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特開2024-3021プラズマ処理システムおよびプラズマ処理システムを操作する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003021
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】プラズマ処理システムおよびプラズマ処理システムを操作する方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20231228BHJP
   C23C 16/50 20060101ALI20231228BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALN20231228BHJP
【FI】
H05H1/46 L
C23C16/50
H01L21/302 101E
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023182606
(22)【出願日】2023-10-24
(62)【分割の表示】P 2021500796の分割
【原出願日】2019-07-01
(31)【優先権主張番号】16/035,551
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505477121
【氏名又は名称】エムケイエス インストゥルメンツ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シン
(72)【発明者】
【氏名】ポキドフ、イリヤ
(72)【発明者】
【氏名】グプタ、アトゥル
(57)【要約】
【課題】プラズマ処理システムおよびプラズマ処理システムを操作する方法を提供すること。
【解決手段】プラズマ処理システムは、プラズマチャネルを画定するプラズマチャンバであって、誘電体材料から構成された2つの誘電体部分と、2つの誘電体部分を結合面に沿って結合させて、2つの誘電体部分の間に気密封止を形成する結合インターフェースとを有するプラズマチャンバと、プラズマチャンバを実質的に取り囲むヒートシンクであって、結合面に沿って2つの伝導性部分に分割されており、2つの伝導性部分が伝導性材料から構成されるとともに互いに電気的に分離されている、ヒートシンクと、を備えているプラズマアセンブリと、磁気コア、一次コイルおよびプラズマアセンブリを含む電力変圧器であって、プラズマチャンバのプラズマチャネル内のガスをイオン化する電場を誘導するように構成されている、電力変圧器と、を含む。
【選択図】図8A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理システムであって、
プラズマアセンブリであって、
プラズマチャネルを画定するプラズマチャンバであって、(i)誘電体材料から構成された2つの誘電体部分と、(ii)2つの誘電体部分を結合面に沿って結合させて、2つの誘電体部分の間に気密封止を形成する結合インターフェースと、を有する、プラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバを実質的に取り囲むヒートシンクであって、前記結合面に沿って2つの伝導性部分に分割されており、2つの伝導性部分が伝導性材料から構成されるとともに、互いに電気的に分離されている、ヒートシンクと、を備えている、プラズマアセンブリと、
磁気コア、一次コイルおよび前記プラズマアセンブリを含む電力変圧器であって、前記プラズマチャンバのプラズマチャネル内のガスをイオン化する電場を誘導するように構成されている、電力変圧器と、
を含むプラズマ処理システム。
【請求項2】
前記プラズマアセンブリが、前記ヒートシンクと前記プラズマチャンバとの間に配置された熱インターフェースをさらに有しており、熱インターフェースは、前記プラズマチャンバの熱誘起変形に適応すること、または前記プラズマチャンバから前記ヒートシンクに向かって熱を伝導することの少なくとも一方を提供するように構成されている、請求項1に記載のプラズマ処理システム。
【請求項3】
前記熱インターフェースが、コンプライアンスの特性をもつ熱伝導性材料から構成されている、請求項2に記載のプラズマ処理システム。
【請求項4】
前記プラズマチャンバが、
前記結合インターフェースにおける伝導性の前記2つの誘電体部分の結合によって形成された外側結合フランジであって、前記プラズマチャンバの外側から前記結合面に対して略平行に外向きに延在するように構成されている、外側結合フランジと、
前記結合インターフェースにおける伝導性の前記2つの誘電体部分の結合によって形成された内側結合フランジであって、前記プラズマチャンバの内側から前記結合面に対して略平行に内向きに延在するように構成されている、内側結合フランジと、をさらに備えている、請求項1に記載のプラズマ処理システム。
【請求項5】
前記プラズマアセンブリが、前記結合インターフェースにおいて前記プラズマチャンバの外側結合フランジまたは内側結合フランジの少なくとも一方に沿って配置された1つまたは複数の誘電体ブレークをさらに備えている、請求項4に記載のプラズマ処理システム。
【請求項6】
前記ヒートシンクの2つの伝導性部分が、前記1つまたは複数の誘電体ブレークと、前記結合インターフェースにおける外側結合フランジおよび内側結合フランジの少なくとも一方とによって電気的に分離されている、請求項5に記載のプラズマ処理システム。
【請求項7】
前記プラズマアセンブリが、該プラズマアセンブリ内に配置された1つまたは複数の誘電性流体継手をさらに備えており、誘電性流体継手は、前記ヒートシンクの伝導性部分と流体連通して、伝導性部分間に冷却流体を伝導する、請求項1に記載のプラズマ処理システム。
【請求項8】
前記電力変圧器の磁気コアを支持および冷却するように構成された支持構造をさらに備えている、請求項1に記載のプラズマ処理システム。
【請求項9】
前記結合インターフェースが、ガラスフリット、共晶混合物、またはエポキシのうちの1つである結合剤を含んでいる、請求項1に記載のプラズマチャンバ。
【請求項10】
前記プラズマチャンバの誘電体部分の第1の誘電体部分および前記ヒートシンクの伝導性部分の第1の伝導性部分が、前記結合面に対して前記電力変圧器の第1の半分に配置されており、前記プラズマチャンバの誘電体部分の第2の誘電体部分および前記ヒートシンクの伝導性部分の第2の伝導性部分が、前記結合面に対して前記電力変圧器の第2の半分に配置されている、請求項1に記載のプラズマ処理システム。
【請求項11】
前記プラズマチャンバの第1および第2の誘電体部分が同一の幾何学形状を有しており、前記ヒートシンクの第1および第2の伝導性部分が同一の幾何学形状を有している、請求項10に記載のプラズマ処理システム。
【請求項12】
プラズマ処理システムを操作する方法であって、
少なくとも1つの磁気コア、一次コイルおよびプラズマアセンブリを有する電力変圧器を含むプラズマ処理システムを提供するステップであって、プラズマアセンブリは、(i)結合面に沿って結合インターフェースを形成するように互いに結合された2つの誘電体部分によって生成されるプラズマチャネルを画定するプラズマチャンバと、(ii)プラズマチャンバを実質的に取り囲むヒートシンクであって、前記結合面に沿って2つの伝導性部分に分割されており、2つの伝導性部分は互いに電気的に分離されている、ヒートシンクと、を含む、プラズマ処理システムを提供するステップと、
ガス入口を介して前記プラズマチャネルにガスを供給するステップと、
前記電力変圧器によって、前記プラズマチャンバのプラズマチャネル内のガスをイオン化してプラズマを形成する電場を誘導するステップと、
前記プラズマの少なくとも一部を、出口フランジを介して前記プラズマチャネルから送出するステップと、
を含む方法。
【請求項13】
前記プラズマチャネル内に電場を誘導する前に、該プラズマチャネル内のガスを点火するために、前記ヒートシンクの2つの伝導性部分を反対の電圧でバイアスするステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
1つまたは複数の電気ブレークと、前記プラズマチャンバの内側結合フランジおよび外側結合フランジの少なくとも一方とによって、前記結合インターフェースにおいて前記2つの伝導性部分を電気的に絶縁するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
