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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003012
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】センサ装置及びステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/08 20060101AFI20231228BHJP
   H01H 36/00 20060101ALI20231228BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B62D1/08
H01H36/00 J
G01B7/00 101C
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023179969
(22)【出願日】2023-10-19
(62)【分割の表示】P 2022153325の分割
【原出願日】2020-03-03
(31)【優先権主張番号】P 2019057316
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大迫 孟
(72)【発明者】
【氏名】河野 健二
(57)【要約】
【課題】ステアリングホイールのリムに静電容量式センサの電極を設けることなくリムとは異なる部分に設けて、人の手がリムに接触または近接したことを高い精度で検出できるようにすること。
【解決手段】運転者が握った状態で操作するステアリング装置への運転者の手の接触または近接を検出するセンサ装置であって、ステアリング装置は、運転者が握る部分である把持部と把持部とは異なる部分とを有し、センサ装置は、ステアリング装置の把持部とは異なる部分に設けられた、検出するべき運転者の手と容量結合が可能な電極と、電極と電気的に接続され、把持部に運転者の手が接触または近接した際に発生する電極の静電容量の変化を検出する制御部とを含み、静電容量の変化に基づいて運転者の手が把持部に接触または近接したか否かについて判断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が握った状態で操作するステアリング装置への前記運転者の手の接触または近接を検出するセンサ装置であって、
前記ステアリング装置は、前記運転者が握る部分である把持部と前記把持部とは異なる部分とを有し、
前記センサ装置は、
前記ステアリング装置の前記把持部とは異なる部分に設けられた、検出するべき前記運転者の手と容量結合が可能な電極と、
前記電極と電気的に接続され、前記把持部に前記運転者の手が接触または近接した際に発生する前記電極の静電容量の変化を検出する制御部とを含み、
前記静電容量の変化に基づいて前記運転者の手が前記把持部に接触または近接したか否かについて判断することを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記静電容量の変化に基づいて前記運転者の手が前記把持部に接触または近接したか否かについて判断する外部装置と通信することを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記静電容量の変化に基づいて前記運転者の手が前記把持部に接触または近接したか否かについて判断することを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記ステアリング装置は、前記把持部の内側に接続されたスポークを有し、
前記電極は、前記スポーク上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記電極は、前記把持部と対向する前記スポークの縁部に沿って設けられていることを特徴とする請求項4に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記電極は、前記運転者から視て、前記スポークが前記把持部と接続される接続部の領域に沿って設けられていることを特徴とする請求項4に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記電極が、前記運転者から視て、少なくとも前記スポークの上側の縁部と、下側の縁部と、前記スポークが前記把持部と接続される接続部の領域と、に沿って前記把持部側に凸となるU字状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記電極は、1本または複数の導電体により、前記把持部を含む平面方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項9】
前記電極は、前記把持部からの距離に基づいてそれぞれ異なる電気抵抗値を有する複数のフラグメントを有することを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項10】
前記センサ装置は、前記電極からの信号と前記把持部から前記電極までの距離に基づいて設定された閾値とを比較することによって、前記運転者の手の接触または近接の判断を行うことを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項11】
