(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030180
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】照度推定方法、照明制御方法、照度推定プログラム、制御装置、及び照明制御システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/11 20200101AFI20240229BHJP
【FI】
H05B47/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132791
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100195534
【弁理士】
【氏名又は名称】内海 一成
(72)【発明者】
【氏名】加納 淳
(72)【発明者】
【氏名】船越 大範
(72)【発明者】
【氏名】今村 翼
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 匡利
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA10
3K273QA02
3K273QA28
3K273RA17
3K273SA03
3K273SA04
3K273SA06
3K273SA21
3K273SA37
3K273TA03
3K273TA04
3K273TA15
3K273TA28
3K273TA29
3K273TA77
3K273TA78
3K273UA02
3K273UA22
(57)【要約】
【課題】照度の推定精度を向上できる照度推定方法、照明制御方法、照度推定プログラム、制御装置、及び照明制御システムを提供する。
【解決手段】照度推定方法は、撮像装置30によって所定位置を含む範囲を撮像した撮像画像を取得することと、撮像画像の明度又は輝度が所定位置の照度に対応している場合に撮像画像の明度又は輝度に基づいて所定位置の照度を推定することとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置によって所定位置を含む範囲を撮像した撮像画像を取得することと、
前記撮像画像の明度又は輝度が前記所定位置の照度に対応している場合に前記撮像画像の明度又は輝度に基づいて前記所定位置の照度を推定することと
を含む、照度推定方法。
【請求項2】
前記撮像画像に、前記所定位置に対応する第1グリッドと前記第1グリッドに隣接する第2グリッドとを設定することと、
前記第1グリッド及び前記第2グリッドのそれぞれについて色空間座標を算出することと、
前記第1グリッドの色空間座標と前記第2グリッドの色空間座標との距離が距離閾値未満である場合に前記第1グリッドの明度又は輝度が前記所定位置の照度に対応していると判定することと
を更に含む、請求項1に記載の照度推定方法。
【請求項3】
複数の前記撮像装置のそれぞれによって前記所定位置を含む範囲を撮像した複数の撮像画像を取得することと、
前記複数の撮像画像それぞれの中で前記所定位置に対応するグリッドの明度又は輝度を、前記複数の撮像画像それぞれについて算出することと、
前記所定位置に対応するグリッドの明度又は輝度が最も小さい撮像画像を選択することと、
選択した撮像画像の前記所定位置に対応するグリッドの明度又は輝度に基づいて前記所定位置の照度を推定することと
を含む、請求項1又は2に記載の照度推定方法。
【請求項4】
前記撮像装置としての第1撮像装置によって前記所定位置を含む範囲を撮像した第1撮像画像を取得することと、
前記撮像装置としての第2撮像装置によって前記所定位置を含む範囲を撮像した第2撮像画像を取得することと、
前記第1撮像画像の中で前記所定位置に対応する第1グリッドの明度又は輝度を第1明度又は第1輝度として算出することと、
前記第2撮像画像の中で前記所定位置に対応する第2グリッドの明度又は輝度を第2明度又は第2輝度として算出することと、
前記第1明度又は第1輝度と前記第2明度又は第2輝度との差の絶対値が明度閾値又は輝度閾値未満である場合に前記第1グリッドの明度若しくは輝度又は前記第2グリッドの明度若しくは輝度が前記所定位置の照度に対応していると判定することと
を更に含む、請求項1又は2に記載の照度推定方法。
【請求項5】
請求項3に記載の照度推定方法を実行することによって得られた前記所定位置の推定照度に基づいて、前記所定位置を含む範囲を照らす照明装置を制御することを含む、照明制御方法。
【請求項6】
前記照明装置としてグレアレスダウンライトを制御することを含む、請求項5に記載の照明制御方法。
【請求項7】
撮像装置によって所定位置を含む範囲を撮像した撮像画像を取得することと、
前記撮像画像の明度又は輝度が前記所定位置の照度に対応している場合に前記撮像画像の明度又は輝度に基づいて前記所定位置の照度を推定することと
をプロセッサに実行させる、照度推定プログラム。
【請求項8】
所定位置の照度を推定する制御部を備え、
前記制御部は、
撮像装置によって所定位置を含む範囲を撮像した撮像画像を取得し、
前記撮像画像の明度又は輝度が前記所定位置の照度に対応している場合に前記撮像画像の明度又は輝度に基づいて前記所定位置の照度を推定する、
制御装置。
【請求項9】
制御装置と、所定位置を含む範囲を照らす照明装置と、前記所定位置を含む範囲を撮像する撮像装置とを備え、
前記制御装置は、
撮像装置によって所定位置を含む範囲を撮像した撮像画像を取得し、
前記撮像画像の明度又は輝度が前記所定位置の照度に対応している場合に前記撮像画像の明度又は輝度に基づいて前記所定位置の照度を推定する、
照明制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照度推定方法、照明制御方法、照度推定プログラム、制御装置、及び照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラで撮像した画像に基づいて照度分布を推定し、照明を制御するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
照明を適切に制御するために、照度の推定精度の向上が求められる。
【0005】
本開示の目的は、照度の推定精度を向上できる照度推定方法、照明制御方法、照度推定プログラム、制御装置、及び照明制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る照度推定方法は、撮像装置によって所定位置を含む範囲を撮像した撮像画像を取得することと、前記撮像画像の明度又は輝度が前記所定位置の照度に対応している場合に前記撮像画像の明度又は輝度に基づいて前記所定位置の照度を推定することとを含む。
【0007】
本開示の一実施形態に係る照明制御方法は、上記照度推定方法を実行することによって得られた前記所定位置の推定照度に基づいて、前記所定位置を含む範囲を照らす照明装置を制御することを含んでよい。
【0008】
本開示の一実施形態に係る照度推定プログラムは、撮像装置によって所定位置を含む範囲を撮像した撮像画像を取得することと、前記撮像画像の明度又は輝度が前記所定位置の照度に対応している場合に前記撮像画像の明度又は輝度に基づいて前記所定位置の照度を推定することとをプロセッサに実行させる。
【0009】
本開示の一実施形態に係る制御装置は、所定位置の照度を推定する制御部を備える。前記制御部は、撮像装置によって所定位置を含む範囲を撮像した撮像画像を取得し、前記撮像画像の明度又は輝度が前記所定位置の照度に対応している場合に前記撮像画像の明度又は輝度に基づいて前記所定位置の照度を推定する。
【0010】
本開示の一実施形態に係る照明制御システムは、制御装置と、所定位置を含む範囲を照らす照明装置と、前記所定位置を含む範囲を撮像する撮像装置とを備える。前記制御装置は、撮像装置によって所定位置を含む範囲を撮像した撮像画像を取得し、前記撮像画像の明度又は輝度が前記所定位置の照度に対応している場合に前記撮像画像の明度又は輝度に基づいて前記所定位置の照度を推定する。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一実施形態に係る照度推定方法、照明制御方法、照度推定プログラム、制御装置、及び照明制御システムによれば、照明の推定精度が向上され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る照明制御システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】照明制御エリアの構成例を示す模式図である。
