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特開2024-30177被プレス材の位置決め構造及びプレス成形方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030177
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】被プレス材の位置決め構造及びプレス成形方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 24/00 20060101AFI20240229BHJP
   B21D 43/00 20060101ALI20240229BHJP
   B21D 22/20 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B21D24/00 M
B21D43/00 U
B21D22/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132787
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】520200584
【氏名又は名称】株式会社キーレックス・ワイテック・インターナショナル
(71)【出願人】
【識別番号】500213915
【氏名又は名称】株式会社ワイテック
(71)【出願人】
【識別番号】590000721
【氏名又は名称】株式会社キーレックス
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(72)【発明者】
【氏名】片桐 崇
(72)【発明者】
【氏名】野口 大地
【テーマコード(参考)】
4E137
【Fターム(参考)】
4E137AA02
4E137BA01
4E137BB01
4E137BC01
4E137CA09
4E137DA03
4E137EA01
4E137EA26
4E137EA36
4E137FA10
4E137FA25
4E137GA03
4E137GB03
4E137HA06
4E137HA08
4E137HA10
(57)【要約】
【課題】焼き入れ時における成形体の収縮変形を許容しつつプレス成形品の強度低下を抑制可能な被プレス材の位置決め構造及び被プレス材の位置決め方法を提供する。
【解決手段】被プレス材の位置決め構造は、ホットプレス成形を行う際、型開き状態の金型30の上型32と下型31との間に投入した被プレス材Sに設けられた第1位置決め孔H1と第2位置決め孔H2とに下型31に設けられた第1位置決めピン35aと第2位置決めピン35bとをそれぞれ嵌合させることによって、被プレス材Sを金型30に対して位置決めする。記第1位置決め孔H1及び第2位置決め孔H2は、平面視において被プレス材Sの長手方向の中央領域IRに設けられている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットプレス成形を行う際、型開き状態の金型の上型と下型との間に投入した被プレス材に設けられた第1位置決め孔と第2位置決め孔とに前記下型に設けられた第1位置決めピンと第2位置決めピンとをそれぞれ嵌合させることによって、前記被プレス材を前記金型に対して位置決めするように構成された被プレス材の位置決め構造であって、
前記第1位置決め孔及び前記第2位置決め孔は、平面視において前記被プレス材の長手方向の中央領域に設けられていることを特徴とする被プレス材の位置決め構造。
【請求項2】
請求項1に記載の被プレス材の位置決め構造において、
前記中央領域を前記長手方向に直交する水平方向の両側から挟持して前記被プレス材を前記金型に対して位置決めする複数の第1位置決めユニットを更に有することを特徴とする被プレス材の位置決め構造。
【請求項3】
請求項2に記載の被プレス材の位置決め構造において、
前記被プレス材の中央領域は、当該被プレス材の長手方向に延びる形状をなす一方、前記被プレス材の長手方向両側の前記中央領域に連続する領域は、当該中央領域に対して交差する水平方向に延びる形状をなしていることを特徴とする被プレス材の位置決め構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の被プレス材の位置決め構造において、
前記被プレス材を前記下型の上面から浮いた姿勢となるよう下方から持ち上げて支持するリフト支持部を有する複数の第2位置決めユニットを更に有することを特徴とする被プレス材の位置決め構造。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の被プレス材の位置決め構造において、
前記第1位置決めピンと前記第2位置決めピンとには、当該第1位置決めピンと前記第2位置決めピンとを前記第1位置決め孔と前記第2位置決め孔とにそれぞれ嵌合させた際、前記被プレス材を前記下型の上面から浮いた姿勢となるよう下方から受け止めることが可能なワーク受け部が設けられていることを特徴とする被プレス材の位置決め構造。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載の被プレス材の位置決め構造において、
