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特開2024-30207コンクリート送出部材及びコンクリートフィニッシャー
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  • 特開-コンクリート送出部材及びコンクリートフィニッシャー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030207
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】コンクリート送出部材及びコンクリートフィニッシャー
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/48 20060101AFI20240229BHJP
   E04G 21/10 20060101ALI20240229BHJP
   E04F 21/24 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
E01C19/48 A
E04G21/10 Z
E04F21/24 B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132871
(22)【出願日】2022-08-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】522336834
【氏名又は名称】萬齋株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100210778
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 世治
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 賢吾
【テーマコード(参考)】
2D052
2E172
【Fターム(参考)】
2D052BD11
2D052DA31
2E172AA05
2E172GB00
(57)【要約】
【課題】 締め固めた後の硬化前のコンクリートへ作業員が踏み入ることに起因する施工
不良の発生を防止できる、コンクリート送出部材及びコンクリートフィニッシャーを提供
すること。
【解決手段】 コンクリートフィニッシャーにおいて、余剰コンクリートを除くために、
走行方向に対して左右方向に延設された、振動手段及び往復動手段によって振動しながら
左右方向に往復動されるコンクリート送出部材であって、余剰コンクリートを左方および
/または右方に送り出すための凹凸部を走行方向側に備えることを特徴とするコンクリー
ト送出部材と、これを備えたコンクリートフィニッシャーである。これにより、作業員が
硬化前のコンクリートに踏み入ることなく余剰コンクリートを除去できる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートフィニッシャーにおいて、余剰コンクリートを除くために、前記コンクリー
トフィニッシャーの走行方向に対して左右方向に延設された、振動手段及び往復動手段に
よって振動しながら左右方向に往復動されるコンクリート送出部材であって、余剰コンク
リートを左方および/または右方に送り出すための凹凸部を走行方向側に備えることを特
徴とするコンクリート送出部材。
【請求項2】
前記凹凸部は鋸歯状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート送
出部材。
【請求項3】
コンクリート舗装において施工対象路面に流し込んだコンクリートの表面を走行しながら
均すコンクリートフィニッシャーであって、請求項1または2に記載のコンクリート送出
部材を備えるコンクリートフィニッシャー。
【請求項4】
コンクリート舗装において施工対象路面に流し込んだコンクリートの表面を走行しながら
均すコンクリートフィニッシャーであって、
振動フレームと、一対の走行装置と、一対の昇降装置と、振動装置とを備え、
前記走行装置は、前記振動フレームの左右方向両側の下方に一つずつ配置されており、
前記昇降装置は、前記振動フレームの左右両側に一つずつ配置され、それぞれが自身の配
置側に存在する前記走行装置と前記振動フレームの左右端部とを連結し、前記走行装置に
対する振動フレームの左右端部の昇降を可能とするものであり、
請求項1または2に記載のコンクリート送出部材が、前記振動フレームの走行方向側に支
持されている、
