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特開2024-30082物品転倒防止具、物品転倒防止具セット、物品支持構造
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  • 特開-物品転倒防止具、物品転倒防止具セット、物品支持構造 図1
  • 特開-物品転倒防止具、物品転倒防止具セット、物品支持構造 図2
  • 特開-物品転倒防止具、物品転倒防止具セット、物品支持構造 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030082
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】物品転倒防止具、物品転倒防止具セット、物品支持構造
(51)【国際特許分類】
   A47B 97/00 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
A47B97/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132643
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】592114703
【氏名又は名称】株式会社ベスト
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】吉田 安之
(57)【要約】
【課題】 物品の設置位置の微調整を容易に行うことができるようにする。
【解決手段】 本発明の物品転倒防止具は、物品に接着する接着面を備えた弾性ベース部と、接着面に設けられた剥離シートと、弾性ベース部の接着面と反対側の面に設けられた滑り材を備えたものである。本発明の物品転倒防止具セットは、本発明の物品転倒防止具と両面に接着面を備えた両面接着マットを備えたものである。本発明の物品支持構造は、物品の底面に物品転倒防止具及び両面接着マットが貼付され、両面接着マットの第二接着面が物品設置面に接着され、物品転倒防止具の滑り材が物品設置面に接した構造である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の底面に貼付して当該物品の転倒を防止する物品転倒防止具において、
前記物品に接着する接着面を備えた弾性ベース部と、
前記接着面に設けられた剥離シートと、
前記弾性ベース部の前記接着面と反対側の面に設けられた滑り材を備えた、
ことを特徴とする物品転倒防止具。
【請求項2】
請求項1記載の物品転倒防止具において、
滑り材はフェルトである、
ことを特徴とする物品転倒防止具。
【請求項3】
物品転倒防止具セットにおいて、
請求項1又は請求項2記載の物品転倒防止具と、両面に接着面を備えた両面接着マットを備え、
前記両面接着マットの両接着面のうち、物品に接着される第一接着面に第一剥離シートが設けられ、
前記両面接着マットの両接着面のうち、物品設置面に接着される第二接着面に第二剥離シートが設けられ、
前記第二剥離シートは、前記物品に設置した状態で当該物品の周縁よりも外側に突出するように構成された、
ことを特徴とする物品転倒防止具セット。
【請求項4】
請求項3記載の物品転倒防止具セットにおいて、
物品転倒防止具と両面接着マットの双方又はいずれか一方が複数枚設けられた、
ことを特徴とする物品転倒防止具セット。
【請求項5】
請求項3記載の物品転倒防止具セットを用いた物品の支持構造において、
物品の底面に物品転倒防止具及び両面接着マットが貼付され、
前記両面接着マットの第二接着面が物品設置面に接着され、
前記物品転倒防止具の滑り材が物品設置面に接している、
ことを特徴とする物品支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具をはじめとする物品の転倒を防止する物品転倒防止具と、当該物品転倒防止具を備えた物品転倒防止具セットと、当該物品転倒防止具セットを用いた物品支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家具をはじめとする物品の転倒を防止する転倒防止具として、表裏両面に接着性を有するゲル状の合成樹脂よりなる免震パッドが知られている(特許文献1)。
【0003】