(i)前記外側結合フランジが、前記結合インターフェースにおける伝導性の前記2つの誘電体部分の結合によって形成されるとともに、前記プラズマチャンバの外側から前記結合面に対して略平行に外向きに延在しており、(ii)前記内側結合フランジが、前記結合インターフェースにおける伝導性の前記2つの誘電体部分の結合によって形成されるとともに、前記プラズマチャンバの内側から前記結合面に対して略平行に内向きに延在している、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記プラズマチャンバの内側結合フランジおよび外側結合フランジによって前記プラズマチャンバと前記ヒートシンクとの間の接触表面の量を増加させ、それによって前記プラズマチャンバ内のピーク温度を低下させるステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記プラズマチャンバの内側結合フランジおよび外側結合フランジによって前記電力変圧器内のプラズマチャンバを補強し、それによって前記プラズマチャンバの変形および熱応力を低減するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ヒートシンクの2つの伝導性部分と流体連通している複数の誘電性流体継手を介して冷却流体を伝導することによって前記ヒートシンクを冷却するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記プラズマチャンバと前記ヒートシンクとの間に位置する熱インターフェースによって、前記プラズマチャンバの熱誘起変形を低減するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記熱インターフェースが前記プラズマチャンバから前記ヒートシンクに向かって熱を伝導するようにさらに構成されている、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
プラズマ処理システムを遠隔プラズマ源としてパルス動作で操作することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、プラズマ生成および処理装置の分野に関し、より具体的には、プラズマ化学および汚染に対する耐性が向上したプラズマ生成および処理のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ放電を使用してガスを励起し、イオン、フリーラジカル、原子、分子を含む活性化ガスを生成することができる。活性化ガスは、半導体ウェハなどの固体材料、粉末、その他のガスの処理を含む多くの産業および科学用途に使用される。プラズマのパラメータおよび処理される材料へのプラズマの曝露条件は、用途によって大きく異なる。
【0003】
たとえば、一部の用途では、処理される材料が損傷を受けやすいため、運動エネルギーが低い(つまり、数電子ボルト)イオンを使用する必要がある。異方性エッチングや平坦化された誘電体堆積などの他の用途では、高い運動エネルギーを持つイオンを使用する必要がある。反応性イオンビームエッチングなどのさらに他の用途では、イオンエネルギーを正確に制御する必要がある。
【0004】
一部の用途では、処理中の材料を高密度プラズマに直接暴露させる必要がある。そのような用途の1つは、イオン活性化化学反応を発生させることである。他の用途には、高アスペクト比の構造への材料のエッチングと堆積が含まれる。他の用途では、処理中の材料をプラズマから遮蔽する必要があるが、これは、材料がイオンによる損傷を受けやすいため、またはプロセスに高い選択性要件があるためである。
【0005】
プラズマは、直流(DC)放電、高周波(RF)放電、マイクロ波放電など、さまざまな方法で生成できる。DC放電は、ガス中の2つの電極間に電位を印加することによって実現される。RF放電は、電源からプラズマにエネルギーを容量結合または誘導結合することによって実現される。マイクロ波放電は、マイクロ波エネルギー源をガスを含む放電チャンバに結合することによって生成することができる。
【0006】
プラズマ放電は、プラズマを構成する荷電種と、プラズマによって活性化できる中性種の両方が、処理される材料と密接に接触するような方法で発生させることができる。あるいは、プラズマ放電は、処理中の材料から離れて発生させることができ、その結果、比較的少数の帯電種が処理中の材料と接触する一方で、中性種が依然として処理中の材料と接触できる。このようなプラズマ放電は、一般に、リモートまたはダウンストリームプラズマ放電と呼ばれる。その構造、処理される材料に対する相対的な配置、および動作条件(例えば、ガス種、圧力、流量、およびプラズマに結合された電力)に応じて、プラズマ源は、これらの2つの一般的な種類のいずれかまたは両方の特性を有することができる。
【0007】
既存の遠隔プラズマ源は、一般に、RFまたはマイクロ波電力を利用してプラズマを発生させる。現在の遠隔プラズマ源は多くの用途を正常にサポートしているが、これらの遠隔プラズマ源の実際の使用にはいくつかの技術的な制限が残っている。たとえば、マイクロ波ベースの遠隔プラズマ源は、RF源よりも一般的に高価であるが、これは、マイクロ波電力は、一般に、生成、配信、および負荷への適合に費用がかかるためである。マイクロ波源および電力供給システムも一般にRF源よりもかさばり、マイクロ波電力を発生させるチューブを定期的に交換する必要がある。
【0008】
ある程度の容量性および誘導性結合を備えたRF遠隔プラズマ源は、対応するマイクロ波源よりも安価で小型であってもよい。しかしながら、プラズマ点火プロセスを支援する容量結合は、プラズマで生成された高エネルギーイオンによる露出した壁の衝撃のために、プラズマチャンバの露出した壁の劣化をもたらす可能性がある。誘導性RF結合を利用するが、関連する容量結合を最小限に抑えるRF遠隔プラズマ源は、プラズマ容器表面のイオンによる劣化が少ない場合がある。しかしながら、容量結合の減少または排除は、特に広範囲のプロセス条件にわたって、プラズマ点火を得るのをより困難にする可能性がある。
【0009】
既存の遠隔プラズマ源に関する第2の困難は、プラズマで生成され、プラズマチャンバの壁に堆積される熱の除去である。これは、プラズマチャンバが複雑な形状を有する場合、および/またはプラズマチャンバが誘電体プラズマチャンバと接触する大量の流体による直接冷却が望ましくないかまたは非実用的である誘電体材料から構成される場合に特に当てはまる。これには、プラズマに確実に結合できる電力を制限する効果がある。
【0010】
(特許文献1)に記載されているものなどの既存のプラズマチャンバのいくつかは、高温成形と溶接を組み合わせて石英材料を使用して製造され、所望の形状(例えば、トーラス形状)を生成する。石英プラズマチャンバの主な欠点は、水素(H*)、フッ化物(F*)および/または、塩素(Cl*)などの水素および/またはハロゲンプラズマ化学と互換性がないことであるが、これは、これらの化学物質に曝されたときの石英の化学的および物理的侵食の速度が速いためである。
【0011】
さらに、(特許文献2)に記載されているものなどのいくつかの既存のプラズマチャンバは、アルミニウムからプラズマブロックを機械加工することによって製造され、そこでプラズマブロックを接続して所望の形状のプラズマチャネル(例えば、トーラス形状)を形成する。プラズマチャネルの内面は、堆積プロセス(例えば、化学蒸着、物理蒸着、またはプラズマ溶射)、または変換プロセス(例えば、硬質陽極酸化)のいずれかを使用してコーティングして、母材とプラズマとの間に誘電体バリアを形成する。誘電体コーティングを施したアルミニウムプラズマブロックで作られたプラズマチャンバの欠点の1つは、コーティングが通常約数マイクロメートルから数十マイクロメートルと薄いため、誘電体コーティングの電気的絶縁破壊により、インプロセスガスの点火に必要な高いプラズマ点火電圧に耐えられないことである。アルゴンなどの不活性ガスを点火ガスとして使用して点火電圧を下げることができるが、点火ガスからプロセスガスへの移行により時間遅延が生じ、パルスプラズマ用途におけるスループットが低下する。薄いコーティングの別の欠点は、コーティングの欠陥が下にあるアルミニウムをプラズマチャンバ内の反応性ガスに曝すと、プラズマチャンバ本体を適切に保護できないことである。さらに、硬質アルマイトを使用するなどの化成皮膜の場合、プラズマに直接曝される皮膜の純度は、ベースのアルミニウム合金の純度に依存する。たとえば、6061アルミニウムのアルミニウム含有量は95.8~98.6%で、残りは他の金属合金元素である。これらの他の金属不純物は、半導体処理における潜在的な汚染源になる可能性がある。また、多くの機械加工されたプラズマチャネルの形状には、2:1~10:1の範囲のアスペクト比(長さと直径の比率)の深い穴がある。このような高アスペクト比の穴は、物理蒸着(PVD)またはプラズマ溶射法を使用してコーティングするのは実用的ではない。これらのコーティングは開放端から塗布され、手の届きにくい領域で必要なコーティング厚よりもはるかに薄くなる可能性があるためである。高アスペクト比の穴は、化学蒸着(CVD)や原子層堆積(ALD)などの他の堆積プロセスを使用してコンフォーマルコーティングを施すことができる。ただし、CVDおよびALDの堆積速度はスプレーコーティングの堆積速度よりもはるかに低いため、これらの堆積プロセスは遅く、法外に費用がかかる。
