(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030130
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】酸素水素燃焼を用いた蒸気タービン発電設備
(51)【国際特許分類】
F01K 7/12 20060101AFI20240229BHJP
F01K 7/22 20060101ALI20240229BHJP
F01K 9/00 20060101ALI20240229BHJP
F01K 25/00 20060101ALI20240229BHJP
F22B 1/18 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
F01K7/12
F01K7/22 D
F01K9/00 F
F01K25/00 B
F22B1/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132711
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 宏次郎
(72)【発明者】
【氏名】井上 翔太
(72)【発明者】
【氏名】平山 龍
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA03
3G081BA04
(57)【要約】
【課題】酸素水素燃焼を用いることで、蒸気発生装置における熱損失の低減および高効率化が図れるとともに、温室効果ガスなどの排出を防止する酸素水素燃焼を用いた蒸気タービン発電設備を提供する。
【解決手段】実施形態の蒸気タービン発電設備1は、酸素と水素の燃焼によって生じる反応熱で蒸気を発生させる蒸気発生装置10と、蒸気発生装置10から蒸気が導入される高圧タービン21と、高圧タービン21から排出された蒸気が導入されるとともに、酸素と水素を燃焼させて導入された蒸気を再熱する燃焼器30と、燃焼器30から排出された蒸気が導入されるとともに、高圧タービン21から排出された蒸気が冷却媒体として導入される低圧タービン22と、低圧タービン22から排出された蒸気を凝縮させる復水器23とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素と水素の燃焼によって生じる反応熱で蒸気を発生させる蒸気発生装置と、
前記蒸気発生装置から蒸気が導入される第1の蒸気タービンと、
前記第1の蒸気タービンから排出された蒸気が導入されるとともに、酸素と水素を燃焼させて導入された蒸気を再熱する第1の燃焼器と、
前記第1の燃焼器から排出された蒸気が導入される第2の蒸気タービンと、
前記第2の蒸気タービンから排出された蒸気を凝縮させる復水器と
を具備することを特徴とする酸素水素燃焼を用いた蒸気タービン発電設備。
【請求項2】
前記第2の蒸気タービンは、前記第1の蒸気タービンから排出された蒸気の一部を冷却媒体として導入することを特徴とする請求項1記載の酸素水素燃焼を用いた蒸気タービン発電設備。
【請求項3】
前記第2の蒸気タービンから前記復水器に蒸気を導く排気管に設けられ、前記第2の蒸気タービンから排出された蒸気によって、前記復水器から前記蒸気発生装置に供給される給水を加熱する排気管熱交換部を備えることを特徴とする請求項2記載の酸素水素燃焼を用いた蒸気タービン発電設備。
【請求項4】
前記第2の蒸気タービンが、第3の蒸気タービン、および第3の蒸気タービンに導入される蒸気よりも低圧の蒸気が導入される第4の蒸気タービンで構成され、
前記第1の燃焼器から排出された蒸気は、前記第3の蒸気タービンに導入され、
前記第1の蒸気タービンから排出された蒸気の一部は、冷却媒体として前記第3の蒸気タービンに導入され、
前記第3の蒸気タービンから排出された蒸気は、前記第4の蒸気タービンに導入され、
前記第4の蒸気タービンから排出された蒸気は、前記復水器に導入され、
前記蒸気タービン発電設備は、
前記第3の蒸気タービンから前記第4の蒸気タービンに蒸気を供給する蒸気管に設けられ、前記第3の蒸気タービンから排出された蒸気によって、前記復水器から前記蒸気発生装置に供給される給水を加熱する蒸気管熱交換部を備えることを特徴とする請求項2記載の酸素水素燃焼を用いた蒸気タービン発電設備。
【請求項5】
前記蒸気発生装置から蒸気が導入されるとともに、酸素と水素を燃焼させて導入された蒸気を加熱する第2の燃焼器を備え、
前記第2の燃焼器から排出された蒸気が前記第1の蒸気タービンに導入されることを特徴とする請求項1記載の酸素水素燃焼を用いた蒸気タービン発電設備。
【請求項6】
前記第1の蒸気タービンは、前記蒸気発生装置から排出された蒸気の一部を冷却媒体として導入し、
前記第2の蒸気タービンは、前記第1の蒸気タービンから排出された蒸気の一部を冷却媒体として導入することを特徴とする請求項5記載の酸素水素燃焼を用いた蒸気タービン発電設備。
【請求項7】
前記第1の蒸気タービンから排出された蒸気の一部を冷却媒体として前記第2の蒸気タービンに導入する冷却媒体供給管に設けられ、前記第1の蒸気タービンから排出された蒸気によって、前記復水器から前記蒸気発生装置に供給される給水を加熱する蒸気管熱交換部を備えることを特徴とする請求項6記載の酸素水素燃焼を用いた蒸気タービン発電設備。
【請求項8】
酸素と水素の燃焼によって生じる反応熱で蒸気を発生させる蒸気発生装置と、
前記蒸気発生装置から蒸気が導入されるとともに、酸素と水素を燃焼させて導入された蒸気を加熱する第1の燃焼器と、
前記第1の燃焼器から排出された蒸気が導入される第1の蒸気タービンと、
前記第1の蒸気タービンから排出された蒸気が導入される第2の蒸気タービンと、
前記第2の蒸気タービンから排出された蒸気を凝縮させる復水器と
を具備することを特徴とする酸素水素燃焼を用いた蒸気タービン発電設備。
【請求項9】
前記第1の蒸気タービンは、前記蒸気発生装置から排出された蒸気の一部を冷却媒体として導入することを特徴とする請求項8記載の酸素水素燃焼を用いた蒸気タービン発電設備。
【請求項10】
前記第1の蒸気タービンから前記第2の蒸気タービンに蒸気を供給する蒸気管に設けられ、前記第1の蒸気タービンから排出された蒸気によって、前記復水器から前記蒸気発生装置に供給される給水を加熱する蒸気管熱交換部を備えることを特徴とする請求項9記載の酸素水素燃焼を用いた蒸気タービン発電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、酸素水素燃焼を用いた蒸気タービン発電設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の火力発電設備として、ボイラおよび蒸気タービンを備える汽力発電設備や、ガスタービン、排熱回収ボイラ(HRSG)および蒸気タービンを備えるガスタービンコンバインドサイクル発電設備などがある。
【0003】
従来の火力発電設備において、蒸気タービンに導入される蒸気は、ボイラや排熱回収ボイラにおいて生成される。汽力発電設備のボイラでは、燃焼ガスとの熱交換によって給水を加熱して蒸気を発生させる。ガスタービンコンバインドサイクル発電設備の排熱回収ボイラでは、ガスタービンから排出された排ガスとの熱交換によって給水を加熱して蒸気を発生させる。このように、従来の火力発電設備では、高温ガスとの熱交換によって得られた熱量によって給水を蒸発させて蒸気を発生させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の火力発電設備では、蒸気を発生させるために利用される高温ガスは、熱交換後排気される。一般に、ボイラや排熱回収ボイラにおける熱損失のうち、排気熱による熱損失は最も大きいとされている。
【0006】
