(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030175
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】鉄道車両用空調装置筐体、鉄道車両用空調装置および鉄道車両
(51)【国際特許分類】
B61D 27/00 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
B61D27/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132782
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】上條 芳武
(72)【発明者】
【氏名】小山 泰平
(72)【発明者】
【氏名】岩田 宜之
(72)【発明者】
【氏名】中田 好彦
(72)【発明者】
【氏名】祐川 直純
(57)【要約】
【課題】強度部品点数を少なくしつつ、振動を低減できる構造を有する鉄道車両用空調装置筐体を提供する。
【解決手段】本実施形態による鉄道車両用空調装置筐体は、室内部と、室外部と、を備える。前記室外部は、第1方向に沿って延びる第1立ち上げ部を有する第1底板と、前記第1方向に沿って延びる第2立ち上げ部を有する第2底板と、前記第1底板及び前記第2底板のうちの少なくとも一方の上に位置し、前記第1方向に沿って延びる第1方向梁と、前記第1底板及び前記第2底板上に位置し、前記第1方向に直交する第2方向に沿って延びる第2方向梁と、を有する。前記第1底板の前記第1立ち上げ部と前記第2底板の前記第2立ち上げ部とは、互いに連結されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内部と室外部とを備えた鉄道車両用空調装置筐体であって、
前記室外部は、
第1方向に沿って延びる第1立ち上げ部を有する第1底板と、
前記第1方向に沿って延びる第2立ち上げ部を有する第2底板と、
前記第1底板及び前記第2底板のうちの少なくとも一方の上に位置し、前記第1方向に沿って延びる第1方向梁と、
前記第1底板及び前記第2底板上に位置し、前記第1方向に直交する第2方向に沿って延びる第2方向梁と、を有し、
前記第1底板の前記第1立ち上げ部と前記第2底板の前記第2立ち上げ部とが互いに連結されている、鉄道車両用空調装置筐体。
【請求項2】
前記第1方向梁及び前記第2方向梁の少なくとも一方に通気孔が形成されている、請求項1に記載の鉄道車両用空調装置筐体。
【請求項3】
前記第2方向梁は一対設けられ、
前記第1方向梁は、前記一対の第2方向梁を互いに連結する、請求項1に記載の鉄道車両用空調装置筐体。
【請求項4】
前記第2方向梁上に室外送風機を支持する室外送風機支持部が設けられ、
前記室外送風機支持部と、前記第1底板または前記第2底板との間に隙間が設けられている、請求項1に記載の鉄道車両用空調装置筐体。
【請求項5】
前記第2方向梁は一対設けられ、
前記一対の第2方向梁の各々は、第1部分と第2部分とを有し、
前記第1部分同士の幅と、前記第2部分同士の幅とは、互いに異なっている、請求項1に記載の鉄道車両用空調装置筐体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の鉄道車両用空調装置筐体を備える、鉄道車両用空調装置。
【請求項7】
前記鉄道車両用空調装置の重心は、平面視において、前記第1立ち上げ部と前記第2立ち上げ部との連結部分に位置している、請求項6に記載の鉄道車両用空調装置。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか一項に記載の鉄道車両用空調装置筐体と、
室外送風機と、を備え、
前記第2方向梁は一対設けられ、
前記室外送風機の外径は、前記一対の第2方向梁同士の間隔よりも大きい、鉄道車両用空調装置。
【請求項9】
請求項6に記載の鉄道車両用空調装置を備える、鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、鉄道車両用空調装置筐体、鉄道車両用空調装置、および鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両用空調装置(以下、空調装置とも呼ぶ)を組み立てやすくし、部品を共通化するために、鉄道車両用空調装置筐体(以下、筐体とも呼ぶ)のユニット化が進められている。この場合、鉄道車両の走行時に生じる振動が空調装置に伝達することを抑制するために、筐体の部品点数を少なくしつつ筐体の剛性を上げることが求められている。しかしながら、筐体には、空調装置を取り付ける鉄道車両によって異なる構成を有する強度部品が含まれる。このため、筐体の部品を統一化することが難しい。