【0012】
さらに、(特許文献3)に記載されているものなどのいくつかの既存のプラズマチャンバは、複数の略線形の誘電体管を接続して所望の形状(例えば、トーラス形状)を達成することによって形成される。プラズマチャンバのビルディングブロックとして略線形の管を使用すると、利用可能な材料の範囲が広がるが、主な欠点は、製造の複雑さとコストが増加することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第7659489号明細書
【特許文献2】米国特許第7166816号明細書
【特許文献3】米国特許第8053700号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
半導体処理における金属汚染を最小限に抑えながら、水素および/またはハロゲンプラズマ化学などの特定のプラズマ化学に対する耐性が向上したプラズマチャンバが必要である。また、複雑さとコストを抑えて製造できるプラズマチャンバも必要である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、インプロセスガスに点火することができる厚壁プラズマチャンバを提供し、そのようなプラズマチャンバは、水素および/またはハロゲンプラズマ化学などの(例えば、低い侵食速度を有する)プラズマ化学と互換性のある高純度の誘電体材料から製造することができる。高純度の誘電体材料は、半導体処理における金属汚染を最小限に抑えることもできる。高純度の誘電体材料は、さらに向上した熱機械的特性を提供する。
【0016】
一態様では、プラズマ処理システムのプラズマチャンバが提供される。プラズマチャンバは、プラズマチャネルを画定し、プラズマチャネルはその長さに沿って反対側に配置された第1の側および第2の側を有する。プラズマチャンバは、誘電体材料から構成された第1の部分を含む。第1の部分は、(i)プラズマチャネルの第1の側に沿って配置されるとともに、第1の幅だけ第1の側を越えて延びる第1のフランジ、および(ii)プラズマチャネルの第2の側に沿って配置されるとともに、第2の幅だけ第2の側を越えて延びる第2のフランジを有する。プラズマチャンバは、誘電体材料から構成された第2の部分を含む。第2の部分は、(i)プラズマチャネルの第1の側に沿って配置されるとともに、第1の幅だけ第1の側を越えて延びる第3のフランジ、および(ii)プラズマチャネルの第2の側に沿って配置されるとともに、第2の幅だけ第2の側を越えて延びる第4のフランジを有する。プラズマチャンバは、第1のフランジと第3のフランジの間、および第2のフランジと第4のフランジの間の第1の部分および第2の部分を結合するインターフェースをさらに備える。
【0017】
別の態様では、プラズマ処理システムのプラズマチャンバを製造する方法が提供される。プラズマチャンバは、プラズマチャネルを画定し、プラズマチャネルはその長さに沿って反対側に配置された第1の側および第2の側を有する。この方法は、誘電体材料から第1の部分を構成することを含む。第1の部分は、(i)プラズマチャネルの第1の側に沿って配置されるとともに、第1の幅だけ第1の側を越えて延びる第1のフランジ、および(ii)プラズマチャネルの第2の側に沿って配置されるとともに、第2の幅だけ第2の側を越えて延びる第2のフランジを有する。方法はまた、誘電体材料から第2の部分を構成することを含む。第2の部分は、(i)プラズマチャネルの第1の側に沿って配置されるとともに、第1の幅だけ第1の側を越えて延びる第3のフランジ、および(ii)プラズマチャネルの第2の側に沿って配置されるとともに、第2の幅だけ第2の側を越えて延びる第4のフランジを有する。方法は、第1の部分および第2の部分を結合して、その中にプラズマを収容するためのプラズマチャネルを有するプラズマチャンバを形成することをさらに含む。第1の部分および第2の部分を結合することは、第1のフランジと第3のフランジとの間で結合を形成して第1の幅を有する第1の結合フランジを生成し、第2のフランジと第4のフランジと間で結合を形成して第2の幅を有する第2の結合フランジを生成することを含む。
【0018】
上記の態様のいずれにも、次の特徴の1つ以上を含めることができる。いくつかの実施形態では、誘電体材料は、アルミナ(Al)セラミックである。いくつかの実施形態では、誘電体材料は、第II族元素、第III族元素、ランタニド、またはそれらの混合物のうちの1つの酸化物または窒化物である。いくつかの実施形態では、誘電体材料は、Y、Sc、La、Ce、またはMgOのうちの1つである。いくつかの実施形態では、誘電体材料は、AlN、BN、またはYNのうちの1つである。
【0019】
いくつかの実施形態では、コーティングは、プラズマチャンバの内面に配置され、プラズマチャンバ内のプラズマに曝されるプラズマチャネルの少なくとも一部を形成する。コーティングは、Al、Y、Sc、La、Ce、MgO、SiO、BCのいずれか、またはYAGを含む合金を含むことができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の部分および第2の部分は略同一である。いくつかの実施形態では、第1の部分または第2の部分の壁の厚さは、約0.102cm~約0.305cm(約0.04インチ~約0.12インチ)である。いくつかの実施形態では、第1の部分または第2の部分は、誘電体材料をグリーン状態で機械加工することによって構築される。
【0021】
いくつかの実施形態では、プラズマチャンバは、(i)第1のフランジおよび第3のフランジの結合によって形成された第1の結合フランジであって、第1の幅を有する第1の結合フランジと、(ii)第2のフランジおよび第4のフランジの結合によって形成された第2の結合フランジであって、第2の幅を有する第2の結合フランジとをさらに含む。いくつかの実施形態では、第1の結合フランジの第1の幅または第2の結合フランジの第2の幅は、約0.152cm~約2.54cm(約0.06インチ~約1インチ)である。たとえば、第1の幅または第2の幅は約0.305cm(約0.25インチ)であってもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、結合インターフェースは、ガラスフリット、共晶混合物、またはエポキシのうちの1つである結合剤を含む。例えば、共晶混合物は、Al、Y、Sc、Ce、MgO、CaO、またはZrOの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の部分および第2の部分は、第1の部分および第2の部分を一緒に焼結して、第1の結合フランジおよび第2の結合フランジに気密シールを作成することによって一緒に結合される。いくつかの実施形態では、合金化剤の層は、焼結の前に、第1の部分または第2の部分のうちの少なくとも1つの内面に配置することができる。内面は、プラズマチャネルの中のプラズマに曝されるプラズマチャネルの少なくとも一部を形成するように適合されている。合金コーティングは、第1の部分および第2の部分を結合する焼結プロセスによってその上に配置された合金化剤の層を有する内面の少なくとも一部に作製される。
【0023】
いくつかの実施形態では、プラズマチャネルはトロイダルループを形成する。トロイダルプラズマチャネルは、円形、楕円形、長円形、または多角形の形状にすることができる。いくつかの実施形態では、プラズマチャネルは線形である。いくつかの実施形態では、プラズマチャネルの断面は、円形、長方形、または楕円形である。プラズマチャネルの断面の面積は、約0.2cm~約50cmであってもよい。
【0024】
