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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003011
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】内視鏡用スネアネット
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
A61B17/22 528
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023179871
(22)【出願日】2023-10-18
(62)【分割の表示】P 2020523227の分割
【原出願日】2018-07-12
(31)【優先権主張番号】62/531,470
(32)【優先日】2017-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520011876
【氏名又は名称】エンド-セラピューティクス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ルイジャオ・シュ
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・スタッダード
(57)【要約】
【課題】新規な内視鏡用スネアネットを提供すること。
【解決手段】内視鏡用スネアネットが、ネットの網目を通じてループを編むことなどでループと係合するネットと、ネットおよびループが制御ワイヤによって延ばされたり引き込まれたりできるのに通るルーメンを有する管とを備える。ループは、1つもしくは複数の隅部、環状とされた自由に浮遊する滑りテザー、またはそれらの両方を有し、これは、ループが管の端部を越えて過度に延ばされる場合であっても、ループが管のルーメンへと引き戻されるとき、ネットがループから自由に滑るのを防止する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非対称的な複数の隅部を備える内視鏡用スネアであって、
遠位端および近位端を有する管であって、前記管の壁がルーメンを画定する、管と、
前記ルーメンの一部を通って延在する、所定の長さの制御ワイヤと、
成形されたループであって、前記ループの遠位端と、前記ループの近位端と、を有する、ループと、
を備えており、
前記ループの前記遠位端は、前記ループの前記遠位端が前記管の前記遠位端を出ると膨張するように成形されており、
前記ループの前記近位端は、所定の長さの前記制御ワイヤに結合されており、
前記ループは少なくとも2つの隅部を有しており、少なくとも2つの前記隅部は、前記ループの前記遠位端が前記管を出た後にかつ前記ループの前記近位端が前記管を出る前に、前記ルーメンを出るように配置されており、
少なくとも2つの前記隅部は、少なくとも、前記ループの第1の側における第1の隅部と、前記ループの第2の側における第2の隅部と、からなり、
前記第2の側は、前記第1の側の反対側にあり、
前記第2の隅部は、前記第1の隅部よりも、前記ループの前記近位端に近接するように配置されており、それによって、前記第1の隅部および前記第2の隅部は、前記ループの前記第1の側および前記ループの前記第2の側を非対称的なものとしており、
少なくとも2つの前記隅部の各々は、第1の屈曲角度方向における第1の屈曲部と、前記第1の屈曲角度方向とは反対の第2の屈曲角度方向における第2の屈曲部と、前記第2の屈曲角度方向とは反対の第3の屈曲角度方向における第3の屈曲部と、を備えており、前記ループが前記管から引き出される場合に、1つ以上の前記隅部の各々が前記管の中心長手方向軸から延在する仮想線から外側に延在するように、配置されていることを特徴とする内視鏡用スネア。
【請求項2】
成形された前記ループは、弾性を有する柔軟な材料から形成することができることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用スネア。
【請求項3】
弾性を有する柔軟な前記材料は金属であることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡用スネア。
【請求項4】
前記金属は、鋼、ニチノール、チタン、またはそれらの合金であることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡用スネア。
【請求項5】
前記金属は、鋼であることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡用スネア。
【請求項6】
