(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030097
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】車両位置検出装置、運転支援装置、運転制御装置、運転支援方法、運転制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B61L 25/02 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
B61L25/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132664
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】行木 英明
(72)【発明者】
【氏名】服部 陽平
【テーマコード(参考)】
5H161
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161BB01
5H161BB02
5H161BB09
5H161DD01
5H161DD21
5H161FF01
(57)【要約】
【課題】処理を複雑化させずに高精度に車両位置を検出する車両位置検出装置を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る車両位置検出装置は、記憶部、取得部、及び検出部を備える。前記記憶部は、二つの分岐点を接続する各線路に関する線路情報を記憶する。前記取得部は、車両の測位情報及び進行情報を取得し、前記線路情報から各分岐点の位置情報及び各分岐点に接続される各接続線路に関する接続線路情報を取得する。前記検出部は、第1の線路に前記車両が在線することを示す在線検出結果、前記車両の測位情報、進行情報、及び前記第1の線路の接続線路情報に基づき前記第1の線路に続く第2の線路に前記車両が在線することを検出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの分岐点を接続する各線路に関する線路情報を記憶する記憶部と、
車両の測位情報及び進行情報を取得し、前記線路情報から各分岐点の位置情報及び各分岐点に接続される各接続線路に関する接続線路情報を取得する取得部と、
第1の線路に前記車両が在線することを示す在線検出結果、前記車両の測位情報、進行情報、及び前記第1の線路の接続線路情報に基づき前記第1の線路に続く第2の線路に前記車両が在線することを検出する検出部と、
を備える車両位置検出装置。
【請求項2】
前記第2の線路は、前記二つの分岐点のうち第1の分岐点に接続される複数の接続線路、または第2の分岐点に接続される複数の接続線路の何れかの線路であり、
前記検出部は、前記車両の測位情報、前記第1の分岐点及び第2の分岐点の位置情報、前記車両の進行情報に含まれる移動方向情報及び方向角変化情報、並びに前記複数の接続線路の分岐方向情報に基づき前記複数の接続線路の何れかに前記車両が在線することを検出する、請求項1記載の車両位置検出装置。
【請求項3】
前記線路情報は、前記車両の先頭号車側に対応する各分岐点の位置情報及び接続線路情報、並びに前記車両の後尾号車側に対応する各分岐点の位置情報及び接続線路情報を含む請求項1記載の車両位置検出装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一つに記載の車両位置検出装置による車両の在線線路の検出結果に基づき前記車両の運転を支援する運転支援装置。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか一つに記載の車両位置検出装置による車両の在線線路の検出結果に基づき前記車両の運転を制御する運転制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至3の何れか一つに記載の車両位置検出装置による車両の在線線路の検出結果に基づき前記車両の運転を支援する運転支援方法。
【請求項7】
請求項1乃至3の何れか一つに記載の車両位置検出装置による車両の在線線路の検出結果に基づき前記車両の運転を制御する運転制御方法。
【請求項8】
車両の測位情報及び進行情報を取得し、二つの分岐点で区切られる各線路に関する線路情報から各分岐点の位置情報及び各分岐点に接続される各接続線路に関する接続線路情報を取得する手順と、
第1の線路に前記車両が在線することを検出する手順と、