上記した本発明の利点は、さらなる利点とともに、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによってよりよく理解することができる。図面は必ずしも縮尺どおりではなく、技術の原理を説明することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明のいくつかの実施形態による、例示的なプラズマチャンバを示す。
図2】本発明のいくつかの実施形態による、図1のプラズマチャンバを形成するための例示的なアセンブリを示す。
図3】本発明のいくつかの実施形態による、長方形のトロイダルプラズマチャネルを有するトロイダルプラズマチャンバを示す。
図4】本発明のいくつかの実施形態による、楕円形のトロイダルプラズマチャネルを有するトロイダルプラズマチャンバを示す。
図5】本発明のいくつかの実施形態による、長方形の内側輪郭および長方形の外側輪郭の断面を有するプラズマチャネルを有するトロイダルプラズマチャンバの一部を示す。
図6】本発明のいくつかの実施形態による、円形の内側輪郭および円形の外側輪郭の断面を有するプラズマチャネルを有するトロイダルプラズマチャンバの一部を示す。
図7】本発明のいくつかの実施形態による、円形の内側輪郭および六角形の外側輪郭の断面を有するプラズマチャネルを有するトロイダルプラズマチャンバの一部を示す。
図8A】本発明のいくつかの実施形態による、図1のプラズマチャンバを含む例示的なプラズマ処理システムを示す。
図8B】本発明のいくつかの実施形態による、図1のプラズマチャンバを含む例示的なプラズマ処理システムの一部切り取り図を示す。
図8C】本発明のいくつかの実施形態による、図1のプラズマチャンバを含む例示的なプラズマ処理システムの側面図を示す。
図9】本発明のいくつかの実施形態による、図8Cのプラズマ処理システムの断面図を示す。
図10】本発明のいくつかの実施形態による、電気的に分離されたヒートシンク区分を備えた図8Cのプラズマ処理システムの別の断面図を示す。
図11】本発明のいくつかの実施形態による、ヒートシンク区分によってカプセル化されたプラズマチャンバを含むアセンブリの断面図を示す。
図12a】本発明のいくつかの実施形態による、第1および第2の結合フランジを有する図1のプラズマチャンバのシミュレートされた温度プロファイルを示す。
図12b】本発明のいくつかの実施形態による、第1および第2の結合フランジを有していないプラズマチャンバのシミュレートされた温度プロファイルを示す。
図13】本発明のいくつかの実施形態による、図1のプラズマチャンバを製造するための例示的な工程を示す。
図14a】本発明のいくつかの実施形態による、例示的なプラズマチャンバを示す。
図14b】本発明のいくつかの実施形態による、例示的なプラズマチャンバを示す。
図14c】本発明のいくつかの実施形態による、例示的なプラズマチャンバを示す。
図15a】本発明のいくつかの実施形態による、遠隔プラズマ源として図8A~8Cに示すプラズマ処理システムを使用する例示的なパルス動作を示す。
図15b】本発明のいくつかの実施形態による、遠隔プラズマ源として図8A~8Cに示すプラズマ処理システムを使用する例示的なパルス動作を示す。
図15c】本発明のいくつかの実施形態による、遠隔プラズマ源として図8A~8Cに示すプラズマ処理システムを使用する例示的なパルス動作を示す。
図15d】本発明のいくつかの実施形態による、遠隔プラズマ源として図8A~8Cに示すプラズマ処理システムを使用する例示的なパルス動作を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による、例示的なプラズマチャンバ100を示している。一般に、プラズマチャンバは、ガスおよび/またはプラズマを含む容器または容器の一部であり、その中でプラズマが点火および/または維持され得る。プラズマチャンバは、発電および冷却部品などの他の部品と組み合わせて、プラズマ処理システムを形成するように適合されている。プラズマチャンバは、通常、様々な形状を有する1つまたは複数のプラズマチャネルを画定する。例えば、プラズマチャネルは、(例えば、トロイダルプラズマを支持するために)線形形状またはループ形状を有することができる。図1に示すように、プラズマチャンバ100は、トロイダルループであってもよく、これは、閉経路におけるプラズマ電流循環を維持するために、閉経路を有するループ内部プラズマチャネル(図示せず)を形成するものとして画成される。
【0027】
プラズマチャネルを含むプラズマチャンバ100は、プラズマチャネルの長さに沿って反対側に配置された第1の側102および第2の側104を有する。プラズマチャンバ100はまた、第1の側102から第1の幅だけ延びる第1の結合フランジ110を含む。プラズマチャンバ100は、第2の側102から第2の幅だけ延びる第2の結合フランジ112をさらに含む。具体的には、図1に示す円形のトロイダルプラズマチャンバ100の場合、第1の結合フランジ110は、第1の側/内側102から第1の幅だけ内方に延び、第2の結合フランジ112は、第2の側/外側104から第2の幅だけ外方に延びる。幅。一般に、円形のトロイダルプラズマチャンバ100の、例えば、内半径(すなわち、円形のトロイダルプラズマチャンバ100の中心から第1の側102まで)および外半径(すなわち、円形のトロイダルプラズマチャンバ100の中心から第2の側104まで)などの寸法は、プラズマチャネル内のプロセスガスの必要な流量および必要なプラズマ出力に基づいて規定される。いくつかの実施形態では、円形のトロイダルプラズマチャンバ100の外半径は約15.2cm(約6インチ)である。
【0028】
図2は、本発明のいくつかの実施形態による、図1のプラズマチャンバ100を形成するための例示的なアセンブリを示す。プラズマチャンバ100は、いくつかの別個の部分から構成されており、プラズマチャンバ100の下半分を形成する第1の部分204、プラズマチャンバ100の上半分を形成する第2の部分206、およびプラズマチャンバ100の第1および第2の部分204、206を結合する結合インターフェース207(図1に示す)を含む。第1および第2の部分204、206および結合インターフェース207は、同じ誘電体材料または2つ以上の異なる誘電体材料から構成することができる。
【0029】
図示するように、第1の部分204は、(i)プラズマチャネルの一部を画定する内面を有する第1の壁部分208、(ii)プラズマチャネルの第1の側102に沿って配置されるとともに、第1の幅だけ第1の側102を越えて延びる第1のフランジ210、および(iii)プラズマチャネルの第2の側104に沿って配置されるとともに、第2の幅だけ第2の側104を越えて延びる第2のフランジ212を画定する。同様に、第2の部分206は、(i)プラズマチャネルの別の部分を画定する内面を有する第2の壁部分210、(ii)プラズマチャネルの第1の側102に沿って配置されるとともに、第1の幅だけ第1の側を越えて延びる第3のフランジ216、および(iii)プラズマチャネルの第2の側104に沿って配置されるとともに、第2の幅だけ第2の側104を越えて延びる第4のフランジ218を画定する。結合インターフェース207は、第1の部分204および第2の部分206のそれぞれの、第1のフランジ210と第3のフランジ216との間、および第2のフランジ212と第4のフランジ218との間で第1の部分204および第2の部分206を結合することによって形成される。具体的には、結合インターフェース207での結合は、モノリシック構造としてプラズマチャンバ100を形成するように適合され、モノリシック構造は、(i)ガスおよび/またはプラズマをその中に含むためのプラズマチャネルを協調的に画定する第1および第2の壁部分208、214、(ii)第1の幅を有する第1の結合フランジ110を協調的に画定する第1および第3のフランジ210、216、および(iii)第2の幅を有する第2の結合フランジ112を協調的に画定する第2および第4のフランジ212、218を含む。いくつかの実施形態では、第1の結合フランジ110の第1の幅および/または第2の結合フランジ112の第2の幅は、約0.152cm~約2.54cm(約0.06インチ~約1インチ)である。たとえば、第1の幅および第2の幅は約0.305cm(約0.25インチ)であってもよい。
【0030】
一般に、結合インターフェース207で第1の結合フランジ110または第2の結合フランジ112を形成するための結合強度は、結合インターフェース207での表面積の量に比例する。結合フランジ110、112がない場合、プラズマチャンバ100の比較的薄い第1の壁部分208および/または第2の壁部分210は、たとえ薄壁が熱応力を軽減するのに有益であっても、結合の信頼性を損なう可能性がある薄い結合インターフェース207を作製するように適合される。したがって、第1の結合フランジ110および第2の結合フランジ112は、プラズマチャンバ100の第1の部分204と第2の部分206と間のより信頼性が高く頑丈な結合を保証するために使用される。これは、第1の壁部分208および第2の壁部分210の厚さを、熱機械的応力の最小化のために独立して最適化することを可能にする点で有利である。
