(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030098
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06F 11/34 20060101AFI20240229BHJP
G06F 11/30 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G06F11/34 123
G06F11/30 162
G06F11/30 140Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132666
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】門田 行生
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042GA37
5B042JJ06
5B042JJ29
5B042MA08
5B042MC19
(57)【要約】
【課題】蓄電池の配置換えの時期を効果的に設定することができる情報処理装置及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、情報処理装置は、センサインターフェースと、プロセッサと、出力インターフェースと、を備える。センサインターフェースは、蓄電池の劣化特性を測定する劣化センサに接続する。プロセッサは、前記劣化特性を示す劣化特性値に基づいて、前記蓄電池の配置換えを行う時期を設定する。出力インターフェースは、前記時期を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池の劣化特性を測定する劣化センサに接続するセンサインターフェースと、
前記劣化特性を示す劣化特性値に基づいて、前記蓄電池の配置換えを行う時期を設定するプロセッサと、
前記時期を出力する出力インターフェースと、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記劣化特性値と前記蓄電池の運用に関する運用条件を示す運用条件値とに基づいて劣化曲線を出力するモデルを格納する記憶部を備え、
前記センサインターフェースは、前記蓄電池の運用に関する運用条件を測定する運用条件センサに接続し、
前記プロセッサは、前記蓄電池の劣化特性値と前記運用条件値と前記モデルとに基づいて前記蓄電池の配置換えを行う前記時期を設定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記蓄電池の配置換えを行う時期を仮定するパラメータを設定し、
前記モデルに基づいて、前記パラメータが示す時期において配置換えを行った場合における前記蓄電池の残り寿命を算出し、
前記蓄電池の残り寿命に基づいて、前記蓄電池の配置換えを行う前記時期を設定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
2つの前記蓄電池の残り寿命が整合するパラメータを探索し、
探索された前記パラメータに基づいて、前記蓄電池の配置換えを行う前記時期を設定する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
目標寿命を入力する入力インターフェースを備え、
前記プロセッサは、
2つの前記蓄電池の残り寿命が前記目標寿命を超えるパラメータを探索し、
探索された前記パラメータに基づいて、前記蓄電池の配置換えを行う前記時期を設定する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記運用条件は、前記蓄電池が設置されている環境の温度、前記蓄電池が出力する電流、又は、前記蓄電池の充電率の何れか1つを含む、
請求項2乃至5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記劣化特性値の履歴に基づいて前記蓄電池の劣化曲線を算出し、
前記劣化曲線に基づいて、前記蓄電池の配置換えを行う前記時期を設定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記劣化特性値の回帰直線を前記劣化曲線として算出する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記蓄電池の配置換えを行う時期を仮定するパラメータを設定し、
前記劣化曲線に基づいて、前記パラメータが示す時期において配置換えを行った場合における前記蓄電池の残り寿命を算出し、
前記蓄電池の残り寿命に基づいて、前記蓄電池の配置換えを行う前記時期を設定する、
請求項7又は8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
2つの前記蓄電池の残り寿命が整合するパラメータを探索し、
探索された前記パラメータに基づいて、前記蓄電池の配置換えを行う前記時期を設定する、
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、
前記劣化特性値に基づいて前記蓄電池の残り寿命を算出し、
