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特開2024-30125半導体装置および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030125
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20240229BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/78 301N
H01L29/78 301V
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132699
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】菅原 健太
【テーマコード(参考)】
5F102
5F140
【Fターム(参考)】
5F102FA04
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD01
5F102GD10
5F102GJ02
5F102GK04
5F102GL04
5F102GL07
5F102GM04
5F102GM08
5F102GQ01
5F102GR01
5F102GS04
5F102GT01
5F102GV05
5F102GV06
5F102GV08
5F102HC01
5F102HC11
5F102HC16
5F102HC19
5F102HC24
5F102HC30
5F140AA07
5F140BA06
5F140BB06
5F140BB18
5F140BC12
5F140BD05
5F140BD11
5F140BF42
5F140BF43
5F140BG30
5F140BK26
5F140BK29
5F140CC02
5F140CC08
5F140CC13
5F140CC19
5F140CD08
5F140CE02
(57)【要約】
【課題】ゲート電極の近傍での電界集中を緩和しながら、放熱性を向上できる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、基板と、前記基板の上に設けられた半導体層と、前記半導体層の上に設けられたソース電極およびドレイン電極と、前記半導体層の上に設けられ、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置する第1絶縁膜を含む第1膜と、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に設けられたゲート電極と、前記ゲート電極を覆う炭化シリコン層と、を有し、前記第1膜に開口が形成され、前記ゲート電極は、平面視で前記開口の内側に位置する第1部分と、前記第1部分につながり、前記第1膜の上で前記第1部分よりも前記ドレイン電極に近く位置する第2部分と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に設けられた半導体層と、
前記半導体層の上に設けられたソース電極およびドレイン電極と、
前記半導体層の上に設けられ、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置する第1絶縁膜を含む第1膜と、
前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に設けられたゲート電極と、
前記ゲート電極を覆う炭化シリコン層と、
を有し、
前記第1膜に開口が形成され、
前記ゲート電極は、
平面視で前記開口の内側に位置する第1部分と、
前記第1部分につながり、前記第1膜の上で前記第1部分よりも前記ドレイン電極に近く位置する第2部分と、
を有する半導体装置。
【請求項2】
前記第1膜と前記炭化シリコン層との間に設けられ、前記炭化シリコン層の下面を覆い、窒素を含有しない第2膜を有する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2膜は、酸化アルミニウム膜または酸化シリコン膜である請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1膜は、前記第1絶縁膜と前記炭化シリコン層との間に設けられ、前記炭化シリコン層の下面を覆い、窒素を含有しない第3膜を有する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3膜は、酸化アルミニウム膜、酸化シリコン膜、ダイヤモンド膜またはダイヤモンドライクカーボン膜である請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1絶縁膜は、窒化シリコン膜である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記炭化シリコン層の上面を覆い、窒素を含有しない第4膜を有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第4膜は、酸化アルミニウム膜または酸化シリコン膜である請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記炭化シリコン層は、前記ゲート電極に直接接触している請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ソース電極を含む第1金属層と、
前記ドレイン電極を含む第2金属層と、
を有し、
前記炭化シリコン層は、少なくとも前記第1金属層または前記第2金属層のいずれかに直接接触する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記ゲート電極と前記第1金属層との間の距離は5μm以下であり、
