(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030183
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】かつらベース
(51)【国際特許分類】
A41G 3/00 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
A41G3/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132798
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000126218
【氏名又は名称】株式会社アートネイチャー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 麻理子
(57)【要約】
【課題】安全で違和感なく頭部に装着でき、前方の浮き上がりを抑制することができるかつらベースの提供。
【解決手段】毛髪が植毛されるベース本体10と、ベース本体10の被装着者の頭部と接する裏面10aに設けられ、ベース本体10の前方周縁部12に沿って配置された可撓性を有する自毛捕捉部材20とを備え、自毛捕捉部材20は、ベース本体10に根元部分が固定され、ベース本体10の前方へ向かって延びるとともに、前方周縁部12から離れる方向へ湾曲した複数の脚部21と、複数の脚部21に設けられ、被装着者の自毛を係止するための係止部22とを有し、ベース本体10の前方周縁部12において、前方周縁部12と自毛捕捉部材20の複数の脚部21とが二層構造を構成している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪が植毛されるベース本体と、
前記ベース本体の被装着者の頭部と接する裏面に設けられ、前記ベース本体の前方周縁部に沿って配置された可撓性を有する自毛捕捉部材と、を備え、
前記自毛捕捉部材は、
前記ベース本体に根元部分が固定され、前記ベース本体の前方へ向かって延びるとともに、前記前方周縁部から離れる方向へ湾曲した複数の脚部と、
前記複数の脚部に設けられ、前記被装着者の自毛を係止するための係止部と、を有し、
前記ベース本体の前記前方周縁部において、前記前方周縁部と前記自毛捕捉部材の前記複数の脚部とが二層構造を構成している
ことを特徴とする、かつらベース。
【請求項2】
前記ベース本体の中央部と前記前方周縁部とを通る断面において、前記ベース本体の前記前方周縁部は、前記被装着者の頭部の前方部分の曲率よりも大きな曲率で湾曲している
ことを特徴とする、請求項1記載のかつらベース。
【請求項3】
前記自毛捕捉部材の前記複数の脚部の先端が、前記ベース本体の前記前方周縁部の輪郭よりも内側に位置している
ことを特徴とする、請求項2記載のかつらベース。
【請求項4】
前記自毛捕捉部材の前記複数の脚部の先端の包絡線と、前記ベース本体の前記前方周縁部の前記輪郭の包絡線とが実質的に一定の間隔を保つように、前記自毛捕捉部材が前記前方周縁部に沿って配置されている
ことを特徴とする、請求項3記載のかつらベース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かつらベースに係り、より詳細には、かつらベースを頭部に装着するための自毛捕捉部材を備えたかつらベースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、かつらを頭部に装着する装着部材として、金属製の反転挟持具が多く使用されている。反転挟持具の櫛歯を反らせて自毛を挟持することによって、かつらが頭部へ装着される。
しかし、反転挟持具は固い金属製であり、また、反転挟持具の櫛歯で挟持された自毛が引っ張られて痛みを感じることがあった。そのうえ、反転挟持具でかつらを装着する際には、通常、かつらの複数個所に配置された反転挟持具の櫛歯を反らせて自毛を挟み込む必要があった。
【0003】
金属製の反転挟持具を用いずにかつらを装着するかつら用装着具の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載のかつら用装着具は、基体シートの一側面に突設された多数のモノフィラメントを備えている。かつら装着の際に、モノフィラメントは、装着者の頭部の頭皮と当接し、自毛や他のモノフィラメントと絡み合いながら基体シートの方向へ戻るようにU字状に撓む。その結果、モノフィラメントどうしが自毛を挟みながらランダムに絡み合うことによって、かつらが頭部に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、安全で違和感なく頭部に装着でき、前方の浮き上がりを抑制することができるかつらベースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のかつらベースは、毛髪が植毛されるベース本体と、前記ベース本体の被装着者の頭部と接する裏面に設けられ、前記ベース本体の前方周縁部に沿って配置された可撓性を有する自毛捕捉部材と、を備え、前記自毛捕捉部材は、前記ベース本体に根元部分が固定され、前記ベース本体の前方へ向かって延びるとともに、前記前方周縁部から離れる方向へ湾曲した複数の脚部と、前記複数の脚部に設けられ、前記被装着者の自毛を係止するための係止部と、を有し、前記ベース本体の前記前方周縁部において、前記前方周縁部と前記自毛捕捉部材の前記複数の脚部とが二層構造を構成していることを特徴としている。
【0007】
本発明のかつらベースによれば、可撓性を有する自毛捕捉部材が自毛を捕捉するので、金属製の反転挟持具と比較して、かつらベースを安全で違和感なく頭部に装着できる。
その上、ベース本体の前方周縁部において、前方周縁部と、自毛捕捉部材の弾性変形可能な複数の脚部とが二層構造を構成し、自毛捕捉部材の複数の脚部が、ベース本体の前方へ向かって延びるとともに、前方周縁部から離れる方向へ湾曲している。