【0003】
また、鉄道車両用空調装置筐体において、空調装置内部の機器が振動しにくい構造とすることが求められている。しかしながら、統一化された筐体の部品が特定の鉄道車両に適していない場合、振動を十分に抑制できない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-131037号公報
【特許文献2】特許第6305498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
強度部品点数を少なくしつつ、振動を低減できる構造を有する鉄道車両用空調装置筐体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態による鉄道車両用空調装置筐体は、室内部と、室外部と、を備える。前記室外部は、第1方向に沿って延びる第1立ち上げ部を有する第1底板と、前記第1方向に沿って延びる第2立ち上げ部を有する第2底板と、前記第1底板及び前記第2底板のうちの少なくとも一方の上に位置し、前記第1方向に沿って延びる第1方向梁と、前記第1底板及び前記第2底板上に位置し、前記第1方向に直交する第2方向に沿って延びる第2方向梁と、を有する。前記第1底板の前記第1立ち上げ部と前記第2底板の前記第2立ち上げ部とは、互いに連結されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態による鉄道車両を概略的に示す側面図。
【
図2】一実施形態による鉄道車両用空調装置を示す斜視図。
【
図3】一実施形態による鉄道車両用空調装置及び鉄道車両用空調装置筐体を示す平面図。
【
図4】一実施形態による第1底板、第1立ち上げ部、第2底板、及び第2立ち上げ部を示す斜視図。
【
図5】一実施形態による第1底板、第2底板、第1方向梁、及び第2方向梁を示す斜視図。
【
図6】鉄道車両用空調装置筐体の一変形例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0009】
本明細書において、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に限定されることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈する。
【0010】
図面間における方向関係を明確化するため、いくつかの図面には、第1方向DA、第2方向DB、第3方向DCを図面間で共通する方向として示している。各方向において、矢印の先端側が第1側となる。各方向において、第1側とは逆側となる側が第2側となる。図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面から奥に向かう矢印を、例えば
図1に示すように、円の中に×を設けた記号により示す。図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面から手前に向かう矢印を、例えば
図3に示すように、円の中に点を設けた記号により示す。
【0011】
図1は、本実施の形態による鉄道車両用空調装置1を有する鉄道車両100を示す。鉄道車両100は、軌道R上に位置している。軌道Rを支持する枕木(図示せず)は、第1方向DAに沿って延びている。軌道Rは、第1方向DAに直交する第2方向DBに沿って延びている。枕木は、第2方向DBに間隔を空けて複数設けられている。鉄道車両100は、軌道R上を第2方向DBに移動可能である。この場合、枕木方向は、第1方向DAであり、進行方向は、第2方向DBである。鉄道車両100として、電車、気動車、機関車、客車等が例示される。図示された例において、鉄道車両100は、電車である。鉄道車両は、パンタグラフ105を有している。
【0012】
図1に示す例において、鉄道車両100は、複数(この場合は2つ)の空調装置1を有している。空調装置1は、鉄道車両100の屋根101上に設置されている。複数の空調装置1は、第2方向DBに互いから離れている。空調装置1は、鉄道車両100の内部空間における空気の温度、湿度、気流等を調整する。空調装置1は、鉄道車両100の内部空間における空気と、鉄道車両100の外部の空気とを交換してもよい。すなわち、空調装置1は、換気機能を有してもよい。空調装置1は、鉄道車両100の内部空間における空気の浄化機能を有してもよい。なお、
図1においては、複数の空調装置を屋根上に設置した分散式を用いて説明を行うが、1つに集約した集中式にも適用することが可能である。また、屋根上設置に限らず、床下設置にも適用することが可能である。
