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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030143
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20240229BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
F25D23/02 306M
F25D11/00 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132739
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】氏田 慶彦
(72)【発明者】
【氏名】武下 正憲
(72)【発明者】
【氏名】磯野 啓博
(72)【発明者】
【氏名】合野 一彰
【テーマコード(参考)】
3L045
3L102
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA02
3L045MA02
3L045MA07
3L045MA08
3L045PA02
3L045PA04
3L102JA01
3L102KA01
3L102KB16
(57)【要約】
【課題】貯蔵室内に設けられた庫内操作表示部における消費電力を低減することができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】前面に開口部を有する貯蔵室10が設けられた冷蔵庫本体2と、開口部に設けられた扉20aと、扉20aを前方へ押圧して扉20aを開く開扉装置50aと、扉20aを開扉するのに必要な開き力を推定する推定部71と、開扉装置50aが扉20aを押圧する押圧力を調整する出力調整部72と、を備え、出力調整部72は、推定部71が推定した開き力に基づいて、開扉装置50aが扉20aを押圧する押圧力を調整する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口部を有する貯蔵室が設けられた冷蔵庫本体と、前記開口部に設けられた扉と、前記扉を前方へ押圧して前記扉を開く開扉装置と、前記扉を開扉するのに必要な開き力を推定する推定部と、前記開扉装置が前記扉を押圧する押圧力を調整する出力調整部と、を備え、
前記出力調整部は、前記推定部が推定した前記開き力に基づいて、前記開扉装置が前記扉を押圧する押圧力を調整する冷蔵庫。
【請求項2】
前記貯蔵室の温度を検出する温度検出部と、前記開扉装置を動作させる使用者からの操作を受け付ける開扉操作部と、前記扉の開閉を検出する開閉検出部とを備え、
前記推定部は、前記開扉操作部が前記操作を受け付けることに応じて前記温度検出部が検出した前記貯蔵室の温度と、前回の前記扉の閉扉を前記開閉検出部が検出したことに応じて前記温度検出部が検出した前記貯蔵室の温度との温度差に基づいて前記開き力を推定する請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記貯蔵室の湿度又は冷蔵庫の設置雰囲気の湿度を検出する湿度検出部と、前記扉の開閉を検出する開閉検出部とを備え、
前記推定部は、前回の前記扉の閉扉を前記開閉検出部が検出したことに応じて前記湿度検出部が検出した前記貯蔵室の湿度又は冷蔵庫の設置雰囲気の湿度に基づいて前記開き力を推定する請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記貯蔵室内の気圧と冷蔵庫の設置雰囲気の気圧との気圧差を検出する気圧差検出部を備え、
前記推定部は、前記気圧差検出部が検出した気圧差に基づいて前記開き力を推定する請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記扉の重量を検出する扉重量検出部を備え、
前記推定部は、前記扉重量検出部が検出した前記扉の重量に基づいて前記開き力を推定する請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記扉は、前記扉の庫内側に貯蔵物を収納する扉収納部を備え、
前記扉重量検出部は、前記扉収納部に収納された貯蔵物の重量を検出する請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記扉を回動可能に支持する扉支持部を備え、
前記扉重量検出部は、前記扉支持部に支持された前記扉の重量を検出する請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記冷蔵庫本体の傾きを検出する傾斜検出部を備え、
前記推定部は、前記傾斜検出部が検出した前記冷蔵庫本体の傾きに基づいて前記開き力を推定する請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記押圧力を調整する使用者の操作を受け付け可能な操作部を備え、
