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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030094
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】連結具
(51)【国際特許分類】
   F16B 45/06 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
F16B45/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132660
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000139791
【氏名又は名称】株式会社伊藤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】清水 勇
【テーマコード(参考)】
3J038
【Fターム(参考)】
3J038AA01
3J038BA07
3J038BA17
3J038BC15
(57)【要約】
【課題】雄螺子部と雌螺子筒との螺合をスムーズに行える、これまでにない連結具を提供する。
【解決手段】対向する第一U状杆1および第二U状杆2の一端部1a・2a同士が連結部材3を介して回動自在に連結され、前記第一U状杆1および前記第二U状杆2の他端部1b・2bに夫々設けられた雄螺子部4同士が雌螺子筒5を介して連結可能に構成された連結具であって、前記第一U状杆1の一端部1aおよび前記第二U状杆2の一端部2aの対向端面のいずれか一方には凸部6を設け、他方には前記凸部6と凹凸係合する凹部7を設け、前記凸部6を軸として前記第一U状杆1の一端部1aと前記第二U状杆2の一端部2aとが相対回動するように構成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第一U状杆および第二U状杆の一端部同士が連結部材を介して回動自在に連結され、前記第一U状杆および前記第二U状杆の他端部に夫々設けられた雄螺子部同士が雌螺子筒を介して連結可能に構成された連結具であって、
前記第一U状杆の一端部および前記第二U状杆の一端部の対向端面のいずれか一方には凸部が設けられ、他方には前記凸部と凹凸係合する凹部が設けられ、前記凸部を軸として前記第一U状杆の一端部と前記第二U状杆の一端部とが相対回動するように構成されていることを特徴とする連結具。
【請求項2】
請求項1記載の連結具において、前記凸部の外周面と該凸部の外周面に対向する前記凹部の内周面との間の隙間は、前記第一U状杆若しくは前記第二U状杆の外周面と該第一U状杆若しくは第二U状杆の外周面に対向する前記連結部材の内周面との間の隙間より小さいことを特徴とする連結具。
【請求項3】
請求項2記載の連結具において、前記第一U状杆の一端部は前記連結部材に固定され、前記第二U状杆の一端部は前記連結部材に回動自在に保持されていることを特徴とする連結具。
【請求項4】
請求項3記載の連結具において、前記第一U状杆の一端部と前記第二U状杆の一端部との間にはスペーサ部材が設けられていることを特徴とする連結具。
【請求項5】
請求項1記載の連結具において、前記凸部は前記第一U状杆の一端部若しくは前記第二U状杆の一端部の対向端面から突出する円柱状体であり、前記凹部は前記円柱状体が嵌合する丸穴であることを特徴とする連結具。
【請求項6】
請求項1記載の連結具において、前記凸部は前記対向端面の中央部に該対向端面同士の対向方向に突出するように設けられていることを特徴とする連結具。
【請求項7】
請求項1~6いずれか1項に記載の連結具において、前記第一U状杆、第二U状杆、連結部材及び雌螺子筒はステンレス鋼製であることを特徴とする連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワイヤーロープ等を連結するために用いられる連結具として、図6に図示したような、対向する第一U状杆51および第二U状杆52の一端部51a・52a同士が連結部材53を介して回動自在に連結され、前記第一U状杆51および前記第二U状杆52の他端部51b・52bに夫々設けられた雄螺子部54同士が雌螺子筒55を介して連結可能に構成されたものが知られている(特許文献1等参照)。なお、第二U状杆52の一端部52aは連結部材53に固定され、第一U状杆51の一端部51aは連結部材53に回動自在に保持されている。また、雌螺子筒55は第一U状杆51側に保持される。図中、符号58はスプリングワッシャである。