【0013】
空調装置1は、筐体10と、筐体10に収容された機器50と、を有している。筐体10は、室内部10aと、室外部10bと、を有している。室内部10aと室外部10bとは、仕切り板15によって仕切られている。仕切り板15は、第1方向DAに沿って、鉄道車両100の屋根から上方に延びている。この結果、
図1に示すように、鉄道車両100の屋根101上に設置された空調装置1において、室内部10a及び室外部10bは、仕切り板15を介して第2方向DBに隣り合っている。
図1において、仕切り板15は、空調装置1内に破線によって示されている。各空調装置1において、室内部10aは、室外部10bよりも第2方向DBにおける第1側SB1に位置している。筐体10は、例えば鉄やアルミニウム等の金属製の部材を組合わせることよって製造されてもよい。
【0014】
図1に示す例において、機器50は、筐体10の室外部10bに収容されている。機器50は、筐体10の室内部10aにも収容されている。筐体10には、複数の機器50が収容されてもよい。機器50として、熱交換器、送風機、圧縮機ユニット(コンップレッサユニット)等が例示される。室外部10bに収容される機器50には、室外熱交換器51、室外送風機52、及び圧縮機ユニット53が含まれてもよい。室内部10aに収容される機器には、室内送風機、室内熱交換器が含まれ得る。空調装置1において、室外熱交換器51と室内熱交換器との間を冷媒が循環する。冷媒は、室外熱交換器51及び室内熱交換器の間において熱を移動させる。
【0015】
室外熱交換器51は、外気と冷媒との間で熱交換を行う。室内熱交換器は、鉄道車両100の内部空間の空気と冷媒との間で熱交換を行う。室外送風機52は、外気との熱交換を促す気流を形成する。室内送風機は、内部空間の空気との熱交換を促す気流を形成するとともに、熱交換された空気を、鉄道車両100の内部空間へ供給する。圧縮機ユニット53は、冷媒を圧縮する。冷媒を圧縮することで、圧縮機ユニット53は、室外熱交換器51及び室内熱交換器の間における冷媒の循環を促す。
【0016】
機器50を収容した筐体10は、カバー60によって上方から覆われてもよい。カバー60は、筐体10の室外部10b内に空気を流入させるためのカバー開口部(図示せず)を有してもよい。カバー開口部(図示せず)は、室外部10bに収容された室外熱交換器51の位置及び室外送風機52の位置に対応して設けられてもよい。カバー60は、例えば鉄やアルミニウム等の金属製の部材を組合わせることによって製造されてもよい。
【0017】
図1及び
図3には、空調装置1の重心Pが点によって示されている。
図1に示すように、各空調装置1の重心Pは、筐体10の仕切り板15よりも室外部10b側に位置している。
【0018】
図2~
図5を参照して、筐体10の構成について説明する。なお、
図2~
図5のうち、
図3を除き、筐体10に収容された機器50は省略されている。また、
図3においても、室内部10aに収容された機器は省略されている。
【0019】
図3に示すように、筐体10は、筐体10の内部空間を取り囲む複数の壁部11,12を有している。具体的には、筐体10は、第1方向DAに沿って延びる一対の第1壁部11と、第2方向DBに沿って延びる一対の第2壁部12と、を有している。第1壁部11及び第2壁部12は、いずれも、第3方向DCに平行に延びている。一対の第1壁部11によって、第2方向DBにおける筐体10の収容空間が定められている。一対の第2壁部12によって、第1方向DAにおける筐体10の収容空間が定められている。平面視において、筐体10は、第2方向DBに長手方向を有している。なお、
図2では、第1壁部11の一部、及び第2壁部12の一部が省略されている。
【0020】
図2及び
図3に示すように、一対の第2壁部12の縁部には、それぞれ、複数の取付脚13が設けられてもよい。各第2壁部12において、取付脚13は、第2方向DBに間隔を空けて複数設けられている。取付脚13は、第1方向DAにおける筐体10の中心線LMから離れるように、第1方向DAに延びている。取付脚13には、ねじ等の締結部品が貫通可能な孔13aが設けられている。空調装置1は、締結部品によって、鉄道車両100の屋根101上に取り付けられる。
【0021】
上述したように、筐体10は、室内部10aと、室外部10bと、を有する。室内部10aと室外部10bとは、仕切り板15によって仕切られている。室内部10aと室外部10bとは、仕切り板15を介して互いに隣接する。
図2に示すように、仕切り板15は、第1方向DAに沿って延びている。