コンクリートフィニッシャー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート舗装をする際に、施工対象路面に流し込まれたコンクリートの
余剰分を施工対象路面の外に送り出すコンクリート送出部材と、このコンクリート送出部
材を備えたコンクリートフィニッシャーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリート舗装では、施工対象路面に流し込まれたコンクリートに適度な振動を与え
て締め固めた後、コンクリートの表面を平坦に均す仕上げ作業を行う。この仕上げ作業は
コンクリートフィニッシャーと呼ばれる装置を使用して行う。
従来、コンクリートフィニッシャーは特許文献1に記載のような大掛かりな装置であり
、装置のコストが高いだけではなく、現場への装置運搬に労力がかかり、多くの作業員を
も必要とする問題があった。これを解決するため特許文献2のような簡易型のコンクリー
トフィニッシャーが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-114910号公報
【特許文献2】実用新案登録第3216793号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に記載の簡易舗装機械は主に複数の振動フレームから構成された小型のコン
クリートフィニッシャーであり、コンクリートスラブ上を牽引して滑動させることにより
、振動フレームがコンクリートの表面を均して平坦に仕上げるものである。これにより、
少人数で効率的かつ高精度の打設作業を可能とするものである。
【0005】
ところで、特許文献2のようなコンクリートフィニッシャーを用いる際には、施工対象
路面に流し込んだコンクリート(生コンクリート)を棒状バイブレーターなどで締め固め
た後、所定の高さ以上に盛られた余剰コンクリートを除く必要がある。余剰コンクリート
が残ったままコンクリートフィニッシャーを走行させると、施工面に凹凸やうねりが発生
し不良の原因になる。また、コンクリートフィニッシャーの重量が軽いために余剰コンク
リートに乗り上げて走行できなくなる場合もある。余剰コンクリートの除去は、締め固め
たコンクリート上に作業員が踏み入ってスコップなどを用いた手作業で行われる。しかし
、作業員が踏み入った個所は締固めが不均一になり、コンクリート硬化後に凹凸が多く平
坦性が悪化するといった施工不良の原因になる。
【0006】
本発明は上記課題を解決するものであって、余剰コンクリートを除くために作業員が硬
化前のコンクリートに踏み入る必要の無いコンクリート送出部材及びコンクリートフィニ
ッシャーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコンクリート送出部材は、コンクリートフィニッシャーにおいて、余剰コンク
リートを除くために、コンクリートフィニッシャーの走行方向に対して左右方向に延設さ
れた、振動手段及び往復動手段によって振動しながら左右方向に往復動されるコンクリー
ト送出部材であって、余剰コンクリートを左方および/または右方に送り出す凹凸部を走
行方向側に備えることを特徴とするものである。
また、前記凹凸部は鋸歯状に形成されていることを特徴とするコンクリート送出部材で
ある。
本発明のコンクリートフィニッシャーは、コンクリート舗装において施工対象路面に流
し込んだコンクリートの表面を走行しながら均すものであって、上記のコンクリート送出
部材を備えるものである。
また、上記のコンクリートフィニッシャーであって、振動フレームと、一対の走行装置
と、一対の昇降装置と、振動装置とを備え、前記走行装置は、前記振動フレームの左右方
向両側の下方に一つずつ配置されており、前記昇降装置は、前記振動フレームの左右両側
に一つずつ配置され、それぞれが自身の配置側に存在する前記走行装置と前記振動フレー
ムの左右端部とを連結し、前記走行装置に対する振動フレームの左右端部の昇降を可能と
するものであり、上記コンクリート送出部材が、前記振動フレームの走行方向側に支持さ
れているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、コンクリートフィニッシャーによる仕上げ作業時に、余剰コンクリー
トをコンクリート送出部材により施工対象路面の外へ送り出し除くことができる。したが
って、作業員が余剰コンクリート除去のために硬化前のコンクリートに踏み入る必要がな
い。これによって、作業員の踏み入りに起因する施工不良の発生を防ぐことができ凹凸が
