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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030121
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】伝送装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/04 20060101AFI20240229BHJP
   H04L 27/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H04L7/04 200
H04L27/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132694
(22)【出願日】2022-08-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000215202
【氏名又は名称】通研電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】織田 健志
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 範雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真俊
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆
【テーマコード(参考)】
5K047
【Fターム(参考)】
5K047AA12
5K047EE02
5K047EE04
5K047GG56
5K047HH15
5K047KK03
5K047KK15
5K047MM38
5K047MM48
5K047MM53
5K047MM56
(57)【要約】
【課題】伝送路の故障や事故時においても、伝送路の回線切替回路を有せず、かつ高速にシンボルタイミングの補正と従属をほぼ無瞬断で行い、伝送路の切り替えができる伝送装置を提供すること。
【解決手段】本発明の1つの実施形態に係る伝送装置は、送信システムと受信システムとの間を第1伝送路及び第2伝送路により、シンボルデータ系列からなる伝送信号を伝送する伝送装置であって、前記受信システムが、オーバーサンプリング部、同期信号相関器部、前記相関ピークの間隔を相関ピーク間隔としてカウントする計測部、及び、前記相関ピーク間隔と、前回の相関ピーク間隔との差分をモジュロ演算して余り値を演算するモジュロ演算部、を含み、前記余り値を用いて伝送路に切り替えが発生したと判断し、前記第1伝送路と前記第2伝送路のいずれか一方の前記伝送信号のシンボルタイミングと同期をとることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信システムと受信システムとの間を第1伝送路及び第2伝送路により、シンボルデータ系列からなる伝送信号を伝送する伝送装置であって、
送信システムが、情報シンボルデータ系列に、同期コードとなる所定のシンボルデータ系列を先頭に付加したシンボルデータ系列を1フレームとしてサイクリックに送信し、
前記受信システムが、
前記伝送信号をオーバーサンプリングしてオーバーサンプリングデータを出力するオーバーサンプリング部、
前記オーバーサンプリングデータから同期信号を相関ピークとして検出する同期信号相関器部、
前記相関ピークの間隔を相関ピーク間隔としてカウントする計測部、及び、
前記相関ピーク間隔と、前回の相関ピーク間隔との差分をモジュロ演算して余り値を演算するモジュロ演算部、
を含み、前記余り値を用いて前記第1伝送路のシンボルタイミングと前記第2伝送路のシンボルタイミングとの切り替えが発生したと判断し、前記第1伝送路と前記第2伝送路のいずれか一方の前記伝送信号のシンボルタイミングと同期をとることを特徴とする伝送装置。
【請求項2】
前記受信システムが、
前記第1伝送路又は前記第2伝送路のいずれか一方の伝送信号を減衰させる減衰器回路、及び、
前記同期信号相関器部の前段に、自動的に伝送信号のゲインを調整するゲイン調整部
を備えることを特徴とする請求項1に記載の伝送装置。
【請求項3】
前記余り値を予め設定されている閾値と比較することにより、前記第1伝送路のシンボルタイミングと前記第2伝送路のシンボルタイミングとの切り替えが発生したと判断することを特徴とする請求項1に記載の伝送装置。
【請求項4】
前記受信システムが、前記第1伝送路と前記第2伝送路のいずれか一方の前記伝送信号のシンボルタイミングと同期をとるシンボルタイミング補正ブロック部を備え、
前記シンボルタイミング補正ブロック部が、シンボルタイミング用カウンター部を備え、
前記シンボルタイミング用カウンター部が、オーバーサンプリングのタイミング周期でシンボルタイミング用カウンター値にシンボルタイミングカウンター補正値の加算を繰り返してゆき、前記シンボルタイミング用カウンター部がラップアラウンドした時に、前記オーバーサンプリングデータを受信データとして出力することを特徴とする請求項3に記載の伝送装置。
【請求項5】
前記受信システムが、オーバーサンプリングの1サンプリング周期に相当するサンプリング周期値を出力するDPLLブロック部を備え、
前記余り値が前記閾値の範囲外にある場合は、前記DPLLブロック部から出力される前記サンプリング周期値に基づき前記シンボルタイミングカウンター補正値が演算されることを特徴とする請求項4に記載の伝送装置。
【請求項6】
前記DPLLブロック部が相関ピーク位置検出タイミングを検出可能であり、
前記DPLLブロック部から相関ピーク位置検出タイミングの通知があった場合、前記シンボルタイミング補正ブロック部にて予め設定されている位相補正用係数および周波数補正用係数のそれぞれに対する前記サンプリング周期値の乗算を含む演算により、前記補正値を演算し、シンボルタイミング用カウンター部がラップアラウンドするまでオーバーサンプリングのタイミング周期でシンボルタイミングカウンター補正値の加算を繰り返すことを特徴とする請求項5に記載の伝送装置。
【請求項7】
前記受信システムが、前記余り値をシンボルタイミング用カウンター部に適合する余り値変換値に変換するカンター値変換部を備え、
前記余り値が前記閾値の範囲内にある場合は、前記余り値変換値に基づき前記シンボルタイミングカウンター補正値が演算されることを特徴とする請求項4に記載の伝送装置。
【請求項8】
前記DPLLブロック部が相関ピーク位置検出タイミングを検出可能であり、
前記シンボルタイミング補正ブロック部は、
前記余り値変換値に対する、位相補正用係数および周波数補正用係数のそれぞれの乗算を含む演算により、シンボルタイミングカウンター補正値を演算し、
前記DPLLブロック部からの相関ピーク位置検出タイミングの通知があった場合には、位相補正用係数を1とし、周波数補正用係数を0としてシンボルタイミングカンター補正値を演算し、シンボルタイミング用カウンター部の1回目の加算をすることを特徴とする請求項7に記載の伝送装置。
【請求項9】
前記DPLLブロック部からの次のフレームによる相関ピーク位置検出タイミングの通知があるまで、位相補正用係数は0とし、周波数補正用係数は0として、シンボルタイミングカンター補正値を演算し、シンボルタイミング用カウンター部の2回目以降の加算を繰り返していくことを特徴とする請求項8に記載の伝送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
伝送路の信頼度向上のため、モデム信号などの送信信号を分配し、2ルートの伝送路で構成する電力系統保護用伝送方式などにおいて、どちらかの伝送路の信号が断となった場合に、電力系統運用のリアルタイム性の観点から電力系統保護に係る情報が停止となる時間を極力短くすることが求められる。
【0003】
2ルートの構成例の従来の方式として、例えば特許文献1の送信システムを図13に示す。特許文献1の送信システム100では、一つの送信信号のシンボルデータがMOD(Modulation)101に入力され、この送信し号をハイブリッド102で2分配し、それぞれ伝送路接続コネクタ103A、103Bの2ルートの伝送路A及び伝送路Bで構成している。一つの伝送路をAルートと称し、もう片方の伝送路をBルートと称すると、Aルートの伝送路の信号が装置故障や事故等で物理的に断となった場合には早急にBルート側の伝送路の信号で受信モデムを動作させ、情報を極力遮断なく電力系統保護設備に伝える必要がある。これはBルートの伝送路が断となった場合も同様な動作が求められる。
【0004】
このため、AルートからBルートへ、もしくはBルートからAルートへ伝送路を切り替える時間を高速で動作させ、そして伝送路を切り替えた後の受信モデムのシンボルタイミングについても、切り替えた伝送路の受信信号のシンボルタイミングへ高速に引き込み、送受信間でモデムのシンボルタイミングを同期させる必要がある。この切替動作や同期引込みに時間を要すると、電力系統運用のリアルタイム性が失われ、電力系統保護に対する信頼度が低下することになる。
【0005】
図13に示すように、受信システム110では、伝送路A及び伝送路Bを経由した受信信号をそれぞれ伝送路接続コネクタ111A及び111Bにより受信する。両伝送路A,Bの受信信号の強さを、それぞれ信号検出回路112A,112Bで常時監視し、使用している伝送路の信号が断となったことが検出された場合、切替制御回路113により伝送路切替用リレー114を動作させて接点スイッチ115でもう片方の伝送路へ切り替える方式となっている。そして伝送路切り替え以降の受信モデムは、AルートとBルートでは非同期であるので、切替わった後に伝送路側信号のシンボルタイミングと同期させる必要がある。
【0006】