【0022】
室外部10bは、第1底板21と、第2底板22と、第1方向梁23と、第2方向梁24と、を有している。第1底板21は、第1方向DAおよび第2方向DBに広がる主面を有している。第2底板22は、第1方向DAおよび第2方向DBに広がる主面を有している。第1底板21及び第2底板22は、下側から室外部10bに収容された機器50を支持する。第1底板21及び第2底板22は、下側から第1壁部11、第2壁部12、及び仕切り板15を支持する。第1底板21及び第2底板22は、互いに隣接して配置される。第1底板21の主面と第2底板22の主面は、互いに同一平面上に位置する。
【0023】
図2に示すように、第1底板21は、第1方向DAにおける両縁部において、第2壁部12に連結されている。第1底板21は、第2方向DBにおける第1側SB1の縁部において、第2底板22に連結されている。第1底板21は、第2方向DBにおける第2側の縁部において、第1壁部11に連結されている。第2底板22は、第1方向DAにおける両縁部において、第2壁部12に連結されている。第2底板22は、第2方向DBにおける第1側SB1の縁部において、仕切り板15に連結されている。第2底板22は、第2方向DBにおける第2側の縁部において、第1底板21に連結されている。
【0024】
第1底板21及び第2底板22について、
図3及び
図4を参照してさらに詳しく説明する。
図4は、第1底板21と第2底板22との連結部分のうち、第1方向DAにおける第2側の部分を示す斜視図である。
図4において、第1底板21及び第2底板22を除く、室外部10bの他の部材は省略されている。
【0025】
図4に示すように、第1底板21は、第1方向DAに沿って延びる第1立ち上げ部31を有している。第2底板22は、第1方向DAに沿って延びる第2立ち上げ部32を有している。図示された例において、第1立ち上げ部31及び第2立ち上げ部32は、いずれも、第1方向DA及び第3方向DCに広がっている。第1立ち上げ部31は、第1底板21を作製する金属板の一部分を上側に向けて折り曲げることによって形成されてもよい。すなわち第1立ち上げ部31は、第1底板21と一体化されていてもよい。第2立ち上げ部32は、第2底板22を作製する金属板の一部分を上側に折り曲げることによって形成されてもよい。すなわち第2立ち上げ部32は、第2底板22と一体化されていてもよい。
【0026】
図4に示すように、第1立ち上げ部31と第2立ち上げ部32とは、第2方向DBに互いに接触するように重なる。
図3に示すように、第2方向DBに互いに重なる第1立ち上げ部31と第2立ち上げ部32とが互いに連結されている。第1立ち上げ部31と第2立ち上げ部32とは、例えばスポット溶接によって連結されてもよいし、ねじ等の締結部品を締結することによって互いに連結されてもよい。
【0027】
図3に示す例において、第1立ち上げ部31と第2立ち上げ部32との連結面CPは、平面視において(上方からの観察において)、第1方向DAに延びている。連結面CPは、第1立ち上げ部31と第2立ち上げ部32とが互いに接触する面からなる。第1立ち上げ部31と第2立ち上げ部32との連結面CPは、平面視において空調装置1の重心P(上述)に位置していてもよい。
【0028】
第2底板22は、第1底板21よりも第2方向DBにおける第1側SB1に位置している。言い換えると、第2底板22は、第2方向DBにおいて第1底板21と室内部10aとの間に位置している。
【0029】
第1立ち上げ部31の高さ、すなわち第3方向DCにおける長さは、第1方向DAに沿って一定でもよい。同様に、第2立ち上げ部32の高さは、第1方向DAに沿って一定でもよい。あるいは、
図4に示すように、第1立ち上げ部31の高さ及び第2立ち上げ部32の高さは、第1方向DAに沿って変化してもよい。さらに、
図4に示すように、第1底板21は、第1方向DAに沿って、第1立ち上げ部31が設けられていない部分を有してもよい。第2底板22は、第1方向DAに沿って、第2立ち上げ部32が設けられていない部分を有してもよい。
図4において仮想線を用いて示すように、第1立ち上げ部31及び第2立ち上げ部32のいずれもが設けられていない部分に、第2方向梁24が設けられてもよい。
【0030】
第1立ち上げ部31及び第2立ち上げ部32は、互いに異なる形状を有してもよい。第1立ち上げ部31及び第2立ち上げ部32は、連結を容易とする観点から、同一の形状を有することが好ましい。すなわち第1立ち上げ部31の高さと第2立ち上げ部32の高さとは互いに同一であってもよい。図示された例において、第1立ち上げ部31及び第2立ち上げ部32は、側面視において(第2方向DBにおけるいずれか一方の側からの観察において)互いに同一の形状を有している。