【
図3】机に入射する光と、机で反射して撮像装置に進行する光との関係の一例を説明する模式図である。
【
図4】直接反射光と拡散反射光とに分かれて反射する例を示す模式図である。
【
図8】グリッド間の色味の差を色度の距離として表す例を示すグラフである。
【
図9】第1撮像装置及び第2撮像装置が設置された照明制御エリアの構成例を示す模式図である。
【
図12】一実施形態に係る照度推定方法及び照明制御方法の手順例を示すフローチャートである。
【
図13】照度の推定値と測定値との関係の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(照明制御システム1の構成例)
図1に示されるように、一実施形態に係る照明制御システム1は、制御装置10と、照明装置20と、撮像装置30とを備える。照明制御システム1は、
図2に例示される照明制御エリア100における照明を制御する。照明制御エリア100は、例えばオフィス、会議室又は教室等の、照明を制御する対象となる種々の空間を含んでよい。照明制御エリア100は、天井110と、床120と、窓130と、壁132とで囲まれた空間であるとする。照明制御エリア100において、床120の上に机140が設置されているとする。本実施形態において、照明装置20及び撮像装置30は、照明制御エリア100の天井110に設置されているとする。
【0014】
照明制御システム1において、制御装置10は、撮像装置30で照明制御エリア100を撮像した画像に基づいて照明制御エリア100の照度を推定する。制御装置10は、照明制御エリア100の照度の推定結果に基づいて、照明装置20を制御し、照明制御エリア100の照度を制御する。
【0015】
以下、照明制御システム1の各部の構成例が説明される。
【0016】
<制御装置10>
制御装置10は、制御部12と、インタフェース14とを備える。制御部12は、照明装置20を制御可能に構成される。制御部12は、撮像装置30を制御可能に構成されてもよい。制御部12は、少なくとも1つのプロセッサを含んでよい。プロセッサは、制御装置10の種々の機能を実現するプログラムを実行しうる。プロセッサは、単一の集積回路として実現されてよい。集積回路は、IC(Integrated Circuit)とも称される。プロセッサは、複数の通信可能に接続された集積回路及びディスクリート回路として実現されてよい。プロセッサは、他の種々の既知の技術に基づいて実現されてよい。
【0017】
制御装置10は、記憶部を更に備えてよい。記憶部は、例えば、磁気ディスク等の電磁記憶媒体を含んでよいし、半導体メモリ又は磁気メモリ等のメモリを含んでもよい。記憶部は、制御装置10の動作で参照される各種情報及び制御装置10の種々の機能を実現するプログラム等を格納してよい。記憶部は、制御部12のワークメモリとして機能してよい。記憶部は、制御部12と一体に構成されてもよいし、制御部12と別体で構成されてもよい。
【0018】
インタフェース14は、照明装置20又は撮像装置30等の外部装置と通信する通信モジュールを含んで構成されてよい。通信モジュールは、例えば4G(4th Generation)又は5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応してよい。通信モジュールは、LAN(Local Area Network)等の通信規格に対応してもよい。通信モジュールは、有線又は無線の通信規格に対応してもよい。通信モジュールは、これらに限られず、種々の通信規格に対応してよい。インタフェース14は、外部の通信モジュールに接続可能に構成されてよい。
【0019】
インタフェース14は、ユーザから情報又はデータ等の入力を受け付ける入力デバイスを含んで構成されてよい。入力デバイスは、例えば、タッチパネル若しくはタッチセンサ、又はマウス等のポインティングデバイスを含んで構成されてよい。入力デバイスは、物理キーを含んで構成されてもよい。入力デバイスは、マイク等の音声入力デバイスを含んで構成されてもよい。インタフェース14は、外部の入力デバイスに接続可能に構成されてもよい。
【0020】
インタフェース14は、ユーザに対して情報又はデータ等を出力する出力デバイスを含んで構成されてよい。出力デバイスは、例えば、画像又は文字若しくは図形等の視覚情報を出力する表示デバイスを含んでよい。表示デバイスは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ若しくは無機ELディスプレイ、又は、PDP(Plasma Display Panel)等を含んで構成されてよい。表示デバイスは、これらのディスプレイに限られず、他の種々の方式のディスプレイを含んで構成されてよい。表示デバイスは、LED(Light Emitting Diode)又はLD(Laser Diode)等の発光デバイスを含んで構成されてよい。表示デバイスは、他の種々のデバイスを含んで構成されてよい。出力デバイスは、例えば、音声等の聴覚情報を出力するスピーカ等の音声出力デバイスを含んでよい。出力デバイスは、例えば振動等の触覚情報を出力するバイブレータ等の振動デバイスを含んでよい。出力デバイスは、これらの例に限られず、他の種々のデバイスを含んでよい。インタフェース14は、外部の出力デバイスに接続可能に構成されてもよい。
【0021】
<照明装置20>
照明装置20は、照明光40を射出する。照明装置20は、例えばLED(Light Emitting Diode)、レーザーダイオード(laser diode)などの半導体レーザ素子、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)またはSLD(Super Luminescent Diode)等の種々の光源を含んで構成される。本実施形態において、照明装置20は、グレアレスダウンライトとして構成されるとする。グレアレスダウンライトは、不快グレアを低減するために、照射光のグレアが低減されるように光源構造又は光反射機構が設計されたものである。なお、不快グレアの評価方法は、例えば、JIS Z 9110:照明基準総則(2010)又はISO 8995:The lighting of indoor work systems(1989)等に示されている。照明装置20は、グレアレスダウンライトに限られず他の種々の態様で構成されてよい。
【0022】
照明制御エリア100に設置される照明装置20の数は、
図2に示される2個に限られず1個であってもよいし3個以上であってよい。複数の照明装置20が照明制御エリア100に設置されている場合、各照明装置20の点灯又は消灯の状態が個別に制御可能に構成されてよい。また、各照明装置20が射出する照明光40の強度が個別に制御可能に構成されてよい。
【0023】
<撮像装置30>
撮像装置30は、照明制御エリア100を撮像し、撮像した画像を制御装置10に出力する。撮像装置30は、電子的に画像を撮像するイメージセンサを含んで構成され、例えばネットワークカメラとして構成される。撮像装置30は、イメージセンサとして、CCD(Charge Coupled Device Image Sensor)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等を含んで構成されてよい。
【0024】
撮像装置30は、例えば魚眼レンズを備え、魚眼レンズの光軸方向に直交する面の周囲360度までを撮像範囲として画像を撮像してよい。撮像装置30は、照明制御エリア100の天井110に設置されている場合、鉛直方向を軸とする円錐状の範囲を撮像するように構成されてよい。魚眼レンズによって結像した撮像画像は、光軸から離れるほど大きく歪んでいる円形の画像となる。撮像装置30は、円形の画像をそのまま出力してもよいし、撮像対象の実際の見え方に近づけるように補正した画像を出力してもよい。
【0025】
(照明制御システム1の動作例)