前記残り寿命に基づいて配置換えを行う前記蓄電池の組合せを設定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記残り寿命が最も大きい前記蓄電池と前記残り寿命が最も小さい前記蓄電池とから構成される前記組合せを設定する、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
プロセッサによって実行される情報処理装置であって、
蓄電池の劣化特性を測定する劣化センサを用いて前記劣化特性を示す劣化特性値を取得し、
前記劣化特性値に基づいて、前記蓄電池の配置換えを行う時期を設定し、
前記時期を出力する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池の劣化に応じて蓄電池の配置換えを行う蓄電池システムが提供されている。蓄電池の劣化の速度は、蓄電池が配置された場所によって異なることがある。また、蓄電池システムにおいては、一部に劣化した蓄電池が存在すると、蓄電池システム全体の寿命の律速要因となることがある。そのためシステムは、蓄電池間で劣化に差が生じると蓄電池の位置を交換して(配置換えを行って)蓄電池の劣化を調整する。
【0003】
システムは、蓄電池の劣化の予測に基づいて適切な配置換えの時期を設定する。
そこで、効果的な蓄電池の配置換えの時期を設定する技術が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の課題を解決するため、蓄電池の配置換えの時期を効果的に設定することができる情報処理装置及び情報処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、情報処理装置は、センサインターフェースと、プロセッサと、出力インターフェースと、を備える。センサインターフェースは、蓄電池の劣化特性を測定する劣化センサに接続する。プロセッサは、前記劣化特性を示す劣化特性値に基づいて、前記蓄電池の配置換えを行う時期を設定する。出力インターフェースは、前記時期を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る蓄電池システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る蓄電池の組合せの例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る蓄電池の劣化特性の例を示すグラフである。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る蓄電池の劣化特性の例を示すグラフである。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る蓄電池の劣化特性の例を示すグラフである。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第3の実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。
実施形態に係る蓄電池システムは、複数の蓄電池を管理する。蓄電池システムは、蓄電池の劣化状態を取得する。蓄電池システムは、蓄電池の劣化状態に基づいて2つの蓄電池の配置換えの時期を設定する。蓄電池システムは、設定された時期をオペレータに提示する。
【0009】
図1は、実施形態に係る蓄電池システム100の構成例を示す。
図1が示すように、蓄電池システム100は、情報処理装置1、蓄電池2(2a乃至2d)、運用条件センサ3(3a乃至3d)及び劣化センサ4(4a乃至4d)などを備える。
【0010】
情報処理装置1は、運用条件センサ3及び劣化センサ4と接続する。
なお、蓄電池システム100は、
図1が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、蓄電池システム100から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0011】
情報処理装置1は、蓄電池システム100全体を制御する。情報処理装置1は、運用条件センサ3及び劣化センサ4からのデータに基づいて、蓄電池2の配置換えの時期を設定する。情報処理装置1については、後に詳述する。
【0012】
蓄電池2は、充放電可能な電池である。蓄電池2は、所定の負荷に接続して負荷に電力を供給する。また、蓄電池2は、外部から供給される電力によって充電される。
蓄電池2は、経年又は充放電によって劣化する。たとえば、蓄電池2の容量が低下する。
【0013】
ここでは、蓄電池システム100は、4つの蓄電池2a乃至2dを備える。なお、蓄電池システム100が備える蓄電池2の個数は、2以上であれば所定の個数に限定されるものではない。
また、蓄電池2a乃至2dは、並列又は直列に接続されるものであってもよい。
【0014】
蓄電池2a乃至2dには、それぞれ運用条件センサ3a乃至3d及び劣化センサ4a乃至4dが設置されている。
【0015】
運用条件センサ3は、蓄電池2の運用条件に関するデータを測定するセンサである。たとえば、運用条件は、蓄電池2が設置されている環境の温度(環境温度)、蓄電池2が出力する電流、蓄電池2の充電率(SOC(State of Charge))などから構成される。なお、運用条件センサ3が測定する運用条件の構成は、特定の構成に限定されるものではない。
【0016】
運用条件センサ3は、測定された運用条件を示す信号を情報処理装置1に供給する。
運用条件センサ3は、それぞれの要素を測定する複数のセンサから構成されるものであってもよい。