また、従来の火力発電設備にいて、高温ガスは、化石燃料と空気を燃焼させることで、生成される。そのため、高温ガスは、二酸化炭素(CO2)、窒素酸化物(NOx)などを含む。近年、温室効果ガスの排出を実質的にゼロにするというカーボンニュートラルの実現が進められており、二酸化炭素(CO2)、窒素酸化物(NOx)などの排出規制は、さらに厳しくなる傾向にある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、酸素水素燃焼を用いることで、蒸気発生装置における熱損失の低減および高効率化が図れるとともに、温室効果ガスなどの排出を防止する酸素水素燃焼を用いた蒸気タービン発電設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の酸素水素燃焼を用いた蒸気タービン発電設備は、酸素と水素の燃焼によって生じる反応熱で蒸気を発生させる蒸気発生装置と、前記蒸気発生装置から蒸気が導入される第1の蒸気タービンと、前記第1の蒸気タービンから排出された蒸気が導入されるとともに、酸素と水素を燃焼させて導入された蒸気を再熱する第1の燃焼器と、前記第1の燃焼器から排出された蒸気が導入される第2の蒸気タービンと、前記第2の蒸気タービンから排出された蒸気を凝縮させる復水器とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備の構成を模式的に示す系統図である。
【
図2】第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備におけるその他の形態を模式的に示す系統図である。
【
図3】第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備におけるその他の形態を模式的に示す系統図である。
【
図4】第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備におけるその他の形態を模式的に示す系統図である。
【
図5】第2の実施の形態の蒸気タービン発電設備の構成を模式的に示す系統図である。
【
図6】第2の実施の形態の蒸気タービン発電設備におけるその他の形態を模式的に示す系統図である。
【
図7】第3の実施の形態の蒸気タービン発電設備の構成を模式的に示す系統図である。
【
図8】第3の実施の形態の蒸気タービン発電設備におけるその他の形態を模式的に示す系統図である。
【
図9】第4の実施の形態の蒸気タービン発電設備の構成を模式的に示す系統図である。
【
図10】第4の実施の形態の蒸気タービン発電設備におけるその他の形態を模式的に示す系統図である。
【
図11】第5の実施の形態の蒸気タービン発電設備の構成を模式的に示す系統図である。
【
図12】第5の実施の形態の蒸気タービン発電設備におけるその他の形態を模式的に示す系統図である。
【
図13】第5の実施の形態の蒸気タービン発電設備におけるその他の形態を模式的に示す系統図である。
【
図14】第6の実施の形態の蒸気タービン発電設備の構成を模式的に示す系統図である。
【
図15】第6の実施の形態の蒸気タービン発電設備におけるその他の形態を模式的に示す系統図である。
【
図16】第7の実施の形態の蒸気タービン発電設備の構成を模式的に示す系統図である。
【
図17】第7の実施の形態の蒸気タービン発電設備におけるその他の形態を模式的に示す系統図である。
【
図18】第7の実施の形態の蒸気タービン発電設備におけるその他の形態を模式的に示す系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備1の構成を模式的に示す系統図である。なお、蒸気タービン発電設備1は、酸素水素燃焼を用いた蒸気タービン発電設備として機能する。
【0012】
図1に示すように、蒸気タービン発電設備1は、蒸気発生装置10と、蒸気タービンシステム20と、発電機50とを主たる構成機器として備える。
【0013】
蒸気発生装置10は、酸素と水素の燃焼によって生じる反応熱で蒸気を発生させる。蒸気発生装置10は、水素を供給する水素供給部11と、酸素を供給する酸素供給部12と、蒸気にする給水を供給する給水供給部13とを備える。給水供給部13は、後述する給水管39を介して供給された給水を酸素と水素の燃焼によって生じた水蒸気中に供給する。
【0014】
蒸気発生装置10では、酸素と水素の燃焼によって水蒸気が生成されるとともに、酸素と水素の反応熱によって給水から蒸気が発生する。すなわち、蒸気発生装置10から排出される媒体は、蒸気である。なお、蒸気発生装置10供給される酸素と水素の流量は、例えば、生成させる水蒸気の温度設定などに基づいて適宜調整される。酸素と水素の流量は、例えば、量論混合比(当量比1)になるように調整される。なお、ここでいう当量比は、燃料流量および酸素流量に基づいて算出した当量比である。
【0015】
蒸気タービンシステム20は、高圧タービン21と、低圧タービン22と、復水器23と、燃焼器30と、給水ポンプ24と、給水加熱器25とを備える。なお、高圧タービン21は、第1の蒸気タービンとして機能し、低圧タービン22は、第2の蒸気タービンとして機能する。燃焼器30は、第1の燃焼器として機能する。
【0016】
蒸気流の流れ方向において、低圧タービン22は、高圧タービン21の下流側に設けられている。高圧タービン21、低圧タービン22および発電機50は、例えば、同一の軸線上に配置され、それぞれのロータが一体的に回転するように構成されている。なお、
図1においてロータは、一点鎖線で示されている。
【0017】
高圧タービン21の蒸気入口は、主蒸気管35を介して蒸気発生装置10と連結されている。高圧タービン21の蒸気出口は、蒸気管36を介して低圧タービン22に連結されている。
【0018】
燃焼器30は、酸素と水素を燃焼させる。燃焼器30は、例えば、蒸気管36に介在している。燃焼器30は、水素を供給する水素供給部31と、酸素を供給する酸素供給部32とを備える。燃焼器30では、燃焼ガスとして水蒸気が生成される。
【0019】
また、燃焼器30には、高圧タービン21から排出された蒸気が導入される。燃焼器30は、生成された水蒸気によってその導入された蒸気を再熱する。
【0020】
なお、燃焼器30に供給される酸素と水素の流量は、例えば、生成させる水蒸気の温度設定などに基づいて適宜調整される。酸素と水素の流量は、例えば、量論混合比(当量比1)になるように調整される。また、ここでは、燃焼器30が蒸気管36に介在する一例を示しているが、燃焼器30は、低圧タービン22の蒸気入口部に備えられてもよい。
【0021】
低圧タービン22の蒸気入口は、蒸気管36を介して燃焼器30と連結される。また、低圧タービン22には、高圧タービン21から排出された蒸気の一部が冷却媒体供給管37を介して冷却媒体として導入される。冷却媒体供給管37の一端は、例えば、高圧タービン21と燃焼器30との間で蒸気管36に連結される。冷却媒体供給管37の他端は、低圧タービン22の冷却媒体導入部に連結されている。
【0022】
なお、図示していないが、冷却媒体供給管37には、低圧タービン22に導入される冷却媒体の流量を調整するための流量調整弁が介在している。冷却媒体の温度は、燃焼器30から低圧タービン22に導入される蒸気の温度よりも低い。冷却媒体の温度は、例えば、低圧タービン22の構成部材を構成部材の耐熱温度以下に維持できる温度に設定される。
【0023】
低圧タービン22に冷却媒体を導入することで、低圧タービン22の構成部材を冷却することができる。これによって、燃焼器30から導入される蒸気を高温化することができる。
【0024】
低圧タービン22の蒸気出口は、排気管38を介して復水器23に連結されている。復水器23は、給水管39を介して、蒸気発生装置10の給水供給部13に連結されている。給水管39には、例えば、給水ポンプ24、給水加熱器25が介在している。
【0025】
給水ポンプ24は、復水器23で生成された復水を給水として蒸気発生装置10に圧送する。給水加熱器25は、抽気管40を介して低圧タービン22に連結されている。低圧タービン22からの抽気は、抽気管40を介して給水加熱器25に導入される。
【0026】
ここで、
図1には、抽気管40に減温部110を備えた一例を示している。減温部110は、抽気管40を流れる抽気の温度を低下させる機能を有する。減温部110は、抽気管40を流れる抽気と給水とを熱交換させる熱交換器で構成される。減温部110には、給水管39から減温部110に給水を導出する給水導出管111、および減温部110から給水管39に給水を導入する給水導入管112が連結されている。給水導入管112は、給水導出管111よりも下流側で給水管39に連結されている。なお、給水導出管111を介して減温部110に導出される給水の温度は、抽気管40を流れる抽気の温度よりも低い。
【0027】
給水管39から給水導出管111を介して減温部110に導出された給水は、抽気管40を流れる抽気と熱交換して抽気の温度を低下させる。なお、抽気と熱交換することで、給水の温度は、上昇する。温度が上昇した給水は、給水導入管112を介して給水管39に導入される。