照明制御システム1は、照明制御エリア100の照度を制御する。照明制御エリア100は、照明装置20から射出される照明光40と、窓130から入射する外光50とによって照らされるとする。この場合、照明制御エリア100の各部の照度は、各部に到達する照明光40の強度と、外光50の強度とによって定まる。照明制御エリア100の各部に到達する光は、直接光又は間接光を含み得る。直接光は、照明光40又は外光50が光源から直接到達する光に対応する。間接光は、照明光40又は外光50が他の部分で反射又は散乱してから間接的に到達する光に対応する。本実施形態において、間接光の強度は、直接光の強度に比べて無視できる程度に小さいとみなす。以下、照明光40又は外光50の直接光の強度によって照明制御エリア100の各部の照度が定まる前提で、撮像装置30による撮像画像(
図4参照)に基づいて照度を推定する動作例が説明される。
【0026】
<撮像画像の輝度と撮像した領域における照度との相関>
図3に示されるように、机140の上面140Sの小領域140mに到達する光は、照明装置20から小領域140mに入射する照明光40の一部の成分40mと、窓130から小領域140mに入射する外光50の一部の成分50mとを含む。したがって、小領域140mにおける照度は、照明光40の一部の成分40mの強度と外光50の一部の成分50mの強度との和に基づいて定まる。
【0027】
ここで、小領域140mに入射した光は、ランバート反射のモデルに従って反射すると仮定する。ランバート反射は、理想的な拡散反射であり、完全拡散反射とも称される。ランバート反射のモデルにおいて、平面に入射した光は、あらゆる方向に向けて反射する。ランバート反射のモデルにおいて、平面の各方向に反射する光の強度は、平面の法線と各方向との角度に応じてランバートの余弦則に従って定まる。言い換えれば、平面の各方向に反射する光の強度は、小領域140mの輝度が平面のどの方向からみても一定になるように定められる。なぜならば、例えば平面の法線に対して角度θを有する傾斜方向から小領域140mを見た場合、傾斜方向に進行する反射光の強度は平面の法線方向に進行する反射光のcosθ倍の強度になる。一方で、傾斜方向から見た小領域140mの面積は、法線方向から見た小領域140mの面積のcosθ倍に縮小する。輝度は、単位面積当たりの光の強度として算出される。したがって、ランバート反射のモデルに従って反射すると仮定した場合において、小領域140mの輝度は、平面のどの方向から見ても一定になる。
【0028】
小領域140mで反射した光の一部は、撮像装置30に向かって進行する。つまり、小領域140mは、撮像装置30から見て、面光源とみなされる。撮像装置30が小領域140mを撮像する場合、撮像装置30で撮像した画像に含まれる1つの画素は、小領域140mに含まれる部分領域140uに対応する。部分領域140uから撮像装置30に向かって進行する光は、撮像光30uとして表されている。部分領域140uに対応する画素の輝度は、撮像光30uの強度に対応する。ここで、小領域140mに入射した光がランバート反射のモデルに従って反射するという仮定の下で、小領域140mの輝度はどの方向から見ても一定である。つまり、小領域140mの輝度はどの方向から見ても小領域140mにおける照度に対応する。したがって、撮像装置30で撮像した画像のうち、小領域140mに含まれる部分領域140uに対応する画素の輝度は、小領域140mにおける照度に対応する。
【0029】
以上述べてきたように、小領域140mに入射した光がランバート反射のモデルに従って反射すると仮定した場合、撮像装置30で撮像した画像のうち小領域140mに対応する画素の輝度は、小領域140mの照度に対応する。したがって、制御装置10の制御部12は、撮像装置30で撮像した画像の各画素の輝度に基づいて、照明制御エリア100の各画素に対応する部分の照度を推定できる。
【0030】
小領域140mに入射した光がランバート反射のモデルに従って反射しない場合においても、部分領域140uから撮像装置30に向かって進行する撮像光30uの強度は、小領域140mにおける照度との間に相関を有し得る。制御部12は、照明制御エリア100の中の所定位置に設定された部分領域140uからの撮像光30uの強度と、部分領域140uを含む小領域140mにおける照度との相関を特定する情報を取得してよい。
【0031】
例えば、制御部12は、小領域140mを机140の上面140Sの一部に設定した場合、上面140Sの材質、表面形状、又は反射率等の特性に基づいて、上面140Sにおける照度と撮像光30uの強度との相関を特定してよい。制御部12は、上面140Sを撮像した画像の輝度に基づいて上面140mにおける照度を推定してよい。
【0032】
また、例えば、制御部12は、小領域140mを床120の一部に設定した場合、床120の材質、表面形状、又は反射率等の特性に基づいて、床120における照度と撮像光30uの強度との相関を特定してよい。制御部12は、床120を撮像した画像の輝度に基づいて床120における照度を推定してよい。
【0033】
<<直接反射の影響>>
ここで、例えば
図4に示されるように、入射光40Iが机140の上面140Sの点40Pに入射した場合に、入射光40Iの一部は、点40Pにおいて正反射(鏡面反射)し得る。点40Pにおいて正反射した光は、直接反射光40Rとして実線の矢印で表され、正反射方向に進行する。正反射方向は、上面140Sの法線を対称軸として、入射光40Iの方向に対して線対称の方向である。
【0034】
一方で、入射光40Iの他の一部は、点40Pにおいて拡散反射し得る。点40Pにおいて拡散反射した光は、拡散反射光40Dとして破線の矢印で表され、種々の方向に進行し得る。拡散反射光40Dの各方向に進行する光の強度は、ランバート反射のモデルに従って定まり得る。
【0035】
直接反射光40Rの進行方向に撮像装置30が位置する場合、撮像装置30が照明制御エリア100を撮像した画像において、点40Pを写した画素に直接反射光40Rが写り込む。例えば
図5に示される、照明制御エリア100の一部を撮像対象として撮像した対象画像300の一例において、照明装置20から床120に入射した照明光40のうち床120で直接反射した光が明領域122として写り込んでいる。また、照明装置20から机140に入射した照明光40のうち机140で直接反射した光が明領域142として写り込んでいる。また、窓130から床120に入射した外光50のうち床120で直接反射した光が明領域124として写り込んでいる。
【0036】
仮に、直接反射した光が写り込んでいる明領域122、124又は142等の輝度に基づいて照度が推定された場合、照度の推定結果は、実際の照度よりも高くなり得る。つまり、直接反射した光が写り込むことによって、照度の推定精度が低下し得る。
【0037】
<<遮蔽物150の影響>>
図2に例示される照明制御エリア100において、机140の上面140Sに遮蔽物150が位置する。遮蔽物150は、机140の上面140Sに向かって進行する照明光40又は外光50を遮ったり他の方向に散乱させたりする。その結果、遮蔽物150の周辺に入射する光が弱まり得る。例えば、
図5に示される対象画像300において、机140の上の遮蔽物150の周辺が暗領域152として写っている。
【0038】
仮に、暗領域152等の輝度に基づいて照度が推定された場合、照度の推定結果は、実際の照度よりも低くなり得る。つまり、遮蔽物150の影響によって、照度の推定精度が低下し得る。
【0039】
<照度推定の動作例>
上述したように、対象画像300に写っている明領域又は暗領域の画素の輝度に基づいて照度が推定される場合、照度の推定精度が低下し得る。本実施形態に係る照明制御システム1において、制御装置10の制御部12は、明領域及び暗領域から外れて位置するグリッドの画素の輝度に基づいて照度を推定する。以下、本実施形態に係る制御装置10の制御部12の照度推定の動作例が説明される。
【0040】
<<画像データの形式>>
制御部12は、撮像装置30から撮像画像を取得する。撮像画像は、第1の形式のデータで表されるとする。第1の形式は、例えばsRGBであってよいがこれに限られない。
【0041】
制御部12は、撮像画像のデータを、明度をパラメータとして含む第2の形式のデータに変換してよい。第2の形式は、例えばCIE(Commission Internationale de l'Eclairage) 1976 L*a*b*色空間であってよい。CIE 1976 L*a*b*色空間は、物体の色を表すために種々の分野で使用されている色空間(補色空間)の一つである。CIE 1976 L*a*b*色空間において、画像データは、明度L*と、色度a*及びb*とをパラメータとして表される。第2の形式は、上述したCIE 1976 L*a*b*色空間に限られず、他の種々の形式であってよい。