このシンボルタイミングの同期の方法の一例として、特許文献2にはゼロクロス検出法が開示されている。特許文献2のゼロクロス検出法では、DEM(Demodulation)116のロールオフフィルタ等の出力であるベースバンドのシンボル信号をインターポレーションなどでM倍オーバーサンプリングを行なう。そして4PSK(4 phase shift keying)を例にすると、図14のシンボル配置に示すようにシンボル点(0 0)から偏移が発生し、シンボルが、(0 1)、(1 1)、又は(1 0)に移動した場合、シンボル情報の実部もしくは虚部がゼロをクロスするタイミングがあるので、このタイミングを検出したM倍のオーバーサンプリングの点をシンボルタイミングとして適用する方式が主に適用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001-168890号公報
【特許文献2】特開2009-284461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のような受信信号を検出し監視する方式においては、伝送路の瞬間的な受信電力の変動に過度な反応をしないように、信号検出回路の信号断を検出する条件として1秒程度継続することを条件とする時定数を設定しているのが主である。また、切替スイッチとなるリレーは機械的な動作となるため、切替わる挙動時間にも数百msの時間を要することも加わり、この切替わるまでの時間は1秒以上となることで、この経過時間内は電力系統保護に係る情報伝送は停止してしまう。
【0009】
さらに、切替後の受信モデムは、切替わった伝送路の受信信号のシンボルタイミングと同期させ、再度送信シンボルタイミングに従属させる必要がある。これは、伝送路Aと伝送路Bとでは伝送距離の違いや、伝送装置が持つ信号処理など固有の遅延特性により、両者間で伝送遅延時間が異なっているために生じるシンボルタイミングの位相差が要因であるためである。
【0010】
そこで、このシンボルタイミングを生成するための方式として特許文献2に記載されているゼロクロス法を用いることができるが、この方式においては、検出されたシンボルタイミング情報から雑音要素を除去し、真のシンボルタイミングを抽出するため、一次IIR(Infinite impulse response)フィルタによる忘却係数αを用いた平均化が行われる。
【0011】
この平均化は、真のシンボルタイミングが決定されるまで、受信シンボルのサンプル数を多く必要とし、その標本サンプル数取得に必要とする時間は、伝送速度や変調方式によっても異なるものの、例えば音声帯域の伝送速度においては数百msから1秒程度を必要とする場合があり、特に多値QAM(Quadrature Amplitude Modulation)の場合、シンボルの遷移が必ずしもゼロ交差を伴わないので、決定までさらに時間を要する。
【0012】
電力系統保護の運用のために、伝送路切替のリレー回路を除去して伝送路Aと伝送路Bの受信信号を単純合成した伝送方式において、特許文献2のゼロクロス検出法を適用した場合には、前述のように、伝送距離の違いや伝送装置が持つ固有の遅延特性により、両伝送路で伝送遅延時間の違いがあることで、伝送された両伝送路の受信信号には位相差が生じる。このため、受信信号を単純に合成する方式でゼロクロス法を用いた場合には、遅延時間の差によっては伝送路Aの信号のゼロクロス点となるべき点に、遅延差を持つ伝送路Bの信号情報が重畳することがあるので、必ずしもゼロクロス点を検出した点が伝送路Aのシンボルタイミングとはならず、シンボルタイミング精度の劣化が懸念される。
【0013】
このように、伝送路の切替が発生するたびに電力系統保護に係る情報が1秒以上に亘り停止することや、シンボルタイミングの精度劣化に起因するビットエラーが生じ、電力系統保護の運用に対する信頼度の低下が懸念されることになる。
【0014】
そこで、本発明は前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、伝送路の故障や事故時においても、伝送路の回線切替回路を有せず、かつ高速にシンボルタイミングの補正と従属をほぼ無瞬断で行い、伝送路の切り替えができる伝送装置を提供することである。
【0015】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成できる。すなわち、本発明の第1の態様の伝送装置は、送信システムと受信システムとの間を第1伝送路及び第2伝送路により、シンボルデータ系列からなる伝送信号を伝送する伝送装置であって、送信システムが、情報シンボルデータ系列に、同期コードとなる所定のシンボルデータ系列を先頭に付加したシンボルデータ系列を1フレームとしてサイクリックに送信し、前記受信システムが、前記伝送信号をオーバーサンプリングしてオーバーサンプリングデータを出力するオーバーサンプリング部、前記オーバーサンプリングデータから同期信号を相関ピークとして検出する同期信号相関器部、前記相関ピークの間隔を相関ピーク間隔としてカウントする計測部、及び、前記相関ピーク間隔と、前回の相関ピーク間隔との差分をモジュロ演算して余り値を演算するモジュロ演算部、を含み、前記余り値を用いて前記第1伝送路のシンボルタイミングと前記第2伝送路のシンボルタイミングとの切り替えが発生したと判断し、前記第1伝送路と前記第2伝送路のいずれか一方の前記伝送信号のシンボルタイミングと同期をとることを特徴とする。
【0016】
本発明の第2の態様の伝送装置は、第1の態様の伝送装置において、前記受信システムが、前記第1伝送路又は前記第2伝送路のいずれか一方の伝送信号を減衰させる減衰器回路、及び、前記同期信号相関器部の前段に、自動的に伝送信号のゲインを調整するゲイン調整部
を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の第3の態様の伝送装置は、第1の態様の伝送装置において、前記余り値を予め設定されている閾値と比較することにより、前記第1伝送路のシンボルタイミングと前記第2伝送路のシンボルタイミングとの切り替えが発生したと判断することを特徴とする。
【0018】
本発明の第4の態様の伝送装置は、第3の態様の伝送装置において、前記受信システムが、前記第1伝送路と前記第2伝送路のいずれか一方の前記伝送信号のシンボルタイミングと同期をとるシンボルタイミング補正ブロック部を備え、前記シンボルタイミング補正ブロック部が、シンボルタイミング用カウンター部を備え、前記シンボルタイミング用カウンター部が、オーバーサンプリングのタイミング周期で前記シンボルタイミング用カウンター値にシンボルタイミングカウンター補正値の加算を繰り返してゆき、前記シンボルタイミング用カウンター部がラップアラウンドした時に、前記オーバーサンプリングデータを受信データとして出力することを特徴とする。
【0019】
本発明の第5の態様の伝送装置は、第4の態様の伝送装置において、前記受信システムが、オーバーサンプリングの1サンプリング周期に相当するサンプリング周期値を出力するDPLLブロック部を備え、前記余り値が前記閾値の範囲外にある場合は、前記DPLLブロック部から出力される前記サンプリング周期値に基づき前記シンボルタイミングカウンター補正値が演算されることを特徴とする。
【0020】
本発明の第6の態様の伝送装置は、第5の態様の伝送装置において、前記DPLLブロック部が相関ピーク位置検出タイミングを検出可能であり、前記DPLLブロック部から相関ピーク位置検出タイミングの通知があった場合、前記シンボルタイミング補正ブロック部にて予め設定されている位相補正用係数および周波数補正用係数のそれぞれに対する前記サンプリング周期値の乗算を含む演算により、前記補正値を演算し、シンボルタイミング用カウンター部がラップアラウンドするまでオーバーサンプリングのタイミング周期でシンボルタイミングカウンター補正値の加算を繰り返すことを特徴とする。
【0021】
本発明の第7の態様の伝送装置は、第4の態様の伝送装置において、前記受信システムが、前記余り値をシンボルタイミング用カウンター部に適合する余り値変換値に変換するカンター値変換部を備え、前記余り値が前記閾値の範囲内にある場合は、前記余り値変換値に基づき前記シンボルタイミングカウンター補正値が演算されることを特徴とする。
【0022】
本発明の第8の態様の伝送装置は、第7の態様の伝送装置において、前記DPLLブロック部が相関ピーク位置検出タイミングを検出可能であり、前記シンボルタイミング補正ブロック部は、前記余り値変換値に対する、位相補正用係数および周波数補正用係数のそれぞれの乗算を含む演算により、シンボルタイミングカウンター補正値を演算し、前記DPLLブロック部からの相関ピーク位置検出タイミングの通知があった場合には、位相補正用係数を1とし、周波数補正用係数を0としてシンボルタイミングカンター補正値を演算し、シンボルタイミング用カウンター部の1回目の加算をすることを特徴とする。
【0023】
本発明の第9の態様の伝送装置は、第8の態様の伝送装置において、前記DPLLブロック部からの相関ピーク位置検出タイミングの通知がなかった場合には、位相補正用係数は0とし、周波数補正用係数は0として、シンボルタイミングカンター補正値を演算し、シンボルタイミング用カウンター部の2回目以降の加算を繰り返していくことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の第1の態様の伝送装置によれば、伝送路の故障や事故時においても、伝送路の回線切替回路を有せず、かつ高速にシンボルタイミングの補正と従属をほぼ無瞬断で行い、伝送路を切り替えることができる。また、第1伝送路もしくは第2伝送路のどちらかの伝送路の信号が断となったことを判定する信号検出回路と伝送路を切り替えるための機械的可動部となるリレー回路が不要である。さらに、シンボルタイミングが従属されている伝送路の信号が断となり消失した場合、第1伝送路と第2伝送路との伝送遅延時間から生じるシンボルタイミングの位相差を、所定の同期信号、例えば既知情報としてサイクリックに伝送されている同期信号から得られる相関値から、余り値となる情報をモジュロ演算により算出することで、伝送路の故障や事故における回線切り替え時のシンボルタイミングの補正と従属を、ゼロクロス法を用いることなく、およそ1フレーム周期の時間内で行うことが可能なモデム方式を提供することができる。