【0028】
低圧タービン22には、高圧タービン21から排気された蒸気を燃焼器30において再熱した高温の蒸気が導入される。そのため、抽気条件によって、抽気管40を流れる抽気の温度は、給水加熱器25によって要求される温度を超える場合がある。このような場合、減温部110を備えることで、給水の温度を上げるとともに、給水加熱器25に導入される抽気の温度を適正な温度まで下げることができる。なお、ここでは、抽気管40に減温部110を備えた一例を示したが、抽気条件によっては、減温部110を備えずに抽気管40を構成することもできる。
【0029】
給水加熱器25は、例えば、排出管41を介して復水器23に連結されている。給水を加熱した抽気は、例えば、復水器23に排出管41を介して復水器23に導入される。なお、給水を加熱した抽気は、給水ポンプ24の上流側または下流側の給水管39に導入されてもよい。なお、給水加熱器25は脱気の機能を備える構成でもよい。
【0030】
ここで、給水管39には、複数の給水ポンプが備えられてもよい。蒸気発生装置10において要求される給水の圧力に応じて、例えば、給水加熱器25の下流側にさらに高圧給水ポンプなどを備えてもよい。
【0031】
また、給水加熱器は、蒸気発生装置10において要求される給水の温度に応じて適宜配置される。そのため、給水加熱器が備えられない場合や複数の給水加熱器を備える場合がある。なお、給水加熱器が備えられない場合には、抽気管40や排出管41の構成は不要となる。
【0032】
また、給水管39には、蒸気発生装置10および燃焼器30において生成された水蒸気が凝縮した分の水量を復水器23で生成した復水から除去するための排出管42が備えられている。なお、排出管42には、排出する水量を調整する流量調整弁(図示しない)が設けられている。排出管42は、例えば、給水ポンプ24の下流側の給水管39に連結されている。
【0033】
ここで、排出管42から排出される給水は、例えば、温水を利用する外部の温水利用設備などに供給されてもよい。また、温水利用設備において要求される温水温度によって、例えば、排出管42の給水管39に連結される位置を適宜変更してもよい。例えば、高い温度の温水を必要とする場合には、排出管42は、給水加熱器25よりも下流側において給水管39に連結されてもよい。
【0034】
また、蒸気発生装置10および燃焼器30において生成された水蒸気に相当する分の蒸気は、復水として除去されるばかりではなく、蒸気として除去されてもよい。この場合、蒸気発生装置10および燃焼器30において生成された水蒸気に相当する分の蒸気は、例えば、高圧タービン21や低圧タービン22から抽気として除去されてもよい。除去された蒸気は、例えば、蒸気を利用する外部の蒸気利用設備などに供給される。
【0035】
なお、温水利用設備や蒸気利用設備に対して、例えば、蒸気発生装置10および燃焼器30において生成された水蒸気が凝縮した水量を超えた水量の供給、または蒸気発生装置10および燃焼器30において生成された水蒸気量を超えた蒸気量の供給をしてもよい。この場合、余剰に外部に排出された給水や蒸気に相当する分の水が、例えば、復水器23に供給される。
【0036】
次に、蒸気タービン発電設備1の作用について説明する。
【0037】
蒸気発生装置10において、酸素と水素が燃焼して水蒸気(蒸気)を生成する。また、給水供給部13から供給された給水は、燃焼による反応熱によって蒸発して蒸気となる。蒸気発生装置10で発生した蒸気は、主蒸気管35を介して高圧タービン21に導入される。すなわち、酸素と水素の燃焼によって生成した燃焼ガスである水蒸気も全量、発生した蒸気とともに高圧タービン21に導入される。
【0038】
高圧タービン21に導入された蒸気は、高圧タービン21を回動させた後、蒸気管36に排出される。蒸気管36に排出された蒸気の一部は、冷却媒体供給管37を介して冷却媒体として低圧タービン22に導入される。蒸気管36に排出された蒸気の残部は、燃焼器30に導入される。
【0039】
燃焼器30では、水素と酸素の燃焼によって水蒸気が生成される。燃焼器30に導入された蒸気は、燃焼器30で生成された水蒸気と混合することで再熱され、低圧タービン22に導入される。すなわち、燃焼によって生成された水蒸気および導入された蒸気は、低圧タービン22に導入される。
【0040】
ここで、低圧タービン22に導入される蒸気の流量は、燃焼器30で生成された水蒸気の流量分増加する。また、高圧タービン21から排出された蒸気の温度は、燃焼器30で生成された高温の水蒸気と混合されることによって上昇する。低圧タービン22に導入される蒸気の温度および流量は、燃焼器30の燃焼条件を調整することで調整される。
【0041】
低圧タービン22に導入される蒸気の温度を上昇させ、さらに低圧タービン22に導入される蒸気の流量を増加することで、低圧タービン22における熱効率および出力が増加する。すなわち、燃焼器30を備えることで、熱効率および出力が増加する。
【0042】
低圧タービン22に導入された蒸気は、低圧タービン22を回動させた後、排気管38に排出される。排気管38に排出された蒸気は、復水器23に導入され、凝縮して復水となる。なお、発電機50は、高圧タービン21および低圧タービン22の回動によって駆動され、発電する。
【0043】
復水器23の復水は、給水として給水ポンプ24よって圧送され、給水管39を介して蒸気発生装置10の給水供給部13に導かれる。この際、給水管39を流れる給水は、給水加熱器25において低圧タービン22からの抽気によって加熱される。
【0044】
上記したように、第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備1によれば、酸素と水素の燃焼によって生じる反応熱で蒸気を発生させる蒸気発生装置10を備えることで、燃焼によって生成された燃焼ガス(水蒸気)および反応熱で発生した蒸気を高圧タービン21に導入することができる。これによって、蒸気発生装置10からの排気熱は、高圧タービン21において利用される。そのため、蒸気発生装置10からの排気熱による熱損失は生じない。
【0045】
水素と酸素を燃焼させる燃焼器30を備えることで、水蒸気を生成するとともに高圧タービン21から排気された蒸気を再熱することができる。そのため、低圧タービン22に導入される蒸気の温度は、高圧タービン21から排気された蒸気の温度よりも高い。これによって、熱サイクルの熱効率が向上する。
【0046】
また、低圧タービン22に導入される蒸気の流量は、燃焼器30において生成された蒸気分増加する。そのため、タービン出力が増加する。
【0047】
蒸気タービン発電設備1において、熱源として酸素と水素の燃焼によって生じる反応熱を利用しているため、二酸化炭素(CO2)、窒素酸化物(NOx)などの温室効果ガスは排出されない。そのため、カーボンニュートラルが実現できる。さらに、蒸気タービン発電設備1において、温室効果ガス、大気汚染物質、水質汚濁物質などの環境排出物を排出しないため、ゼロエミッションの蒸気タービン発電設備が実現できる。
【0048】
(第1の実施の形態におけるその他の形態)
図2および
図3は、第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備1におけるその他の形態を模式的に示す系統図である。
図2および
図3は、複数の給水加熱器を備える場合の一例を示している。
【0049】
図2に示すように、給水加熱器25の下流側の給水管39に給水加熱器26を備えてもよい。給水加熱器26には、抽気管40aを介して低圧タービン22からの抽気が導入される。この場合、抽気管40aは、抽気管40よりも上流側のタービン段落から抽気している。そのため、抽気管40aによって導入される抽気は、抽気管40によって導入される抽気よりも高温で高圧となる。
【0050】
給水加熱器26において給水を加熱した抽気は、排出管41aを介して、例えば、給水加熱器25に導入される。この構成は、給水加熱器26から排出される抽気の温度が抽気管40を介して導入される抽気の温度以上である場合に好適である。これによって、給水加熱器26から排出された抽気を有効に利用できる。
【0051】
図3に示すように、給水加熱器25の下流側の給水管39に給水加熱器27を備えてもよい。給水加熱器27には、抽気管40bを介して高圧タービン21からの抽気が導入される。そのため、抽気管40bによって導入される抽気は、抽気管40によって導入される抽気よりも高温で高圧となる。
