能する。非磁性体35は、トンネルバリア層TB(Tunnel barrier layer)として機能する。強磁性体36は、記憶層SL(Storage layer)として機能する。非磁性体37は、キャップ層CAP(Capping layer)として機能する。非磁性体38は、及びトップ層TOP(Top layer)として機能する。
【0046】
磁気抵抗効果素子MTJは、例えば、ワード線WL(配線層22)側からビット線BL(配線層30)側に向けて、非磁性体31、強磁性体32、非磁性体33、強磁性体34、非磁性体35、強磁性体36、非磁性体37、及び非磁性体38の順に、複数の膜が積層される。なお、ワード線WL(配線層22)側からビット線BL(配線層30)側に向けて、非磁性体38、非磁性体37、強磁性体36、非磁性体35、強磁性体34、非磁性体33、強磁性体32、及び非磁性体31の順に、複数の膜が積層されてもよい。
【0047】
磁気抵抗効果素子MTJは、例えば、磁気抵抗効果素子MTJを構成する磁性体の磁化方向が膜面に対して垂直方向(
図5の例ではZ方向)を向く垂直磁化型の磁気抵抗効果素子として機能する。なお、磁気抵抗効果素子MTJは、上述の各層31~38の間に、図示しない更なる層を含んでいてもよい。
【0048】
非磁性体31は、非磁性の導電体であり、セレクタSEL(素子24)との電気的な接続性を向上させる電極としての機能を有する。また、非磁性体31は、例えば、高融点金属を含む。高融点金属とは、例えば、鉄(Fe)及びコバルト(Co)より融点が高い材料を示し、例えば、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、ルテニウム(Ru)、及び白金(Pt)から選択される少なくとも1つの元素を含む。
【0049】
強磁性体32は、強磁性を有し、膜面に垂直な方向に磁化容易軸方向を有する。強磁性体32の磁化方向は、固定されており、
図5の例では、強磁性体34の方向を向いている。なお、「磁化方向が固定されている」とは、強磁性体36(記憶層SL)の磁化方向を反転させ得る大きさの電流(スピントルク)によって、磁化方向が変化しないことを意味する。強磁性体32は、例えばコバルト白金(CoPt)、コバルトニッケル(CoNi)、及びコバルトパラジウム(CoPd)から選択される少なくとも1つの合金を含む。強磁性体32は、複数の層からなる積層体であってもよい。その場合、強磁性体32は、例えば、コバルト(Co)と白金(Pt)との多層膜(Co/Pt多層膜)、コバルト(Co)とニッケル(Ni)との多層膜(Co/Ni多層膜)、及びコバルト(Co)とパラジウム(Pd)との多層膜(Co/Pd多層膜)から選択される少なくとも1つの多層膜を含み得る。
【0050】
非磁性体33は、強磁性体32(シフトキャンセル層SCL)と強磁性体34(参照層RL)との間に設けられる。非磁性体33は、非磁性の導電体であり、例えばルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、バナジウム(V)、及びクロム(Cr)から選択される少なくとも1つの元素を含む。
【0051】
強磁性体34は、強磁性を有し、膜面に垂直な方向に磁化容易軸方向を有する。強磁性体34の磁化方向は、固定されており、
図5の例では、強磁性体32の方向を向いている。強磁性体34は、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)のうちの少なくとも1つを含む。また、強磁性体34は、ボロン(B)を更に含んでいてもよい。より具体的には、例えば、強磁性体34は、鉄コバルトボロン(FeCoB)またはホウ化鉄(FeB)を含み、体心立方系の結晶構造を有し得る。
【0052】
なお、
図5では図示を省略しているが、強磁性体34は、複数の層からなる積層体であってもよい。具体的には、例えば、強磁性体34を構成する積層体は、上述の鉄コバルトボロン(FeCoB)またはホウ化鉄(FeB)を含む層を非磁性体35との界面層として有しつつ、当該界面層と非磁性体33との間に、非磁性の導電体を介して、更なる強磁性体が積層される構造であってもよい。強磁性体34を構成する積層体内の非磁性の導電体は、例えば、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、及びチタン(Ti)から選択される少なくとも1つの金属を含み得る。強磁性体34を構成する積層体内の更なる強磁性体は、例えば、コバルト(Co)と白金(Pt)との多層膜(Co/Pt多層膜)、コバルト(Co)とニッケル(Ni)との多層膜(Co/Ni多層膜)、及びコバルト(Co)とパラジウム(Pd)との多層膜(Co/Pd多層膜)から選択される少なくとも1つの多層膜を含み得る。