【0025】
本発明の第2の態様の伝送装置によれば、第1伝送路と第2伝送路のいずれか一方の伝送路の伝送信号がアッテネータ22により減衰されている場合においては、ゲイン調整部において自動的に伝送信号のゲインが調整されているため、他方の伝送路の伝送信号の信号要素が支配的になり、一方の伝送路の伝送信号の信号要素は雑音要素として作用することになる。この状態で、一方の伝送路における故障や事故により一方の伝送路の伝送信号が喪失された場合には、ゲイン調整部において自動的に他方の伝送路の伝送信号のゲインが調整されるため、いずれの伝送路の伝送信号を受信しているときにも同一レベルの信号として扱うことができる。
【0026】
また、特に限定されるものではないが、受信システムでは、例えば第1伝送路と第2伝送路の伝送信号を合成する信号合成用ハイブリッド回路を用いることにより、伝送路切替用スイッチや回線異常を検出する検出回路が不要となる。また、送信システムでは、例えば送信信号を分配するハイブリッド回路を実装することで、第1伝送路と第2伝送路に伝送ルートを分配し、2ルートで伝送路を構成することができる。
【0027】
本発明の第3の態様の伝送装置によれば、余り値を予め設定されている閾値と比較することにより、一方の伝送路の回線遮断、もしくは回線遮断からの復旧等の発生により、シンボルタイミングが変動したと判断し、新たなシンボルタイミング点へ移行するための補正が即座に行われ、切替わった伝送路での同期追従を最短で行なうことができる。また、閾値の範囲外である場合、例えば3サンプリングまでは通常の回線状態での揺らぎによるサンプリング数の誤差であると判断させれば、不必要な補正は行われず、安定した同期の追従が可能となる。
【0028】
本発明の第4の態様の伝送装置によれば、シンボルタイミング用カウンター部がラップアラウンドした時に、オーバーサンプリングデータを受信データとして出力することにより、送信システムからサイクリックに送信される、情報シンボルデータ系列に、同期コードとなる所定のシンボルデータ系列を先頭に付加したシンボルデータ系列を1フレームとした伝送信号と同期をとることできる。これにより、シンボルタイミング用カウンター部にてシンボルタイミングカウンター補正値の加算を繰り返していくというシンプルな構成により、確実に伝送信号との同期を行うことができる。
【0029】
本発明の第5態様の伝送装置によれば、余り値が閾値の範囲外にある場合は、同一の伝送路での伝送信号の受信が続いているものと判断し、シンボルタイミング用カウンター部にてシンボルタイミングカウンター補正値の加算を繰り返していくことで、同一の伝送路との同期を確保することができる。そして、DPLLブロック部としては、伝送装置に通常備えられている既存DPLL(Digital Phase Lock Loop)ブロック部の機能を利用して、余り値が閾値の範囲外にある場合は、例えば3サンプリングまでは、通常の回線状態での揺らぎによるサンプリング数の誤差であると判断させることで、不必要な補正は行われず既存DPLLブロック部40からの出力のみでシンボルタイミング点の補正が行われることで、安定した同期の追従が可能となる。
【0030】
本発明の第6態様の伝送装置によれば、同一の伝送路での伝送信号の受信が続いている場合には、シンボルタイミング補正ブロック部にて予め設定されている位相補正用係数および周波数補正用係数のそれぞれに対するサンプリング周期値の乗算を含む演算により、適切にシンボルタイミングカウンター補正値を演算することができ、これにより、同一の伝送路での伝送信号との同期を継続することができる。
【0031】
本発明の第7態様の伝送装置によれば、余り値が閾値の範囲内にある場合は、一方の伝送路の回線遮断、もしくは回線遮断からの復旧等の発生により、シンボルタイミングが変動したと判断し、余り値変換値に基づきシンボルタイミングカウンター補正値を演算することにより、変更された伝送路のシンボルタイミングと同期をとることができる。これにより、伝送路の故障や事故における伝送路の切り替え時が生じた場合、あるいは、回線遮断からの復旧が発生した場合などには、速やかにシンボルタイミングの補正と従属が可能となり、およそ1フレーム周期の時間内で伝送路を切り替えて伝送信号の伝送を行うことができる。
【0032】
本発明の第8態様の伝送装置によれば、伝送路の故障や事故における伝送路の切り替え時が生じた場合、あるいは、回線遮断からの復旧が発生した場合などには、初回となる補正値更新通知のタイミングのみ、位相補正係数を1に設定することで、余り値による第1伝送路と第2伝送路とのシンボルタイミンの位相差をシンボルタイミング用カウンター部のカウント値に直接反映されることができるため、瞬時に変更された伝送路のシンボルタイミングへ移行させることができる。
【0033】
本発明の第9態様の伝送装置によれば、伝送路の故障や事故における伝送路の切り替え時が生じた場合、あるいは、回線遮断からの復旧が発生した場合などには、初回となる補正値更新通知のタイミングのみ、位相補正係数を1に設定することで、余り値による第1伝送路と第2伝送路とのシンボルタイミンの位相差をシンボルタイミング用カウンター部のカウント値に直接反映されるが、2回目以降は、位相補正用係数は0とし、周波数補正用係数は0として、シンボルタイミングカンター補正値が演算され、シンボルタイミング用カウンター部がラップアランドしたタイミングで、変更後の伝送路のシンボルタイミングと同期して伝送信号の伝送ができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】伝送装置のブロック図である。
図2】シンボルデータの模式図である。
図3】オーバーサンプカウント値毎の相関値のグラフである。
図4】相関ピーク位置検出部・ピーク間カウンター値計測部による計算の説明図である。
図5A】受信システムにおけるオーバーサンプリングデータからシンボルデータを抽出する第1フローチャートである。
図5B】受信システムにおけるオーバーサンプリングデータからシンボルデータを抽出する第2フローチャートである。
図6】シンボルタイミング補正ブロック部のブロック図である。
図7】ナイキスト間隔の説明図である。
図8】伝送路Aから伝送路Bへ切り替わる際の相関値の説明図である。
図9】伝送路切り替えにかかるシンボルタイミングカウント値の説明図である。
図10】伝送路Aから伝送路Bへ切り替わる際のカウント値の説明図である。
図11】伝送路切り替えと余り値との関係を示す説明図である。
図12】サンプリング誤差に対する平均二乗誤差の特性図である。
図13】従来の2ルート送信システムのブロック図である。
図14】従来のゼロクロス検出法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る伝送装置を説明する。但し、以下に示す実施形態は本発明の技術思想を具体化するための伝送装置を例示するものであって、本発明をこれらに特定するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
【0036】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る伝送装置について、図1図11を参照して説明する。図1は伝送装置のブロック図であり、図2はシンボルデータの模式図である。送信システム10のMOD(Modulation)11へ入力されるシンボルデータは、図2に示すようにフレーム50の先頭に既知情報となる同期信号51が配置され、その同期信号51の後尾には情報信号52が付加されたフレーム構成で、サイクリックに伝送される。
【0037】
この信号はMOD11により位相変調となるPSK(Phase shift keying)方式や、位相振幅変調となるQAM(Quadrature Amplitude Modulation)方式などにより変調が行われ出力される。この変調信号はハイブリッド分配器12により、伝送路A向けの伝送信号と、伝送路B向けの伝送信号に分配され、伝送路接続コネクタ13Aを介して伝送路Aから、又は、伝送路接続コネクタ13Bを介して伝送路Bからそれぞれ送信される。
【0038】
受信システム20では、伝送路Aおよび伝送路Bと伝送路接続コネクタ21A,21Bを介してハイブリッド合成器23に入力される。この時、一方の伝送路、特に限定されるものではないが、図1の例では伝送路Bに、受信信号をスルーもしくは減衰させるアッテネータ22が挿入される。このアッテネータ22の減衰量は特に限定されるものではないが0~20dBの任意の値が設定される。
【0039】
合成された受信信号はDEM(Demodulator)24により復調され、ロールオフフィルタを介してベースバンド信号r(t)がDEM24から出力される。ベースバンド信号r(t)は、M倍サンプリング部30において、インターポレーションによりM倍(例えば32倍)にオーバーサンプリングされ、信号ro(t)が得られる。同期フレーム相関器部32及びその前段に配置したAGC(Auto Gain Control)部31により、信号ro(t)と同期信号51との相関値cd(t)を取得する。AGC部31を同期フレーム相関器部32の入力側に配置することにより、同期フレーム相関器部32の出力値は正規化されるので、両伝送路に受信電力の差が生じていても正規化した相関値が得られるので、相関ピーク位置検出部・ピーク間カウンター値計測部33では、使用している伝送路に関わらず同一値として認識することが可能となる。
【0040】
図3は、オーバーサンプカウント値毎の相関値のグラフである。同期フレーム相関器部32には、自己相関器もしくは相互相関器が用いられ、M倍(例えば32倍)のオーバーサンプリング時間で1サンプリングのタイミング周期ごとに、図3で示すような相関値cd(t)が逐次出力される。cd(t)のシンボル系列の信号は、伝送路Aと伝送路Bの両伝送路から信号が受信されており、伝送路Bの信号がアッテネータ22により減衰されている場合においては、cd(t)の信号の要素として受信電力の大きい伝送路Aの受信電力に対してAGC部31のゲイン調整がなされるため、伝送路Aの信号要素が支配的になり、伝送路Bの信号要素は雑音要素として作用することになる。