【0052】
給水加熱器27において給水を加熱した抽気は、排出管41bを介して、例えば、給水加熱器25に導入される。この構成は、給水加熱器27から排出される抽気の温度が抽気管40を介して導入される抽気の温度以上である場合に好適である。これによって、給水加熱器27から排出された抽気を有効に利用できる。
【0053】
図2および
図3に示すように複数の給水加熱器25、26、27を備えることで、給水の温度が上昇して熱サイクルの熱効率が向上する。
【0054】
図4は、第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備1におけるその他の形態を模式的に示す系統図である。
図4に示すように、蒸気タービン発電設備1におけるその他の形態は、高圧タービン21から排出された蒸気の一部を冷却媒体として低圧タービン22に導入する冷却媒体供給管37を備えない。
【0055】
燃焼器30から低圧タービン22に導入される蒸気の温度が、例えば、低圧タービン22における構成部材の耐熱温度以下の場合には、低圧タービン22に冷却媒体を導入することなく蒸気タービン発電設備を構成できる。
【0056】
これらの蒸気タービン発電設備1におけるその他の形態においても、その他の形態における作用効果に加えて、
図1に示された蒸気タービン発電設備1と同様の作用効果が得られる。
【0057】
なお、蒸気タービン発電設備1におけるその他の形態において、抽気管40に減温部110を備えない構成を例示して説明したが、抽気条件によっては、
図1に示すように、抽気管40に減温部110を備えてもよい。また、減温部110は、抽気管40に限らず、抽気管40a、40bに備えられてもよい。また、以下の実施形態においても、抽気条件によっては、抽気管に減温部110を備える構成を採用してもよい。なお、減温部110が備えられる場合には、給水導出管111および給水導入管112の構成も備えられる。
【0058】
(第2の実施の形態)
図5は、第2の実施の形態の蒸気タービン発電設備2の構成を模式的に示す系統図である。なお、以下の実施の形態において、第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備1と同一の構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略または簡略する。
【0059】
第2の実施の形態の蒸気タービン発電設備2においては、低圧タービン22から排出された蒸気によって給水を加熱する構成を備える。その他の構成は、第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備1の構成と同じである。そのため、ここでは、第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備1の構成と異なる構成について主に説明する。
【0060】
蒸気タービン発電設備2は、低圧タービン22から排出された蒸気によって給水を加熱する排気管熱交換部60を備える。
図5に示すように、排気管熱交換部60は、排気管38に備えられる。
【0061】
復水器23から蒸気発生装置10に給水を供給する給水管39は、排気管熱交換部60を経由して設けられている。給水管39は、例えば、
図5に示すように、給水ポンプ24と給水加熱器25との間で排気管熱交換部60を経由するように構成されている。すなわち、給水は、給水加熱器25よりも上流側で排気管熱交換部60において加熱される。
【0062】
なお、排出管42は、例えば、給水ポンプ24と排気管熱交換部60との間の給水管39に連結されている。また、蒸気発生装置10および燃焼器30において生成された水蒸気に相当する分の水や蒸気を外部に排出する方法や、外部に排出された水や蒸気を利用する手段は、第1の実施の形態で記載したとおりである。
【0063】
給水管39を流れる給水は、排気管熱交換部60に流入して排気管38を流れる蒸気と熱交換する。この熱交換によって、給水は、蒸気によって加熱される。一方、低圧タービン22から排出された蒸気は、排気管熱交換部60を通ることで、給水に放熱する。そして、蒸気の温度は、例えば、復水器23に導入する設定温度まで低下する。
【0064】
ここで、給水管39において排気管熱交換部60よりも下流側に給水加熱器25を備える構成は、例えば、排気管熱交換部60で加熱された給水の温度が給水加熱器25に導入される抽気の温度よりも低い場合に適用される。
【0065】
ここで、
図5に示すように、給水管39に排気管熱交換部60をバイパスするパイパス管45を備えてもよい。すなわち、パイパス管45は、排気管熱交換部60を経由しないように設けられる。パイパス管45は、給水ポンプ24と排気管熱交換部60との間の給水管39と、排気管熱交換部60と給水加熱器25との間の給水管39とを連結する配管である。パイパス管45を流れる給水は、排気管熱交換部60を通らずに、給水加熱器25に導入される。
【0066】
パイパス管45には、流量調整弁46が介在している。パイパス管45を備えることで、例えば、復水器23に導入される蒸気の温度を調整することができる。なお、流量調整弁46を閉じているときには、給水の全量が排気管熱交換部60を通り給水加熱器25に導入される。
【0067】
なお、図示しないが、給水管39において、例えば、パイパス管45の下流端と連結する下流連結部と排気管熱交換部60との間に逆止弁を設けてもよい。これによって、パイパス管45に給水を流す場合、下流連結部から給水管39に給水が逆流することを防止できる。
【0068】
蒸気タービン発電設備2によれば、燃焼器30から低圧タービン22に高温の蒸気が導入される場合、低圧タービン22から排出される蒸気の温度が、例えば、燃焼器30を備えないときの低圧タービン22から排出される蒸気の温度よりも高いことがある。このような場合、高い温度の蒸気が復水器23に導入されるため、熱サイクルの熱効率が低下する。
【0069】
そこで、排気管熱交換部60を備えることで、低圧タービン22から排出される蒸気によって給水の温度を上げるとともに、復水器23に導入される蒸気の温度を適正な温度まで下げることができる。これによって、熱サイクルの熱効率が向上する。
【0070】
なお、蒸気タービン発電設備2において、上記した作用効果に加え、前述した第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備1と同様の作用効果が得られる。
【0071】
(第2の実施の形態におけるその他の形態)
図6は、第2の実施の形態の蒸気タービン発電設備2におけるその他の形態を模式的に示す系統図である。蒸気タービン発電設備2におけるその他の形態は、給水管39から排気管熱交換部60への給水の導出構成および排気管熱交換部60から給水管39への給水の導入構成が、
図5に示された蒸気タービン発電設備2の構成と異なる。
【0072】
図6に示すように、蒸気タービン発電設備2におけるその他の形態は、給水管39から給水を排気管熱交換部60に導出する給水導出管61と、排気管熱交換部60で加熱された給水を給水管39に導入する給水導入管62とを備える。
【0073】
給水導出管61の一端は、給水ポンプ24と給水加熱器25との間の給水管39に連結されている。給水導出管61の他端は、排気管熱交換部60に連結されている。給水導出管61には、排気管熱交換部60に導入する給水の流量を調整する流量調整弁61aが介在している。
【0074】
給水導入管62の一端は、給水導出管61が連結された位置よりも下流側の給水管39に連結されている。ここでは、給水導入管62の一端は、給水加熱器25と蒸気発生装置10との間の給水管39に連結された一例を示している。給水導入管62の他端は、排気管熱交換部60に連結されている。なお、図示しないが、給水導入管62に逆止弁を設けてもよい。これによって、給水管39から給水導入管62に給水が逆流することを防止できる。
【0075】
なお、排出管42は、例えば、給水ポンプ24と給水導出管61の給水管39との連結部との間の給水管39に連結されている。
【0076】
流量調整弁61aが開かれている場合、給水管39を流れる給水の一部は、給水導出管61に導出され排気管熱交換部60に導かれる。排気管熱交換部60で加熱された給水は、給水導入管62を介して再び給水管39に導入される。給水の残部は、給水管39を介して、給水加熱器25を通り蒸気発生装置10に圧送される。この場合、前述したように、低圧タービン22から排出された蒸気の温度は、例えば、復水器23に導入する設定温度まで低下する。