少なくとも2つの前記隅部の1つ以上は、折り曲げられており、かつ前記ループを開くように付勢する任意の屈曲部に加えて1つ以上の弾性屈曲部を提供することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用スネア。
【請求項7】
前記第1の屈曲角度方向は、前記ループの前記近位端に近接する前記ループの隣接部分の角度方向と比較してより内向きに広がっており、
前記第2の屈曲角度方向は、前記第1の屈曲角度方向と比較してより外向きに広がっており、
前記第3の屈曲角度方向は、前記第2の屈曲角度方向と比較してより内向きに広がっており、
それによって、前記第2の屈曲角度方向に沿って延びる前記ループが前記第3の屈曲角度方向に向けて広がる外向き頂点において、外向きに延びる隅部が形成され、
前記第1の屈曲角度方向から延びる前記ループが前記第2の屈曲角度方向に向けて広がる内向き頂点において、内向きに延びる屈曲部が形成される、請求項6に記載の内視鏡用スネア。
【請求項8】
少なくとも2つの前記隅部の1つ以上は、前記ループの一部に少なくとも1つのジグザグ形状部を形成することを特徴とする請求項7に記載の内視鏡用スネア。
【請求項9】
少なくとも2つの前記隅部の各々は、前記ループの一部に少なくとも1つのジグザグ形状部を形成することを特徴とする請求項8に記載の内視鏡用スネア。
【請求項10】
対向する側部を有するネットをさらに備えており、
少なくとも2つの前記隅部の各々が前記ネットと係合する箇所において、少なくとも2つの前記隅部の各々がそれぞれ前記ネットの一部を保持するように、前記ループは前記ネットの対向する前記側部を通して編まれていることを特徴とする請求項9に記載の内視鏡用スネア。
【請求項11】
内視鏡用スネアであって、
遠位端および近位端を有するループと、
ルーメンを有する管であって、前記管の前記ルーメンを通って前記ループの導入を可能にするように構成されかつ配置された、ルーメンを有する管と、
を備えており、
前記ルーメンは、前記管の壁によって画定されており、
前記ループの前記遠位端は、前記ループが前記管から引き出される場合に前記ループの前記遠位端が最初に前記ルーメンから引き出されるように配置されており、
前記ループの前記近位端は、前記ループの前記遠位端の後に前記ルーメンから引き出され、
前記ループの前記近位端は、前記ループの前記近位端が前記ルーメンを越えて引き出されると前記ループが外向きに延び続けるように、屈曲部を有しており、
前記ループは少なくとも2つの隅部を有しており、少なくとも2つの前記隅部は、前記ループの前記遠位端が前記ルーメンを出た後にかつ前記ループの前記近位端が前記ルーメンを出る前に、前記ルーメンを出るように配置されており、
少なくとも2つの前記隅部は、少なくとも、前記ループの前記近位端の前の前記ループの第1の側における第1の隅部と、前記ループの前記近位端の前の前記ループの第2の側における第2の隅部と、からなり、
前記ループの前記第1の側は、前記ループの前記第2の側の反対側にあり、


少なくとも2つの前記隅部は、前記ループの前記近位端が前記管の中へ引き込まれると前記ループの一部は外側に開いたままとなり、前記ループの他の部分は閉じるように、配置されており、
前記第2の隅部は、前記第1の隅部および前記第2の隅部の両方が前記ルーメンから引き出されたとき、前記第1の隅部よりも前記管に近接しており、かつ前記第2の隅部は、前記ループの前記近位端が前記ルーメンの中に引き込まれるとき、前記第1の隅部より先に前記ルーメンに入り、
少なくとも2つの前記隅部の各々は、第1の屈曲角度方向における第1の屈曲部と、前記第1の屈曲角度方向とは反対の第2の屈曲角度方向における第2の屈曲部と、前記第2の屈曲角度方向とは反対の第3の屈曲角度方向における第3の屈曲部と、を備えており、前記ループが前記管から引き出される場合に、1つ以上の前記隅部の各々が前記管の中心長手方向軸から延在する仮想線から外側に延在するように、配置されていることを特徴とする内視鏡用スネア。
【請求項12】
請求項1に記載の内視鏡用スネアを使用する方法であって、
前記ループが開くように前記ルーメンから前記ループを引き出すステップと、
前記ループを内視鏡的に位置決めするステップと、
前記ループを前記ルーメンへと戻すように少なくとも部分的に引き込むステップであって、前記第1の隅部および前記第2の隅部が前記ループの前記第2の側にわたる前記ループの前記第1の側の少なくとも一部の重なりを引き起こすように、前記ループが少なくとも部分的に閉じられる、ステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、本明細書において参照によりその全体において組み込まれている2017年7月12日に出願された米国仮特許出願第62/531,470号の優先権を主張する。