【0041】
そこでcd(t)のシンボル系列において、伝送路Aから受信される同期信号フレームを構成する全てのシンボルが、同期フレーム相関器部32のタップ全てに入力されたタイミングで図3のPiに示すように、最大値が1フレームごとにサイクリックで表れる。そして、cd(t)は、相関ピーク位置検出部・ピーク間カウンター値計測部33と、既存DPLLブロック部40とに分配される。既存DPLLブロック部40は、受信システム20において、伝送フレームに挿入した同期フレームとの相関値を用いてシンボルタイミングを検出する4PSK等の同期方式モデムに通常搭載されているブロックであり、後述のように、補正値rc、及び、相関ピーク位置検出タイミングを検出する機能を有している。
【0042】
図4は、相関ピーク位置検出部・ピーク間カウンター値計測部33による計算の説明図である。相関ピーク位置検出部・ピーク間カウンター値計測部33は、図4に示すように、前回検出した最大相関値P1のタイミングt2からM倍オーバーサンプリングによるカウンターをスタートさせ、今回検出した最大相関値P2のタイミングt3でカウンターを停止して、停止したタイミング点t3までカウントした値(t2~t3)を今回カウンター値M1として取得する。なお、このカウンターの動作は、最大相関値(P0,P1,P2)が検出されるごとに、相関ピーク位置検出部・ピーク間カウンター値計測部33での処理が繰り返し行なわれる。
【0043】
図5Aは、受信システム20におけるオーバーサンプリングデータro(t)からシンボルデータを抽出する第1フローチャートであり、図5Bは、受信システム20におけるオーバーサンプリングデータro(t)からシンボルデータを抽出する第2フローチャートである。
【0044】
S1において、同期フレーム相関器部32により相関値が計算されcd(t)として出力されると、S2及びS4にそれぞれ進む。S2において、既存DPLLブロック部にて相関ピーク位置が検出され、次に、S3において、相関ピーク位置が検出されたことが、シンボルタイミング補正ブロック部43に補正値更新通知として通知される。
【0045】
一方、S4において、相関ピーク位置検出部・ピーク間カウンター値計測部33にて、相関ピーク位置(P2)が検出されると共に、1フレーム検出点間(M1)カウンター値pcが算出される。S6において、前回カウンター値記憶部35が今回カウンター値(M1)を前回カウンター値M0として記憶する。S5において、カウンター値差分算出部34が前回カウンター値記憶部35が記憶している前回カウンター(M0)と、今回ピーク検出点のカウンター値(M1)の差分の絶対値|sd|を算出する次に、S7において、モジュロM演算部36にて、|sd|に対してM(オーバーサンプリング値、例えばM=32)によるモジュロ演算によって、余り値reを算出する。
【0046】
この余り値reは、伝送路Aと伝送路Bとのシンボルタイミンの位相差がオーバーサンプリング数M(例えば32倍オーバーサンプリングの場合においては、0~31の間)を周期とするサンプリング数の中に必ず存在するので、その位相差はサンプリング数の余りとして必ず表れる。
【0047】
S8において、余り値reが閾値検出部37に入力され、当該閾値検出部37ではreが設定されている「閾値kの値より大きく」、なおかつ「閾値M-kより小さい」かの算出がなされ、これにより伝送路A,Bの切替わりによるシンボルタイミング偏移の発生の有無が判定される。この閾値検出により、reが閾値の範囲外の場合は、すなわち、S8においてNOの場合は、検出動作情報はディーセーブルとなり、一方、範囲内の場合、すなわち、S8においてYESの場合には、検出動作情報はイネーブルとなる。この情報は補正値選択部42、シンボルタイミング補正ブロック部43、及び他の受信ブロック38で必要とされるブロック(S10)へと通知される。
【0048】
補正値選択部42にて、検出動作情報がディーセーブルの場合、すなわち、ステップ8でNOの場合、S9に進み、補正値選択部42にて、既存DPLLブロック部40から出力されたシンボルタイミングカウンター補正値rcが選択されて保持され、図5BのBのフローチャートのステップB1に進む。
【0049】
一方、検出動作情報がイネーブルの場合、すなわち、S8においてYESの場合、S10及びS11へ進む。S10では、検出動作情報が他の受信ブロック38で必要とされるブロックへ通知される。S11では、reはシンボルタイミング補正ブロック部43で必要とされる値rgへ変換するため、係数kcと符号反転(-)の乗算、すなわち、(1)式の演算が、カウンター値変換部41にて行われ、rgが演算される。
rg=-re×kc (1)
【0050】
次にS12において、補正値選択部42にて、シンボルタイミングカウンター補正値としてrgが選択されて保持され、図5BのAのフローチャートのステップA1に進む。
【0051】
図6は、シンボルタイミング補正ブロック部43のブロック図である。検出動作情報がイネーブルとなりrgが選択された場合、シンボルタイミング補正ブロック部43における演算が図6のように実行される。シンボルタイミング補正ブロック部43には、位相補正係数設定部61、周波数補正係数設定部63、基準カウンター加算値部70、シンボルタイミング用カウンター部73、エッジ検出部74、遅延器66、乗算器62,64、及び、加算器65,71,72等が含まれている。
【0052】
ステップA1において、すなわち、検出動作情報がイネーブルの場合(閾値検出部37からル―ト切替わりの検出動作情報の通知があった場合)において、既存DPLLブロック部40からの相関ピーク位置検出のタイミング通知(補正値更新通)の有無が判定されて、補正値更新通知が検出され場合には「YES」と判断され、ステップA3に進み、位相補正係数設定部61ではkpp=1に、周波数補正係数設定部63ではkpf=0に設定された後、ステップA4に進む。一方、補正値更新通がなかった場合には、「NO」と判断され、ステップA2に進み、位相補正係数設定部61ではkpp=0に、周波数補正係数設定部63ではkpf=0に設定されて、ステップA4に進む。
【0053】
ステップA4では、位相補正量となるカウンター値cpと、周波数補正量となるカウンター値cfを(2)式、及び、(3)式により算出する。
cp=rg×kpp (2)
cf=rg×kpf (3)
【0054】
次いで、ステップA5では、更新後シンボルタイミング用カウンター値ccを(4)式を用いて、再設定する。
cc=rcr+cp+[cf+cf(z-1)+cc(z-1)] (4)
ここで、rcrはM倍オーバーサンプリングの1サンプリング時間と等価となる基準設定カウンター値、cf(z-1)は、前回の周波数補正量、cc(z-1)は、前回の加算後のシンボルタイミング用カウンター値である。ただし、初期化時においてcc(z-1)=0に設定される。
【0055】
次にステップA6では、再設定されたシンボルタイミング用カウンター値ccがラップアラウンド(カウンターが処理可能な範囲の最後に達した後に、初期値0に戻る動作)となるか否かの判定が、シンボルタイミング用カウンター部73で行われる。ここで、シンボルタイミング用カウンター部73でラップアラウンドされるカウント値は、基準設定カウンター値rcr、オーバーサンプリング値Mとしたとき、(5)式で定義される。
rcr×M=(1つのシンボルの時間幅) (5)
【0056】
そして、ラップアラウンドでなければ、すなわち、ステップ6において「NO」の場合には、現在のccをcc(z-1)として記憶させ、ステップA1に戻り、既存DPLL回路からの通知の有無の判定がなされる。
【0057】
この時、次のフレームの同期シンボル系列(同期信号51)で相関ピーク値が検出されるまでは、既存DPLLブロックからの補正値更新通知がないので、2周目の加算以降はステップA1において「NO」と判断され、ステップA2に進み、位相補正係数設定部61ではkpp=0に、周波数補正係数設定部63ではkpf=0に設定される。この場合、(4)式によりカウント値が繰り返しM倍オーバーサンプリングのタイミング周期で加算されて行く。つまり、初回となる補正値更新通知のタイミングのみ、ステップA3において位相補正係数kpp=1に設定することで、余り値reによる伝送路Aと伝送路Bとのシンボルタイミンの位相差をカウンターのカウント値に直接反映されることが出来、瞬時に伝送路Bのシンボルタイミングへ移行させることができる。
【0058】
この結果、ステップA8において、図6に示すシンボルタイミング用カウンター部73がラップアラウンドしたタイミング時に、エッジ検出部74で抽出タイミングtが得られる。このタイミングtは、シンボルデータセレクト部45において伝送路BからのDEM出力信号を図7の例に示すようにオーバーサンプリングとなったデータro(t)の中から、隣接シンボルとシンボル間干渉とならない(隣接シンボルの正規化応答値がゼロになる点)ナイキスト間隔(ナイキスト第一基準)となり、これにより送信シンボルタイミングと同期したシンボルデータrd(t)が抽出される。
【0059】
以降は、伝送路Aの回線が復旧されるまでは、閾値検出部37からの検出動作情報はディーセーブルのまま、すなわち、図5AのS8において「NO」となるので、補正値選択部42では既存DPLLブロック部40からのシンボルタイミングカウンター補正値rcが選択され保持され、図5BのBフローに進む。
【0060】
ステップB1において、すなわち、検出動作情報がディーセーブルの場合(閾値検出部37からル―ト切替わりの検出動作情報の通知がなかった場合)において、位相補正係数設定部61では、既存DPLLブロック部40からの相関ピーク位置検出のタイミング通知(補正値更新通)の有無が判定され、補正値更新通があった場合には、「YES」と判断され、ステップB2へ進む。一方、ステップB1で「NO」と判断された場合には、そのままステップB4へ進む。
【0061】