【0017】
劣化センサ4は、蓄電池2の健全度又は劣化状態を示す劣化特性を測定するセンサである。たとえば、劣化特性は、蓄電池2の容量(又は、初期の容量に対する現在の容量の割合)又は内部抵抗などである。なお、劣化センサ4が測定する劣化特性の構成は、特定の構成に限定されるものではない。
【0018】
劣化センサ4は、測定された劣化状態を示す信号を情報処理装置1に供給する。
また、劣化センサ4は、運用条件センサ3と一体的に構成されるものであってもよい。
【0019】
次に、情報処理装置1について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理装置1の構成例を示す。
図1が示すように、情報処理装置1は、プロセッサ11、ROM12、RAM13、NVM14、センサインターフェース15、操作部16及び表示部17などを備える。
【0020】
プロセッサ11と、ROM12、RAM13、NVM14、センサインターフェース15、操作部16及び表示部17と、は、データバス又はインターフェースなどを介して互いに接続する。
なお、情報処理装置1は、
図2が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、情報処理装置1から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0021】
プロセッサ11は、情報処理装置1全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ11は、内部キャッシュ及び各種のインターフェースなどを備えてもよい。プロセッサ11は、内部メモリ、ROM12又はNVM14が予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0022】
なお、プロセッサ11がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうちの一部は、ハードウエア回路により実現されるものであってもよい。この場合、プロセッサ11は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
【0023】
ROM12は、制御プログラム及び制御データなどが予め記憶された不揮発性のメモリである。ROM12に記憶される制御プログラム及び制御データは、情報処理装置1の仕様に応じて予め組み込まれる。
【0024】
RAM13は、揮発性のメモリである。RAM13は、プロセッサ11の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM13は、プロセッサ11からの命令に基づき種々のアプリケーションプログラムを格納する。また、RAM13は、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータ及びアプリケーションプログラムの実行結果などを格納してもよい。
【0025】
NVM14(記憶部)は、データの書き込み及び書き換えが可能な不揮発性のメモリである。NVM14は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリなどから構成される。NVM14は、情報処理装置1の運用用途に応じて制御プログラム、アプリケーション及び種々のデータなどを格納する。
【0026】
センサインターフェース15は、運用条件センサ3及び劣化センサ4と通信するためのインターフェースである。たとえば、センサインターフェース15は、ネットワークを通じて運用条件センサ3及び劣化センサ4に接続する。たとえば、センサインターフェース15は、有線又は無線のLAN(Local Area Network)接続をサポートするインターフェースである。また、センサインターフェース15は、運用条件センサ3に接続するインターフェースと、劣化センサ4に接続するインターフェースとから構成されるものであってもよい。
【0027】
操作部16(入力インターフェース)は、オペレータから種々の操作の入力を受け付ける。操作部16は、入力された操作を示す信号をプロセッサ11へ送信する。たとえば、操作部16は、キーボード、マウス又はタッチパネルなどから構成される。
【0028】
表示部17(出力インターフェース)は、プロセッサ11からの画像データを表示する。たとえば、表示部17は、液晶モニタから構成される。操作部16がタッチパネルから構成される場合、表示部17は、操作部16としてのタッチパネルと一体的に形成される。
【0029】
次に、情報処理装置1が実現する機能について説明する。情報処理装置1が実現する機能は、プロセッサ11が内部メモリ、ROM12又はNVM14などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
【0030】
まず、プロセッサ11は、運用条件センサ3及び劣化センサ4を用いて各蓄電池2の運用条件及び劣化特性を測定する機能を有する。
【0031】
たとえば、プロセッサ11は、所定のタイミングで、運用条件及び劣化特性を測定する。たとえば、プロセッサ11は、蓄電池システム100の運用を開始してから所定の期間が経過した場合、操作部16を通じて所定の操作を入力した場合又は所定の間隔で運用条件及び劣化特性を測定する。
【0032】