前記第1位置決め孔は、前記長手方向に直交する水平方向に沿って延びる長孔であり、
前記第2位置決め孔は、前記長手方向に沿って延びる長孔若しくは角孔であることを特徴とする被プレス材の位置決め構造。
【請求項7】
用意した被プレス材を加熱し、
その後、平面視において前記被プレス材の長手方向の中央領域に設けられた第1位置決め孔及び第2位置決め孔と、型開き状態における金型の第1位置決めピン及び第2位置決めピンとがそれぞれ嵌合することによって、前記金型に対して前記被プレス材を位置決めし、
しかる後、前記金型の型閉じ動作によって前記被プレス材をプレス成形して成形体を得るとともに、前記金型の型閉じ状態において前記成形体を冷却することによって焼き入れが施されたプレス成形品を得ることを特徴とするプレス成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットプレス成形時の金型に対する被プレス材の位置決め構造及びプレス成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車の車体部品として用いられるプレス成形品は、例えば、高張力鋼板から得る場合、ホットプレス成形を行う場合がある。該ホットプレス成形では、位置決めピンを用いて高温状態の被プレス材を金型に対して位置決めした状態において当該金型の型閉じ動作が実施されることで、プレス成形と焼き入れとが順次行われる。この焼き入れ時には、プレス成形された成形体が急冷されることで収縮変形が発生するため、金型に対して被プレス材を位置決めする際、上記収縮変形を許容する位置決め構造にすることが要求される。例えば、特許文献1に開示されている位置決め構造では、被プレス材の長手方向の中央領域及びその両側にある外側領域にそれぞれ位置決め孔が設けられており、金型に設けられた各位置決めピンを上記各位置決め孔に嵌合させることにより、被プレス材が金型に対して位置決めされるようになっている。そして、上記外側領域に設けられた各位置決め孔が被プレス材の長手方向に沿う長孔形状とされることにより、上述の焼き入れ時における成形体の収縮変形を許容する位置決め構造にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-221284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、焼き入れ時には、成形体がその中央領域を中心として長手方向に対称的に変形する、つまり、長手方向の各端部が該長手方向の中心に近づくように収縮するので、成形体の外側領域の移動量が中央領域の移動量よりも大きくなる。したがって、特許文献1のように、被プレス材の外側領域、つまり、被プレス材における長手方向中心から長手方向一側或いは他側に遠く離れて位置決め孔を設けてしまうと、上述の収縮変形を許容するために、長手方向の寸法が大きな位置決め孔を設ける必要が生じてしまい、それに伴ってプレス成形品の強度低下を招くおそれがある。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、焼き入れ時における成形体の収縮変形を許容しつつプレス成形品の強度低下を抑制可能な被プレス材の位置決め構造及び被プレス材の位置決め方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、平面視において被プレス材の長手方向の中央領域に第1位置決め孔及び第2位置決め孔の両方を設けたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、ホットプレス成形を行う際、型開き状態の金型の上型と下型との間に投入した被プレス材に設けられた第1位置決め孔と第2位置決め孔とに前記下型に設けられた第1位置決めピンと第2位置決めピンとをそれぞれ嵌合させることによって、前記被プレス材を前記金型に対して位置決めするように構成された被プレス材の位置決め構造を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明では、前記第1位置決め孔及び前記第2位置決め孔は、平面視において前記被プレス材の長手方向の中央領域に設けられていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、前記中央領域を前記長手方向に直交する水平方向の両側から挟持して前記被プレス材を前記金型に対して位置決めする複数の第1位置決めユニットを更に有することを特徴とする。
【0010】
第3の発明では、第2の発明において、前記被プレス材の中央領域は、当該被プレス材の長手方向に延びる形状をなす一方、前記被プレス材の長手方向両側の前記中央領域に連続する領域は、当該中央領域に対して交差する水平方向に延びる形状をなしていることを特徴とする。
【0011】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、前記被プレス材を前記下型の上面から浮いた姿勢となるよう下方から持ち上げて支持するリフト支持部を有する複数の第2位置決めユニットを更に有することを特徴とする。