【0002】
技術分野は、内視鏡装置に関し、詳細には内視鏡用スネアネットに関する。
【背景技術】
【0003】
ネットの一部分をコールドループまたはループに結び付けるスネアネットが知られている。知られているスネアネットの例は、米国特許第8,016,838号、第7,618,437号、第6,814,739号、第5,906,621号、第5,759,187号、第5,486,182号、第5,336,277号、第5,201,740号、および第5,190,542号において見出される。しかしながら、これらの知られているスネアネットのすべてが、ポリープまたは異物を捕獲するためのポケットを形成する困難な時間を伴うか、複雑な機構を有するか、引っ掛かる可能性のある過剰なネット材料を有するか、または、より大きい直径のルーメンを通過させる必要がある。複雑なシステムの一部は問題のうちの1つまたは複数を解決するが、追加の複雑性がそれらを潜在的に失敗させがちであり、実質的なコストを医療処置にもたらす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8,016,838号
【特許文献2】米国特許第7,618,437号
【特許文献3】米国特許第6,814,739号
【特許文献4】米国特許第5,906,621号
【特許文献5】米国特許第5,759,187号
【特許文献6】米国特許第5,486,182号
【特許文献7】米国特許第5,336,277号
【特許文献8】米国特許第5,201,740号
【特許文献9】米国特許第5,190,542号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
内視鏡用スネアネット装置は、成形されたループと、ネットと、ループおよびスネアネットが通される導入を受け入れるように構成および配置されるルーメンを有する管とを備える。ルーメンは、ポリマー管などの管の壁によって画定される。ここで、「ルーメン」は、管の内部の開放した空間を意味し、生物学的なルーメンに限定されない。管壁は、ルーメン内に配置されるカラーを有してもよく、そのカラーは、管の端部からある距離における位置において管の壁に固定され得る、または、制御ワイヤの周りにおいて管の内部で自由に浮遊し得る。成形されたループは、金属などの弾性で柔軟な材料から作られ得る。例えば、金属は、鋼、ニチノール、チタン、またはそれらの合金であり得る。ループの遠位端は、ルーメンを最初に出るときに膨張するよう折り曲げられて成形され得る。1つまたは複数の折り曲げられた隅部は、ループの遠位端に隣接して配置され得る。
【0006】
一例では、ループは、ループが管から十分に延ばされたときにループを開かせて開いたままにさせる1つまたは複数の弾性屈曲部を、ループの近位端において有する。例えば、折り曲げられた隅部が、管から延ばされたときにループを開くように付勢する1つまたは複数の弾性屈曲部に加えて提供される。一例では、折り曲げられた隅部は、ループにおける屈曲部によってそれ自体が提供されるが、折り曲げられた隅部は、ループを開くように付勢する1つまたは複数の弾性屈曲部と異なる目的を果たす。ループを開くように付勢することに代えて、ループが管から延ばされるとき、折り曲げられた隅部は、閉じる間にスネアネットを係止するように供し、スネアネットは、ループの遠位端における唯一の結び目だけによって、ループをネットにおける開口を通じて編むことで、および/または、ループの近位端においてネットを通じてループ状にされるテザーによって、ループに取り付けられ得る。一例では、少なくとも1つの折り曲げられた隅部のないループは、ループが管へと引き込まれるとき、ネットがループにおいて前方へ進むことになる。対照的に、少なくとも1つの折り曲げられた隅部を伴うループは、ネットを、ループを伴う管へと引っ張る。また、ループの相対する側における折り曲げられた隅部の対は、ループが閉じられる場合にループおよびネットが管へと引っ張られるとき、ネット内に個別のポケットを形成するのを助ける。ループが完全に展開されたときにネットは平坦となるが、ループが引き込まれるとき、ループが異物の周りで閉じる間に異物を捕獲するために使用され得るポケットが、ネットに形成される。
【0007】
一例では、折り曲げられた隅部の屈曲部はループを形成しない(つまり、折り曲げられた隅部は開いており、一周りのループになっておらず、それ自体と交わっていない)。代わりに、この例では、折り曲げられた隅部を形成している屈曲部は、第1の方向における第1の屈曲部と、第2の方向における第2の屈曲部と、第3の方向における第3の屈曲部と、を備える。第1の屈曲部は、他の屈曲部よりもループの近位端の近くである。ループにおける屈曲部は、その屈曲部の前のループの部分とその屈曲部の後のループの部分との間に角度を作り出す。第1の屈曲部は、折り曲げられた隅部の第1の部分が、例えばループが管から延ばされるとき、管の中心長手方向軸から延びる仮想線により向かう方向において、より大きく内向きに方向付けられるように、ループを屈曲することができる。