【0077】
なお、流量調整弁61aが閉じられている場合、給水の全量は、給水管39を介して、給水加熱器25を通り蒸気発生装置10に圧送される。
【0078】
ここで、給水導入管62の一端が、給水加熱器25と蒸気発生装置10との間の給水管39に連結される構成は、例えば、排気管熱交換部60で加熱された給水の温度が給水加熱器25で加熱された給水の温度よりも高い場合に好適である。
【0079】
この蒸気タービン発電設備2におけるその他の形態において、その他の形態における作用効果に加えて、上記した蒸気タービン発電設備2と同様の作用効果が得られる。
【0080】
(第3の実施の形態)
図7は、第3の実施の形態の蒸気タービン発電設備3の構成を模式的に示す系統図である。第3の実施の形態の蒸気タービン発電設備3においては、高圧タービン21と低圧タービン22との間に中圧タービン28を備える。また、中圧タービン28から排出された蒸気によって給水を加熱する構成を備える。その他の構成は、第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備1の構成と同じである。そのため、ここでは、第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備1の構成と異なる構成について主に説明する。
【0081】
図7に示すように、蒸気流の流れ方向において、中圧タービン28は、高圧タービン21の下流側に設けられている。高圧タービン21、中圧タービン28、低圧タービン22および発電機50は、例えば、同一の軸線上に配置され、それぞれのロータが一体的に回転するように構成されている。なお、中圧タービン28は、第3の蒸気タービンとして機能し、低圧タービン22は、第4の蒸気タービンとして機能する。
【0082】
高圧タービン21の蒸気出口は、蒸気管36を介して中圧タービン28の蒸気入口に連結されている。燃焼器30は、例えば、蒸気管36に介在している。なお、燃焼器30は、中圧タービン28の蒸気入口部に備えられてもよい。
【0083】
中圧タービン28の蒸気入口には、蒸気管36を介して燃焼器30から排出された蒸気が導入される。また、中圧タービン28には、高圧タービン21から排出された蒸気の一部が冷却媒体供給管37を介して冷却媒体として導入される。なお、冷却媒体の温度は、燃焼器30から中圧タービン28に導入される蒸気の温度よりも低い。また、冷却媒体の温度は、例えば、中圧タービン28の構成部材を構成部材の耐熱温度以下に維持できる温度に設定される。
【0084】
中圧タービン28に冷却媒体を導入することで、中圧タービン28の構成部材を冷却することができる。これによって、燃焼器30から導入される蒸気を高温化することができる。
【0085】
中圧タービン28の蒸気出口は、蒸気管47を介して低圧タービン22の蒸気入口に連結されている。低圧タービン22の蒸気出口は、排気管38を介して復水器23に連結されている。
【0086】
給水加熱器25には、抽気管40cを介して中圧タービン28からの抽気か導入される。給水管39を流れる給水は、給水加熱器25において中圧タービン28からの抽気によって加熱される。
【0087】
蒸気タービン発電設備3は、中圧タービン28から排出された蒸気によって給水を加熱する蒸気管熱交換部70を備える。
図7に示すように、蒸気管熱交換部70は、蒸気管47に備えられる。
【0088】
復水器23から蒸気発生装置10に給水を供給する給水管39は、蒸気管熱交換部70を経由して設けられている。給水管39は、例えば、
図7に示すように、給水ポンプ24と給水加熱器25との間で蒸気管熱交換部70を経由するように構成されている。すなわち、給水は、給水加熱器25よりも上流側で蒸気管熱交換部70において加熱される。
【0089】
なお、排出管42は、例えば、給水ポンプ24と蒸気管熱交換部70との間の給水管39に連結されている。また、蒸気発生装置10および燃焼器30において生成された水蒸気に相当する分の水や蒸気を外部に排出する方法や、外部に排出された水や蒸気を利用する手段は、第1の実施の形態で記載したとおりである。
【0090】
給水管39を流れる給水は、蒸気管熱交換部70に流入して蒸気管47を流れる蒸気と熱交換する。この熱交換によって、給水は、蒸気によって加熱される。一方、中圧タービン28から排出された蒸気は、蒸気管熱交換部70を通ることで、給水に放熱する。そして、蒸気の温度は、例えば、低圧タービン22に導入する設定温度まで低下する。
【0091】
ここで、給水管39において蒸気管熱交換部70よりも下流側に給水加熱器25を備える構成は、例えば、蒸気管熱交換部70で加熱された給水の温度が給水加熱器25に導入される抽気の温度よりも低い場合に適用される。
【0092】
ここで、
図7に示すように、給水管39に蒸気管熱交換部70をバイパスするパイパス管48を備えてもよい。すなわち、パイパス管48は、蒸気管熱交換部70を経由しないように設けられている。パイパス管48は、給水ポンプ24と蒸気管熱交換部70との間の給水管39と、蒸気管熱交換部70と給水加熱器25との間の給水管39とを連結する配管である。パイパス管48を流れる給水は、蒸気管熱交換部70を通らずに、給水加熱器25に導入される。
【0093】
パイパス管48には、流量調整弁49が介在している。パイパス管48を備えることで、低圧タービン22に導入される蒸気の温度を調整することができる。なお、流量調整弁49を閉じているときには、給水の全量が蒸気管熱交換部70を通り給水加熱器25に導入される。
【0094】
なお、図示しないが、給水管39において、例えば、パイパス管48の下流端と連結する下流連結部と蒸気管熱交換部70との間に逆止弁を設けてもよい。これによって、パイパス管48に給水を流す場合、下流連結部から給水管39に給水が逆流することを防止できる。
【0095】
蒸気タービン発電設備3によれば、燃焼器30から中圧タービン28に高温の蒸気が導入される場合、中圧タービン28から排出される蒸気の温度が、低圧タービン22に導入する蒸気の設定温度を超えることがある。
【0096】
そこで、蒸気管熱交換部70を備えることで、中圧タービン28から排出される蒸気によって給水の温度を上げるとともに、低圧タービン22に導入される蒸気の温度を適正な温度まで下げることができる。低圧タービン22に導入される余剰分の熱量を給水に与えることができるため、熱サイクルの熱効率が向上する。
【0097】
なお、蒸気タービン発電設備3において、上記した作用効果に加え、前述した第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備1と同様の作用効果が得られる。
【0098】
(第3の実施の形態におけるその他の形態)
図8は、第3の実施の形態の蒸気タービン発電設備3におけるその他の形態を模式的に示す系統図である。蒸気タービン発電設備3におけるその他の形態は、給水管39から蒸気管熱交換部70への給水の導出構成および蒸気管熱交換部70から給水管39への給水の導入構成が、
図7に示された蒸気タービン発電設備3の構成と異なる。
【0099】
図8に示すように、蒸気タービン発電設備3におけるその他の形態は、給水管39から給水を蒸気管熱交換部70に導出する給水導出管71と、蒸気管熱交換部70で加熱された給水を給水管39に導入する給水導入管72とを備える。
【0100】
給水導出管71の一端は、給水ポンプ24と給水加熱器25との間の給水管39に連結されている。給水導出管71の他端は、蒸気管熱交換部70に連結されている。給水導出管71には、蒸気管熱交換部70に導入する給水の流量を調整する流量調整弁71aが介在している。
【0101】
給水導入管72の一端は、給水導出管71が連結された位置よりも下流側の給水管39に連結されている。ここでは、給水導入管72の一端は、給水加熱器25と蒸気発生装置10との間の給水管39に連結された一例を示している。給水導入管72の他端は、蒸気管熱交換部70に連結されている。なお、図示しないが、給水導入管72に逆止弁を設けてもよい。これによって、給水管39から給水導入管72に給水が逆流することを防止できる。
【0102】
なお、排出管42は、例えば、給水ポンプ24と給水導出管71の給水管39との連結部との間の給水管39に連結されている。