前記ゲート電極と前記第2金属層との間の距離は5μm以下である請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記半導体層と前記第2部分との間の距離は、100nm以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
基板と、
前記基板の上に設けられた半導体層と、
前記半導体層の上に設けられたソース電極およびドレイン電極と、
前記半導体層の上に設けられ、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置する窒化シリコン膜を含む第1膜と、
前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に設けられたゲート電極と、
前記ゲート電極を覆う炭化シリコン層と、
前記第1膜と前記炭化シリコン層との間に設けられ、前記炭化シリコン層の下面を覆い、窒素を含有しない第2膜と、
を有し、
前記第1膜に開口が形成され、
前記ゲート電極は、
平面視で前記開口の内側に位置する第1部分と、
前記第1部分につながり、前記第1膜の上で前記第1部分よりも前記ドレイン電極に近く位置する第2部分と、
を有し、
前記第2膜は、酸化アルミニウム膜または酸化シリコン膜であり、
前記ソース電極を含む第1金属層と、
前記ドレイン電極を含む第2金属層と、
を有し、
前記炭化シリコン層は、少なくとも前記第1金属層または前記第2金属層のいずれかに直接接触し、
前記半導体層と前記第2部分との間の距離は、100nm以下である半導体装置。
【請求項14】
基板の上に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の上にソース電極およびドレイン電極を形成する工程と、
前記半導体層の上に前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置する第1絶縁膜を含む第1膜を形成する工程と、
前記第1膜に開口を形成する工程と、
平面視で前記開口の内側に位置する第1部分と、前記第1膜の上で前記第1部分よりも前記ドレイン電極に近く位置する第2部分と、を有するゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極を覆う炭化シリコン層を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放熱性の向上のために、断面形状がT字型のゲート電極の頭部と半導体層との間にダイヤモンド膜を設けた高電子移動度トランジスタ(high electron mobility transistor:HEMT)が提案されている(特許文献1、2)。ゲート電極の頭部は、ゲート電極の近傍での電界集中を緩和するフィールドプレートとして機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-71339号公報
【特許文献2】特開2020-102489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダイヤモンドの熱伝導性は窒化シリコンの熱伝導性よりも高いが、ゲート電極の頭部と半導体層との間の距離が短い場合、ダイヤモンド膜が薄く、十分な放熱性を得られない。その一方で、ダイヤモンド膜が厚い場合には、ゲート電極の頭部と半導体層との間の距離が長く、ゲート電極の近傍での電界集中を十分に緩和できない。
【0005】
本開示は、ゲート電極の近傍での電界集中を緩和しながら、放熱性を向上できる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の半導体装置は、基板と、前記基板の上に設けられた半導体層と、前記半導体層の上に設けられたソース電極およびドレイン電極と、前記半導体層の上に設けられ、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置する第1絶縁膜を含む第1膜と、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に設けられたゲート電極と、前記ゲート電極を覆う炭化シリコン層と、を有し、前記第1膜に開口が形成され、前記ゲート電極は、平面視で前記開口の内側に位置する第1部分と、前記第1部分につながり、前記第1膜の上で前記第1部分よりも前記ドレイン電極に近く位置する第2部分と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ゲート電極の近傍での電界集中を緩和しながら、放熱性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
図3図3は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
図4図4は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
図5図5は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
図6図6は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その5)である。
図7図7は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その6)である。
図8図8は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その7)である。
図9図9は、第1実施形態に係る半導体装置の作用効果を示す断面図である。