【0008】
例えば、第1の屈曲部の前に配置されるループの一部分(つまり、スネアループの近位端により近い一部分)は、ループが管から延ばされるとき、仮想線から外向きに広がってもよく、第1の屈曲部の後の折り曲げられた隅部の第1の部分は、より小さい外向きの広がり、実質的に平行、または内向きの広がりで延びてもよい。ここで、「より大きい外向きの広がり」とは、管の中心長手方向軸から延びる仮想線の方向からより離れるより大きな角度を意味し、「より大きい内向きの広がり」とは、同じ軸から延びる仮想線の方向により向かうより小さい角度を意味する。一例では、第1の屈曲部はループの方向をより大きい内向きの広がりへ変え、第2の屈曲部はループの方向をより大きい外向きの広がりへ変え、第3の屈曲部はループの方向をより大きい内向きの広がりへ変える。
【0009】
一例では、ループが管から延ばされるとき、折り曲げられた隅部のより大きい内向きの広がりの第1の部分が仮想線と実質的に平行である。「実質的に平行」という用語は、正確に平行であることを意味しない。代わりに、「実質的に平行」という用語は、管の中心長手方向軸から延びる仮想線との平行から、プラスまたはマイナスで5度以下の広がりを意味する。代替の例では、第1の部分は、内向きに収束し、つまり、第1の部分から延びる仮想線が、管の中心長手方向軸から延びる仮想線と最終的に合流し、ループの遠位端に向けて両方で延びる。なおも別の例では、折り曲げられた隅部の第1の部分は、外向きに広がるが、折り曲げられた隅部の第1の屈曲部の直前のループの部分ほどは外向きに広がらない。
【0010】
一例では、浮遊するテザー係留部が、浮遊する係留部の内径を通過する制御ワイヤの外径より大きい内径の大きさとされ、そのため、浮遊する係留部は、制御ワイヤに固定されず、管の内部の制御ワイヤに沿って容易に滑る。一例では、テザー係留部の外径は、テザー係留部を包囲する管の内径より大きく、そのため、テザー係留部は、管に対する固定位置で係止される。代替の例では、浮遊するテザー係留部は、テザー係留部を包囲する管の内径より小さい外径を有し、そのため、浮遊するテザー係留部は管の内部で自由に滑るかまたは「浮遊する」。
【0011】
スネアネットを使用する方法が、ループが開くようにスネアループに係合されるネットをルーメンから延ばすステップと、異物またはポリープなどの物体を回収するためにネットおよびループを内視鏡的に位置決めするステップと、ネットおよびループをルーメンへと戻すように少なくとも部分的に引き込み、ループを少なくとも部分的に閉じさせ、ネットにポケットを作り出すステップであって、折り曲げられた隅部の部分は、ループの近位端の近くのネットの一部分と係合し、そのため、ループがルーメンへと引き込まれるときに、ネットは折り曲げられた隅部によってルーメンへと引っ張られる、ステップとを含む。
【0012】
一例では、内視鏡用スネアネット装置は、遠位端および近位端を有する成形されたループであって、ループの遠位端は、ルーメンを最初に出るときに膨張するように成形され、ループの近位端は、ループの遠位端の後にルーメンを出る1つまたは複数の隅部を有する、成形されたループと、ネットと、ループおよびスネアネットが通される導入を受け入れるように構成および配置されるルーメンを有する管とを備える。
【0013】
ルーメンは管の壁によって画定され、ネットは、ループがネットにおける孔を通じて編まれることによってネットが成形されたループにおいて保持されるように、成形されたループに係合され、ネットは、成形されたループの遠位端において係止され、ネットは、成形されたループの近位端において、成形されたループの1つまたは複数の隅部と係合し、1つまたは複数の隅部は、成形されたループおよびネットのルーメンから延びる間、および、成形されたループおよびネットのルーメンへ引き戻す間に、成形されたループにおいてネットが前方に滑らないように保つように成形される。
【0014】
例えば、成形されたループは、例えば鋼、ニチノール、チタン、またはそれらの合金から選択された金属といった、金属などの弾性で柔軟な材料から作られ得る。一例では、鋼のループが使用される。管は、ルーメン内に配置されるカラーを有してもよく、カラーは、管の端部からある距離における位置において管の壁に固定され得る、または、自由に浮遊し得る。任意選択で、テザーが、テザーの第1の端部においてカラーに結合されてもよく、第1の端部の反対のテザーの第2の端部においてネットに結合されてもよい。管は、管の内部にあり、成形されたループに結合される制御ワイヤの周りに配置される自由に浮遊するカラーを有してもよい。テザーは、テザーの第1の端部においてカラーに結合されてもよく、第1の端部の反対のテザーの第2の端部においてネットに結合されてもよい。
