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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030122
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】食品用包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/50 20060101AFI20240229BHJP
   B32B 25/06 20060101ALI20240229BHJP
   D21H 27/30 20060101ALI20240229BHJP
   B65D 33/04 20060101ALI20240229BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20240229BHJP
   B65D 30/10 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B65D85/50 100
B32B25/06
D21H27/30 C
B65D33/04
B65D30/02
B65D30/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132695
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】516168012
【氏名又は名称】株式会社 東シール
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】東 三智子
【テーマコード(参考)】
3E035
3E064
4F100
4L055
【Fターム(参考)】
3E035AA02
3E035AA11
3E035AA16
3E035AA20
3E035BA08
3E035BB03
3E035BC01
3E035BC02
3E035BC10
3E035BD02
3E035CA07
3E064AA04
3E064BA01
3E064BA27
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC18
3E064EA07
3E064EA30
3E064FA06
3E064HH02
3E064HM01
3E064HN05
4F100AJ05A
4F100AK06C
4F100AK07B
4F100AK07C
4F100AK42B
4F100AK48B
4F100BA03
4F100BA07
4F100DG10A
4F100EC18
4F100EJ38B
4F100EJ61
4F100GB23
4F100JC00C
4F100JL12C
4L055AG60
4L055AG82
4L055AG84
4L055AJ02
4L055FA12
4L055FA13
4L055GA30
(57)【要約】
【課題】袋内を目視可能な窓部を有し、かつ、穀物類のような重量のある食品を包装した場合でも十分な強度適性を備えた食品用包装袋を提供すること。
【解決手段】外層と中間層と内層とを有する積層シートから構成された袋本体を備え、内層どうしが対向するように配置された一対の積層シートの間で食品の収容空間が形成され、袋本体の端部で積層シート同士がヒートシールされ、袋本体の一部に収容空間を目視可能な所望の形状の窓部が設けられ、透明フィルムが窓部を収容空間側から塞ぎ、窓部の周囲のみで内層にヒートシールによって貼着され、外層がパルプ又はレーヨンを含む紙質材シートからなり、中間層が、ナイロン、二軸延伸ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレートからなる群より選ばれる1種以上を含むフィルムからなり、内層が、無延伸ポリプロピレン及び/又は低密度ポリエチレンを含むフィルムからなる食品用包装袋。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外層と中間層と内層とを有する積層シートから構成された袋本体を備え、
前記内層どうしが対向するように配置された一対の前記積層シートの間で食品の収容空間が形成されており、
前記袋本体の端部で前記積層シート同士がヒートシールされており、
前記袋本体の一部に前記収容空間を目視可能な所望の形状の窓部が設けられ、
透明フィルムが前記窓部を前記収容空間側から塞ぎ、前記窓部の周囲のみで前記内層にヒートシールによって貼着されており、