この種のパッドは両面に接着層を備え、家具等の対象物品の底面と床面等の物品設置面の双方に接着することで、家具の転倒やすべりを防止できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-312008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来のゲルマットは転倒防止効果や滑り防止効果が高い一方、一旦物品設置面に接着すると、対象物品の設置位置の微調整が難しく、この点に改善の余地がある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、物品の設置位置の微調整を容易に行うことができる物品転倒防止具と、当該物品転倒防止具を備えた物品転倒防止具セットと、当該物品転倒防止具セットを用いた物品支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[物品転倒防止具]
本発明の物品転倒防止具は、物品の底面に貼付して当該物品の転倒を防止するものであって、物品に接着する接着面を備えた弾性ベース部と、接着面に設けられた剥離シートと、弾性ベース部の接着面と反対側の面に設けられた滑り材を備えたものである。滑り材には、フェルトなどを用いることができる。
【0008】
[物品転倒防止具セット]
本発明の物品転倒防止具セットは、本発明の物品転倒防止具と両面に接着面を備えた両面接着マットを備え、両面接着マットの両接着面のうち、物品に接着される第一接着面に第一剥離シートが設けられ、両面接着マットの両接着面のうち、物品設置面に接着される第二接着面に第二剥離シートが設けられ、第二剥離シートは、物品に設置した状態で当該物品の周縁よりも外側に突出するように構成されたものである。物品転倒防止具と両面接着マットの双方又はいずれか一方を複数枚設けることもできる。
【0009】
[物品支持構造]
本発明の物品支持構造は、物品の底面に物品転倒防止具及び両面接着マットが貼付され、両面接着マットの第二接着面が物品設置面に接着され、物品転倒防止具の滑り材が物品設置面に接した構造である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、物品の設置位置の微調整を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の物品転倒防止具の一例を示す斜視図。
図2】両面接着マットの一例を示す斜視図。
図3】(a)は本発明の物品転倒防止具セットで家具を支持する場合の構造図、(b)は(a)のIIIb-IIIb矢視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態)
本発明の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。一例として図1に示す物品転倒防止具10は、物品に接着する接着面11aを備えた弾性ベース部11と、接着面11aに設けられた剥離シート12と、弾性ベース部11の接着面11aと反対側の面に設けられた滑り材13を備えている。
【0013】
前記弾性ベース部11は振動を吸収する部材であり、弾性部材で構成されている。弾性ベース部11は、たとえば、市販のゲルマット等で構成することができる。弾性ベース部11の一方の面には後述する滑り材13が、他方の面には物品に接着する接着面11aが設けられている。
【0014】
この実施形態では、弾性ベース部11として、縦50mm×横50mm×厚さ3mm程度の薄板状のゲルマットを用いている。ここで示した寸法は一例であり、弾性ベース部11の寸法はこれ以外であっても良い。
【0015】
前記滑り材13は、物品を設置する床などの物品設置面に接する部材であり、物品設置面に接した際に接着しない素材で構成されている。滑り材13は、たとえば、フェルトなどで構成することができる。
【0016】
この実施形態では、滑り材13として縦50mm×横50mm×厚さ2mm程度のものを用いている。ここで示した寸法は一例であり、滑り材13の寸法はこれ以外であっても良い。
【0017】
この実施形態の物品転倒防止具10は、弾性ベース部11と滑り材13が一体に成形されており、その全体寸法は、縦50mm×横50mm×厚さ5mm程度である。
【0018】
弾性ベース部11の滑り材13が設けられた面と反対側の面には、接着面11aが設けられている。接着面11aには、剥離シート12が設けられている。使用に際しては、剥離シート12を剥がし、接着面11aを露出して物品に貼付する。
【0019】
本発明の物品転倒防止具10は、それ単独で使用をすることもできるが、両面に接着面を備えた他の転倒防止具(以下、「両面接着マット」という)20と共に、セットで使用することもできる。
【0020】
一例として図2に示す両面接着マット20は、弾性部材で構成された弾性基材21を備えている。弾性基材21は振動を吸収する部材であり、物品転倒防止具10の弾性ベース部11と同様のもの(たとえば、市販のゲルマット等)を用いることができる。
【0021】
この実施形態では、弾性基材21として、縦50mm×横50mm×厚さ5mm程度のものを用いている。弾性基材21の厚さは、物品転倒防止具10の厚さ(弾性ベース部11と滑り材13の総厚)と同じとするのが好ましい。両者を同じ厚さとすることで、物品の設置過程において物品の水平を維持しやすいというメリットがある。