【0015】
一例では、テザーの長さは、成形されたループおよびネット引き戻す間に成形されたループの近位端が管に入るとき、テザーがネットと係合してネットを管へと引き込むように選択される。
【0016】
例えば、1つまたは複数の隅部は、折り曲げられてもよく、ループを開くように付勢する任意の屈曲部に加えて、ルーメンから延ばされたときにループを開くように付勢する1つまたは複数の弾性屈曲部を提供してもよい。1つまたは複数の隅部は、閉じる間にスネアネットをループに係止し、ネットは、例えば、ループの遠位端における唯一の取り付けの点だけによってループの遠位端に係止される。1つまたは複数の隅部は、個別のポケットがループの近位端としてネット内に形成され、ループが閉じるときにネットが管へと引っ張られるように、ループの近位端の第1の側における第1の隅部と、第1の側の反対のループの近位端の第2の側における第2の隅部とを少なくとも備えてもよい。1つまたは複数の隅部は、ループがループの任意の他の部分に重なって延びないように、つまり、ループがそれ自体に重なってループ状になることでより小さいループを形成しないように、開かれ得る。
【0017】
例えばループが管から延ばされるときに、1つまたは複数の隅部の各々が管の中心長手方向軸から延びる仮想線から外向きに延びるように配置される、第1の屈曲角度方向における第1の屈曲部と、第1の屈曲角度方向と反対の第2の屈曲角度方向における第2の屈曲部と、第2の屈曲角度方向と反対の第3の屈曲角度方向における第3の屈曲部と、を1つまたは複数の隅部の各々は備えてもよい。第1の屈曲角度方向は、ループの近位端により近いループの隣接部分の角度方向より大きく内向きに広がってもよく、第2の屈曲角度方向は、第1の屈曲角度方向より大きく外向きに広がってもよく、第3の屈曲角度方向は、第2の屈曲角度方向より大きく内向きに広がってもよく、それによって、例えば、外向きに延びる隅部が、第2の屈曲角度方向に沿って延びるループが第3の屈曲角度方向に向けて広がる外向き頂点において形成され、内向きに延びる屈曲部が、第1の屈曲角度方向から延びるループが第2の屈曲角度方向に向けて広がる内向き頂点において形成される。一例では、1つまたは複数の隅部は、ループの一部分において少なくとも1つのジグザグ形状部を形成する。
【0018】
一例では、ループ係留部がループを制御ワイヤに結合し、カラーは、制御ワイヤのワイヤ外径より大きいカラー内径を伴う大きさとされ、ループ係留部は、カラーのカラー内径より大きいループ係留部外径を有し、そのためカラーはループ係留部外径を越えて滑ることができない。
【0019】
一例では、内視鏡用スネアネットを使用する方法が、ループが開くようにネットおよびループをルーメンから延ばすステップと、物体を回収するためにネットおよびループを内視鏡的に位置決めするステップと、ネットおよびループをルーメンへと戻すように少なくとも部分的に引き込み、ループを少なくとも部分的に閉じさせ、ネットにポケットを作り出すステップであって、隅部のうちの1つまたは複数は、ループの近位端の近くのネットの一部分と係合し、そのため、ループがルーメンへと引き込まれるときに、ネットの一部分は1つまたは複数の隅部によってルーメンへと引っ張られる、ステップとを含む。
[特許請求の範囲]
[付記項1]
内視鏡用スネアネット装置であって、
遠位端および近位端を有する成形されたループであって、前記ループの前記遠位端は、ルーメンを最初に出るときに膨張するように成形され、前記ループの前記近位端は、前記ループの前記遠位端の後にルーメンを出る1つまたは複数の隅部を有する、成形されたループと、
ネットと、
前記ループおよびスネアネットが通される導入を受け入れるように構成および配置されるルーメンを有する管であって、
前記ルーメンは前記管の壁によって画定され、前記ネットは、前記ループが前記ネットにおける孔を通じて編まれることによって前記ネットが前記成形されたループにおいて保持されるように、前記成形されたループに係合され、前記ネットは、前記成形されたループの前記遠位端において係止され、前記ネットは、前記成形されたループの前記近位端において、前記成形されたループの前記1つまたは複数の隅部と係合し、前記1つまたは複数の隅部は、前記成形されたループおよび前記ネットの前記ルーメンから延びる間、および、前記成形されたループおよび前記ネットの前記ルーメンへ引き戻す間に、前記成形されたループにおいて前記ネットが前方に滑らないように保つように成形される、管と
を備える内視鏡用スネアネット装置。
[付記項2]
前記成形されたループは弾性で柔軟な材料から作られ得る、付記項1に記載の内視鏡用スネアネット装置。