プロセッサ11は、運用条件センサ3を通じて、測定された運用条件を示す測定値(運用条件値)を取得する。プロセッサ11は、各蓄電池2の運用条件値を取得する。
【0033】
また、プロセッサ11は、劣化センサ4を通じて、測定された運用条件を示す測定値(劣化特性値)を取得する。プロセッサ11は、各蓄電池2の劣化特性値を取得する。ここでは、劣化特性値は、下がるほど劣化が進行していることを示す指標である。
【0034】
また、プロセッサ11は、運用条件値及び劣化特性値から蓄電池2の残り寿命を算出する機能を有する。
【0035】
ここでは、プロセッサ11は、残り寿命を日数で算出する。
【0036】
また、NVM14は、運用条件値及び劣化特性値に基づいて経過日数と劣化特性値との関係を示す劣化曲線を出力する蓄電池モデルを予め格納する。たとえば、蓄電池モデルは、運用条件値と劣化特性値とを入力すると劣化曲線を出力する関数である。また、蓄電池モデルは、機械学習によって得られたニューラルネットワークなどであってもよい。蓄電池モデルの構成は、特定の構成に限定されるものではない。
【0037】
プロセッサ11は、取得された運用条件値及び劣化特性値を蓄電池モデルに入力して蓄電池2の劣化曲線を取得する。
【0038】
劣化曲線を取得すると、プロセッサ11は、劣化曲線に基づいて蓄電池2の残り寿命を算出する。ここでは、プロセッサ11は、劣化特性値が所定の閾値(寿命閾値)を下回ると蓄電池2が寿命に達したものと判定する。
【0039】
従って、プロセッサ11は、現時点から劣化曲線が寿命閾値を下回ると予測される時期までの期間を残り寿命として算出する。
プロセッサ11は、同様に各蓄電池2の残り寿命を算出する。
【0040】
また、プロセッサ11は、蓄電池2の残り寿命に基づいて、配置換えを行う蓄電池2の組合せを設定する機能を有する。
【0041】
プロセッサ11は、配置換えを行う蓄電池2の組合せとして、残り寿命が最も大きい蓄電池2と残り寿命が最も少ない蓄電池2との組合せを設定する。また、プロセッサ11は、残りの蓄電池2において、残り寿命が最も大きい蓄電池2と残り寿命が最も少ない蓄電池2との組合せを設定する。プロセッサ11は、上記の動作を繰り返して、蓄電池2の組合せを設定する。
【0042】
なお、配置換えを行わない蓄電池2が存在してもよい。また、プロセッサ11は、寿命の差が所定の閾値以上である場合、蓄電池2の組合せを設定するものであってもよい。
【0043】
図3は、蓄電池2の組合せを示す表である。
図3が示すように、表は、「蓄電池」、「残り寿命日数」及び「組合せ」を対応付けて示す。
【0044】
「蓄電池」は、蓄電池システム100が備える各蓄電池2を示す。ここでは、「蓄電池」は、蓄電池2a乃至2dのいずれか1つを示す。
【0045】
「残り寿命日数」は、蓄電池2の残り寿命の日数を示す。たとえば、表は、蓄電池2aの残り寿命として、500日を示す。
【0046】
「組合せ」は、配置換えを行う蓄電池2の組合せを示す。ここでは、最も長い残り寿命(560日)を有する蓄電池2dと最も短い残り寿命(500日)を有する蓄電池2aとは、組合せAを形成する。また、残りの蓄電池2の中で最も長い残り寿命(540日)を有する蓄電池2cと最も短い残り寿命(520日)を有する蓄電池2bとは、組合せBを形成する。
【0047】
また、プロセッサ11は、組み合わされた2つの蓄電池2の配置換えの時期を設定する機能を有する。
【0048】
プロセッサ11は、2つの蓄電池2の劣化特性値が同時に寿命閾値を下回るように配置換えの時期を設定する。
【0049】
ここでは、プロセッサ11は、組合せAを構成する蓄電池2a及び蓄電池2dの配置換えの時期を設定するものとする。
【0050】
まず、プロセッサ11は、配置換えの時期を仮定するパラメータとしてtを設定する。ここでは、tは、現時点から配置換えの時期までの期間の長さ(ここでは、日数)を示す。tを設定すると、プロセッサ11は、tに初期値を代入する。
【0051】
たとえば、プロセッサ11は、蓄電池2a又は蓄電池2dの何れか1つの残り寿命を取得する。残り寿命を取得すると、プロセッサ11は、取得された残り寿命の半分の値を初期値としてtに代入する。なお、初期値については、ユーザが任意の値を設定するようにしても良い。
【0052】
tに初期値を代入すると、プロセッサ11は、現時点からtが経過したタイミング(配置換え時期)で2つの蓄電池2を入れ替えた場合の蓄電池2aの残り寿命と蓄電池2bの残り寿命とを算出する。
【0053】
まず、プロセッサ11が、現時点からtが経過した配置換え時期において配置換えを行った場合における蓄電池2aの残り寿命を算出する動作例について説明する。
たとえば、プロセッサ11は、蓄電池モデルに蓄電池2aの運用条件値と劣化特性値とを入力して劣化曲線を取得する。劣化曲線を取得すると、プロセッサ11は、取得された劣化曲線に基づいて配置換え時期における劣化特性値を予測する。
【0054】
配置換え時期における劣化特性値を予測すると、プロセッサ11は、蓄電池モデルに、蓄電池2dの運用条件値と蓄電池2aの予測された劣化特性値とを入力して劣化曲線を取得する。劣化曲線を取得すると、プロセッサ11は、現時点から、取得された劣化曲線が寿命閾値を下回ると予測される時期までの期間を、配置換え行った場合における蓄電池2aの残り寿命(T1)として算出する。
【0055】