【0031】
いくつかの実施形態では、プラズマチャンバ100の第1の部分204および第2の部分206は略同一である。いくつかの実施形態では、プラズマチャンバ100の第1の部分204および第2の部分206のそれぞれは、誘電体材料から形成され、グリーン状態で機械加工される。プラズマチャンバ100のこれらの2つの部分204、206は、以下の結合アプローチのいずれかによって結合することができ、結合アプローチは、(i)フランジ210、212、216、218でガラスフリットを適用および溶融して、結合フランジ110、112でガラス接合を形成する、(ii)フランジ210、212、216、218に、Al、Y、Sc、Ce、MgO、CaO、またはZrOの1つまたは複数を含む共晶混合物を適用して、2つの部分204、206を一緒に焼結して結合フランジ110、112を形成する、(iii)2つの部分204、206を同時焼成して結合フランジ110、112を形成する、または(iv)フランジ210、212、216、218に高温エポキシを適用して、2つの部分204、206を硬化させて結合フランジ110、112を形成する、ことを含む。結合されたフランジ110、112に強力な気密シールを形成することができる。
【0032】
上記のように、第1および第2の部分204、206を含むプラズマチャンバ100は、同じ誘電体材料または異なる誘電体材料から作製することができる。典型的には、プラズマに対する特定の材料の耐性は、エッチング速度(例えば、マイクロメートル/分で測定される単位時間あたりの材料除去の速度)に関して測定される。いくつかの実施形態では、プラズマチャンバ100を構築するために使用される誘電体材料は、ハロゲンプラズマにおけるその低いエッチング速度のために選択される高純度(例えば、約99.5%~約99.9%)のアルミナ(Al)セラミック材料である。さらに、アルミナは優れた耐熱衝撃性を示し、これは、熱応力用途の材料選択に関するもう1つの重要なパラメータである。耐熱衝撃性の式を式[1]に示す。
【0033】
【数1】
【0034】
ここで、Rは耐熱衝撃性、σFは材料の曲げ強度(MPa)、vはポアソン比、Kは熱伝導率(W/mK)、Eはヤング率(GPa)、αは熱膨張率(μm/mK)を表す。式[1]は、材料が熱応力にどれだけ耐えられるかを示す単一の数値を生成することにより、熱応力耐性に重要ないくつかの材料特性を組み合わせたものである。抵抗値が高いほど、材料は熱応力をうまく処理できる。たとえば、既存のプラズマチャンバのいくつかで使用されている誘電体材料である石英は、約2500の耐熱衝撃係数を有する。対照的に、アルミナは、主にその高強度と高熱伝導率の組み合わせにより、約3400の耐熱衝撃性を有する。したがって、熱応力処理の観点から、アルミナは、プラズマチャンバを構築する石英よりも構造材料として約1.4倍優れている。
【0035】
いくつかの実施形態では、プラズマチャンバ100を構築するための誘電体材料は、第II族元素、第III族元素、ランタニド、またはそれらの混合物のうちの1つの酸化物または窒化物である。例えば、誘電体材料は、Y、Sc、La、Ce、またはMgOのうちの1つであってもよい。別の例として、誘電体材料は、AlN、BN、またはYNのうちの1つであってもよい。
【0036】
いくつかの実施形態において、Y、Sc、またはMgOなどの第II族元素または第III族元素のうちの1つの少量の酸化物でプラズマチャンバ100を作製するために、誘電体材料(Al)をドーピングまたは合金化することにより、プラズマチャンバ100のプラズマ抵抗を向上させる。Al粉末を少量のY、Sc、またはMgO粉末と混合し、その混合物を約1700℃の温度に加熱すると、Al、AlSc、またはAlMgの形の化学量論的合金が形成されることがわかっている。このような合金は、Alのみと比較して、F*、Cl*、Br*などのハロゲンプラズマ化学に曝された場合の侵食速度が低いことが示されている。
【0037】
いくつかの実施形態では、コーティングは、プラズマチャンバ100の第1の部分204および第2の部分206を結合インターフェース207で結合する前に、第1の部分204の第1の壁部分208の内面および/または第2の部分206の第2の壁部分210の内面に適用される。上記のように、2つの壁部分208、214は、中のプラズマに曝されるプラズマチャネルを形成するように適合されている。したがって、コーティングは、これら2つの部分の内面に、2つの部分がプラズマに直接面するように施すことができる。コーティングは、イットリア(Y)、Sc、La、Ce、MgO、SiO、BC、またはYAGの合金の1つまたは複数を含むことができ、これらは、Alと比較してハロゲンプラズマでのエッチング速度が低くなる。コーティングは、Alを含むこともできる。一般に、厚いコーティングは、侵食のためにエッチングに時間がかかるため、薄いコーティングよりも寿命が長くなる。ただし、プラズマチャンバ表面へのコーティングの付着は、コーティングの厚さに関係する。温度が変化すると、コーティング材料とベース材料の熱膨張係数の不一致により、界面とコーティング材料に熱機械的応力が発生する。このような応力は、温度または温度勾配とともに増加し、コーティングの破損を引き起こす可能性がある。最適なコーティングの厚さは、上記のコーティング材料のほとんどで5~1000μmの範囲である。いくつかの実施形態では、好ましいコーティングの厚さは、10~100μmである。
【0038】
いくつかの実施形態では、プラズマまたはフレームスプレーなどのコーティングプロセスを使用して、材料の高密度コーティングを第1の壁部分208の内面および/または第2の壁部分214の内面に堆積させるが、ここで、コーティングの厚さは数ミクロンから数百ミクロン程度である。ただし、見通し内コーティングとしても知られるスプレーコーティングでは、比較的均一なコーティング厚さを実現するために、コーティング表面を十分に露出させる必要がある。図2に示すように、プラズマ源100の区分的構造は、プラズマチャンバ100の結果として生じるプラズマチャネルを形成する第1の壁部分208および第2の壁部分214の内面が、2つの部分204、206の接合前に容易に接近可能であり、十分に露出しているため、スプレーコーティングに特に適している。
【0039】
例示的なコーティングプロセスでは、合金化剤(例えば、Y、Sc、またはMgO)の薄層が、第1の部分204の第1の壁部分208または第2の部分206の第2の壁部分210の少なくとも1つの内面に堆積されるが、これは、2つの部分204、206がグリーン状態で機械加工された後であり、図2に示すように、2つの部分204、206が結合される前に行われる。2つの部分204、206が、所望の結合プロセス(例えば、同時焼成、焼結など)を使用して結合インターフェース207で結合される場合、Al、AlSc、またはAlMgの形態のような合金コーティングの薄層が、内面の少なくとも一部に生成される。いくつかの実施形態では、同じ合金化剤(例えば、Y、Sc、またはYとAlの混合物)もまたスラリー材料にされ、結合剤として結合インターフェース207に用いられて、2つの部分204、206を共晶結合して、第1および第2の結合フランジ110、112を形成する。共晶接合と合金コーティングの形成は、同じ接合プロセスで行うことができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、プラズマチャンバ100の第1の壁部分208の厚さおよび/または第2の壁部分214の厚さは、約0.102cm~約0.305cm(約0.04インチ~約0.12インチ)である。誘電性プラズマチャンバ(例えば、プラズマチャンバ100)の主な制限は、プラズマ熱負荷から生じる熱機械的応力である。熱機械的応力に関連して最適な壁厚を決定する2つの競合する要因がある。一方では、プラズマチャンバの壁が薄いほど、壁の厚さ全体の温度勾配は小さくなる。他方では、プラズマチャンバの壁は、組み立て中にプラズマチャンバが受ける熱応力および他の応力に対抗するために十分な機械的強度を有するように十分な厚さを必要とする。したがって、熱応力を軽減するために、これら2つの要因(つまり、機械的強度と低い温度勾配)の最適なバランスが望ましい。プラズマチャンバ100の第1の壁部分208および/または第2の壁部分214の厚さは、これらの2つの競合する要因のバランスをとるために、約0.102cm~約0.305cm(約0.04インチ~約0.12インチ)の間で選択することができる。