[付記項3]
前記弾性で柔軟な材料は金属から作られる、付記項2に記載の内視鏡用スネアネット装置。
[付記項4]
前記金属は、鋼、ニチノール、チタン、またはそれらの合金のものである、付記項3に記載の内視鏡用スネアネット装置。
[付記項5]
前記金属は鋼のものである、付記項1に記載の内視鏡用スネアネット装置。
[付記項6]
前記管は、前記ルーメン内に配置されるカラーを有し、前記カラーは、前記管の端部からある距離における位置において前記管の前記壁に固定される、付記項1に記載の内視鏡用スネアネット装置。
[付記項7]
テザーをさらに備え、前記テザーは、前記テザーの第1の端部において前記カラーに結合され、前記第1の端部の反対の前記テザーの第2の端部において前記ネットに結合される、付記項6に記載の内視鏡用スネアネット装置。
[付記項8]
前記管は、前記ルーメン内に配置されるカラーを有し、前記カラーは、前記管の内部で自由に浮遊し、前記ループに結合される制御ワイヤの周りに配置される、付記項1に記載の内視鏡用スネアネット装置。
[付記項9]
テザーをさらに備え、前記テザーは、前記テザーの第1の端部において前記カラーに結合され、前記第1の端部の反対の前記テザーの第2の端部において前記ネットに結合される、付記項8に記載の内視鏡用スネアネット装置。
[付記項10]
前記テザーの長さは、前記成形されたループおよび前記ネットの引き戻す間に前記成形されたループの近位端が前記管に入るとき、前記テザーが前記ネットと係合して前記ネットを前記管へと引き込むように選択される、付記項9に記載の内視鏡用スネアネット装置

[付記項11]
前記1つまたは複数の隅部は、折り曲げられ、前記ループを開くように付勢する任意の屈曲部に加えて、1つまたは複数の弾性屈曲部を提供する、付記項10に記載の内視鏡用スネアネット装置。
[付記項12]
前記1つまたは複数の隅部は、閉じる間に前記ネットを前記ループに係止し、前記ネットは、前記ループの前記遠位端における唯一の取り付けの点だけによって前記ループの前記遠位端に係止される、付記項11に記載の内視鏡用スネアネット装置。
[付記項13]
前記1つまたは複数の隅部は、個別のポケットが前記ループの前記近位端として前記ネット内に形成され、前記ループが閉じるときに前記ネットが前記管へと引っ張られるように、前記ループの前記近位端の第1の側における第1の隅部と、前記第1の側の反対の前記ループの前記近位端の第2の側における第2の隅部とを少なくとも備える、付記項1に記載の内視鏡用スネアネット装置。
[付記項14]
前記1つまたは複数の隅部は、前記ループが前記ループの任意の他の部分に重なって延びないように開かれる、付記項1に記載の内視鏡用スネアネット装置。
[付記項15]
前記ループが前記管から延ばされるときに、前記1つまたは複数の隅部の各々が前記管の中心長手方向軸から延びる仮想線から外向きに延びるように配置される、第1の屈曲角度方向における第1の屈曲部と、前記第1の屈曲角度方向と反対の第2の屈曲角度方向における第2の屈曲部と、前記第2の屈曲角度方向と反対の第3の屈曲角度方向における第3の屈曲部とを前記1つまたは複数の隅部の各々は備える、付記項14に記載の内視鏡用スネアネット装置。
[付記項16]
前記第1の屈曲角度方向は、前記ループの前記近位端により近い前記ループの隣接部分の角度方向より大きく内向きに広がり、前記第2の屈曲角度方向は、前記第1の屈曲角度方向より大きく外向きに広がり、前記第3の屈曲角度方向は、前記第2の屈曲角度方向より大きく内向きに広がり、それによって、外向きに延びる隅部が、前記第2の屈曲角度方向に沿って延びる前記ループが前記第3の屈曲角度方向に向けて広がる外向き頂点において形成され、内向きに延びる屈曲部が、前記第1の屈曲角度方向から延びる前記ループが前記第2の屈曲角度方向に向けて広がる内向き頂点において形成される、付記項15に記載の内視鏡用スネアネット装置。
[付記項17]
前記1つまたは複数の隅部は、前記ループの一部分において少なくとも1つのジグザグ形状部を形成する、付記項16に記載の内視鏡用スネアネット装置。
[付記項18]
前記ループを前記制御ワイヤに結合するループ係留部をさらに備え、前記カラーは、前記制御ワイヤのワイヤ外径より大きいカラー内径を伴う大きさとされ、前記ループ係留部は、前記カラーの前記カラー内径より大きいループ係留部外径を有し、そのため前記カラーは前記ループ係留部外径を越えて滑ることができない、付記項8に記載の内視鏡用スネアネット装置。
[付記項19]
内視鏡用スネアネットであって、
遠位端および近位端を有するループと、
ネットと、
前記ループおよびスネアネットが通される導入を受け入れるように構成および配置されるルーメンを有する管であって、