図10図10は、第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図11図11は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
図12図12は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
図13図13は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
図14図14は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
図15図15は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その5)である。
図16図16は、第3実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図17図17は、第4実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図18図18は、第5実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図19図19は、第6実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図20図20は、第7実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図21図21は、第8実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
〔1〕 本開示の一態様に係る半導体装置は、基板と、前記基板の上に設けられた半導体層と、前記半導体層の上に設けられたソース電極およびドレイン電極と、前記半導体層の上に設けられ、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置する第1絶縁膜を含む第1膜と、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に設けられたゲート電極と、前記ゲート電極を覆う炭化シリコン層と、を有し、前記第1膜に開口が形成され、前記ゲート電極は、平面視で前記開口の内側に位置する第1部分と、前記第1部分につながり、前記第1膜の上で前記第1部分よりも前記ドレイン電極に近く位置する第2部分と、を有する。
【0011】
半導体層内で第1部分の近傍の領域において熱が発生しやすい。この熱は、基板に向かって拡散するだけでなく、ゲート電極および炭化シリコン層を介してソース電極およびドレイン電極にも拡散する。このとき、炭化シリコン層の熱抵抗が比較的低いため、高効率で排熱できる。また、ゲート電極の第2部分がフィールドプレートとして機能する。第2部分と半導体層との間に第1膜があるが、第1膜に高い熱伝導性は要求されないため、第1膜は薄くてもよい。従って、第2部分により十分にゲート電極の近傍での電界集中を緩和できる。このように、ゲート電極の近傍での電界集中を緩和しながら、放熱性を向上できる。
【0012】
〔2〕 〔1〕において、前記第1膜と前記炭化シリコン層との間に設けられ、前記炭化シリコン層の下面を覆い、窒素を含有しない第2膜を有してもよい。この場合、第2膜により炭化シリコン層への窒素の混入を抑制できる。
【0013】
〔3〕 〔2〕において、前記第2膜は、酸化アルミニウム膜または酸化シリコン膜であってもよい。酸化アルミニウム膜を構成するAl-O結合および酸化シリコン膜を構成するSi-O結合の化学的安定性は高い。このため、酸化アルミニウム膜または酸化シリコン膜により窒素の拡散を抑制しやすい。
【0014】
〔4〕 〔1〕において、前記第1膜は、前記第1絶縁膜と前記炭化シリコン層との間に設けられ、前記炭化シリコン層の下面を覆い、窒素を含有しない第3膜を有してもよい。この場合、第3膜により炭化シリコン層への窒素の混入を抑制できる。
【0015】
〔5〕 〔4〕において、前記第3膜は、酸化アルミニウム膜、酸化シリコン膜、ダイヤモンド膜またはダイヤモンドライクカーボン膜であってもよい。酸化アルミニウム膜を構成するAl-O結合、酸化シリコン膜を構成するSi-O結合およびダイヤモンド膜またはダイヤモンドライクカーボン膜を構成するC-C結合の化学的安定性は高い。このため、酸化アルミニウム膜、酸化シリコン膜、ダイヤモンド膜またはダイヤモンドライクカーボン膜により窒素の拡散を抑制しやすい。
【0016】
〔6〕 〔1〕から〔5〕のいずれかにおいて、前記第1絶縁膜は、窒化シリコン膜であってもよい。この場合、半導体層の表面を保護しやすい。
【0017】
〔7〕 〔1〕から〔6〕のいずれかにおいて、前記炭化シリコン層の上面を覆い、窒素を含有しない第4膜を有してもよい。この場合、第4膜により炭化シリコン層への窒素の混入を抑制できる。
【0018】
〔8〕 〔7〕において、前記第4膜は、酸化アルミニウム膜または酸化シリコン膜であってもよい。酸化アルミニウム膜を構成するAl-O結合および酸化シリコン膜を構成するSi-O結合の化学的安定性は高い。このため、酸化アルミニウム膜または酸化シリコン膜により窒素の拡散を抑制しやすい。
【0019】
〔9〕 〔1〕から〔8〕のいずれかにおいて、前記炭化シリコン層は、前記ゲート電極に直接接触していてもよい。この場合、ゲート電極から炭化シリコン層へと熱を伝達させやすい。
【0020】
〔10〕 〔1〕から〔9〕のいずれかにおいて、前記ソース電極を含む第1金属層と、前記ドレイン電極を含む第2金属層と、を有し、前記炭化シリコン層は、少なくとも前記第1金属層または前記第2金属層のいずれかに直接接触してもよい。この場合、炭化シリコン層から第1金属層または第2金属層へと熱を伝達させやすい。