ステップB2では、予め実験等で得られた最適係数ptとftを用いて、位相補正係数設定部61ではkppとしてptが設定され、周波数補正係数設定部63ではkpfとしてftが設定される。次にステップB3に進み、ステップB2で設定されたkppとkptから、(6)式及び(7)式によって、位相補正量cpと周波数補正量cfを算出する。
cp=rc×kpp (6)
cf=rc×kpf (7)
【0062】
ステップB4では、(4)式によりccが算出される。ステップB5では、カウンターが再設定されたシンボルタイミング用カウンター値ccに対して、ラップアラウンドしたか否か判断され、YESの場合にはステップB7へ進み、NOの場合にはステップB6へ進む。ステップB6では、現在のccをcc(z-1)として記憶し、ステップB1へ戻る。
【0063】
この時、次のフレームの同期シンボル系列(同期信号51)で相関ピーク値が検出されるまでは、既存DPLLブロックからの補正値更新通知がないので、2周目の加算以降はステップB1において「NO」と判断され、そのままステップB4に進み、これにより、最初に設定されたシンボルタイミング用カウンター値ccでカウンターがラップアラウンドするまで、(4)式によりカウント値をM倍オーバーサンプリングのタイミング周期で繰り返し加算して行く。
【0064】
そして、ステップB5においてYESのとき、すなわに、図6に示すシンボルタイミング用カウンター部73がラップアラウンドしたタイミング時に、エッジ検出部74で抽出タイミングtが得られ、シンボルデータセレクト部45では伝送路Bに同期されたシンボルタイミングで、オーバーサンプリングとなったデータro(t)の中から、シンボルデータrd(t)が抽出される。
【0065】
以降、伝送路Aの回線が復旧されるまでは、閾値検出部37からの検出動作情報はディーセーブルのまま、すなわち、図5AのS8において「NO」となるので、補正値選択部42では既存DPLLブロック部40からのシンボルタイミングカウンター補正値rcが選択され保持され、図5BのBフローに進むフローが繰り返され、伝送路Bに同期してシンボルデータが受信される。
【0066】
伝送路Aの回路が復旧されると、伝送路Bの信号はアッテネータ22により減衰されているため、cd(t)の信号の要素として受信電力の大きい伝送路Aの受信電力に対してAGC部31のゲイン調整がなされるため、伝送路Aの信号要素が支配的になり、伝送路Bの信号要素は雑音要素として作用することになる。このため、これまで伝送路Bに同期していたシンボルタイミングにおいて伝送路Bの信号による相関値のピークが検出されていたが、今度は、伝送路Aの信号による相関値のピークが検出されることとなる。
【0067】
この場合、図5AのS8において、余り値reが閾値検出部37に入力され、当該閾値検出部37ではreが設定されている「閾値kの値より大きく」、なおかつ「閾値M-kより小さい」かの算出がなされ、これにより伝送路A,Bの切替わりによるシンボルタイミング偏移の発生の有無が判定される。ここでは、伝送路Bから伝送路Aへの遷移が行われているため、S8の閾値判定においてYES、すなわち検出動作情報がイネーブルとなり、上述の伝送路Aから伝送路Bへのシンボルタイミングの切替と同様にして、これまで伝送路Bに同期していたシンボルタイミングが、伝送路Aに同期したシンボルタイミングに切り替わる。
【0068】
図8は、伝送路Aから伝送路Bへ切り替わる際の相関値の説明図である。図8では、伝送路Aの信号がPAoffにおいて消失し、その後、伝送路Bからの信号が受信される。伝送路Aの信号による相関値のピークPAiがフレーム周期で出力されている状態から、PAoffにおいて伝送路Aが受信断となり、その後、伝送路Bの信号による相関値のピークPBiが検出される。
【0069】
伝送路Aからの受信信号が断となった場合、伝送路Aによる相関のピーク値(PAi)は得られなくなるので、相関器に内蔵されたAGC部31では伝送路Bの受信レベルに対応したAGC部31のゲインが調整され、その後伝送路Bの信号で同期フレームの探索が行われ、同期フレームシンボル系列が受信されると、相関値のピーク値(PBi)が得られる。
【0070】
図9は、伝送路切り替えにかかるシンボルタイミングカウント値の説明図である。特に限定されるものではないが、例えば図9の例では、伝送路AがPAoffにおいて受信断となり、伝送路Bの信号で同期シンボル系列による相関値のピーク(PBi)が得られるまでのおよその最大自走区間は、シンボルタイミングでの計測においては、177シンボル程度(1200symbol/sとして換算すると、約178ms)で同期の引き込みが完了できている。
【0071】
図10は、伝送路Aから伝送路Bへ切り替わる際のカウント値の説明図である。伝送路Aによる相関値のピーク(PA1)でカウントが開始された後、PAoffにおいて伝送路Aの受信信号が断となるので、伝送路Bの信号による相関値のピークが得られるまでカウント(MA1)が継続され、相関値のピーク(PB1)が検出されたタイミングでカウンターがストップされる。そのカウント値をオーバーサンプリング値Mで除算した余り値が計算結果として算出される。以降は、新たに伝送路Bの信号による相関値のピークのタイミングでカウンター値が計測され、伝送路Bの信号によるシンボルタイミングに同期したシンボルデータが抽出される。
【0072】
図11は、伝送路切り替えと余り値との関係を示す説明図であり、32倍オーバーサンプリングとした場合の補正タイミングにおけるオーバーサンプリング数(M=32)で除算した余り値の時間特性を示している。伝送路Aにより信号が受信されている状態(m1)においての余り値は-1(余り値が31と同等)から1の範囲内に分布しており、微小な補正値の偏移でシンボルタイミングが同期してシンボルデータが抽出される。
【0073】
しかしながら、伝送路Aの受信信号が断となった最初の相関値のピーク(m2)は、伝送路Bの受信信号による相関値のピークが得られるので、ここでは伝送路Aと伝送路Bとのサンプリング差による余り値が得られることになる。その値は図11の例では、m2において、「22」という値が得られ、その値に対応したシンボルタイミングの補正が行われるので、それ以降、m3においては、伝送路Bの受信信号のシンボルタイミングに同期して動作し、m1におけるのと同様に、余り値は微小な値で偏移してシンボルデータが抽出される。
【0074】
さらに、伝送路Aの受信信号が復旧した時(m4)は、伝送路Bと伝送路Aとのサンプリング差による余り値が得られるので、図11の例では、「11」という値が得られている。ここで、m2における余り値と、m4における余り値の和をとると、(8)式となる。
(m2における余り値)+(m4における余り値)
=22+11
=33 (8)
【0075】
(8)式で求められた両余り値の和は、オーバーサンプリング値である「32」とほぼ等しいので、これまで受信されていた伝送路Aのシンボルタイミングの位相に復帰していることになり、伝送路Aの受信信号のシンボルタイミングに同期ししたシンボルデータが抽出されることになる。
【0076】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る伝送装置について、図12を参照して説明する。第1実施形態では、シンボルタイミング偏移の発生の有無を検知する閾値検出部37での閾値設定値kを定数として説明したが、本実施形態においては、この定数である閾値設定値kを適切に設定する方法を説明する。
【0077】
シンボルタイミング偏移の発生の有無を検知する閾値検出部37での閾値設定値kは、サンプリング誤差に対する平均二乗誤差の特性から決定することができる。図12は、サンプリング誤差に対する平均二乗誤差の特性図であり、32倍オーバーサンプリング時を例とした特性を示しており、横軸はサンプリング誤差であり、測定された送受信間のサンプリング点の位相差となる誤差サンプリング数である。
【0078】
縦軸の平均二乗誤差は、ビットエラー特性に影響を与える大きな要因になるもので、送信されたシンボルデータs(t)、受信されたシンボルデータrd(t)との誤差量e(t)を平均二乗した誤差量MSEとなり、(9)式及び(10)式で表される。
e(t)=s(t)-rd(t) (9)
MSE=E[e(t)e(t)] (10)
ここで、は複素共役であり、Eは集合平均を表す。
【0079】
図11の例において、伝送路Aに同期しているm1、m5における余り値、及び、伝送路Bに同期しているm3における余り値は、-1(余り値31と同等)から1の範囲内に分布しており、累積確立分布でほぼ100%この範囲に分布している。このことから、伝送路に雑音が印可されている環境での特性劣化を考慮し、2サンプリングのマージンを設定し、+3~-3サンプリングの範囲とすることで、伝送路Aもしくは伝送路Bに従属同期していることの判断基準にできる。
【0080】
さらに、図12では、雑音をサンプリング誤差の評価に影響を与えない程度となるSNR=30dB、アッテネータ22(図1のATT)は10dBに、平均化サンプリング数は3200とした特性である。平均二乗誤差特性は指数関数的に増加する特性となっているため、0~3サンプリまでの増加率は小さく、4サンプリング以降は急激な増加率となっていることも確認できる。従って、3サンプリングまでは上述のとおり、通常の回線状態での揺らぎによるサンプリング数の誤差であると判断させれば、不必要な補正は行われず既存DPLLブロック部40からの出力のみでシンボルタイミング点の補正が行われることで、安定した伝送品質による同期の追従が可能となる。
【0081】
以上のことから、4サンプリング以上では伝送路Aの状態が、回線遮断、もしくは回線遮断からの復旧等の発生により、遅延時間や雑音量等の伝送路特性が変化したために、伝送品質が劣化するシンボルタイミングに変動したと判断させることができるので、新たなシンボルタイミング点へ移行するための補正が即座に行われ、切替わった伝送路での同期追従を最短で行なうことができる。
【0082】
図12の特性からは閾値k=3を設定することを説明したが、本実施形態は特定の閾値の値に限定されるものではなく、伝送路環境や送信システム10及び受信システム20の仕様に応じて、適宜、図12に対応する特性から適宜の閾値kを決定することができる。