前記出力調整部は、前記推定部が推定した前記開き力と、前記操作部に対する使用者の操作とに基づいて前記押圧力を調整する請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記押圧力を調整する使用者の操作を受け付け可能な操作部を備え、
前記出力調整部は、前記操作部に対する使用者の操作が行われると、前記操作部に対する使用者の操作に基づいて、前記押圧力を調整する請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項11】
前記扉の開閉時に音を検出する音検出部を備え、
前記出力調整部は、前記音検出部が検出した音に基づいて前記押圧力を調整する請求項1に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫では、扉のタッチ操作など使用者の所定操作を感知して、扉を前方へ押圧して扉を開く開扉装置を備えたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-17021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の開扉装置では、扉が開扉しにくい状態にあっても開扉することができるように、扉を前方へ押圧する押圧力を設定している。そのため、扉が開扉しやすい状態にあると、開扉装置によって扉が勢いよく開扉することがあり、扉に収容されている貯蔵物が飛び出すなどの不具合が発生することがある。
【0005】
そこで、本発明は、適切な押圧力で扉を開扉することができる開扉装置を備えた冷蔵庫を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の冷蔵庫は、前面に開口部を有する貯蔵室が設けられた冷蔵庫本体と、前記開口部に設けられた扉と、前記扉を前方へ押圧して前記扉を開く開扉装置と、前記扉を開扉するのに必要な開き力を推定する推定部と、前記開扉装置が前記扉を押圧する押圧力を調整する出力調整部と、を備え、前記出力調整部は、前記推定部が推定した前記開き力に基づいて、前記開扉装置が前記扉を押圧する押圧力を調整するものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の冷蔵庫の扉を開いた状態の斜視図
図2図1の冷蔵庫の扉を閉じた状態の正面図
図3図1の冷蔵庫の扉を閉じた状態の断面図
図4図1の冷蔵庫の電気的構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態について図面に基づき説明する。以下の実施形態は例示であり、発明の範囲はこれに限定されない。以下の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。以下の実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0009】
以下の説明において、左右方向、前後方向、上下方向とは、冷蔵庫を正面から見たときの方向を示し、左右方向は冷蔵庫の幅方向に相当する。また、右、左、上、下、前、後、奥、背、手前とは、特に規定がない場合には冷蔵庫を正面から見たときの位置や側などを示し、冷蔵庫の扉については閉扉状態において冷蔵庫を正面から見たときの位置や側などを示す。
【0010】
(1)冷蔵庫1の構成
本実施形態の冷蔵庫1の構成について図面を参照して説明する。図1図3に示すように、本実施形態に係る冷蔵庫1は、前面に開口する断熱箱体からなる冷蔵庫本体2を備える。
【0011】
冷蔵庫本体2は、鋼板製の外箱と合成樹脂製の内箱との間に形成された断熱空間に真空断熱材のようなパネル状断熱材や発泡断熱材等の断熱材を有して構成されている。冷蔵庫本体2は内箱の内側に複数の貯蔵空間が設けられており、貯蔵空間が断熱仕切壁3によって上下に区画されている。
【0012】
断熱仕切壁3の上方の空間は、内部がさらに仕切壁4によって上下に区画されている。仕切壁4の上方には冷蔵室10が設けられ、仕切壁4の下方には野菜室11が設けられている。冷蔵室10及び野菜室11は、冷蔵室10の後面に設けられた冷蔵室温度検出部15の検出温度に基づいて冷蔵温度帯(例えば、1~4℃)に冷却される。
【0013】
断熱仕切壁3の下方の空間には、自動製氷機を備えた製氷室12と第1冷凍室13とが左右に併設され、その下方に第2冷凍室14が設けられている。製氷室12、第1冷凍室13及び第2冷凍室14は、第2冷凍室14の後面に設けられた冷凍室温度検出部16の検出温度に基づいて冷凍温度帯(例えば、-17℃以下)に冷却される。
【0014】
冷蔵室10の前面開口部には、観音開き式の左扉20a及び右扉20bが設けられている。2枚の扉20a、20bのうち、正面から見て左側の左扉20aは、左扉20aの左端上部が上側支持部30aにより冷蔵庫本体2に回動可能に支持され、左端下部が下側支持部31aにより冷蔵庫本体2に回動可能に支持されている。また、正面から見て右側の右扉20bは、右扉20bの右端上部が上側支持部30bにより冷蔵庫本体2に回動可能に支持され、右端下部が下側支持部31bにより冷蔵庫本体2に回動可能に支持されている。左扉20a及び右扉20bは、上側支持部30a,30b及び下側支持部31a,31bの周りを回動することで冷蔵室10の前面開口部を開閉する。