検出領域が前記把持部を含む平面方向に沿って広がっていることを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれかに記載された前記センサ装置を有することを特徴とするステアリング装置。
【請求項13】
前記電極と前記制御部とを有するステアリングホイールセンサとして、前記把持部とは異なる部分に設けられることを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項14】
前記電極が、前記把持部と対向する前記ステアリングホイールセンサの縁部に沿って設けられていることを特徴とする請求項13に記載のセンサ装置。
【請求項15】
前記電極は、前記運転者から視て、前記把持部とは異なる部分が前記把持部と接続される接続部の領域に沿って、前記ステアリングホイールセンサに設けられていることを特徴とする請求項13に記載のセンサ装置。
【請求項16】
前記電極が、前記運転者から視て、少なくとも前記ステアリングホイールセンサの上側の縁部と、前記ステアリングホイールセンサの下側の縁部と、前記ステアリングホイールセンサの前記把持部とは異なる部分が前記把持部と接続される接続部の領域と、に沿って、前記把持部側に凸となるU字状に形成されていることを特徴とする請求項13に記載のセンサ装置。
【請求項17】
前記ステアリングホイールセンサが、前記運転者から視て、前記ステアリング装置の左右両方の領域の前記電極を一体に有していることを特徴とする請求項13に記載のセンサ装置。
【請求項18】
請求項13から請求項17のいずれかに記載された前記センサ装置が、前記ステアリングホイールセンサとして設けられていることを特徴とするステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置及びステアリング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両を運転する際には、人がステアリングホイールを握った状態で操作し、ステアリングホイールを回転させることにより、車両の進行方向を変えることができる。ステアリングホイールはハンドルとも呼ばれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-147531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ステアリングホイールには、人がステアリングホイールを握っているか否かを検出するためのセンサ装置が内蔵されているものがある。具体的には、車両を運転する際に、運転者がステアリングホイールのリムを握っているか否かを検出するための検出電極(例えば静電容量式センサ)が、ステアリングホイールのリムに設けられているものがある。一方、ステアリングホイールのリムは、人の手が接触または近接したときに冷たさを感じないように、内部にヒータを備えることが考えられる。このようにステアリングホイールのリムの内部にヒータを設けようとすると、ヒータの周囲に形成される電磁場や温度変化に伴う検出感度の変化を始めとした外乱の影響を受けてセンサ装置の検出精度が低下する等の問題があった。
【0005】
このため、ステアリングホイールにおいて、人の手が接触または近接したことを高い精度で検出することのできるセンサ装置が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態の一観点によれば、運転者が握った状態で操作するステアリング装置への運転者の手の接触または近接を検出するセンサ装置であって、ステアリング装置は、運転者が握る部分である把持部と把持部とは異なる部分とを有し、センサ装置は、ステアリング装置の把持部とは異なる部分に設けられた、検出するべき運転者の手と容量結合が可能な電極と、電極と電気的に接続され、把持部に運転者の手が接触または近接した際に発生する電極の静電容量の変化を検出する制御部とを含み、静電容量の変化に基づいて運転者の手が把持部に接触または近接したか否かについて判断する。
【発明の効果】
【0007】
開示のセンサ装置によれば、ステアリングホイールのリムに静電容量式センサの電極を設けることなくリムとは異なる部分に設けて、人の手がリムに接触または近接したことを高い精度で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】従来のステアリングホイールの説明図
図2】従来のステアリングホイールにおける静電容量式センサの周囲にヒータを設けた構成の断面図
図3】従来のステアリングホイールにおけるヒータの周囲に静電容量式センサを設けた構成の断面図
図4】本実施の第1の形態におけるステアリングホイールの透過図
図5】本実施の第1の形態におけるステアリングホイールセンサの検出領域の説明図
図6】本実施の第1の形態におけるステアリングホイールセンサの一部分解斜視図
図7】本実施の第1の形態におけるステアリングホイールセンサのブロック図
図8】本実施の第2の形態におけるステアリングホイールセンサの検出領域の説明図
図9】本実施の第2の形態におけるステアリングホイールセンサのブロック図
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0010】
(従来のステアリングホイールの説明)