【0103】
流量調整弁71aが開かれている場合、給水管39を流れる給水の一部は、給水導出管71に導出され蒸気管熱交換部70に導かれる。蒸気管熱交換部70で加熱された給水は、給水導入管72を介して再び給水管39に導入される。給水の残部は、給水管39を介して、給水加熱器25を通り蒸気発生装置10に圧送される。この場合、前述したように、中圧タービン28から排出された蒸気の温度は、例えば、低圧タービン22に導入する設定温度まで低下する。
【0104】
なお、流量調整弁71aが閉じられている場合、給水の全量は、給水管39を介して、給水加熱器25を通り蒸気発生装置10に圧送される。
【0105】
ここで、給水導入管72の一端が、給水加熱器25と蒸気発生装置10との間の給水管39に連結される構成は、例えば、蒸気管熱交換部70で加熱された給水の温度が給水加熱器25で加熱された給水の温度よりも高い場合に好適である。
【0106】
この蒸気タービン発電設備3におけるその他の形態において、その他の形態における作用効果に加えて、上記した蒸気タービン発電設備3と同様の作用効果が得られる。
【0107】
(第4の実施の形態)
図9は、第4の実施の形態の蒸気タービン発電設備4の構成を模式的に示す系統図である。第4の実施の形態の蒸気タービン発電設備4においては、高圧タービン21の蒸気入口部に燃焼器80を備える。また、蒸気発生装置10から排出された蒸気の一部を冷却媒体として高圧タービン21に導入する。その他の構成は、第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備1の構成と同じである。そのため、ここでは、第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備1の構成と異なる構成について主に説明する。
【0108】
燃焼器80は、酸素と水素を燃焼させる。燃焼器80は、高圧タービン21の蒸気入口部に備えられる。燃焼器30は、水素を供給する水素供給部81と、酸素を供給する酸素供給部82とを備える。燃焼器80では、燃焼ガスとして水蒸気が生成される。なお、燃焼器80は、第2の燃焼器として機能する。
【0109】
また、燃焼器80には、蒸気発生装置10から排出された蒸気が主蒸気管35を介して導入される。燃焼器80は、生成された水蒸気によってその導入された蒸気を加熱する。そして、燃焼器80で生成された水蒸気は、導入された蒸気と混ざり、高圧タービン21に供給される。
【0110】
なお、燃焼器80に供給される酸素と水素の流量は、例えば、生成させる水蒸気の温度設定などに基づいて適宜調整される。酸素と水素の流量は、例えば、量論混合比(当量比1)になるように調整される。
【0111】
高圧タービン21には、蒸気発生装置10から排出された蒸気の一部が冷却媒体供給管85を介して冷却媒体として導入される。冷却媒体供給管85の一端は、例えば、蒸気発生装置10と燃焼器80との間で主蒸気管35に連結される。冷却媒体供給管85の他端は、高圧タービン21の冷却媒体導入部に連結されている。
【0112】
なお、図示していないが、冷却媒体供給管85には、高圧タービン21に導入される冷却媒体の流量を調整するための流量調整弁が介在している。冷却媒体の温度は、燃焼器80から高圧タービン21に導入される蒸気の温度よりも低い。冷却媒体の温度は、例えば、高圧タービン21の構成部材を構成部材の耐熱温度以下に維持できる温度に設定される。
【0113】
高圧タービン21に冷却媒体を導入することで、高圧タービン21の構成部材を冷却することができる。これによって、燃焼器80から導入される蒸気を高温化することができる。
【0114】
蒸気タービン発電設備4において、水素と酸素を燃焼させる燃焼器80を備えることで、水蒸気を生成するとともに蒸気発生装置10から排出された蒸気を加熱することができる。そのため、高圧タービン21に導入される蒸気の温度は、蒸気発生装置10から排出された蒸気の温度よりも高い。これによって、熱サイクルの熱効率が向上する。
【0115】
また、高圧タービン21に導入される蒸気の流量は、燃焼器80において生成された蒸気分増加する。そのため、タービン出力が増加する。
【0116】
なお、蒸気タービン発電設備4において、上記した作用効果に加え、前述した第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備1と同様の作用効果が得られる。
【0117】
(第4の実施の形態におけるその他の形態)
図10は、第4の実施の形態の蒸気タービン発電設備4におけるその他の形態を模式的に示す系統図である。
図10に示すように、蒸気タービン発電設備4におけるその他の形態は、蒸気発生装置10から排出された蒸気の一部を冷却媒体として高圧タービン21に導入する冷却媒体供給管85を備えない。さらに、蒸気タービン発電設備4におけるその他の形態は、高圧タービン21から排出された蒸気の一部を冷却媒体として低圧タービン22に導入する冷却媒体供給管37を備えない。
【0118】
燃焼器80から高圧タービン21に導入される蒸気の温度が、例えば、高圧タービン21における構成部材の耐熱温度以下の場合には、高圧タービン21に冷却媒体を導入することなく蒸気タービン発電設備4を構成できる。
【0119】
また、燃焼器30から低圧タービン22に導入される蒸気の温度が、例えば、低圧タービン22における構成部材の耐熱温度以下の場合には、低圧タービン22に冷却媒体を導入することなく蒸気タービン発電設備4を構成できる。
【0120】
この蒸気タービン発電設備4におけるその他の形態においても、上記した蒸気タービン発電設備4と同様の作用効果が得られる。
【0121】
(第5の実施の形態)
図11は、第5の実施の形態の蒸気タービン発電設備5の構成を模式的に示す系統図である。第5の実施の形態の蒸気タービン発電設備5は、
図9に示された第4の実施の形態の蒸気タービン発電設備4の構成に、高圧タービン21から排出された蒸気によって給水を加熱する構成を加えた構成である。そのため、ここでは、第4の実施の形態の蒸気タービン発電設備4の構成と異なる構成について主に説明する。
【0122】
図11に示すように、蒸気タービン発電設備5は、高圧タービン21から排出された蒸気によって給水を加熱する蒸気管熱交換部90を備える。蒸気管熱交換部90は、冷却媒体供給管37に備えられている。
【0123】
蒸気タービン発電設備5は、給水管39から給水を蒸気管熱交換部90に導出する給水導出管91と、蒸気管熱交換部90で加熱された給水を給水管39に導入する給水導入管92とを備える。
【0124】
給水導出管91の一端は、給水ポンプ24と給水加熱器25との間の給水管39に連結されている。給水導出管91の他端は、蒸気管熱交換部90に連結されている。給水導出管91には、蒸気管熱交換部90に導入する給水の流量を調整する流量調整弁91aが介在している。
【0125】
給水導入管92の一端は、給水導出管91が連結された位置よりも下流側の給水管39に連結されている。ここでは、給水導入管92の一端は、給水加熱器25と蒸気発生装置10との間の給水管39に連結された一例を示している。給水導入管92の他端は、蒸気管熱交換部90に連結されている。なお、図示しないが、給水導入管92に逆止弁を設けてもよい。これによって、給水管39から給水導入管92に給水が逆流することを防止できる。
【0126】
なお、排出管42は、例えば、給水ポンプ24と給水導出管91の給水管39との連結部との間の給水管39に連結されている。また、蒸気発生装置10、燃焼器80および燃焼器30において生成された水蒸気に相当する分の水や蒸気を外部に排出する方法や、外部に排出された水や蒸気を利用する手段は、第1の実施の形態で記載したとおりである。
【0127】
流量調整弁91aが開かれている場合、給水管39を流れる給水の一部は、給水導出管91に導出され蒸気管熱交換部90に導かれる。蒸気管熱交換部90で加熱された給水は、給水導入管92を介して再び給水管39に導入される。給水の残部は、給水管39を介して、給水加熱器25を通り蒸気発生装置10に圧送される。この場合、高圧タービン21から排出され、冷却媒体供給管37に導入された蒸気は、蒸気管熱交換部90を通ることで給水に放熱する。そして、蒸気の温度は、例えば、冷却媒体として低圧タービンに導入する設定温度まで低下する。
【0128】
なお、流量調整弁91aが閉じられている場合、給水の全量は、給水管39を介して、給水加熱器25を通り蒸気発生装置10に圧送される。