【0053】
強磁性体32及び34は、非磁性体33によって反強磁性的に結合される。すなわち、強磁性体32及び34は、互いに反平行な磁化方向を有するように結合される。このため、
図5の例では、強磁性体32及び34の磁化方向は、互いに向かい合う方向を向いている。このような強磁性体32、非磁性体33、及び強磁性体34の結合構造を、SAF(Synthetic Anti-Ferromagnetic)構造という。これにより、強磁性体32は、強磁性体34の漏れ磁場が強磁性体36の磁化方向に与える影響を相殺することができる。このため、強磁性体34の漏れ磁場等によって強磁性体36の磁化の反転し易さに非対称性が発生すること(すなわち、強磁性体36の磁化の方向の反転する際の反転し易さが、一方から他方に反転する場合と、その逆方向に反転する場合とで異なること)が抑制される。
【0054】
非磁性体35は、非磁性の絶縁体であり、例えば酸化マグネシウム(MgO)を含む。非磁性体35は、例えば膜面が(001)面に配向したNaCl結晶構造を有し、強磁性体36の結晶化処理において、強磁性体36との界面から結晶質の膜を成長させるための核となるシード材として機能する。非磁性体35は、強磁性体34と強磁性体36との間に設けられて、これら2つの強磁性体と共に磁気トンネル接合を形成する。
【0055】
強磁性体36は、強磁性を有し、膜面に垂直な方向に磁化容易軸方向を有する。換言すれば、強磁性体36は、Z方向に沿って、ビット線BL側、ワード線WL側のいずれかの方向に向かう磁化方向を有する。強磁性体36は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)のうちの少なくともいずれか1つを含む。強磁性体36は、ボロン(B)を更に含む。より具体的には、例えば、強磁性体36は、鉄コバルトボロン(FeCoB)またはホウ化鉄(FeB)を含み、体心立方系の結晶構造を有し得る。
【0056】
非磁性体37は、強磁性体36のダンピング定数の上昇を抑制し、書き込み電流を低減させる機能を有する。非磁性体37は、例えば、酸化マグネシウム(MgO)、窒化マグネシウム(MgN)、窒化ジルコニウム(ZrN)、窒化ニオブ(NbN)、窒化シリコン(SiN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ハフニウム(HfN)、窒化タンタル(TaN)、窒化タングステン(WN)、窒化クロム(CrN)、窒化モリブデン(MoN)、窒化チタン(TiN)、窒化バナジウム(VN)から選択される少なくとも1つの窒化物または酸化物を含む。また、非磁性体37は、これら窒化物または酸化物の混合物でもよい。すなわち、非磁性体37は、2種類の元素からなる二元化合物に限らず、3種類の元素からなる三元化合物、例えば、窒化チタンアルミニウム(AlTiN)等を含み得る。
【0057】
非磁性体38は、非磁性の導電体であり、磁気抵抗効果素子MTJの上端とビット線BLとの電気的な接続性を向上させる上部電極(top electrode)としての機能を有する。非磁性体38は、例えば、タングステン(W)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、チタン(Ti)、及び窒化チタン(TiN)から選択される少なくとも1つの元素または化合物を含む。
【0058】
本実施形態では、磁気抵抗効果素子MTJに書き込み電流を流し、この書き込み電流によって記憶層SLにスピントルクを注入する。そして、注入されたスピントルクにより、記憶層SLの磁化方向を制御するスピン注入書き込み方式を採用する。磁気抵抗効果素子MTJは、記憶層SL及び参照層RLの磁化方向の相対関係が平行か反平行かによって、低抵抗状態及び高抵抗状態のいずれかを取ることが出来る。
【0059】
磁気抵抗効果素子MTJに、
図5における矢印A1の方向、すなわち、記憶層SLから参照層RLに向かう方向に、ある大きさの書き込み電流Ic0を流すと、記憶層SL及び参照層RLの磁化方向の相対関係は、平行になる。この平行状態の場合、磁気抵抗効果素子MTJの抵抗値は最も低くなり、磁気抵抗効果素子MTJは低抵抗状態に設定される。この低抵抗状態は、「P(Parallel)状態」と呼ばれ、例えばデータ“0”の状態と規定される。
【0060】
また、磁気抵抗効果素子MTJに、
図5における矢印A2の方向、すなわち、参照層RLから記憶層SLに向かう方向(矢印A1と反対方向)に、書き込み電流Ic0より大きい書き込み電流Ic1を流すと、記憶層SL及び参照層RLの磁化方向の相対関係は、反平行になる。この反平行状態の場合、磁気抵抗効果素子MTJの抵抗値は最も高くなり、磁気抵抗効果素子MTJは高抵抗状態に設定される。この高抵抗状態は、「AP(Anti-Parallel)状態」と呼ばれ、例えばデータ“1”の状態と規定される。