【0012】
第5の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、前記第1位置決めピンと前記第2位置決めピンとには、当該第1位置決めピンと前記第2位置決めピンとを前記第1位置決め孔と前記第2位置決め孔とにそれぞれ嵌合させた際、前記被プレス材を前記下型の上面から浮いた姿勢となるよう下方から受け止めることが可能なワーク受け部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
第6の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、前記第1位置決め孔は、前記長手方向に直交する水平方向に沿って延びる長孔であり、前記第2位置決め孔は、前記長手方向に沿って延びる長孔若しくは角孔であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、プレス成形方法を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0015】
すなわち、第7の発明では、用意した被プレス材を加熱し、その後、平面視において前記被プレス材の長手方向の中央領域に設けられた第1位置決め孔及び第2位置決め孔と、型開き状態における金型の第1位置決めピン及び第2位置決めピンとがそれぞれ嵌合することによって、前記金型に対して前記被プレス材を位置決めし、しかる後、前記金型の型閉じ動作によって前記被プレス材をプレス成形して成形体を得るとともに、前記金型の型閉じ状態において前記成形体を冷却することによって焼き入れが施されたプレス成形品を得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1及び第7の発明では、第1位置決め孔及び第2位置決め孔が平面視において被プレス材の長手方向の中央領域に設けられているので、被プレス材の長手方向の外側領域に位置決め孔が設けられる場合に比べて、焼き入れ時における成形品の収縮変形による両位置決め孔周りの寸法変化が抑えられる。これにより、特許文献1のように位置決め孔の長手方向寸法を大きくせずに、上記収縮変形を許容する位置決め構造にすることが可能となるので、金型に対する被プレス材の位置決めを精度良く行いながら、位置決め孔を起因としたプレス成形品の強度低下を防ぐことができる。
【0017】
第2の発明では、被プレス材の中央領域が第1位置決めユニットによって長手方向に直交する水平方向の両側から挟持されるようになるので、被プレス材の外側領域を挟持する場合に比べて、被プレス材を金型における上記長手方向に直交する水平方向の所定位置に精度良く位置決めすることができる。
【0018】
第3の発明では、長手方向に沿って延びている中央領域が第1位置決めユニットによって上記直交する水平方向の両側から挟持されるようになるので、中央領域に対して交差する水平方向に延びる中央領域に連続する領域を挟持する場合に比べて、被プレス材を金型における上記直交する水平方向の所定位置に精度良く位置決めすることができる。
【0019】
第4の発明では、リフト支持部によって被プレス材が下方から持ち上げて支持されると、該被プレス材の下面が下型の上面から離れた位置となって接触しなくなる。これにより、加熱された被プレス材の熱が不意に下型へ伝熱してしまうことで、金型の型閉じ直後において被プレス材が焼き入れに必要な温度を維持できなくなり、プレス成形品の強度に影響を与えてしまうといった事態を回避することができる。
【0020】
第5の発明では、被プレス材の第1位置決め孔と第2位置決め孔とに金型の第1位置決めピンと第2位置決めピンとをそれぞれ嵌合させた際、ワーク受け部によって被プレス材の下面が下型の上面から離れた位置となって接触しなくなる。これにより、加熱された被プレス材の熱が不意に下型へ伝熱してしまうことで、金型の型閉じ直後において被プレス材が焼き入れ必要な温度を維持できなくなり、プレス成形品の強度に影響を与えてしまうといった事態を回避することができる。
【0021】
第6の発明では、第1位置決め孔に第1位置決めピンが嵌合すると、第1位置決め孔が前記被プレス材の長手方向に直交する水平方向に沿ってのびているので、プレス金型に対する被プレス材の長手方向の相対移動が規制されるようになる。さらに、第2位置決め孔に第2位置決めピンが嵌合すると、第2位置決め孔が前記被プレス材の長手方向に沿ってのびる長孔或いは角孔であるので、プレス金型に対する被プレス材の長手方向に直交する水平方向の相対移動が規制されるようになる。このように、被プレス材を金型における長手方向及び当該長手方向に直交する水平方向の所定位置に精度良く位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係るプレス成形装置の概略正面図である。
図2】下型、第1位置決めユニット及び第2位置決めユニットを示す概略平面図である。
図3図2のIII-III線における概略断面図である。
図4図2のIV-IV線における概略断面図である。
図5】本発明の実施形態に係るプレス成形装置を用いたプレス成形方法の各工程を示す図である。
図6】セット工程を示す概略平面図である。