【0015】
左扉20a及び右扉20bの貯蔵室側には、それぞれ複数段(本実施形態では、3段)の扉収納部32a,32bが上下に間隔をあけて取り付けられている。
【0016】
冷蔵室10の前面開口部の周縁部には、左扉20aの開閉を検出する開閉検出部33aと、右扉20bの開閉を検出する開閉検出部33bが設けられている。
【0017】
左扉20aには、冷蔵庫1の運転モードの設定の入力や冷蔵庫1の運転状態等を確認することができる操作表示部25が設けられている。操作表示部25は、ユーザから冷蔵庫1の各種操作を受け付ける操作部として機能するとともに、表示装置として機能する。
【0018】
また、左扉20a及び右扉20bの前面には、使用者の操作によって開扉装置50a,50bを作動させる開扉操作部26a,26bが設けられている。
【0019】
野菜室11、製氷室12、第1冷凍室13、及び第2冷凍室14の前面開口部は、引き出し式の扉21,22,23,24により開閉される。引き出し式の各扉21,22,23,24の裏側には、収納容器21a,22a,23a,24aが設けられている。
【0020】
冷蔵室10及び野菜室11の後部には、第1冷却器室40が設けられている。第1冷却器室40には、第1冷却器41及び第1送風機42が設けられている。第1送風機42は、第1冷却器41で冷却した第1冷却器室40内の空気を、第1流路43を介して冷蔵室10へ供給する。冷蔵室10へ供給された空気は、冷蔵室10及び野菜室11を循環した後、第1冷却器室40に吸い込まれ、第1冷却器41で再び冷却される。
【0021】
また、製氷室12、第1冷凍室13及び第2冷凍室14の後部には、第2冷却器室44が設けられている。第2冷却器室44には、第2冷却器45及び第2送風機46が設けられている。第2送風機46は、第2冷却器45で冷却した第2冷却器室44内の空気を、第2流路47を介して製氷室12、第1冷凍室13及び第2冷凍室14へ供給する。製氷室12、第1冷凍室13及び第2冷凍室14に供給された空気は、これらの貯蔵室を循環した後、第2冷却器室44に吸い込まれ、第2冷却器45で再び冷却される。
【0022】
冷蔵庫1の下部後方には機械室5が設けられている。機械室5には圧縮機48や凝縮器(不図示)等が収納されている。圧縮機48、凝縮器、第1冷却器41、第2冷却器45等は冷凍サイクルと呼ばれる冷却機構を構成している。圧縮機48で圧縮された冷媒が第1冷却器41及び第2冷却器45に交互に流れ、冷媒が流れたときにそれぞれの冷却器で冷気が発生する。
【0023】
冷蔵庫本体2の上壁の前端部には、開扉装置50a、50bが設けられるとともに、スピーカのような音出力部51及びマイクのような音検出部52が設けられている。また、図3に示すように、冷蔵庫本体2の上壁の後端部には、冷蔵庫1を制御する制御基板6が設けられている。
【0024】
制御基板6は、マイコンよりなる制御部7と、フラッシュメモリ等の読み書き可能な記憶部8とを備え、冷蔵庫1の動作全般を制御する。図4に示すように、制御部7は、機器アダプタ9に接続されている。機器アダプタ9は、冷蔵庫1が設置された宅内に整備された無線LAN等の狭域通信ネットワークを介してインターネットを含む広域通信ネットワークと接続されている。
【0025】
(2)開扉装置50a、50bの構成
開扉装置50a、50bは、冷蔵庫本体2に設けられ、閉扉状態から扉20a,20bが所定量移動して開扉し始める開扉初期段階までの間、扉20a、20bを前方へ押圧し、その後、慣性によって扉20a,20bを開扉させる。
【0026】
具体的には、開扉装置50aは、左扉20aの上端部の後方に配置されている。開扉装置50aは、ソレノイドを備え、ソレノイドが有するコイルに駆動電流が供給されると、プランジャ50a1が前方へ移動し、左扉20aを前方に押し出す。これにより、開扉装置50aは、左扉20aを自動で開くことができる。
【0027】
また、開扉装置50bは、右扉20bの上端部の後方に配置されている。開扉装置50bは、開扉装置50aと同様、ソレノイドを備え、ソレノイドが有するコイルに電流が供給されると、プランジャ50b1が前方へ移動し、右扉20bを前方に押し出す。これにより、開扉装置50bは、右扉20bを自動で開くことができる。
【0028】
(3)冷蔵庫1の電気的構成
制御基板6に設けられた制御部7には、図4に示すように、記憶部8、機器アダプタ9、冷蔵室温度検出部15、冷凍室温度検出部16、操作表示部25、開扉操作部26a,26b、開閉検出部33a、33b、第1送風機42、第2送風機46、圧縮機48、開扉装置50a、50b、音出力部51、音検出部52等の電気部品が電気接続されている。
【0029】
制御部7は、冷蔵室温度検出部15、冷凍室温度検出部16、開閉検出部33a、33b等の各種検出部による検出信号や、使用者の操作によって操作表示部25から出力された操作信号等が入力されると、記憶部8に記憶された制御プログラムに基づいて、第1送風機42及び第2送風機46の運転強度の設定、圧縮機48の運転周波数の設定などを制御することで、各室を所定温度に冷却する。
【0030】