【0083】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態における本発明の技術思想を具体化するための伝送装置を例示するものであって、本発明をこれらに特定するものではなく、その他の実施形態のものにも等しく適用し得るものであり、また、これらの実施形態の一部を省略、追加、変更することや、各実施形態の態様を組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0084】
10・・・送信システム
12・・・ハイブリッド分配器
13A,13B・・・伝送路接続コネクタ
20・・・受信システム
21A,21B・・・伝送路接続コネクタ
22・・・アッテネータ
23・・・ハイブリッド合成器
30・・・M倍サンプリング部
31・・・AGC部
32・・・同期フレーム相関器部
33・・・相関ピーク位置検出部・ピーク間カウンター値計測部
35・・・前回カウンター値記憶部
36・・・モジュロM演算部
37・・・閾値検出部
38・・・受信ブロック
40・・・既存DPLLブロック部
41・・・カウンター値変換部
42・・・補正値選択部
43・・・シンボルタイミング補正ブロック部
45・・・シンボルデータセレクト部
50・・・フレーム
51・・・同期信号
52・・・情報信号
61・・・位相補正係数設定部
62,64・・・乗算器
63・・・周波数補正係数設定部
65,71,72・・・加算器
66・・・遅延器
70・・・基準カウンター加算値部
73・・・シンボルタイミング用カウンター部
74・・・エッジ検出部
100・・・送信システム
102・・・ハイブリッド
103A、103B・・・伝送路接続コネクタ
110・・・受信システム
111A,111B・・・伝送路接続コネクタ
112A,112B・・・信号検出回路
113・・・切替制御回路
114・・・伝送路切替用リレー
115・・・接点スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信システムと受信システムとの間を第1伝送路及び第2伝送路により、シンボルデータ系列からなる伝送信号を伝送する伝送装置であって、
送信システムが、情報シンボルデータ系列に、同期コードとなる所定のシンボルデータ系列を先頭に付加したシンボルデータ系列を1フレームとしてサイクリックに送信し、
前記受信システムが、
前記第1伝送路又は前記第2伝送路のいずれか一方の伝送信号を減衰させる減衰器回路、
前記減衰器回路からの前記伝送信号をベースバンド信号へ変換するDEM、
前記ベースバンド信号をオーバーサンプリングしてオーバーサンプリングデータを出力するオーバーサンプリング部、
前記オーバーサンプリングデータから同期信号を相関ピークとして検出する同期信号相関器部、
同期信号相関器部の前段に設けられた、自動的に伝送信号のゲインを調整するゲイン調整部、
前記相関ピークの間隔を相関ピーク間隔としてカウントする計測部、及び、
前記相関ピーク間隔と、前回の相関ピーク間隔との差分をオーバーサンプリング値でモジュロ演算して余り値を演算するモジュロ演算部、を含み、
前記余り値を用いて前記第1伝送路と前記第2伝送路の切り替わりによるシンボルタイミングの切り替えの発生の有無を判定し、判定結果に基づいて前記第1伝送路と前記第2伝送路のいずれか一方の前記伝送信号のシンボルタイミングと同期をとることを特徴とする伝送装置。
【請求項2】
前記余り値を予め設定されている、ビットエラー特性に基づいて決定された閾値と比較することにより、前記第1伝送路のシンボルタイミングと前記第2伝送路のシンボルタイミングとの切り替えの発生の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の伝送装置。
【請求項3】
前記受信システムが、前記第1伝送路と前記第2伝送路のいずれか一方の前記伝送信号のシンボルタイミングと同期をとるシンボルタイミング補正ブロック部を備え、
前記シンボルタイミング補正ブロック部が、シンボルタイミング用カウンター部を備え、
前記シンボルタイミング用カウンター部が、オーバーサンプリングのタイミング周期でシンボルタイミング用カウンター値にシンボルタイミングカウンター補正値の加算を繰り返してゆき、前記シンボルタイミング用カウンター部がラップアラウンドした時に、前記オーバーサンプリングデータを受信データとして出力することを特徴とする請求項に記載の伝送装置。
【請求項4】
前記受信システムが、オーバーサンプリングの1サンプリング周期に相当するサンプリング周期値を出力するDPLLブロック部を備え、
前記余り値が前記閾値の範囲内にある場合は、前記DPLLブロック部から出力される前記サンプリング周期値に基づき前記シンボルタイミングカウンター補正値が演算されることを特徴とする請求項に記載の伝送装置。
【請求項5】
前記DPLLブロック部が相関ピーク位置検出タイミングを検出可能であり、
前記DPLLブロック部から相関ピーク位置検出タイミングの通知があった場合、前記シンボルタイミング補正ブロック部にて予め設定されている位相補正用係数および周波数補正用係数のそれぞれに対する前記サンプリング周期値の乗算を含む演算により、前記シンボルタイミングカウンター補正値を演算し、シンボルタイミング用カウンター部がラップアラウンドするまでオーバーサンプリングのタイミング周期でシンボルタイミングカウンター補正値の加算を繰り返すことを特徴とする請求項に記載の伝送装置。
【請求項6】
前記受信システムが、前記余り値をシンボルタイミング用カウンター部に適合する余り値変換値に変換するカウンター値変換部を備え、
前記余り値が前記閾値の範囲外にある場合は、前記余り値変換値に基づき前記シンボルタイミングカウンター補正値が演算されることを特徴とする請求項に記載の伝送装置。
【請求項7】
前記受信システムが、オーバーサンプリングの1サンプリング周期に相当するサンプリング周期値を出力するDPLLブロック部を備え、
前記DPLLブロック部が相関ピーク位置検出タイミングを検出可能であり、
前記シンボルタイミング補正ブロック部は、
前記余り値変換値に対する、位相補正用係数および周波数補正用係数のそれぞれの乗算を含む演算により、シンボルタイミングカウンター補正値を演算し、
前記DPLLブロック部からの相関ピーク位置検出タイミングの通知があった場合には、位相補正用係数を1とし、周波数補正用係数を0としてシンボルタイミングカンター補正値を演算し、シンボルタイミング用カウンター部の1回目の加算をすることを特徴とする請求項に記載の伝送装置。
【請求項8】
前記DPLLブロック部からの次のフレームによる相関ピーク位置検出タイミングの通知があるまで、位相補正用係数は0とし、周波数補正用係数は0として、シンボルタイミングカンター補正値を演算し、シンボルタイミング用カウンター部の2回目以降の加算を繰り返していくことを特徴とする請求項に記載の伝送装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
2ルートの構成例の従来の方式として、例えば特許文献1の送信システムを図13に示す。特許文献1の送信システム100では、一つの送信信号のシンボルデータがMOD(Modulation)101に入力され、この送信信号をハイブリッド102で2分配し、それぞれ伝送路接続コネクタ103A、103Bの2ルートの伝送路A及び伝送路Bで構成している。一つの伝送路をAルートと称し、もう片方の伝送路をBルートと称すると、Aルートの伝送路の信号が装置故障や事故等で物理的に断となった場合には早急にBルート側の伝送路の信号で受信モデムを動作させ、情報を極力遮断なく電力系統保護設備に伝える必要がある。これはBルートの伝送路が断となった場合も同様な動作が求められる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成できる。すなわち、本発明の第1の態様の伝送装置は、送信システムと受信システムとの間を第1伝送路及び第2伝送路により、シンボルデータ系列からなる伝送信号を伝送する伝送装置であって、送信システムが、情報シンボルデータ系列に、同期コードとなる所定のシンボルデータ系列を先頭に付加したシンボルデータ系列を1フレームとしてサイクリックに送信し、前記受信システムが、 前記第1伝送路又は前記第2伝送路のいずれか一方の伝送信号を減衰させる減衰器回路、前記減衰器回路からの前記伝送信号をベースバンド信号へ変換するDEM、前記ベースバンド信号をオーバーサンプリングしてオーバーサンプリングデータを出力するオーバーサンプリング部、前記オーバーサンプリングデータから同期信号を相関ピークとして検出する同期信号相関器部、同期信号相関器部の前段に設けられた、自動的に伝送信号のゲインを調整するゲイン調整部、前記相関ピークの間隔を相関ピーク間隔としてカウントする計測部、及び、前記相関ピーク間隔と、前回の相関ピーク間隔との差分をオーバーサンプリング値でモジュロ演算して余り値を演算するモジュロ演算部、を含み、前記余り値を用いて前記第1伝送路と前記第2伝送路の切り替わりによるシンボルタイミングの切り替えの発生の有無を判定し、判定結果に基づいて前記第1伝送路と前記第2伝送路のいずれか一方の前記伝送信号のシンボルタイミングと同期をとることを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
本発明の第2の態様の伝送装置は、第1の態様の伝送装置において、前記余り値を予め設定されている、ビットエラー特性に基づいて決定された閾値と比較することにより、前記第1伝送路のシンボルタイミングと前記第2伝送路のシンボルタイミングとの切り替えの発生の有無を判定することを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明の第3の態様の伝送装置は、第2の態様の伝送装置において、前記受信システムが、前記第1伝送路と前記第2伝送路のいずれか一方の前記伝送信号のシンボルタイミングと同期をとるシンボルタイミング補正ブロック部を備え、前記シンボルタイミング補正ブロック部が、シンボルタイミング用カウンター部を備え、前記シンボルタイミング用カウンター部が、オーバーサンプリングのタイミング周期で前記シンボルタイミング用カウンター値にシンボルタイミングカウンター補正値の加算を繰り返してゆき、前記シンボルタイミング用カウンター部がラップアラウンドした時に、前記オーバーサンプリングデータを受信データとして出力することを特徴とする。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