【0042】
制御部12は、撮像画像のデータを第1の形式のままで照度推定に用いてもよいし、第2の形式に変換して照度推定に用いてもよい。制御部12は、撮像画像のデータを、明度をパラメータとして含まない第3の形式のデータに変換して照度推定に用いてもよい。以下、制御部12は、撮像画像のデータを、第2の形式として、CIE 1976 L*a*b*色空間のデータに変換して照度推定に用いるとする。
【0043】
<<グリッドの設定>>
制御部12は、対象画像300にグリッドを設定する。制御部12は、撮像画像のデータが明度をパラメータとして含む形式で表される場合、グリッドに対応する画素の明度に基づいて照度を推定する。制御部12は、撮像画像のデータが明度をパラメータとして含まない形式で表される場合、グリッドに対応する画素の輝度に基づいて照度を推定してよい。以下、制御部12がグリッドに対応する画素の明度に基づいて照度を推定する動作例が説明される。
【0044】
グリッドは、1つの画素に対応するように設定されてもよいし、複数の画素を含む領域に対応するように設定されてもよい。制御部12は、対象画像300の横方向及び縦方向に等間隔にグリッドを設定してよい。制御部12は、横方向のグリッドの間隔と縦方向のグリッドの間隔とを同一にしてもよいし異ならせてもよい。制御部12は、横方向又は縦方向に不等間隔にグリッドを設定してもよい。制御部12は、格子点の位置にグリッドを設定してもよいし、格子点から外れた位置にグリッドを設定してもよい。制御部12は、対象画像300が魚眼レンズ等で結像した歪んだ画像である場合、歪みを補正した後でグリッドを設定してよいし、歪みを補正せずにグリッドを設定してもよい。
【0045】
制御部12は、
図6に例示されるように、対象画像300のうち床120が写っている画素に、グリッド211、212及び213を設定してよい。グリッド211は、明領域122に位置する。グリッド212及び213は、床120の明領域122から外れて位置する。制御部12は、
図7に例示されるように、対象画像300のうち机140が写っている画素に、グリッド221、222、223及び224を設定してよい。グリッド221は、明領域142に位置する。グリッド224は、暗領域152に位置する。グリッド222及び223は、明領域142及び暗領域152から外れて位置する。
【0046】
制御部12は、対象画像300において各グリッドが設定された画素の明度に基づいてグリッドに対応する位置における照度を推定してよい。グリッドが1つの画素に対応する場合、制御部12は、1つの画素の明度に基づいて照度を推定してよい。グリッドが複数の画素を含む領域に対応する場合、制御部12は、複数の画素の明度の平均値、中央値、メジアン、最大値又は最小値等の種々の値に基づいて照度を推定してよい。
【0047】
<<照度推定に用いるグリッドの選択>>
上述したように、明領域122に位置するグリッド211又は明領域142に位置するグリッド221の画素の明度に基づいて照度が推定される場合、照度の推定値が大きくなり得る。また、暗領域152に位置するグリッド224の画素の明度に基づいて照度が推定される場合、照度の推定値が小さくなり得る。制御部12は、グリッドが明領域又は暗領域に位置するか判定し、明領域及び暗領域から外れて位置するグリッドを、照度を推定するためのグリッドとして選択してよい。以下、グリッドを選択する動作がいくつかの態様として説明される。
【0048】
<<<色味に基づくグリッドの選択>>>
制御部12は、画像の色味の違いに基づいてグリッドが明領域又は暗領域に位置するか判定し、グリッドを選択してよい。画像の色味は、例えばCIE(Commission Internationale de l'Eclairage) 1976 L*a*b*色空間における色度a*及びb*として表され得る。CIE 1976 L*a*b*色空間は、物体の色を表すために種々の分野で使用されている色空間(補色空間)の一つである。CIE 1976 L*a*b*色空間において、画像データは、明度L*と、色度a*及びb*とをパラメータとして表される。以下、制御部12は、画像データの各画素を、CIE 1976 L*a*b*色空間の形式に変換できるとする。
【0049】
制御部12は、隣接する2つのグリッドそれぞれの画素の色度a*及びb*を算出し、
図8に例示されるように色度を表すa-b平面の上の点として色度を表し、色度の差を2点の間の距離(ユークリッド距離)として算出してよい。
図8のグラフの横軸及び縦軸は、それぞれa及びbの値を表す。例えば、
図6の明領域122に位置するグリッド211の色度がa-b平面の上の点P1(a1,b1)として表されるとする。また、
図6の明領域122から外れて位置するグリッド212の色度がa-b平面の上の点P2(a2,b2)として表されるとする。グリッド211の色度とグリッド212の色度との差は、点P1と点P2との間の距離として算出される。点P1と点P2との間の距離は、Dで表されるとする。具体的にDは以下の式(1)で算出される。
【数1】
【0050】
制御部12は、隣接する2つのグリッドそれぞれの画素の色度の差を表す距離が所定値以上である場合、隣接する2つのグリッドのうちいずれかのグリッドが明領域又は暗領域に位置すると判定してよい。また、制御部12は、隣接する2つのグリッドそれぞれの画素の色度の差を表す距離が距離閾値未満である場合、隣接する2つのグリッドが両方とも明領域及び暗領域から外れて位置すると判定してよい。制御部12は、隣接する2つのグリッドそれぞれの画素の色度の差を表す距離が距離閾値未満である場合、隣接する2つのグリッドが両方とも明領域又は暗領域に位置すると判定してもよい。距離閾値は、照明制御エリア100を撮像した画像の色味の傾向、又は、照明光40若しくは外光50等のスペクトル特性等に基づいて、適宜定められ得る。
【0051】
制御部12は、対象画像300において設定した複数のグリッドの中から、隣接する2つのグリッドの組み合わせを抽出し、各組み合わせについて色度の差を表す距離を算出してよい。通常、明領域又は暗領域は、それ以外の領域よりも狭い。したがって、制御部12は、色度の差を表す距離が所定値未満である組み合わせが多い領域について、明領域及び暗領域から外れている領域であると判定してよい。制御部12は、明領域及び暗領域から外れて位置するグリッドを判定した後で、明領域及び暗領域から外れて位置すると判定したグリッドに対して色度の差を表す距離が距離閾値以上になるグリッドが明領域又は暗領域に位置すると判定してよい。
【0052】
例えば
図6に示される対象画像300において、制御部12は、明領域122に位置するグリッド211の色度と明領域122の外に位置するグリッド212の色度との差を表す距離が距離閾値以上であると判定し得る。また、制御部12は、グリッド212の色度と明領域122の外に位置するグリッド213の色度との差を表す距離が距離閾値未満であると判定し得る。さらに、制御部12は、グリッド213の色度と、明領域122の外においてグリッド213に隣接して位置する他のグリッドの色度との差を表す距離が距離閾値未満であると判定し得る。
【0053】
制御部12は、グリッド212及び213が位置する領域において色度の差を表す距離が距離閾値未満である組み合わせが多いと判定し、グリッド212及び213が位置する領域が明領域及び暗領域から外れている領域であると判定してよい。一方で、制御部12は、グリッド211の色度とグリッド212の色度との差を表す距離が距離閾値以上であることに基づいて、グリッド211が明領域又は暗領域に位置すると判定してよい。
【0054】
例えば
図7に示される対象画像300において、制御部12は、明領域142に位置するグリッド221の色度と明領域142及び暗領域152の外に位置するグリッド222の色度との差を表す距離が距離閾値以上であると判定し得る。また、制御部12は、グリッド222の色度と明領域142及び暗領域152の外に位置するグリッド223の色度との差を表す距離が距離閾値未満であると判定し得る。また、制御部12は、グリッド223の色度と、暗領域152に位置するグリッド224の色度との差を表す距離が距離閾値以上であると判定し得る。