【0061】
なお、以下の説明では、上述したデータの規定方法に従って説明するが、データ“1”及びデータ“0”の規定の仕方は、上述した例に限られない。例えば、P状態をデータ“1”と規定し、AP状態をデータ“0”と規定してもよい。
【0062】
1.2 メモリセルアレイの製造方法
次に、
図6~
図12を参照して、メモリセルアレイ10の製造方法の一例について説明する。
図6は、メモリセルアレイ10の製造方法を示すフローチャートである。
図7~
図12は、メモリセルアレイ10の製造方法を説明するためのメモリセルアレイ10の断面図である。以下の説明では、素子26(磁気抵抗効果素子MTJ)を構成する積層構造の詳細については説明を省略する。
【0063】
図6に示すように、メモリセルアレイ10の製造工程としてS1~S8が、順次実行される。各工程の詳細について説明する。
【0064】
[S1]
まず、
図7に示すように、ワード線WLを形成する。より具体的には、半導体基板20の上面上に形成された絶縁層21内に、ワード線WLとして機能する配線層22を形成する。なお、配線層22は、絶縁層21の上部に溝パターンを形成した後、溝パターン内部を導電材料で埋め込んで形成される溝配線であってもよい。あるいは、配線層22は、絶縁層21上に導電材料を成膜した後、当該導電材料を加工して、形成されてもよい。この場合、配線層22を形成後に、配線層22の間を埋め込むように、絶縁層21が形成される。
【0065】
[S2]
次に、
図8に示すように、絶縁層23を成膜する。より具体的には、絶縁層21及び配線層22の上面上に、例えばCVD(Chemical Vapor deposition)により、絶縁層23を成膜する。
【0066】
[S3]
次に、
図9に示すように、イオン注入(I/I:Ion Implantation)用のレジストマスクを形成する。より具体的には、絶縁層23の上面上にフォトリソグラフィ技術を用いて、イオン注入用のレジストマスク40を形成する。レジストマスク40は、素子24(セレクタSEL)に対応する領域が開口されている(以下、「開口領域」と表記する)。
【0067】
[S4]
次に、
図9に示すように、Asを注入して、素子24(セレクタSEL)を形成する。より具体的には、レジストマスク40の開口領域に露出している絶縁層23に、Asを注入する。このとき、Asの注入により、絶縁層23(素子24)の膜厚が減少する。イオン注入後、レジストマスク40は、例えばO
2アッシングにより、除去される。次に、Asの活性化のための熱処理を行う。これにより、絶縁層23のAsがドープされた領域に素子24が形成される。
【0068】
[S5]
次に、
図10に示すように、導電体25(中間電極ME)と素子26(磁気抵抗効果素子MTJ)に対応する積層膜50とを成膜する。より具体的には、絶縁層23及び素子24の上面上に、導電体25と、素子26に対応する積層膜50(すなわち、非磁性体31、強磁性体32、非磁性体33、強磁性体34、非磁性体35、強磁性体36、非磁性体37、及び非磁性体38)とが、CVDまたはスパッタリング技術等により、順次成膜される。
【0069】
[S6]
次に、
図11に示すように、ハードマスク27を形成する。より具体的には、まず、素子26に対応する積層膜50の上面上に、ハードマスク27に対応する導電材料を成膜する。次に、フォトリソグラフィ技術を用いて、導電材料を加工するためのレジストマスクを形成する。次に、導電材料を加工する。導電材料を加工した後、レジストマスクは除去される。これにより、ハードマスク27が形成される。
【0070】
[S7]
次に、
図12に示すように、素子26に対応する積層膜50、導電体25、及び絶縁層23を連続して加工する。より具体的には、ハードマスク27をマスクとして、例えばIBE(Ion Beam Etching)により、素子26に対応する積層膜50、導電体25、及び絶縁層23を連続して加工する。絶縁層23を加工した際の再付着物が、素子26(加工された積層膜50)の側面に付着して、絶縁体28が形成される。これにより、磁気抵抗効果素子MTJ(素子26)及び中間電極MEが形成される。
【0071】
[S8]
次に、
図3に示すように、メモリセルMCを埋め込むように、絶縁層29を形成する。より具体的には、絶縁層29を成膜後、例えばCMP(chemical Mechanical Polishing)により、ハードマスク27の上面が露出するまで絶縁層29を研磨する。これにより、絶縁層29は平坦化される。