また、制御部7は、開扉操作部26a,26bによる検出信号が入力されると、開扉装置50a、50bの動作を制御して、左扉20a及び右扉20bを開扉する。
【0031】
(4)制御部7による開扉装置50a、50bの制御
次に、制御部7による開扉装置50a、50bの制御について説明する。
【0032】
制御部7は、左扉20aに設けられた開扉操作部26aが使用者の操作を受け付けた場合に、開扉装置50aに駆動電流を供給することで、プランジャ50a1を前方へ移動させて、左扉20aを前方に押し出し、左扉20aを開扉する。また、制御部7は、右扉20bに設けられた開扉操作部26bが使用者の操作を受け付けた場合に、開扉装置50bに駆動電流を供給することで、プランジャ50b1を前方へ移動させて、右扉20bを前方に押し出し、右扉20bを開扉する。
【0033】
また、制御部7は、記憶部8に記憶されたプログラムを実行することで、推定部71及び出力調整部72として機能する。推定部71及び出力調整部72は、開扉装置50a及び開扉装置50bによって左扉20a及び右扉20bを開扉する際に、プランジャ50a1及びプランジャ50b1が左扉20a及び右扉20bを前方へ押圧する押圧力を調整する。
【0034】
なお、開扉装置50a及び開扉装置50bの制御は、プランジャ50a1、50b1の押圧力の大きさが異なっているが、基本的な制御が共通しているため、開扉装置50aの制御について説明し、開扉装置50bの制御について説明を省略する。
【0035】
具体的には、推定部71は、左扉20aを開扉するのに必要な開き力を推定する。推定部71において推定する開き力は、日本工業規格(JISA 1519:2020)に規定された開き力測定試験によって測定される左扉20aの開き力の大きさであってもよいが、左扉20aが冷蔵室10の前面を閉じた閉扉位置から所定の開き位置まで左扉20aを移動させるのに要する力の大小を、多段階(例えば、「大」、「中」、「小」の3段階)で評価した評価結果であってもよい。
【0036】
本実施形態において推定部71は、開扉操作部26aが使用者の操作を受け付けたことに応じて冷蔵室温度検出部15が検出した冷蔵室10の検出温度Taと、前回の左扉20aの閉扉を開閉検出部33aが検出したことに応じて(つまり、前回左扉20aが閉扉されたことに応じて)冷蔵室温度検出部15が検出した冷蔵室10の検出温度Tbとの温度差ΔT(ΔT=Tb-Ta)に基づいて、左扉20aを開扉するのに必要な開き力を推定する。ここで、「前回の左扉20aの閉扉」とは、1つ前に左扉20aが閉扉されたこと、つまり、現時点から遡って最初に左扉20aが閉扉されたことを意味し、直近に閉扉されたと同義である。
【0037】
すなわち、前回の左扉20aが閉扉した際に庫外の空気が冷蔵室10に取り込まれる。冷蔵室10に取り込まれた庫外の空気は、閉扉後に冷却されると、熱収縮によって体積が減少するとともに、含有する水蒸気量の減少によって体積が減少する。そのため、上記の温度差ΔTが大きいほど、冷蔵室10内の空気の体積が小さくなることに伴って、冷蔵室10内と冷蔵庫1の設置雰囲気との気圧差が大きくなり、左扉20aが開扉しにくくなる。
【0038】
そこで、推定部71は、温度差ΔTが大きいほど左扉20aが開扉しにくく、開き力が大きいと推定する。一例を挙げると、温度差ΔTが20℃以上の場合は開き力が「大」と推定し、温度差ΔTが10℃以上20℃未満の場合は開き力が「中」と推定し、温度差ΔTが10℃未満の場合は開き力が「小」と推定する。
【0039】
出力調整部72は、推定部71が推定した開き力に基づいて、開扉装置50aが左扉20aを前方へ押圧する押圧力を調整する。すなわち、推定部71が推定した開き力が大きくなるにつれて、出力調整部72は開扉装置50aが左扉20aを前方へ押圧する押圧力を大きくなるように押圧力を調整する。
【0040】
出力調整部72は、開扉装置50aに供給する駆動電流を調整してプランジャ50a1の作動量を調整することで、プランジャ50a1が左扉20aを前方へ押圧する押圧力を調整する。
【0041】
例えば、出力調整部72は、開扉装置50aに供給するパルス電流のデューティ比を調整することで開扉装置50aに供給する駆動電流の総電流量を調整する。出力調整部72は、電圧を印加するON状態にある時間を長く設定してデューティ比を大きくすることで、プランジャ50a1の作動量が大きくなり、プランジャ50a1が左扉20aを前方へ押圧する押圧力が大きくなる。また、電圧を印加するON状態にある時間を短く設定してデューティ比を小さくすることで、プランジャ50a1の作動量が小さくなり、プランジャ50a1が左扉20aを前方へ押圧する押圧力が小さくなる。
【0042】
本実施形態では、出力調整部72は、デューティ比を段階的に調整することで、開扉装置50aが発生する左扉20aへの押圧力を段階的に変更する。一例を挙げると、推定部71が推定した開き力が「大」の場合、出力調整部72はデューティ比をD1(例えば、D1=80%)に設定し、推定部71が推定した開き力が「中」の場合、出力調整部72はデューティ比をD1より小さいD2(例えばD2=50%)に設定し、推定部71が推定した開き力が「小」の場合、出力調整部72はデューティ比をD2より小さいD3(例えば、D3=20%)に設定する。