【0055】
制御部12は、グリッド222及び223が位置する領域において色度の差を表す距離が距離閾値未満である組み合わせが多いと判定し、グリッド222及び223が位置する領域が明領域及び暗領域から外れている領域であると判定してよい。一方で、制御部12は、グリッド221の色度とグリッド222の色度との差を表す距離が距離閾値以上であることに基づいて、グリッド221が明領域又は暗領域に位置すると判定してよい。また、制御部12は、グリッド223の色度とグリッド224の色度との差を表す距離が距離閾値以上であることに基づいて、グリッド224が明領域又は暗領域に位置すると判定してよい。
【0056】
制御部12は、明領域又は暗領域に位置すると判定したグリッドを、照度推定に用いるグリッドから除外してよい。制御部12は、明領域及び暗領域から外れて位置すると判定したグリッドを、照度推定に用いるグリッドとして選択してよい。
図6の例において、制御部12は、グリッド211を照度推定に用いるグリッドから除外し、グリッド212又は213を照度推定に用いるグリッドとして選択してよい。
図7の例において、制御部12は、グリッド221及び224を照度推定に用いるグリッドから除外し、グリッド222又は223を照度推定に用いるグリッドとして選択してよい。
【0057】
以上述べてきたように、制御部12は、撮像画像の中に設定した2つの隣接するグリッドの色味の差を表す距離が距離閾値未満であるか判定する。制御部12は、2つの隣接するグリッドの一方を、照明制御エリア100の所定位置に対応するグリッドとして設定してよい。照明制御エリア100の所定位置に対応するグリッドは、第1グリッドとも称される。また、第1グリッドに隣接する位置に設定されるグリッドは、第2グリッドとも称される。制御部12は、第1グリッドを設定した画素の色度を表す色空間座標を算出してよい。制御部12は、第2グリッドを設定した画素の色度を表す色空間座標を算出してよい。制御部12は、第1グリッドの色味と第2グリッドの色味との差を表す値として、第1グリッドの色空間座標と第2グリッドの色空間座標との距離を算出してよい。制御部12は、第1グリッドの色味と第2グリッドの色味との差を表す距離が距離閾値未満である場合に、第1グリッドが明領域及び暗領域から外れて位置すると判定してよい。第1グリッドが明領域及び暗領域から外れて位置することは、第1グリッドの明度又は輝度が所定位置の照度に対応するとも言い換えられる。
【0058】
<<<複数の画像の比較に基づくグリッドの選択>>>
制御部12は、照明制御エリア100の所定位置を写した複数の撮像画像を取得してよい。制御部12は、各撮像画像に写っている所定位置の明度又は輝度の比較に基づいて、所定位置の照度の推定に用いる撮像画像を選択してよい。
【0059】
図9に例示されるように、照明制御システム1は、照明制御エリア100に設置されている第1撮像装置31と第2撮像装置32とを備えてよい。つまり、複数の撮像装置30が照明制御エリア100に設置されてよい。第1撮像装置31は、第2撮像装置32よりも窓130の近くに位置する。
【0060】
制御部12は、第1撮像装置31が照明制御エリア100の所定位置として机140を含む範囲を撮像した画像を取得してよい。
図10に例示されるように、第1撮像装置31が照明制御エリア100を撮像して得られた対象画像310は、床120が写った部分と机140が写った部分と窓130及び壁132が写った部分とを含む。対象画像310は、照明光40が床120で直接反射した光を写した明領域122を含む。また、対象画像310は、照明光40が机140で直接反射した光を写した明領域142を含む。また、対象画像310は、外光50が床120で直接反射した光を写した明領域124を含む。対象画像310は、第1撮像画像とも称される。
【0061】
制御部12は、第2撮像装置32が照明制御エリア100の所定位置として机140を含む範囲を撮像した画像を取得してよい。
図11に例示されるように、第2撮像装置32が照明制御エリア100を撮像して得られた対象画像320は、床120が写った部分と机140が写った部分とを含む。対象画像320は、照明光40が床120で直接反射した光を写した明領域122を含む。一方で、照明光40が机140で直接反射した光は、対象画像320に写っていない。対象画像320は、第2撮像画像とも称される。
【0062】
制御部12は、机140の上の照度を推定するために、対象画像310の中の、机140が写っている部分にグリッド231を設定してよい。また、制御部12は、対象画像320の中の、机140が写っている部分にグリッド241を設定してよい。制御部12は、グリッド231とグリッド241とが照明制御エリア100の中の同じ位置に対応するように、グリッド231及び241を設定する。つまり、制御部12は、対象画像310及び320それぞれに共通して写っている部分にグリッドを設定する。
【0063】
制御部12は、グリッド231の明度とグリッド241の明度とを比較する。
図10及び
図11の例において、明領域142に位置するグリッド231の明度は、明領域から外れて位置するグリッド241の明度よりも高い。撮像画像において照明光40又は外光50等の直接反射光が写り込んでいる部分の明度は、その周囲の部分の明度よりも高い。したがって、制御部12は、グリッド231に直接反射光が写り込んでいると推定してよい。制御部12は、逆に、グリッド241に直接反射光が写り込んでいないと推定してもよい。
【0064】
直接反射光が写り込んでいるグリッドの明度は、そのグリッドに対応する部分の照度だけでなく、直接反射光の影響を受けている。直接反射光の影響を受けることによって、グリッドの明度に対して照度が寄与する割合が低下している。言い換えれば、グリッドの明度が照度に対応していない。そこで、制御部12は、照度推定に用いるグリッドからグリッド231を除外してよい。
【0065】
制御部12は、除外されなかったグリッド241を、照度推定に用いるグリッドとして選択してもよい。制御部12は、グリッド241の明度と、グリッド241に対応する部分が共通して写っている他の撮像画像に設定したグリッドの明度とを更に比較し、グリッド241を照度推定に用いるグリッドとして選択するか判定してもよい。
【0066】
制御部12は、机140の別の部分に対応するグリッドとして、対象画像310の中にグリッド232を設定し、対象画像320の中にグリッド242を設定してもよい。制御部12は、グリッド232の明度とグリッド242の明度とを比較する。
図10及び
図11の例において、グリッド232及び242は、両方とも明領域から外れて位置する。したがって、グリッド232の明度とグリッド242の明度とが同一又は略同一である。制御部12は、グリッド232及び242のどちらでも、照度推定に用いるグリッドとして選択してよい。
【0067】
制御部12は、3枚以上の撮像画像に共通して写っている部分について、各撮像画像にグリッドを設定してよい。制御部12は、各撮像画像に設定したグリッドの明度を比較し、最も明度が低くなっているグリッドを、直接反射光の影響が少ないグリッドであると推定してよい。つまり、制御部12は、最も明度が低くなっているグリッドにおいて、その明度に対して照度が寄与する割合が高くなっていると推定してよい。そこで、制御部12は、照度推定に用いるグリッドとして、最も明度が低くなっているグリッドを選択してよい。
【0068】
逆に、照明制御エリア100の中の同じ位置を写した複数の撮像画像のうち、一部の撮像画像におけるその位置を写した画素の明度が遮蔽物150の影響を受けて低くなることがある。例えば、撮像画像において所定部分が写った部分が暗領域として写り得る。一方で、所定部分が共通に写り込んでいる他の撮像画像において、所定部分が写った部分が暗領域ではない領域として写り得る。制御部12は、各撮像画像の対応する位置に設定したグリッドの明度を比較し、最も明度が高くなっているグリッドを、遮蔽物150の影響が少ないグリッドであると推定してもよい。つまり、制御部12は、最も明度が高くなっているグリッドにおいて、その明度に対して照度が寄与する割合が高くなっていると推定してよい。そこで、制御部12は、照度推定に用いるグリッドとして、最も明度が高くなっているグリッドを選択してよい。
【0069】