前記車両の測位情報、進行情報及び接続線路情報に基づき前記第1の線路に続く第2の線路に前記車両が在線することを検出する手順と、をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両位置検出装置、運転支援装置、運転制御装置、運転支援方法、運転制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の運行では、安全確保のため各車両の正確な在線位置情報が不可欠であり、各車両の正確な在線位置情報により正確な到着番線が示される。駅構内や車両基地では、多数の分岐によって線路網が複雑になり、隣接する線路の間隔が狭くなっていることがある。このような条件下では、移動距離算出又はGNSS(Global Navigation Satellite System)測位情報のみでは車両の正確な在線位置の検出が難しい。正確な在線位置を検出するため、GNSS測位情報と角速度センサ等の情報を併用する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、GNSS測位情報と角速度センサ等の情報を併用する場合、さらに各車両の分岐通過の履歴を利用して在線位置が検出される。そのため、検出処理が複雑になり、改善が要望されている。
【0005】
本発明の目的は、処理を複雑化させずに高精度に車両位置を検出する車両位置検出装置及びプログラムを提供することにある。また、本発明の目的は、処理を複雑化させずに高精度に車両位置を検出する車両位置検出を利用した利便性又は安全性の高い運転支援装置、運転制御装置、運転支援方法、運転制御方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る車両位置検出装置は、記憶部、取得部、及び検出部を備える。前記記憶部は、二つの分岐点を接続する各線路に関する線路情報を記憶する。前記取得部は、車両の測位情報及び進行情報を取得し、前記線路情報から各分岐点の位置情報及び各分岐点に接続される各接続線路に関する接続線路情報を取得する。前記検出部は、第1の線路に前記車両が在線することを示す在線検出結果、前記車両の測位情報、進行情報、及び前記第1の線路の接続線路情報に基づき前記第1の線路に続く第2の線路に前記車両が在線することを検出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る車両位置検出装置の概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る演算処理部の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る車両の編成及び車両が通過する線路と分岐点の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る線路情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る位置算出装置による車両位置検出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係る運転支援装置の概略構成を示す図である。
【
図7】
図7は、第3の実施形態に係る運転制御装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の各実施形態を、図面を用いて説明する。
【0009】
[第1の実施形態]
第1の実施形態では、車両位置検出装置による車両位置検出について説明する。
(構成)
図1は、第1の実施形態に係る車両位置検出装置の概略構成を示す図である。
車両1は、車両位置検出装置を備え、車両位置検出装置は、GNSSアンテナ11、車両情報装置12、位置算出装置13、及び速度発電機14を備える。GNSSアンテナ11は、複数のGPS(Global Positioning System)等の衛星から発信される電波を受信し、位置算出装置13に対して受信信号を出力する。車両情報装置12は、車両内の各種情報に基づいて移動方向を検出し、位置算出装置13に対して移動方向情報を出力する。例えば、車両情報装置12は、先頭号車及び後尾号車の運転台のキースイッチの状態(オン/オフ)に応じて出力される各種情報に基づいて移動方向を検出する。速度発電機14は、車軸の回転によって生じる電圧値に応じた速度情報を出力する。
【0010】
位置算出装置13は、GNSS受信部131、角速度センサ132、演算処理部133、及び記憶部134を備える。GNSS受信部131は、GNSSアンテナ11で受信された複数(4以上)のGPS等の衛星からの受信信号に基づき、測位情報を出力する。GNSS受信部131から出力される測位情報の精度は、受信信号の強度及び数に応じて異なる。測位情報は、緯度、経度、精度、及び日時(時刻)を含む。
【0011】
角速度センサ132は、車両1の方向角変化を示す角速度情報を出力する。記憶部134は、コンピュータ可読の非一時記憶媒体であり、各種のプログラム及び線路情報を記憶する。線路情報については後に詳しく説明する。
