(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030117
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】商品陳列棚の棚板支持構造
(51)【国際特許分類】
A47F 5/00 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
A47F5/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132690
(22)【出願日】2022-08-23
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】大沼 智
(72)【発明者】
【氏名】秋元 純平
【テーマコード(参考)】
3B118
【Fターム(参考)】
3B118BB04
3B118BB13
3B118BB15
(57)【要約】
【課題】ブラケットが係止された係止孔の上方に係止孔が形成されていない場合でも、棚板の跳ね上がりを確実に防止することができるようにした商品陳列棚の棚板支持構造を提供する。
【解決手段】棚板10が前方に移動されている状態において支柱2の前面とそれに対向する棚板10の後端との間に形成される隙間に、棚板10の後方への移動を規制する移動規制部材13を挟入する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に上下複数の係止孔が形成された左右一対の支柱と、前記係止孔に後端部が係止されたブラケットと、該ブラケットに載置された棚板とを備えた商品陳列棚の棚板支持構造であって、
前記棚板を前方に移動させたとき前記ブラケットに対し跳ね上がりが規制されるとともに、後方に移動させたとき前記棚板の跳ね上がりの規制が解除される係止手段を備え、
前記棚板が前方に移動されている状態において前記支柱の前面とそれに対向する前記棚板の後端との間に形成される隙間に、前記棚板の後方への移動を規制する移動規制部材が挟入されることを特徴とする商品陳列棚の棚板支持構造。
【請求項2】
前記移動規制部材は、前記支柱の前面とそれに対向する前記棚板の後端との間の隙間に露呈する前記ブラケットの上端部に係止されることを特徴とする請求項1に記載の商品陳列棚の棚板支持構造。
【請求項3】
前記移動規制部材は、前記ブラケットの外側面に当接または近接可能な上下方向を向く側片と、該側片に左右方向内向きに連設され、前記ブラケットの内側面に当接または近接可能な下向き鉤状の挟持片とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の商品陳列棚の棚板支持構造。
【請求項4】
前記側片の上端部には、前記挟持片の上端より上方に突出する把持部が連設されていることを特徴とする請求項3に記載の商品陳列棚の棚板支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品陳列棚の棚板支持構造に係り、特に棚板の跳ね上がりを防止できるようにした棚板支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア等で使用される商品陳列棚においては、左右の支柱の前面に列設された係止孔に後端部の係止フックを係止させた左右のブラケットにより棚板を支持するようになっているのが一般的であり、上下の係止孔に対しブラケットの係止位置を変更することにより、棚板の高さを変更することができる。
【0003】
このような商品陳列棚においては、ブラケットにより支持された棚板の前端部に下向きの荷重が加わった場合や、棚板に上向きの外力が加わった場合に棚板が跳ね上がり、棚板に陳列した商品がくずれたり落下したりすることがある。
【0004】
このような問題に対処するものとして、例えば特許文献1には、ブラケットが係止されている係止孔(ラック孔)よりも上方の係止孔に押え材の挿入片を嵌合し、押え材の下端により棚板の上面を押さえることにより、棚板の跳ね上がりを防止するようにした棚板の支持構造(棚板の固定装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実願昭50-119414号(実開昭52-33518号)のマイクロフィルム(第1図,第3頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている棚板の支持構造においては、例えば最上段の棚板に在庫商品を保管しておくために支柱の最上部の係止孔にブラケットを係止した場合、ブラケットが係止された係止孔の上方には係止孔がないため、押え材の挿入片をブラケットの上方の係止孔に嵌合することが不可能となり、最上段の棚板の跳ね上がりを防止することができなくなる。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、ブラケットが係止された係止孔の上方に係止孔が形成されていない場合でも、棚板の跳ね上がりを確実に防止することができるようにした商品陳列棚の棚板支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の商品陳列棚の棚板支持構造は、
前面に上下複数の係止孔が形成された左右一対の支柱と、前記係止孔に後端部が係止されたブラケットと、該ブラケットに載置された棚板とを備えた商品陳列棚の棚板支持構造であって、