【0003】
このような連結具は、対向するU状杆51・52の一端部51a・52a同士および他端部51b・52b同士が連結された状態から、雌螺子筒55を回動させて第二U状杆52の雄螺子部54から螺脱させることで連結を解除し、他端部51b・52b同士が離間するように一端部51a・52a側を軸に第一U状杆51(若しくは第二U状杆52)を旋回させることで、他端部51b・52b間の間隙部分から太いワイヤーロープ等でも容易に導入することができる。
【0004】
ところで、従来の連結具においては、離間させた第一U状杆51の他端部51bを元通りに雌螺子筒55側に旋回して雄螺子部54同士を対向させ該雌螺子筒55を回動して再び螺合連結させる際、当該第二U状杆52の他端部52bの雄螺子部54と雌螺子筒55とが同軸とならず、螺合させにくい場合がある。
【0005】
これは、連結部材53と第一U状杆51の一端部51a、具体的には、連結部材53の内周面と第一U状杆51の一端部51aの外周面との間に存在する旋回のための隙間などにより、第一U状杆51が傾いたりズレたりするために起こる現象である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平1-40364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述のような現状に鑑みなされたもので、雄螺子部と雌螺子筒との螺合をスムーズに行える、これまでにない連結具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
対向する第一U状杆1および第二U状杆2の一端部1a・2a同士が連結部材3を介して回動自在に連結され、前記第一U状杆1および前記第二U状杆2の他端部1b・2bに夫々設けられた雄螺子部4同士が雌螺子筒5を介して連結可能に構成された連結具であって、
前記第一U状杆1の一端部1aおよび前記第二U状杆2の一端部2aの対向端面のいずれか一方には凸部6が設けられ、他方には前記凸部6と凹凸係合する凹部7が設けられ、前記凸部6を軸として前記第一U状杆1の一端部1aと前記第二U状杆2の一端部2aとが相対回動するように構成されていることを特徴とする連結具に係るものである。
【0010】
また、請求項1記載の連結具において、前記凸部6の外周面と該凸部6の外周面に対向する前記凹部7の内周面との間の隙間Aは、前記第一U状杆1若しくは前記第二U状杆2の外周面と該第一U状杆1若しくは第二U状杆2の外周面に対向する前記連結部材3の内周面との間の隙間Bより小さいことを特徴とする連結具に係るものである。
【0011】
また、請求項2記載の連結具において、前記第一U状杆1の一端部1aは前記連結部材3に固定され、前記第二U状杆2の一端部2aは前記連結部材3に回動自在に保持されていることを特徴とする連結具に係るものである。
【0012】
また、請求項3記載の連結具において、前記第一U状杆1の一端部1aと前記第二U状杆2の一端部2aとの間にはスペーサ部材8が設けられていることを特徴とする連結具に係るものである。
【0013】
また、請求項1記載の連結具において、前記凸部6は前記第一U状杆1の一端部1a若しくは前記第二U状杆2の一端部2aの対向端面から突出する円柱状体9であり、前記凹部7は前記円柱状体9が嵌合する丸穴であることを特徴とする連結具に係るものである。
【0014】
また、請求項1記載の連結具において、前記凸部6は前記対向端面の中央部に該対向端面同士の対向方向に突出するように設けられていることを特徴とする連結具に係るものである。
【0015】