これにより、かつらベースを頭部に載せて、前方周縁部を手で押さえることにより、自毛捕捉部材の脚部が装着者の自毛の間に入り込み、自毛捕捉部材の係止部で自毛が係止される。その結果、かつらベースの前方周縁部の浮き上がりを防止してかつらを自然に見せることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、安全で違和感なく頭部に装着でき、前方の浮き上がりを抑制することができるかつらベースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(A)は、本発明の実施形態に係るかつらベースの裏面模式図であり、(B)は、(A)に示したかつらベースの前方斜視図である。
【
図2】(A)は、本発明の実施形態に係るかつらベースの自毛捕捉部材の部分拡大図であり、(B)は、
図1(B)に示したかつらベースのA-A線に沿った断面図模式図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るかつらベースの裏面の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るかつらベースを説明する。
図1(A)に模式的に示すように、本実施形態のかつらベース100は、毛髪(図示せず)が植毛されるベース本体10と、ベース本体10の装着者の頭部と接する裏面10aにベース本体10の前方周縁部12に沿って配置された可撓性を有する合成樹脂製の自毛捕捉部材20とを備えている。
【0011】
ベース本体10は、複数のフィラメントを撚り合わせた糸部材を網状に編み込んで形成されている。フィラメントには、例えば、ポリエステル、ナイロン又はポリウレタン(スパンデックス)等の合成樹脂を用いるとよい。
ここで、例えば、ベース本体10の前方周縁部12は、細かなレース状にフィラメントを編み込んでもよい。これにより、細かなレースにより地肌を隠すことが容易となり、また、細かなレースに毛髪を密植することより、前方周縁部12に植毛する毛髪の毛量をしっかり確保することができる。
また、例えば、ベース本体10の前方周縁部から、先端ラインの輪郭線となるフィラメントをなくしてもよい。これにより、前髪の自毛が少ない被装着者であっても、ベース本体10の前方をさりげなく自毛になじませることができる。
【0012】
さらに、
図2(B)に示すように、ベース本体10の中央13と前方周縁部12とを通る断面(
図1(B)のA-A線に沿った断面)において、ベース本体10の前方周縁部12は、被装着者の頭部の前方部分の曲率よりも大きな曲率で湾曲している。
このように、かつらベース100の前方周縁部12を湾曲させたので、前方周縁部12のめくれ上がりが防止される。そのうえ、前方周縁部12の湾曲によって、前方周縁部12先端が頭皮に接近しつつ、前方周縁部12が頭皮より持ち上げられる。これにより、かつらベース100の前方周縁部12に密植した前髪をさりげなく自毛に馴染ませつつ、前髪の腰の強さによらず、前髪のボリュウムを出して前髪のふんわり感を持続させることができる。
【0013】
次に、
図1(B)及び
図2(A)に示すように、自毛捕捉部材20は、ベース本体10に根元部分が固定された複数の脚部21と、複数の脚部21に設けられ、被装着者の自毛を係止するための係止部22とを有している。
脚部21も、かつらベース100と同じ材料を使用して、糸部材を編んで形成されている。そして、脚部21の根元部分21aは、ベース本体10の前方周縁部12に沿って、ベース本体10に編み込まれて固定されている。
係止部22は、脚部21の先端に設けられ、前方周縁部12に沿った方向に延在するT字形状を有している。係止部22も、合成樹脂のフィラメントで脚部21と一体に編んで形成されている。
このように、本実施形態では、自毛捕捉部材20の脚部21及び係止部22を、可撓性を有する合成樹脂製としたので、固い金属製の反転挟持具と比較して、かつらベース100を頭部へより安全で違和感なく装着することができる。
【0014】
ここで、
図2(B)に示すように、脚部21は、ベース本体10の前方へ向かって延びるに従って、前方周縁部12から離れるように湾曲している。そして、同図に示すように、脚部21は、ベース本体10の前方周縁部12の曲率よりも大きな曲率で湾曲し、ベース本体10の前方周縁部12において、前方周縁部12と自毛捕捉部材20の複数の脚部21とが二層構造を構成している。
これにより、かつらベース100を頭部に載せて、前方周縁部12を手で押さえることにより、自毛捕捉部材20の脚部21が装着者の自毛の間に入り込み、自毛捕捉部材20の係止部22で自毛が係止される。その結果、ベース本体10の頭皮に対して盛り上がった前方周縁部12の浮き上がりを防止できる。
【0015】
さらに、
図3に示すように、本実施形態のかつらベース100は、ベース本体10を裏面10a側から見たときに、自毛捕捉部材20の複数の脚部21の先端が、ベース本体10の前方周縁部12の輪郭よりも内側に位置している。
その上、同図に示すように、ベース本体10を裏面10a側から見たときに、自毛捕捉部材20の複数の脚部21の先端の包絡線L1と、ベース本体10の前方周縁部12の輪郭の包絡線L2とが実質的に一定の間隔を保つように、自毛捕捉部材20が前方周縁部12に沿って配置されている。
これにより、自毛捕捉部材20の前方からの視認を回避しつつ、かつらベース100の前方周縁部12の浮き上がりを防止して、装着したかつらを自然に見せることができる。
【0016】
以上、本発明のかつら用装着部材の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係るかつら用装着部材は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能である。上述した実施形態では、係止部を脚部の先端部に設けた例を説明したが、本発明では、係止部は、脚部の途中に設けてもよい。
また、係止部の形状は、T字形状に限定されず、例えば、フック形状や矢印形状等の種々の突起形状としてもよい。
また、上述した実施形態では、自毛捕捉部材を合成樹脂で形成した例を説明したが、本発明では、自毛捕捉部材は合成樹脂製のものに限定されず、例えば、細いワイヤーなどの金属で構成してもよい。
【符号の説明】
【0017】
100 かつらベース
10 ベース本体
10a 裏面
12 前方周縁部
13 中央部
20 自毛捕捉部材
21 脚部
21a 根元部分
22 係止部