少なく平坦性の良いコンクリート舗装が可能になる。
また、上記凹凸部を鋸歯状に構成することにより、効率的に余剰コンクリートを除くこ
とができ、仕上げ作業の速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のコンクリートフィニッシャーの概略図である。
図2】本発明のコンクリートフィニッシャーの正面図である。
図3】本発明のコンクリート送出部材の断面図である。
図4図1のA-A断面図である。
図5】他の態様に係る本発明のコンクリートフィニッシャーの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、コンクリート舗装において、硬化前のコンクリートに作業員が踏み入ること
に起因する施工不良の発生を防止するものである。
【実施例0011】
本発明のコンクリート送出部材及びコンクリートフィニッシャーを図に基づいて説明す
る。図1は本発明のコンクリートフィニッシャーの概略図(平面図)である。図2は、本
発明のコンクリートフィニッシャーの正面図である。図3は、本発明のコンクリート送出
部材の断面図であって図2におけるB-B断面図である。図4は、図1のA-A断面図で
ある。
【0012】
図1及び2に示した本発明のコンクリートフィニッシャー10は、コンクリート舗装に
おいて施工対象路面に流し込んだコンクリート(生コンクリート)30の表面を、走行し
ながら均すものである。コンクリートフィニッシャー10は、振動フレーム12と、一対
の走行装置14と、一対の昇降装置16と、振動装置20とを備え、コンクリート送出部
材18が、振動フレーム12の走行方向側に支持されている。なお、図中矢印F方向がコ
ンクリートフィニッシャー10の走行方向(前方)である。
【0013】
振動フレーム12は、コンクリートフィニッシャー10の走行方向に対して左右方向に
延設された棒状の部材であり、本実施例において、軸(延設方向)と垂直な方向の断面は
略矩形状になっている。振動フレーム12は、仕上げ作業時にはコンクリート30表面を
下面で擦り加振しながら均すことができる。
【0014】
走行装置14は、振動フレーム12の左右方向の両側にそれぞれ一つずつ配置される。
本実施例において、この一対の走行装置14は油圧モーターや電動モーターで駆動される
クローラ式走行装置である。走行装置14は、図1に示すように、それぞれの走行方向を
前後方向に一致させて配置されている。
【0015】
昇降装置16は、振動フレーム12の左右両側に一つずつ配置される。昇降装置16は
、上下方向に配設された内筒16cと、内筒16cに対して上下方向に変位可能に外嵌さ
れた外筒16aと、外筒16aを内筒16cに対して上下方向に駆動させるための昇降駆
動機構16b(例えば油圧モーター、電動モーター、アクチュエーターなど)とを備えて
なる。
この一対の昇降装置16は、それぞれが自身の配置側にある走行装置14と振動フレー
ム12の左右端部とを連結している。本実施例では、内筒16cの下端に走行装置14を
、外筒16aの下端に振動フレーム12の端をそれぞれ連結している。これにより、昇降
駆動機構16bの作動により振動フレーム12の左右端部を独立して昇降させ、また、振
動フレーム12を任意の高さ及び傾きで保持することができる。
【0016】
振動装置20は、振動フレーム12及びコンクリート送出部材18を一定の周波数で振
動させるものである。本実施例では、振動装置20は振動フレーム12上に配置した設置
台40上に配置している。振動装置20は例えば電気式またはエアー式などの公知の振動
機を用いる。振動装置が作動すると、振動が設置台40などを伝って振動フレーム12や
コンクリート送出部材18を振動させる。振動装置の振動周波数は流し込むコンクリート
の硬さなどにより適宜選べばよく例えば45.5~60Hzである。本実施例では、振動
装置として電気式の振動モーター(三相200V、振動数50Hz)を用いた。
【0017】
本発明のコンクリートフィニッシャー10は、動力源22及び油圧ポンプ24を備えて
もよい。本実施例では、動力源22及び油圧ポンプ24を設置台40上に配置している。
動力源22はエンジン式発電機である。油圧ポンプ24は動力源22による電力で駆動す
る油圧ポンプである。これら動力源22及び油圧ポンプ24は、コンクリートフィニッシ
ャー10を構成する油圧式/電気式の装置(走行装置14や昇降装置16など)を駆動す
る。なお、動力源22や油圧ポンプは、必ずしもコンクリートフィニッシャー10上に設
置する必要はなく外部に設置してもよい。
【0018】