前記外層がパルプ又はレーヨンを含む紙質材シートからなり、
前記中間層が、ナイロン、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)及びポリエチレンテレフタレートからなる群より選ばれる1種以上を含むフィルムからなり、
前記内層が、無延伸ポリプロピレン(CPP)及び/又は低密度ポリエチレンを含むフィルムからなることを特徴とする、食品用包装袋。
【請求項2】
前記内層が酸化型生分解性プラスチックフィルムを含む、請求項1に記載の食品用包装袋。
【請求項3】
前記食品が穀物類、豆類、菓子類、乾麺類、乾燥果実類及び乾燥野菜類からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の食品用包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を充填して保存できる食品用包装袋に関する。詳しくは、本発明は、米、菓子等の食品用包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
米等の重量のある食品の包装袋としては、食品を充填した場合に包装袋が破断し難く、かつ袋内の食品を変質し難くする必要があることから、様々な構造の包装袋が開発されている。
例えば、樹脂製フィルムが積層されたもの(特許文献1、2)、和紙とその裏側にラミネートされたヒートシール性樹脂フィルムとの複合層からなるシート材を用いたもの(特許文献3)、紙質材のみからなるもの(特許文献4)等が知られている。
【0003】
ここで、食品包装袋を構成する外袋の一部に透明部を設けることで、内部にある食品の状態を目視で確認できるものがある(特許文献1)。特許文献1に記載の外袋10に設けられた透明部15の内側には内袋20が貼り付けられている(図1、2)。米のような重量のある食品を包装する場合、特許文献1に記載の内袋20のように、食品と直接接触する部分を一体化されたシート部材で構成することは知られている。
しかしながら、特許文献1では、紙質性の内袋20を透して内容物を視認できるものの、紙質性で内容物を明確に視認することは難しい構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-241432号公報
【特許文献2】特開2008-24352号公報
【特許文献3】特開2011-025945号公報
【特許文献4】特開2016-094232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、袋内を目視可能な窓部を有し、かつ、穀物類のような重量のある食品を包装した場合でも十分な強度適性を備えた食品用包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明の要旨は、
[1]外層と中間層と内層とを有する積層シートから構成された袋本体を備え、
前記内層どうしが対向するように配置された一対の前記積層シートの間で食品の収容空間が形成されており、
前記袋本体の端部で前記積層シート同士がヒートシールされており、
前記袋本体の一部に前記収容空間を目視可能な所望の形状の窓部が設けられ、
透明フィルムが前記窓部を前記収容空間側から塞ぎ、前記窓部の周囲のみで前記内層にヒートシールによって貼着されており、
前記外層がパルプ又はレーヨンを含む紙質材シートからなり、
前記中間層が、ナイロン、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)及びポリエチレンテレフタレートからなる群より選ばれる1種以上を含むフィルムからなり、
前記内層が、無延伸ポリプロピレン(CPP)及び/又は低密度ポリエチレンを含むフィルムからなることを特徴とする、食品用包装袋、
[2]前記内層が酸化型生分解性プラスチックフィルムを含む、前記[1]に記載の食品用包装袋、
[3]前記食品が穀物類、豆類、菓子類、乾麺類、乾燥果実類及び乾燥野菜類からなる群より選ばれる1種以上である、前記[1]又は[2]に記載の食品用包装袋
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の食品用包装袋は、袋内を目視可能な窓部を有しながら、強度適性を備えた包装袋であるため、穀物類、豆類、菓子類、乾麺類、乾燥果実類、乾燥野菜類等の様々な食品の包装袋として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明に係る食品用包装袋1を示す。