【0072】
[S9]
次に、
図3に示すように、ハードマスク27の上面上に、配線層30(ビット線BL)を形成する。
【0073】
1.3 本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成であれば、磁気抵抗効果素子MTJの加工の難易度を低減させることができる。以下、本効果につき詳述する。
【0074】
例えば、ハードマスクをマスクとして、セレクタSEL、中間電極ME、及び磁気抵抗効果素子MTJに用いられる材料の積層体を加工する場合がある。このような場合、例えば、磁気抵抗効果素子MTJ及び中間電極MEの加工にはRIE(Reactive Ion Etching)による化学的なダメージを低減するためIBEが用いられる。また、セレクタSELの加工には、IBEによる物理ダメージを低減するため、RIEが用いられる。物理ダメージを低減することにより、セレクタSELのリーク特性の劣化が低減される。このため、ハードマスクは、IBE及びRIEの途中で消失しないような比較的厚い膜厚とされる。ハードマスクの膜厚が厚くなると、全体のアスペクト比が増加する。このため、IBE及びRIEに対する加工精度の要求は高くなる。すなわち、磁気抵抗効果素子MTJの加工の難易度が上昇する。このため、中間電極ME及び磁気抵抗効果素子MTJに対応する積層膜を成膜する前にセレクタSELを加工する場合がある。この場合、工程数が増加するため、製造コストが増加する。
【0075】
例えば、磁気抵抗効果素子MTJ、中間電極ME、及びセレクタSELの側面がテーパー形状に加工された場合、隣り合うセレクタSEL間の距離は、隣り合う中間電極ME間の距離よりも短くなる。この場合、隣り合うセレクタSEL間でのリーク電流の発生あるいは容量カップリング等による干渉が発生しやすくなり、書き込み動作及び読み出し動作において誤動作が生じる可能性が高くなる。更には、隣り合うセレクタSEL間の干渉を抑制するため、XY平面におけるメモリセルMCのセル密度を向上できなくなる可能性がある。
【0076】
これに対し、本実施形態に係る構成であれば、絶縁層23にドーパントを注入することにより、素子24(セレクタSEL)を形成できる。これにより、ハードマスク27を用いずにセレクタSELを形成できる。セレクタSELの加工が不要となるため、セレクタSELの加工ダメージを抑制できる。
【0077】
更に、本実施形態に係る構成であれば、素子24(セレクタSEL)の加工がないため、IBEにより、素子26(磁気抵抗効果素子MTJ)、導電体25(中間電極ME)、及び絶縁層23を一括して加工できる。このため、ハードマスク27の厚膜化を抑制できる。よって、ハードマスク27の厚膜化による磁気抵抗効果素子MTJの加工の難易度の上昇を抑制できる。
【0078】
更に、IBEにより、素子26、導電体25、及び絶縁層23を一括して加工できるため、メモリセルMCの製造工程を削減でき、製造コストを低減できる。
【0079】
更に、本実施形態に係る構成であれば、メモリセルMC間、すなわち、セレクタSEL間の絶縁層23を分離できる。これにより、隣り合うセレクタSEL間において、絶縁層23を介したドーパントの拡散、及びリーク電流の増加を抑制できる。
【0080】
更に、本実施形態に係る構成であれば、素子24(セレクタSEL)の上面の直径を導電体25(中間電極ME)の下面の直径よりも小さくできる。すなわち、セレクタSELの上面の面積を中間電極MEの下面の面積よりも小さくできる。このため、隣り合うセレクタSEL間の距離を隣り合う中間電極ME間の距離をよりも長くできる。従って、隣り合うセレクタSEL間の干渉を抑制できる。すなわち、隣り合う磁気抵抗効果素子MTJ間の干渉を抑制できる。よって、誤動作を抑制し、磁気記憶装置の信頼性を向上できる。
【0081】
更に、本実施形態に係る構成であれば、磁気抵抗効果素子MTJの加工難易度の上昇を抑制でき、且つ隣り合う磁気抵抗効果素子MTJ間の干渉を抑制できるため、メモリセルMCのセル密度を向上でき、磁気記憶装置の高集積化ができる。
【0082】
更に、本実施形態に係る構成であれば、絶縁層23をIBEにより加工する際に、素子26の側面に、絶縁体28を形成できる。これにより、絶縁層29を形成する際に、素子26の特性が劣化するのを抑制できる。より具体的には、例えば、絶縁層29がSiNである場合、絶縁体28により、素子26(磁気抵抗効果素子MTJ)中のMgO層がSiNに直接触れるのを防止できる。
【0083】
1.4 変形例
次に、
図13を参照して、第1実施形態の変形例について説明する。第1実施形態の変形例では、第1実施形態と異なるメモリセルアレイ10の構造について説明する。