コンクリート送出部材18は、余剰コンクリート30aをコンクリートフィニッシャー
10の左右に送り出すための部材である。
コンクリート送出部材18は、コンクリートフィニッシャー10の走行方向に対して左
右方向に延設された棒状の部材であり、その走行方向側の表面には余剰コンクリートを送
り出すための凹凸部18aを備える。図1及び2において、コンクリート送出部材18は
、軸(延設方向)と垂直な方向の断面が略矩形状のものであり、振動フレーム12の走行
方向側に、振動フレーム12に沿って凹凸部18aを走行方向側に向け、レール42を介
して左右方向に往復動可能に支持されている。
【0019】
なお、コンクリート送出部材18の支持高さに特に制限はなく、コンクリート送出部材
18の下面が振動フレーム12の下面と同じ高さであってもよいし、それよりも高くても
低くてもよい。本実施例においては、コンクリート送出部材18の下面が振動フレーム1
2の下面より5mm程度高くなるように支持している。コンクリート送出部材18の下面
を振動フレーム12の下面より高く設定することで、後述のように、表面に穴が少ないコ
ンクリートを得ることができる。
【0020】
また、コンクリート送出部材18は、振動手段20及び往復動手段44によって、振動
しながら左右方向に往復動が可能になっている。本実施例において、振動手段20は振動
フレーム12上に設置した振動装置20である。また、往復動手段44は、コンクリート
送出部材18と連結した連接棒44cと、油圧モーター44aで駆動するクランク装置4
4bとからなる往復動装置44である。コンクリートフィニッシャー10走行時に、コン
クリート送出部材18は凹凸部18aの前方にある余剰コンクリート30aを掻き分ける
ように左右方向に送り出し、下面でコンクリート30の上面を加振しながら擦り均すこと
ができる。
【0021】
コンクリート送出部材18の凹凸部18aは、図3(a)に示すように、平面視で断面
鋸歯状に形成される。この断面鋸歯状の凹凸部18aは、コンクリート送出部材18の左
右中央側から左右端部に向かうにしたがって走行方向側に傾斜する傾斜面18bと、走行
方向側に延びる送出面18cとが、左右方向に交互に並ぶように形成されている。凹凸面
を形成する傾斜面と送出面のサイズに制限はないが、本実施例では、平面視で傾斜面の長
さは10cm、送出面の長さは3.5cm程度である。このような構成により、凹凸部1
8aが左右に往復動しながら余剰コンクリート30aと接触すると、傾斜面18bは余剰
コンクリート30aを受け流し、送出面18cは余剰コンクリート30aを押すことで、
余剰コンクリート30aの送り出しを促すように形成されている。また、上記のように、
左右中央を境に、傾斜面18bの向きを逆にして左右それぞれに送り出すようにすること
で、余剰コンクリートの場所から施工対象路面外まで移動させる距離を短くでき、効率的
な送出が実現できる。
【0022】
さらに、凹凸部18aの平面視左右中央には、図3(b)のように中央から左右端部に
向かうにしたがって後方に傾斜する面で形成された凸部18dを設けてもよい。往復動の
振幅が傾斜面18bの左右幅Wより小さい場合には、歯の向きが変わる場所の近傍(例え
図3(a)における凹凸部18aの左右中央近傍)で余剰コンクリートの送出が滞るこ
とがある。凸部18dを設けることで滞りを解消し、凹凸部18a全体にわたって斑なく
余剰コンクリートを送り出すことができる。
【0023】
なお、傾斜面18bは、コンクリート送出部材18の左右端部のいずれか一方に向かう
にしたがって走行方向側に傾斜するようにしてもよい(図3(c))。このように形成す
ることで、例えば施工対象路面の形状に制限がある場合などに、左方または右方のいずれ
か一方のみに余剰コンクリート30aを送り出すことができる。
【0024】
上記のコンクリート送出部18の往復動の振幅と周波数に特に制限はなく、主にコンク
リートフィニッシャー10の走行速度により調整する。本実施例において、仕上げ作業時
のコンクリートフィニッシャーの走行速度を0.5~2.0m/分程度とした場合、振幅
を一組の傾斜面と送出面の幅より大きい12cmとし、往復の周波数は0.5~0.7H
z程度である。
【0025】
本発明のコンクリートフィニッシャー10には操作盤(図示せず)を備える。操作盤は
、走行装置14及び昇降装置16の駆動操作を左右それぞれ独立して行うものである。ま
た、振動装置20、動力源22、クランク装置44の作動と停止を操作できるようにして
もよい。設置位置に特に限定はなく、例えば昇降装置16の側面などに設置する。
【0026】