図2図2(a)は、窓部11付近の積層シート6の構造図を示し、図2(b)は、窓部11付近の積層シート6の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る食品用包装袋の実施形態の例を、添付図面(図1~2)に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1、2に示すように、本発明の食品用包装袋1の袋本体2は、外層3と、中間層4と、内層5とが順番に積層されている積層シート6から構成される。
【0011】
前記袋本体2の表層を形成する前記外層3は、パルプ又はレーヨンを含む紙質材シートからなる。具体的には、パルプ、レーヨン又はパルプとレーヨンとを原料とする和紙やクラフト紙、又はパルプ、レーヨン又はパルプとレーヨンとを原料とする不織布等の紙質材シートが挙げられる。
【0012】
前記パルプの原料としては、針葉樹又は広葉樹より得られるクラフトパルプ、サルファイトパルプ等の木材パルプ、麻等が挙げられる。
【0013】
前記レーヨンとしては、パルプやコットンリンター等のセルロール系繊維質を用い通常のビスコース法、銅アンモニア法、アセテート法などで繊維化し、これを製紙や不織布に適するよう1~25mmに切断したものが挙げられる。
【0014】
また、前記外層3については、2種類以上の紙質材を積層した紙質材シートでもよい。例えば、レーヨン層とクラフト層とを有する紙質材層等が挙げられる。層の数としては特に限定はなく、3層以上でもよい。
【0015】
前記外層3の裏面全面には中間層4が積層されている。
前記中間層4は、ナイロン、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)及びポリエチレンテレフタレートからなる群より選ばれる1種以上を含むフィルム(以下、中間層樹脂フィルムともいう)からなる。
例えば、前記中間層4は、ナイロン、OPP又はポリエチレンテレフタレート製のフィルムが1層で構成されていてもよいし、異なる樹脂製のフィルムが2層~5層積層されたシートでもよい。
【0016】
また、前記中間層4では、前記ポリエチレンテレフタレートとして、非生分解性又は生分解性のポリエチレンテレフタレートが用いられてもよい。
前記非生分解性又は生分解性のポリエチレンテレフタレートフィルムの融点や厚みについては、食品用途に使用可能であればよく、特に限定はない。
【0017】
前記外層3と前記中間層4との積層には、接着剤を用いてもよい。
前記接着剤としては、前記外層3の紙質材シートと前記中間層4の樹脂フィルムとを接着できるものであればよく、特に限定はない。また、前記外層3と前記中間層4との積層には、ドライラミネートを用いてもよい。
【0018】
前記中間層4の裏面(前記外層3が接着されている面と反対側の面)の全面には内層5が積層されている。
【0019】
前記内層5は、無延伸ポリプロピレン(CPP)及び/又は低密度ポリエチレンを含むフィルム(以下、外層樹脂フィルムともいう)からなる。
前記低密ポリエチレンとしては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、酸化型生分解性プラスチック等が挙げられる。前記フィルムは、シーラントフィルムでもよい。
前記内層5は、CPPフィルム、低密度ポリエチレンフィルム又はCPPフィルムと低密度ポリエチレンフィルムとが積層されたシートでもよい。
【0020】
前記酸化型生分解性プラスチックとは、太陽の光や熱による酸化分解促進反応を利用し、自然環境で酸化崩壊、低分子化し、さらに微生物分解を用いることで分解できるプラスチックを示し、低密度ポリエチレン(LDPE)に化学物質を添加して生産されるものが挙げられる。
前記化学物質としては、例えば、ヤシ油(植物油)をもとに精製された脂肪酸を主成分とした添加剤(「P-Life」)等が挙げられる。
前記内層5が酸化型生分解性プラスチックを含む場合、環境負荷が低くなる点で、環境にも配慮した包装袋1となるため好ましい。
【0021】
前記中間層4と前記内層5との積層には、接着剤を用いてもよい。
前記接着剤としては、前記中間層4樹脂フィルムと前記内層5樹脂フィルムとを接着できるものであればよく、特に限定はない。
【0022】