前記棚板を前方に移動させたとき前記ブラケットに対し跳ね上がりが規制されるとともに、後方に移動させたとき前記棚板の跳ね上がりの規制が解除される係止手段を備え、
前記棚板が前方に移動されている状態において前記支柱の前面とそれに対向する前記棚板の後端との間に形成される隙間に、前記棚板の後方への移動を規制する移動規制部材が挟入されることを特徴としている。
この特徴によれば、移動規制部材によって棚板が後方へ移動するのが防止され、棚板の跳ね上がりの規制が解除されるのが阻止されるので、ブラケットに対し棚板が跳ね上がるのを確実に防止することができる。また、支柱の前面と棚板の後端との間の隙間に移動規制部材を挟入するだけでよいので、ブラケットが係止された係止孔の上方に係止孔が形成されていない場合でも、棚板の跳ね上がりを防止することができる。
【0009】
前記移動規制部材は、前記支柱の前面とそれに対向する前記棚板の後端との間の隙間に露呈する前記ブラケットの上端部に係止されることを特徴としている。
この特徴によれば、固定ねじ等を使用することなく移動規制部材をブラケットに容易に装着することができる。
【0010】
前記移動規制部材は、前記ブラケットの外側面に当接または近接可能な上下方向を向く側片と、該側片に左右方向内向きに連設され、前記ブラケットの内側面に当接または近接可能な下向き鉤状の挟持片とを有することを特徴としている。
この特徴によれば、移動規制部材をブラケットに上方から落とし込み、側片と挟持片とによりブラケットの両側面を左右から挟持することにより、移動規制部材をブラケット着脱可能に安定よく装着することができる。
【0011】
前記側片の上端部には、前記挟持片の上端より上方に突出する把持部が連設されていることを特徴としている。
この特徴によれば、把持部を把持して移動規制部材をブラケットに上方から容易に装着したり、取り外したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の棚板支持構造が適用された商品陳列棚の斜視図である。
【
図2】
図1のA部の棚板支持前の拡大斜視図である。
【
図4】移動規制部材を内側方より見た拡大斜視図である。
【
図5】棚板をブラケットに上方から載置した状態、すなわち跳ね上がりの規制が解除された状態の拡大側面図である。
【
図6】
図5の位置から棚板を僅かに前方に移動させた状態の拡大側面図である。
【
図7】
図6の状態から移動規制部材を装着して棚板の後方への移動を阻止した状態の拡大側面図である。
【
図8】移動規制部材の変形例を内側方より見た拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の商品陳列棚の棚板支持構造を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0014】
実施例に係る商品陳列棚の棚板支持構造につき、
図1から
図7を参照して説明する。
図1は、本発明の棚板支持構造が適用された商品陳列棚を斜め前方から見た斜視図を示すもので、商品陳列棚1は、左右に離間する角管状の金属製の支柱2、2と、両支柱2の下端部前面に後端部が固定された左右一対の脚杆3、3と、両支柱2における上端部と下端部の対向面同士を連結している上部連結杆4及び下部連結杆5と、左右の支柱2、2と上下の連結杆4、5とにより囲まれた枠状空間に嵌め込まれた背板6とを備えている。
【0015】
左右の脚杆3、3の上面には、ベース棚板7が支持されている。左右の支柱2、2の前面に列設された上下方向の多数の係止孔8の複数箇所には、鋼板製のブラケット9の後端部に形成された下向き鉤状の複数の係止フック9a(
図2参照)が係止され、等高をなす左右のブラケット9には、鋼板製の複数段の棚板10が載置されている。
【0016】
図2に示すように、ブラケット9の後部寄りの上端面には、後記する棚板10下面の係止部12cが挿入可能な側面視凹状の複数の切欠き溝(係止手段)11が形成され、各切欠き溝11の前上部には、所要長さの係止突部(係止手段)11aが後向きに庇状に突設されている。なお、切欠き溝11は、棚板10の前後寸法に対応して後記する係止部(係止手段)12cを選択的に挿入しうるように複数形成されている。
【0017】
各段の棚板10の幅寸法は、左右のブラケット9の外側面間の寸法よりも僅かに大とされ、棚板10の両側縁には、下向きの側片10aが連設されている。また、棚板10の後縁にも短寸の下向きの後片10bが連設されている。棚板10の後端部の左右のコーナー部は、平面視L字状に切り欠かれ、切欠部の後端と側端はそれぞれ支柱2の前面と内側面とに対向している。
【0018】
各段の棚板10の左右両側部の後部寄りの下面には、ブラケット9に対し棚板10の跳ね上がりを規制するための跳ね上げ防止板12の水平片12aがスポット溶接等により固定され、跳ね上げ防止板12の下向片12bの側端部には、その上端部を切除することにより、ブラケット9の切欠き溝11に上方から挿入されて係止突部11aの下端に係止可能な係止部12cが形成されている。すなわち、係止状態にあっては係止部12cは係止突部11aにより上方への移動が規制されるようになっている。
【0019】
次に、棚板10の支持構造について説明する。なお、左右のブラケット9に対する棚板10の支持形態は左右対称であるので、以下においては左方のみ説明する。また、各段の棚板10は同じ支持構造であるため、最上段の棚板10の支持構造についてのみ説明する。
【0020】