図7図6のVII-VII線における概略断面図である。
図8図6のVIII-VIII線における概略断面図である。
図9】位置決め工程を示す概略断面図である。
図10】プレス成形工程及び焼き入れ工程を示す概略断面図である。
図11】変形例に係る図7相当図である。
図12】変形例に係る図8相当図である。
図13】変形例に係る図6相当図である。
図14】変形例に係る図6相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係るプレス成形装置1を示す。該プレス成形装置1は、断面ハット形状をなすプレス成形品P(例えば、車体メンバ)を生産するようになっていて、装置の上流側から順に、金属板からなる被プレス材Sを加熱する加熱領域2と、ホットプレス成形及び焼き入れを行うことで、被プレス材Sからプレス成形品Pを得る成形領域3とが直線状に設定されている。
【0025】
加熱領域2には、遠赤外線式の加熱炉20が配置され、該加熱炉20は、フロアに設置された下側炉体20aと、該下側炉体20aの上方に対向配置された上側炉体20bとを有している。
【0026】
上側炉体20bには、当該上側炉体20bと下側炉体20aとの間の雰囲気ガスの温度を上昇させるヒータ(図示せず)が取り付けられ、被プレス材Sを所定の加熱時間だけ加熱して予め設定された温度(例えば、約900℃)にまで昇温させるようになっている。
【0027】
加熱領域2と成形領域3との間には、加熱炉20にて昇温されて高温状態となった被プレス材Sを成形領域3まで搬送する第1ロボットR1が配設されている。
【0028】
成形領域3は、ホットプレス成形が可能な金型30と、プレス5とを備えており、加熱領域2において加熱された被プレス材Sを金型30を用いてホットプレス成形及び焼き入れを行うことで、プレス成形品Pを得るようになっている。
【0029】
次に、図1図4を用いて、成形領域3について詳述する。
【0030】
金型30には、図1に示すように、下型31と、当該下型31の上方に対向配置された上型32とが備えられ、プレス5により、上型32が昇降可能となっている。また、下型31の周囲には、図2に示すように、一対の第1位置決めユニット33が1組、及び、一対の第2位置決めユニット34が二組配設されている。そして、各第1位置決めユニット33が下型31の長手方向の中央部分を挟んで水平方向に対向配置され、各第2位置決めユニット34が下型31における上記中央部分の両側にある外側部分をそれぞれ挟んで水平方向に対向配置されている。
【0031】
下型31は、図2に示すように、平面視で略逆V字状をなしており、その上面に第1成形面31aが設けられている。該第1成形面31aは、図3に示すように、下型31の長手方向に交差する水平方向における中央が緩やかに下方に湾曲する断面凹状に形成されるとともに、図4に示すように、下型31の長手方向かつ水平方向における中央が緩やかに上方に湾曲する断面凸状に形成されている。そして、該断面凸条に形成されている部分、つまり、下型31の長手方向かつ水平方向における中央部分に、第1位置決めピン35a及び第2位置決めピン35bが取り付けられている。本実施形態では、第1位置決めピン35a及び第2位置決めピン35bは、略円錐形状をなすピンで構成され、その中心線の延び方向が上方を向く姿勢で下型31に固定されている。
【0032】
また、下型31には、図3及び図4に示すように、下型31の長手方向かつ水平方向に延びる複数の第1流通路31bが設けられ、該各第1流通路31bの内部には液体冷媒が流通するようになっている。
【0033】
上型32には、その下面、つまり、第1成形面31aに対向する面に第2成形面32aが設けられている。該第2成形面32aは、図3に示すように、上型32の長手方向に交差する水平方向における中央が第1成形面31aに対応するよう緩やかに下方に湾曲する断面凸状に形成されるとともに、図4に示すように、上型32の長手方向かつ水平方向における中央が第1成形面31aに対応するよう緩やかに上方に湾曲する断面凹状に形成されている。該断面凹条に形成されている部分、つまり、上型32の長手方向かつ水平方向における中央部分において、下型31の第1位置決めピン35a及び第2位置決めピン35bに対応する位置には、金型30の型閉じ状態において両位置決めピンをそれぞれ収容可能な第1凹部32b及び第2凹部32cが設けられている。
【0034】
また、上型32の外周縁部には、図3に示すように、下方に突出する突出部32dが所定の間隔を空けて複数設けられている。各突出部32dの下端、つまり、突出端は第2成形面32aよりも下方に位置しており、突出部32dの突出端における内側、つまり、第2成形面32a側には、外周縁側に行くにしたがって次第に下方に位置するように傾斜する傾斜面32eが設けられている。また、突出部32dの第2成形面32a側には、上下に延びる摺接面32fが設けられ、該摺接面32fの下端側は、傾斜面32eの上端側に連続している。
【0035】
さらに、上型32には、図3及び図4に示すように、上型32の長手方向かつ水平方向に延びる複数の第2流通路32gが設けられ、該各第2流通路32gの内部には液体冷媒が流通するようになっている。
【0036】