【0031】
図2及び
図3に示すように、第1方向梁23は、第1方向DAに沿って直線状に延びている。第1方向梁23は、長手方向に垂直な断面が中空であってもよい。第1方向梁23は、例えば角パイプであってもよい。第1方向梁23は、第2底板22上に位置する。第1方向梁23は、第2底板22の第1方向DAへの変形を抑制する。また、第1方向梁23は、機器50を支持する土台としても機能し得る。なお、第1方向梁23は、第1底板21上に位置してもよい。第1方向梁23の両端部は、それぞれ、一対の第2方向梁24にそれぞれ連結されている。なおこれに限られず、第1方向DAに沿って延びる第1方向梁23の両端部の各々は、例えば、第2壁部12に連結されてもよい。第1方向梁23は、例えば溶接によって、第1底板21の上面又は第2底板22の上面に取り付けられてもよいし、ねじ等の締結部品を締結することによって互いに連結されてもよい。
【0032】
図2及び
図3に示すように、第2方向梁24は、第2方向DBに沿って直線状に延びている。第2方向梁24は、長手方向に垂直な断面が中空であってもよい。第2方向梁24は、例えば角パイプであってもよい。第2方向梁24は、第1底板21及び第2底板22上に位置している。すなわち第2方向梁24は、第1底板21と第2底板22との両方に跨がって延びている。第2方向梁24は、第1底板21及び第2底板22の第2方向DBへの変形を抑制する。また、第2方向梁24は、機器50を支持する土台としても機能し得る。第2方向梁24の一方の端部は、第1壁部11に連結されてもよい。第2方向梁24の他方の端部は、仕切り板15に連結されてもよい。
図4に仮想線を用いて示すように、第2方向梁24は、第1底板21と第2底板22との連結部分において、第1立ち上げ部31及び第2立ち上げ部32のいずれもが設けられていない部分に位置してもよい。第2方向梁24は、例えば溶接によって、第1底板21及び第2底板22の両底板の上面に取り付けられてもよいし、ねじ等の締結部品を締結することによって互いに連結されてもよい。
【0033】
図2及び
図3に示すように、第2方向梁24は一対設けられてもよい。一対の第2方向梁24は、第1方向DAにおいて間隔PAを置いて互いから離れている。図示された例において、第1方向梁23は、一対の第2方向梁24を互いに連結している。一対の第2方向梁24を互いに連結することで、第1方向梁23は、第1方向DAにおいて一対の第2方向梁24の間に位置する室外部10bの領域を、第1領域AR1と第2領域AR2とに区画している。第2領域AR2は、第2方向DBにおける第1側SB1から、第1領域AR1に隣り合っている。第1方向梁23と第2方向梁24とは、例えば溶接によって互いに連結されてもよい。
【0034】
図5に示すように、第2方向梁24に通気孔25が形成されてもよい。通気孔25は、室外部10b内に空気の流れを追加する。
図5に示す例において、通気孔25は、一対の第2方向梁24の各々に形成されている。各第2方向梁24において、
図5において、通気孔25は、第1方向DAにおける内側(室外部10bの第1方向DAにおける中心線LMに近づく側)の面に設けられた複数の内側通気孔251と、第1方向DAにおける外側(室外部10bの第1方向DAにおける中心線LMから離れる側)の面に設けられた複数の外側通気孔252と、から構成される。通気孔25は、第2方向梁24を第1方向DAに貫通している。なお、
図5には示していないが、通気孔25は、第1方向梁23に形成されてもよい。この場合、通気孔25は、第1方向梁23及び第2方向梁24の少なくとも一方に形成されていてもよい。
【0035】
図5に示すように、内側通気孔251は、第1内側通気孔251a及び第2内側通気孔251bを含んでもよい。第1内側通気孔251aの第2方向DBにおける長さは、第2内側通気孔251bの第2方向DBにおける長さよりも、短くなっているが、この形状に限定されるものではない。第1内側通気孔251aが設けられる位置は、室外送風機52が筐体10に収容される位置に対応してもよい。第2内側通気孔251bが設けられる位置は、圧縮機ユニット53が筐体10に収容される位置に対応してもよい。
【0036】
図5に示すように、外側通気孔252は、第2方向DBにおいて、第1内側通気孔251aと第2内側通気孔251bとの間に位置している。これにより、外側通気孔252から進入した空気を、第1内側通気孔251aと第2内側通気孔251bとの両方から送気できる。
【0037】
図2及び