【0043】
なお、本明細書において「開扉操作部26aが使用者の操作を受け付けたことに応じて冷蔵室温度検出部15が検出した冷蔵室10の検出温度Ta」とは、開扉操作部26aが使用者の操作を受け付けたときに冷蔵室温度検出部15が検出した検出温度Taだけでなく、開扉操作部26aが使用者の操作を受け付けたときから遡って所定時間以内に冷蔵室温度検出部15が検出した検出温度Taや、開扉操作部26aが使用者の操作を受け付けたときから所定時間以内に冷蔵室温度検出部15が検出した検出温度Taであってもよい。
【0044】
例えば、冷蔵庫1が動作している間、冷蔵室温度検出部15が所定時間毎(例えば、1分間毎)に冷蔵室10の温度を定期的に検出する場合、開扉操作部26aが使用者の操作を受け付けたときから遡って所定時間以内に冷蔵室温度検出部15が検出した冷蔵室10の温度を検出温度Taとしてもよく、開扉操作部26aが使用者の操作を受け付けたときから左扉20aを開扉するまでの間に冷蔵室温度検出部15が検出した冷蔵室10の温度を検出温度Taとしてもよく、また、開扉操作部26aが使用者の操作を受け付けると、冷蔵室温度検出部15による定期的な冷蔵室10の温度検出とは別に冷蔵室温度検出部15が冷蔵室10の温度を検出し、これを検出温度Taとしてもよい。
【0045】
また、本明細書において「前回の左扉20aの閉扉を開閉検出部33aが検出したことに応じて冷蔵室温度検出部15が検出した冷蔵室10の検出温度Tb」とは、左扉20aの閉扉を開閉検出部33aが検出したときに冷蔵室温度検出部15が検出した検出温度Tbだけでなく、左扉20aの閉扉を開閉検出部33aが検出したときから所定時間が経過するまでに冷蔵室温度検出部15が検出した検出温度Tbであってもよい。
【0046】
(5)効果
本実施形態の冷蔵庫1では、推定部71が推定した左扉20aの開き力が大きくなるにつれて、出力調整部72は開扉装置50aで発生する押圧力を大きくするため、適切な押圧力で扉を開扉することができる。
【0047】
(6)変更例
上記の実施形態の変更例を説明する。上記の実施形態に対して、以下に説明する複数の変更例のうちいずれか1つを適用しても良いし、以下に説明する変更例のうちいずれか2つ以上を組み合わせて適用しても良い。また、以下の変更例の他にも様々な変更が可能である。
【0048】
(変更例1)
冷蔵庫1の設置雰囲気の温度を検出する庫外温度検出部を設け、推定部71が、開扉操作部26aが使用者の操作を受け付けたことに応じて冷蔵室温度検出部15が検出した冷蔵室10の検出温度Taと、前回の左扉20aの閉扉を開閉検出部33aが検出したことに応じて庫外温度検出部が検出した検出温度Tcとの温度差ΔT’(ΔT’=Tc-Ta)に基づいて、左扉20aを開扉するのに必要な開き力を推定してもよい。
【0049】
温度差ΔT’が大きいほど、熱収縮と水蒸気量の減少とによって冷蔵室10内の空気の体積が小さくなるため、冷蔵室10内と冷蔵庫1の設置雰囲気との気圧差が大きくなり、左扉20aが開扉しにくくなる。
【0050】
そこで、本変更例では、推定部71は、温度差ΔT’が大きいほど、冷蔵室10内と冷蔵庫1の設置雰囲気との気圧差が大きく左扉20aが開扉しにくくなり、開き力が大きいと推定する。
【0051】
本変更例であっても、推定部71が左扉20aの開き力を推定することができ、適切な押圧力で左扉20aを開扉することができる。
【0052】
なお、「前回の左扉20aの閉扉を開閉検出部33aが検出したことに応じて庫外温度検出部が検出した検出温度Tc」とは、左扉20aの閉扉を開閉検出部33aが検出したときに庫外温度検出部が検出した検出温度Tcだけでなく、左扉20aの閉扉を開閉検出部33aが検出したときから遡って所定時間以内に庫外温度検出部が検出した検出温度Tcや、左扉20aの閉扉を開閉検出部33aが検出したときから所定時間が経過するまでに庫外温度検出部が検出した検出温度Tcであってもよい。
【0053】
(変更例2)
冷蔵室10の湿度を検出する湿度検出部を設け、推定部71が、前回の左扉20aの閉扉を開閉検出部33aが検出したことに応じて湿度検出部が検出した冷蔵室10の検出湿度Hに基づいて、左扉20aを開扉するのに必要な開き力を推定してもよい。
【0054】
つまり、前回の左扉20aの閉扉を開閉検出部33aが検出したときに湿度検出部が検出した冷蔵室10の検出湿度Hや、前回の左扉20aの閉扉を開閉検出部33aが検出したときから所定時間が経過するまでに湿度検出部が検出した冷蔵室10の検出湿度Hに基づいて、左扉20aを開扉するのに必要な開き力を推定してもよい。
【0055】
冷蔵室10に取り込まれた庫外の空気は、検出湿度Hが大きいほど、閉扉後に冷却されると、含有する水蒸気量の減少によって体積が小さくなるため、冷蔵室10内と冷蔵庫1の設置雰囲気との気圧差が大きくなり、左扉20aが開扉しにくくなる。
【0056】
そこで、本変更例では、推定部71は、検出湿度Hが大きいほど、冷蔵室10内と冷蔵庫1の設置雰囲気との気圧差が大きく左扉20aが開扉しにくくなり、開き力が大きいと推定する。
【0057】