次に、図1及び図4を参照しながら、上記の構成の本発明のコンクリートフィニッシャ
ー10とコンクリート送出部材18の動作、及びこれらを用いたコンクリート舗装作業に
ついて説明する。
【0027】
コンクリート舗装では、まず現場32内の施工対象路面を型枠34で囲い、型枠34の
内側にコンクリート(生コンクリート)30を流し込む。次に、コンクリート30を敷き
均しながら、棒状バイブレーターなどを用いてコンクリート30を加振して締め固める。
次に、本発明のコンクリートフィニッシャー10による仕上げ作業を行う。コンクリー
トフィニッシャー10の動力源22及び振動装置20を作動させ、走行装置14によりコ
ンクリートフィニッシャー10を施工対象路面の端(施工開始位置)に移動させる。この
とき、コンクリートフィニッシャー10は一対の走行装置14で施工対象路面を跨ぎ、振
動フレーム12がコンクリート30上方を横切るように位置する。次に、昇降装置16を
駆動させて、コンクリート送出部材18の下面が所定の高さHになるように調節する。こ
こで所定の高さHを超えた部分が余剰コンクリート30aである。
【0028】
高さの調整後、コンクリートフィニッシャー10を走行させる。走行に伴い、コンクリ
ート送出部18は、接触したコンクリートを加振して流動性を高めつつ左右に往復動する
ことで、余剰コンクリート30aが左右方向へ送り出され。施工対象路面の外に排出され
る。また、コンクリート30表面は、コンクリート送出部18の下面により加振されなが
ら擦られ、締め固められながら平坦に均される。
【0029】
コンクリート送出部18の下面を振動フレーム12の下面より高く設定している場合に
は、さらに振動フレーム12の下面がコンクリート30表面を擦りながら加振し、より精
度よく均し締め固めてゆく。また、振動フレーム12前方のコンクリート送出部材18下
面との段差の空間30bには、加振により流動性が高まったコンクリートが常に一定量抱
え込まれた状態になる。振動フレーム12通過時に骨材の移動や気泡などによりコンクリ
ート表面に穴が発生しても、抱え込まれたコンクリートが流れ込んで穴が埋まるので、表
面美観にも優れたコンクリート舗装体が得られる。なお、コンクリート送出部18の送り
出しにより、空間30bに抱え込まれたコンクリートの量は施工不良が発生するほど過剰
になることはない。
こうしてコンクリートフィニッシャー10が施工対象路面の端まで走行し仕上げ作業が
完了とする。
【0030】
上記のように、本発明のコンクリート送出部材及びコンクリートフィニッシャーによれ
ば、施工対象路面に流し込んだコンクリートを締め固めた後、作業員が硬化前のコンクリ
ートに踏み入ることなく、余剰コンクリートを施工対象路面の外に送り出すことができる
。したがって、作業員の踏み入りに起因する締固めの不均一化が起こらず、硬化後に凹凸
ができるなど施工不良を防ぐことができる。また、余剰コンクリートを除くための作業員
が不要となるため人員不足を解消することもできる。
【0031】
本発明にはさらに次のような利点がある。本発明のコンクリート送出部材は左右へ往復
動することで左右方向へ余剰コンクリートを送り出すものであって、下方への加重により
余剰コンクリートを押し出すものではない。したがって、コンクリートフィニッシャーの
重量が軽い場合でも余剰コンクリートに乗り上げる現象が発生しにくく、好適に用いるこ
とができる。
また、コンクリート送出部材は、一の部材で余剰コンクリートの送出と均しと締固めと
の機能を備えるため、特許文献1のように、コンクリートを敷き広げるスクリュースプレ
ッダと、コンクリートを均すスクリードといった大掛かりな機構を複数備える必要がない
。したがって、本発明によるコンクリートフィニッシャーは、低コストで小型に構成する
ことができる。これにより、作業範囲が狭いために大型コンクリートフィニッシャーの搬
入や使用が難しい、幅員が概ね3.5m以下の路面であっても施工不良の少ない舗装が可
能となる。これは一般車道のほか、一般住宅の駐車場(例えば、幅2.5~3.0m、長
さ5.0~5.5m程度の路面)に対応できるものである。
【0032】
また、本発明のコンクリート送出部材は、上記構成のコンクリートフィニッシャーのほ
か、公知のコンクリートフィニッシャーに備えてもよい。公知のコンクリートフィニッシ
ャーとして、例えば、舗装場所の両側にレールを設置し、このレールに沿わせてコンクリ
ートフィニッシャーを走行させて施工を行うオンレール式のものや、走行装置を備えた自
走式のものが挙げられる。また、規模の大小も問わない。公知のコンクリートフィニッシ