本発明の第4の態様の伝送装置は、第3の態様の伝送装置において、 前記受信システムが、オーバーサンプリングの1サンプリング周期に相当するサンプリング周期値を出力するDPLLブロック部を備え、前記余り値が前記閾値の範囲内にある場合は、前記DPLLブロック部から出力される前記サンプリング周期値に基づき前記シンボルタイミングカウンター補正値が演算されることを特徴とする。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
本発明の第5の態様の伝送装置は、第4の態様の伝送装置において、 前記DPLLブロック部が相関ピーク位置検出タイミングを検出可能であり、前記DPLLブロック部から相関ピーク位置検出タイミングの通知があった場合、前記シンボルタイミング補正ブロック部にて予め設定されている位相補正用係数および周波数補正用係数のそれぞれに対する前記サンプリング周期値の乗算を含む演算により、前記シンボルタイミングカウンター補正値を演算し、シンボルタイミング用カウンター部がラップアラウンドするまでオーバーサンプリングのタイミング周期でシンボルタイミングカウンター補正値の加算を繰り返すことを特徴とする。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
本発明の第6の態様の伝送装置は、第3の態様の伝送装置において、前記受信システムが、前記余り値をシンボルタイミング用カウンター部に適合する余り値変換値に変換するカウンター値変換部を備え、前記余り値が前記閾値の範囲外にある場合は、前記余り値変換値に基づき前記シンボルタイミングカウンター補正値が演算されることを特徴とする。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
本発明の第7の態様の伝送装置は、第6の態様の伝送装置において、前記受信システムが、オーバーサンプリングの1サンプリング周期に相当するサンプリング周期値を出力するDPLLブロック部を備え、前記DPLLブロック部が相関ピーク位置検出タイミングを検出可能であり、前記シンボルタイミング補正ブロック部は、前記余り値変換値に対する、位相補正用係数および周波数補正用係数のそれぞれの乗算を含む演算により、シンボルタイミングカウンター補正値を演算し、前記DPLLブロック部からの相関ピーク位置検出タイミングの通知があった場合には、位相補正用係数を1とし、周波数補正用係数を0としてシンボルタイミングカンター補正値を演算し、シンボルタイミング用カウンター部の1回目の加算をすることを特徴とする。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
本発明の第8の態様の伝送装置は、第7の態様の伝送装置において、前記DPLLブロック部からの相関ピーク位置検出タイミングの通知がなかった場合には、位相補正用係数は0とし、周波数補正用係数は0として、シンボルタイミングカンター補正値を演算し、シンボルタイミング用カウンター部の2回目以降の加算を繰り返していくことを特徴とする。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
さらに、第1伝送路と第2伝送路のいずれか一方の伝送路の伝送信号がアッテネータ(減衰器回路)により減衰され、ゲイン調整部において自動的に伝送信号のゲインが調整されているため、他方の伝送路の伝送信号の信号要素が支配的になり、一方の伝送路の伝送信号の信号要素は雑音要素として作用することになる。この状態で、一方の伝送路における故障や事故により一方の伝送路の伝送信号が喪失された場合には、ゲイン調整部において自動的に他方の伝送路の伝送信号のゲインが調整されるため、いずれの伝送路の伝送信号を受信しているときにも同一レベルの信号として扱うことができる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
本発明の第2の態様の伝送装置によれば、余り値を予め設定されている閾値と比較することにより、一方の伝送路の回線遮断、もしくは回線遮断からの復旧等の発生により、シンボルタイミングが変動したと判断し、新たなシンボルタイミング点へ移行するための補正が即座に行われ、切替わった伝送路での同期追従を最短で行なうことができる。また、閾値の範囲内である場合、例えば3サンプリングまでは通常の回線状態での揺らぎによるサンプリング数の誤差であると判断させれば、不必要な補正は行われず、安定した同期の追従が可能となる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
本発明の第3の態様の伝送装置によれば、シンボルタイミング用カウンター部がラップアラウンドした時に、オーバーサンプリングデータを受信データとして出力することにより、送信システムからサイクリックに送信される、情報シンボルデータ系列に、同期コードとなる所定のシンボルデータ系列を先頭に付加したシンボルデータ系列を1フレームとした伝送信号と同期をとることできる。これにより、シンボルタイミング用カウンター部にてシンボルタイミングカウンター補正値の加算を繰り返していくというシンプルな構成により、確実に伝送信号との同期を行うことができる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
本発明の第4の態様の伝送装置によれば、余り値が閾値の範囲内にある場合は、同一の伝送路での伝送信号の受信が続いているものと判断し、シンボルタイミング用カウンター部にてシンボルタイミングカウンター補正値の加算を繰り返していくことで、同一の伝送路との同期を確保することができる。そして、DPLLブロック部としては、伝送装置に通常備えられている既存DPLL(Digital Phase Lock Loop)ブロック部の機能を利用して、余り値が閾値の範囲内にある場合は、例えば3サンプリングまでは、通常の回線状態での揺らぎによるサンプリング数の誤差であると判断させることで、不必要な補正は行われず既存DPLLブロック部40からの出力のみでシンボルタイミング点の補正が行われることで、安定した同期の追従が可能となる。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
本発明の第5の態様の伝送装置によれば、同一の伝送路での伝送信号の受信が続いている場合には、シンボルタイミング補正ブロック部にて予め設定されている位相補正用係数および周波数補正用係数のそれぞれに対するサンプリング周期値の乗算を含む演算により、適切にシンボルタイミングカウンター補正値を演算することができ、これにより、同一の伝送路での伝送信号との同期を継続することができる。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
本発明の第6の態様の伝送装置によれば、余り値が閾値の範囲外にある場合は、一方の伝送路の回線遮断、もしくは回線遮断からの復旧等の発生により、シンボルタイミングが変動したと判断し、余り値変換値に基づきシンボルタイミングカウンター補正値を演算することにより、変更された伝送路のシンボルタイミングと同期をとることができる。これにより、伝送路の故障や事故における伝送路の切り替え時が生じた場合、あるいは、回線遮断からの復旧が発生した場合などには、速やかにシンボルタイミングの補正と従属が可能となり、およそ1フレーム周期の時間内で伝送路を切り替えて伝送信号の伝送を行うことができる。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
本発明の第7の態様の伝送装置によれば、伝送路の故障や事故における伝送路の切り替え時が生じた場合、あるいは、回線遮断からの復旧が発生した場合などには、初回となる補正値更新通知のタイミングのみ、位相補正係数を1に設定することで、余り値による第1伝送路と第2伝送路とのシンボルタイミンの位相差をシンボルタイミング用カウンター部のカウント値に直接反映されることができるため、瞬時に変更された伝送路のシンボルタイミングへ移行させることができる。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
本発明の第8の態様の伝送装置によれば、伝送路の故障や事故における伝送路の切り替えが生じた場合、あるいは、回線遮断からの復旧が発生した場合などには、初回となる補正値更新通知のタイミングのみ、位相補正係数を1に設定することで、余り値による第1伝送路と第2伝送路とのシンボルタイミンの位相差をシンボルタイミング用カウンター部のカウント値に直接反映されるが、2回目以降は、位相補正用係数は0とし、周波数補正用係数は0として、シンボルタイミングカンター補正値が演算され、シンボルタイミング用カウンター部がラップアランドしたタイミングで、変更後の伝送路のシンボルタイミングと同期して伝送信号の伝送ができる。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
図1】伝送装置のブロック図である。
図2】シンボルデータの模式図である。
図3オーバーサンプリングカウント値毎の相関値のグラフである。
図4】相関ピーク位置検出部・ピーク間カウンター値計測部による計算の説明図で ある。
図5A】受信システムにおけるオーバーサンプリングデータからシンボルデータを 抽出する第1フローチャートである。
図5B】受信システムにおけるオーバーサンプリングデータからシンボルデータを 抽出する第2フローチャートである。