プロセッサ11は、蓄電池2dについても同様に配置換え行った場合における残り寿命(T2)を算出する。
【0056】
T1及びT2を算出すると、プロセッサ11は、T1とT2とが整合(たとえば、一致)するかを判定する。たとえば、プロセッサ11は、T1とT2との差が所定の閾値以下であるかを判定する。
【0057】
T1とT2とが整合しないと判定すると、プロセッサ11は、tを更新する。
たとえば、プロセッサ11は、T1とT2との大小関係に基づいてtを更新する。
【0058】
まず、T1がT2よりも小さい場合について説明する。即ち、より劣化が進んだ蓄電池2(ここでは、蓄電池2d)が配置換えにより、他方の蓄電池2よりも遅く寿命に達する場合について説明する。つまり、初期配置状態において、蓄電池2aの配置より蓄電池2dの配置の方が劣化進行する運用条件(例えば、蓄電池2dの配置の方が環境温度が高い)となっており、配置換えを行うことで寿命に達するタイミングが変わってくる。
【0059】
図4は、T1がT2よりも小さい場合における劣化曲線の例を示すグラフである。
図4が示す例では、曲線21aは、蓄電池2aの劣化曲線である。また、曲線21dは、蓄電池2dの劣化曲線である。
【0060】
曲線21aが示すように、蓄電池2aの劣化の速度は、配置換え時期を境に蓄電池2dが初期配置された運用条件値となるため増加する。また、曲線21dが示すように、蓄電池2dの劣化の速度は、配置換え時期を境に蓄電池2aが初期配置された運用条件値となるため低下する。
【0061】
図4が示すように、曲線21aは、曲線21dよりも先に寿命閾値以下になる。即ち、T1は、T2よりも小さい。
【0062】
T1がT2よりも小さい場合、プロセッサ11は、tをより大きな値に更新する。たとえば、プロセッサ11は、tから所定の値を加算してもよいし、tに1より大きい値を積算してもよい。
【0063】
次に、T1がT2よりも大きい場合について説明する。即ち、より劣化が進んだ蓄電池2(ここでは、蓄電池2d)が配置換え後も他方の蓄電池2よりも早く寿命に達する場合について説明する。
図5は、T1がT2よりも大きい場合における劣化曲線の例を示すグラフである。
図5が示す例では、曲線22aは、蓄電池2aの劣化曲線である。また、曲線22dは、蓄電池2dの劣化曲線である。
【0064】
図5が示すように、曲線22aは、曲線22dよりも後に寿命閾値以下になる。即ち、T1は、T2よりも大きい。
【0065】
図5の場合、プロセッサ11は、tをより小さい値に更新する。たとえば、プロセッサ11は、tから所定の値を減算してもよいし、tに1未満の値を積算してもよい。
【0066】
tを更新すると、プロセッサ11は、同様に、T1及びT2を算出する。
【0067】
プロセッサ11は、T1とT2とが整合するまで上記の動作を繰り返す。即ち、プロセッサ11は、T1とT2とが整合するtを探索する。
【0068】
図6は、T1とT2とが整合する場合の劣化曲線の例を示すグラフである。
図6が示す例では、曲線23aは、蓄電池2aの劣化曲線である。また、曲線23dは、蓄電池2dの劣化曲線である。
【0069】
図6が示す例では、曲線23aと曲線23dとは、同時に寿命閾値を下回る。即ち、T1とT2とが整合する。
【0070】
T1とT2とが整合すると、プロセッサ11は、tを配置換えの時期として出力する。たとえば、プロセッサ11は、tを表示部17に表示する。また、プロセッサ11は、外部装置にtを送信するものであってもよい。また、プロセッサ11は、tをNVM14に格納するものであってもよい。
また、プロセッサ11は、各組合せについて同様に配置換えの時期を設定してもよい。
【0071】
次に、情報処理装置1の動作例について説明する。
図7は、情報処理装置1の動作例について説明するためのフローチャートである。
【0072】
まず、情報処理装置1のプロセッサ11は、運用条件センサ3及び劣化センサ4を用いて各蓄電池2の運用条件値及び劣化特性値を取得する(S11)。各蓄電池2の運用条件値及び劣化特性値を取得すると、プロセッサ11は、蓄電池モデルを用いて、各蓄電池2の残り寿命を算出する(S12)。
【0073】
各蓄電池2の残り寿命を算出すると、プロセッサ11は、配置換えを行う蓄電池2の組合せを設定する(S13)。蓄電池2の組合せを設定すると、プロセッサ11は、tに初期値を代入する(S14)。
【0074】
tに初期値を代入すると、プロセッサ11は、蓄電池モデルに基づいて、t経過後に配置換えした場合におけるいずれか1つの蓄電池2の残り寿命(T1)を算出する(S15)。T1を算出すると、プロセッサ11は、蓄電池モデルに基づいて、t経過後に配置換えした場合における他方の蓄電池2の残り寿命(T2)を算出する(S16)。
【0075】
T2を算出すると、プロセッサ11は、T1とT2とが整合するかを判定する(S17)。T1とT2とが整合しないと判定すると(S17、NO)、プロセッサ11は、tを更新する(S18)。
【0076】
tを更新すると、プロセッサ11は、S15に戻る。
T1とT2とが整合すると判定すると(S17、YES)、プロセッサ11は、配置換えの時期としてtを出力する(S19)。tを出力すると、プロセッサ11は、動作を終了する。
【0077】
なお、プロセッサ11は、S13で複数の組合せを設定した場合には、S14乃至S19を繰り返してもよい。
【0078】
また、プロセッサ11は、操作部16などに入力される操作に従って、配置換えを行う2つの蓄電池2の組合せを設定してもよい。