【0012】
図2は、第1の実施形態に係る演算処理部の概略構成を示すブロック図である。
図2に示すように、演算処理部133は、プロセッサ及びメモリを含む回路で構成され、入力部1331、メモリ1332、位置計算部1333、線路判定部1334、及び出力部1335を備える。演算処理部133は、演算により車両の位置を検出する。演算処理部133は、記憶部134に記憶されたプログラムを実行することにより、入力部1331、位置計算部1333、線路判定部1334、及び出力部1335の各部の機能を実現する。
【0013】
入力部1331は、取得部として機能し、GNSS受信部131から測位情報を取得する。さらに、入力部1331は、取得部として機能し、角速度センサ132から進行情報の一つである角速度情報を取得し、車両情報装置12から進行情報の一つである移動方向情報を取得し、速度発電機14から進行情報の一つである速度情報を取得する。測位情報は、緯度及び経度の情報を含む。入力部1331は、各種情報を入力するインタフェースであり、演算処理部133に対して、測位情報を入力し、さらに、角速度情報、移動方向情報、及び速度情報を含む進行情報を入力する。角速度情報は、車両の方向角変化を示す情報である。移動方向情報は、上り又は下りの何れかの方向を示す情報である。速度情報は、車両の走行速度を示す情報である。
【0014】
メモリ1332は、入力部1331を介して入力される線路情報を記憶する。線路情報は、二つの分岐点を接続する各線路に関する情報であり、各分岐点の位置情報を含む。また、線路情報は、各分岐点に接続される各接続線路に関する接続線路情報を含む。線路情報については後に詳しく説明する。
【0015】
位置計算部1333は、車両1の測位情報に基づき車両1の位置を計算し、車両1の位置情報を生成する。或いは、位置計算部1333は、車両1の測位情報及び進行情報に基づき車両1の位置を計算し、車両の位置情報を生成する。例えば、位置計算部1333は、測位情報に含まれる精度が基準値以上の場合に測位情報に基づき位置を計算し、測位情報に含まれる精度が基準値未満の場合に測位情報及び進行情報に基づき位置を計算する。車両1の位置情報は、車両1の緯度及び経度の情報を含み、さらに日時(時刻情報)を含む。
【0016】
線路判定部1334は、検出部として機能し、車両の測位情報及び各分岐点の位置情報に基づき所定の線路(例えば第1の線路)に車両1が在線することを検出し、第1の線路に車両1が在線することを示す第1の在線検出結果を生成する。また、線路判定部1334は、第1の在線検出結果、車両1の測位情報、車両1の進行情報、及び第1の線路の接続線路情報に基づき第1の線路に続く第2の線路に車両1が在線することを検出し、第2の線路に車両1が在線することを示す第2の在線検出結果を生成する。なお、第1の線路に車両1が在線することの検出は必須ではなく、一度、手動で第1の線路への初期値を設定すれば、第2の線路の在線は検出でき、次のステップでは第2の線路が第1の線路として更新されて、以後継続して次の線路検出が可能である。
【0017】
第1の在線検出結果は、第1の線路に車両1が在線することを示す情報、車両の位置情報、及び日時(時刻)を含む。第2の在線検出結果は、第2の線路に車両1が在線することを示す情報、車両の位置情報、及び日時(時刻)を含む。
【0018】
出力部1335は、車両の在線検出結果を出力する。出力部1335は、各種情報を出力するインタフェースである。
【0019】
図3は、第1の実施形態に係る車両の編成及び車両が通過する線路と分岐点の一例を示す図である。
車両1は、第1車両としての先頭号車V1及び第2車両としての後尾号車V2を含む。なお、車両1は、先頭号車V1及び後尾号車V2の間に1両以上の車両を含む編成でもよい。
【0020】
線路R1は、分岐点P1に接続される。線路R2は、分岐点P1及びP2に接続される。線路R3は、分岐点P2及びP5に接続される。線路R4は、分岐点P2及びP3に接続される。線路R5は、分岐点P4及びP5に接続される。線路R6は、分岐点P3及びP4に接続される。線路R7は、分岐点P4に接続される。線路R8は、分岐点P3に接続される。
【0021】
図4は、第1の実施形態に係る線路情報の一例を示す図である。
図3に示す車両1の記憶部134は、
図4に示す線路情報を記憶する。また、メモリ1332は、記憶部134から出力される線路情報を記憶する。線路判定部1334は、メモリ1332に記憶される線路情報に基づき、車両1が在線する線路を検出する。
【0022】
線路情報は、二つの分岐点で区切られた各線路に関する情報である。線路情報は、線路R1からR8に関する情報を含む。
【0023】