【0021】
〔11〕 〔10〕において、前記ゲート電極と前記第1金属層との間の距離は5μm以下であり、前記ゲート電極と前記第2金属層との間の距離は5μm以下であってもよい。この場合、優れた放熱性を得やすい。
【0022】
〔12〕 〔1〕から〔11〕のいずれかにおいて、前記半導体層と前記第2部分との間の距離は、100nm以下であってもよい。この場合、第2部分によりゲート電極の近傍での電界集中を緩和しやすい。
【0023】
〔13〕 本開示の他の一態様に係る半導体装置は、基板と、前記基板の上に設けられた半導体層と、前記半導体層の上に設けられたソース電極およびドレイン電極と、前記半導体層の上に設けられ、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置する窒化シリコン膜を含む第1膜と、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に設けられたゲート電極と、前記ゲート電極を覆う炭化シリコン層と、前記第1膜と前記炭化シリコン層との間に設けられ、前記炭化シリコン層の下面を覆い、窒素を含有しない第2膜と、を有し、前記第1膜に開口が形成され、前記ゲート電極は、平面視で前記開口の内側に位置する第1部分と、前記第1部分につながり、前記第1膜の上で前記第1部分よりも前記ドレイン電極に近く位置する第2部分と、を有し、前記第2膜は、酸化アルミニウム膜または酸化シリコン膜であり、前記ソース電極を含む第1金属層と、前記ドレイン電極を含む第2金属層と、を有し、前記炭化シリコン層は、少なくとも前記第1金属層または前記第2金属層のいずれかに直接接触し、前記半導体層と前記第2部分との間の距離は、100nm以下である。この場合、ゲート電極の近傍での電界集中をより緩和しながら、放熱性をより向上できる。
【0024】
〔14〕 本開示の他の一態様に係る半導体装置の製造方法は、基板の上に半導体層を形成する工程と、前記半導体層の上にソース電極およびドレイン電極を形成する工程と、前記半導体層の上に前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置する第1絶縁膜を含む第1膜を形成する工程と、前記第1膜に開口を形成する工程と、平面視で前記開口の内側に位置する第1部分と、前記第1膜の上で前記第1部分よりも前記ドレイン電極に近く位置する第2部分と、を有するゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極を覆う炭化シリコン層を形成する工程と、を有する。この構成により、ゲート電極の近傍での電界集中を緩和しながら、放熱性を向上できる。
【0025】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0026】
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。第1実施形態は、窒化物半導体を主構成材料とする窒化ガリウム系高電子移動度トランジスタ(GaN-HEMT)を含む半導体装置に関する。図1は、第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0027】
第1実施形態に係る半導体装置100は、図1に示すように、基板10と、基板10の上に形成された複数の半導体層の積層構造20とを有する。基板10は、例えば上面の面方位が(0001)面の炭化シリコン(SiC)基板である。バッファ層12は、例えば厚さが5nm以上100nm以下の窒化アルミニウム(AlN)層である。電子走行層14は、例えば厚さが1000nm程度のアンドープ窒化ガリウム(GaN)層である。電子供給層16は、例えば厚さ20nm程度のn型窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層である。キャップ層18は、例えば厚さ5nm程度のn型GaN層である。本実施形態で用いられるn型不純物は、例えばシリコン(Si)またはゲルマニウム(Ge)である。バッファ層12、電子走行層14、電子供給層16およびキャップ層18の積層方向は、例えば[0001]方向である。電子走行層14の上面の近傍に2次元電子ガス(2DEG)51が存在する。積層構造20は半導体層の一例である。
【0028】
キャップ層18の上に窒化シリコン(SiN)膜22が形成されている。SiN膜22に開口31および41が形成され、キャップ層18に開口30および40が形成されている。開口31は開口30につながり、開口41は開口41につながる。SiN膜22の厚さは、例えば100nm以下である。SiN膜22は第1膜21の一例であり、第1絶縁膜の一例である。
【0029】
開口30および31内にソース電極32が形成され、開口40および41内にドレイン電極42が形成されている。ソース電極32およびドレイン電極42の上面がSiN膜22の上面より上方にあってもよい。ソース電極32およびドレイン電極42は、例えば、共にチタン(Ti)膜およびアルミニウム(Al)膜を有する。例えば、Ti膜の膜厚は30nmであり、Al膜の膜厚は300nmである。Ti膜に代えてタンタル(Ta)膜が用いられてもよい。ソース電極32およびドレイン電極42は、2DEG51にオーミックコンタクトする。
【0030】