【0041】
図1および2は、トロイダルプラズマチャンバ100が全体の形状が円形であるトロイダルプラズマチャネルを有することを示しているが、楕円形、長円形または多角形などの他のトロイダルチャネル形状が可能である。例えば、図3は、本発明のいくつかの実施形態による、長方形であるトロイダルプラズマチャネルを有するトロイダルプラズマチャンバ300を示す。図4は、本発明のいくつかの実施形態による、楕円形のトロイダルプラズマチャネルを有するトロイダルプラズマチャンバ400を示す。トロイダルプラズマチャンバ100に関する上記の特性および区分的製造アプローチは、線形プラズマチャンバにも同様に適用可能である。例えば、代替の実施形態では、本発明のプラズマチャンバは、開示された結合プロセスによって形成された線形プラズマチャネルの形態である。
【0042】
本発明のプラズマチャネルの断面は、円形、楕円形、長円形、多角形、または長方形/正方形などの異なる形状を有することができる。さらに、プラズマチャネルの断面の外側輪郭および内側輪郭は、同じ形状または異なる形状を有していてもよい。例えば、図5は、本発明のいくつかの実施形態による、長方形の内側輪郭506および長方形の外側輪郭508の断面504を有するプラズマチャネル502を有するトロイダルプラズマチャンバ500の一部を示す。図6は、本発明のいくつかの実施形態による、円形の内側輪郭606および円形の外側輪郭608の断面604を有するプラズマチャネル602を有するトロイダルプラズマチャンバ600の一部を示す。図7は、本発明のいくつかの実施形態による、円形の内側輪郭706および六角形の外側輪郭708の断面704を有するプラズマチャネル702を有するトロイダルプラズマチャンバ700の一部を示す。いくつかの実施形態では、プラズマチャネルの断面積は、約0.2cm~約50cmであってもよい。
【0043】
図8A~8Cは、本発明のいくつかの実施形態による、例示的なプラズマ処理システム800を示す。図8Aは、図1のプラズマチャンバ100を含む例示的なプラズマ処理システム800を示す。図8Bは、図8Aのプラズマ処理システム800の一部切り取り図を示す。図8Cは、図8Aの例示的なプラズマ処理システム800の側面図を示す。図示するように、プラズマ処理システム800は、少なくとも1つのガス入口806および出口フランジ808によって表される少なくとも1つのガス出口を有するプラズマチャンバ100を含む。
【0044】
プラズマチャンバ100は、プラズマチャンバ100から熱を除去するためのヒートシンク810によって囲まれている。ヒートシンク810は、プラズマチャンバ100を実質的に取り囲む少なくとも2つの区分810a、810bなどの複数の区分から形成することができる。ヒートシンク810の分割は、特にプラズマチャンバ100がトロイダル形状などの複雑な形状を有する場合に、システム800の組み立てを支援することができる。いくつかの実施形態では、ヒートシンク810は、方位角平面(すなわち、図8Bに示すようなX-Z平面)に沿って2つの区分に分割される。結果として得られる2つのヒートシンクの区分810a、810bは、略同一であり、y軸に沿って整列して、全体的なヒートシンク810を形成することができる。いくつかの実施形態では、ヒートシンク810は、単一のモノリシック構成要素として形成される。
【0045】
プラズマ処理システム800は、電磁エネルギーをプラズマチャンバ100に結合する電力変圧器822を含む。電力変圧器822は、高透磁率磁気コア804、一次コイル824、およびプラズマチャンバ100を含む。プラズマチャンバ100は、プラズマが変圧器822の二次回路を形成することを可能にする。磁気コア804は、支持構造818によって支持および冷却することができる。電力変圧器822は、追加の一次または二次回路を形成する追加の磁気コアおよび導体コイルを含むことができる。例えば、図8A~8Cに示すシステム800は、4つの変圧器コア(例えば、磁気コア804および3つの追加の磁気コア(ラベル付けされていない))によって囲まれたプラズマチャンバ100を示す。
【0046】
図9は、図8CのA-A断面線に沿ったプラズマ処理システム800の断面図を示す。プラズマ処理システム800は、プラズマチャンバ100と、変圧器822内に配置されたヒートシンク810とを含むアセンブリを含む。磁気コア804および1つまたは複数の一次コイル824(図示せず)を含む変圧器822は、電力をプラズマチャンバ100のプラズマチャネル802によって規定されるプラズマ生成体積に結合(例えば、誘導結合)するように適合されている。磁気コア804は、一次コイルとともに、プラズマチャネル802に整列した電場および電流を誘導し、これにより、プラズマチャネル802内のプラズマが点火および維持されて、変圧器822の二次回路を形成することができる。
【0047】
具体的には、動作中、ガスは、例えば、約0.133Pa~約133KPa(約0.001トル~約1000トル)の圧力に達するまで、ガス入口806を介してプラズマチャネル802に供給することができる。変圧器822は、プラズマチャンバ100のプラズマチャネル802内のガスをイオン化して、変圧器822の二次回路を完成させるプラズマを形成する電場を誘導する。プラズマチャネル802内のプラズマまたは活性化ガスの少なくとも一部は、出口フランジ808を介してシステム800から送出することができる。いくつかの実施形態では、誘導電力がプラズマに結合される前に、プラズマチャネル802の内部のガスは、プラズマチャネル802に印加される電場によって点火されて、初期の電気的絶縁破壊を作り出す。いくつかの点火スキームは、米国特許第6150628号、同第7166816号および同第7659489号(特許文献1)に記載されており、また、これらの文献はマサチューセッツ州アンドーバーのMKS Instruments、Inc.に譲渡されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0048】
いくつかの実施形態では、ヒートシンク810は、ヒートシンク810とプラズマチャンバ100との間に配置された熱インターフェース812でプラズマチャンバ100を実質的にカプセル化/取り囲む。プラズマチャンバ100から熱を除去するように構成されたヒートシンク810は、銅などの導電性材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、冷却流体は、流体入口828を介して冷却ジャケットに供給され、流体出口830を介して除去される。熱インターフェース812は、コンプライアンスの特性をもつ熱伝導性パッドまたは埋込用樹脂(potting compound)であり得る。熱インターフェース812は、1つまたは複数の機械的特性を有し、これにより、誘電体チャンバがプラズマからの熱負荷を受けるときに、ヒートシンク810内のプラズマチャンバ100の熱変形によって誘発される圧力に対応することができる。熱インターフェース812は、容易に変形可能であるなど、様々な程度のコンプライアンスを有することができ、これは、システム800の熱によって誘発される寸法変化に対応するのに役立つ。熱インターフェース812はまた、熱を誘電体プラズマチャンバ100からヒートシンク810に向かって効果的に伝導するのに十分に高い熱伝導率を有することができる。熱インターフェース812は、材料に少量の多孔性(体積で0.1~10%)を導入することによって圧縮可能にすることができる。いくつかの実施形態では、プラズマチャンバ100とヒートシンク810との間のギャップは、熱インターフェース812で満たされ、ギャップは、幅が約0.0508cm(約0.020インチ)である。
【0049】
いくつかの実施形態では、2つのヒートシンク区分810a、810bは、プラズマチャネル802の第2の側/外側104および/または第1の側/内側102に沿って配置された1つまたは複数の誘電体ブレーク814によって互いに電気的に分離/隔離されている。例えば、誘電体ブレーク814は、プラズマチャンバ100の第1の側/内側結合フランジ110および/または第2の側/外側結合フランジ112に沿って配置することができる。これらの誘電体ブレーク814はまた、熱インターフェース812のための間隔を提供する。例えば、誘電体ブレーク814は、プラズマチャンバ100とヒートシンク810との間のギャップ内に熱インターフェース材料を含むとともに、ヒートシンク810とプラズマチャンバ100との間の空間から熱インターフェース材料が漏れるのを防ぐように構成することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、2つのヒートシンク区分810a、810bは、プラズマチャンバ100のトロイダル方向に沿ってさらに電気的に分離されている。トロイダル方向へのヒートシンク810のそのような分割は、プラズマチャネル802内のプラズマによって形成された二次変圧器を短絡させ得る電流がヒートシンク810に誘導されるのを防ぐ。