最初に、従来のステアリングホイールについて、図1図3に基づき説明する。図1に示されるように、一般的に車両に用いられるステアリングホイールは、リム10と呼ばれる環状の部分と、リム10の内側に接続され、不図示の回転軸と接続されるスポーク20と呼ばれる部分とを有している。車両の運転をする際には、通常、人の手がステアリングホイールのリム10を握り、ステアリングホイールを回転させることにより操作される。ところで、昨今の市場では、車両に自動運転機能を導入することが検討されている。ただし、現在、自動運転機能はあくまでも運転の補助機能という位置付けであり、車両に自動運転機能が備えられていたとしても運転者がステアリングホイールから手を離してしまうことは法律で禁止されている。そのことに関連して、自動運転機能付きの車両は、運転者の手がステアリングホイールをすぐに操作できる位置に置かれているか否かを検出および判断する機能を備え、且つ、その判断の結果が否であった場合には運転者に注意喚起を促す機能が備えられていることが好ましいとされている。このため、人の手がステアリングホイールを握っているか否かを検出するための具体的な例として、静電容量式センサ等のセンサをステアリングホイールのリム10の内部に設ける構成が考えられている。
【0011】
ところで、車両は寒い地方において使用される場合がある。その場合、例えば、ステアリングホイールが人の体温と比べて過度に冷えていると、人はステアリングホイールに手が触れた際に冷たさを感じ、長時間触れていられず、車両の運転に支障をきたす場合がある。このため、ステアリングホイールのリム10の内部にヒータを設け、車両を運転する際には、ステアリングホイールのリム10を加熱し温めることが考えられている。このようなヒータとしては、例えば、電熱線等の電流を流すことにより発熱する発熱体が挙げられる。このような発熱体は、発熱体の抵抗成分により発熱をするものであり、ニクロム等の比較的抵抗の高い金属等の材料により形成されている。
【0012】
従って、この場合には、ステアリングホイールのリム10の内部には、ヒータと静電容量式センサ等のセンサの双方が配置される。ステアリングホイールのリム10の内部にヒータを配置する場合、人の手がステアリングホイールのリム10のどこを握るかは、人によって異なるが、人が握ると思われる部分にヒータが設けられていることが好ましい。同様に、静電容量式センサ等のセンサについても、人の手がステアリングホイールのリム10のどこを握るかは、人によって異なるが、人が握ると思われる部分に静電容量式センサ等のセンサが設けられていることが好ましい。
【0013】
このため、ステアリングホイールのリム10の内部に、リムの円周上において同範囲にヒータと静電容量式センサ等のセンサの双方を配置することとなり、一方が他方の内側となる構成になる。具体的に、図2に示す従来のステアリングホイールにおける静電容量式センサの周囲にヒータを設けた構成の断面図と、図3に示す従来のステアリングホイールにおけるヒータの周囲に静電容量式センサを設けた構成の断面図とに基づき説明する。
【0014】
例えば、図2に示されるものは、ステアリングホイールのリム10は、リム10の中心部分を形成している芯金11の周囲に静電容量式センサ30を設け、静電容量式センサ30の周囲にヒータ40を設け、ヒータ40の周囲に表面皮部50を設ける構成である。この場合、静電容量式センサ30は、ステアリングホイールのリム10に人の手が接触または近接した時に静電容量が変化する。そして、静電容量式センサ30と電気的に接続された制御部(不図示)が、その静電容量の変化量を検出して検出信号を生成し、その検出信号と予め設定された閾値とを比較することによって、人の手がリム10に接触または近接したかどうかの判断をする構成となっている。ところが、静電容量式センサ30の近傍に導電性を有する金属製の電気抵抗体からなるヒータ40が存在している。通常、導電性を有する金属は大きな静電容量を有しており、ヒータ40もまた大きな静電容量を有している。そのため、ヒータ40が近傍に配置されたとき、静電容量式センサ30は、静電容量の変化の傾向がヒータ40の影響が無い場合と比較して変化してしまう。そのため、静電容量式センサ30の静電容量の変化に基づいて制御部で生成される検出信号の大きさは、ヒータ40の影響によって変化してしまう。そのため、制御部による判断が正確になされない場合がある。また、温度の変化が起こったとき、静電容量式センサ30において検出される静電容量の値は変化するため、ヒータ40からの熱によって静電容量式センサ30が温まるとき、静電容量式センサ30を用いて制御部が検出する検出信号は加熱前と比較して変化してしまう。このため、その検出信号を元にして制御部が行う判断の結果は不正確になる場合がある。
【0015】
また、図3に示されるものは、ステアリングホイールのリム10の中心部分を形成している芯金11の周囲にヒータ40を設け、ヒータ40の周囲に静電容量式センサ30を設け、静電容量式センサ30の周囲に表面皮部50を設ける構成である。この場合、ヒータ40から発生した熱は、間に挟まれた静電容量式センサ30を介して表面皮部50を暖めることにより人の手に伝わるため、図2に示す構成と比べて、リム10が温まるのに時間を要し、また、ヒータ40において消費する電力も多くなる。
【0016】