【0129】
ここで、給水導入管92の一端が、給水加熱器25と蒸気発生装置10との間の給水管39に連結される構成は、例えば、蒸気管熱交換部90で加熱された給水の温度が給水加熱器25で加熱された給水の温度よりも高い場合に好適である。
【0130】
蒸気タービン発電設備5によれば、燃焼器80から高圧タービン21に高温の蒸気が導入される場合、高圧タービン21から排出される蒸気の温度が、冷却媒体供給管37を介して低圧タービン22に導入される冷却媒体の設定温度を超えることがある。
【0131】
そこで、蒸気管熱交換部90を備えることで、高圧タービン21から排出される蒸気によって給水の温度を上げるとともに、低圧タービン22に導入される冷却媒体の温度を適正な温度まで下げることができる。給水を加熱することで、熱サイクルの熱効率が向上する。
【0132】
なお、蒸気タービン発電設備5において、上記した作用効果に加え、前述した第4の実施の形態の蒸気タービン発電設備4と同様の作用効果が得られる。
【0133】
(第5の実施の形態におけるその他の形態)
図12は、第5の実施の形態の蒸気タービン発電設備5におけるその他の形態を模式的に示す系統図である。蒸気タービン発電設備5におけるその他の形態は、給水管39から蒸気管熱交換部90への給水の導出構成および蒸気管熱交換部90から給水管39への給水の導入構成が、
図11に示された蒸気タービン発電設備5の構成と異なる。
【0134】
図12に示すように、復水器23から蒸気発生装置10に給水を供給する給水管39は、蒸気管熱交換部90を経由して設けられている。給水管39は、例えば、
図12に示すように、給水ポンプ24と給水加熱器25との間で蒸気管熱交換部90を経由するように構成されている。すなわち、給水は、給水加熱器25よりも上流側で蒸気管熱交換部90において加熱される。なお、排出管42は、例えば、給水ポンプ24と蒸気管熱交換部90との間の給水管39に連結されている。
【0135】
給水管39を流れる給水は、蒸気管熱交換部90に流入して冷却媒体供給管37を流れる蒸気と熱交換する。この熱交換によって、給水は、蒸気によって加熱される。一方、蒸気の温度は、例えば、冷却媒体として低圧タービン22に導入する設定温度まで低下する。
【0136】
ここで、給水管39において蒸気管熱交換部90よりも下流側に給水加熱器25を備える構成は、例えば、蒸気管熱交換部90で加熱された給水の温度が給水加熱器25に導入される抽気の温度よりも低い場合に適用される。
【0137】
ここで、
図12に示すように、給水管39に蒸気管熱交換部90をバイパスするパイパス管95を備えてもよい。すなわち、パイパス管95は、蒸気管熱交換部90を経由しないように設けられている。パイパス管95は、給水ポンプ24と蒸気管熱交換部90との間の給水管39と、蒸気管熱交換部90と給水加熱器25との間の給水管39とを連結する配管である。パイパス管95を流れる給水は、蒸気管熱交換部90を通らずに、給水加熱器25に導入される。
【0138】
パイパス管95には、流量調整弁96が介在している。パイパス管95を備えることで、低圧タービン22に導入される冷却媒体の温度を調整することができる。なお、流量調整弁96を閉じているときには、給水の全量が蒸気管熱交換部90を通り給水加熱器25に導入される。
【0139】
なお、図示しないが、給水管39において、例えば、パイパス管95の下流端と連結する下流連結部と蒸気管熱交換部90との間に逆止弁を設けてもよい。これによって、パイパス管95に給水を流す場合、下流連結部から給水管39に給水が逆流することを防止できる。
【0140】
ここで、蒸気タービン発電設備5におけるその他の形態において、給水管39は、給水ポンプ24と給水加熱器25との間で蒸気管熱交換部90を経由する一例を示したが、この構成に限られない。
【0141】
図13は、第5の実施の形態の蒸気タービン発電設備5におけるその他の形態を模式的に示す系統図である。
図13に示すように、給水管39は、給水加熱器25と蒸気発生装置10との間で蒸気管熱交換部90を経由してもよい。
【0142】
この構成は、例えば、蒸気管熱交換部90で加熱された給水の温度が給水加熱器25で加熱された給水の温度よりも高い場合に好適である。
【0143】
図12および
図13に示された蒸気タービン発電設備5におけるその他の形態において、その他の形態における作用効果に加えて、上記した蒸気タービン発電設備5と同様の作用効果が得られる。
【0144】
(第6の実施の形態)
図14は、第6の実施の形態の蒸気タービン発電設備6の構成を模式的に示す系統図である。第6の実施の形態の蒸気タービン発電設備6は、
図9に示された第4の実施の形態の蒸気タービン発電設備4の構成から、燃焼器30と冷却媒体供給管37の構成を取り除いた構成である。
【0145】
図14に示すように、蒸気タービン発電設備6は、蒸気発生装置10と、蒸気タービンシステム20と、発電機50とを主たる構成機器として備える。蒸気タービンシステム20は、高圧タービン21と、低圧タービン22と、燃焼器80と、復水器23と、給水ポンプ24と、給水加熱器25とを備える。
【0146】
なお、高圧タービン21は、第1の蒸気タービンとして機能し、低圧タービン22は、第2の蒸気タービンとして機能する。燃焼器80は、第1の燃焼器として機能する。
【0147】
燃焼器80は、高圧タービン21の蒸気入口部に備えられる。なお、燃焼器80については、第4の実施の形態で説明したとおりである。
【0148】
高圧タービン21には、蒸気発生装置10から排出された蒸気の一部が冷却媒体供給管85を介して冷却媒体として導入される。高圧タービン21の蒸気出口と低圧タービン22の蒸気入口は、蒸気管36で連結されている。高圧タービン21から排出された蒸気は、蒸気管36を介して低圧タービン22に導入される。
【0149】
蒸気タービン発電設備6において、水素と酸素を燃焼させる燃焼器80を備えることの作用効果は、第4の実施の形態で説明したとおりである。また、蒸気発生装置10を備えることの作用効果は、第1の実施の形態で説明したとおりである。
【0150】
蒸気タービン発電設備6においても、熱源として酸素と水素の燃焼によって生じる反応熱を利用しているため、二酸化炭素(CO2)、窒素酸化物(NOx)などの温室効果ガスは排出されない。そのため、カーボンニュートラルが実現できる。さらに、蒸気タービン発電設備1において、温室効果ガス、大気汚染物質、水質汚濁物質などの環境排出物を排出しないため、ゼロエミッションの蒸気タービン発電設備が実現できる。
【0151】
(第6の実施の形態におけるその他の形態)
図15は、第6の実施の形態の蒸気タービン発電設備6におけるその他の形態を模式的に示す系統図である。
図15に示すように、蒸気タービン発電設備6におけるその他の形態は、蒸気発生装置10から排出された蒸気の一部を冷却媒体として高圧タービン21に導入する冷却媒体供給管85を備えない。
【0152】
燃焼器80から高圧タービン21に導入される蒸気の温度が、例えば、高圧タービン21における構成部材の耐熱温度以下の場合には、高圧タービン21に冷却媒体を導入することなく蒸気タービン発電設備を構成できる。
【0153】
この蒸気タービン発電設備6におけるその他の形態においても、上記した蒸気タービン発電設備6と同様の作用効果が得られる。
【0154】
(第7の実施の形態)
図16は、第7の実施の形態の蒸気タービン発電設備7の構成を模式的に示す系統図である。第7の実施の形態の蒸気タービン発電設備7は、
図14に示された第6の実施の形態の蒸気タービン発電設備6の構成に、高圧タービン21から排出された蒸気によって給水を加熱する構成を加えた構成である。そのため、ここでは、第6の実施の形態の蒸気タービン発電設備6の構成と異なる構成について主に説明する。
【0155】
図16に示すように、蒸気タービン発電設備7は、高圧タービン21から排出された蒸気によって給水を加熱する蒸気管熱交換部100を備える。蒸気管熱交換部100は、蒸気管36に備えられている。
【0156】
蒸気タービン発電設備7は、給水管39から給水を蒸気管熱交換部100に導出する給水導出管101と、蒸気管熱交換部100で加熱された給水を給水管39に導入する給水導入管102とを備える。
【0157】