例えば線路R2は、第1号車としての先頭号車側及び第2号車としての後尾号車側の情報を含む。
【0024】
線路R2の先頭号車側の情報は、分岐点P1の位置情報(経度及び緯度)、及び分岐点P1に接続される接続線路の分岐方向情報(右分岐:R1)を含む。即ち、線路R2の先頭号車側の情報は、車両1の先頭号車側に分岐点P1が存在し、線路R2の先頭号車側の分岐点P1から右に分岐して(右方向に角度が変化して)線路R1に繋がることを示す。よって、車両1が第1号車を先頭に線路R2を進む場合、分岐点P1から右に分岐して線路R1を進むことになる。
【0025】
また、線路R2の後尾号車側の情報は、分岐点P2の位置情報(経度及び緯度)、及び分岐点P2に接続される接続線路の分岐方向情報(直進:R3、右分岐:R4)を含む。即ち、線路R2の後尾号車側の情報は、車両1の後尾号車側に分岐点P2が存在し、線路R2の後方号車側の分岐点P2から直進して(角度変化せず)線路R3に繋がり、分岐点P2から右に分岐して(右方向に角度が変化して)線路R4に繋がることを示す。よって、車両1が第2号車を先頭に線路R2を進む場合、分岐点P2から直進して線路R3を進む、又は分岐点P2から右に分岐して線路R4を進むことになる。
【0026】
線路R4は、第1号車としての先頭号車側及び第2号車としての後尾号車側の情報を含む。線路R4の先頭号車側の情報は、分岐点P2の位置情報(経度及び緯度)、及び分岐点P2に接続される接続線路の分岐方向情報(左分岐:R2)を含む。即ち、線路R4の先頭号車側の情報は、車両1の先頭号車側に分岐点P2が存在し、線路R4の先頭号車側の分岐点P2から左に分岐して(左方向に角度が変化して)線路R2に繋がることを示す。よって、車両1が第1号車を先頭に線路R4を進む場合、分岐点P2から左に分岐して線路R2を進むことになる。
【0027】
また、線路R4の後尾号車側の情報は、分岐点P3の位置情報(経度及び緯度)、及び分岐点P3に接続される接続線路の分岐方向情報(左分岐:R8)を含む。即ち、線路R4の後尾号車側の情報は、車両1の後尾号車側に分岐点P3が存在し、線路R4の後方号車側の分岐点P3から左に分岐して(左方向に角度が変化して)線路R8に繋がることを示す。よって、車両1が第2号車を先頭に線路R4を進む場合、分岐点P3から左に分岐して線路R8を進むことになる。
(動作)
図5は、第1の実施形態に係る位置算出装置による車両位置検出処理の一例を示すフローチャートである。
(S1:現在走行線路の設定)
現在走行線路は、現在、車両1が走行している又は停車している線路であり、車両1の移動に伴い更新される。線路判定部1334は、メモリ1332における現在走行線路の情報の設定状態を検出し、現在走行線路の情報が未設定の場合に、現在走行線路を初期設定する(S1)。線路判定部1334は、以下の複数の方法から選択される方法に基づき、現在走行線路を初期設定する。
【0028】
例えば、線路判定部1334は、位置計算部1333が生成する車両1の位置情報(緯度及び経度を含む)に基づき、車両1が初期設定可能線路を走行又は停車していると判定した場合に、現在走行線路を初期設定する。線路判定部1334は、初期設定可能線路を現在走行線路として初期設定する。例えば、初期設定区間は、並行する隣接線路がない区間で、所定の緯度及び経度範囲に含まれる場合に一義的に線路が定まる区間である。
【0029】
また、車両1が車両基地等で停車し運行を終了する場合、線路判定部1334は、運行終了(位置検出処理の終了)に基づき、メモリ1332における現在走行線路の情報を記憶部134に記憶させる。車両1が運行を再開する場合、線路判定部1334は、運行再開(位置検出処理の開始)に基づき、記憶部134に記憶された現在走行線路の情報をメモリ1332に記憶させて、現在走行線路の初期設定を完了するようにしてもよい。
【0030】
あるいは、ユーザインタフェースを介し、始発駅等において在線する番線、線路の情報を手動で入力するようにしてもよい。
【0031】
以下、S2~S9を参照し、初期設定後の車両の在線検出について説明する。
例えば、第1の線路に車両1が在線した後、第2の線路に車両1が在線することを検出する処理について説明する。ここでは、後尾号車V2を先頭に移動する移動方向を想定した上で、第1の線路に続く第2の線路(例えば線路R4)に車両1が在線することを検出する処理について説明する。
線路判定部1334は、第1の在線検出結果、車両1の進行情報、及び第1の線路の接続線路情報に基づき、第1の線路に続く第2の線路に車両1が在線することを検出し、第2の線路に車両1が在線することを示す第2の在線検出結果を生成する。第2の線路は、分岐点P2に接続される第1及び第2の接続線路(例えば線路R4及びR3)の何れかの線路である。線路判定部1334は、車両1の進行情報に含まれる移動方向情報及び方向角変化情報、並びに第1乃至第4の接続線路の分岐方向情報に基づき第1、第2の接続線路の何れかに車両が在線することを検出する。出力部1335は、生成された第2の在線検出結果を出力する。詳細は、S2~S9に示す通りである。