更に、図3に示す構成は、図2に示す構成と同様に、静電容量式センサ30の近傍に導電性を有するヒータ40が存在していることによって、静電容量式センサ30を用いて生成される検出信号の大きさが不安定になり、その検出信号を元にして制御部が行う判断の結果が正確ではなくなる場合がある。また更に、図3に示す構成は、図2に示す構成と同様に、ヒータ40からの熱によって静電容量式センサ30が温まると、静電容量式センサ30を用いて生成される検出信号の強度が加熱前と比較して変化するため、その検出信号を元にして制御部が行う判断の結果が正確ではなくなる場合がある。
【0017】
このように、リム10に静電容量式センサ30を設けた構成は、ステアリングホイールに人の手が触れているか否かを正確に判断することができない場合がある。
【0018】
(本実施の第1の形態におけるステアリングホイールセンサ及びステアリングホイール)
次に、本実施の第1の形態におけるステアリングホイールセンサ102(特許請求の範囲に記載の「センサ装置」の一例)及びステアリングホイール100(特許請求の範囲に記載の「ステアリングホイール」の一例)について図4図7に基づき説明する。本実施の第1の形態におけるステアリングホイール100は、図4に示されるように、リム110と、リム110の内側に接続され、不図示の回転軸と接続されているスポーク120、スポーク120上に設けられたステアリングホイールセンサ102とを有している。ステアリングホイールセンサ102は、容量値を有した検出するべき物体(以下、操作体)と容量結合が可能な静電容量式センサ130(特許請求の範囲に記載の「電極」の一例)と、制御部160(特許請求の範囲に記載の「制御部」の一例)とを有している。本実施の第1の形態においては、静電容量式センサ130はリム110の内周面と対向するスポーク120の縁部121a、121b、121cに沿って設けられており、リム110を加熱し温めるためのヒータ140は、リム110に内蔵されている。即ち、静電容量式センサ130とヒータ140とは、ステアリングホイールの異なる部分に設けられている。
【0019】
図7に示されるように、制御部160は、静電容量式センサ130と電気的に接続されている。
【0020】
尚、本実施の第1の形態においては、制御部160は、静電容量式センサ130の静電容量の変化に基づいて検出信号を生成し、更に、その検出信号に対して通信で伝達し易くするためのコード化の処理を行う。また、制御部160は、図7に示す外部装置と通信してその検出信号を伝達する。外部装置は、検出信号と予め設定された閾値とを比較して、運転者の手がステアリングホイールをすぐに操作できる位置に置かれているか否かを判断し、その判断の結果が否であった場合には運転者に注意喚起を促す。
【0021】
尚、運転者の手がステアリングホイールをすぐに操作できる位置に置かれているか否かを判断する動作は、制御部160が担当してもよい。
【0022】
このように、ステアリングホイール100は、静電容量式センサ130がヒータ140から離れて配置されていることによって、静電容量式センサ130の静電容量の変化の傾向は、ヒータ140の静電容量に影響を受ける可能性はほぼ無くなる。また、静電容量式センサ130の静電容量の変化に基づいて制御部160で生成される検出信号は、ヒータ140の静電容量に影響を受ける可能性はほぼ無くなる。また、ヒータ140からの熱が静電容量式センサ130へ伝達される可能性はほぼ無くなるため、制御部160は、ヒータ140による影響を受けることなく正確に人の手がステアリングホイールに接触または近接したか否かを検出することができる。また、ヒータ140は静電容量式センサ130の熱容量に影響を受けることなくリム10を効率よく温めることができる。
【0023】
ところで、制御部160は、静電容量式センサ130の静電容量の変化により人の手を始めとした容量値を有した操作体が接触または近接したか否かを検出することができるが、静電容量式センサ130の静電容量の値は、静電容量式センサ130と検出対象となる操作体との間の距離に依存するため、静電容量式センサ130に操作体が近づくと大きくなり、離れると小さくなる。このことを利用して、静電容量式センサ130からの検出信号の値と比較する閾値を調節または複数の閾値を用いて判断を行うことにより、制御部160は、検出範囲を調節することが可能である。具体的には、制御部160は、図4に示される静電容量式センサ130を構成する部分(130a、130b)のうち、リム110からの距離がもっとも遠い部位を用いた場合であっても、リム110に操作体が近接したことを判断することが可能である。そのため、例えば、図5に示されるリム110とリム110の内周面と対向するスポーク120の縁部121a、121b、121cに沿って設けられた静電容量式センサ130との間、および、リム110の周囲に設定された検出領域150a、150b、150cに操作体が存在していたときはそのことが制御部160で判断される。
【0024】
尚、本実施の第1の形態において、静電容量式センサ130は、ステアリングホイールセンサ102に内蔵されており、ステアリングホイールセンサ102は、図6に示される外観パネル125により運転者側が覆われている。静電容量式センサ130は、一本の線状の導線等の導電体により形成されており、スポーク120の縁部に沿って設けられている。検出領域150a、150b、150cは、図5に示すようにリム110を含む平面方向に沿って広がっている。
【0025】