SiN膜22に開口50が形成されている。開口50からキャップ層18が露出する。例えば、開口50は、ドレイン電極42よりもソース電極32に近い。ソース電極32とドレイン電極42との間にゲート電極52が形成されている。ゲート電極52は、第1部分52A、第2部分52Bおよび第3部分52Cを有する。第1部分52Aは、平面視で開口50の内側に位置する。第2部分52Bは、第1部分52Aにつながり、SiN膜22の上で第1部分52Aよりもドレイン電極42に近く位置する。第3部分52Cは、第1部分52Aにつながり、SiN膜22の上で第1部分52Aよりもソース電極32に近く位置する。第1部分52Aは、開口50を通じてキャップ層18に直接接触する。ゲート電極52は、断面視でT型形状を有する。ゲート電極52は、例えばニッケル(Ni)膜と、金(Au)膜とを含む。
【0031】
ゲート電極52を覆う炭化シリコン(SiC)層61がSiN膜22、ソース電極32およびドレイン電極42の上に形成されている。SiC層61に開口33および43が形成されている。開口33からソース電極32が露出し、開口43からドレイン電極42が露出する。SiC層の厚さは、例えば200nm以上1000nm以下である。
【0032】
開口33内にソース配線34が形成され、開口43内にドレイン配線44が形成されている。ソース配線34の一部およびドレイン配線44の一部がSiC層61の上にあってもよい。ソース配線34およびドレイン配線44は、例えばタングステン(W)、金(Au)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)およびチタン(Ti)からなる群から選択された少なくとも一種を含む。第1金属層3はソース電極32およびソース配線34を含み、第2金属層4はドレイン電極42およびドレイン配線44を含む。
【0033】
SiC層61、ソース配線34およびドレイン配線44を覆うパッシベーション膜24が形成されている。パッシベーション膜24は、例えばSiN膜である。
【0034】
次に、第1実施形態に係る半導体装置100の製造方法について説明する。図2から図8は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す断面図である。
【0035】
まず、図2に示すように、基板10上にバッファ層12、電子走行層14、電子供給層16およびキャップ層18を形成する。バッファ層12、電子走行層14、電子供給層16およびキャップ層18は、例えば有機金属化学気相成長(metal organic chemical vapor deposition:MOCVD)法により形成できる。次に、キャップ層18の上にSiN膜22を形成する。SiN膜22、例えばCVD法により形成できる。
【0036】
次に、図3に示すように、SiN膜22に開口31および41を形成し、キャップ層18に開口30および40を形成する。開口31および41は、例えばフッ素(F)を含む反応性ガスを用いた反応性イオンエッチング(reactive ion etching:RIE)により形成できる。開口30および40は、例えば塩素(Cl)を含む反応性ガスを用いたRIEにより形成できる。
【0037】
次に、開口30および31内にソース電極32を形成し、開口40および41内にドレイン電極42を形成する。ソース電極32およびドレイン電極42は、例えば蒸着、リフトオフおよび合金化熱処理により形成できる。
【0038】
次に、図4に示すように、SiN膜22に開口50を形成する。開口50は、例えばFを含む反応性ガスを用いたRIEにより形成できる。次に、第1部分52A、第2部分52Bおよび第3部分52Cを有するゲート電極52を形成する。ゲート電極52は、例えば蒸着およびリフトオフにより形成できる。
【0039】
次に、図5に示すように、ゲート電極52、SiN膜22、ソース電極32およびドレイン電極42を覆うSiC層61を形成する。SiC層61は、例えばプラズマCVD法により形成できる。SiC層61の形成では、例えば、原料ガスとして、テトラメチルシラン(Si(CH)等のSi系材料を用い、希釈ガスとして、水素(H)またはアルゴン(Ar)等の希ガスを用いる。ただし、ヘキサメチルジシラザン((CHSiNHSi(CH)等の窒素を含む物質は用いないことが好ましい。SiC層61の形成時の基板10の温度は400℃以下とすることが好ましい。合金化等によるゲート電極52の特性の変化を抑制するためである。
【0040】
次に、図6に示すように、SiC層61に開口33および43を形成する。開口33および43は、RIEにより形成できる。SiC層61のRIEでは、例えば、エッチングガスとして、六フッ化硫黄(SF)等のフッ素系材料、または塩素(Cl)および三塩化ホウ素(BCl)等の塩素系材料を用い、希釈ガスとして、Ar等の希ガスを用いる。
【0041】
次に、図7に示すように、ソース配線34およびドレイン配線44を形成する。ソース配線34およびドレイン配線44は、例えば、蒸着法、スパッタ法、めっき法、原子層堆積法またはCVD法により形成できる。
【0042】
次に、図8に示すように、パッシベーション膜24を形成する。
【0043】
このようにして、第1実施形態に係る半導体装置100を製造できる。
【0044】
ここで、第1実施形態に係る半導体装置100の作用効果について説明する。図9は、第1実施形態に係る半導体装置100の作用効果を示す断面図である。
【0045】
半導体装置100においては、2DEG51が存在する部分がチャネルとして機能し、特に第1部分52Aの近傍の領域55において、熱が発生しやすい。領域55はヒートスポットとよばれることがある。本実施形態では、領域55で発生した熱は、基板10に向かって拡散する(放熱経路1)だけでなく、ゲート電極52およびSiC層61を介して第1金属層3および第2金属層4にも拡散(放熱経路2)する。このとき、SiC層61の熱抵抗が比較的低いため、高効率で排熱できる。つまり、優れた放熱性が得られる。
【0046】