【0079】
また、プロセッサ11は、蓄電池2の配置換えを行うロボットなどに配置換えの時期を送信するものであってもよい。
【0080】
以上のように構成された蓄電池システムは、蓄電池モデルを用いて配置換え後の蓄電池の寿命を算出する。蓄電池システムは、算出された寿命に基づいて、2つの蓄電池の寿命が整合するように配置換えの時期を設定する。その結果、蓄電池システムは、全体の寿命が最大化されるように配置換えの時期を設定することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態に係る蓄電池システム100は、過去の劣化特性値に基づいて蓄電池2の寿命を予測する点で第1の実施形態に係るそれと異なる。従って、その他の点については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0081】
第2の実施形態に係る蓄電池システム100の構成は、第1の実施形態に係るそれと同様であるため説明を省略する。なお、蓄電池システム100は、運用条件センサ3を備えなくともよい。
【0082】
次に、情報処理装置1が実現する機能について説明する。情報処理装置1が実現する機能は、プロセッサ11が内部メモリ、ROM12又はNVM14などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
第2の実施形態に係る情報処理装置1は、第1の実施形態に係るそれの機能に加えて以下の機能を実現する。
【0083】
まず、プロセッサ11は、蓄電池2の劣化特性値の履歴をNVM14に格納する機能を有する。
【0084】
たとえば、プロセッサ11は、劣化センサ4を用いて、蓄電池2の運用の開始時点から所定の間隔で各蓄電池2の劣化特性値を取得する。各蓄電池2の劣化特性値を取得すると、プロセッサ11は、劣化特性値の履歴として、取得された劣化特性値と取得された時期(日付など)とを対応付けてNVM14に格納する。
【0085】
また、プロセッサ11は、蓄電池2の劣化特性値の履歴に基づいて、蓄電池2の残り寿命を算出する機能を有する。
【0086】
たとえば、プロセッサ11は、所定のタイミングで、蓄電池2の残り寿命を算出する。たとえば、プロセッサ11は、蓄電池システム100の運用を開始してから所定の期間が経過した場合、操作部16を通じて所定の操作を入力した場合又は所定の間隔で蓄電池2の残り寿命を算出する。
【0087】
プロセッサ11は、1つの蓄電池2の劣化特性値の履歴をNVM14から取得する。履歴を取得すると、プロセッサ11は、履歴に基づいて、劣化曲線を推定する。たとえば、プロセッサ11は、劣化曲線として、履歴に基づいて回帰直線を推定する。
【0088】
劣化曲線を推定すると、プロセッサ11は、現時点から劣化曲線が寿命閾値を下回ると予測される時期までの期間を残り寿命として算出する。
プロセッサ11は、同様に各蓄電池2の残り寿命を算出する。
【0089】
また、プロセッサ11は、劣化特性値の履歴に基づいて、組み合わされた2つの蓄電池2の配置換えの時期を設定する機能を有する。
【0090】
ここでは、プロセッサ11は、第1の実施形態と同様に、配置換えを行う蓄電池2の組合せを設定したものとする。
また、プロセッサ11は、蓄電池2a及び蓄電池2dの配置換えの時期を設定するものとする。
【0091】
まず、プロセッサ11は、配置換えの時期を仮定するパラメータとしてtを設定する。ここでは、tは、現時点から配置換えの時期までの期間の長さ(ここでは、日数)を示す。tを設定すると、プロセッサ11は、tに初期値を代入する。
【0092】
たとえば、プロセッサ11は、蓄電池2a又は蓄電池2dの何れか1つの残り寿命を取得する。残り寿命を取得すると、プロセッサ11は、取得された残り寿命の半分の値を初期値としてtに代入する。なお、初期値については、ユーザが任意の値を設定するようにしても良い。
【0093】
tに初期値を代入すると、プロセッサ11は、現時点からtが経過したタイミング(配置換え時期)で2つの蓄電池2を入れ替えた場合の蓄電池2aの残り寿命と蓄電池2bの残り寿命とを算出する。
【0094】
まず、プロセッサ11が、現時点からtが経過した配置換え時期において配置換えを行った場合における蓄電池2aの残り寿命を算出する動作例について説明する。
たとえば、プロセッサ11は、前述の通り、蓄電池2aの劣化曲線を取得する。劣化曲線を取得すると、プロセッサ11は、取得された劣化曲線に基づいて配置換え時期における劣化特性値を予測する。
【0095】
配置換え時期における劣化特性値を予測すると、プロセッサ11は、蓄電池2dの劣化曲線の傾き(単位時間(たとえば、1日)あたりの劣化特性値の変化量)を取得する。蓄電池2dの劣化曲線の傾きを取得すると、プロセッサ11は、予測された劣化特性値から取得された傾きで劣化特性値が変化する劣化曲線を生成する。劣化曲線を生成すると、プロセッサ11は、現時点から、生成された劣化曲線が寿命閾値を下回ると予測される時期までの期間を、配置換え行った場合における蓄電池2aの残り寿命(T1)として算出する。
【0096】
プロセッサ11は、蓄電池2dについても同様に配置換え行った場合における残り寿命(T2)を算出する。
【0097】
T1及びT2を算出すると、プロセッサ11は、T1とT2とが整合(たとえば、一致)するかを判定する。たとえば、プロセッサ11は、T1とT2との差が所定の閾値以下であるかを判定する。