制御部12は、照明制御エリア100の中の同じ位置を写した複数の撮像画像のうち、一部の撮像画像におけるその位置を写した画素の明度が直接反射光の影響を受けて高くなっているか遮蔽物150の影響を受けて低くなっているかを、容易に判別できないことがある。制御部12は、各撮像画像の互いに対応する位置に設定したグリッドの明度を比較し、各撮像画像のグリッドの明度の平均値に近いグリッドを、直接反射光及び遮蔽物150の影響が少ないグリッドであると推定してもよい。制御部12は、各撮像画像の互いに対応する位置に設定したグリッドのうち、明度の中央値又はメジアンに対応するグリッドを、直接反射光及び遮蔽物150の影響が少ないグリッドであると推定してもよい。つまり、制御部12は、明度が高くも低くもないグリッドにおいて、その明度に対して照度が寄与する割合が高くなっていると推定してよい。そこで、制御部12は、各撮像画像の互いに対応する位置に設定したグリッドのうち、明度の平均値に近いグリッド、又は、各撮像画像のグリッドの明度の中央値又はメジアンに対応するグリッドを、照度推定に用いるグリッドとして選択してよい。
【0070】
以上述べてきたように、制御部12は、照明制御エリア100の所定位置が共通して写っている複数の撮像画像を取得する。制御部12は、各撮像画像において、所定位置を写した部分にグリッドを設定する。制御部12は、各撮像画像に設定したグリッドの明度を比較し、明度に対して照度が寄与する割合が高くなっているグリッドを、照度推定に用いるグリッドとして選択してよい。
【0071】
制御部12は、上述の動作例においてグリッドの明度を比較しているが、グリッドの輝度を比較してもよい。制御部12は、輝度に対して照度が寄与する割合が高くなっているグリッドを、照明推定に用いるグリッドとして選択してよい。制御部12は、輝度が最も高いグリッド又は輝度が最も低いグリッドを、照度推定に用いるグリッドとして選択してもよい。制御部12は、輝度が平均値、中央値又はメジアンに対応するグリッドを、照度推定に用いるグリッドとして選択してもよい。制御部12は、選択したグリッドの輝度に基づいて照度を推定してよい。
【0072】
第1撮像画像(対象画像310)の中で所定位置に対応するグリッド231は、第1グリッドとも称される。第2撮像画像(対象画像320)の中で所定位置に対応するグリッド241は、第2グリッドとも称される。第1グリッドの明度は、第1明度とも称される。第2グリッドの明度は、第2明度とも称される。制御部12は、第1明度と第2明度との差の絶対値が明度閾値未満である場合に、第1グリッド及び第2グリッドが明領域及び暗領域から外れて位置すると推定してよい。つまり、制御部12は、第1明度と第2明度との差の絶対値が明度閾値未満である場合に、第1グリッド及び第2グリッドの明度が所定位置の照度に対応していると判定してもよい。明度閾値は、照明制御エリア100を撮像した画像の全体としての明度の傾向、又は、照明光40若しくは外光50等の強度若しくは配向性等に基づいて、適宜定められ得る。
【0073】
制御部12は、グリッドの輝度を比較する場合、明度閾値の代わりに輝度閾値を用いてよい。輝度閾値は、照明制御エリア100を撮像した画像の全体としての輝度の傾向、又は、照明光40若しくは外光50等の強度若しくは配向性等に基づいて、適宜定められ得る。第1グリッドの輝度は、第1輝度とも称される。第2グリッドの輝度は、第2輝度とも称される。制御部12は、第1輝度と第2輝度との差の絶対値が輝度閾値未満である場合に、第1グリッド及び第2グリッドの輝度が所定位置の照度に対応していると判定してよい。
【0074】
<<<色味の比較と複数の画像の比較とを組み合わせたグリッドの選択>>>
制御部12は、照明制御エリア100の所定位置を共通して写している複数の撮像画像において、所定位置を写した部分に設定したグリッド同士で明度又は輝度を比較する前に、その比較対象として用いるグリッドを選別してよい。具体的に、制御部12は、各撮像画像の中において、所定位置を写した部分に設定したグリッドの色味とそのグリッドに隣接するグリッドの色味との比較に基づいて、所定位置を写した部分に設定したグリッドを比較対象とするグリッドとして用いるか決定してよい。言い換えれば、制御部12は、所定位置を写した部分に設定したグリッドを比較対象とするグリッドから除外するかを決定してよい。以下、制御部12が色味の比較に基づいて、複数の撮像画像に設定したグリッド同士の比較に用いるグリッドを選別し、選別で残ったグリッドについて複数の撮像画像間での比較に基づいて、照度を推定するために用いるグリッドを選択する動作の一例が説明される。
【0075】
制御部12は、照明制御エリア100の所定位置を共通して写している複数の撮像画像のそれぞれについて、所定位置を写した部分に設定したグリッドの色味と、そのグリッドに隣接するグリッドの色味との差を表す距離を算出する。制御部12は、距離が所定値以上になっているグリッドについて、そのグリッドが明領域又は暗領域に位置すると推定してそのグリッドを他の撮像画像のグリッドとの比較対象から除外する。制御部12は、距離が所定値未満であるグリッドについて、そのグリッドが明領域及び暗領域から外れていると推定してそのグリッドを他の撮像画像のグリッドとの比較対象に残す。
【0076】
制御部12は、複数の撮像画像のそれぞれにおいて照明制御エリア100の所定位置を写した部分に設定したグリッドのうち、比較対象として残ったグリッド(色味の比較によって比較対象から除外されなかったグリッド)が2枚以上の撮像画像で存在する場合、各撮像画像で比較対象として残ったグリッドの明度又は輝度を比較する。制御部12は、明度又は輝度が最も低いグリッドを選択し、そのグリッドの明度又は輝度に基づいて照明制御エリア100の所定位置の照度を推定してよい。制御部12は、明度又は輝度が最も高いグリッドを選択し、そのグリッドの明度又は輝度に基づいて照明制御エリア100の所定位置の照度を推定してもよい。制御部12は、明度又は輝度が平均値、中央値又はメジアンであるグリッドを選択し、そのグリッドの明度又は輝度に基づいて照明制御エリア100の所定位置の照度を推定してもよい。
【0077】
制御部12は、色味の比較に基づいてグリッドを除外する際に、除外したグリッドが明領域に位置するグリッドであるか暗領域に位置するグリッドであるか推定してよい。制御部12は、色味の比較に基づいて除外したグリッドが暗領域に位置するグリッドであると推定した場合、そのグリッドと同じ位置に対応する他の撮像画像のグリッドが暗領域に位置する場合にも色味の比較に基づいて除外され得ると推定してよい。そこで、制御部12は、比較対象として残っているグリッドの中に暗領域に位置するグリッドが存在する可能性が低いと推定してよい。その結果、制御部12は、そのグリッドと同じ位置に対応する他の撮像画像のグリッドから明領域の中又は明領域の近くに位置するグリッドを除外するために、明度又は輝度が最も低いグリッドを、照度を推定するためのグリッドとして選択してよい。
【0078】
制御部12は、色味の比較に基づいて除外したグリッドが明領域に位置するグリッドであると推定した場合、そのグリッドと同じ位置に対応する他の撮像画像のグリッドが明領域に位置する場合にも色味の比較に基づいて除外され得ると推定してよい。そこで、制御部12は、比較対象として残っているグリッドの中に明領域に位置するグリッドが存在する可能性が低いと推定してよい。その結果、制御部12は、そのグリッドと同じ位置に対応する他の撮像画像のグリッドから暗領域の中又は暗領域の近くに位置するグリッドを除外するために、明度又は輝度が最も高いグリッドを、照度を推定するためのグリッドとして選択してよい。
【0079】
制御部12は、色味の比較に基づいて除外したグリッドが明領域又は暗領域のどちらに位置するグリッドであるか推定できなかった場合、比較対象として残っているグリッドの中に明領域又は暗領域に位置するグリッドが存在する可能性が高いと推定してよい。そこで、制御部12は、そのグリッドと同じ位置に対応する他の撮像画像のグリッドから、明領域の中又は明領域の近くに位置するグリッド、及び、暗領域の中又は暗領域の近くに位置するグリッドを除外するために、明度又は輝度が平均値、中央値又はメジアンであるグリッドを、照度を推定するためのグリッドとして選択してよい。
【0080】
<<<グリッドの選択の動作例に関する小括>>>