【0032】
(S2:車両の測位情報及び進行情報の取得)
入力部1331は、車両の測位情報及び進行情報を取得する(S2)。入力部1331は、GNSS受信部131からの車両の測位情報を取得し、位置計算部1333は、車両の測位情報に基づき車両の位置情報(緯度及び経度)を算出する。また、入力部1331は、角速度センサ132から進行情報の一つである角速度情報を取得し、車両情報装置12から進行情報の一つである移動方向情報を取得し、速度発電機14から進行情報の一つである速度情報を取得する。GNSSの測位情報の精度が低下している場合、精度が低下する前の良好な測位情報を得た地点を起点とし、速度発電機14からの速度情報と角速度センサ132からの角速度に基づいて車両の位置情報を算出してもよい。
【0033】
(S3:現在走行線路に応じた次の分岐点の緯度及び経度の取得)
位置計算部1333は、線路情報から各分岐点の位置情報(緯度及び経度)及び各分岐点に接続される各接続線路に関する接続線路情報を取得する。即ち、位置計算部1333は、現在走行線路及び移動方向を用いて経路情報を参照し、現在走行線路に応じた次の分岐点の位置情報(緯度及び経度)を取得する(S3)。例えば、位置計算部1333は、現在走行線路R2及び後尾号車V2を先頭に移動する移動方向を用いて
図4に示す経路情報から、次の分岐点P2を選択し、次の分岐点P2の位置情報を取得する。
【0034】
(S4:次の分岐点との距離算出)
位置計算部1333は、車両の位置情報及び次の分岐点P2の位置情報に基づき、車両1から次の分岐点P2までの距離を算出する(S4)。
【0035】
(S5:次の分岐点近傍における分岐判定)
線路判定部1334は、車両1の位置情報及び第1及び第2の分岐点の位置情報に基づき第1及び第2の分岐点の何れかの分岐点への接近を検出し、第1の分岐点への接近が検出された場合は方向角変化情報並びに第1及び第2の接続線路の分岐方向情報に基づき第1及び第2の接続線路の何れかに車両1が在線することを検出する。
【0036】
一例について説明すると、線路判定部1334は、車両1から次の分岐点P2までの距離に基づいて、分岐点近傍であるか否かを判定する。線路判定部1334は、車両1から次の分岐点P2までの距離が所定値以下であれば分岐点近傍であると判定する。また、線路判定部1334は、分岐点近傍の判定の後、角速度センサ132からの角速度情報に基づいて分岐有無及び分岐方向を判定し(S5)、分岐有りの判定に基づき現在走行路線の更新処理へ移行する。なお、線路判定部1334は、線路R2の区間距離情報を持つようにし、線路R2に進入した後の移動距離を用いて分岐点P2の近傍に到達したことを判定してもよい。
【0037】
(S6:分岐方向に応じた現在走行線路の更新)
線路判定部1334は、分岐有無及び分岐方向に基づき現在走行線路を更新する(S6)。例えば、車両1が、線路R2を走行し、分岐点P2で右方向へ所定値以上の角速度を発生させた場合、線路判定部1334は、分岐点P2における分岐及び分岐点P2における右分岐を判定し、現在走行路線を第1の線路(線路R2)から第2の線路(線路R4)へ更新する。あるいは、線路判定部1334は、分岐点近傍範囲となった時点からの角速度の積算により角度変化を算出し、所定値以上の角度変化の発生をもって分岐を判定してもよい。
【0038】
(S7:次の分岐点近傍の通過判定)
線路判定部1334は、分岐点近傍の判定の後、所定値以上の角速度の発生がないまま、再度分岐点までの距離が所定値より大きくなったことをもって分岐点近傍を直進で通過したと判定し(S7)、現在走行線路の更新処理へ移行する。
【0039】
(S8:直進に応じた現在走行線路の更新)
線路判定部1334は、分岐を直進したと判定して現在走行線路を更新する(S8)。例えば、車両1が、線路R2を走行し、分岐点P2で所定値以上の角速度を発生させない場合、線路判定部1334は、分岐点P2における直進を判定し、現在走行線路を第1の線路(線路R2)から第2の線路(線路R3)へ更新する。
【0040】
第1の実施形態によれば、車両位置検出装置は、現在走行線路(第1の在線検出結果)を初期設定した後、この第1の在線検出結果を基準として、車両1の進行情報及び接続線路情報に基づき、車両1の走行に応じて遷移する次の現在走行線路(第2の在線検出結果)を検出する。これにより、処理を複雑化させることなく、高精度な車両の在線検出が可能となる。即ち、全ての分岐通過履歴の管理を必須とせずに、簡素で分かりやすい線路情報とアルゴリズムで、車両が在線する線路を判定することができる。