本発明では、前記のような構成の積層シート6を有することで、前記袋本体2は、ガスバリア性、耐熱性、強度適性を備えたものとなり、例えば、玄米、白米等の重量のある穀物類を充填して包装した場合でも十分な強度適性を有する。
【0023】
前記外層3、前記中間層4及び前記内層5の各層の厚みについては、包装する食品の種類、量等に応じて調整されていればよく、特に限定はない。
また、前記積層シート6の大きさについても、包装する食品の種類、量等に応じて適宜調整されていればよく、特に限定はない。
【0024】
前記袋本体2では、前記積層シート6の内層5どうしが対向するように配置され、その端部7で前記積層シート6同士がヒートシールされていることで、一対の前記積層シート6の間に食品の収容空間8が形成される。
【0025】
前記のように、ヒートシールされる端部7とは、前記袋本体2に形成された食品を収容するための開口部9を有する側を除く端部をいう。例えば、図1のように開口部9を上方向にした場合、右横方向、下方向の端部7がヒートシールされていてもよいし、図示しないが、左横方法の端部がヒートシールされていてもよい。
【0026】
前記ヒートシールは、前記内層5どうしが固着できていればよい。例えば、前記ヒートシールでは、接着剤を用いずに熱圧着する方法、シールする位置に接着剤を塗布して熱圧着する方法等の公知の方法を用いればよい。
前記接着剤としては、前記内層5どうしを接着できる感熱接着剤(パーコート剤)であればよく、特に限定はない。
ヒートシールされる幅等は、包装する食品に応じて適宜調整すればよい。
【0027】
前記袋本体2の一部には、前記収容空間9を目視可能な所望の形状の窓部10が設けられる。
【0028】
前記窓部10の形状については、略円形、略四角形、略多角形、包装する穀物類、豆類、菓子類、果実類及び野菜類等の外形を模した形状、特定の人物、地形、建物、キャラクター等を模した形状等、所望の形状であればよい。例えば、包装する食品が米類である場合、図1に示すように、米の外形を模した形状でもよい。
【0029】
前記袋本体2で窓部10を設ける位置は、包装袋1に施される印刷等との関係で適宜調整すればよく、特に限定はない。
【0030】
前記窓部10には、透明フィルム11が前記窓部10を前記収容空間8側から塞ぐように配置されている。
上記のように、収容空間8側から透明フィルム11を貼り合わせることで、穀物類等の重量のある食品を収容空間8に充填した場合でも窓部10付近の強度が保たれ、食品を安全に収容することができる。
【0031】
また、本発明では、前記透明フィルム11は、窓部10の周囲のみで前記内層5にヒートシールによって貼着されている。
包装袋1において窓部10を設けた場合、包装袋1の内層5の全面を透明フィルムで覆うことが考えられるが、このような方法では、使用する透明フィルム11の面積が大きくなって包装袋1の重量が増えるため工業的に包装袋を製造した場合のコストが増えたり、積層シート6の柔軟性が低下して、包装できる食品の種類が限られたりする等の点で改善の余地がある。
それに対して、本発明の食品用包装袋1では、その内層5の全面ではなく、前記窓部10の周囲のみに透明フィルム11を貼り合わせることで、包装袋2本来のガスバリア性、強度適性等を保ちながら、透明フィルム11の面積を小さくしてコストを抑えることができる。
【0032】
前記透明フィルム11としては、低密度ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、又はこれらが積層されたフィルムでもよい。例えば、ヒートシールされる内層5との接着性がよい観点から、低密度ポリエチレンフィルムを用いた単層フィルム、低密度ポリエチレンとポリエチレンテレフタレートとを用いた積層フィルムが好ましい。
前記透明フィルム11の厚みについては、特に限定はない。
【0033】
前記透明フィルム11の大きさや形状については、前記窓部10を塞ぐことができる大きさや形状であればよい。前記内層5とヒートシールされる部分の面積が大きいほど、包装袋1のガスバリア性、強度適性等を保ちやすくなるが、前記透明フィルム11の面積が小さいほどコストを低減させることができる。
【0034】
前記透明フィルム11と前記内層5とのヒートシールには、接着剤を用いずに熱圧着する方法、シールする位置に接着剤を塗布して熱圧着する方法等の公知の方法を用いればよい。
前記接着剤としては、前記透明フィルム11及び前記内層5の両方を接着できる感熱接着剤(パーコート剤)であればよく、特に限定はない。