以上述べてきたように、制御部12は、明領域又は暗領域に位置するグリッドを除外するように、照度を推定するためのグリッドを選択できる。グリッドが明領域及び暗領域から外れている場合、グリッドを設定した画素の明度又は輝度に対してそのグリッドに対応する位置の照度が寄与する割合は、グリッドが明領域又は暗領域に位置する場合よりも大きくなる。したがって、制御部12は、明領域又は暗領域に位置するグリッドを除外することによって、撮像画像の画素の明度又は輝度に対する照度の寄与の割合が高いグリッドを、照度推定に用いるグリッドとして選択できる。所定位置を写した撮像画像の画素の明度又は輝度に対する所定位置の照度の寄与の割合が高いことは、所定位置を写した撮像画像の明度又は輝度が所定位置の照度に対応するとも言い換えられる。つまり、制御部12は、照明制御エリア100の所定位置を撮像した画像の明度又は輝度が所定位置の照度に対応している場合に、撮像画像の明度又は輝度に基づいて所定位置の照度を推定してよい。このようにすることで、照度推定における直接反射光又は遮蔽物150の影響が低減され得る。
【0081】
<<選択したグリッドの明度又は輝度に基づく照度推定>>
制御部12は、照明制御エリア100を撮像した画像に設定したグリッドから選択したグリッドの明度又は輝度に基づいて、照明制御エリア100における、そのグリッドに対応する部分の照度を推定してよい。制御部12は、明度又は輝度と照度との関係を表すテーブル又は関係式等から、明度又は輝度に対応する照度を推定値として決定してよい。
【0082】
<<撮像画像の撮像条件と撮像画像の明度又は輝度との関係>>
撮像画像の明度又は輝度は、撮像装置30が照明制御エリア100を撮像する際の撮像条件に応じて変化し得る。撮像装置30の撮像条件は、シャッタ速度と、絞り値と、ISO(International Organization for Standardization)感度とを含む。例えば、シャッタ速度が速いほど、撮像装置30が撮像素子で受光する時間が短くなる。その結果、入射する光量が同一の場合において、シャッタ速度が速いほど撮像した画像の明度又は輝度が低くなる。また、絞り値が大きいほど、撮像素子に入射する光量が少なくなる。その結果、入射する光量が同一の場合において、絞り値が大きいほど撮像した画像の明度又は輝度が低くなる。また、ISO感度が高いほど、撮像素子が弱い光量でも検出できる。その結果、入射する光量が同一の場合において、ISO感度が高いほど撮像した画像の明度又は輝度が高くなる。
【0083】
撮像装置30がネットワークカメラである場合、絞り値及びISO感度は、一定の値に設定されることがある。一方で、シャッタ速度は、照明制御エリア100等の所定エリアの明るさに応じて自動調整されることがある。ここで、撮像装置30において、絞り値及びISO感度が一定の値に設定され、かつ、シャッタ速度が自動で調整されるとする。このように動作する撮像装置30によって撮像された画像の輝度は、シャッタ速度の値に応じて変動する。そうすると、照明制御エリア100を撮像した画像の輝度と、照明制御エリア100の照度との関係は、シャッタ速度の値に応じて定まる。したがって、制御部12は、撮像画像の明度又は輝度に基づいて照度を推定するために、撮像装置30が照明制御エリア100を撮像したときのシャッタ速度の値を取得する必要がある。
【0084】
また、絞り値又はISO感度が自動調整されることもある。つまり、撮像条件が自動調整されることがある。この場合、制御部12は、撮像画像の明度又は輝度に基づいて照度を推定するために、撮像装置30が照明制御エリア100を撮像したときの、シャッタ速度、絞り値又はISO感度を含む撮像条件を取得する必要がある。
【0085】
制御部12は、撮像条件を撮像装置30から取得してよい。制御部12は撮像条件を、撮像画像に基づいて推定してもよい。制御部12は、照明制御エリア100を撮像した画像の明度又は輝度と、撮像条件とに基づいて、照明制御エリア100の照度を推定してよい。
【0086】
制御部12は、撮像画像のデータを第2の形式に変換した場合、画像データの明度に対して撮像条件に基づく係数を乗じることによって、画像データの明度を補正してよい。制御部12は、撮像画像のデータが明度を含まないパラメータで表される場合、画像データの輝度に対して撮像条件に基づく係数を乗じることによって、画像データの輝度を補正してよい。制御部12は、明度又は輝度を補正するために乗じる係数として、撮像条件の設定値、実測値又は推定値を用いてよい。例えば、制御部12は、シャッタ速度の設定値、実測値又は推定値を、明度又は輝度に乗じることによって、明度又は輝度を補正してよい。
【0087】
<照明装置20の制御>
制御装置10の制御部12は、照明制御エリア100の各領域における照度の推定結果に基づいて、照明装置20を制御してよい。例えば、制御部12は、照明制御エリア100に配置されている照明装置20が照らす所定領域における照度を推定する。制御部12は、所定領域における照度の推定結果に基づいて、所定領域を照らす照明装置20の点灯又は消灯を制御したり照明装置20が所定領域に向けて射出する照明光40の強度を制御したりする。
【0088】
制御部12は、照明装置20としてグレアレスダウンライトを制御してよい。グレアレスダウンライトは、上述したように不快グレアの影響が限定されている。したがって、照明装置20から射出される照明光40のうち人が眩しさで不快に感じる影響範囲が限定される。その結果、照明制御エリア100内における人の快適性が向上され得る。
【0089】
<推定方法の手順例>
制御装置10の制御部12は、
図12に例示されるフローチャートの手順を含む、照度の推定方法、及び、照明制御方法を実行してもよい。照度の推定方法、及び、照明制御方法は、制御部12を構成するプロセッサに実行させる、照度の推定プログラム、及び、照明制御プログラムとして実現されてもよい。照度の推定プログラム、及び、照明制御プログラムは、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されてよい。
【0090】
制御部12は、撮像装置30から撮像画像を取得する(ステップS1)。制御部12は、撮像画像の形式を第1の形式から第2の形式に変換する(ステップS2)。制御部12は、撮像条件に基づいて撮像画像の明度を補正する(ステップS3)。
【0091】
制御部12は、照明制御エリア100の所定位置が写っている部分に設定した対象グリッドの色味と、他のグリッドの色味との差を表す距離を算出する(ステップS4)。制御部12は、色味の差を表す距離が所定値未満であるか判定する(ステップS5)。
【0092】
制御部12は、色味の差を表す距離が所定値未満である場合(ステップS5:YES)、対象グリッドを、他の撮像装置30で撮像した画像における対象グリッドとの比較対象に設定する(ステップS6)。制御部12は、色味の差を表す距離が所定値未満でない場合(ステップS5:NO)、つまり色味の差を表す距離が所定値以上である場合、対象グリッドを比較対象から除外する(ステップS7)。
【0093】
制御部12は、各撮像装置30で撮像した画像における対象グリッドのうち比較対象として設定したグリッド(比較対象として残ったグリッド)の明度を比較し、最小の明度となるグリッドを選択する(ステップS8)。制御部12は、選択したグリッドの明度に基づいて、照明制御エリア100の所定位置の照度を推定する(ステップS9)。制御部12は、照明制御エリア100の所定位置の推定照度に基づいて、所定位置を照らす照明装置20を制御する(ステップS10)。制御部12は、ステップS10の手順の実行後、
図12のフローチャートの手順の実行を終了する。
【0094】
上述した手順例において、制御部12は、1枚の撮像画像の中における色味の差に基づいてグリッドを選択した後で、残ったグリッドについて複数の撮像画像間で明度を比較して照度推定に用いるグリッドを選択した。制御部12は、上述した手順例に限られず、色味の差に基づくグリッドの選択を実行せずに複数の撮像画像間で明度を比較してもよいし、色味の差に用いるグリッドの選択だけを実行してもよい。制御部12は、撮像画像の形式を変換しなくてもよい。制御部12は、撮像画像の明度を補正しなくてもよい。制御部12は、複数の撮像画像間で明度を比較する際に最大の明度となるグリッドを選択してもよいし明度が平均値、中央値又はメジアンであるグリッドを選択してもよい。制御部12は、上述してきた動作例を種々の内容又は順番で組み合わせた手順を実行してよい。
【0095】
<照度推定の動作例に関する小括>