【0098】
T1とT2とが整合しないと判定すると、プロセッサ11は、tを更新する。
プロセッサ11がtを更新する動作例は、第1の実施形態のそれと同様である。
プロセッサ11は、T1とT2とが整合するまで上記の動作を繰り返す。即ち、プロセッサ11は、T1とT2とが整合するtを探索する。
【0099】
T1とT2とが整合すると、プロセッサ11は、tを配置換えの時期として出力する。たとえば、プロセッサ11は、tを表示部17に表示する。また、プロセッサ11は、外部装置にtを送信するものであってもよい。また、プロセッサ11は、tをNVM14に格納するものであってもよい。
また、プロセッサ11は、各組合せについて同様に配置換えの時期を設定してもよい。
【0100】
次に、情報処理装置1の動作例について説明する。
図8は、情報処理装置1の動作例について説明するためのフローチャートである。
ここでは、NVM14は、各蓄電池2の劣化特性値の履歴を格納しているものとする。
【0101】
まず、情報処理装置1のプロセッサ11は、各蓄電池2の劣化特性値の履歴をNVM14から取得する(S21)。各蓄電池2の運用条件値及び劣化特性値を取得すると、プロセッサ11は、劣化特性値の履歴に基づいて、各蓄電池2の残り寿命を算出する(S22)。
【0102】
各蓄電池2の残り寿命を算出すると、プロセッサ11は、配置換えを行う蓄電池2の組合せを設定する(S23)。蓄電池2の組合せを設定すると、プロセッサ11は、tに初期値を代入する(S24)。
【0103】
tに初期値を代入すると、プロセッサ11は、劣化特性値の履歴に基づいて、t経過後に配置換えした場合におけるいずれか1つの蓄電池2の残り寿命(T1)を算出する(S25)。T1を算出すると、プロセッサ11は、劣化特性値の履歴に基づいて、t経過後に配置換えした場合における他方の蓄電池2の残り寿命(T2)を算出する(S26)。
【0104】
T2を算出すると、プロセッサ11は、T1とT2とが整合するかを判定する(S27)。T1とT2とが整合しないと判定すると(S27、NO)、プロセッサ11は、tを更新する(S28)。
【0105】
tを更新すると、プロセッサ11は、S25に戻る。
T1とT2とが整合すると判定すると(S27、YES)、プロセッサ11は、配置換えの時期としてtを出力する(S29)。tを出力すると、プロセッサ11は、動作を終了する。
【0106】
なお、プロセッサ11は、S23で複数の組合せを設定した場合には、S24乃至S29を繰り返してもよい。
【0107】
また、プロセッサ11は、回帰曲線として、回帰直線以外の関数を生成してもよい。たとえば、プロセッサ11は、回帰曲線として、n次関数などを生成してもよい。
【0108】
以上のように構成された蓄電池システムは、劣化特性値の履歴に基づいて配置換え後の蓄電池の寿命を算出する。蓄電池システムは、算出された寿命に基づいて、2つの蓄電池の寿命が整合するように配置換えの時期を設定する。その結果、蓄電池システムは、蓄電池の劣化曲線を出力するモデルを備えなくとも、全体の寿命が最大化されるように配置換えの時期を設定することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態に係る蓄電池システム100は、ユーザが設定した目標寿命まで寿命が延びるように配置換えの時期を設定する点で第1の実施形態に係るそれと異なる。従って、その他の点については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0109】
第3の実施形態に係る蓄電池システム100の構成は、第1の実施形態に係るそれと同様であるため説明を省略する。
【0110】
次に、情報処理装置1が実現する機能について説明する。情報処理装置1が実現する機能は、プロセッサ11が内部メモリ、ROM12又はNVM14などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
第3の実施形態に係る情報処理装置1は、第1の実施形態に係るそれの機能に加えて以下の機能を実現する。
【0111】
まず、プロセッサ11は、目標寿命を設定する機能を有する。
たとえば、プロセッサ11は、操作部16を通じて、ユーザから目標寿命を入力する。なお、プロセッサ11は、外部装置から目標寿命を取得するものであってもよい。
【0112】
また、目標寿命は、配置換え後に等しくなる場合における蓄電池2の寿命よりも短いものとする。
【0113】
また、プロセッサ11は、2つの蓄電池2の寿命が目標寿命を超えるように、2つの蓄電池2の配置換えの時期を設定する機能を有する。
【0114】
ここでは、プロセッサ11は、第1の実施形態と同様に、配置換えを行う蓄電池2の組合せを設定したものとする。
また、プロセッサ11は、蓄電池2a及び蓄電池2dの配置換えの時期を設定するものとする。
【0115】
まず、プロセッサ11は、配置換えの時期を仮定するパラメータとしてtを設定する。ここでは、tは、現時点から配置換えの時期までの期間の長さ(ここでは、日数)を示す。tを設定すると、プロセッサ11は、tに初期値を代入する。
【0116】
たとえば、プロセッサ11は、蓄電池2a又は蓄電池2dの何れか1つの残り寿命を取得する。残り寿命を取得すると、プロセッサ11は、取得された残り寿命の半分の値を初期値としてtに代入する。なお、初期値については、ユーザが任意の値を設定するようにしても良い。