前記ルーメンは前記管の壁によって画定され、前記ネットは、前記ループが前記ネット
における孔を通じて編まれることによって前記ネットが前記ループにおいて保持されるように、成形された前記ループに係合され、前記ネットは前記ループの前記遠位端において係止され、前記ループの前記遠位端は、ルーメンを最初に出るときに膨張するように成形され、前記ループの前記近位端は、前記ルーメンを越えて延ばされるときに外向きに延び続けるように屈曲部を有する、管と、
ループ係留部と、
自由に浮遊するカラーであって、前記カラーは、前記管の内部で制御ワイヤの周りに配置され、前記カラーは、前記制御ワイヤのワイヤ外径より大きいカラー内径を伴う大きさとされ、前記ループ係留部は前記制御ワイヤを前記ループに結合し、前記ループ係留部は、前記カラーの前記カラー内径より大きいループ係留部外径を有し、そのため前記カラーは前記ループ係留部を越えて滑ることができない、自由に浮遊するカラーと、
前記制御ワイヤに固定されず、前記管に固定されず、前記ネットを前記自由に浮遊するカラーに繋ぎ止めるように、第1の端部において前記カラーに結合され、前記第1の端部の反対の第2の端部において前記ネットに結合されるテザーと
を備える内視鏡用スネアネット。
[付記項20]
付記項1に記載の内視鏡用スネアネット装置を使用する方法であって、
前記ループが開くように前記ネットおよび前記ループを前記ルーメンから延ばすステップと、
物体を回収するために前記ネットおよび前記ループを内視鏡的に位置決めするステップと、
前記ネットおよび前記ループを前記ルーメンへと戻すように少なくとも部分的に引き込み、前記ループを少なくとも部分的に閉じさせ、前記ネットにポケットを作り出すステップであって、前記隅部のうちの1つまたは複数は、前記ループの前記近位端の近くの前記ネットの一部分と係合し、そのため、前記ループが前記ルーメンへと引き込まれるときに、前記ネットの前記一部分は前記1つまたは複数の隅部によって前記ルーメンへと引っ張られる、ステップと
を含む方法。
【0020】
以下の図面は、図示の例であり、さらに、最終的に発行される任意の請求項を制限することはない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】内視鏡用スネアネットの例の図である。
図2図1の例の詳細図(A)である。
図3】内視鏡用スネアネットの別の例の図である。
図4】先の例のいずれかと使用されるときのテザーの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
同じ符号が使用されるとき、これらのラベルは、図面に示された例において同様の部品を参照している。
【0023】
図1は、内視鏡用スネアネット10の例がネット11、ループ12、および管13を備えているのを示している。管13は、ネット11およびループ12を延ばすためと引き込むためとに使用され得るケーブル25が通過するルーメンを備え得る。ループ12は、断面が平坦または円形であり得るワイヤであり得る。ループのワイヤは、ネットにおける開口を通るネットの編みの平面の上方および下方へとネットを通過できる。ネット11はループ12において保持されている。結び目23がネット11をループの遠位端22に取り付けできる。例えば、ループの遠位端22は、ループの遠位端22が管13から延ばされるとき、ループ12を開く付勢力を提供するために折り曲げられてもよい。
【0024】
ケーブル25は、圧着コネクタなどのコネクタ21によってループ12に結合でき、そのため、ケーブルを前方に移動させることでループおよびネットを展開させ、ケーブル25を引き込むことでループおよびネットを閉じ、管13のルーメンへと回収する。ケーブルおよび管は任意の長さLで作られ得る。
【0025】
例えば、テザー16が、テザー16の一端において管13のルーメン内に設けられたカップリング24に結合でき、テザー16の他端は、ネット11および/またはループ12の一部分の周りでループ状になり得る。一例では、テザーの長さは、ループが完全に延ばされたときにルーメンから延びるループの遠位先端からループの近位端までの距離とほとんど同じである。テザーは、ネットおよびループの周りでループ状になることができ、例えば図2の例においてより詳細に示されているように、ネットとループとの両方がルーメンから完全に延びるのを防止する。
【0026】