【0041】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、第1の実施形態の車両位置検出装置を利用した運転支援装置について説明する。
図6は、第2の実施形態に係る運転支援装置の概略構成を示す図である。
図6に示すように、運転支援装置は、車両位置検出装置及び運転支援部15を備える。
図1に示すように、車両位置検出装置は、GNSSアンテナ11、車両情報装置12、位置算出装置13、及び速度発電機14を備える。車両位置検出装置は、第1の実施形態で説明した通りである。
【0042】
運転支援部15は、コンピュータ等で構成され、演算処理部151、記憶部152、及びユーザインタフェース153等を備える。
【0043】
演算処理部151は、プロセッサ及びメモリを含む回路で構成される。演算処理部151は、記憶部152に記憶されたプログラムを実行することにより、運転支援を実現する。記憶部152は、演算処理部151に実行されるプログラムを記憶する。ユーザインタフェース153は、ディスプレイ及びディスプレイに対応するタッチセンサを備える。
【0044】
例えば、演算処理部151は、車両位置検出装置の演算処理部133から出力される在線検出結果を取得し、在線検出結果に基づく運転支援情報を生成する。ユーザインタフェース153は、運転支援情報を表示する。例えば、運転支援情報は、分岐点、線路、駅、及びホームのイメージを示すとともに、所定の線路上に在線する車両1のイメージを示す。
【0045】
第2の実施形態によれば、運転支援装置は、車両位置検出装置からの在線検出結果に基づき、車両1とホームの位置関係を正確に表示することにより、車両1の左側又は右側のドアの開閉操作を支援することができる。例えば、運転手は、運転支援情報を見て、正確な在線位置を把握した上で、所定のホームへの入線を予測し、車両1の右側又は左側のドアの開閉操作を準備することができ、また、その開閉操作を行うことができる。
【0046】
[第3の実施形態]
第3の実施形態では、第1の実施形態の車両位置検出装置を利用した運転制御装置について説明する。
図7は、第3の実施形態に係る運転制御装置の概略構成を示す図である。
図7に示すように、運転制御装置は、車両位置検出装置及び運転制御部16を備える。車両位置検出装置は、第1の実施形態で説明した通りである。
【0047】
運転制御部16は、コンピュータ等で構成され、演算処理部161、記憶部162、及び車両の制御装置とのインタフェース163等を備える。
【0048】
演算処理部161は、プロセッサ及びメモリを含む回路で構成される。演算処理部161は、記憶部162に記憶されたプログラムを実行することにより、運転制御を実現する。記憶部162は、演算処理部161に実行されるプログラムを記憶する。車両の制御装置とのインタフェース163を介して、運転制御情報を車両の制御装置に送信する。
【0049】
例えば、演算処理部161は、車両位置検出装置の演算処理部133から出力される在線検出結果を取得し、在線検出結果に基づく運転制御情報を生成し、車両1の制御装置へ出力する。
【0050】
例えば、運転制御情報は、車両1とホームの位置関係に応じた車両1の右側又は左側のドアの開閉を制御する制御信号を含む。車両1の制御部は、運転制御情報に含まれる制御信号に基づき、右側又は左側のドアを開閉する。また、番線の違いによる道のりの違いを考慮し、番線に応じた停止位置までの残距離補正を行って、所定位置への自動停止の制御性能向上を図ることもできる。
第3の実施形態によれば、運転制御装置は、車両の在線位置に応じて、車両1とホームの位置関係に応じた適切なドアの開閉を制御することができる。
【0051】
上記説明した第1の実施形態によれば、処理を複雑化させずに高精度に車両位置を検出する車両位置検出装置及びプログラムを提供することができる。また、上記説明した第2及び第3の実施形態によれば、処理を複雑化させずに高精度に車両位置を検出する車両位置検出を利用した利便性又は安全性の高い運転支援装置、運転制御装置、運転支援方法、運転制御方法及びプログラムを提供することができる。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1…車両
11…アンテナ
12…車両情報装置
13…位置算出装置
14…速度発電機
15…運転支援部
16…運転制御部
131…受信部
132…角速度センサ
133…演算処理部
134…記憶部
151…演算処理部
152…記憶部
153…ユーザインタフェース
161…演算処理部
162…記憶部
163…ユーザインタフェース
1331…入力部
1332…メモリ
1333…位置計算部
1334…線路判定部
1335…出力部