【0022】
弾性基材21の一面側には物品に接着される第一接着面22が、他面側には物品設置面に接着される第二接着面24が設けられている。
【0023】
第一接着面22には第一剥離シート23が、第二接着面24には第二剥離シート25が設けられている。第一剥離シート23及び第二剥離シート25には、紙製や樹脂製のもの等、既存のものを用いることができる。
【0024】
この実施形態では、第一剥離シート23を弾性基材21と同程度の大きさ及び形状とする一方、第二剥離シート25を弾性基材21からはみ出す大きさ及び形状、具体的には、弾性基材21を二枚並べた程度の大きさの長方形状としてある。
【0025】
第二剥離シート25は、物品を所定位置に配置した後に剥離するものであり、両面接着マット20を物品に貼付した状態で当該物品の周縁よりも外側に突出するように構成してある。
【0026】
この実施形態では、二枚の物品転倒防止具10と二枚の両面接着マット20で一セット(物品転倒防止具セット)を構成しているが、ここで示した枚数は一例であり、物品転倒防止具10と両面接着マット20の数は、それぞれ二枚より多くても少なくても良い。
【0027】
この実施形態のように、二枚の物品転倒防止具10と二枚の両面接着マット20を用いて図3(a)の物品(家具)を支持する場合、たとえば、次のようにすることができる。
(1)二枚の両面接着マット20から第一剥離シート23を剥がし、家具の底面の前面側の二隅に貼りつける。このとき、両面接着マット20の第二剥離シート25が、家具の底面の周縁よりも外側にはみ出すようにしておく。
(2)二枚の物品転倒防止具10から剥離シート12を剥がし、家具の底面の背面側の二隅に貼りつける。
(3)前記(1)及び(2)で両面接着マット20及び物品転倒防止具10が貼付された家具を、所望位置に設置する。このとき、物品設置面には、両面接着マット20の第二剥離シート25と物品転倒防止具10の滑り材13が接した状態であり、家具は物品設置面に固定されていないため、家具の設置位置を微調整することができる。
(4)必要に応じて家具の位置を微調整した後、第二剥離シート25の家具の底面の周縁よりも外側にはみ出した部分を引っ張って当該第二剥離シート25を剥離し、第二剥離シート25の剥離によって露出した第二接着面24を物品設置面に接着させる。
【0028】
以上の手順で設置された家具は、図3(b)に示すような支持構造を有する。すなわち、転倒防止対象である家具の底面に、物品転倒防止具10及び両面接着マット20が二つずつ貼付され、両面接着マット20の第二接着面24が物品設置面に接着され、物品転倒防止具10の滑り材13が物品設置面に接した支持構造を有する。
【0029】
このように両面接着マット20及び物品転倒防止具10を併用する際のメリットとして、(1)物品位置の微調整が可能であること、(2)両面接着マット20の作用によって十分な振動吸収効果を得られること、(3)すべてが両面接着マット20の場合に比べて物品を物品設置面から剥がしやすく家具の設置位置を変更しやすいこと等が挙げられる。
【0030】
このような両面接着マット20及び物品転倒防止具10は、たとえば、夫々を一又は二枚以上含むセット商品(物品転倒防止具セット)として販売することができる。この場合、両面接着マット20及び物品転倒防止具10の枚数は同数とすることも異なる枚数とすることもできる。
【0031】
(その他の実施形態)
本発明の物品転倒防止具10は、予め設定されたサイズにカットした状態で販売するほか、ロール状に巻かれたロール状物品転倒防止具として販売することもできる。このようにすることで、購入者が任意の長さにカットして所望長の物品転倒防止具10を利用できるというメリットがある。
【0032】
ロール状物品転倒防止具として販売する場合、長手方向に間隔をあけて、長手方向に交差する向きの切込み線を形成しておくこともできる。この間隔は、たとえば10mm等、任意に設定することができる。このような切込み線を形成しておくことで、購入者が所望長にカットしやすくなる。
【0033】
なお、本願において、転倒防止対象である物品には、箪笥や食器棚、本棚等の各種家具のほか、テレビや冷蔵庫、音響機器等の各種家電等が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、各種物品の転倒を防止するために利用することができ、特に、家具や家電等の転倒を防止するために好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 物品転倒防止具
11 弾性ベース部
11a 接着面
12 剥離シート
13 滑り材
20 転倒防止具(両面接着マット)
21 弾性基材
22 第一接着面
23 第一剥離シート
24 第二接着面
25 第二剥離シート
図1
図2
図3