図3に示すように、室外部10bには、室外送風機52を支持する室外送風機支持部26がさらに設けられている。室外送風機支持部26は、一対の第2方向梁24の上に設けられている。室外送風機支持部26は、第1方向DAにおいて一対の第2方向梁24の間に位置する室外部10bの領域のうち、第1領域AR1に設けられている。室外送風機支持部26が一対の第2方向梁24の上に設けられることで、第1底板21と、室外送風機支持部26と、の間には、第3方向DCに隙間が設けられる。
【0038】
室外送風機支持部26は、室外送風機支持板27と、室外送風機支持板27を支持する一対の室外送風機支持梁28と、を含んでいる。一対の室外送風機支持梁28の各々は、一対の第2方向梁24によって下側から支持されている。室外送風機支持板27は、第2方向DBに互いに離間した一対の室外送風機支持梁28の間に位置している。一対の室外送風機支持梁28は、それぞれ、第1方向DAに延びるように、第2方向梁24の上に配置されている。
【0039】
次に、このような構成からなる本実施形態の作用について説明する。
【0040】
筐体10に機器50を収容することで、空調装置1が組み立てられる。筐体10の室外部10bにおいて、室外熱交換器51、室外送風機52、及び圧縮機ユニット53が収容され得る。機器50を収容した筐体10は、上側からカバーによって覆われてもよい。
【0041】
室外熱交換器51は、第1底板21及び第2底板22の上に設置される。本実施の形態において、2つの室外熱交換器51が、第1底板21及び第2底板22の上に設置されている。
図3において、室外部10bに収容された室外熱交換器51は、矩形形状の仮想線によって示されている。2つの室外熱交換器51は、室外送風機52又は圧縮機ユニット53を挟んで第1方向DAに互いに離間している。
【0042】
室外送風機52は、第1底板21及び第2底板22の少なくとも一方の上に設置されてもよい。室外送風機52は、第1方向梁23及び第2方向梁24の少なくとも一方の上に設置されてもよい。室外送風機52は、室外送風機支持部26によって、下側から支持されてもよい。本実施の形態において、室外送風機52は、室外送風機支持板27上に設置される。室外送風機52は、第1領域AR1において、一対の第2方向梁24に載せられている。室外送風機52が設置された状態において、室外送風機支持部26と第1底板21との間には、第3方向DCに隙間が設けられている。
図3において、室外部10bに収容された室外送風機52の外径RRは、円形状の仮想線によって示されている。
【0043】
圧縮機ユニット53は、第1底板21及び第2底板22の少なくとも一方の上に設置されてもよい。圧縮機ユニット53は、第1方向梁23及び第2方向梁24の少なくとも一方の上に設置されてもよい。本実施の形態において、圧縮機ユニット53は、第1方向梁23及び一対の第2方向梁24の上に設置される。圧縮機ユニット53は、第2領域AR2において、第1方向梁23及び一対の第2方向梁24に載せられている。
図3において、室外部10bに収容された圧縮機ユニット53は、矩形形状の仮想線によって示されている。
【0044】
筐体10に機器50を収容した空調装置1は、鉄道車両100に設置される。
図1に示すように、空調装置1は、鉄道車両100の屋根101上に設置される。空調装置1は、筐体10の第1壁部11に設けられた取付脚13を介して、鉄道車両100の屋根101に取り付けられてもよい。空調装置1は、取付脚13に設けられた孔13aを貫通するねじ等によって、鉄道車両100の屋根101に取り付けられてもよい。
【0045】
以上のようにして、鉄道車両100に空調装置1が設置される。ところで、空調装置を組み立てやすくし、部品を共通化するために、鉄道車両用空調装置筐体のユニット化が進められている。この場合、鉄道車両の走行時に生じる振動が空調装置にも伝わるため、筐体の部品点数を少なくしつつ筐体の剛性を上げることが求められている。一方、鉄道車両用空調装置筐体には、鉄道車両によって異なる構成をもつ強度部品も含まれる。このため、部品点数の低減と剛性の向上とを実現することが望まれる。
【0046】
これに対して、本実施の形態による鉄道車両用空調装置筐体10において、室外部10bは、第1方向DAに沿って延びる第1立ち上げ部31を有する第1底板21と、第1方向DAに沿って延びる第2立ち上げ部32を有する第2底板22と、を有する。第1底板21の第1立ち上げ部31と第2底板22の第2立ち上げ部32とは、互いに連結されている。この具体例によれば、互いに連結された第1立ち上げ部31及び第2立ち上げ部32によって、第1底板21及び第2底板22の第1方向DAへの変形が抑制される。すなわち、第1立ち上げ部31と第2立ち上げ部32とを連結することによって、第1底板21及び第2底板22の剛性が向上する。第1底板21及び第2底板22の剛性が向上することで、室外部10bにおいて、筐体10の剛性が向上する。すなわち、筐体10において、第1底板21及び第2底板22は、支持部品だけでなく強度部品として使用できる。これにより、筐体10は、強度部品の点数を少なくすることができる。