第1位置決めユニット33は、図2に示すように、下型31の長手方向の中央部分を挟むようにそれぞれ配設されている。該各第1位置決めユニット33には、下型31に向けて伸縮するピストンロッド33a、当該ピストンロッド33aの後端に設けられた流体圧シリンダを収容する本体部33b、及び、ピストンロッド33aの先端に固定された押圧部材33cが備えられている。そして、ピストンロッド33aを伸長動作による各押圧部材33cの押圧動作によって、下型31の第1成形面31aに載置された被プレス材Sを移動させるとともに、両押圧部材33cにより該被プレス材Sを下型31の長手方向に直交する水平方向の両側から挟持することで、当該被プレス材Sを下型31の所定位置に位置決めすることが可能となっている。
【0037】
第2位置決めユニット34は、図2に示すように、下型31の長手方向の中央部分の両側にある外側部分をそれぞれ挟むように配設されている。該各第2位置決めユニット34は、図3に示すように、上下方向において上型32の突出部32dに対応する位置に設けられるとともに、上下に延びるブロック体34aを備え、該ブロック体34aにおける下型31を向く前面には、位置決め面34bが設けられている。
【0038】
該位置決め面34bの中途部には、該位置決め面34bから下型31に近づく方向、つまり、内側に突設されたリフト支持部34cが設けられている。該リフト支持部34cは、略直角三角形状をなし、かつ、その上面が略水平方向に沿うように構成されている。
【0039】
ブロック体34aの前側上部には、下型31側に行くにつれて下方に位置するように傾斜して延びて位置決め面34bにつながるガイド面34dが形成されている。
【0040】
一方、ブロック体34aの後側上部には、矩形状に切り抜かれた切欠部34eが形成され、ブロック体34aの後面には、位置決め面34bと平行に延びる後端面34fが設けられている。
【0041】
また、ブロック体34aの後側上方の角部には、ブロック体34aの前後方向と直交する水平方向に突出する棒状突起34gが設けられている。
【0042】
さらに、ブロック体34aの下方には、当該ブロック体34aを支持する支持フレーム34hが設けられ、該支持フレーム34hは、水平方向に延びるベースプレート34iと、当該ベースプレート34iの中途部から上方に突設された支持部34jとを備えている。
【0043】
該支持部34jの上端部は、ブロック体34aの下側中途部を当該ブロック体34aの前後方向と直交する方向に延びる揺動軸心C1周りに揺動可能に軸支している。つまり、ブロック体34aは、揺動軸心C1周りに位置決め面34bを下型31に近づかせる揺動方向一側及び位置決め面34bを下型31から遠ざける揺動方向他側に揺動することにより、下型31に対して進退するように構成されている。
【0044】
ブロック体34aの前側下方には、付勢部材34k(例えば、コイルばね)が配設されている。該付勢部材34kの一端は、ブロック体34aの前側下面に固定される一方、その他端は、ベースプレート34i上部の下型31側に固定されている。また、付勢部材34kは、位置決め面34bが下型31から離れて上向く側(揺動方向他側)にブロック体34aが揺動するように当該ブロック体34aの前側を上方に付勢していて、リフト支持部34cに載置された被プレス材Sの重力によって、該被プレス材Sの下面が下型31の第1成形面31aに接触するまでブロック体34aが揺動軸心C1周りを揺動方向一側に揺動しないように付勢力が設定されている。
【0045】
次に、プレス成形装置1を用いたプレス成形方法について詳述する。本実施形態のプレス成形方法では、図5に示す各工程が実施されるようになっている。
【0046】
ステップS1の加熱工程では、図1に示す加熱領域2の加熱炉20において、用意した被プレス材Sを加熱する。例えば、該被プレス材Sの温度が約900度まで昇温すると、次のステップS2に進む。
【0047】
ステップS2のセット工程では、図6図8に示すように、ステップS1において加熱された被プレス材Sを型開き状態の金型30の下型31と上型32との間に投入して第2位置決めユニット34のリフト支持部34cにセットする。
【0048】
被プレス材Sには、図6に示すように、平面視において下型31に沿う略逆V字状をなすとともに、当該被プレス材Sの長手方向において中央から外側に向けて、中央領域IR、第1外側領域OR1、及び、第2外側領域OR2が順に設けられている。該中央領域IRは、焼き入れ時における成形体の収縮変形の影響が受け難い範囲内に設定されている。
【0049】
また、中央領域IRは、被プレス材Sの長手方向に延びる形状をなし、第1外側領域OR1は、被プレス材Sの長手方向両側の中央領域IRに連続する領域であって、中央領域IRに対して交差する水平方向に延びる形状をなし、及び、第2外側領域OR2は、被プレス材Sの長手方向両側の第1外側領域OR1に連続する領域であって、被プレス材Sの長手方向に延びる形状をなしている。また、中央領域IRには、被プレス材Sの長手方向に沿って並設されるとともに、被プレス材Sの厚み方向に貫通する第1位置決め孔H1及び第2位置決め孔H2が設けられ、第1位置決め孔H1が被プレス材Sの長手方向に直交する水平方向に沿って延びる長孔であるとともに、第2位置決め孔H2が被プレス材Sの長手方向に沿って延びる長孔となっている。そして、第1位置決め孔H1が第1位置決めピン35aと、第2位置決め孔H2が第2位置決めピン35bとにそれぞれ嵌合することにより、被プレス材Sが下型31に対して位置決めされるようになっている。すなわち、本実施形態における第1位置決めピン35a、第2位置決めピン35b、第1位置決め孔H1、第2位置決め孔H2が特許請求の範囲の「被プレス材の位置決め構造」を構成している。