また、請求項1~6いずれか1項に記載の連結具において、前記第一U状杆1、第二U状杆2、連結部材3及び雌螺子筒5はステンレス鋼製であることを特徴とする連結具に係るものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上述のように構成したから、雄螺子部と雌螺子筒との螺合をスムーズに行える、これまでにない連結具となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施例の概略説明斜視図である。
図2】本実施例の旋回状態を説明する概略説明斜視図である。
図3】本実施例の概略説明断面図である。
図4】本実施例の一部を切り欠いた概略説明斜視図である。
図5】本実施例の要部の拡大概略説明断面図である。
図6】従来例の概略説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0019】
対向する第一U状杆1および第二U状杆2の一端部1a・2a同士および他端部1b・2b同士が連結された状態から、雌螺子筒5を回動し、第一U状杆1および第二U状杆2いずれかの他端部の雄螺子部4を螺脱させて連結を解除し、他端部1b・2b同士が離間するように一端部側を軸に旋回させ、他端部1b・2b間の間隙からワイヤーロープ10等を連結具内に導入する。
【0020】
そして、離間させた他端部を元通りに雌螺子筒5側に旋回して雄螺子部4同士を対向させ該雌螺子筒5を回動して螺合連結させる。
【0021】
この際、第一U状杆1および第二U状杆2の一端部1a・2a同士が凹部7と凸部6とにより凹凸係合しており、当該凸部6を軸に旋回させることができるため、連結部材3と第一U状杆1若しくは第二U状杆2との間の隙間Bに起因するU状杆の傾きやズレが抑制され雄螺子部4は雌螺子筒5と同軸となり、雌螺子筒5による螺合連結をスムーズに行える。
【実施例0022】
本発明の具体的な実施例について図1図5に基づいて説明する。
【0023】
本実施例は、図1に図示したように、対向する第一U状杆1および第二U状杆2の一端部1a・2a同士が連結部材3(丸環)を介して回動自在に連結され、前記第一U状杆1および前記第二U状杆2の他端部1b・2bに夫々設けられた雄螺子部4同士が雌螺子筒5(六角環)を介して連結可能に構成されたワイヤーロープ10等を連結するために用いられる連結具である。
【0024】
具体的には、図2~4に図示したように、前記第一U状杆1の一端部1aおよび前記第二U状杆2の一端部2aの対向端面のいずれか一方には凸部6が設けられ、他方には前記凸部6と凹凸係合する凹部7が設けられ、前記凸部6を軸として前記第一U状杆1の一端部1aと前記第二U状杆2の一端部2aとが相対回動して第二U状杆2を一端部1a側を軸に360°旋回し得るように構成されているものである。
【0025】
各部を具体的に説明する。
【0026】
本実施例の第一U状杆1の一端部1aは連結部材3に固定され、第二U状杆2の一端部2aは連結部材3に回動自在に保持されている。具体的には、連結部材3の一端部(第一U状杆1側の端部)には、第一U状杆1の一端部1aに設けた雄螺子部11が螺合する雌螺子部12が設けられ、他端部(第二U状杆2側の端部)には、第二U状杆2の一端部2aに設けられた径大な係止部13が係止する係止段部14が設けられている。また、雌螺子筒5は第一U状杆1側に保持されるように構成されている(第一U状杆1からは螺脱しないように構成されている。)。
【0027】
また、第一U状杆1の一端部1aと前記第二U状杆2の一端部2aとの間には環状のスペーサ部材8(バネやゴム等の、係止部13を係止段部14側に付勢する弾性部材)が設けられている。また、前記第一U状杆1、第二U状杆2、連結部材3及び雌螺子筒5はステンレス鋼製である。
【0028】
前記凸部6は前記第一U状杆1若しくは前記第二U状杆2の前記一端部の対向端面から突出する円柱状体9であり、前記凹部7は前記円柱状体9が嵌合する丸穴である。また、前記凸部6は前記対向端面の中央部に該対向端面同士の対向方向に突出するように設けられている。
【0029】
本実施例では第一U状杆1及び第二U状杆2の一端部1a・2aの対向端面の中心に夫々略同径で同深さの丸穴(凹部7)が設けられており、第二U状杆2の凹部7にステンレス鋼製の円柱状体9の一部(下端部)を圧入嵌合して固定(若しくは接着固定)する。この円柱状体9の第二U状杆2の凹部7から突出する残部が凸部6となり、その先端部が第一U状杆1の凹部7に回動自在に(回動可能な程度の僅かな隙間Aを介して)係合せしめられる(図5参照)。なお、円柱状体9は、第二U状杆2の凹部7に固定しなくても良い。例えば、第二U状杆2の凹部7に、第一U状杆1の凹部7と同様に隙間Aを介して係合せしめる構成としても良い。