また、ゲート電極52の第2部分52Bがフィールドプレートとして機能する。第2部分52Bと積層構造20との間にSiN膜22があるが、SiN膜22に高い熱伝導性は要求されないため、SiN膜22は薄くてもよい。従って、第2部分52Bにより十分にゲート電極52の近傍での電界集中を緩和できる。
【0047】
このように、本実施形態によれば、ゲート電極52の近傍での電界集中を緩和しながら、放熱性を向上できる。
【0048】
SiC層61がゲート電極52に直接接触しているため、ゲート電極52からSiC層61へと熱を伝達させやすい。また、SiC層61が第1金属層3および第2金属層4に直接接触しているため、SiC層61から第1金属層3および第2金属層4へと熱を伝達させやすい。
【0049】
積層構造20の上にSiN膜22が設けられているため、SiN膜22により積層構造20の表面を保護しやすい。
【0050】
なお、積層構造20と第2部分52Bとの間の距離は、好ましくは100nm以下であり、より好ましくは90nm以下であり、更に好ましくは80nm以下である。この距離が小さいほど、第2部分52Bによりゲート電極52の近傍での電界集中を緩和しやすい。
【0051】
ゲート電極52と第1金属層3との間の距離は、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは3μm以下であり、更に好ましくは1μm以下である。この距離が小さいほど、優れた放熱性を得やすい。同様に、ゲート電極52と第2金属層4との間の距離は、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは3μm以下であり、更に好ましくは1μm以下である。この距離が小さいほど、優れた放熱性を得やすい。
【0052】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、主として、SiC層61への窒素の拡散を抑制するための膜を含む点で第1実施形態と相違する。図10は、第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0053】
第2実施形態に係る半導体装置200は、酸化アルミニウム(Al)膜62と、Al膜63とを有する。
【0054】
Al膜62は、SiN膜22とSiC層61との間に設けられ、SiC層61の下面を覆う。Al膜62は、ゲート電極52とSiC層61との間にも設けられていてよく、ソース電極32とSiC層61との間にも設けられていてよく、ドレイン電極42とSiC層61との間にも設けられていてよい。Al膜62は窒素を含有しない。Al膜62に開口35および45が形成されている。開口35は開口33につながり、開口45は開口43につながる。Al膜62は第2膜の一例である。
【0055】
本開示において、「窒素を含有しない」とは、X線光電子分光(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)法による分析において、Si-Nの結合ピークが検出されないか、Si-Nの結合ピークの強度がSi-Cの結合ピークの強度の5%以下であることを意味する。
【0056】
Al膜63は、SiC層61とパッシベーション膜24との間に設けられ、SiC層61の上面を覆う。Al膜63は窒素を含有しない。Al膜63に開口36および46が形成されている。開口36は開口33につながり、開口46は開口43につながる。Al膜63は第4膜の一例である。ソース配線34は開口36、33および35内に形成されており、ドレイン配線44は開口46、43および45内に形成されている。
【0057】
他の構成は第1実施形態と同じである。
【0058】
次に、第2実施形態に係る半導体装置200の製造方法について説明する。図11から図15は、第2実施形態に係る半導体装置200の製造方法を示す断面図である。
【0059】
まず、第1実施形態と同じく、ゲート電極52の形成までの処理を行う(図4参照)。次に、図11に示すように、ゲート電極52、SiN膜22、ソース電極32およびドレイン電極42を覆うAl膜62を形成する。Al膜62は、例えば原子層堆積(atomic layer deposition:ALD)法により形成できる。Al膜62の形成では、例えば、原料ガスとして、テトラメチルアルミニウム(TMA)を用い、酸素源として、酸素、オゾンまたは水を用い、パージガスとしてHまたはAr等の希ガスを用いる。Al膜62の形成時の基板10の温度は400℃以下とすることが好ましい。合金化等によるゲート電極52の特性の変化を抑制するためである。
【0060】
次に、図12に示すように、Al膜62の上にSiC層61を形成する。SiC層61は、第1実施形態と同じ方法で形成できる。
【0061】
次に、図13に示すように、SiC層61の上にAl膜63を形成する。Al膜63は、Al膜62と同じ方法で形成できる。
【0062】
次に、図14に示すように、Al膜63に開口36および46を形成し、SiC層61に開口33および43を形成し、Al膜62に開口35および45を形成する。開口36および46は、RIEにより形成できる。Al膜63のRIEでは、例えば、ClおよびBCl等の塩素系材料を用い、希釈ガスとして、HまたはAr等の希ガスを用いる。開口33および43は、第1実施形態と同じ方法で形成できる。開口35および45は、RIEにより形成できる。Al膜62のRIEでは、例えば、ClおよびBCl等の塩素系材料を用い、希釈ガスとして、HまたはAr等の希ガスを用いる。
【0063】
次に、図15に示すように、第1実施形態と同じく、ソース配線34およびドレイン配線44を形成し、パッシベーション膜24を形成する。
【0064】
このようにして、第2実施形態に係る半導体装置200を製造できる。
【0065】