更に、前述のリム110とスポーク120とは、具体的には、図4に示すように、リム110の内側と、スポーク120との接続部120a、120b、120cにおいて接続されている。スポーク120の接続部120aと接続部120bとの間では、スポーク120とリム110との間に空間が形成されている。また、同様に、スポーク120の接続部120aと接続部120cとの間では、スポーク120とリム110との間に空間が形成されている。また、同様に、スポーク120の接続部120bと接続部120cとの間では、スポーク120とリム110との間に空間が形成されている。
【0026】
ステアリングホイールセンサ102は、リム110と対向するスポーク120の縁部121aに沿って設けられた部分130a(特許請求の範囲に記載の「フラグメント」の一例)を有している。また、リム110と対向するスポーク120の縁部121bに沿って設けられた部分130b(特許請求の範囲に記載の「フラグメント」の一例)を有している。また、リム110と対向するスポーク120の縁部121cに沿って、部分的に設けられた部分130c、130d(特許請求の範囲に記載の「フラグメント」の一例)を有している。また、スポーク120がリム110と接続されている接続部120aに設けられた部分130e(特許請求の範囲に記載の「フラグメント」の一例)と、接続部120bに沿って設けられた部分130f(特許請求の範囲に記載の「フラグメント」の一例)を有している。
【0027】
また、スポーク120がリム110と接続されている接続部120aには、接続部120aに沿って、静電容量式センサ130の部分130e(特許請求の範囲に記載の「フラグメント」の一例)が設けられており、接続部120bには、接続部120bに沿って、静電容量式センサ130の部分130f(特許請求の範囲に記載の「フラグメント」の一例)が設けられており、接続部120cには、接続部120cに沿って、静電容量式センサ130の部分130g(特許請求の範囲に記載の「フラグメント」の一例)が設けられている。
【0028】
図6に示されるように、静電容量式センサ130は、1本の導線等により形成されおり、部分130c、部分130f、部分130a、部分130e、部分130b、部分130g、部分130dの順に形成されている。尚、本実施の第1の形態においては、静電容量式センサ130は2本の導線等により形成されているものであってもよい。例えば、部分130eの一部、部分130a、部分130f、部分130cにより形成されるものと、部分130eの他の一部、部分130b、部分130g、部分130dにより形成されるものとにより形成されていてもよい。
【0029】
つまり、静電容量式センサ130は、縁部(121a、121b)と接続部(120a、120b、120c)とを含んで構成され、スポークの外周に沿って連続的に設けられている。
【0030】
本実施の第1の形態は、運転する人が、主にリム110の下側の部分110a、110bの一部を握って車両を操作することを想定した構成となっている。例えば、リム110の下側の部分110aが人の手により握られた場合には、静電容量式センサ130の部分130aに近づき、検出領域150a内に入るため、人の手を検出することができる。また、リム110の下側の部分110bが人の手により握られた場合には、静電容量式センサ130の部分130bに近づき、検出領域150b内に入るため、人の手を検出することができる。
【0031】
また、人が車両を運転する際には、スポーク120のリム110との接続部やその近傍に手が触れて操作する場合がある。例えば、スポーク120の接続部120aまたはその近傍に人の手が触れている場合には、静電容量式センサ130の部分130eに近づいた人の手は、検出領域150aまたは検出領域150b内に入るため、制御部160によって検出される。または、静電容量式センサ130の部分130eに近づいた人の手は、静電容量式センサ130の部分130aの接続部120a側または静電容量式センサ130の部分130bの接続部120a側に近づき、検出領域150aまたは検出領域150b内に入るため、制御部160によって検出される。
【0032】
また、スポーク120の接続部120bまたはその近傍に人の手が触れている場合には、人の手は静電容量式センサ130の部分130f、部分130c等に近づき、検出領域150c内に入るため、制御部160によって検出される。スポーク120の接続部120cまたはその近傍に人の手が触れている場合には、人の手は静電容量式センサ130の部分130g、部分130d等に近づき、検出領域150d内に入るため、制御部160によって検出される。
【0033】
(本実施の第2の形態におけるステアリングホイールセンサ及びステアリングホイール)
以下に本実施の第2の形態におけるステアリングホイールセンサ及びステアリングホイールを図8図9を用いて説明するが、本実施の第1の形態と同じ構成については同様の番号を付与する。
【0034】
本実施の第2の形態は、車両を運転する人が、主に、図8に示す環状のリム110の上側の部分110cの一部を握って車両を操作することを想定した構成となっている。
【0035】
本実施の第2の形態では、図8に示すように、ステアリングホイール100は、環状のリム110と、リム110の内側に設けられたスポーク120と、スポーク120上に設けられたステアリングホイールセンサ102とを有している。リム110とスポーク120とは接続部120a、120b、120cで接続されている。
【0036】