図6】シンボルタイミング補正ブロック部のブロック図である。
図7】ナイキスト間隔の説明図である。
図8】伝送路Aから伝送路Bへ切り替わる際の相関値の説明図である。
図9】伝送路切り替えにかかるシンボルタイミングカウント値の説明図である。
図10】伝送路Aから伝送路Bへ切り替わる際のカウント値の説明図である。
図11】伝送路切り替えと余り値との関係を示す説明図である。
図12】サンプリング誤差に対する平均二乗誤差の特性図である。
図13】従来の2ルート送信システムのブロック図である。
図14】従来のゼロクロス検出法の説明図である。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
図3は、オーバーサンプリングカウント値毎の相関値のグラフである。同期フレーム相関器部32には、自己相関器もしくは相互相関器が用いられ、M倍(例えば32倍)のオーバーサンプリング時間で1サンプリングのタイミング周期ごとに、図3で示すような相関値cd(t)が逐次出力される。cd(t)のシンボル系列の信号は、伝送路Aと伝送路Bの両伝送路から信号が受信されており、伝送路Bの信号がアッテネータ22により減衰されている場合においては、cd(t)の信号の要素として受信電力の大きい伝送路Aの受信電力に対してAGC部31のゲイン調整がなされるため、伝送路Aの信号要素が支配的になり、伝送路Bの信号要素は雑音要素として作用することになる。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
一方、S4において、相関ピーク位置検出部・ピーク間カウンター値計測部33にて、相関ピーク位置(P2)が検出されると共に、1フレーム検出点間(M1)カウンター値pcが算出される。S6において、前回カウンター値記憶部35が今回カウンター値(M1)を前回カウンター値M0として記憶する。S5において、カウンター値差分算出部34が前回カウンター値記憶部35が記憶している前回カウンター値(M0)と、今回ピーク検出点のカウンター値(M1)の差分の絶対値|sd|を算出する。次に、S7において、モジュロM演算部36にて、|sd|に対してM(オーバーサンプリング値、例えばM=32)によるモジュロ演算によって、余り値reを算出する。
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
S8において、余り値reが閾値検出部37に入力され、当該閾値検出部37ではreが設定されている「閾値kの値より大きく」、なおかつ「閾値M-kより小さい」かの算出がなされ、これにより伝送路A,Bの切替わりによるシンボルタイミング偏移の発生の有無が判定される。この閾値検出により、reが閾値の範囲内の場合は、すなわち、S8においてNOの場合は、検出動作情報はディーセーブルとなり、一方、範囲外の場合、すなわち、S8においてYESの場合には、検出動作情報はイネーブルとなる。この情報は補正値選択部42、シンボルタイミング補正ブロック部43、及び他の受信ブロック38で必要とされるブロック(S10)へと通知される。
【手続補正24】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5B
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5B
【手続補正書】
【提出日】2023-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信システムと受信システムとの間を第1伝送路及び第2伝送路により、シンボルデータ系列からなる伝送信号を伝送する伝送装置であって、
送信システムが、情報シンボルデータ系列に、同期コードとなる所定のシンボルデータ系列を先頭に付加したシンボルデータ系列を1フレームとしてサイクリックに送信し、
前記受信システムが、
前記第1伝送路および前記第2伝送路からの伝送信号を合成するハイブリッド合成器、
前記第1伝送路又は前記第2伝送路のいずれか一方に挿入され該一方の伝送信号を減衰させる減衰器回路、
前記ハイブリッド合成器からの信号をベースバンド信号へ変換するDEM、
前記ベースバンド信号をオーバーサンプリングしてオーバーサンプリングデータを出力するオーバーサンプリング部、
前記オーバーサンプリングデータから同期信号を相関ピークとして検出する同期信号相関器部、
同期信号相関器部の前段に設けられた、自動的に伝送信号のゲインを調整するゲイン調整部、
前記相関ピークの間隔を相関ピーク間隔としてカウントする計測部、及び、
前記相関ピーク間隔と、前回の相関ピーク間隔との差分をオーバーサンプリング値でモジュロ演算して余り値を演算するモジュロ演算部、を含み、
前記余り値を用いて前記第1伝送路と前記第2伝送路の切り替わりによるシンボルタイミングの切り替えの発生の有無を判定し、判定結果に基づいて前記第1伝送路と前記第2伝送路のいずれか一方の前記伝送信号のシンボルタイミングと同期をとることを特徴とする伝送装置。
【請求項2】
前記余り値を予め設定されている、ビットエラー特性に基づいて決定された閾値と比較することにより、前記第1伝送路のシンボルタイミングと前記第2伝送路のシンボルタイミングとの切り替えの発生の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の伝送装置。
【請求項3】
前記受信システムが、前記第1伝送路と前記第2伝送路のいずれか一方の前記伝送信号のシンボルタイミングと同期をとるシンボルタイミング補正ブロック部を備え、
前記シンボルタイミング補正ブロック部が、シンボルタイミング用カウンター部を備え、
前記シンボルタイミング用カウンター部が、オーバーサンプリングのタイミング周期でシンボルタイミング用カウンター値にシンボルタイミングカウンター補正値の加算を繰り返してゆき、前記シンボルタイミング用カウンター部がラップアラウンドした時に、前記オーバーサンプリングデータを受信データとして出力することを特徴とする請求項2に記載の伝送装置。
【請求項4】
前記受信システムが、オーバーサンプリングの1サンプリング周期に相当するサンプリング周期値を出力するDPLLブロック部を備え、
前記余り値が前記閾値の範囲内にある場合は、前記DPLLブロック部から出力される前記サンプリング周期値に基づき前記シンボルタイミングカウンター補正値が演算されることを特徴とする請求項3に記載の伝送装置。
【請求項5】
前記DPLLブロック部が相関ピーク位置検出タイミングを検出可能であり、
前記DPLLブロック部から相関ピーク位置検出タイミングの通知があった場合、前記シンボルタイミング補正ブロック部にて予め設定されている位相補正用係数および周波数補正用係数のそれぞれに対する前記サンプリング周期値の乗算を含む演算により、前記シンボルタイミングカウンター補正値を演算し、シンボルタイミング用カウンター部がラップアラウンドするまでオーバーサンプリングのタイミング周期でシンボルタイミングカウンター補正値の加算を繰り返すことを特徴とする請求項4に記載の伝送装置。
【請求項6】
前記受信システムが、前記余り値をシンボルタイミング用カウンター部に適合する余り値変換値に変換するカウンター値変換部を備え、
前記余り値が前記閾値の範囲外にある場合は、前記余り値変換値に基づき前記シンボルタイミングカウンター補正値が演算されることを特徴とする請求項3に記載の伝送装置。
【請求項7】
前記受信システムが、オーバーサンプリングの1サンプリング周期に相当するサンプリング周期値を出力するDPLLブロック部を備え、
前記DPLLブロック部が相関ピーク位置検出タイミングを検出可能であり、
前記シンボルタイミング補正ブロック部は、
前記余り値変換値に対する、位相補正用係数および周波数補正用係数のそれぞれの乗算を含む演算により、シンボルタイミングカウンター補正値を演算し、
前記DPLLブロック部からの相関ピーク位置検出タイミングの通知があった場合には、位相補正用係数を1とし、周波数補正用係数を0としてシンボルタイミングカンター補正値を演算し、シンボルタイミング用カウンター部の1回目の加算をすることを特徴とする請求項6に記載の伝送装置。
【請求項8】
前記DPLLブロック部からの次のフレームによる相関ピーク位置検出タイミングの通知があるまで、位相補正用係数は0とし、周波数補正用係数は0として、シンボルタイミングカンター補正値を演算し、シンボルタイミング用カウンター部の2回目以降の加算を繰り返していくことを特徴とする請求項7に記載の伝送装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成できる。すなわち、本発明の第1の態様の伝送装置は、送信システムと受信システムとの間を第1伝送路及び第2伝送路により、シンボルデータ系列からなる伝送信号を伝送する伝送装置であって、送信システムが、情報シンボルデータ系列に、同期コードとなる所定のシンボルデータ系列を先頭に付加したシンボルデータ系列を1フレームとしてサイクリックに送信し、前記受信システムが、前記第1伝送路および前記第2伝送路からの伝送信号を合成するハイブリッド合成器、前記第1伝送路又は前記第2伝送路のいずれか一方に挿入され該一方の伝送信号を減衰させる減衰器回路、前記ハイブリッド合成器からの信号をベースバンド信号へ変換するDEM、前記ベースバンド信号をオーバーサンプリングしてオーバーサンプリングデータを出力するオーバーサンプリング部、前記オーバーサンプリングデータから同期信号を相関ピークとして検出する同期信号相関器部、同期信号相関器部の前段に設けられた、自動的に伝送信号のゲインを調整するゲイン調整部、前記相関ピークの間隔を相関ピーク間隔としてカウントする計測部、及び、 前記相関ピーク間隔と、前回の相関ピーク間隔との差分をオーバーサンプリング値でモジュロ演算して余り値を演算するモジュロ演算部、を含み、前記余り値を用いて前記第1伝送路と前記第2伝送路の切り替わりによるシンボルタイミングの切り替えの発生の有無を判定し、判定結果に基づいて前記第1伝送路と前記第2伝送路のいずれか一方の前記伝送信号のシンボルタイミングと同期をとることを特徴とする。