図13は、Y方向に沿ったメモリセルアレイ10の断面図である。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0084】
図13に示すように、本例では、メモリセルMC間の絶縁層23が完全には除去(分離)されていない。他の構造は、第1実施形態の
図3と同様である。
【0085】
より具体的には、導電体25の下側にある絶縁層23のZ方向の長さ(膜厚)をh1とする。素子24のZ方向の長さ(膜厚)をh2とし、メモリセルMC間の絶縁層23の膜厚が最も薄い部分のZ方向の長さ(膜厚)をh3とする。すると、高さh1、高さh2、及び高さh3は、h1>h2>h3>0の関係にある。
【0086】
本例に係る構成であれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0087】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と異なるメモリセルMCの構造について説明する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0088】
2.1 メモリセルアレイの構造
次に、
図14を参照して、メモリセルアレイ10の構造の一例について説明する。
図14は、Y方向に沿ったメモリセルアレイ10の断面図である。
【0089】
図14に示すように、本実施形態では、配線層22の上面上に素子26、導電体25、素子24(及び絶縁層23)、並びにハードマスク27が順次積層されている。絶縁体28は、廃されている。なお、配線層22と素子26との間には、配線層22と素子26とを電気的に接続する電極が設けられてもよい。
【0090】
素子26、導電体25、絶縁層23(及び素子24)、並びにハードマスク27からなる積層体は、略円錐台形状を有し得る。積層体は、ハードマスク27をマスクとして一括して加工される。このため、ハードマスク27の下面の外周形状は、絶縁層23の上面の外周形状と概略同じである。絶縁層23の下面の外周形状は、導電体25の上面の外周形状と概略同じである。導電体25の下面の外周形状は、素子26の上面の外周形状と概略同じである。例えば、積層体の側面は、上面側から下面側に向かって、テーパー角度が小さくなる。
【0091】
本実施形態では、例えば、ハードマスク27の下面、すなわち、素子24及び絶縁層23と向かい合う面が略円形である場合、その長径をd5とする。導電体25の上面、すなわち、素子24及び絶縁層23と向かい合う面が略円形である場合、その長径をd6とする。導電体25の下面、すなわち、素子26と向かい合う面が略円形である場合、その長径をd7とする。すると、素子24の長径d1と、長径d5、d6、及びd7とは、d1<d5<d6<d7の関係にある。すなわち、素子24の上面の面積は、ハードマスク27の下面の面積よりも小さい。絶縁層23の下面と素子24の下面とを合わせた面積は、素子26の上面の面積よりも小さい。
【0092】
2.2 メモリセルアレイの製造方法
次に、
図15~
図22を参照して、メモリセルアレイ10の製造方法の一例について説明する。
図15は、メモリセルアレイ10の製造方法を示すフローチャートである。
図16~
図22は、メモリセルアレイ10の製造方法を説明するためのメモリセルアレイ10の断面図である。以下の説明では、素子26(磁気抵抗効果素子MTJ)を構成する積層構造の詳細については説明を省略する。
【0093】
図15に示すように、メモリセルアレイ10の製造工程としてS11~S19が、順次実行される。各工程の詳細について説明する。
【0094】
[S11]
第1実施形態のS1と同様に、ワード線WLを形成する。
【0095】
[S12]
次に、
図16に示すように、素子26(磁気抵抗効果素子MTJ)に対応する積層膜50と、導電体25と、絶縁層23とを順次成膜する。より具体的には、絶縁層21及び配線層22の上面上に、素子26に対応する積層膜50(すなわち非磁性体31、強磁性体32、非磁性体33、強磁性体34、非磁性体35、強磁性体36、非磁性体37、及び非磁性体38)、導電体25、及び絶縁層23が、CVDあるいはスパッタリング技術等により、順次成膜される。
【0096】
[S13]
次に、
図17に示すように、ハードマスク用のレジストマスクを形成する。より具体的には、絶縁層23の上面上にフォトリソグラフィ技術を用いて、ハードマスク用のレジストマスク60を形成する。レジストマスク60は、ハードマスク27に対応する領域が開口されている。
【0097】
[S14]
次に、