【0047】
また、第1底板21及び第2底板22の剛性が向上することで、鉄道車両100の移動等に起因した第1底板21及び第2底板22の振動を抑制できる。これにより、第1底板21及び第2底板22によって下側から支持された、筐体10内の機器50の振動を抑制できる。したがって、本実施の形態による鉄道車両用空調装置筐体の構造によれば、強度部品点数を少なくしつつ、筐体10の振動を低減できる。
【0048】
本実施の形態による鉄道車両用空調装置筐体において、室外部10bは、第1底板21及び第2底板22のうちの少なくとも一方の上に位置し、第1方向DAに沿って延びる第1方向梁23を有している。この具体例によれば、第1方向梁23の設けられた底板において、第1方向DAへの変形を抑制できる。
図3に示される例において、第1方向梁23は、第2底板22の第1方向DAへの変形を抑制できる。これにより、第1方向DAからの力に対する筐体10の剛性を、室外部10bにおいて向上できる。また、第1方向梁23の上に機器50を設置することで、鉄道車両100の移動等により生じる振動が、第1底板21及び第2底板22を介して機器50に伝達することを抑制できる。
【0049】
本実施の形態による鉄道車両用空調装置筐体において、室外部10bは、第1底板21及び第2底板22上に位置し、第2方向DBに沿って延びる第2方向梁24を有している。この具体例によれば、第1底板21及び第2底板22において、第2方向DBへの変形を抑制できる。これにより、第2方向DBからの力に対する筐体10の剛性を、室外部10bにおいて向上できる。また、第2方向梁24の上に機器50を設置することで、鉄道車両100の移動等により生じる振動が、第1底板21及び第2底板22を介して機器50に伝達することを抑制できる。
【0050】
本実施の形態による鉄道車両用空調装置筐体において、第2方向梁24は一対設けられ、第1方向梁23は、一対の第2方向梁24を互いに連結している。この具体例によれば、複数の第2方向梁24によって、第1底板21及び第2底板22の第2方向DBへの変形をより効果的に抑制できる。また、一対の第2方向梁24が第1方向梁23によって連結されることで、第1方向梁23が設けられた底板のうち、一対の第2方向梁24によって挟まれた部分において、第1方向DAへの変形をより効果的に抑制できる。したがって、一対の第2方向梁24に挟まれた第1領域AR1及び第2領域AR2において、筐体10の剛性を向上できる。
【0051】
本実施の形態による鉄道車両用空調装置筐体において、室外部10bには、第2方向梁24上に室外送風機52を支持する室外送風機支持部26が設けられている。室外送風機支持部26と第1底板21または第2底板22との間には、第3方向DCに隙間が設けられている。この具体例によれば、室外送風機52は、第1底板21または第2底板22から第3方向DCに離れて保持される。これにより、鉄道車両100の移動等により生じる振動が、第1底板21及び第2底板22を介して室外送風機52に伝達することを抑制できる。
【0052】
本実施の形態による鉄道車両用空調装置において、空調装置1の重心Pは、平面視において、第1立ち上げ部31と第2立ち上げ部32との連結面CPに位置している。一般に、鉄道車両の屋根上に設置された空調装置において、筐体を変形させる力は、重心付近において比較的大きく作用する。したがって、この具体例によれば、筐体10を変形させる力が比較的大きく作用する部分において、第1方向DAへの変形を抑制できる。これにより、筐体10の振動を抑制し、筐体10に収容された機器50への振動の伝達を効果的に抑制できる。
【0053】
鉄道車両100の屋根101上に設置された空調装置1を動作させるときには、室外送風機52が動作する。この結果、室外部10bにおいて、室外熱交換器51と室外送風機52との間に空気の流れが生じる。例えば、室外送風機52が空気を吸い出す場合、空気は、カバー開口部(図示せず)から吸い込まれて室外熱交換器51を通過する。室外熱交換器51を通過した空気は、室外部10b内を移動して室外送風機52に吸い込まれる。室外送風機52は、カバー開口部(図示せず)から空気を排出する。結果として、