本変更例であっても、推定部71が左扉20aの開き力を推定することができ、適切な押圧力で左扉20aを開扉することができる。
【0058】
なお、冷蔵庫1の設置雰囲気の湿度を検出する湿度検出部を設け、推定部71が、前回の左扉20aの閉扉を開閉検出部33aが検出したことに応じて湿度検出部が検出した冷蔵庫1の設置雰囲気の検出湿度Hに基づいて、左扉20aを開扉するのに必要な開き力を推定してもよい。 つまり、前回の左扉20aの閉扉を開閉検出部33aが検出したときに湿度検出部が検出した冷蔵庫1の設置雰囲気の検出湿度Hや、前回の左扉20aの閉扉を開閉検出部33aが検出したときから遡って所定時間以内に湿度検出部が検出した冷蔵庫1の設置雰囲気の検出湿度Hや、前回の左扉20aの閉扉を開閉検出部33aが検出したときから所定時間が経過するまでに湿度検出部が検出した冷蔵庫1の設置雰囲気の検出湿度Hに基づいて、左扉20aを開扉するのに必要な開き力を推定してもよい。
【0059】
(変更例3)
冷蔵室10内の気圧を検出する冷蔵室気圧検出部と、冷蔵庫1の設置雰囲気の気圧を検出する庫外気圧検出部を設け、推定部71が、開扉操作部26aが使用者の操作を受け付けたことに応じて冷蔵室気圧検出部が検出した検出気圧Baと、庫外気圧検出部が検出した検出気圧Bbとの気圧差ΔB(ΔB=Bb-Ba)に基づいて開き力を推定する。
【0060】
つまり、推定部71は、開扉操作部26aが使用者の操作を受け付けたとき、開扉操作部26aが使用者の操作を受け付けたときから遡って所定時間以内、あるいは、開扉操作部26aが使用者の操作を受け付けたときから所定時間が経過するまでに、冷蔵室気圧検出部及び庫外気圧検出部が検出気圧Ba及び検出気圧Bbを検出し、気圧差ΔBを取得する。そして、推定部71は、取得した気圧差ΔBが大きいほど、左扉20aが開扉しにくく開き力が大きいと推定する。
【0061】
本変更例であっても、推定部71が左扉20aの開き力を推定することができ、適切な押圧力で左扉20aを開扉することができる。
【0062】
(変更例4)
左扉20aの重量を検出する扉重量検出部を設け、前回の左扉20aが閉扉してから左扉20aが開扉するまでの間(例えば、左扉20aが閉扉した直後や、左扉20aが開扉する直前)に扉重量検出部が検出した検出重量が大きいほど、推定部71は、左扉20aが開扉しにくく、開き力が大きいと推定する。
【0063】
扉重量検出部は、左扉20aに設けられた扉収納部32aの底面等に設けられ、扉収納部に収納された貯蔵物の重量を検出する重量センサであってもよい。また、扉重量検出部は、左扉20aの下部を支持する下側支持部31aに設けられ、下側支持部31aに支持された左扉20aの重量を検出する重量センサであってもよい。
【0064】
本変更例であっても、推定部71が左扉20aの開き力を推定することができ、適切な押圧力で左扉20aを開扉することができる。
【0065】
(変更例5)
冷蔵庫本体2の傾きを検出する傾斜検出部を設け、推定部71が、傾斜検出部が検出した冷蔵庫本体2の傾きに基づいて、左扉20aを開扉するのに必要な開き力を推定してもよい。
【0066】
具体的には、傾斜検出部は、冷蔵庫本体2の傾きとして鉛直方向に対する冷蔵庫本体2前面の傾斜角度θを検出する。推定部71は、冷蔵庫本体2前面が上方に向かうほど前方へ傾く方向への傾斜角度θが大きいほど、重力が左扉20aを前方へ引っ張る力が大きくなるため、開き力が小さいと推定する。また、推定部71は、冷蔵庫本体2前面が上方に向かうほど後方へ傾く方向への傾斜角度θが大きいほど、重力が左扉20aを後方へ引っ張る力が大きくなるため、開き力が大きいと推定する。
【0067】
傾斜検出部には、例えば、振り子式やフロート式の傾斜センサや加速度センサ等を用いることができる。傾斜検出部は、冷蔵庫本体2や左扉20a等の冷蔵庫1の任意の位置に設けることができるが、傾斜角度θを正確に測定しやすいことから、左扉20aが開閉する開口部の上部や左扉20aの上部に設けることが好ましい。
【0068】
本変更例であっても、推定部71が左扉20aの開き力を推定することができ、適切な押圧力で左扉20aを開扉することができる。
【0069】
なお、傾斜検出部は、左扉20aの閉扉中の任意のタイミングで傾斜角度θを検出することができる。
【0070】
(変更例6)
出力調整部72は、推定部71が推定した開き力と、操作表示部25に対する使用者の操作とに基づいて、開扉装置50aが左扉20aを前方へ押圧する押圧力を調整してもよい。
【0071】
すなわち、操作表示部25は、使用者から開扉装置50aの押圧力を調整する操作を受け付ける。操作表示部25は、開扉装置50aの押圧力を、多段階(例えば、「大」、「中」、「小」の3段階や、「強度1」~「強度9」までの9段階等)で設定可能であったり、無段階で設定することができる。
【0072】
操作表示部25が使用者より開扉装置50aの押圧力の設定を受け付けると、出力調整部72は、操作表示部25から設定された押圧力に基づいて、開扉装置50aが左扉20aを前方へ押圧する押圧力を仮設定する。
【0073】
そして、出力調整部72は、推定部71が推定した開き力に基づいて、仮設定した押圧力を調整することで、開扉装置50aが左扉20aを前方へ押圧する押圧力を決定する。