第2実施形態によっても第1実施形態と同じ効果が得られる。また、SiC層61に安定した絶縁性が得られる。SiC層61に窒素が混入すると、SiC層61はn型の導電型を有するおそれがある。本実施形態では、SiC層61とSiN膜22との間にAl膜62があり、SiC層61とパッシベーション膜24との間にAl膜63がある。このため、SiN膜22またはパッシベーション膜24からSiC層61への窒素の拡散を抑制し、SiC層61に安定した絶縁性が得られる。
【0066】
Al膜62に代えて酸化シリコン(SiO)膜が用いられてもよく、Al膜63に代えてSiO膜が用いられてもよい。SiO膜は、例えばALD法またはプラズマCVD法により形成できる。SiO膜のプラズマCVD法による形成では、例えば、原料ガスとして、シラン(SiH)またはテトラエトキシシラン(TEOS)を用い、酸素源として、酸素を用い、希釈ガスとしてHまたはAr等の希ガスを用いる。SiO膜の形成時の基板10の温度は400℃以下とすることが好ましい。ただし、一酸化二窒素(NO)等の窒素を含む物質は用いないことが好ましい。また、開口を形成するためのSiO膜のRIEでは、例えば、SFおよびC等のフッ素系ガスを用いる。後述する実施形態においても、Al膜に代えてSiO膜が用いられてもよい。
【0067】
Al膜を構成するAl-O結合およびSiO膜を構成するSi-O結合の化学的安定性は高い。このため、Al膜またはSiO膜により窒素の拡散を抑制しやすい。
【0068】
Al膜62がゲート電極52を覆わずに、SiC層61がゲート電極52に直接接触していてもよい。また、Al膜62または63の一方が設けられていなくてもよい。
【0069】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。第3実施形態は、主として、第1膜21の構成の点で第2実施形態と相違する。図16は、第3実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0070】
第3実施形態に係る半導体装置300は、ダイヤモンド膜64と、Al膜63とを有する。Al膜63は、第2実施形態と同じく、SiC層61とパッシベーション膜24との間に設けられ、SiC層61の上面を覆う。
【0071】
ダイヤモンド膜64は、SiN膜22の上に設けられている。ダイヤモンド膜64に、開口31につながる開口37と、開口41につながる開口47と、開口50につながる開口54が形成されている。ゲート電極52の第1部分52Aは、開口54および50を通じてキャップ層18に直接接触する。第2部分52Bは、第1部分52Aにつながり、ダイヤモンド膜64の上で第1部分52Aよりもドレイン電極42に近く位置する。第3部分52Cは、第1部分52Aにつながり、ダイヤモンド膜64の上で第1部分52Aよりもソース電極32に近く位置する。ソース電極32は開口30、31および37内に形成され、ドレイン電極42は開口40、41および47内に形成されている。本実施形態では、第1膜21はSiN膜22およびダイヤモンド膜64を含む。SiC層61はダイヤモンド膜64の上に形成されている。
【0072】
他の構成は第2実施形態と同じである。
【0073】
第3実施形態によっても、第1実施形態と同じ効果が得られる。また、SiC層61とSiN膜22との間にダイヤモンド膜64があるため、SiN膜22からSiC層61への窒素の拡散を抑制し、SiC層61に安定した絶縁性が得られる。更に、ダイヤモンド膜64が良好な熱伝導性を有するため、より優れた放熱性が得られる。
【0074】
なお、第1膜21の厚さは、好ましくは100nm以下であり、より好ましくは90nm以下であり、更に好ましくは80nm以下である。第1膜21の厚さが小さいほど、第2部分52Bによりゲート電極52の近傍での電界集中を緩和しやすい。
【0075】
ダイヤモンド膜64に代えて、Al膜、SiO膜またはダイヤモンドライクカーボン膜が用いられてもよい。後述する実施形態においても、ダイヤモンド膜に代えて、Al膜、SiO膜またはダイヤモンドライクカーボン膜が用いられてもよい。
【0076】
ダイヤモンド膜またはダイヤモンドライクカーボン膜を構成するC-C結合の化学的安定性は高い。また、上述のように、Al膜を構成するAl-O結合およびSiO膜を構成するSi-O結合の化学的安定性は高い。このため、Al膜、SiO膜、ダイヤモンド膜またはダイヤモンドライクカーボン膜により窒素の拡散を抑制しやすい。
【0077】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。第4実施形態は、主として、第1膜21の構成の点で第3実施形態と相違する。図17は、第4実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0078】
第4実施形態に係る半導体装置400は、ダイヤモンド膜64に代えてSiC膜65を有する。SiC膜65には、ダイヤモンド膜64と同じく、開口54、37および47が形成されている。本実施形態では、第1膜21はSiN膜22およびSiC膜65を含む。
【0079】
他の構成は第3実施形態と同じである。
【0080】
第4実施形態によっても、第1実施形態と同じ効果が得られる。また、SiC層61とパッシベーション膜24との間にAl膜63があるため、パッシベーション膜24からSiC層61への窒素の拡散を抑制し、SiC層61に安定した絶縁性が得られる。
【0081】
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。第5実施形態は、主として、SiC層61の上方の構成の点で第1実施形態と相違する。図18は、第5実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0082】