以上説明してきたように、本実施形態に係る照明制御システム1、制御装置10及び制御装置10が実行する照度推定方法によれば、撮像画像の明度又は輝度が照明制御エリア100の照度に対応している場合に、明度又は輝度に基づいて照度が推定される。このようにすることで、照度の推定精度が向上し得る。
【0096】
図13のグラフに、本実施形態に係る制御装置10の制御部12が推定した照度の値(推定値)と、照明制御エリア100の照度を照度センサ等で測定した値(測定値)との関係の一例が示される。
図13のグラフにおいて、横軸は時刻を表す。縦軸は照度の推定値又は測定値を表す。破線で示されるグラフは照度の測定値を表す。実線で示されるグラフは照度の推定値を表す。照度の推定値は、照明制御エリア100の照度(測定値)が変化した直後に、測定値に対してオーバーシュートした状態又は測定値に対してアンダーシュートした状態になっている。しかし、照度の推定値は、照明制御エリア100の照度(測定値)が安定する期間において、測定値に対して追従している。つまり、照度が高精度で推定されている。
【0097】
制御装置10は、照明制御エリア100の照度の推定結果に基づいて照明装置20を制御する。このようにすることで、照明制御エリア100の照度が高精度で制御され得る。
【0098】
(他の実施形態)
以下、他の実施形態に係る照明制御システム1、制御装置10、又は、推定方法若しくは照明制御方法が説明される。
【0099】
<照度に寄与する成分の分離>
制御装置10の制御部12は、照明制御エリア100における照度について、照明光40が寄与する照度と、外光50が寄与する照度とを分けて推定してよい。例えば、制御部12は、撮像画像の色度a*及びb*の値に基づいて、撮像画像の明度L*のうち照明光40が寄与する割合と、外光50が寄与する割合とを算出してよい。制御部12は、照明光40が寄与する明度L*に基づいて照明光40が寄与する照度を推定し、外光50が寄与する明度L*に基づいて外光50が寄与する照度を推定してよい。制御部12は、それぞれの光が寄与する照度の推定値に重みづけをして合計した照度を、照度の推定値として算出してよい。
【0100】
照明制御エリア100の照度に寄与する光は、照明光40又は外光50に限られず、他の種々の光を含んでよい。
【0101】
本開示に係る実施形態について説明する図は模式的なものである。図面上の寸法比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。
【0102】
本開示の内容は、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行うことができる。したがって、これらの変形及び改変は本開示の範囲に含まれる。例えば、各実施形態において、各機能部、各手段又は各ステップなどは論理的に矛盾しないように他の実施形態に追加し、若しくは、他の実施形態の各機能部、各手段又は各ステップなどと置き換えることが可能である。また、各実施形態において、複数の各機能部、各手段又は各ステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上述した本開示の各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施することもできる。
【0103】
本開示において「第1」及び「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」及び「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1グリッドは、第2グリッドと識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」及び「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【0104】
一実施形態において、(1)照度推定方法は、撮像装置によって所定位置を含む範囲を撮像した撮像画像を取得することと、前記撮像画像の明度又は輝度が前記所定位置の照度に対応している場合に前記撮像画像の明度又は輝度に基づいて前記所定位置の照度を推定することとを含む。
【0105】
(2)上記(1)の照度推定方法は、前記撮像画像に、前記所定位置に対応する第1グリッドと前記第1グリッドに隣接する第2グリッドとを設定することと、前記第1グリッド及び前記第2グリッドのそれぞれについて色空間座標を算出することと、前記第1グリッドの色空間座標と前記第2グリッドの色空間座標との距離が距離閾値未満である場合に前記第1グリッドの明度又は輝度が前記所定位置の照度に対応していると判定することとを更に含んでよい。
【0106】
(3)上記(1)又は(2)の照度推定方法は、複数の前記撮像装置のそれぞれによって前記所定位置を含む範囲を撮像した複数の撮像画像を取得することと、前記複数の撮像画像それぞれの中で前記所定位置に対応するグリッドの明度又は輝度を、前記複数の撮像画像それぞれについて算出することと、前記所定位置に対応するグリッドの明度又は輝度が最も小さい撮像画像を選択することと、選択した撮像画像の前記所定位置に対応するグリッドの明度又は輝度に基づいて前記所定位置の照度を推定することとを更に含んでよい。
【0107】
(4)上記(1)から(3)までのいずれか1つに記載の照度推定方法は、前記撮像装置としての第1撮像装置によって前記所定位置を含む範囲を撮像した第1撮像画像を取得することと、前記撮像装置としての第2撮像装置によって前記所定位置を含む範囲を撮像した第2撮像画像を取得することと、前記第1撮像画像の中で前記所定位置に対応する第1グリッドの明度又は輝度を第1明度又は第1輝度として算出することと、前記第2撮像画像の中で前記所定位置に対応する第2グリッドの明度又は輝度を第2明度又は第2輝度として算出することと、前記第1明度又は第1輝度と前記第2明度又は第2輝度との差の絶対値が明度閾値又は輝度閾値未満である場合に前記第1グリッドの明度若しくは輝度又は前記第2グリッドの明度若しくは輝度が前記所定位置の照度に対応していると判定することとを更に含んでよい。
【0108】
一実施形態において、(5)照明制御方法は、上記(1)から(4)までのいずれか1つに記載の照度推定方法を実行することによって得られた前記所定位置の推定照度に基づいて、前記所定位置を含む範囲を照らす照明装置を制御することを含んでよい。
【0109】
(6)上記(5)の照明制御方法は、前記照明装置としてグレアレスダウンライトを制御することを含んでよい。
【0110】
一実施形態において、(7)推定プログラムは、撮像装置によって所定位置を含む範囲を撮像した撮像画像を取得することと、前記撮像画像の明度又は輝度が前記所定位置の照度に対応している場合に前記撮像画像の明度又は輝度に基づいて前記所定位置の照度を推定することとをプロセッサに実行させる。
【0111】
一実施形態において、(8)制御装置は、所定位置の照度を推定する制御部を備える。前記制御部は、撮像装置によって所定位置を含む範囲を撮像した撮像画像を取得し、前記撮像画像の明度又は輝度が前記所定位置の照度に対応している場合に前記撮像画像の明度又は輝度に基づいて前記所定位置の照度を推定する。
【0112】
一実施形態において、(9)照明制御システムは、制御装置と、所定位置を含む範囲を照らす照明装置と、前記所定位置を含む範囲を撮像する撮像装置とを備える。前記制御装置は、撮像装置によって所定位置を含む範囲を撮像した撮像画像を取得し、前記撮像画像の明度又は輝度が前記所定位置の照度に対応している場合に前記撮像画像の明度又は輝度に基づいて前記所定位置の照度を推定する。
【符号の説明】
【0113】
1 照明制御システム
10 制御装置(12:制御部、14:インタフェース)
20 照明装置
30 撮像装置(30u:撮像光、31:第1撮像装置、32:第2撮像装置)
40 照明光(40m:照明光の一部の成分、40D:拡散反射光、40I:入射光、40R:直接反射光、40P:点)
50 外光(50m:外光の一部の成分)
100 照明制御エリア(110:天井、120:床、130:窓、132:壁、140:机、140S:机の上面、140m:小領域、140u:部分領域、142:明領域、150:遮蔽物、152:暗領域)
211~213、221~224、231、232、241、242 グリッド
300、310、320 対象画像