【0074】
例えば、操作表示部25が開扉装置50aの押圧力を「大」、「中」、「小」の3段階で設定可能である場合において、操作表示部25から受け付けた押圧力の設定が「大」であると、出力調整部72は、開扉装置50aに供給するパルス電流のデューティ比をD1(例えば、D1=80%)に仮設定し、操作表示部25から受け付けた押圧力の設定が「中」であると、出力調整部72はデューティ比をD1より小さいD2(例えば、D2=50%)に仮設定し、操作表示部25から受け付けた押圧力の設定が「小」であると、出力調整部72はデューティ比をD2より小さいD3(例えば、D3=20%)に仮設定する。
【0075】
そして、出力調整部72は、推定部71が推定した開き力が「大」である場合、仮設定したデューティ比を所定量増加させ、推定部71が推定した開き力が「中」である場合、仮設定した開扉装置50aのデューティ比をそのまま維持し、推定部71が推定した開き力が「小」である場合、仮設定した開扉装置50aのデューティ比を所定量減少させることで、開扉装置50aに供給するパルス電流のデューティ比を決定する。
【0076】
これにより、出力調整部72は、推定部71が推定した開き力に基づいて、操作表示部25から受け付けた押圧力に基づいて仮設定したデューティ比を所定範囲内で修正する。
【0077】
なお、本変更例では、操作表示部25から設定可能な異なる押圧力との間で、デューティ比が重複しないように、修正可能なデューティ比の範囲を設定することが好ましい。
【0078】
例えば、操作表示部25から受け付けた押圧力の設定が「大」の場合に、推定部71が推定した開き力に基づいて、出力調整部72が修正可能なデューティ比の範囲を70%~90%に設定すると、操作表示部25から受け付けた押圧力の設定が「中」の場合に、出力調整部72が修正可能なデューティ比の範囲を70%より小さい範囲(例えば、40%~60%)に設定し、操作表示部25から受け付けた押圧力の設定が「小」の場合に、出力調整部72が修正可能なデューティ比の範囲を40%より小さい範囲(例えば、10%~30%)に設定することが好ましい。
【0079】
本変更例では、操作表示部25から使用者が設定した開扉装置50aの押圧力を、推定部71が推定した開き力に基づいて調整する。そのため、使用者が設定した押圧力を優先させつつ、左扉20aの開き力に応じてこれを修正することができ、適切な押圧力で左扉20aを開扉することができる。
【0080】
(変更例7)
変更例6では、操作表示部25から使用者が設定した開扉装置50aの押圧力を、推定部71が推定した開き力に基づいて調整する場合について説明したが、推定部71が推定した開き力に基づいて開扉装置50aの押圧力を仮設定し、操作表示部25から使用者が設定した開扉装置50aの押圧力に基づいて仮設定した押圧力を調整してもよい。
【0081】
例えば、推定部71が推定した開き力を「大」、「中」、「小」の3段階で評価する場合において、推定部71が推定した開き力が「大」であると、出力調整部72は、開扉装置50aに供給するパルス電流のデューティ比をD1(例えば、D1=80%)に仮設定し、推定部71が推定した開き力が「中」であると、出力調整部72はデューティ比をD1より小さいD2(例えば、D2=50%)に仮設定し、推定部71が推定した開き力が「小」であると、出力調整部72はデューティ比をD2より小さいD3(例えば、D3=20%)に仮設定する。
【0082】
そして、出力調整部72は、操作表示部25から受け付けた押圧力の設定が「大」である場合、仮設定したデューティ比を所定量増加させ、操作表示部25から受け付けた押圧力の設定が「中」である場合、仮設定した開扉装置50aのデューティ比をそのまま維持し、操作表示部25から受け付けた押圧力の設定が「小」である場合、仮設定した開扉装置50aのデューティ比を所定量減少させることで、開扉装置50aに供給するパルス電流のデューティ比を決定する。これにより、出力調整部72は、操作表示部25から受け付けた押圧力の設定に基づいて、推定部71が推定した開き力に基づいて仮設定したデューティ比を所定範囲内で修正する。
【0083】
なお、本変更例では、推定部71が推定した異なる開き力の間で、デューティ比の一部が重複するように、修正可能なデューティ比の範囲を設定することが好ましい。
【0084】
例えば、推定部71が推定した開き力が「大」の場合に、操作表示部25から受け付けた押圧力に基づいて、出力調整部72が修正可能なデューティ比の範囲を60%~100%に設定すると、推定部71が推定した開き力が「中」の場合に、出力調整部72が修正可能なデューティ比の範囲の上限値が60%を越えるように(例えば、30%~70%)に設定し、推定部71が推定した開き力が「小」の場合に、出力調整部72が修正可能なデューティ比の範囲の上限値が30%を越えるように(例えば、10%~40%)に設定することが好ましい。
【0085】
このように、推定部71が推定した開き力を優先させて開扉装置50aの押圧力を仮設定することで、左扉20aの開き力を考慮しつつ、使用者の希望を反映した押圧力で左扉20aを開扉することができる。
【0086】
(変更例8)