【0035】
前記開口部8は、目的の食品を前記前記収容空間8内に収容してから常法に基づいてヒートシールして密封すればよい。
このヒートシールには、接着剤を用いずに熱圧着する方法、シールする位置に接着剤を塗布して熱圧着する方法等の公知の方法を用いればよい。
前記接着剤としては、前記内層5どうしを接着できる感熱接着剤(パーコート剤)であればよく、特に限定はない。
【0036】
本発明の食品用包装袋1の製造方法としては、例えば、以下の工程で実施することができる。
(1)外層用紙質材シートと中間層樹脂フィルムとを貼り合わせ(一次ラミネート加工)、次いで、反対側の前記中間層樹脂フィルムの表面に内層樹脂フィルムを貼り合わせて(二次ラミネート加工)、外層3と中間層4と内層5とが順番に積層されている積層シート6を作製する。
(2)得られた積層シート6の所望の位置に、穴あけ装置により窓部10を形成する。
(3)窓部10を塞ぐように、窓部10が設けられた内層5に透明フィルム11を張り付け、窓部10の周囲の前記内層5と重なっている透明フィルム11をヒートシールによって貼着する。
(4)窓部10に透明フィルム11が貼着された積層シート6を製袋加工して、食品用包装袋1を作製する。
【0037】
(1)工程
前記紙質材シートと前記中間層樹脂フィルムとを貼り合わせる方法としては、ドライラミネート等が挙げられる。ドライラミネートは、接着剤を有機溶剤で適当な粘度に希釈して前記紙質材シートと前記中間層樹脂フィルムのいずれか又は両方に塗布し、乾燥後、もう一方のシートと貼り合わせる方法である。
前記ドライラミネートで用いる接着剤、有機溶剤としては、紙質材シートと前記中間層樹脂フィルムとを接着可能なものであればよく、特に限定はない。
【0038】
前記中間層樹脂フィルムと前記外層樹脂フィルムとを貼り合わせる方法としては、ノンソルベントラミネート等が挙げられる。ノンソルベントラミネートは、有機溶剤を使用せず、また乾燥のためのエネルギーが必要でない点で、ドライラミネートと比べて環境にやさしく、経済性に優れるという利点がある。
前記ノンソルベントラミネート法で使用する接着剤としては、前記中間層樹脂フィルムと前記外層樹脂フィルムとを接着可能な接着剤であればよく、特に限定はない。
【0039】
また、所望のパッケージデザインにするために、前記一次ランネート後の紙質材シート又は中間層樹脂フィルムにグラビア印刷、デジタル印刷、フレキソ印刷等の印刷を施すことができる。印刷面については、例えば、紙質材シートに表刷りしたり、中間層樹脂フィルムに裏刷りしたりすればよいが、特に限定はない。
【0040】
(2)工程
前記積層シート6に窓部10を形成する穴あけ装置としては、トムソン刃を用いたトムソン加工が可能な装置が挙げられる。
トムソン刃を用いることで、所望の形状の窓部10が形成でき、また、切断面に外層3から繊維がでる、いわゆるバリの発生がないという利点がある。
【0041】
トムソン刃の材質としては、前記積層シート6をプレスすることで切断できるものであればよく、特に限定はない。
【0042】
前記積層シート6の切断面については、例えば、画像検査装置等でバリの有無を確認してもよい。
【0043】
(3)工程
内層5に透明フィルム11を張り付ける方法としては、例えば、前記積層シート6に設けた前記窓部10より広い面積を有し、前記窓部10を覆うことができる形状の透明フィルム11を、前記窓部10周囲を構成する内層5の表面に貼り合わせ、透明フィルム11を部分的に少なくとも2カ所以上ヒートシールして仮止めし、次いで、前記窓部10の周囲にある内層5と重なっている前記透明フィルム11の全面をヒートシールして前記低密度ポリエチレン層に貼着させることで本止めする方法が挙げられる。
【0044】
前記仮止めについては、例えば、前記窓部10と透明フィルム11とを押圧等しながら加熱処理する機能を有する公知の装置が使用できるが、特に限定はない。
また、前記ヒートシールも、前記透明フィルム11を押圧等しながら加熱処理できる装置を用いればよく、特に限定はない。
【0045】
前記ヒートシールされた透明フィルム11の状態については、例えば、画像検査装置等で確認することで、品質が保たれた包装袋を製造できる。
【0046】
また、包装する食品の種類によっては食品の保存性を高めるために、前記積層シート6に微細な空気穴を設けてもよい。前記空気穴については、レーザー穴加工等の公知の穴開け加工を用いればよく、特に限定はない。
【0047】
(4)工程