【0050】
さらに、ステップS2(セット工程)において、ブロック体34aがリフト支持部34cにより被プレス材Sを支持している状態(第1状態)では、図7及び図8に示すように、付勢部材34kの付勢力により、被プレス材Sの下面が第1成形面31aと接触しない姿勢、つまり、リフト支持部34cが被プレス材Sを第1成形面31aから浮いた姿勢となるように下方から持ち上げて支持するようになっている。これにより、加熱領域2で加熱された被プレス材Sの熱が下型31へ伝熱することを防ぐことが可能となっている。なお、説明の便宜上、図8において、第2位置決めユニット34は、リフト支持部34c以外の構成を省略している。
【0051】
ステップS3の位置決め工程では、プレス5を駆動することにより、上型32を下降させる。すると、下型31における各突出部32dの傾斜面32eが各第2位置決めユニット34における棒状突起34gに接触した後、当該棒状突起34gに摺接しながら上型32が下降することにより、上型32がブロック体34aに下型31側への力を加える。そうすると、図9に示すように、ブロック体34aが揺動軸心C1周りを揺動方向一側に揺動することにより前進して、ブロック体34aがリフト支持部34cにより被プレス材Sを支持しているステップS2の状態(第1状態)からブロック体34aが被プレス材Sをリフト支持部34cから下型31の第1成形面31aに下ろす状態(第2状態)に切替られるとともに、ブロック体34aの位置決め面34bが予め決められた所定の位置まで被プレス材Sを押圧して移動させることにより、下型31に対して被プレス材Sが位置決めされる。
【0052】
さらに、ステップS3では、上型32の下降動作、つまり、第2位置決めユニット34の動作に連動して行われる第1位置決めユニット33のピストンロッド33aの伸長動作による各押圧部材33cの押圧動作によって、下型31の第1成形面31aに下ろされた被プレス材Sを移動させるとともに、両押圧部材33cにより該被プレス材Sを当該被プレス材Sの長手方向に直交する水平方向の両側から挟持することで、当該被プレス材Sが下型31の所定位置に位置決めされる。
【0053】
ステップS4のプレス成形工程では、プレス5を駆動することにより、上型32を更に下降させる。すると、図10に示すように、金型30の型閉じ動作によって、上型32の第2成形面32aが被プレス材Sの中央部分を下型31の第1成形面31aに沿うように塑性変形させて断面ハット状をなす成形体が得られる。このとき、突出部32dに設けられた上下方向に延びる摺接面32fがブロック体34aの棒状突起34gを上下方向に摺接させるので、ブロック体34aの姿勢が一定に保持されて位置決め面34bが予め決められた所定の位置で維持される。したがって、被プレス材Sを下型31における目標の位置に位置決めした状態でプレス成形を行うことができる。
【0054】
ステップS5の焼き入れ工程では、ステップS4において被プレス材Sをプレス成形することにより得た成形体を金型30の型閉じ状態、つまり、下型31の第1成形面31aと上型32の第2成形面32aとにより加圧保持した状態で冷却することによって、成形体の焼き入れが行われる。これにより、焼き入れが施された断面ハット形状をなすプレス成形品Pを得ることができる。
【0055】
しかる後、プレス5を駆動することにより、上型32を上昇させて該上型32の第2成形面32aと下型31の第1成形面31aとを離間させると、各ブロック体34aが付勢部材34kの付勢力により元の位置まで揺動方向他側に揺動するようになる。そして、図1に示す成形領域3の反加熱領域2側に配設された第2ロボットR2により、成形領域3において成形されたプレス成形品Pを次領域まで搬送して終了となる。
【0056】
以上より、本実施形態では、第1位置決め孔H1及び第2位置決め孔H2が平面視において被プレス材Sの長手方向の中央領域IRに設けられているので、被プレス材Sの長手方向の第1外側領域OR1や第2外側領域OR2に位置決め孔が設けられる場合に比べて、焼き入れ時における成形品の収縮変形による両位置決め孔H1、H2周りの寸法変化が抑えられる。これにより、特許文献1のように位置決め孔の長手方向寸法を大きくせずに、上記収縮変形を許容する位置決め構造にすることが可能となるので、金型30に対する被プレス材Sの位置決めを精度良く行いながら、位置決め孔を起因としたプレス成形品Pの強度低下を防ぐことができる。
【0057】
また、被プレス材Sの中央領域IRが第1位置決めユニット33によって長手方向に直交する水平方向の両側から挟持されるようになるので、被プレス材Sの第1外側領域OR1を挟持する場合に比べて、被プレス材Sを金型30における上記長手方向に直交する水平方向の所定位置に精度良く位置決めすることができる。