ャーは、通常、振動装置及び動力源を備える。したがって、本発明のコンクリート送出部
材はこれらに容易に備えることができ、作業員の踏み入りに起因する施工不良を防ぐこと
ができるようになる。
【0033】
なお、本発明のコンクリート送出部材は、図5に示すように、一のコンクリートフィニ
ッシャー10に対して二以上備えてもよい。この場合、複数のコンクリート送出部材18
を、振動フレーム12の前方に互いに並行になるように支持する(図5に示した他の構成
要素は前述と同様のため説明を省略する)。また、前方に位置するコンクリート送出部材
12ほど、下面の高さを高くなるように支持してもよい。このように構成することで、一
のコンクリート送出部材が送り出すコンクリート量が減ることから、コンクリートフィニ
ッシャーの走行速度(施工速度)を上げることができ、速やかな仕上げ作業が可能になる
【符号の説明】
【0034】
10 コンクリートフィニッシャー
12 振動フレーム
14 走行装置
16 昇降装置
18 コンクリート送出部材
18a 凹凸部
20 振動装置(振動手段)
30 流し込まれたコンクリート
30a 余剰コンクリート
44 往復動手段

図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートフィニッシャーにおいて、余剰コンクリートを除くために、前記コンクリートフィニッシャーの走行方向に対して左右方向に延設された、振動手段及び往復動手段によって振動しながら左右方向に往復動される、延設方向と垂直な方向の断面が略矩形状である棒状のコンクリート送出部材であって、余剰コンクリートを左右に送り出すための凹凸部を走行方向側に備え、該凹凸部は、平面視でコンクリート送出部材の左右中央側から左右端部に向かうにしたがって走行方向側に傾斜する傾斜面と、走行方向側に延びる送出面が、左右方向に交互に並ぶように鋸歯状に形成されることを特徴とするコンクリート送出部材。
【請求項2】
コンクリート舗装において施工対象路面に流し込んだコンクリートの表面を走行しながら均すコンクリートフィニッシャーであって、請求項1に記載のコンクリート送出部材を備えるコンクリートフィニッシャー。
【請求項3】
コンクリート舗装において施工対象路面に流し込んだコンクリートの表面を走行しながら均すコンクリートフィニッシャーであって、
振動フレームと、一対の走行装置と、一対の昇降装置と、振動装置とを備え、
前記走行装置は、前記振動フレームの左右方向両側の下方に一つずつ配置されており、
前記昇降装置は、前記振動フレームの左右両側に一つずつ配置され、それぞれが自身の配置側に存在する前記走行装置と前記振動フレームの左右端部とを連結し、前記走行装置に対する振動フレームの左右端部の昇降を可能とするものであり、
請求項1に記載のコンクリート送出部材を、その下面の高さが前記振動フレームの下面より高くなるように前記振動フレームの走行方向側に支持している、
コンクリートフィニッシャー。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明のコンクリート送出部材は、コンクリートフィニッシャーにおいて、余剰コンクリートを除くために、コンクリートフィニッシャーの走行方向に対して左右方向に延設された、振動手段及び往復動手段によって振動しながら左右方向に往復動される、延設方向と垂直な方向の断面が略矩形状である棒状のコンクリート送出部材であって、余剰コンクリートを左右に送り出す凹凸部を走行方向側に備え、この凹凸部は、平面視でコンクリート送出部材の左右中央側から左右端部に向かうにしたがって走行方向側に傾斜する傾斜面と、走行方向側に延びる送出面が、左右方向に交互に並ぶように鋸歯状に形成されることを特徴とするものである。
本発明のコンクリートフィニッシャーは、コンクリート舗装において施工対象路面に流し込んだコンクリートの表面を走行しながら均すものであって、上記のコンクリート送出部材を備えるものである。
また、上記のコンクリートフィニッシャーであって、振動フレームと、一対の走行装置と、一対の昇降装置と、振動装置とを備え、前記走行装置は、前記振動フレームの左右方向両側の下方に一つずつ配置されており、前記昇降装置は、前記振動フレームの左右両側に一つずつ配置され、それぞれが自身の配置側に存在する前記走行装置と前記振動フレームの左右端部とを連結し、前記走行装置に対する振動フレームの左右端部の昇降を可能とするものであり、上記コンクリート送出部材を、その下面の高さが振動フレームの下面より高くなるように振動フレームの走行方向側に支持しているものである。