ステアリングホイールセンサ102は、リム110の内周面と対向するスポーク120の縁部に沿って設けられ、容量値を有した検出するべき物体(以下、操作体)と容量結合が可能な静電容量式センサ130(特許請求の範囲に記載の「電極」の一例)を有している。また、同じように、リム110の内周面と対向するスポーク120の縁部に沿って設けられ、容量値を有した操作体と容量結合が可能な静電容量式センサ131(特許請求の範囲に記載の「電極」の一例)を有している。また、静電容量式センサ130および静電容量式センサ131と電気的に接続された制御部160を有している。
【0037】
静電容量式センサ130は、リム110の内周面と対向するスポーク120の下側の縁部121a、121bに沿って設けられた静電容量式センサ130の部分130a、130b(特許請求の範囲に記載の「フラグメント」の一例)を有している。また、リム110の内周面と対向するスポーク120の上側の縁部121cに沿って、接続部120bの側に設けられた静電容量式センサ130の部分130c(特許請求の範囲に記載の「フラグメント」の一例)と接続部120cの側に設けられた静電容量式センサ130の部分130d(特許請求の範囲に記載の「フラグメント」の一例)とを有している。
【0038】
静電容量式センサ130は、1本の導線により形成されおり、静電容量式センサ130の部分130c、部分130f、部分130a、部分130e、部分130b、部分130g、部分130dの順に形成されている。静電容量式センサ130の各部分は、リム110からの距離に基づいてそれぞれ異なる電気抵抗値を有している。
【0039】
静電容量式センサ131は、リム110の内周面と対向するスポーク120の上側の縁部121cに沿って、静電容量式センサ130の部分130cまたは部分130dの設けられていない箇所に設けられている。
【0040】
尚、本実施の第2の形態においては、静電容量式センサ130および静電容量式センサ131は、スポーク120の縁部に沿って、互いにオーバーラップしないように設けられているが、誤検出が発生しない範囲においては互いにオーバーラップして設けられていてもよい。
【0041】
図9に示すように、静電容量式センサ130と静電容量式センサ131とは、制御部160に並列に接続されている。
【0042】
静電容量式センサ131は、静電容量式センサ130とは異なる電気抵抗値を有している。図8に示されるように、静電容量式センサ131は、スポーク120の上側の縁部121cに沿って接続部120bおよび接続部120cから離れて設けられている。即ち、静電容量式センサ131は、スポーク120の上側の縁部121cの中央付近に沿って設けられる。そのため、スポーク120が一般的な形状(T字型の形状)を有する場合、リム110から静電容量式センサ131までの距離は、リム110から静電容量式センサ130までの距離よりも遠くなる。そのため、静電容量式センサ131を用いた検出の感度は、静電容量式センサ130を用いた電気検出の感度よりも高くなるように設定されることが好ましい。
【0043】
操作体がリム110に接触または近接した時、静電容量式センサ130または静電容量式センサ131は、静電容量が変化する。制御部160は、静電容量式センサ130または静電容量式センサ131の静電容量が変化したときに、その変化を検出して検出信号を生成する。その検出信号に基いて、制御部160または図9に示す外部装置は、リム110に操作体が近接したかどうか判断する。その際、制御部160は、その検出信号とリム110から静電容量式センサ130、131からまでの距離に基づいて設定された閾値とを比較することによって判断を行う。
【0044】
図8に示されるように、リム110の周囲およびリム110と静電容量式センサ130との間の空間には、リム110を含む平面方向に沿って広がって検出領域150a、150b、150cが設定されている。
【0045】
制御部160は、検出領域150aまたは検出領域150bまたは検出領域150cまたは検出領域150dに操作体が存在するとき、それに対応して変化する静電容量式センサ130または静電容量式センサ131の静電容量の変化を検出し、検出信号を生成する。
【0046】
制御部160または図9に示す外部装置は、その検出信号に基いて判断を行う。
【0047】
以上、実施の形態について詳述したが、本願の発明の内容は、特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0048】
本国際出願は、2019年3月25日に出願した日本国特許出願第2019-057316号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0049】
100 ステアリングホイール
102 ステアリングホイールセンサ
110 リム
110a、110b リムの下側の部分
110c リムの上側の部分
120 スポーク
120a、120b、120c 接続部
121a、121b、121c 縁部
125 外観パネル
130、131 静電容量式センサ
130a、130b、130c、130d、130e、130f、130g 静電容量式センサの部分
140 ヒータ
150a、150b、150c、150d 検出領域
160 制御部
図1
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図9