前記製袋加工では、窓部10に透明フィルム11を貼着した積層シート6を、内層5どうしが対向するように折り曲げる又は2枚の積層シート6を重ね合わせて、袋本体2の端部7となる部分の前記積層シート6どうしをヒートシールすることで、食品用包装袋1を作製することができる。
また、2枚の積層シート6を重ね合わせる場合、その端部にヒートシールを施し、所望の位置で積層シート6を切断することで、開口部9を有する食品用包装袋1を作製してもよい。
【0048】
前記製袋加工には、積層シートを用いて製袋が可能な公知の装置を用いればよく、特に限定はない。
【0049】
以上のようにして得られる本発明の食品用包装袋1は、袋内を目視可能な窓部を有しながら、強度適性を備えた包装袋であるため、穀物類、豆類、菓子類、乾麺類、乾燥果実類、乾燥野菜類等の様々な食品の包装袋として好適に使用することができる。また、本発明の食品用包装袋1は、食品以外のアクセサリのような小物、雑貨、玩具等の包装用としても使用できる。
【実施例0050】
(実施例1:米袋の製造)
(1)幅約50cmのパルプを原料とする外層用和紙(紙質材シート)と幅約50cmの中間層用ポリエチレンテレフタレートフィルムとをドライラミネートにより貼り合わせ(一次ラミネート加工)、次いで、前記ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に幅51cmの内層用低密度ポリエチレン製シーラントフィルムをノンソルベントラミネートにより貼り合わせて(二次ラミネート加工)、外層3と中間層4と内層5とが順番に積層されている積層シート6を作製した。積層シート6の一部にはレーザー穴加工で複数の微細な穴をあけた。
(2)得られた積層シート6の所望の位置に、トムソン刃を有する穴あけ装置より米粒形状の窓部10(長径50mm、短径30mm)を形成した。
(3)前記積層シート6の前記窓部10に、前記窓部10を覆って塞ぐように略正方形状の低密度ポリエチレンフィルム及びポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した透明フィルム11を貼り合わせた。この貼り合わせでは、前記積層シート6の内層5に透明フィルム11を貼り合わせた。前記透明フィルム11の2カ所をヒートシールして仮止めし、次いで、前記窓部10の周囲にある内層5と重なっている前記透明フィルム11の全面をヒートシールして前記内層5に溶着により貼着させることで本止めした。
(4)次いで、窓部10に前記透明フィルム11が貼着された積層シート6を幅約27.5cm付近でカットして縦方向(50cm)×横方向(27.5cm)の包装袋用フィルムを作製した。
次いで、包装袋用フィルムを縦方向の半分付近で折り曲げて、前記低密度ポリエチレン5同士を重ね合わせて、端部付近をヒートシールして製袋加工して、食品用包装袋1を作製した。
【0051】
得られた食品用包装袋1の開口部から、精米2kgを充填し、次いで、開口部をヒートシールすることで包装した。
前記食品用包装袋1の透明な窓部10から、袋内の精米の状態をはっきりと目視できた。
また、前記食品用包装袋1を持ち上げたり、床においたりしても、袋のシールした端部や開口部及び窓部10は破損せず、十分な強度適性を備えた包装袋であることがわかった。
【0052】
また、前記窓部の形状を直径50mmの円形にした食品用包装袋、前記穴部の大きさを長径60mm、短径36mmに変えた食品用包装袋を作製したが、いずれの食品用包装袋に精米を充填して包装しても、袋のシールした端部や開口部及び窓部10は破損せず、十分な強度適性を備えた包装袋であることがわかった。
【0053】
(試験例:引張強度試験)
実施例1で作製した窓部の形状が直径50mmの円形である包装袋用シートにおいて、前記窓部を含むように幅75mmにカットして試験片とし、以下の試験条件で引張強度試験を実施した。
試験条件
試験装置:万能試験機「インストロン5966」(インストロン社製)
ロードセル:1kN
チャック間距離:50mm
試験速度:100mm/s
停止条件:窓部付近の溶着部が剥がれるもしくはフィルムが破断する。
測定環境:室温20℃、湿度50%
【0054】
その結果、破断位置はフィルム部であり、窓部付近の強度はフィルム部よりも強いことがわかった。
【符号の説明】
【0055】
1 食品用包装袋
2 袋本体
3 外層
4 中間層
5 内層
6 積層シート
7 端部
8 収容空間
9 開口部
10 窓部
11 透明フィルム
図1
図2