【0058】
また、長手方向に沿って延びている中央領域IRが第1位置決めユニット33によって上記直交する水平方向の両側から挟持されるようになるので、中央領域IRに対して交差する水平方向に延びる中央領域IRに連続する第1外側領域OR1を挟持する場合に比べて、被プレス材Sを金型30における上記直交する水平方向の所定位置に精度良く位置決めすることができる。
【0059】
また、リフト支持部34cによって被プレス材Sが下方から持ち上げて支持されると、該被プレス材Sの下面が下型31の第1成形面31aから離れた位置となって接触しなくなる。これにより、加熱された被プレス材Sの熱が不意に下型31へ伝熱してしまうことで、金型30の型閉じ直後において被プレス材Sが焼き入れに必要な温度を維持できなくなり、プレス成形品Pの強度に影響を与えてしまうといった事態を回避することができる。
【0060】
また、第1位置決め孔H1に第1位置決めピン35aが嵌合すると、第1位置決め孔H1が前記被プレス材Sの長手方向に直交する水平方向に沿ってのびているので、金型30に対する被プレス材Sの長手方向の相対移動が規制されるようになる。さらに、第2位置決め孔H2に第2位置決めピン35bが嵌合すると、第2位置決め孔H2が前記被プレス材Sの長手方向に沿ってのびる長孔であるので、金型30に対する被プレス材Sの長手方向に直交する水平方向の相対移動が規制されるようになる。このように、被プレス材Sを金型30における長手方向及び当該長手方向に直交する水平方向の所定位置に精度良く位置決めすることができる。
【0061】
なお、本実施形態では、第2位置決めユニット34は、付勢部材34kを備えていたが、該付勢部材34kに代えて、図11に示すように、ブロック体34aの後側に取り付けられた錘体34lを備えるようにしてもよく、或いは、付勢部材34k及び錘体34lを備えるようにしてもよい。付勢部材34kに代えて錘体34lを備える場合、錘体34lの重量は、ブロック体34aが第1状態を維持可能となるように設定するのが好ましい。このようにすることで、リフト支持部34cにおいて支持された被プレス材Sの重量によってブロック体34aにその位置決め面34bを下型31に近づかせる揺動方向一側に揺動させようとする力が作用しても、これに抗する錘体34lの重量によって揺動方向一側へのブロック体34aの揺動が制限されるので、被プレス材Sと下型31の第1成形面31aとが接触してしまうのを回避することができる。また、油圧や電動モータ等のアクチュエータを用いてブロック体34aの揺動位置を調整する場合に比べて省エネルギー化を図ることができる。
【0062】
また、本実施形態では、第2位置決めユニット34の付勢部材34kは、コイルばねで構成されていたが、板バネやゴム等の弾性部材で構成されていてもよい。
【0063】
また、本実施形態では、第2位置決めユニット34は、上型32の下降動作、或いは、付勢部材34kの付勢力によって、揺動軸心C1周りを揺動するように構成されていたが、油圧や電動モータ等のアクチュエータにより揺動させるようにしてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、第2位置決めユニット34のブロック体34aは、揺動軸心C1周りに揺動することにより、下型31に対して進退する構成であったが、ブロック体34aの位置決め面34bが下型31に近づく方向及び遠ざかる方向かつ水平方向にスライドすることにより、下型31に対して進退する構成としてもよい。
【0065】
また、本実施形態では、被プレス材Sを下型31の第1成形面31aから浮いた姿勢で下方から支持するように、第2位置決めユニット34のリフト支持部34cが設けられていたが、図12に示すように、第1位置決めピン35aと第2位置決めピン35bとにワーク受け部35cを設け、各ワーク受け部35cによって、第1位置決めピン35aと第2位置決めピン35bとを第1位置決め孔H1と第2位置決め孔H2とにそれぞれ嵌合させた際、被プレス材Sを下型31の第1成形面31aから浮いた姿勢となるよう下方から受け止めるようにしてもよい。このようにすることで、被プレス材Sの第1位置決め孔H1と第2位置決め孔H2とに金型30の第1位置決めピン35aと第2位置決めピン35bとをそれぞれ嵌合させた際、ワーク受け部35cによって被プレス材Sの下面が下型31の第1成形面31aから離れた位置となって接触しなくなる。これにより、加熱された被プレス材Sの熱が不意に下型31へ伝熱してしまうことで、金型30の型閉じ直後において被プレス材Sが焼き入れ必要な温度を維持できなくなり、プレス成形品Pの強度に影響を与えてしまうといった事態を回避することができる。なお、第1位置決めピン35a及び第2位置決めピン35bは、図12に示すように、それぞれの下半分が下型31に設けられた挿入孔35eに挿入されており、該挿入孔35eに配設された各第2の付勢部材35d(例えば、コイルばね)によって、上方に付勢されている。このようにすることで、金型30の型開き状態では、各第2の付勢部材35dの付勢力によって、被プレス材Sの下面が下型31の第1成形面31aに接触しない状態とされる一方、金型30の型閉じ状態では、上型32の下降動作により各第2の付勢部材35dが縮められることで、第1位置決めピン35a及び第2位置決めピン35bが各挿入孔35eの内部を下方に移動して、被プレス材Sが下型31の第1成形面31aに下ろされるようになっている。