図1の例は、複数の折り曲げられた隅部30、40を示している。追加の折り曲げられた隅部が追加されてもよい。代替で、例えば、単一の折り曲げられた隅部だけが設けられてもよい。試験では、ループ12がルーメンへと引き込まれるとき、折り曲げられた隅部30、40の対はスネアネット11にポケットを作り出した。図1における詳細Aは、図2の例においてより詳細に示されている。ループの第1の広がり部分37がこの例ではルーメンから延びており、ループ12における屈曲部の後の第2の広がり部分36が、ループの第1の部分より大きく外向きに広がっている。第1の折り曲げられた隅部の屈曲部35が、折り曲げられた隅部の第1の部分34をより小さい外向きの広がりに方向付けさせる。第2の折り曲げられた隅部の屈曲部32が、折り曲げられた隅部の第2の部分33を、他の部分のいずれよりも大きい外向きの広がりに方向付けさせる。第3の屈曲部31は、ループの後に続く部分を、折り曲げられた隅部30の第2の部分33より小さい外向きの広がりに方向付けさせ、これは、遠位端22および結び目23に近づくまで弓状の楕円の形で続いていく。
【0027】
図面では具体的に明確となっていないが、折り曲げられた隅部30、40の一部分の場所および角度は同じではない。折り曲げられた隅部30では、第1の隅部の部分34は実質的に平行であるが、折り曲げられた隅部40では、第1の隅部部分は、より大きく外向きに広がっており、管13のルーメン開口により近い。例えば、折り曲げられた隅部の第1の部分34と折り曲げられた隅部の第2の部分33との間の角度αは、90度より大きくてもよく(もしくは、鈍角であってもよく)、90度より小さくてもよく(もしくは、鋭角であってもよく)、または、実質的に90度であってもよく、ここで、「実質的に90度」とは、ループがルーメンから完全に延ばされるときに、90度にプラスまたはマイナスで5度を意味する。一例では、角度αは、例えば、ネットが折り曲げられた隅部40を越えて滑るのを防止するように選択される。
【0028】
別の例では、テザー115がスネアネット11と結合され得る。例えば、図3は、折り曲げられた隅部を有さないループ112の例を示しており、図4は、先の例のいずれかにおいて使用されるときのテザーの詳細図を示している。テザー115は、テザー115の遠位端118においてネットを通してテザーをループ状にすることでネット11と結合でき、係留部117を通じてテザー115をループ状にすることで、テザー115の近位端119を浮遊するテザー係留部117に結合する。係留部117は、他のいずれの構造にも固定されていないため、浮遊するテザー係留部と称される。係留部は、管にもワイヤ122にも取り付けられていない。代わりに、係留部は、ワイヤ122に沿って自由に滑るかまたは「浮遊」する。この浮遊する係留部の便益の1つは、ネットが過度に展開される場合であってもネットが展開されるときに、テザー115がネット11を引き寄せる必要がないことである。これは、ネットがテザーによって破かれたり解かれたりするのを防止できる。代わりに、テザーは、使用者がネットおよびループを管へと戻すように引き込むまでワイヤ122において浮遊する。次に、係留部117は、連結するカニューレ120の端部などの障害物によって引っ掛けられる可能性がある。代替で、別の折り曲げられたカニューレ121が制御ワイヤ122において折り曲げられてもよく、浮遊するテザー係留部117と係合する障害物として作用してもよい。管のルーメンへと戻すループおよびネットの引き込みの前の引っ掛かりを防止するために、空間が係留部117と任意のこのような障害物との間に設けられてもよい。一例では、連結するカニューレ120がスネアループの端部を越えて延びてもよい。図4に示されているように、連結するカニューレ120は、金属管の折り曲げられた部分とでき、金属管は、例えば、皮下注射針などにおいて使用される材料と同じものであり得る。
【0029】
この詳細な記載は、請求項において提唱されている本発明を当業者が作成して使用できる目的のために、請求項の特徴および要素を含む例を提供している。しかしながら、これらの例は、請求項の範囲を直接的に限定するように意図されていない。代わりに、例は、これらの明細書、特許請求の範囲、および図面において開示されている請求項の特徴および要素を提供し、技術的に知られている方式で変更および組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0030】
10 内視鏡用スネアネット
11 ネット
12 ループ
13 管
22 ループの遠位端
23 結び目
25 ケーブル
30、40 折り曲げられた隅部
32 第2の折り曲げられた隅部の屈曲部
33 折り曲げられた隅部の第2の部分
34 折り曲げられた隅部の第1の部分
35 第1の折り曲げられた隅部の屈曲部
36 第2の広がり部分
37 第1の広がり部分
112 ループ
115 テザー
117 テザー係留部
118 遠位端
119 近位端
120、121 カニューレ
122 制御ワイヤ
L ケーブルおよび管の長さ
α 第1の部分と第2の部分との間の角度
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】