【0117】
tに初期値を代入すると、プロセッサ11は、現時点からtが経過したタイミング(配置換え時期)で2つの蓄電池2を入れ替えた場合の蓄電池2aの残り寿命(T1)と蓄電池2bの残り寿命(T2)とを算出する。
【0118】
プロセッサ11がT1とT2とを算出する動作例は、第1の実施形態に係るそれと同様である。
【0119】
T1及びT2を算出すると、プロセッサ11は、T1とT2との両者が目標寿命を超えるかを判定する。
【0120】
T1とT2とのいずれかが目標寿命を超えないと判定すると、プロセッサ11は、tを更新する。
たとえば、プロセッサ11は、目標寿命とT1及びT2との大小関係に基づいてtを更新する。
【0121】
まず、T1が目標寿命よりも小さくT2が目標寿命よりも大きい場合について説明する。即ち、配置換えにより、より劣化が進んだ蓄電池2(ここでは、蓄電池2d)が目標寿命を超え、他方の蓄電池2が目標寿命を超えない場合について説明する。
【0122】
この場合、プロセッサ11は、tをより大きな値に更新する。たとえば、プロセッサ11は、tから所定の値を加算してもよいし、tに1より大きい値を積算してもよい。
【0123】
次に、T1が目標寿命よりも大きくT2が目標寿命よりも小さい場合について説明する。即ち、配置換えにより、より劣化が進んだ蓄電池2(ここでは、蓄電池2d)が目標寿命を超えず、他方の蓄電池2が目標寿命を超える場合について説明する。
【0124】
この場合、プロセッサ11は、tをより小さな値に更新する。たとえば、プロセッサ11は、tから所定の値を減算してもよいし、tに1未満の値を積算してもよい。
【0125】
プロセッサ11は、T1とT2との両者が目標寿命を超えるまで上記の動作を繰り返す。即ち、プロセッサ11は、T1とT2との両者が目標寿命を超えるtを探索する。
【0126】
T1とT2との両者が目標寿命を超えると判定すると、プロセッサ11は、tを配置換えの時期として出力する。たとえば、プロセッサ11は、tを表示部17に表示する。また、プロセッサ11は、外部装置にtを送信するものであってもよい。また、プロセッサ11は、tをNVM14に格納するものであってもよい。
また、プロセッサ11は、各組合せについて同様に配置換えの時期を設定してもよい。
【0127】
次に、情報処理装置1の動作例について説明する。
図9は、情報処理装置1の動作例について説明するためのフローチャートである。
【0128】
まず、情報処理装置1のプロセッサ11は、ユーザからの操作などに従って目標寿命を設定する(S31)。目標寿命を設定すると、プロセッサ11は、運用条件センサ3及び劣化センサ4を用いて各蓄電池2の運用条件値及び劣化特性値を取得する(S32)。各蓄電池2の運用条件値及び劣化特性値を取得すると、プロセッサ11は、蓄電池モデルを用いて、各蓄電池2の残り寿命を算出する(S33)。
【0129】
各蓄電池2の残り寿命を算出すると、プロセッサ11は、配置換えを行う蓄電池2の組合せを設定する(S34)。蓄電池2の組合せを設定すると、プロセッサ11は、tに初期値を代入する(S35)。
【0130】
tに初期値を代入すると、プロセッサ11は、蓄電池モデルに基づいて、t経過後に配置換えした場合におけるいずれか1つの蓄電池2の残り寿命(T1)を算出する(S36)。T1を算出すると、プロセッサ11は、蓄電池モデルに基づいて、t経過後に配置換えした場合における他方の蓄電池2の残り寿命(T2)を算出する(S37)。
【0131】
T2を算出すると、プロセッサ11は、T1とT2との両者が目標寿命を超えるかを判定する(S38)。T1とT2とのいずれかが目標寿命を超えないと判定すると(S38、NO)、プロセッサ11は、tを更新する(S39)。
【0132】
tを更新すると、プロセッサ11は、S36に戻る。
T1とT2との両者が目標寿命を超えると判定すると(S38、YES)、プロセッサ11は、配置換えの時期としてtを出力する(S40)。tを出力すると、プロセッサ11は、動作を終了する。
【0133】
なお、プロセッサ11は、S34で複数の組合せを設定した場合には、S35乃至S40を繰り返してもよい。
また、プロセッサ11は、第2の実施形態のように、劣化特性値に基づいて残り寿命を算出するものであってもよい。
【0134】
以上のように構成された蓄電池システムは、ユーザの操作などに従って目標寿命を設定する。蓄電池システムは、蓄電池の寿命が目標寿命を超えるように配置換えの時期を設定する。その結果、蓄電池システムは、蓄電池の寿命を目標寿命まで延ばすことができる。
【0135】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0136】
1…情報処理装置、2…蓄電池、2a…蓄電池、2b…蓄電池、2c…蓄電池、2d…蓄電池、3…運用条件センサ、3a…運用条件センサ、3b…運用条件センサ、3c…運用条件センサ、3d…運用条件センサ、4…劣化センサ、4a…劣化センサ、4b…劣化センサ、4c…劣化センサ、4d…劣化センサ、11…プロセッサ、12…ROM、13…RAM、14…NVM、15…センサインターフェース、16…操作部、17…表示部、21a…曲線、21d…曲線、22a…曲線、22d…曲線、23a…曲線、23d…曲線、100…蓄電池システム。