【0051】
図10は、図8Cに示すB-B断面線に沿ったプラズマ処理システム800の別の断面図を示す。図示するように、プラズマチャンバ100は、方位角方向に区分化されたヒートシンク810a、810bに囲まれるとともに、磁気コア(例えば、磁気コア804)に囲まれている。B-B断面線は、トロイダル状に区分化されたヒートシンク810の接合部を横切り、冷却流体は、誘電性流体継手826を介して区分化されたヒートシンク部分の間に案内される。いくつかの実施形態では、誘電性流体継手826は、高温プラスチックでできている。同様のヒートシンク区分化構成は、マサチューセッツ州アンドーバーのMKS Instruments、Inc.に譲渡された米国特許第7501600号および同第7659489号(特許文献1)に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0052】
プラズマチャンバ100の2つの部分204、206の間の強力な結合を可能にすることに加えて(図2を参照)、第1および第2の結合フランジ110、112は、温度および熱応力を低減するという利点を提供する。具体的には、第1および第2の結合フランジ110、112は、プラズマチャネル802の第1および第2の側102、104をそれぞれ越えて延びるので、図9および11に示すように、プラズマチャンバ100の本体とヒートシンク810との間の接触表面積の量を増加させる。この追加の接触面は、誘電体プラズマチャンバ100のピーク温度低下をもたらすことができる。
【0053】
図12aは、本発明の実施形態による、第1および第2の結合フランジ110、112を備えた図1のプラズマチャンバ100のシミュレートされた温度プロファイルを示す。図12bは、結合フランジのないプラズマチャンバ1200のシミュレートされた温度プロファイルを示す。図12aのシミュレーションで使用される第1および第2の結合フランジ110、112は両方とも0.635cm(0.25インチ)の幅を有する。シミュレーションでは、30℃の入口冷却水温度と6キロワット(kW)の動作電力負荷を使用する。図示するように、ピーク温度は、結合フランジなしのプラズマチャンバ1200において約185℃であり、一方、本発明の例示的な実施形態によれば、結合フランジ110、112を有する場合のピーク温度は、約153℃である。これは、結合フランジ110、112の使用が、プラズマチャンバ100のピーク温度上昇を約20%低減できることを示している。
【0054】
さらに、第1および第2の結合フランジ110、112は、プラズマチャンバ100の第1の側/内側102および第2の側/外側104の周りの補強リブとして機能し、熱負荷下でのプラズマチャンバ100の変形および熱応力を低減することができる。
【0055】
別の態様では、誘電体ブレーク814およびプラズマチャンバ100の結合フランジ110、112によって提供される2つのヒートシンク区分810a、810bの電気的分離/隔離は、プラズマ点火のためにそれらに反対の電圧でバイアスを与えることを可能にする。図11は、図8A、8B、10および11に示すヒートシンク区分810a、810bによってカプセル化されたプラズマチャンバ100を含むアセンブリの断面図を示す。ヒートシンク区分810a、810bは、プラズマチャンバ100に容量結合され、プラズマチャンバ100内のガス1104の点火のために電圧を印加することができる点火電極として機能することができる。図示するように、2つのヒートシンク区分810a、810bは、DC、RFまたはパルス電源であり得る電源1102に接続された場合、反対の極性でバイアスされ得、印加電圧は、約数百ボルトから数キロボルトになり得る。一例として、ヒートシンク区分810a、810bの形態の点火電極は、約2~5kVのピークツーピーク電圧で400kHzのRF電源を使用してバイアスをかけることができる。電圧が印加されると、電気的絶縁破壊(例えば、電気的絶縁破壊1106)が、プラズマチャンバ100のプラズマチャネルに含まれるガス1104の内部に生じる。ヒートシンク区分810a、810bの形態の点火電極は、プラズマチャネルの第2の側/外側104全体を実質的に覆うので、電気的絶縁破壊1106は、大量のプロセスガス1104に及ぶ(cover)ように適合される。この特徴は、プラズマチャンバ100のトロイダル方向の誘導電場の使用と組み合わせて、トロイダルプラズマがプラズマチャンバ100内に形成されることを可能にする。
【0056】
図13は、本発明のいくつかの実施形態による、図1のプラズマチャンバ100を製造するための例示的な工程1300を示す。プラズマチャンバ100は、第1の側102(すなわち、プラズマチャネルがトロイダルである場合は内側)および第2の側104(すなわち、プラズマチャネルがトロイダルである場合は外側)を有する内部プラズマチャネルを画定する。工程1302において、プラズマチャンバ100の第1の部分204は、例えば、誘電体材料をグリーン状態で機械加工することによって、誘電体材料から構築される。工程1304において、プラズマチャンバ100の第1の部分206は、例えば、誘電体材料をグリーン状態で機械加工することによって、同じ誘電体材料または異なる誘電体材料から構築される。第1または第2の部分204、206は、プラズマチャンバ100の上半分または下半分であり得る。第1の部分204は、(i)プラズマチャネルの第1の側102に沿って配置されるとともに、第1の幅だけ第1の側102を越えて延びる第1のフランジ210、および(ii)プラズマチャネルの第2の側104に沿って配置されるとともに、第2の幅だけ第2の側104を越えて延びる第2のフランジ212を有する。同様に、第2の部分206は、(i)プラズマチャネルの第1の側102に沿って配置されるとともに、第1の幅だけ第1の側102を越えて延びる第3のフランジ216、および(ii)プラズマチャネルの第2の側104に沿って配置されるとともに、第2の幅だけ第2の側104を越えて延びる第4のフランジ218を有する。
【0057】
いくつかの実施形態では、工程1304の後であるが、第1および第2の部分204、206が工程1306で結合される前に、工程1308で、第1の部分204または第2の部分206のうちの少なくとも一方において、第1および/または第2の壁部分208、214の内面にコーティングが施され、そこで、第1および/または第2の壁部分208、214の内面がその中のプラズマに曝されたプラズマチャネルの少なくとも一部を形成する。いくつかの実施形態では、コーティングは、第1の部分204または第2の部分206のうちの少なくとも一方の第1の壁部分208および/または第2の壁部分214の内面に堆積された合金化剤の層である。
【0058】
工程1306において、第1および第2の部分204、206が結合されて、プラズマチャンバ100を形成する。第1および第2の部分204、206の結合は、(i)第1および第2の部分204、206それぞれの第1および第3のフランジ210、216の間に結合を形成して、第1の結合フランジ110を作製すること、および(ii)第1および第2の部分204、206それぞれの第2および第4のフランジ212、218の間に結合を形成して、第2の結合フランジ112を作製することを含む。この結合プロセス中に、合金化剤の層が第1の壁部分208および/または第2の壁部分210の内面に配置されていると、内面の合金コーティングは、同じ結合プロセスによって合金化剤の層から作製することができる。トロイダルプラズマチャネルを有するトロイダルプラズマチャンバに関して製造プロセス1300を説明しているが、同じプロセス1300は、線形であるプラズマチャネルを有するプラズマチャンバなどの他の形状のプラズマチャンバにも適用可能である。
【0059】