図18に示すように、バリアメタル27aを成膜する。より具体的には、レジストマスク60の上面上、及びレジストマスク60の開口領域を被覆するように、バリアメタル27aが成膜される。バリアメタル27aは、ハードマスク27を形成する際のバリアメタルとして機能する。バリアメタル27aの膜厚は、レジストマスク60の開口領域を埋め込まない薄膜とされる。バリアメタル27aは、導電材料により構成され、例えば、TiNが用いられる。
【0098】
[S15]
次に、
図19に示すように、Asを注入して、素子24(セレクタSEL)を形成する。より具体的には、レジストマスク60の開口領域において、バリアメタル27aを介して、絶縁層23に、Asが注入される。ここで、レジストマスク60の開口領域の長径をd8とすると、素子24の長径d1は、開口領域の側面に成膜されたバリアメタル27aの膜厚により、開口領域の長径d8よりも小さくなる。すなわち、d1<d8の関係にある。なお、
図19の例では、バリアメタル27aを介して、絶縁層23にAsが注入される。このため、第1実施形態において説明した素子24の膜厚の減少は、ほとんど発生しない。
【0099】
[S16]
次に、ハードマスク27を形成する。より具体的には、まず、
図20に示すように、レジストマスク60の開口領域を埋め込むように、導電体27bを成膜する。導電体27bは、導電材料により構成される。次に、レジストマスク60の上のバリアメタル27a及び導電体27bを除去する。次に、
図21に示すように、レジストマスク60を除去する。これにより、バリアメタル27a及び導電体27bを含むハードマスク27が形成される。
【0100】
[S17]
次に、
図22に示すように、絶縁層23、導電体25、及び素子26に対応する積層膜50を加工する。より具体的には、ハードマスク27をマスクとして、例えばIBEにより、絶縁層23と、導電体25と、素子26に対応する積層膜50とを連続して加工する。これにより、磁気抵抗効果素子MTJ及び中間電極MEが形成される。
【0101】
[S18]
次に、第1実施形態のS8と同様に、メモリセルMCを埋め込むように、絶縁層29を形成する。
【0102】
[S19]
次に、第1実施形態のS9と同様に、ハードマスク27の上面上に、配線層30(ビット線BL)を形成する。
【0103】
2.3 本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成であれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0104】
更に、本実施形態に係る構成であれば、素子26(磁気抵抗効果素子MTJ)の上面上に導電体25(中間電極ME)が形成される。更に、導電体25の上面上に素子24(セレクタSEL)が形成される。このため、IBEにより、素子24及び導電体25を加工する際に、素子26に化学的なダメージが与えられるのを抑制できる。よって、加工ダメージによる磁気抵抗効果素子MTJの劣化を低減できる。
【0105】
3.変形例等
なお、上述の実施形態に限らず、種々の変形が適用可能である。
【0106】
例えば、上述の実施形態では、記憶層SLが参照層RLの上方に設けられるトップフリー型の磁気抵抗効果素子MTJについて説明したが、これに限られない。例えば、磁気抵抗効果素子MTJは、記憶層SLが参照層RLの下方に設けられるボトムフリー型であってもよい。
【0107】
また、上述の実施形態では、全てのメモリセルMCが同一の層内に設けられるメモリセルアレイ10について説明したが、これに限られない。複数のメモリセルMCがZ方向に積層されてもよい。
【0108】
また、中間電極ME及び磁気抵抗効果素子MTJの形成方法は、上述の実施形態に限定されない。セレクタSELの形成方法が、上述の実施形態と同様であれば、中間電極ME及び磁気抵抗効果素子MTJは、任意の方法で製造できる。
【0109】
更に、上記実施形態における「接続」とは、間に例えばトランジスタあるいは抵抗等、他の何かを介在させて間接的に接続されている状態も含む。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0111】
1…磁気記憶装置、10…メモリセルアレイ、11…ロウ選択回路、12…カラム選択回路、13…デコード回路、14…書き込み回路、15…読み出し回路、16…電圧生成回路、17…入出力回路、18…制御回路、20…半導体基板、21、23、29…絶縁層、22、30…配線層、24、26…素子、25、27b…導電体、27…ハードマスク、27a…バリアメタル、28…絶縁体、31、33、35、37、38…非磁性体、32、34、36…強磁性体、40、60…レジストマスク、50…積層膜