図3において矢印A1によって示されるように、室外部10bにおいて、室外熱交換器51から室外送風機52へ向けた空気の流れが生じる。矢印A1に沿って流れる空気は、第1方向梁23、或いは第1方向梁23及び第2方向梁24の両梁を跨ぐように、室外送風機52へ向けて移動している。第1方向梁23及び第2方向梁24は、室外熱交換器51及び室外送風機52の間を移動する空気の流れに影響を及ぼし得る。
【0054】
本実施の形態による鉄道車両用空調装置筐体において、一対の第2方向梁24の各々には、通気孔25が形成されている。この具体例によれば、室外熱交換器51と室外送風機52との間を流れる空気は、
図3及び
図5において矢印A2によって示されるように、第2方向梁24内を流れることもできる。すなわち、通気孔25は、室外部10b内に空気の流れを追加できる。室外熱交換器51を流れる空気の量が追加されることで、室外部10bにおける熱交換を促進できる。したがって、この具体例によれば、室外部10bにおける空調機能を向上できる。
【0055】
本実施の形態による鉄道車両用空調装置において、室外送風機52の外径RRは、一対の第2方向梁24の間隔PAよりも大きくなっている(R>PA)。この具体例によれば、室外部10b内の空気は、矢印A3によって例示されるように、第2方向梁24を跨ぐことなく室外熱交換器51及び室外送風機52の間を流れることもできる。これにより、矢印A3に沿って流れる空気において、第1方向梁23及び第2方向梁24による影響を軽減することができる。空気は、室外熱交換器51及び室外送風機52の間を容易に移動できる。したがって、この具体例によれば、室外部10bにおける空調機能を向上できる。
【0056】
(変形例)
次に、本実施形態の各種変形例について説明する。
【0057】
上述した一実施の形態の具体例において、室外部10bは、立ち上げ部31,32をそれぞれ有する2つの底板21,22を有している。しかしながらこれに限られず、室外部10bは、立ち上げ部をそれぞれ有する3つ以上の底板を有してもよい。
【0058】
上述した一実施の形態の具体例において、第1立ち上げ部31及び第2立ち上げ部32は、枕木の延びる方向に平行な第1方向DAに沿って延びている。しかしながらこれに限られず、第1立ち上げ部31及び第2立ち上げ部32は、鉄道車両の進行方向に平行な方向に平行な第2方向DBに沿って延びてもよい。すなわち枕木方向が第2方向DBであり、進行方向が第1方向DAであってもよい。
【0059】
上述した一実施の形態の具体例において、一対の第2方向梁24は、第1壁部11と仕切り板15との間を第1方向DAに沿って直線状に延びている。しかしながら、第2方向梁24の形状は、これに限られない。
図6に示すように、一対の第2方向梁24は、それぞれ、第1部分241と第2部分242とを有してもよい。第1部分241同士の幅と、第2部分242同士の幅とは、異なってもよい。
【0060】
図6に示す例において、第1部分241は、第2部分242よりも第2方向DBにおける第2側に位置している。第2部分242は、第1部分241よりも第2方向DBにおける第1側SB1に位置している。第1方向DAに互いから離れる第1部分241同士の幅PB1は、第1方向DAに互いから離れる第2部分242同士の幅PB2よりも、小さくなっている。この具体例によれば、第2方向梁24同士の幅を、室外部10bに収容する機器50の寸法に応じて変化させることができる。これにより、剛性を確保しながら、機器50を容易に配置することができる。
【0061】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で、実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0062】
1:鉄道車両用空調装置、10:鉄道車両用空調装置筐体、10a:室内部、10b:室外部、11:第1壁部、12:第2壁部、13:取付脚、13a:孔、15:仕切り板、21:第1底板、22:第2底板、23:第1方向梁、24:第2方向梁、25:通気孔、26:室外送風機支持部、27:室外送風機支持板、28:室外送風機支持梁、31:第1立ち上げ部、32:第2立ち上げ部、50:機器、51:室外熱交換器、52:室外送風機、53:圧縮機ユニット、60:カバー、100:鉄道車両、101:屋根、105:パンタグラフ、241:第1部分、242:第2部分、251:内側通気孔、251a:第1内側通気孔、251b:第2内側通気孔、252:外側通気孔、AR1:第1領域、AR2:第2領域、CP:連結面、DA:第1方向、DB:第2方向、DC:第3方向、LM:中心線、P:重心、PA:間隔、PB1:幅、PB2:幅、R:軌道、SA1:第1側、SB1:第1側、SC1:第1側