給水導出管101の一端は、給水ポンプ24と給水加熱器25との間の給水管39に連結されている。給水導出管101の他端は、蒸気管熱交換部100に連結されている。給水導出管101には、蒸気管熱交換部100に導入する給水の流量を調整する流量調整弁101aが介在している。
【0158】
給水導入管102の一端は、給水導出管101が連結された位置よりも下流側の給水管39に連結されている。ここでは、給水導入管102の一端は、給水加熱器25と蒸気発生装置10との間の給水管39に連結された一例を示している。給水導入管102の他端は、蒸気管熱交換部100に連結されている。なお、図示しないが、給水導入管102に逆止弁を設けてもよい。これによって、給水管39から給水導入管102に給水が逆流することを防止できる。
【0159】
なお、排出管42は、例えば、給水ポンプ24と給水導出管101の給水管39との連結部との間の給水管39に連結されている。また、蒸気発生装置10および燃焼器80において生成された水蒸気に相当する分の水や蒸気を外部に排出する方法や、外部に排出された水や蒸気を利用する手段は、第1の実施の形態で記載したとおりである。
【0160】
流量調整弁101aが開かれている場合、給水管39を流れる給水の一部は、給水導出管101に導出され蒸気管熱交換部100に導かれる。蒸気管熱交換部100で加熱された給水は、給水導入管102を介して再び給水管39に導入される。給水の残部は、給水管39を介して、給水加熱器25を通り蒸気発生装置10に圧送される。この場合、高圧タービン21から排出された蒸気は、蒸気管熱交換部100を通ることで、給水に放熱する。そして、蒸気の温度は、例えば、低圧タービン22に導入する設定温度まで低下する。蒸気管熱交換部100を通過した蒸気は、低圧タービン22に導入される。
【0161】
なお、流量調整弁101aが閉じられている場合、給水の全量は、給水管39を介して、給水加熱器25を通り蒸気発生装置10に圧送される。
【0162】
ここで、給水導入管102の一端が、給水加熱器25と蒸気発生装置10との間の給水管39に連結される構成は、例えば、蒸気管熱交換部100で加熱された給水の温度が給水加熱器25で加熱された給水の温度よりも高い場合に好適である。
【0163】
蒸気タービン発電設備7によれば、燃焼器80から高圧タービン21に高温の蒸気が導入される場合、高圧タービン21から排出される蒸気の温度が、低圧タービン22に導入される蒸気の設定温度を超えることがある。
【0164】
そこで、蒸気管熱交換部100を備えることで、高圧タービン21から排出される蒸気によって給水の温度を上げるとともに、低圧タービン22に導入される蒸気の温度を適正な温度まで下げることができる。低圧タービン22に導入される余剰分の熱量を給水に与えることができるため、熱サイクルの熱効率が向上する。
【0165】
なお、蒸気タービン発電設備7において、上記した作用効果に加え、前述した第6の実施の形態の蒸気タービン発電設備6と同様の作用効果が得られる。
【0166】
(第7の実施の形態におけるその他の形態)
図17は、第7の実施の形態の蒸気タービン発電設備7におけるその他の形態を模式的に示す系統図である。蒸気タービン発電設備7におけるその他の形態は、給水管39から蒸気管熱交換部100への給水の導出構成および蒸気管熱交換部100から給水管39への給水の導入構成が、
図16に示された蒸気タービン発電設備7の構成と異なる。
【0167】
図17に示すように、復水器23から蒸気発生装置10に給水を供給する給水管39は、蒸気管熱交換部100を経由して設けられている。給水管39は、例えば、
図17に示すように、給水ポンプ24と給水加熱器25との間で蒸気管熱交換部100を経由するように構成されている。すなわち、給水は、給水加熱器25よりも上流側で蒸気管熱交換部100において加熱される。なお、排出管42は、例えば、給水ポンプ24と蒸気管熱交換部100との間の給水管39に連結されている。
【0168】
給水管39を流れる給水は、蒸気管熱交換部100に流入して蒸気管36を流れる蒸気と熱交換する。この熱交換によって、給水は、蒸気によって加熱される。一方、蒸気の温度は、例えば、低圧タービン22に導入する設定温度まで低下する。
【0169】
ここで、給水管39において蒸気管熱交換部100よりも下流側に給水加熱器25を備える構成は、例えば、蒸気管熱交換部100で加熱された給水の温度が給水加熱器25に導入される抽気の温度よりも低い場合に適用される。
【0170】
ここで、
図17に示すように、給水管39に蒸気管熱交換部100をバイパスするパイパス管105を備えてもよい。すなわち、パイパス管105は、蒸気管熱交換部100を経由しないように設けられている。パイパス管105は、給水ポンプ24と蒸気管熱交換部100との間の給水管39と、蒸気管熱交換部100と給水加熱器25との間の給水管39とを連結する配管である。パイパス管105を流れる給水は、蒸気管熱交換部100を通らずに、給水加熱器25に導入される。
【0171】
パイパス管105には、流量調整弁106が介在している。パイパス管105を備えることで、低圧タービン22に導入される冷却媒体の温度を調整することができる。なお、流量調整弁106を閉じているときには、給水の全量が蒸気管熱交換部100を通り給水加熱器25に導入される。
【0172】
なお、図示しないが、給水管39において、例えば、パイパス管105の下流端と連結する下流連結部と蒸気管熱交換部100との間に逆止弁を設けてもよい。これによって、パイパス管105に給水を流す場合、下流連結部から給水管39に給水が逆流することを防止できる。
【0173】
ここで、蒸気タービン発電設備7におけるその他の形態において、給水管39は、給水ポンプ24と給水加熱器25との間で蒸気管熱交換部100を経由する一例を示したが、この構成に限られない。
【0174】
図18は、第7の実施の形態の蒸気タービン発電設備7におけるその他の形態を模式的に示す系統図である。
図18に示すように、給水管39は、給水加熱器25と蒸気発生装置10との間で蒸気管熱交換部100を経由してもよい。
【0175】
この構成は、例えば、蒸気管熱交換部100で加熱された給水の温度が給水加熱器25で加熱された給水の温度よりも高い場合に好適である。
【0176】
図17および
図18に示された蒸気タービン発電設備7におけるその他の形態において、その他の形態における作用効果に加えて、上記した蒸気タービン発電設備7と同様の作用効果が得られる。
【0177】
ここで、前述した第2実施の形態の蒸気タービン発電設備2から第7実施の形態の蒸気タービン発電設備7に、
図2および
図3に示された第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備1におけるその他の形態の複数の給水加熱器25、26、27を備える構成を適用してもよい。
【0178】
第2実施の形態の蒸気タービン発電設備2から第7実施の形態の蒸気タービン発電設備7において複数の給水加熱器25、26、27を備えることによる作用効果は、
図2および
図3に示された第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備1におけるその他の形態の複数の給水加熱器25、26、27を備えることによる作用効果と同じである。
【0179】
以上説明した実施形態によれば、酸素水素燃焼を用いることで、蒸気発生装置における熱損失の低減および高効率化が図れるとともに、温室効果ガスなどの排出を防止することが可能となる。
【0180】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0181】
1、2、3、4、5、6、7…蒸気タービン発電設備、10…蒸気発生装置、11、31、81…水素供給部、12、32、82…酸素供給部、13…給水供給部、20…蒸気タービンシステム、21…高圧タービン、22…低圧タービン、23…復水器、24…給水ポンプ、25、26、27…給水加熱器、28…中圧タービン、30、80…燃焼器、35…主蒸気管、36、47…蒸気管、37、85…冷却媒体供給管、38、41、41a、42…排気管、39…給水管、40、40a、40b、40c…抽気管、45、48、95、105…パイパス管、46、49、61a、71a、91a、96、101a、106…流量調整弁、50…発電機、60…排気管熱交換部、61、71、91、101、111…給水導出管、62、72、92、102、112…給水導入管、70、90、100…蒸気管熱交換部、110…減温部。