跳ね上げ防止板12の係止部12cをブラケット9の後部側の切欠き溝11に挿入するようにして棚板10を左右のブラケット9に載置した後(
図5参照。)、棚板10を前方に概ね溝11の前後長だけ移動させると(
図3及び
図6参照。)、係止部12cが係止突部11aの下端に係止されて棚板10の跳ね上がりが規制される。また、この状態において棚板10を後方に移動させると、
図5に示すように、係止部12cが係止突部11aから離脱して棚板10の跳ね上がりの規制が解除される。
【0021】
図6に示される棚板10の跳ね上がりが規制された状態、すなわち棚板10が前方に移動されて係止手段が係止されている状態においては、支柱2の前面とそれに対向する棚板10の後端との間には隙間が形成されるため、その隙間に
図3及び
図7に示すように移動規制部材13を挟入することにより、棚板10の後方への移動を防止することができる。
【0022】
移動規制部材13は、
図4に示すように金属板材を折り曲げて形成されたものであり、ブラケット9の外側面に当接または近接可能な上下方向を向く板状の側片13aと、側片13aの上端部の前後縁に左右方向内向きに連設され、下端部にブラケット9の内側面に当接または近接可能な外向き突部13cを有する前後一対の下向き鉤状の挟持片13b、13bとを備え、移動規制部材13をブラケット9に上方から落とし込むことにより、側片13aと一対の挟持片13b、13bとによりブラケット9の上部の両側面を左右から挟持できるようになっている。側片13aの上端部には、挟持片13bの上端より上方に突出する把持部13eが連設されている。なお、側片13aの下端部の内側面にはブラケット9の外側面に当接または近接する略半球状の内向き突部13dが形成されているが、内向き突部13dを省略して側片13a全体がブラケット9の外側面に当接または近接するようにしてもよい。また、内向き突部13dを省略し、挟持片13bの垂下部分全体がブラケット9の内側面に当接または近接するようにしてもよい。
【0023】
移動規制部材13を、支柱2の前面とそれに対向する棚板10の後端との間の隙間に露呈するブラケット9の上端部(
図6参照。)に上方より嵌合し、側片13aと一対の挟持片13b、13bとによりブラケット9の上部の両側面を挟持すると、後側の挟持片13bの後面13brが支柱2の前面2fに近接または当接するとともに、前側の挟持片13bの上端部前面13bfが支柱2と対向する棚板10の後端10rに近接または当接するようになる。これによって棚板10が後方へ移動するのが防止され、棚板10の跳ね上がりの規制が解除されるのが阻止される。なお、移動規制部材13は、ブラケット9に取り付け固定可能な構造について、側片13aと一対の挟持片13b、13bを有する構造に限られず、例えば前面視下向きU字をなす構造であってもよい。また、移動規制部材13は、支柱2の前面2fと棚板10の後端10rの離間距離を規制保持し、棚板10の後方への移動を防止する構造について、一対の挟持片13b、13bがこれらに当接する構造に限られない。
【0024】
以上説明したように、実施例に係る棚板の支持構造においては、棚板10を前方に移動させてブラケット9に対し棚板10の跳ね上がりが規制されている状態において、支柱2の前面とそれに対向する棚板10の後端との間の隙間に露呈するブラケット9に上方より移動規制部材13を装着するだけで、棚板10の跳ね上がりの規制が解除されるのを阻止することができるので、ブラケット9に対し棚板10が跳ね上がるのを確実に防止することができる。また、支柱2の前面と棚板10の後端との間の隙間に移動規制部材13を挟入するだけでよいので、ブラケット9が係止された最上部の係止孔8の上方に係止孔8が形成されていない場合でも、棚板10を支柱2の最上段に支持してその跳ね上がりを防止することができる。
【0025】
また、移動規制部材13は、上下方向を向く側片13aと、内向きの下向き鉤状の前後一対の挟持片13b、13bとを備え、側片13aと前後の挟持片13bとによりブラケット9の左右両側面を挟持するように係止するだけでよいので、固定ねじ等を使用することなく容易に、かつ安定よくブラケット9に装着することができる。
【0026】
さらに、側片13aの上端部には、挟持片13bの上端より上方に突出する把持部13eが連設されているので、把持部13eを指でつまんで移動規制部材13をブラケット9に上方から容易に装着したり、取り外したりすることができる。
【0027】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内における追加や変更があっても、本発明に含まれる。
【0028】
例えば、前記実施例では、移動規制部材13をブラケット9の両側面を挟持するような形状としているが、
図8に示す形状の移動規制部材14を用いることもできる。すなわち、移動規制部材14を、ブラケット9の外側面に当接可能な上下方向を向く側片14aと、側片14aの上端部の前後縁に左右方向内向きに連設された前後一対の内向片14b、14bと、側片14aの内側面に固着された永久磁石15とからなるものとし、ブラケット9の上端に両内向片14bの下端を当接させつつ、ブラケット9の外側面に永久磁石15を磁着させれば、移動規制部材14をブラケット9に容易に装着することができる。このような移動規制部材14を用いても棚板10の跳ね上がりを確実に防止することができる。なお、後部側の内向片14bの後面にも永久磁石を固定して、移動規制部材14をブラケット9の側面と支柱2の前面との両方に磁着するようにしてもよい。