第5実施形態に係る半導体装置500は、SiC層66と、Al膜63とを有する。SiC層66は、ソース配線34、ドレイン配線44およびSiC層61を覆う。Al膜63は、SiC層66とパッシベーション膜24との間に設けられ、SiC層66の上面を覆う。
【0083】
他の構成は第1実施形態と同じである。
【0084】
第5実施形態によっても、第1実施形態と同じ効果が得られる。また、SiC層61および66とパッシベーション膜24との間にAl膜63があるため、パッシベーション膜24からSiC層61および66への窒素の拡散を抑制し、SiC層61および66に安定した絶縁性が得られる。
【0085】
(第6実施形態)
第6実施形態について説明する。第6実施形態は、主として、ゲート電極52とキャップ層18との間に絶縁膜がある点で第2実施形態と相違する。図19は、第6実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0086】
第6実施形態に係る半導体装置600は、Al膜62を有さず、Al膜67を有する。Al膜67は、SiN膜22、ソース電極32およびドレイン電極42の上に設けられている。Al膜67は、開口50の内壁面と、キャップ層18の開口50から露出した面とを覆う。Al膜67には、Al膜62と同じく、開口35および36が形成されている。第1膜21はSiN膜22およびAl膜67を含む。
【0087】
ゲート電極52はAl膜67の上に設けられている。第1部分52Aは、平面視で開口50の内側に位置する。第2部分52Bは、第1部分52Aにつながり、Al膜67の上で第1部分52Aよりもドレイン電極42に近く位置する。第3部分52Cは、第1部分52Aにつながり、Al膜67の上で第1部分52Aよりもソース電極32に近く位置する。第1部分52Aとキャップ層18との間にAl膜67がある。
【0088】
他の構成は第2実施形態と同じである。
【0089】
第6実施形態によっても、第2実施形態と同じ効果が得られる。
【0090】
(第7実施形態)
第7実施形態について説明する。第7実施形態は、主として、第1膜21の構成の点で第4実施形態と相違する。図20は、第7実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0091】
第7実施形態に係る半導体装置700は、SiN膜22に代えてAl膜68を有する。Al膜68には、SiN膜22と同じく開口31および41が形成されているが、開口50は形成されていない。本実施形態では、第1膜21はAl膜68およびSiC膜65を含む。
【0092】
ゲート電極52はAl膜68およびSiC膜65の上に設けられている。第1部分52Aは、平面視で開口54の内側に位置する。第2部分52Bは、第1部分52Aにつながり、SiC膜65の上で第1部分52Aよりもドレイン電極42に近く位置する。第3部分52Cは、第1部分52Aにつながり、SiC膜65の上で第1部分52Aよりもソース電極32に近く位置する。第1部分52Aとキャップ層18との間にAl膜68がある。
【0093】
他の構成は第4実施形態と同じである。
【0094】
第7実施形態によっても、第4実施形態と同じ効果が得られる。
【0095】
Al膜68に代えて、酸化シリコン膜が用いられてもよい。
【0096】
(第8実施形態)
第8実施形態について説明する。第8実施形態は、主として、第1膜21の構成の点で第3実施形態と相違する。図21は、第8実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0097】
第8実施形態に係る半導体装置800では、SiN膜22に開口50が形成されていない。ゲート電極52はSiN膜22およびダイヤモンド膜64の上に設けられている。第1部分52Aは、平面視で開口54の内側に位置する。第2部分52Bは、第1部分52Aにつながり、ダイヤモンド膜64の上で第1部分52Aよりもドレイン電極42に近く位置する。第3部分52Cは、第1部分52Aにつながり、ダイヤモンド膜64の上で第1部分52Aよりもソース電極32に近く位置する。第1部分52Aとキャップ層18との間にSiN膜22がある。
【0098】
他の構成は第3実施形態と同じである。
【0099】
第8実施形態によっても、第3実施形態と同じ効果が得られる。
【0100】
積層構造20に含まれる半導体層の構成は上記の実施形態のものに限定されない。例えば、第6実施形態、第7実施形態および第8実施形態において、電子供給層16が基板10と電子走行層14との間にあってもよい。つまり、第6実施形態、第7実施形態および第8実施形態において、いわゆる逆HEMT構造が採用されていてもよい。
【0101】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0102】
1、2:放熱経路
3:第1金属層
4:第2金属層
10:基板
12:バッファ層
14:電子走行層
16:電子供給層
18:キャップ層
20:積層構造
21:第1膜
22:SiN膜
24:パッシベーション膜
30、31、33、35、36、37、40、41、43、45、46、47、50、54:開口
32:ソース電極:
34:ソース配線
39:金属膜
42:ドレイン電極
44:ドレイン配線
51:2次元電子ガス
52:ゲート電極
52A:第1部分
52B:第2部分
52C:第3部分
55:領域
61:SiC層
62、63、67、68:Al
64:ダイヤモンド膜
65:SiC膜
66:SiC層
100、200、300、400、500、600、700、800:半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21