【0030】
具体的には、前記凸部6の外周面と該凸部6の外周面に対向する前記凹部7の内周面との間の隙間Aは、前記第二U状杆2の外周面と該第二U状杆2の外周面に対向する前記連結部材3の内周面との間の隙間Bより小さくなるように構成されている。この隙間Aは回動を阻害しない範囲で可及的に小さい方が望ましく本実施例においては、1mm以下、好ましくは0.5mm以下に設定する。
【0031】
また、本実施例の第二U状杆2は次のようにして形成される。すなわち、一端に前記係止部13が設けられ他端に雄螺子部4が形成された直線状の杆部材に、連結部材3を前記雌螺子部12側から挿通させ、連結部材3の前記係止段部14が該係止部13に引っ掛かるまで一端側に移動させた後、この杆部材をU字状に曲げ加工することで形成される。
【0032】
そして、第二U状杆2の一端部2aに設けられる円柱状体9の上部(凸部6)を、第一U状杆1の凹部7内に挿入すると共に、連結部材3の雌螺子部12と第一U状杆1の雄螺子部11とを螺合し接着剤で接着することで、各U状杆1・2の一端部1a・2a側が連結部材3により回動自在に連結される。
【0033】
ここで、連結部材3は、前記直線状の杆部材の他端側から一端側に挿通移動させる都合上、挿通移動が良好に行えるように多少寸法に余裕をもって製造する場合がある。このような場合やこれに限らず連結部材3が多少ラフに製造された場合には、従来は、連結部材3の内周面と第二U状杆2の外周面との間の隙間Bに起因する傾きやズレ、ガタつき等により、雌螺子筒5による螺合連結がスムーズに行えないことがあった。
【0034】
この点、本実施例によれば、凹部7に(少なくとも連結部材3と第二U状杆2との間の隙間Bより小さい僅かな隙間Aで)回動自在に係合する凸部6を軸として第二U状杆2を安定的に旋回させることができ、第二U状杆2の他端部2bを旋回して第一U状杆1の他端部1bの対向位置に移動させた際に常にほぼ一定の位置とすることができ、雌螺子筒5と第二U状杆2の他端部2bの雄螺子部4とを同軸として雌螺子筒5による螺合連結をスムーズに行うことが可能となる。
【0035】
なお、本実施例は雌螺子筒5が第一U状杆1側に保持されるように構成しているが、第二U状杆2側に保持される(第一U状杆1の雄螺子部4が螺脱される)構成としても良い。また、凸部6を構成する円柱状体9を第二U状杆2側に固定した構成としているが、第一U状杆1側に固定する構成としても良い。
【0036】
本実施例は上述のように構成したから、対向する第一U状杆1および第二U状杆2の一端部1a・2a同士および他端部1b・2b同士が連結された状態から、雌螺子筒5を回動し、第二U状杆2の他端部2bの雄螺子部4を螺脱させて連結を解除し、他端部1b・2b同士が離間するように第二U状杆2を一端部2a側を軸に旋回させ、他端部1b・2b間の間隙を通じてワイヤーロープ10等を連結具内に導入することができる。
【0037】
そして、離間させた他端部2bを元通りに雌螺子筒5側に旋回して雄螺子部4同士を対向させ該雌螺子筒5を回動して螺合連結させることで2本のワイヤーロープ10等を連結する。
【0038】
この際、第一U状杆1および第二U状杆2の一端部1a・2a同士が凹部7と凸部6とにより凹凸係合しており、当該凸部6を軸に旋回させることができるため、連結部材3と第二U状杆2との間の隙間Bに起因するU状杆の傾きやズレが抑制され雄螺子部4は雌螺子筒5と同軸となり、雌螺子筒5による螺合連結をスムーズに行える。
【0039】
よって、本実施例は、雄螺子部と雌螺子筒との螺合をスムーズに行える、これまでにない連結具となる。
【符号の説明】
【0040】
1 第一U状杆
1a 一端部
1b 他端部
2 第二U状杆
2a 一端部
2b 他端部
3 連結部材
4 雄螺子部
5 雌螺子筒
6 凸部
7 凹部
8 スペーサ部材
9 円柱状体
A 隙間
B 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6