操作表示部25が使用者から開扉装置50aの押圧力を調整する操作を受け付けると、出力調整部72は、推定部71が推定した開き力を考慮することなく、操作表示部25に対する使用者の操作に基づいて、開扉装置50aが左扉20aを前方へ押圧する押圧力を調整してもよい。
【0087】
また、操作表示部25が使用者から開扉装置50aの押圧力を調整する操作を受け付けた場合に、推定部71が推定した開き力と、操作表示部25に対する使用者の操作とに基づいて開扉装置50aの押圧力を調整するか、あるいは、推定部71が推定した開き力を考慮することなく、操作表示部25に対する使用者の操作に基づいて、開扉装置50aの押圧力を調整するか、使用者が操作表示部25から選択可能であっても良い。
【0088】
(変更例9)
変更例6~8では、左扉20aに設けられた操作表示部25から使用者が開扉装置50aの押圧力を調整する場合について説明したが、使用者が外部サーバ及び機器アダプタ9を介して通信端末から開扉装置50aの押圧力を調整してもよい。
【0089】
(変更例10)
出力調整部72は、冷蔵庫本体2に設けられた音検出部52が検出した音に基づいて、開扉装置50aの押圧力を調整してもよい。
【0090】
例えば、制御部7は、異音を検出する異音検出部を備える。ここで、異音とは、冷蔵庫1の使用において通常発生する音と異なる音である。異音検出部は、音検出部52が左扉20aの開扉時に発生する音を検出すると、音検出部52が検出した音と、記憶部8に記憶された正常時の音モデルとを比較することで、左扉20aを支持する上側支持部30a及び下側支持部31aから発生する異音を検出する。
【0091】
そして、出力調整部72は、異音検出部が異音を検出すると、異音検出部が異音を検出しない場合に比べて開扉装置50aの押圧力(デューティ比)を小さく設定したり、開扉装置50aの動作を停止したりする。
【0092】
本変更例では、上側支持部30a及び下側支持部31aから異音が発生すると、開扉装置50aの押圧力を小さくしたり、開扉装置50aの動作を停止したりすることで、開扉時に側支持部30a及び下側支持部31aに作用する衝撃を和らげることができ、上側支持部30a及び下側支持部31aの損傷を押さえることができる。
【0093】
また、本変更例において、異音検出部が異音を検出すると、上側支持部30a及び下側支持部31aが損傷していることを伝える音声や、冷蔵庫1の買い換えを勧める音声等を音出力部51から出力してもよい。
【0094】
(変更例11)
上記した実施形態及び変更例では、開扉装置50aによって左扉20aを開扉する場合について説明したが、上記した実施形態及び変更例を、右扉20bを開扉する開扉装置50bの押圧力の制御に適用してもよく、また、引き出し式の扉21,22,23,24を前方へ押圧する開扉装置を設け、当該開扉装置の押圧力の制御に適用してもよい。
【0095】
また、上記した実施形態及び変更例では、冷蔵室10に観音開き式の左扉20a及び右扉20bを設けたが、1つの回動扉を冷蔵室10に設け、当該回動扉を開扉する開扉装置の押圧力の制御に、上記した実施形態及び変更例を適用してもよい。
【0096】
(変更例12)
上記した実施形態及び変更例において、右扉20bの開閉状態に関わらず同一の制御を開扉装置50aに適用してもよく、また、異なる制御を適用してもよい。
【0097】
つまり、左扉20a及び右扉20bが閉扉している状態で、開扉操作部26aが使用者の操作を受け付けた場合に上記した開扉装置50aの制御を適用し、既に右扉20bが開扉している状態で開扉操作部26aが使用者の操作を受け付けると、右扉20bが閉扉している状態で開扉操作部26aが使用者の操作を受け付けた場合と異なる制御を行ってもよい。
【0098】
例えば、変更例4のように扉重量検出部の検出結果に基づいて推定部71が開き力を検出する場合や、変更例5のように傾斜検出部の検出結果に基づいて推定部71が開き力を検出する場合、右扉20bの開閉状態に関わらず同一の制御を開扉装置50aに適用してもよい。また、実施形態のように冷蔵室温度検出部15の検出結果や、変更例1のように冷蔵室温度検出部15及び庫外温度検出部の検出結果や、変更例2のように湿度検出部の検出結果や、変更例3のように冷蔵室気圧検出部及び庫外気圧検出部の検出結果に基づいて推定部71が開き力を検出する場合、左扉20a及び右扉20bが閉扉している状態で、開扉操作部26aが使用者の操作を受け付けると、上記のような開扉装置50aの制御を適用し、既に右扉20bが開扉している状態で開扉操作部26aが使用者の操作を受け付けると、右扉20bが閉扉している状態で開扉操作部26aが使用者の操作を受け付けた場合と異なる制御を行ってもよい。
【符号の説明】
【0099】
1…冷蔵庫、2…冷蔵庫本体、7…制御部、8…記憶部、10…冷蔵室、11…野菜室、12…製氷室、20a…左扉、20b…右扉、25…操作表示部、26a…開扉操作部、26b…開扉操作部、33a…開閉検出部、33b…開閉検出部、50a…開扉装置、50a1…プランジャ、50b…開扉装置、50b1…プランジャ、51…音出力装置、52…音検出部、71…推定部、72…出力調整部
図1
図2
図3
図4