いくつかの実施形態では、第1の部分204および第2の部分206は、高温低蒸気圧エポキシまたはガラスフリット結合を使用して接合することができる。そのような実施形態では、第1および第2の部分204、206は、結合の前に焼成/焼結される。エポキシまたはガラスフリットは、第1の部分204の少なくとも第1および第2のフランジ210、212に適用することができる。第1および第3のフランジ210、216ならびに第2および第4のフランジ212、218の結合は、第1および第2の部分を協調的に加熱してエポキシを硬化させるか、またはガラスフリットを溶融して結合インターフェース207を形成することによって達成される。エポキシの硬化温度は通常約200~400℃であり、ガラスの溶融温度は約1000~1500℃であり、どちらも高温セラミック材料の焼結温度よりも大幅に低い。たとえば、アルミナ(Al)セラミックの焼結温度は2000℃程度である。そのような実施形態におけるエポキシ硬化/ガラス溶融温度とセラミック焼結温度との違いのために、焼結および結合工程は分離されなければならない。
【0060】
図14a~14cは、本発明のいくつかの実施形態によるプラズマチャンバを形成するための別の例示的なアセンブリを示す。プラズマチャンバ1400は、図14bおよび14cに示すように、第1の部分1404および第2の部分1406を含む2つの別個の部分から構成される。第1の部分1404および第2の部分1406のそれぞれは、プラズマチャンバ1400の半分を含むことができ、一方の部分はガス入口を含み、他方の部分はプラズマチャンバ1400のガス出口を含む。2つの部分は、結合剤を使用してフランジ1410、1412で互いに結合することができる。いくつかの実施形態では、部分1404および部分1406は幾何学的に同一である。いくつかの実施形態では、部分1404および部分1406は、プラズマチャンバ1400に沿ってガスフローパターンを適応させるまたは作成するための異なる形状を有する。部分1404、部分1406、および結合インターフェース1407は、同じ誘電体材料から、または2つ以上の異なる誘電体材料から構築することができる。いくつかの実施形態では、コーティングは、プラズマチャンバの内面に配置され、プラズマチャンバの内面は、プラズマチャンバ内のプラズマに曝されるプラズマチャネルの少なくとも一部を形成する。コーティングは、Al、Y、Sc、La、Ce、MgO、SiO、BCのいずれか、またはYAGを含む合金を含むことができる。プラズマ性能を最適化するために、入口部分と出口部分の内面を異なる材料でコーティングすることができる。
【0061】
別の態様では、本発明のプラズマチャンバおよびプラズマ処理システムは、ハロゲンプラズマを必要とする半導体ウェハプロセスなどの様々な用途で使用することができる。原子層エッチング(ALE)と呼ばれる1つの例示的な半導体ウェハプロセスは、Cl*プラズマの使用とプラズマ源のパルス動作を必要とする。本発明の誘電体プラズマチャンバ(例えば、プラズマチャンバ100)は、Cl*プラズマにおける侵食速度が低く、インプロセスガスを迅速に点火する能力のためにパルスモードで使用できるので、これらの要件の両方と互換性がある。
【0062】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理システム800などの本発明のプラズマ処理システムは、高密度プラズマ環境において低いイオン衝撃エネルギーを有しており、したがって、プラズマからのイオン衝撃によるプラズマ対向面の侵食を受ける他の容量性または誘導結合源よりも有利である。このように、本発明のプラズマ処理システムは、高いプラズマ出力密度の下で、粒子の発生が少なく、長寿命である(例えば、RF時間で測定される)。粒子欠陥が少ないと、一般に半導体デバイスに欠陥を生じさせ得る超微視的な粒子に影響を受けやすい半導体デバイスの製造で、より高い歩留まりが可能になる。
【0063】
従来のプラズマ処理システムは、通常、高出力プラズマ動作条件下でプラズマチャンバの温度を妥当な制限内に維持するのに十分な熱伝導を提供するために、内面に誘電体コーティングを施した金属(アルミニウムなど)で作られている。この材料の選択は、一般的な誘電体材料と比較して、アルミニウムの優れた(たとえば、10倍を超える)熱伝導率によるものである。与えられた熱流束(QW/m)に対して、固体全体の温度差はΔT=Q*Thx/kとして計算され、ここで、kは固体の熱伝導率、Thxは熱が伝導される固体の厚さである。したがって、固体全体の温度差を最小化するには、k/Thxを最大化する必要がある。これは、材料の選択が、熱伝導率の高い金属か、熱伝導率の低い誘電体の薄い材料のいずれかでなければならないことを意味する。純粋な誘電体プラズマチャンバを使用する利点は、プラズマインプロセスガスを迅速に点火するために必要な大きな電圧(例えば、最大数十kV)を処理できることであり、一方で、金属プラズマチャンバはそのような能力に制限があり、通常は良好な点火条件(点火ガスとしてのアルゴンガスなど)に加えて、プラズマを維持するためにプロセス化学への移行が必要である。
【0064】
誘電体プラズマチャンバの点火能力におけるこの利点により、希/電気陽性ガスからプロセスガスへの切り替えに関連する追加の移行なしに、点火中に誘電体プラズマチャンバを電気陰性ガス(例えば、O、NF、F、Clなど)で満たすことができる。このような性能により、プラズマをパルス化(つまり、オン状態とオフ状態を切り替える)することもでき、これは、ALEやALDなどの原子層処理用途にとって重要である。したがって、誘電体プラズマチャンバは、遠隔誘導結合プラズマ源またはマイクロ波または誘電体バリア放電ベースのプラズマ源などの代替物と比較して、パルスラジカル送達用途の遠隔プラズマ源で使用するための最適なアーキテクチャになる。
【0065】
さらに、プラズマ処理システム800などの本発明の変圧器結合プラズマ処理システムは、特定の化学反応物を短期間で送達するように操作することができる。図15a~15dは、本発明のいくつかの実施形態による、遠隔プラズマ源として図8A~8Cのプラズマ処理システム800を使用する様々な例示的なパルス動作を示す。具体的には、図15aは、前駆体Bが、遠隔プラズマ源800または遠隔プラズマ源800の下流の入口のいずれかを介してプラズマチャンバ100に流される、またはプラズマチャンバ100に直接流される場合にのみ、遠隔プラズマ源800を操作する(すなわち、オンにされる)ときの例示的なパルス動作を示す。図15bに示すように、前駆体Aに対してのみ、または図15cに示すように、前駆体Aおよび前駆体Bの両方に対して遠隔プラズマ源をオンにするなど、プラズマ処理システム800を遠隔プラズマ源として動作させる他のモードが可能である。
【0066】
一定の流量を持つ単一の前駆体があり、遠隔プラズマ源のみが切り替えられて、プロセス全体内で特定の期間のラジカルベースの処理を可能にする場合、同じ原理を使用できる。その場合、前駆体ベースのプロセスは、リモートプラズマ源の下流での反応の速度と種類を調整するために使用される。そのような例の1つは、図15dに示すALEプロセスである。このプロセスでは、遠隔プラズマ源を流れる前駆体がClまたは他のハロゲンガスを含むことができ、これは、表面を活性化するために基板上の独立したバイアスを使用して、断続的な時間に基板にイオン衝撃を与えて、周期的な間隔で高い反応性を得るために、原子状塩素や励起塩素分子を含むラジカルに変換される。一般に、これらの組み合わせを最適化して特定の用途を実現する方法は数多くある。共通の特徴の1つは、原子レベルで化学反応に必要なラジカルフラックスを提供できる低粒子発生遠隔プラズマ源を備えていることである。遠隔プラズマ源は、プロセスガス内での点火を可能にするためにプロセス必要性に基づいて迅速にオンおよびオフを切り替えることができる。そのような能力は、本発明のプラズマチャンバおよびプラズマ処理システムによって達成することができる。例えば、本発明のプラズマチャンバは、誘電体材料から形成され、新しいコーティング材料が所望のプロセス化学と互換性のあるプラズマ対向面に統合されることを可能にする二枚貝形状(clamshell geometry)から結合され得る。
【0067】
本発明の文脈において、「約」という用語は、「約」という用語に続く値から±50%以内であると定義される。本発明は、特定の実施形態を参照して特に示され、説明されてきたが、当業者には、添付の請求項によって定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更を行うことができることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12a
図12b
図13
図14a
図14b
図14c
図15a
図15b
図15c
図15d