【0066】
また、本実施形態では、下型31の周囲には、複数の第1位置決めユニット33及び複数の第2位置決めユニット34が配設されていたが、第1位置決めユニット33及び第2位置決めユニット34を備えなくても良く、或いは、図13に示すように、第1位置決めユニット33及び第2位置決めユニット34に加えて、下型31を挟んで水平方向に対向配置され互いに対になった第3位置決めユニット36及び固定ガイド部材37を被プレス材Sの第2外側領域OR2に対応する位置に配設するようにしてもよい。この場合、該各第3位置決めユニット36には、各固定ガイド部材37に向けて伸縮する第2のピストンロッド36a、当該第2のピストンロッド36aの後端に設けられた流体圧シリンダを収容する第2の本体部36b、及び、第2のピストンロッド36aの先端に固定された第2の押圧部材36cが備えられている。そして、第2のピストンロッド36aを伸長動作による各第2の押圧部材36cの押圧動作によって、下型31の第1成形面31aに載置された被プレス材Sを移動させるとともに、両第2の押圧部材36cにより該被プレス材Sを当該被プレス材Sの長手方向に直交する水平方向の両側から挟持することで、第1位置決めユニット33及び第2位置決めユニット34とともに、被プレス材Sを下型31の所定位置に位置決めすることが可能となっている。
【0067】
また、本実施形態では、被プレス材Sの中央領域IRは、被プレス材Sの長手方向に延びる領域に設定されていたが、中央領域IRは、焼き入れによる収縮変形による影響が少ない領域であればよく、例えば、被プレス材Sの長手方向の寸法を100%とした場合における30%の領域、つまり、被プレス材Sの長手方向中心から長手方向一端側の15%の領域と、被プレス材Sの長手方向中心から長手方向他端側の15%の領域とを足した30%の領域に設定してもよい。
【0068】
また、本実施形態では、第2位置決め孔H2が被プレス材Sの長手方向に沿って延びる長孔とされていたが、図13に示すように、第2位置決め孔H2を角孔としてもよい。また、第1位置決め孔H1を角孔とするとともに、第2位置決め孔H2を被プレス材Sの長手方向に沿って延びる長孔としてもよく、第1位置決め孔H1を角孔とするとともに、第2位置決め孔H2を被プレス材Sの長手方向に直交する水平方向に沿って延びる長孔としてもよく、第1位置決め孔H1及び第2位置決め孔H2を角孔としてもよく、或いは、第1位置決め孔H1を被プレス材Sの長手方向に沿って延びる長孔とするとともに、第2位置決め孔H2を被プレス材Sの長手方向に直交する水平方向に沿って延びる長孔としてもよい。
【0069】
また、本実施形態では、被プレス材Sの中央領域IRに第1位置決め孔H1及び第2位置決め孔H2が設けられていたが、3つ以上の位置決め孔を設けるようにしてもよい。
【0070】
また、本実施形態では、第1位置決め孔H1と第2位置決め孔H2とは、被プレス材Sの長手方向に沿って並べられていたが、該長手方向に直交する水平方向に沿って並べるようにしてもよく、或いは、上記長手方向および上記直交する水平方向に重ならないようにずらして配置するようにしてもよい。
【0071】
また、本実施形態では、第1位置決めピン35a及び第2位置決めピン35bは、略円錐形状をなすピンで構成されていたが、略角錐形状(例えば、四角錐形状)をなすようにしてもよい。
【0072】
また、本実施形態では、被プレス材Sは、平面視で略逆V字状をなしていたが、図14に示すように、略矩形状の被プレス材Sを用いてもよい。この場合において、被プレス材Sの第1外側領域OR1及び第2外側領域OR2を外側領域ORとするとともに、被プレス材Sの中央領域IRを複数の第2位置決めユニット34を用いて位置決めするようにしてもよい。
【0073】
また、本実施形態では、ステップS2のセット工程において、被プレス材Sに設けられた第1位置決め孔H1と第2位置決め孔H2とに下型31に設けられた第1位置決めピン35aと第2位置決めピン35bとをそれぞれ嵌合させるようにしていたが、ステップS3の位置決め工程においてそれぞれを嵌合させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、ホットプレス成形時の金型に対する被プレス材の位置決め構造及びプレス成形方法に適している。
【符号の説明】
【0075】
30 金型
31 下型
31a 第1成形面
32 上型
32a 第2成形面
33 第1位置決めユニット
34 第2位置決めユニット
34c リフト支持部
35a 第1位置決めピン
35b 第2位置決めピン
35c ワーク受け部
IR 中央領域
OR1 第1外側領域(中央領域に連続する領域)
H1 第1位置決め孔
H2 第2位置決め孔
P プレス成形品
S 被プレス材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14